2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,706,460 100.0 451,748 100.0 26.5

事業内容

3【事業の内容】

 当社及びその子会社(以下「当社グループ」という。)は、本書提出日現在、当社、連結子会社22社(国内7社、海外15社)及び関連会社等6社(国内4社、海外2社)により構成されています。当社グループは、メモリ及び関連製品の製造、販売、研究開発、その他サービスを行っています。当社グループは、メモリ及び関連製品の製造、販売、研究開発、その他サービスを行う、世界最大級(注)のフラッシュメモリ専業プレイヤーです。

 (注) 出典:TechInsights Inc.“NAND Market Report Q2 2025”による。2024年4月から2025年3月におけるビット生産量ベース(Sandiskグループの生産量を含む。)

 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 当社グループの報告セグメントは「メモリ事業」単一でありますが、売上収益を製品の用途に応じたアプリケーション別に、「SSD & ストレージ」、「スマートデバイス」及び「その他」に区分しております。「SSD & ストレージ」には主にPC、データセンター、エンタープライズ向けSSD製品及びメモリ製品が含まれております。「スマートデバイス」にはスマートフォン、タブレット、テレビ等の民生機器、車載、産業機器等の用途で使用される制御機能付きの組み込み式メモリ製品が含まれています。「その他」にはSDメモリカード、USBメモリ等のリテール向け製品及び製造合弁会社3社経由で計上されるSandiskグループ向けの売上収益等が含まれています。

 

 当社グループ各社の報告セグメントにおける位置付けと製品分野別の事業内容は以下のとおりです。

(本書提出日現在)

 

報告セグメント

当社及び関係会社の位置付け

製造

販売

研究開発

その他サービス

メモリ事業

キオクシア㈱、キオクシア岩手㈱、キオクシアエンジニアリング㈱、キオクシアエネルギー・マネジメント㈱、キオクシア半導体台湾社、Solid State Storage Technology Corporation、フラッシュパートナーズ㈲、フラッシュアライアンス㈲、フラッシュフォワード合同会社、ディー・ティー・ファインエレクトロニクス㈱

キオクシア㈱、キオクシアアメリカ社、キオクシアヨーロッパ社、キオクシアアジア社、キオクシア中国社、キオクシア韓国社、キオクシアシンガポール社、キオクシア台湾社、Solid State Storage Technology Corporation

キオクシア㈱、キオクシアエンジニアリング㈱、キオクシアシステムズ㈱、キオクシアテクノロジーUK社、キオクシアイスラエル社、Solid State Storage Technology Corporation

キオクシアエトワール㈱

 

 メモリ事業ではメモリ製品を開発・製造・販売しています。フラッシュメモリとは、当社グループが1987年に世界で初めて開発し世界標準となった不揮発性半導体メモリ(注1)であり、大容量のデータ保存を可能にする記憶用デバイスです。スマートフォンで写真・動画などを保存するために使われるほか、身近な電子機器やデータセンター等においても、欠かすことのできないコアデバイス(基幹部品)となっています。当社グループは市場の要求に応えるために、フラッシュメモリの微細化(注2)による大容量化、及びコスト低減を推進してきました。もっとも、極度の微細化には電子同士が干渉しエラーが起きやすくなるという課題がありました。そこで当社グループではメモリセルを積み上げることで干渉を防ぐ積層化技術(注3)により、大容量化と信頼性の向上、低消費電力化を実現したBiCS FLASH™を開発しました。本書提出日現在は第8世代BiCS FLASH™を量産しています。第8世代BiCS FLASH™には、高メモリ密度の実現により高性能動作を図るため、CBA(CMOS directly Bonded to Array)(注4)とOPS(On Pitch SGD)(注5)という新技術が用いられています。近年、フラッシュメモリ市場においては、データセンター、エンタープライズ向けSSDの需要が拡大しており、これまで以上に大容量化、信頼性の向上、低消費電力化が求められています。当社グループは、更なる大容量化、高速化に向けた次世代の半導体メモリの開発も進めています。

 フラッシュメモリチップは、当社グループの四日市工場及び北上工場において製造しています。半導体は材料となるシリコンウエハー上に微細な集積回路を作りこむため工程は数百に及び、製造プロセスの効率化は至上命題です。四日市工場及び北上工場では、生産効率の向上と生産コストの低減に向けた生産ラインの自動化を徹底しており、特に四日市工場では2022年10月に竣工した四日市第7製造棟を含む6つの製造棟を棟間搬送で連結する統合生産体制を確立しております。さらに、高い生産効率を実現するため、開発と量産の拠点一体化、AI・ビッグデータを活用したスマートファクトリー化も進めております。

 また、今後も続くと想定される3次元フラッシュメモリの需要に継続的に対応するため、BiCS FLASH™の生産能力の増強を目的として、2022年4月から北上工場第2製造棟(K2棟)の建設を開始し、その建屋が2024年7月に完成しました。K2棟の稼働は2025年秋を見込んでいます。四日市既存製造棟と同様に、地震の揺れを吸収する免震構造を採用するとともに、最新の省エネ製造設備の導入や再生可能エネルギーの利用などで環境面も重視した工場となる予定です。また、四日市工場と共に人工知能(AI)を活用した生産システムの導入などを推進し、全社製造オペレーションの生産性及びフラッシュメモリ製品の品質をさらに向上させます。今後も大容量化に向けた技術開発、生産体制の拡大、コントローラ(ICチップ/ファームウェア)開発等の強化により、技術力とコスト競争力の両面における長期的な優位性の確保に努めてまいります。

 なお、当社グループは、Sandiskグループとの間で製造合弁契約を締結し、キオクシア株式会社とSandiskグループが共同出資する製造合弁会社3社を設立しています。合弁契約に基づき、製造合弁会社3社が当社グループ及びSandiskグループからの資金借り入れ又は製造合弁会社3社によるリース契約により生産設備を調達し、当社グループの四日市工場及び北上工場に設置、キオクシア株式会社が製造合弁会社3社から製造委託を受け、無償貸与された生産設備にて生産をしております。当社グループとSandiskグループは、合弁事業を通じて四日市工場と北上工場の生産能力合計の約80%を共有し、当社グループが残りの約20%を単独で所有しています。合弁契約に基づき、当社グループとSandiskグループは、それぞれ製造合弁会社3社が所有する生産能力の各半分(すなわち、上記2工場の生産能力合計の各約40%)を割り当てられている一方、当社グループは上記2工場の運営を行い、製造ノウハウを有しています。また、当社グループは、製造合弁会社3社各社の議決権の50.1%を所有しており、IFRSに基づく共同支配事業として、その資産、負債、収益及び費用の50%を連結財務諸表に計上しています。

 SSD & ストレージの主要製品であるSSD(Solid State Drive)は、半導体メモリ(フラッシュメモリ)を記憶素子とするストレージ製品です。HDDに比べて読み出し性能、衝撃・振動等の耐環境性、静寂性に優れ、待機時の消費電力が低いことも特徴の一つです。クラウドサービス、5G、IoTの拡大やAIを搭載したスマートフォンやPC、データセンターを含むAI関連の機器やサービスの普及等により、今後も成長が見込まれています。当社グループはクライアント及びエンタープライズ製品において最先端PCIe®製品を他社に先駆けて上市し、市場における優位性を確立しているものと認識しています。また、自社製フラッシュメモリを活用し、一般汎用品から高付加価値品まで幅広いラインナップを展開しています。

 スマートデバイスにおいては、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス、テレビ等の民生機器、車載、産業機器など、幅広いアプリケーションで利用される制御機能付きの組み込み式メモリ製品群に注力しています。特にスマートフォン向けメモリ製品の市場は依然として規模が大きく、成長しているアプリケーションであり、当社グループにとって重要なマーケットとなっております。

 また、その他には、SDメモリカード、USBメモリ等のリテール向け製品及び製造合弁会社3社経由で計上されるSandiskグループ向けの売上収益等が含まれます。

 今後も製品ラインアップの強化とサポート体制の強化により、市場でのプレゼンス向上を目指します。

 

アプリケーション別売上収益比率(2025年3月期)(注6)

 (注)1.不揮発性半導体メモリとは、電源を切っても記憶が消えないメモリです。

2.微細化とは、メモリチップの中の回路線幅を狭くすることでメモリセル(1ビットの情報を保持するために必要な回路構成)の面積を縮小する技術です。

3.積層化技術とは、メモリセルを多層構造にする技術です。

4.CBAとは、メモリセルの制御を担うCMOS回路とメモリセルアレイを2枚のウエハーに別々に作製し、その後2枚のウエハーを貼り合わせる技術です。

5.OPSとは、選択ゲート分離体を、メモリ機能を持つメモリストリング間に配置し、ダミーメモリストリングを削除することで、メモリ密度を高める技術です。

6.小数点以下第2位を四捨五入しております。

 

(事業系統図)

○印は連結子会社、※印は関連会社等です。

 (注) キオクシア株式会社及びキオクシアシステムズ株式会社のほか、キオクシアエンジニアリング株式会社において研究開発活動を行っています。また、キオクシアイスラエル社とキオクシアテクノロジーUK社においてはSSDソフトウェア・SSD製品に係る研究開発活動を、Solid State Storage Technology CorporationにおいてはSSD製品に係る研究開発活動を行っています。

 

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 以下では、当社グループにおける財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の分析並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容の記載をしております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ並びに関連会社及び共同支配の取決めに対する持分を含む経営成績等の状況の概要は次のとおりです。

 当社グループはメモリ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略していますが、売上収益を製品の用途に応じたアプリケーション別に区分しています。「SSD & ストレージ」には主にPC、データセンター、エンタープライズ向けSSD製品及びメモリ製品が含まれています。「スマートデバイス」にはスマートフォン、タブレット、テレビ等の民生機器、車載、産業機器等の用途で使用される制御機能付きの組み込み式メモリ製品が含まれています。「その他」にはSDメモリカード、USBメモリ等のリテール向け製品及び製造合弁会社3社経由で計上されるSandiskグループ向けの売上等が含まれています。

 なお、当社グループが属する半導体メモリ業界では事業環境が短期間に大きく変化する特徴等があることから、投資者にとって有用な情報を提供するために、四半期での連結業績予想について幅を持たせたレンジ形式にて開示しており、年度計画値及び当該達成状況に係る記載は省略しています。

 また、当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP指標」という。)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。

 Non-GAAP指標は、IFRSに基づく利益から、非経常的な項目としてPPA(Purchase Price Allocation)影響額及び2022年1月下旬に発生した3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH™」の特定の生産工程における不純物を含む部材を起因とする四日市工場と北上工場での操業影響額並びに重要な税制の変更影響額を調整したものです。

 経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。Non-GAAP指標は、当社グループの経営上の社内指標であり、IFRSに基づく会計項目ではなく、また、監査法人の監査又は期中レビューを受けた数値ではありません。そのため、当社グループの実際の財政状態や経営成績を正確に示していない可能性があります。なお、非経常的な項目とは、一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。

 当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における世界経済は、先進国において、良好な雇用、物価上昇の鈍化、株高などが堅調な個人消費を支え、活発な設備投資もあり、景気は堅調な拡大を維持しました。新興国においては、政府による景気刺激策の継続と輸出の復調がありましたが、不動産市況低迷の影響が根強く、個人消費に回復が見られず景気の停滞が続いています。また、ウクライナや中東地域をはじめとした地政学リスクは引き続き高く、関税を巡る通商政策の変化もあり、世界経済における不透明な見通しが続いています。当連結会計年度の米ドルの平均為替レートは前年度と比較して円安に推移しました。

 フラッシュメモリ市場は、出荷量(記憶容量ベース)及び販売単価ともに回復を続けてきました。アプリケーション別では、データセンター及びエンタープライズ向けSSD製品はAIのインフラ構築から市場が拡大し、堅調な需要が継続しています。PC、スマートフォンにおいては年度前半は需要が堅調に推移したものの、年度後半には顧客の在庫調整により、出荷量の伸び悩みが見られました。

 

① 経営成績の状況

 

 前連結会計年度

(自2023年4月1日

  至2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自2024年4月1日

  至2025年3月31日)

前期比

(+:増加、

-:減少)

売上収益

1兆766

億円

1兆7,065

億円

+6,299

億円

SSD & ストレージ

5,164

億円

9,911

億円

+4,748

億円

スマートデバイス

3,743

億円

5,011

億円

+1,268

億円

その他

1,859

億円

2,142

億円

+282

億円

Non-GAAP営業利益(△損失)

△2,540

億円

4,530

億円

+7,070

億円

不純物を含む部材を起因とする操業

影響額(△損失)

76

億円

億円

-76

億円

PPA影響額等(△損失)

△63

億円

△13

億円

+50

億円

営業利益(△損失)

△2,527

億円

4,517

億円

+7,044

億円

税引前利益(△損失)

△3,433

億円

3,707

億円

+7,140

億円

当期利益(△損失)

△2,437

億円

2,723

億円

+5,160

億円

Non-GAAP親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)

△2,446

億円

2,660

億円

+5,106

億円

親会社の所有者に帰属する

当期利益(△損失)

△2,437

億円

2,723

億円

+5,160

億円

Non-GAAP基本的1株当たり当期利益(△損失)

△472.63

507.89

+980.52

基本的1株当たり当期利益(△損失)

△470.97

519.96

+990.93

米ドル平均為替レート

144

153

+9

 (注)本表における億円単位表記箇所については、Non-GAAP数値、PPA影響額及び停電影響額を除き「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」に記載の数値から億円未満を四捨五入した数値を記載しております。

 

 当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の売上収益は1兆7,065億円(前期比6,299億円増加)となりました。この大幅な増収は主に、販売単価の大幅な上昇や出荷量(記憶容量ベース)が増加したこと並びに為替の好影響によるものです。

 営業利益は4,517億円(前期比7,044億円改善)となりました。この大幅な改善は、前述の増収の影響に加えて、前期に生産調整による未稼働製造費用の影響1,882億円があったことなどによるものです。税引前利益は3,707億円(前期比7,140億円改善)となりました。

 なお、2025年度のわが国の税制改正により2026年4月以降の法定実効税率が変更になり、その結果、当連結会計年度の法人所得税費用が72億円減少しています。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は2,723億円(前期比5,160億円改善)となりました。この改善は主に、前述の営業利益の計上によります。

 また、PPA影響額等(△13億円)を除くNon-GAAP営業利益は4,530億円(前期比7,070億円改善)、さらに前述の税率変更による影響額(72億円)を除くNon-GAAP親会社の所有者に帰属する当期利益は2,660億円(前期比5,106億円改善)となりました。

 

② 生産、受注及び販売の実績

 当社グループはメモリ及び関連製品を製造・販売していますが、同種の製品であっても性能、構造、形式等が異なること、また、受注生産形態を取っていないため、品目ごとの生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産、受注及び販売の状況については、前記「① 経営成績の状況」に含めて記載しています。

 なお、最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。

 

 

 顧客の名称

 前連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

金額(億円)

割合(%)

金額(億円)

割合(%)

Appleグループ

2,253

20.9

3,005

17.6

Sandiskグループ

1,705

15.8

1,986

11.6

Dellグループ

940

8.7

1,712

10.0

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況

① 財政状態の状況

 

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

前期末比増減

(+:増加、-:減少)

資産合計

2兆8,649億円

2兆9,197億円

+547億円

負債合計

2兆4,152億円

2兆1,820億円

-2,332億円

資本合計

4,498億円

7,377億円

+2,879億円

親会社の所有者に帰属する持分

4,496億円

7,376億円

+2,879億円

親会社所有者帰属持分比率

15.7%

25.3%

+9.6ポイント

 (注) 本表における億円単位表記箇所については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」に記載の数値から億円未満を四捨五入した数値を記載しております。

 

(資産)

 当連結会計年度末の資産は2兆9,197億円となり、前期末に比べて547億円増加しました。

 これは、主に営業債権及びその他の債権が888億円、棚卸資産が811億円増加したことによるものです。他方で、有形固定資産が686億円減少しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債は2兆1,820億円となり、前期末に比べて2,332億円減少しました。

 これは、主にタームローン及びリボルビング・クレジット・ファシリティの返済等により借入金(流動負債及び非流動負債)3,336億円が減少したことによるものです。

 

(資本)

 当連結会計年度末の資本は7,377億円となり、前期末に比べて2,879億円増加しました。

 これは、主に当期利益2,723億円を計上したことによるものです。この結果、親会社所有者帰属持分比率は25.3%となり、前期末に比べて9.6ポイント増加しました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 

 前連結会計年度

(自2023年4月1日

  至2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自2024年4月1日

  至2025年3月31日)

 前期比増減

(+:増加、

-:減少)

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,951億円

4,764億円

+2,813億円

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,749億円

△1,730億円

+1,018億円

財務活動によるキャッシュ・フロー

32億円

△3,227億円

-3,259億円

 (注) 本表における億円単位表記箇所については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」に記載の数値から億円未満を四捨五入した数値を記載しております。

 

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,679億円となり、前期末に比べて197億円減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、獲得した資金は4,764億円となりました。

 その内容は、税引前利益3,707億円(前期は税引前損失3,433億円)、減価償却費及び償却費3,123億円(前期は3,461億円)などです。また、獲得した資金が前期比2,813億円増加した主な要因は、前期は税引前損失を計上していたところ、当期は税引前利益を計上したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は1,730億円となりました。

 その内容は、有形固定資産の取得による支出2,238億円などです。また、使用した資金が前期比で1,018億円減少した主な要因は、設備投資の抑制に伴う有形固定資産の取得による支出の減少によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は3,227億円となりました。

 その内容は、長期借入金の返済による支出2,659億円、短期借入金及びリボルビング・クレジット・ファシリティ実行残高の純減少額1,264億円(前期は短期借入金の純増加額911億円)などです。また、前期の資金の獲得から当期の支出に転じた主な要因は、前期は資金調達額が借入金返済額を上回っていたのに対し、当期は借入金返済額が資金調達額を上回ったことによるものです。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な資金需要は、製品製造のための設備投資です。これらの資金需要に対しては、営業活動によるキャッシュ・フローに基づく自己資金を充当することを基本としていますが、市況が大幅に悪化する局面等においては、金融機関からの借入金や種類株式発行の払込金額も充当してきました。当社グループの当連結会計年度末における借入金の総額は7,777億円、親会社所有者帰属持分比率は25.3%、ネット有利子負債/Non-GAAP EBITDAは1.22倍となっており、また社債型優先株式の残高は3,213億円となっております。また、当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,679億円となっており、当社グループの足元の資金繰りは確保されているものの、今後急速にフラッシュメモリの市況が悪化する場合等においては、金融機関からの追加的な借入や種類株式の発行、その他の資金調達が困難となる可能性があります。なお、現在予定している設備の新設・改修等に係る投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しています。

 

(4)重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。連結財務諸表の作成に当たって、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で、見積り及び判断を行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」をご参照ください。

 

セグメント情報

6.セグメント情報

(1)報告セグメントに関する情報

 当社グループは、メモリ事業の単一セグメントであるため、記載を省略しています。

 

(2)製品及びサービスに関する情報

 当社グループのアプリケーション別の売上収益に関する情報は以下のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

 前連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

SSD & ストレージ

516,361

991,147

スマートデバイス

374,293

501,142

その他

185,930

214,171

合計

1,076,584

1,706,460

 

(3)地域別に関する情報

 売上収益及び非流動資産(金融商品、繰延税金資産、退職給付に係る資産を除く)の地域別内訳は以下のとおりです。

外部顧客からの売上収益

 

 

(単位:百万円)

 

 前連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

日本

191,555

243,849

欧米

448,658

853,608

アジア

436,371

609,003

合計

1,076,584

1,706,460

(注)売上収益は、当社グループの事業拠点の所在地を基礎として分類しています。

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度において、アメリカにおける外部顧客向け売上収益は393,909百万円及び758,666百万円であり、中国における外部顧客向け売上収益は217,870百万円及び323,357百万円です。

 

非流動資産

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

日本

1,737,806

1,714,351

欧米

2,661

2,172

アジア

8,285

6,594

合計

1,748,752

1,723,117

(注)非流動資産は、資産の所在地によっています。

 

 

(4)主要な顧客に関する情報

 外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の「売上収益」の10%以上を占める相手先は以下のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 顧客の名称

 前連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

Appleグループ

225,296

300,512

Sandiskグループ

170,475

198,572

Dellグループ

93,993

171,157