2023年9月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)気候変動(地球温暖化)のリスクについて

 温暖化をはじめとする気候変動により、冷蔵倉庫事業では、気温上昇による庫内を冷却するための動力費(電気料金)の増加や、温暖化規制に伴う電気料金の値上げが業績に影響を及ぼす可能性があります。食品販売事業では、自然環境の変化やウイルス・病害虫の発生などによる、漁獲量、生産量の減少や飼料コスト上昇に伴う養殖水産物、畜産物の調達コスト上昇により商品の調達及び供給に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題であると認識し、2020年10月に策定した「ヨコレイサステナビリティビジョン2030」において「明るい食の未来へ ~ヨコレイは食の安定供給により、持続可能な社会に貢献します~」を掲げ、地球環境に配慮した事業の推進に注力しています。

 TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言へ賛同を行い、気候変動による影響をリスクと機会から評価し、会社の持続的な成長実現の鍵となるテーマ「マテリアリティ」の1つに「地球環境との共生」を位置づけ、将来の事業成長に向けて活動を一層拡大しています。現在の具体的な取り組みとしては、冷蔵倉庫事業では、エネルギー消費量の削減と再生可能エネルギーの使用量や自然冷媒冷凍機へのさらなる移行促進を図ることで、2030年までに温室効果ガス排出量を40%削減(2015年比)し、自然冷媒導入率をさらに85%以上とする定量目標を策定しました。

 

(2)自然災害のリスクについて

 台風、豪雨、洪水、地震などの大規模自然災害により、冷蔵倉庫事業では、施設・設備等への被害と修繕コストの増加や、物流機能の停止により業績に影響を及ぼす可能性があります。食品販売事業では、水産物の漁獲量・養殖生産量、農畜産物の収穫の減少により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、社員の安全確保と業務の継続のために、災害BCPを策定し、危機管理体制を整えています。また、災害に強い冷蔵倉庫の建設など、対策を講じています。

 

(3)経済状況及び事業環境に関するリスクについて

 経済状況及び事業環境に変化が発生することで、食品販売事業では、商品調達価格の高騰や消費の低迷により、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、業界の再編等が業績に影響を及ぼす可能性があります。冷蔵倉庫事業では、荷主の在庫管理の強化による保管量減少が、業績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、冷凍食品の需要増加等による保管需要が増加し、保管場所の供給が不足する可能性があります。

 

(4)商品の価格変動に関するリスクについて

 当社グループは海外の人口爆発や食生活の変化に伴う資源の争奪戦等によって調達・販売価格が大きく変動した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、商品の調達先・生産拠点の新規開拓や養殖事業の強化を行って調達先を分散化するだけでなく、在庫の適正化を行いリスクの分散を図っています。

 

(5)固定資産に関するリスクについて

 事業環境の変化や自然災害等の発生により、収益の低下や固定資産の減損・処分が生じた場合、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(6)IT(システム)に関するリスクについて

 当社グループの冷蔵倉庫事業及び食品販売事業は、全国オンラインシステムを通じて業務を実施しています。災害による機器障害や、不正アクセス・コンピュータウイルスによる攻撃等による業務システムの停止やネットワークの寸断・情報の流出により、お取引先へのサービスの提供や業務運営が困難となり、当社グループの経営に重要な影響を与える可能性があります。そのため当社グループでは管理本部傘下のシステム管理部が、定期的なサーバーのリニューアルや適切なセキュリティ対策等の実施を行っています。

 

(7)海外展開に関するリスクについて

 当社グループは海外戦略について、集中リスクを回避するために調達・販売ルートを拡張し、コスト競争力の

観点から委託加工の拡大を図り、需給ギャップに留意した取引を目指して積極的な展開を行っています。また、海外取引相手との関係強化や資源の安定的な調達のため、顧客企業や協力会社等に対し、貸付金を含めた投融資を行っています。投融資実行後は、販売推進事業部を通じて経営計画、予実分析、決算等の重要な報告事項は当社取締役会で定期的に報告を受けております。また、保有投資有価証券に関しては、定期的に取締役会等でモニタリングおよび投資有価証券の保有可否の検討を実施しております。しかし、事業を行う各国においてテロの発生及びその国の政情の悪化、経済状況の変動、予期せぬ法律・規制の変更又は日本との法律・規制の違いによるトラブル等があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)為替変動に関するリスクについて

 当社グループにおいて商品や原材料の輸出入取引は主要事業の一部であり、外貨建取引については為替変動リスクにさらされることになります。これらのリスクを軽減するために、為替予約取引を利用していますが、当該取引ではカバーできないほどの急激な為替変動があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)人材の確保・育成に関するリスクについて

 当社グループの冷蔵倉庫事業では、社員が庫内作業を行う「社員オペレーション」が大きな特徴であり、強みでもあります。そのため優秀な人材の確保・育成が重要となりますが、国内の少子高齢化と人口減少による人材採用・確保の競争激化により、人材の確保・育成ができなければ冷蔵倉庫事業継続が困難となり業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため人材の確保・育成については通年で計画的に行いながら、長期的な冷蔵倉庫建設計画の策定や社内教育制度の強化を行っています。また、女性を含め、多様な人材が働きやすい職場づくりの推進や省人化・自動化システムの積極的な導入等により、リスクへの対策を進めています。

 

(10)商品の品質・安全性に関するリスクについて

 当社グループは、製品の品質クレーム・トラブルによって、顧客からの信頼が低下した場合、事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。一方で顧客満足度が向上した場合、当社のブランドへの信頼を獲得することができます。

 当社グループは品質基本方針を設け、経営者およびすべての社員が方針に基づいて行動しています。また、食品品質管理室による管理や、品質管理教育体制の強化を行い、安全で高品質な商品・サービスを継続して提供できるよう心掛けています。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つと認識しており、安定的な配当を継続して行うことを基本方針としております。利益の一部につきましては内部留保を行い、中長期的戦略に立った設備投資やM&Aなどへの投融資に備えております。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
 当期の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり24円(うち中間配当11円50銭)を実施することを決定いたしました。

 当社は、「取締役会の決議により、毎年3月31日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に
定めております。
 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。定時株主総会決議に基づく1株当たり配当額に

は、創立75周年記念配当1円を含んでおります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年5月15日

678

11.50

取締役会決議

2023年12月22日

737

12.50

定時株主総会決議