2025年2月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社の経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、本書に記載された将来に関する事項は、すべて本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 人口動態の変化について

 現在、わが国では、少子高齢化により人口の減少と高齢化が急速に進行しております。特に地方に拠点をおく企業は、人口減少によるマーケット縮小の影響を受けております。当社グループにおいても、地方に拠点をおく子会社が存在しておりますが、全国に展開している当社グループの販路を活用するなどの相互補完により影響を軽減できる体制を整えております。また、高齢者向けの商品開発を推進するなど、高齢者向け市場の開拓も進めております。しかしながら、今後この傾向がさらに顕著となり、対応が遅延した場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 食品の安全性の問題について

 当社の子会社は、食品の製造及び販売を主たる事業としております。当社グループは、「食の安全」を基本的事項と位置付け、社内に商品開発・品質管理担当責任者を配置し、グループ各社の品質管理に関わる事項について横断的に対応しております。また、各子会社では、衛生管理マニュアルに基づいた衛生・品質管理を徹底しております。しかしながら、将来において想定を超える食品の安全性を揺るがす事態が発生し、直接的に当社グループの製品、取扱商品に起因する如何にかかわらず、風評被害などによるイメージの低下や、食中毒などの衛生問題により製品の回収、廃棄、営業停止、被害者からの損害賠償請求などが発生した場合には、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 消費者嗜好の変化について

 当社グループが事業をおこなう食品市場は、消費者の嗜好の変化に影響を受けやすい市場です。当社グループが収益及び利益を確保していくためには、消費者の嗜好にあわせた魅力的な商品を提供することが必要となります。当社グループは、市場動向を的確に把握するよう努めていますが、必ずしも消費者の嗜好にあった魅力的な新商品を開発できるとは限りません。仮に、消費者の嗜好に重大な変化が生じた場合や、当社グループがその変化に的確に対応できない場合、当社グループ商品の需要が減少し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 競合について

 当社グループが事業を展開している食品市場は競争が厳しく、当社グループは、大手食品企業や中小食品企業と競合しております。大手食品企業は、豊富な経営資源や事業規模を活かし、消費者の嗜好の変化にあわせた新商品の投入や、積極的な販促活動等をおこなうことが可能です。一方、中小食品企業は独自ブランドを武器に、特定の商品カテゴリーにおいて強みを持ち、安定した地位を築いている場合があります。当社グループがこれらの競合他社に対して優位性を確保できない場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 法的規制等の影響について

 当社グループは、食品の製造及び販売にあたり、食品衛生法、製造物責任法、JAS法等の法的規制を受けているほか、工場においては各種の環境規制にも対応しております。そのため、当社グループでは子会社各社の関連部門と当社商品開発・品質管理担当責任者並びに総務・コンプライアンス部が連携して対応しております。法令遵守については万全を期して取り組んでおりますが、万一法令違反が発生した場合や、将来的に予期しない法令改正や新たな規制が導入された場合には、当社の事業活動が制限され、業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 偶発的リスクについて

 当社グループは、日本全国及び海外に子会社や工場などの拠点を有しております。そのため、大地震や豪雨、竜巻などの自然災害により、当社グループの事務所、工場などの建物、並びに内部の設備・機械装置が破損、水没、焼失等の被害を受ける可能性があります。また、想定を越える自然災害が発生した場合には、当社グループの設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、交通や通信の停止、さらにはサプライチェーンの断絶などにより、取引先への商品・製品の出荷遅延や停止を余儀なくされ、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、天候不順や自然災害に加え、鳥インフルエンザや豚流行性下痢等の疫病等の発生により、原材料の調達が困難となる場合や、価格高騰が生じた場合には、製造コストが上昇し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 その他、新型コロナウイルス感染症のような新種の疫病発生に伴い、国内外のサプライチェーンの混乱、外出自粛要請による消費の減退、外食産業や観光産業の低迷、業務用商品の需要低迷、政府による行動制限や社会的混乱、消費者の心理的要因による消費行動や購買内容に重大な変化が起こることにより、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果として、当社子会社においては事業収益の悪化に伴う固定資産の減損や、買収時に想定した事業計画が予定通り進捗しないことによりのれんの減損等が発生する可能性もあり、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。

 

(7) 原料価格の変動について

 当社グループは、原材料や商品の多くを、直接的又は間接的に海外から調達しております。このため、急激な為替相場の変動により仕入価格が高騰した場合には、販売価格への転嫁が遅れることや十分な価格転嫁ができないことで、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループにおいて製造される製品は、主原料として、小麦、そば、米、たまねぎ、キャベツなどの農産物、鮭、かき、わかめ、ひじき、ホタテなどの海産物、鶏肉などの食肉を加工した製品となります。加えて、資材・包材等の石油製品も使用しております。これらの原材料や資材の価格は、原産国における異常気象、紛争の発生、需給構造の変化、市況の変化、漁獲・収穫量の減少及び法的規制の変更などの要因により相場が高騰する場合があり、その結果、仕入コストが上昇し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 販売チャネルについて

 当社グループは、卸売業者及び大手小売業者などの販売チャネルを通じて商品を販売しております。卸売業者や小売業者の間で合併・統合が進み、大規模な流通業者が誕生しつつあります。こうした事業者は高い価格交渉力を有する場合があり、当社グループに対する価格引下げ圧力が強まる可能性があります。また、何らかの理由によりこれらの販売先との取引が中止もしくは縮小された場合には、当社グループの事業・業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 特定の仕入先への依存について

 当社グループは、一部の原料について特定の仕入先に依存しているものがあります。たとえば、株式会社オーブンの主力商品である「かきフライ」に使用する原料(かきIQF※)は、特定の仕入先から供給され、大量に安定的に調達することが困難な状況にあります。また、SIN HIN FROZEN FOOD PRIVATE LIMITEDやPACIFIC SORBY PTE. LTD.が扱うエビ、ホタテ、カニ、ロブスターなどや、株式会社香り芽本舗が扱うわかめ、十二堂株式会社が扱うひじき、株式会社マルキチ及び株式会社ワイエスフーズが扱うホタテなども、それぞれ特定の仕入先に依存しております。これらの仕入先とは、継続的かつ安定的に仕入ができるよう、情報交換等含め連携の強化に努めておりますが、天災地変、品質上の問題、あるいは仕入先の経営破綻などが発生した場合、原料の仕入れが困難となり、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

※ かきIQFとは、特殊な冷凍技術により、かきを個別に急速冷凍したものであります。

 

(10) ビジネスモデルに関するリスクについて

① 子会社の業績変動について

 当社グループのビジネスモデルは、子会社の成長を通じてグループ全体の成長を実現することを目的としております。そのため、各子会社の財政状態及び経営成績は、当社グループ全体の財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。現在、当社においては、グループ全体及び各子会社の経営戦略の立案や経営管理を統括しておりますが、子会社における事業の遂行が計画通りに進まない場合や、予期しない業績変動が生じた場合には、当社グループ全体の業績に影響を与える可能性があります。

 

② キャッシュ・フローの変動について

 当社グループは、過去に実施したM&Aにより資産及び負債が増減するとともに、キャッシュ・フローの状況が大きく変動しております。当該変動は、M&Aに伴う会計処理等に起因するもの等でありますが、今後、新たなM&Aを実施することにより、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(11) 情報システムに関するリスクについて

 当社グループは、販売、購買、生産等の業務に関する情報や、通信販売の顧客に関する個人情報を情報システムにより管理しております。システム上のトラブルに備え、最大限の保守・保全等の対策を講じるとともに、アクセス権限の設定・パスワード管理の徹底などにより、情報漏洩の防止に努めております。しかしながら、万が一、システムのダウンや予測不能のウイルスの侵入、不正アクセス等が発生した場合には、情報システムの停止、顧客情報を含む内部情報の消失、漏洩、改ざんといったリスクが生じる可能性があります。このような事態が発生した場合には、社会的信用の失墜を招き、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 訴訟等の可能性について

 当社は、コンプライアンス体制の整備、強化に努めており、将来問題となる可能性のある事項については、顧問弁護士と連携のうえ、細心の注意を払って業務を遂行しております。しかしながら、何らかの要因により、株主、取引先、消費者等から訴訟を提起される可能性があり、その訴訟等の内容や結果によっては、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 固定資産の減損について

 当社グループで製造事業をおこなう子会社は、工場設備等事業用の固定資産を多く保有しております。事業収益が悪化した場合及び当該固定資産の時価が著しく下落した場合には、減損会計の適用により減損処理が必要となり、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 無配当

 当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つと認識しており、経営成績及び財政状態を総合的に勘案したうえで、株主への利益配当の実現を基本方針としております。しかしながら、当社は現在、事業拡大の途上にあり、将来の事業展開及び財務体質の強化を目的として、必要な内部留保の確保を優先してきたことから、創業以来、無配当の方針を継続しております。現在も内部留保の充実に努めておりますが、将来的には、経営成績及び財政状態を踏まえたうえで、株主への利益配分について検討を進めていく方針であります。なお、配当実施可能性及びその時期等については、現時点において未定であります。

 

(15) M&Aについて

① 買収後の事業計画の進捗について

 当社は、食品の製造及び販売をおこなう中小企業を対象にM&Aを実施し、新たな事業展開及び事業規模の拡大を図っております。買収した企業に対しては、当社が保有するプラットフォームを活用し、資金面にとどまらず、事業面における支援もおこなっております。M&Aの実施にあたっては、十分なデューデリジェンスをおこない、リスクの分析・検討を実施しておりますが、買収時に想定した事業計画が予定通りに進捗しない場合には、固定資産やのれんの減損等により当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 偶発債務や未認識債務の発生について

 M&Aを実施する際には、対象企業の財務・法務・事業等について事前にデューデリジェンスを通して十分なリスクの確認、及び正常収益力の分析をおこなった上で買収の可否を決定しております。しかしながら、買収後に偶発債務が発生する場合や、未認識の債務が判明する場合など、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合には、当社グループの業績・財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③ 統合に伴う資産等の整理について

 M&A後の経営統合において、事業再編や遊休資産の売却等をおこなうことにより特別利益、特別損失が発生し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ M&A時の調達資金について

 当社グループは、事業拡大を加速させる有効な手段の一つとして、当社グループに関連する企業・事業のM&Aを検討していく方針です。その実施にあたっては、自己資金に加え、借入金及び株式の発行により資金を調達する予定としております。新たに借入金を活用する場合、市場金利の変動状況によっては、金利負担の増加等につながる可能性があります。また、株式発行による資金調達をおこなう場合には、株式の希薄化や自己資本の変動などが生じ、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 海外事業展開について

 当社は、シンガポール、マレーシアに子会社を有し、海外における事業の拡大を進めております。今後も海外展開をおこなう中で、政治・経済情勢の変化、予期し得ない法規制の変更、自然災害、暴動、テロ、戦争による社会的又は経済的な混乱、労働賃金の上昇、サプライチェーンや流通網の遮断、慣習等に起因する予測不可能な事態等が発生するリスクが存在いたします。これらのリスクが顕在化する場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 為替変動リスクについて

 当社グループでは、在外連結子会社の外貨建財務諸表を日本円に換算して連結財務諸表を作成しております。このため、現地通貨における価値に変動がなかった場合でも、為替相場の変動により、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループがおこなう外貨建取引から発生する収益・費用、並びに外貨建債権・債務についても、為替相場の変動により円換算額が変動し、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つと認識しており、経営成績及び財政状態を総合的に勘案したうえで、株主への利益配当の実現を基本方針としております。しかしながら、当社は現在、事業拡大の途上にあり、新たなM&Aや設備投資等の積極的な事業展開の推進こそが、結果として株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。

 このことから、設立以来無配当の方針を継続しており、今後においても、事業拡大のための投資及び既存事業に必要な運転資金に充当する方針としております。将来的には、経営成績及び財政状態を踏まえたうえで、株主への利益還元について検討を進めていく方針であります。

 なお、剰余金の配当をおこなう場合には、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会であります。

 また、当社は、中間配当をおこなうことができる旨を定款に定めております。