2024年6月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

養殖事業 国内加工事業 海外加工事業 海外卸売事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
養殖事業 6,750 17.2 772 24.3 11.4
国内加工事業 8,279 21.1 1,089 34.3 13.2
海外加工事業 15,255 39.0 1,064 33.5 7.0
海外卸売事業 8,869 22.7 254 8.0 2.9

事業内容

 

3 【事業の内容】

 

当社グループは、当社及び連結子会社の9社で主に構成され「海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続ける。」ことをMissionとし、養殖事業、国内加工事業、海外加工事業、海外卸売事業の4つの事業を柱としてビジネスを展開しています。サーモンを中心とした川上から川下までの垂直統合型のビジネスモデルで、グローバルに事業を展開し、その結果として、自己資本利益率や売上高営業利益率などの指標において上場会社平均を上回る実績を達成しています。

 

各事業における事業会社名及びその系統図は、次のとおりであります。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。

 


 

 

各事業の概要は、次のとおりであります。

 

(1)養殖事業

生食用のサーモントラウトを養殖し、国内外に向け販売する事業であります。

Musholm A/Sにおいては、毎年約3,500トン超のサーモントラウトを生産しております。更にサーモン養殖の世界的なリーダーであるノルウェーの養殖との差別化を図るため、卵を持たせる養殖を行っています。その一部は当社向けに輸出され、以下で説明する国内加工事業に使われます。当社グループ以外へは、魚の身の部分はヨーロッパ諸国へスモークサーモンの加工用原料として、卵はいくらを生産しヨーロッパ各地へ、あるいはいくら加工用原料としてヨーロッパ各地へ販売しております。

 日本国内におきましては、2017年6月に青森県西津軽郡深浦町に日本サーモンファーム株式会社を設立し、サーモントラウトを生産しております。サーモン養殖先進国であるデンマーク子会社Musholm A/Sの大規模生産のノウハウを活用し、孵化から養殖まで一気通貫した生産体制を構築しております。

 

日本サーモンファーム株式会社の海面養殖イメージ

 


 

サーモン養殖は自然と地域のバックアップを受けて行う事業です。サーモン養殖に適した青森の地で地元企業としての強みを生かし、地域と一体となって事業を進めています。例えば国内では、河川を利用した中間養殖を行うにあたっては水利権が、海面養殖を行うにあたっては区画漁業権の行使が必要です。当社グループは、地元漁協の組合員として区画漁業権を行使し、サーモン養殖を行っています。

 


 

 

 なお、当社グループでは、養殖事業の一部においてASC認証を取得しております。

 ASC認証とは、水産養殖管理協議会(Aquaculture Stewardship Council)が管理運営する養殖に関する国際認証制度で、養殖場が自然環境の汚染や資源の過剰利用を行っておらず、その養殖事業に持続可能性が認められることを認証するものです。近年はASC認証のある原料を使った製品を取扱いの中心に据える国内の大手スーパーマーケットなども増えて来ています。

 

 

(2)国内加工事業

国内加工事業及び後述の海外加工事業は、魚卵・成魚を原料として顧客の要望にそって加工し、販売を行う事業です。

 国内加工事業における加工拠点は青森県青森市に所在する当社青森本社併設の第一工場と第二工場です。第一工場では数の子及びたらこと、当社グループ日本サーモンファーム株式会社の養殖サーモンを主に加工しております。第二工場ではイクラと筋子の加工をしております。国内のスーパーマーケットや外食向けの販売が主ですが、最近ではアジア圏の大手回転寿司チェーンへの輸出も増えております。

 

青森第一工場で製造した数の子製品          Musholm A/S魚卵原料から製造したイクラ製品


 

    青森第一工場内たらこ製品製造ライン


 

 

 

(3)海外加工事業

 海外加工事業は、海外の加工拠点において水産加工品を製造する事業です。国内加工事業と同様に、当社養殖事業からの原料仕入れに加え、自社仕入れチームが自身で良質な原料を世界中から調達し加工販売まで行います。

  海外加工事業における拠点は以下の3つです。

①当社東京事業本部

 当社の東京事業本部では、貿易実務、海外加工場の生産管理、国内外への販売活動を行っております。

 

②ミャンマーの自社グループ工場(Okamura Trading Myanmar Co., Ltd.)

 2017年9月、ミャンマーのティラワ経済特区内に子会社Okamura Trading Myanmar Co.,Ltd.を設立しました。同経済特区内は日本企業の進出が進んでおり、日本水準のインフラが整っております。主にサーモン原料の寿司ネタ加工を行っております。

 

  外部仕入原料のサーモンハラス寿司スライス製品  Okamura Trading Myanmar Co., Ltd. 外観


 

③ベトナムのパートナー工場

当社とは20年来の関係があるベトナムの大手水産加工工場とパートナー契約を結んでおります。契約の内容は「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」をご参照ください。同工場では、サーモン原料の寿司ネタ加工の他、サバ原料を始めとした焼成済みの焼き魚・煮魚製品の加工も行っております。当工場内には当社子会社Okamura Trading Vietnam Co., Ltd.の事務所を設置し、現地ワーカーの教育や生産管理を行っております。生産された製品は日本国内消費向けに輸出される他、後述のシンガポールやマレーシアの現地販売拠点に向けても出荷されます。

 

 

 

(4) 海外卸売事業

シンガポール(Okamura Trading Singapore Pte., Ltd.)、マレーシア(Xenka Trading (M) Sdn. Bhd.)、台湾(Okamura Trading Taiwan Co.,Ltd.)及びタイ(Okamura Trading (Thailand) Co., Ltd.)に拠点を有しており、現地の日系スーパーマーケットや日本食レストランに、日本から輸入した日本食材を販売しております。顧客のニーズに応じて他社から幅広く商材を調達しておりますが、自社グループ内で養殖・加工した商材も当事業を通じて海外市場に販売されております。顧客のニーズに合わせた製品をタイムリーに、そして日本基準のきめ細やかなサービスを持って提供しております。

 


 

 

 

 Okamura Trading Singapore Pte., Ltd. 自社倉庫


 

 

 Xenka Trading (M) Sdn. Bhd.の事務所及び配送トラック


 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ①当期の経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループの経営成績の状況の概要は次のとおりであります。

当連結会計年度におけるわが国経済は、他国との金利差による急速な円安の進行が継続し、インバウンド需要等に回復の傾向がある一方、輸入する資源・エネルギー価格の高騰から依然として先行き不透明な状況が続いております。海外においては、当社グループの主な事業領域である東南アジアでは堅調なサービス需要による経済の持ち直しが続く一方で、不安定な世界情勢等に起因するインフレーションやその対策として各国が政策金利の引き締めを継続していることなどから、各国の経済情勢に注視が必要な状況となっています。

当社グループの事業におきましては、近年サーモン相場の高騰が継続している状況にあることから、サーモンの取扱数量が大きい国内の養殖事業や海外加工事業はこの相場高騰が売上の押上げ要因となっています。一方で、魚卵相場については昨年から調整局面に入っており、これが魚卵を取り扱う国内加工事業の売上押下げ要因となってきました。

当社グループの事業は相場の上昇局面では利益率が上昇、下降局面では利益率が低下する傾向があります。前連結会計年度はサーモン、魚卵ともに相場が上昇局面にありましたが、当連結会計年度においてはサーモンは期末付近で季節変動等からやや低下したものの高値水準を継続し、魚卵は後半では相場が安定しつつありますが期を通じてみると全体的には下降局面を推移しました。加えて、昨今の各種コストの上昇やヒト・モノへの投資拡大の影響もあり、いずれの事業も前連結会計年度より利益率が低下する結果となっています。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ3,725百万円増32,665百万円(前期比112.9%)、営業利益は前連結会計年度に比べ638百万円減2,548百万円(前期比80.0%)、経常利益は前連結会計年度に比べ612百万円減2,932百万円(前期比82.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ421百万円減1,968百万円(前期比82.4%)となりました。

各セグメントの事業概況は次のとおりであります。

(単位:百万円/%)

 

売上高

前期増減

前期比

セグメント

利益

前期増減

前期比

養殖事業

6,750

1,069

118.8

772

△40

95.0

国内加工事業

8,279

△436

95.0

1,089

△373

74.5

海外加工事業

15,255

2,632

120.9

1,064

△20

98.1

海外卸売事業

8,869

1,801

125.5

254

△263

49.1

調整額※

△6,489

△1,341

126.1

△632

59

91.4

合計

32,665

3,725

112.9

2,548

△638

80.0

 

※調整額はセグメント間取引及び全社費用等であります。

 

(養殖事業)

国内養殖事業の4月からの水揚シーズンにおいては、成魚個体重量がやや小さかったために当初想定よりも水揚量は少なくなりましたが、2023年10月に青森県今別町に循環型中間養殖場を増設した効果により、昨年より水揚量が増加し、売上・利益が増加しました。

一方で、海外養殖事業においては、サーモンに関する世界的な需要超過の状況からサーモン相場は好調に推移し販売価格も上昇しましたが、高騰した餌代をはじめとした養殖コストの上昇の影響をカバーするには至らず、前期に比べ利益率が低下しました。

上記の結果として、売上高は前連結会計年度と比べ1,069百万円増6,750百万円(前期比118.8%)、セグメント利益は40百万円減772百万円(前期比95.0%)となりました。

 

 

なお、デンマーク子会社であるMusholm A/Sは国際財務報告基準(IFRS)を採用しており、養殖事業の損益には、IAS第41号「農業」に従った売却コスト控除後の公正価値により評価した結果(売上原価△50百万円)が含まれております。

(単位:百万円)

売上高

 

6,750

営業費用

材料費、人件費、販管費等

6,027

小計(公正価値評価を除いたセグメント損益)

722

営業費用

公正価値評価による影響額

50

合計(セグメント損益)

772

 

 

(国内加工事業)

近年、主力製品であるいくら、筋子については相場高騰が続いていましたが、前連結会計年度末頃より価格調整局面に入りました。当事業は相場下降局面では利益率が比較的大きく低下する傾向があります。当連結会計年度後半には相場下げ止まりの兆しをみせたものの、相場上昇局面にあった前連結会計年度との比較においては減収減益となりました。

上記の結果として、売上高は前連結会計年度と比べ436百万円減8,279百万円(前期比95.0%)、セグメント利益は373百万円減1,089百万円(前期比74.5%)となりました。

 

(海外加工事業)

サーモンの市場供給量の不足等を背景に世界的にサーモン相場の高騰が続く中、販売は好調に推移いたしました。その一方で原材料価格も高騰しています。相場上昇局面で値上げが先行できた前連結会計年度と比べると、当連結会計年度は原料高の販売価格への転嫁が十分には行えず、全体の利益率が低下しました。

上記の結果として、売上高は前連結会計年度と比べ2,632百万円増15,255百万円(前期比120.9%)、セグメント利益は20百万円減1,064百万円(前期比98.1%)となりました。

 

(海外卸売事業)

アジアを中心とした日本食マーケットの市場規模は近年拡大を続けており、その状況を背景に当事業は拡大基調にあります。当連結会計年度もこの基調は続いており、売上については堅調に推移いたしました。一方で、事業規模の速いペースでの成長に、営業や物流面で必要となるヒト・モノの整備が追い付かない状況が従来続いていました。当連結会計年度では、さらなる成長に備えてヒトやモノの整備を先回りで整備すべく、投資を集中的に行いました。それに伴い、人件費、倉庫費用、償却費等が増加し、当連結会計年度の利益率は低下いたしました。

上記の結果として、売上高は前連結会計年度と比べ1,801百万円増8,869百万円(前期比125.5%)、セグメント利益は263百万円減254百万円(前期比49.1%)となりました。

 

②当期の財政状態の状況

当社グループの財政状態は次のとおりであります。

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は29,249百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,667百万円増加しました。これは主に要因としては、東京証券取引所スタンダード市場への上場に伴う増資や原料仕入れに向けた運転資金を借入したことにより現金及び預金が2,772百万円増加したこと、当社主要事業がそれぞれ事業拡大傾向であることにより売掛金が1,135百万円増加したこと等によるものです。固定資産は9,920百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,391百万円増加しました。これは主に養殖用施設への投資等で建物及び構築物が1,007百万円増加したこと、海外卸売事業において外部保管倉庫の新契約を結んだこと等によりリース資産が846百万円増加したこと等によるものです。

この結果、総資産は39,170百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,058百万円増加しました。

 

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は19,119百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,680百万円増加しました。これは主に原料仕入などの運転資金として短期借入金が2,425百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は5,899百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,195百万円増加しました。これは主に設備投資資金として長期借入金が631百万円増加したこと等によるものです。

この結果、負債合計は25,019百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,875百万円増加しました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は14,151百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,183百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を1,968百万円計上したこと等により利益剰余金が1,771百万円増加したこと等によるものです

 

③当期のキャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、277百万円の収入(前期は1,141百万円の支出)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益が2,932百万円となった一方で、当社主要事業がそれぞれ事業拡大傾向であることにより売掛金残高の増加が1,005百万円生じたことに加え、原材料調達コストや養殖量拡大に伴う養殖コストの増加等により棚卸資産残高の増加が1,681百万円生じたことなどによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、2,339百万円の支出(前期比212百万円の支出増加)となりました。

これは主に、養殖事業の事業規模拡大に向けた投資等により有形固定資産の取得による支出が2,135百万円(前期比9百万円の支出増加)となったためです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、4,727百万円の収入(前期比1,425百万円の収入増加)となりました。

これは主に、原材料仕入等の運転資金目的での借入を増加させたことにより短期借入金の純増減額が2,423百万円生じたことに加え、前述した養殖事業規模拡大等に向けた長期借入による収入が1,646百万円生じたためです。

以上に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額106百万円を調整した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ2,772百万円増加し、4,833百万円となりました

 

 

 

④生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

養殖事業

6,750

118.8

国内加工事業

8,279

95.0

海外加工事業

1,923

98.8

海外卸売事業

合計

16,953

103.7

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

2.金額は、販売価格によっております。

3.海外卸売事業については、自社生産設備を保有していないため、記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

養殖事業

5,095

122.3

国内加工事業

7,614

93.7

海外加工事業

11,086

115.7

海外卸売事業

8,869

125.5

合計

32,665

112.9

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は提出日現在において判断したものであります。

 

財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の状況に関する分析

 世界経済は、不安定な世界情勢や為替相場、物価高が消費に与える影響など、外部環境が不安定な中、当社グループは増収を果たしましたが、減益となりました。
 増収の主な要因は、国内養殖量の拡大、サーモン価格の高止まり、海外市場の拡大、円安です。国内養殖量は中間養殖場の増設により前シーズンから68%増加して、当シーズンは2,692トン(2024年4月~7月までの水揚量)となりました。また世界的なサーモン需要の伸びに対して供給量が十分に増えずサーモン価格が高止まりしたことや、アジア市場の拡大により、海外加工事業と海外卸売事業で売上が拡大しました。

 一方で減収となった主な要因は、国内加工事業と海外卸売事業の利益率の低下です。国内加工事業が取り扱う魚卵製品相場に関しては、前連結会計年度の上期まで非常に高い水準にありましたが、前連結会計年度の下期以降魚卵相場が調整局面にあり、販売価格の低下の影響で国内加工事業の利益率が低下しました。また、アジア市場の拡大に伴う成長が続く海外卸売事業においては、成長に対してヒト・モノの資源が不足しがちな状況が続いていましたが、これらに対する投資を集中した結果、海外卸売事業の利益率は低下しました。
 

b. 財政状態に関する分析

棚卸資産の増加と有形固定資産の増加を主要因として総資産額が増加しています。負債純資産側では借入金の増加、資本金・資本剰余金の増加を主要因として負債純資産が増加しています。

・棚卸資産の増加

当社グループではどの事業も拡大基調にあるため、恒常在庫水準が上昇傾向にあります。特に養殖事業においては、国内養殖量の拡大や水揚シーズンが7月まで伸びたことにより仕掛品、製品ともに在庫が増加しました。

・有形固定資産の増加

有形固定資産の増加については養殖設備への増加が主な内容になります。特に国内養殖の規模拡大は当社の成長戦略の最重要課題となっていますので、今後も引き続き、積極的な設備投資を行っていく方針です。

・借入金の増加

 上記の在庫投資と設備投資のために要する資金は主に借入金で賄っており、その結果として負債が増加しています。

・資本金・資本剰余金の増加

 上場時の公募増資に伴い増加しています。

 

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

a. キャッシュ・フローの状況の分析

 営業活動によるキャッシュ・フローは、277百万円の収入(前期は1,141百万円の支出)となりました。

 事業拡大に伴う棚卸資産残高の増減額△1,681百万円や売上債権の増減額△1,005百万円のキャッシュアウトがありましたが、税金等調整前当期純利益を2,932百万円計上したことなどにより、営業キャッシュ・フローはプラスとなっています。

 なお、当社グループは事業の性質上、元々在庫回転期間が比較的長くなる傾向がありますが、そういったなかで事業規模拡大に伴い恒常在庫水準は年々上がっているため、大きなトレンドとして在庫投資に資金を要する傾向が継続しています。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、2,339百万円の支出(前期比212百万円の支出増加)となりました。支出のほとんどは設備投資によるものです。当社グループの成長に向けた主要課題として、国内の中間養殖場のキャパシティ拡大、成長するアジアの日本食需要への対応力強化があります。特に国内中間養殖場の拡大は重要課題であり、当連結会計年度においても今別中間養殖場の増設をはじめ、キャパシティ拡大のための投資を行いました。また、建設期間や養殖期間を考慮すると相当程度前もって投資を行う必要があります。国内養殖量は2024年シーズンの水揚量は2,692トンですが、1年後には3,500トン、その後も堅調な増加を計画しており、中期計画に沿った養殖量を達成するために必要な設備を順次計画的に建設しています。

 以上のように在庫投資や設備投資に多くの資金を投入していますが、その資金は自己資金及び外部借入で調達しています。その結果、財務活動によるキャッシュ・フローは4,727百万円の収入となっています。金融機関とは良好な関係を維持しており、現状において資金調達環境に特段の懸念はありません。

  また、現金及び現金同等物の期末残高は、翌月以降の資金繰り見込みを踏まえて期末時点の必要水準を確保した残高となるよう、借入金返済とのバランスを考慮しております。

 株主還元については経営における重要課題の一つと考えており、連結株主資本配当率(DOE)に基づく安定配当を行う方針です。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性に関する情報

当社グループの資本の財源は、自己資金及び金融機関からの借入であります。借入に関しましては、運転資金は主に短期借入金で、設備資金は主に長期借入金で調達しております。運転資金需要のうち主なものは、養殖事業における飼料代金、国内加工事業及び海外加工事業における原料仕入代金、海外卸売事業における商品仕入代金であります。設備資金需要のうち主なものは、養殖施設(冷凍設備や船等含む)や、国内加工工場(裁断機や浄化設備等)の設備投資代金であります。

 当社グループでは、事業活動を円滑に行うため、金融機関との当座貸越契約等を利用し、実需に応じた資金調達を実施し、流動性を確保しております。当面の資金繰りのための資金は十分に確保していると判断しております。

 

 ③  重要な会計上の見積及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたって、棚卸資産の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性等の資産、負債、収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらは、過去の実績や将来の事業計画等に基づき合理的に算出しておりますが、見積りの不確実性から実際の結果と異なる可能性があります。

また、海外子会社における生物資産評価については、生物資産を公正価値で測定し、取得価額との差額を損益(売上原価の繰入または戻入)として認識しており、その測定には生物資産の正味売却価額や生存率等を見積もる必要があることから、市場の動向等により結果が大きく変動する可能性があります。当該海外子会社における生物資産評価については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1 報告セグメントの概要

当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的な検討を行う対象となっているものであります。

当社グループは、「海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続ける」ことをMissionとし、サーモン養殖事業、加工事業(国内加工、海外加工)、海外卸売事業を主な事業としております。これにより、「養殖事業」「国内加工事業」「海外加工事業」「海外卸売事業」の4つを報告セグメントとしております。

各事業の内容は下記のとおりであります。

「養殖事業」…青森及びデンマークにおけるサーモンの養殖と成魚販売

「国内加工事業」…筋子、いくら等の魚卵製品の国内工場における加工販売

「海外加工事業」…サーモン、さば等の魚介類の海外工場における加工販売

「海外卸売事業」…魚介類を含む日本食品の海外での卸売

 

2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と同一であります。

報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。

 

3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報

前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注1)

連結財務諸表計上額

(注2)

養殖

事業

国内加工

事業

海外加工

事業

海外卸売

事業

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 外部顧客への売上高

4,166

8,122

9,582

7,068

28,939

28,939

 セグメント間の内部
 売上高又は振替高

1,514

593

3,040

5,148

△5,148

5,680

8,715

12,623

7,068

34,088

△5,148

28,939

セグメント利益

813

1,462

1,085

518

3,879

△692

3,187

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 減価償却費

568

148

11

114

843

12

857

のれんの償却額

41

41

減損損失

1

75

76

76

 

 (注) 1.セグメント利益の調整額はセグメント間取引消去が△34百万円、各報告セグメントに配分していない全社費用△657百万円が含まれております。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

3.セグメント資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象となっていないため、記載しておりません。

 

 

当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注1)

連結財務諸表計上額

(注2)

養殖

事業

国内加工

事業

海外加工

事業

海外卸売

事業

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 外部顧客への売上高

5,095

7,614

11,086

8,869

32,665

32,665

 セグメント間の内部
 売上高又は振替高

1,655

665

4,169

6,489

△6,489

6,750

8,279

15,255

8,869

39,155

△6,489

32,665

セグメント利益

772

1,089

1,064

254

3,181

△632

2,548

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 減価償却費

764

172

8

233

1,179

13

1,193

 

 (注) 1.セグメント利益の調整額はセグメント間取引消去が131百万円、各報告セグメントに配分していない全社費用△763百万円が含まれております。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

3.セグメント資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象となっていないため、記載しておりません。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)

1 製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2 地域ごとの情報

(1) 売上高

 

 

 

 

(単位:百万円)

日本

アジア

その他

合計

シンガポール

その他アジア

18,572

3,275

4,156

2,934

28,939

 

(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

(2) 有形固定資産

 

 

 

(単位:百万円)

日本

デンマーク

その他

合計

3,360

2,984

703

7,049

 

 

3 主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

 

 

当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)

1 製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2 地域ごとの情報

(1) 売上高

 

 

 

 

(単位:百万円)

日本

アジア

その他

合計

シンガポール

その他アジア

19,753

3,587

5,845

3,478

32,665

 

(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

(2) 有形固定資産

 

 

 

(単位:百万円)

日本

デンマーク

その他

合計

4,304

3,562

1,344

9,211

 

 

3 主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)

該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)

該当事項はありません。