リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループはこれらのリスクの発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限努めてまいりますが、本記載項目が当社グループの事業または本株式の投資に関するリスクの全てを網羅するものではありませんので、留意願います。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 不動産分譲事業について
① 不動産市況について
当社グループの不動産分譲事業は、景気動向、金利動向、地価動向及び物価動向の変動、住宅税制や消費税等の税制変更等の影響を受けやすい傾向があります。
当社グループは、居住用の住宅分譲を主としており、付加価値のある永住型マンションを提供していること、お客様の多様なニーズを的確に捉え、ニーズに即した商品開発に取り組んでいること、及びストック収益である賃貸事業により収益の安定を図っていること等から、不動産市況変動への耐性を強化しておりますが、経済情勢の変化により、お客様の購入意欲を減退させる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社グループは、主に札幌市を事業エリアとして、分譲マンション事業等を行っておりますが、大手不動産会社、大手ハウスメーカーから地元ハウスメーカーに至るまで様々な競合他社が多数存在しており、厳しい競争環境にあります。
当社グループでは、非接触をキーワードにしたハンズフリー認証採用のセキュリティシステム、外出先からスマートフォンで住宅機器をリモートコントロールするスマートモバイルセキュリティ搭載のITスマートマンション等の開発、また、人や環境に優しいエコロジー仕様、省エネ設計、環境負荷削減と環境品質、性能の向上等環境への影響に配慮した次世代マンション開発に取り組みながら、「炭パワークリーンシステム」に関する特許権の他、意匠権及び商標権等の知的財産権の取得を進めて、マンションブランド「グランファーレ」、RC3階建て戸建住宅ブランド「エステティカ」及び木造3階建て戸建住宅ブランド「ラ・レジーナ」の各ブランド力及び品質を高めるとともに、お客様のニーズに沿った取り組みを積極的に行う等競合対策を講じておりますが、競合他社の動向によっては、事業計画の遂行に問題が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業用地の仕入について
当社グループの主力事業である不動産分譲事業においては、マンション用地及び戸建住宅用地仕入の成否が売上高及び収益に大きな影響を及ぼします。仕入れ価格の高騰や用地取得の同業他社との競争激化等から、計画通りに用地仕入ができなかった場合、又は用地取得時期に遅れが生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 在庫リスクについて
当社グループは、中期的な需給見通し、事業用地の選別仕入、商品差別化の取り組みによる早期完売により、在庫リスクの低減を図っておりますが、景気動向・金利動向・地価動向・原材料及びエネルギー価格動向・不動産市況の悪化や同業他社との競合激化、お客様の購入意欲の減退等により販売が長期化する可能性があります。かかる状況となった場合、当初想定していた販売価格の下落や棚卸資産の評価損の発生等から、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 土地仕入時において予想できないリスクについて
当社グループでは、事業用地の仕入に際して、地質及び地盤調査等さまざまな調査を行い、事業用地の仕入の意思決定を行っておりますが、事業用地の仕入時には予期しない土壌汚染問題や地中障害物等が発見された場合には、プロジェクトの工程に遅れをきたすと同時に、追加費用等が発生する場合があります。
当社グループの開発物件におきまして、これまで事業収支に大きく影響を与える土壌汚染問題や地中障害物等が発生した事例はありませんが、今後、当社グループの予想を超える事態が発生し対策が求められた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 建設工事の外注について
当社グループの不動産分譲事業における、マンション建設及び戸建住宅建設については、建設工事を外注しており、建設会社の選定に当たり、施工能力、施工実績、財務内容等を総合的に勘案した上で決定しております。しかしながら、建設業界の環境の変化等により外注先を適時適切に確保できない場合、労務費及び原材料等価格高騰により建築コストが上昇した場合、職人不足等により工期が遅延した場合、外注先の倒産や請負契約の不履行等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループのマンション及び戸建住宅の品質管理については、当社グループの一級建築士が随時、建設会社との会議に出席して進捗確認を行うとともに厳格な施工監理を行っておりますが、建設会社が経営不振に陥った場合や物件の品質に問題が発生した場合には計画に支障をきたす可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 近隣住民の反対運動について
当社グループは、マンションの建設に当たり、関係する法律、自治体の条例等を遵守し、周辺環境との調和を重視した開発計画を立案するとともに、周辺住民に対しては、事前に十分な対策を講じております。
しかしながら、今後、事業開発計画地域にて電波障害、日照・眺望問題等による近隣住民の反対運動の可能性は否定できません。その問題解決に時間を要する場合、又は計画変更を余儀なくされる場合、訴訟となった場合には、工事遅延や追加工事費用及び訴訟費用等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 有利子負債への依存について
当社グループでは、プロジェクト毎の用地の取得資金及び建設資金の一部を主に金融機関からの借入金により調達しており、有利子負債の依存度が高い水準にあります。今後においても、事業拡大に伴い有利子負債の依存度が高い水準で推移することが想定され、資金調達に支障が生じた場合や、金利が上昇した場合、プロジェクトに予期せぬ変更が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(単位:千円)
(注) 有利子負債残高は、短期及び長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)、リース債務(短期及び長期)の合計額であります。
⑨ 業績の季節変動について
当社グループの不動産分譲事業の売上計上基準は、購入者へ物件を引渡した時点で売り上げを計上する引渡基準を採用しております。そのため、四半期毎の業績については引渡し時期により売上高や利益が変動するため、四半期毎の業績が大きく変動する可能性があります。
また、不測の事態の発生等により建築工事が遅延し、住宅の引渡し時期が遅延した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度における四半期ごとの売上高及び売上高比率は、第3四半期及び第4四半期に新築分譲マンションの引渡しがあったため、以下のとおりとなっております。
(単位:千円)
⑩ 建物の基本構造部分の契約不適合責任について
当社グループは、国の定める第三者評価機関による「設計住宅性能評価書」及び「建設住宅性能評価書」を全物件で取得し、品質及び安全の確保に努めております。
主要事業である不動産分譲事業は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、新築住宅の構造耐力上主要な部分及び雨水の侵入を防止する部分について10年間の契約不適合責任を負っております。また、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」に基づき、住宅の品質確保措置のために建物の契約不適合を担保すべき責任の履行に関する保証保険契約等の措置を講じており、保険金の支払によって契約不適合部分の補修工事等に必要な資力を確保しております。しかしながら、何らかの事情により当社グループの品質管理に不備が発生し、保険で担保することのできない補修等が生じた場合には補修工事等の負担が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 不動産賃貸事業について
① 固定資産の減損について
当社グループの不動産賃貸事業では、減損会計の対象となる固定資産を保有しております。不動産賃貸事業の収益性が大幅に低下し、その事業に関連する固定資産の投資額の回収が見込めなくなった場合には、帳簿価額を回収可能額まで減損処理を行う必要があります。
当該減損処理が必要となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② サービス付き高齢者向け住宅の運営について
当社グループの不動産賃貸事業は、一般賃貸住宅とサービス付き高齢者向け住宅がありますが、サービス付き高齢者向け住宅は、入居者が高齢者であることから、転倒事故の発生や不測の事態による容態の急変等発生の危険性が高いものと考えられます。そのため、生命に関わる重大な問題(事故、食中毒、集団感染等)が生じる可能性があります。
これらの重大な問題の発生により、当社の信用力の低下、並びに当社に対しての損害賠償請求、訴訟の提起、又は風評被害等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 入居率低下リスクについて
賃貸不動産に対するニーズは、不動産分譲事業に比べ、景気の変動に影響を受けにくく、当社の収益の安定を図っております。当社では、賃貸不動産において、安定した入居者の確保に努めておりますが、同業他社との競争により入居費用等の相場が大きく下落した場合、各種サービスの低下により入居者の退居が増加した場合、信用の失墜等による場合、また、今後、何らかの諸事情により賃貸不動産の稼働率が大きく低下した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 不動産関連事業について
① マンション管理組合から委託を受けて管理する財産について
当社グループが、マンション管理組合から委託を受けて管理する財産については、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」等による法的規制を受けております。財産管理等の受託業務は法令に基づき適正に実施し、万全な検査、点検を行っておりますが、財産管理において適正を欠き損害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 共用施設の管理について
当社グループが建物の管理の委託を受けているマンションは、浴場施設、フィットネスジム、シアタースタジオ&通信カラオケルーム、屋上庭園等、多様な共用施設があり、万全な検査、点検が求められております。当社グループでは人員を適切に配置し、研修・巡回指導等による人材育成、マニュアルによる業務手順の統一及び安全管理等を徹底しておりますが、施設管理面で適正な安全確保を欠いて事故等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 当社グループ全体について
① 開発・販売地域について
当社グループは、札幌市及び首都圏を事業エリアとしております。当該地域で重大な災害が生じた場合や、経済状況、雇用状況、地価等の動向で市況に変化が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制について
当社グループが属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」、「建築士法」、「建設業法」、「建築基準法」、「国土利用計画法」、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」等、建築や不動産取引に関わる多数の法令及び自治体で定められている建築に関する条例等の法的規制を受けております。また、グランコミュニティ株式会社におきましては、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」等による法的規制を受けております。当社グループは法令遵守を事業の根幹に据え、関連する社内規程の整備、社内研修の実施、内部監査部門や監査役による法令遵守の確認等、積極的にコンプライアンス活動に取り組んでおります。しかしながら、これらの法令・規制等が改廃された場合や新たな法的規制が設けられた場合、有資格者や業種経験者等を適正に配置できない場合、又は何らかの事情により許認可の取消、又は更新が認められない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報の管理について
当社グループは、各事業を通して取得した個人情報を多数保有しております。これらの個人情報については、「個人情報の保護に関する法律」等により規制を受けていることから、個人情報保護規程及び特定個人情報取扱規程の社内規程を制定し、規程に基づいて厳正な取扱い及び管理を行っております。しかしながら、万一、外部漏洩等の事態が発生した場合には、損害賠償請求の発生や社会的信用に毀損が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟等の可能性について
当社グループでは、コンプライアンス体制を整備し、コンプライアンス規程を制定して、役職員に対して法令遵守を徹底させることで法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、顧客や取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や企業ブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定人物への依存について
当社グループの代表取締役である平野雅博は、最高経営責任者として経営方針や経営戦略の決定等、事業活動上の重要な役割を果たしております。当社グループにおいては、同氏に過度に依存することがないよう、合議制や権限委譲の推進を図っておりますが、今後、同氏が何らかの理由により経営者として業務を遂行できなくなった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 人材の育成について
当社グループは小規模組織であり、経営目標を達成し永続的に成長するためには、人材の育成が重要な課題であると認識しております。当社グループでは、今後、永続的な会社の成長のために、研修制度を更に充実させ若手・中堅・管理職層の強化を図り、一人ひとりのスキルの向上を促し、生産性を向上させて、事業競争力を高めていくための人材の育成に取り組んでまいりますが、人材の育成・後継者の育成ができなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、利益還元を重要な課題と考えておりますが、将来の事業拡大に備え、内部留保による経営基盤・財務体質の強化を図りながら、可能な限り株主の皆様に還元していくことを利益配分に関する基本方針と考えております。
当社は、期末配当による年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としておりますが、中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。
以上を踏まえ、当期の期末配当金は、前述の基本方針及び当期の業績並びに今後の経営環境を勘案し、1株につき13円00銭とさせていただきました。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。