2024年8月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,755名(単体) 11,588名(連結)
  • 平均年齢
    37.1歳(単体)
  • 平均勤続年数
    12.8年(単体)
  • 平均年収
    5,162,295円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年8月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

物品販売事業

11,452

(7,827)

BSデジタル放送事業

104

(   16)

その他の事業

32

(   14)

合計

11,588

(7,857)

(注) 1. 従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。

2. 臨時雇用者数(アルバイト、派遣社員を含む)は、最近1年間の平均人員(1日1人8時間換算)を( )外数で記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

当社は、単一セグメントであるため、部門別の従業員数を示すと次のとおりであります。

 

2024年8月31日現在

部門の名称

従業員数(人)

営業部門

4,420

(1,679)

管理部門

335

(   79)

合計

4,755

(1,758)

 

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

4,755

(1,758)

37.1

12.8

5,162,295

(注) 1. 従業員数は、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む就業人員数であります。

2. 臨時雇用者数(アルバイト、派遣社員を含む)は、最近1年間の平均人員(1日1人8時間換算)を( )外数で記載しております。

3. 管理部門は、総務部門、経理部門及び物流部門等に所属している従業員であります。

4. 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は、提出会社の他、連結子会社のうち、株式会社コジマ、株式会社ソフマップの2社に各々の労働組合があり、各組合は上部団体のUAゼンセンに加盟しております。

なお、労使関係は良好に推移しており、特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

9.2

67.1

68.1

84.0

98.3

(注) 1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率

  (%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

株式会社ソフマップ

3.8

100.0

81.5

82.4

89.4

株式会社ビックロジサービス

16.7

100.0

64.2

86.8

90.8

株式会社ラネット

14.6

95.2

83.9

85.1

88.7

株式会社じゃんぱら

2.5

100.0

72.3

80.9

88.0

株式会社TDモバイル

72.7

69.5

70.1

74.1

日本BS放送株式会社

22.4

株式会社コジマ

6.5

66.6

50.3

83.0

85.8

(注) 1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

持続可能な社会の実現に向けた当社グループの取り組み

 当社グループは、「“お客様喜ばせ業”をつなぎ、期待を超える」と定めた当社のパーパスを中核に据え、お客様をはじめとして、お取引先様、株主・投資家、地域社会、そして従業員を含めたすべてのステークホルダーの皆様に喜んでいただくことを追及し、新たな価値の創出に努めています。このパーパスをはじめとした企業理念に基づき、変化する生活様式や多様なニーズに寄り添いながら、ステークホルダーの皆様の期待を超えることが、私たちの事業活動の原点です。

 これらの事業活動を通じ、持続可能な社会の実現に向けて、ステークホルダーの皆様と共に成長・発展を目指し、社会的責任を果たすことを最優先課題としています。

 私たちは、その事業活動を支え、持続可能な社会を実現するための中心的な役割を担う資本が「人財」であると強く認識しています。人財こそが企業の成長を牽引し、社会的責任を果たすための原動力です。そのため、当社グループでは、従業員一人ひとりが自らの能力を最大限に発揮できる環境を整えることに注力しています。

 そして、限りある地球環境や資源を有効に活用し、未来へつなぐ循環型社会の構築を推進するとともに、グループ全体で環境負荷の低減に取り組んでいます。

 また、ステークホルダーの皆様との対話を通じて、持続可能な成長のための重点課題を特定し、これらの課題に対して本業を通じた解決に取り組むことで、社会に対する責任を果たしてまいります。

 これらのサステナビリティの取り組みを通じて、中長期のリスクを軽減し機会を積極的に活用することが、事業活動のレジリエンス及び持続可能性を高め、お客様をはじめとしたすべてのステークホルダーの皆様に必要とされる存在として、当社グループの社会的・経済的価値の向上につながると考えています。

 以降、(1)サステナビリティ共通、(2)気候変動、(3)人財について、それぞれ①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標及び目標の4項目を記載します。

 

(1)サステナビリティ共通

① ガバナンス

 当社は、社会課題の解決に貢献し、社会と当社グループの持続的発展を目指すため、事業活動を通じたサステナビリティ活動の推進・管理を目的として、毎月1回開催する代表取締役社長を委員長としたサステナビリティ推進委員会をサステナビリティ推進委員会規程に基づき設置しています。本委員会は、代表取締役社長、サステナビリティ担当役員、執行役員全員及び常勤監査等委員にて構成され、取締役会の実効的な監督の下に設置されており、サステナビリティ経営を推進するための重要事項を審議し、その審議の内容を取締役会に対して報告しています。

 また、サステナビリティ推進委員会のもと、各部署と連携しながら具体的な取り組みを推進しています。環境面では、気候変動への対応、社会面では、人的資本経営、健康経営、人権の尊重に重点を置いて活動しています。今後は環境、社会それぞれの分野に分科会を設置し、プラスチック削減や自然環境、生物多様性の保全に向けた施策の検討、及び更なる人財に関する取り組み強化に注力していきます。これにより、当社グループは持続可能な成長と社会的責任の両立を図り、ステークホルダーの皆様の信頼に応えるべく全社一丸となって取り組んでいます。

 

② 戦略

 当社グループは社会課題解決と企業価値向上の両立を経営の根幹に据えて、サステナビリティの推進に積極的に取り組んでいます。事業と関係する社会課題や社会要請が多様化する中、特に重視すべき課題に集中して適切に対応するために、当社グループの事業領域と特に親和性の高い重点課題を特定し、課題解決に向けて取り組みを進めております。これらにより、本業を通じての社会課題及び重点課題を起点とした新たなビジネスモデルの創出に取組んでいます。

 当社グループの事業を通じた社会課題の解決に資する戦略については、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略」をご参照ください。

 

③ リスク管理

 当社グループは、コーポレートガバナンスに係る各種委員会の一つとして、リスク管理委員会を設置しています。グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、内部統制部門管掌役員を委員長として代表取締役社長の出席の下開催されるリスク管理委員会で、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止を図っております。リスク管理委員会は四半期に一度開催され、当社グループの事業活動におけるリスク管理を推進するプロセスとして、リスクの特定、評価、分類、対策・モニタリングを実施し、その管理状況は取締役会に報告されます。本リスク管理体制の中に、サステナビリティに関するリスクも含まれています。

 また、特定したリスク・機会は、各社・各部門の業務に落とし込み、具体的な施策を検討・実行していきます。

 サステナビリティ関連の管理体制におけるそれぞれの役割は以下のとおりです。

サステナビリティに関連する会議体とその役割

会議体又は部門

役割

取締役会

業務執行において承認された経営課題・サステナビリティ関連課題に関する取組みの進捗を監督する。

・議長:代表取締役社長 ・開催頻度:毎月

執行役員会

経営課題・サステナビリティ関連課題に対する具体的な取組み施策を含む全社的な経営に係る施策について審議する。決議事項は取締役会へ報告される。

・議長:代表取締役社長 ・開催頻度:毎月

サステナビリティ推進委員会

サステナビリティ関連課題の解決策を検討し、KPI・施策立案等を定め、推進する。審議項目は取締役会へ報告される。

・委員長:代表取締役社長 ・構成員:執行役員全員及び常勤監査等委員

・開催頻度:毎月

リスク管理委員会

経営にまつわる全てのリスクについて、進捗をモニタリングし、その結果は取締役会へ報告される。

・委員長:内部統制部門管掌役員 ・開催頻度:四半期

サステナビリティ推進室

経営課題・全社的なサステナビリティ関連課題について対応する。

サステナビリティ推進委員会の事務局を担当する。

グループ内部統制統括部

各部門から報告されるリスクについて管理する(改善策、再発防止策の検討含む)。リスク管理委員会の事務局を担当する。

※ 上記の管理体制は、連結グループに属する全ての会社ではなく、提出会社と一部の連結子会社を含むものです。

 

④ 指標及び目標

 当社グループは、持続可能な社会と企業の実現に向けて、サステナビリティに関する取り組みを中期経営計画の重点戦略と位置づけています。主に環境、社会の分野において具体的な指標及び目標を設定し、これらをグループ全体で推進することで、企業価値の向上と社会的責任の両立を目指しています。気候変動対策や人財戦略の推進等、多岐にわたるサステナビリティ課題に対して、持続的かつ実効性のある取り組みを行い、その進捗を定期的にモニタリングしています。

 当社グループの事業を通じた社会課題の解決に資する活動目標については、後述する「(2)気候変動 ④ 指標及び目標」及び「(3)人財 ④ 指標及び目標」をご参照ください。

 

(2)気候変動

 当社グループは、脱炭素社会構築に貢献することは企業の重要な役割のひとつであり、気候変動への対応は重要な経営課題のひとつと認識しています。当社は2021年12月に「気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。TCFDに基づく情報開示の拡充に取り組むとともに、気候関連リスク及び機会を分析・評価し、経営戦略に反映させることにより持続可能な事業を展開してまいります。

 

① ガバナンス

 気候変動におけるガバナンスは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ① ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

イ TCFD提言に基づいたシナリオ分析

 当社グループは地球温暖化を主因とする自然災害の深刻化をはじめとした気候変動緩和に向けた取り組みを重要な経営課題として位置づけ、気候関連課題への対応の議論・監督を行っております。気候変動が当社グループの事業に及ぼす影響(リスク及び機会)を明らかにするため、シナリオ分析を実施いたしました。シナリオ分析の範囲は、当社グループすべての事業を対象に、短期・中期・長期の3つの期間で、(ⅰ)「IEA 2DS(2℃シナリオ)」(ⅱ)「IPCC RCP 8.5(4℃シナリオ)」の2つのシナリオをもとに分析、評価を行いました。

気候シナリオ分析の前提条件

対象事業

当社グループのすべての事業

期間

短期:2023年~2025年、中期:2026年~2030年、長期:2031年~2050年

参照したシナリオ

(ⅰ) IEA 2DS(2℃シナリオ)、(ⅱ) IPCC RCP 8.5(4℃シナリオ)

 

(ⅰ) IEA 2DS(2℃シナリオ)

 国際エネルギー機関(IEA)の「Energy Technology Perspective」で示されている、2100年までの世界平均気温の上昇が少なくとも50%の確率で2℃に抑えられるシナリオである「2℃シナリオ(2DS)」を用いて、低炭素社会への移行リスクを分析しました。本シナリオでは、エネルギー部門のCO2排出量が2060年に現状の70%削減となり、2100年にはカーボンニュートラルになる他、2060年の1次エネルギー消費における化石燃料への依存度は、35%に下がります。また多くの石炭火力が耐用年数を迎える前に閉鎖され、残った石炭火力はCCSを実施する設備となります。本シナリオの予測を元に、低炭素社会への移行に伴うリスクと機会、及び当社への具体的な影響を分析しました。

 

(ⅱ) IPCC RCP 8.5(4℃シナリオ)

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「代表濃度経路(Representative Concentration Pathways)シナリオ」のうち、21世紀末の世界平均気温の上昇が最大で4.8℃になる、「RCP8.5」を用いて、気候変動による物理的な影響を分析しました。本シナリオは、世界が化石燃料依存型のまま気候変動に対する政策や対策が行われず温室効果ガスが大量に排出されるシナリオです。地域や季節により降水量の差が激しくなり、海水面は最大0.82m上昇します。また、極端な高温や大雨、干ばつ等が起こる可能性が高まります。本シナリオの予測を元に、気候変動による物理的な影響に焦点を当て、当社の事業及び財務に及ぼす可能性について分析しました。

 

ロ シナリオ分析結果

 2つのシナリオで分析を行った結果、どちらのシナリオにおいても「移行リスク」である炭素税や排出量取引制度等が導入され、GHGの排出に対するコストが増加する他、排出量報告義務の強化や家電製品に対する省エネ基準の強化や消費者の気候変動意識の向上と購買行動の変化等の影響が生じることが明らかになりました。また、「物理的リスク」である大型台風や集中豪雨等、極端な気象事象が増加し、店舗や物流網の被害が増え、猛暑や平均気温の上昇等、当社の店舗運営と商品販売に影響を及ぼすことが分析の結果明らかになりました。

 IEA 2DS(2℃シナリオ)においては、脱炭素や排出量取引制度の導入・強化によるコストの増加が見込まれる一方で、サステナビリティ経営への対応遅れによるブランド価値の低下の懸念が増大する他、省エネ家電のニーズの高まりによる売上げ増加が見込まれることが予想されます。サステナビリティ経営を重要課題とし企業価値の向上に努めるとともに、省エネ家電のニーズに対応していくことで消費者からの信頼を得ていくことは、非常に重要な取り組みであると認識しております。

 IPCC RCP 8.5(4℃シナリオ)においては、炭素税や排出量取引制度の導入・強化によるコストの影響は微量なものの、気温上昇による自然災害の増加により店舗や物流拠点等の被害による損益、省エネ家電のニーズの高まりに対応できない場合の消費者からの信頼失墜が懸念されます。

 

予想されるリスク及び機会

リスク

移行リスク

(主に2℃シナリオ)

技術

低CO2排出製品への転換遅れによる売上減少

政策・法規制

炭素税や排出量取引制度の導入・強化によるコストの増加

政策・法規制

家電製品に対して省エネルギー基準の強化による商品価格の上昇

市場

低炭素を求める消費者意識や行動の変化に対応できないことによる売上低下

評判

サステナビリティ経営への対応遅れによる企業ブランド価値の低下

物理リスク

(主に4℃シナリオ)

急性

大型台風等異常気象の増加による店舗の被害や休業

慢性

平均気温の上昇により、店舗、物流拠点、子会社の工場等の冷房コストの増加

機会

製品・サービス

電力消費量が少ない家電製品に対する消費者ニーズの高まりによる売上増加

運用

CO2削減のために空調設備の運用改善や照明器具の高効率化による収益改善

 

③ リスク管理

 気候変動におけるリスク管理は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ③ リスク管理」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 当社グループは、気候変動に関するリスクや機会を管理する指標として、Scope1・2・3の温室効果ガス排出量を定め、削減目標を設定して取り組んでいます。

 2030年までに、当社グループの事業活動から排出される温室効果ガス排出量(Scope1・2)について、当初の目標を引き上げ、2014年比で62%削減することを目指していきます。また、2050年までに温室効果ガス排出量をカーボンニュートラルとすることを目標に、引き続き取り組んでいきます。

温室効果ガス排出量実績

(単位:t-CO2)

 

 

2014年8月期

2022年8月期

2023年8月期

2024年8月期

2014年対比

(削減率)※2

Scope1

6,609

4,872

3,994

3,663

△44.6%

Scope2

135,766

79,460

66,628

70,618

△48.0%

Scope3 ※1

6,096,848

5,683,816

5,507,598

△9.7%

※1 Scope3の情報開示(カテゴリ1,2,3,4,5,6,7,11,12,13)

※2 Scope3の削減率は2022年対比

 

※気候変動への対応の詳細については、当社ホームページ内「サステナビリティ 環境」を以下のURLからご参照ください。https://www.biccamera.co.jp/sustainability/enviroment/

 

(3)人財

① ガバナンス

 人財におけるガバナンスは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ① ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

 当社グループは、「人財」こそが企業価値を高める源であり、最も重要な資本と位置づけています。そのため、グループ全体で従業員の心身の健康を支え、熱意や活力を持って働ける環境を整える「健康経営」や、従業員一人ひとりの能力を最大限に伸ばす「人的資本経営」に注力しています。主要物販3社(株式会社ビックカメラ、株式会社コジマ、株式会社ソフマップ)のグループ会社では、それぞれの目標を掲げ、この健康経営や人的資本経営を推進しています。各社の取り組みの実効性は、グループ共通で実施する従業員アンケートやウェルネスサーベイを通じて毎年モニタリングし、互いに切磋琢磨しながら検証を進めています。

 当社においては、「“お客様喜ばせ業”をつなぎ、期待を超える」という企業理念のもと、人財戦略を推進しています。この企業理念は、将来社会環境がどれだけ大きく変化したとしても、ゆらぐことのない理念であり、この理念を企業活動の基礎としながら、絶えず変化する社会やお客様ニーズを小売業として発展するための創造の機会ととらえ、「簡素効率・変化対応」を私たちの価値観として、時代の変化に対応したサービスの創出に邁進しています。

 この新たな価値創出の主体となるのが「人財」です。一人ひとりのお客様を大切に最高の満足と喜びを感じていただけるよう笑顔と真心を込めて接すること、そして、より豊かな生活を提案する、進化し続ける“こだわり”の専門店の集合体を追及することで、常にお客様にとっての新たな価値創出に挑み続け、社会と共に発展することを使命とした人財育成に取り組んでいます。

 そのため、一人ひとりの従業員が最大限の能力を発揮できる環境づくりを推進します。多様な従業員の個と主体性を尊重し、すべての従業員が「働きがい」と「働きやすさ」を感じられる職場と企業風土を醸成し、個々の成長が企業成長の源泉となるための環境を整えます。

 また、健康経営を重要な柱とし、従業員が心身ともに健やかに働ける環境を整備することにより、企業全体の生産性向上と持続可能な成長を支えています。従業員一人ひとりの健康を守り、安心して働ける職場を提供することで、企業としての競争力を高めると同時に、社会的責任を果たしていく考えです。

 さらに、当社は「人権の尊重」を基本原則とし、すべての従業員や取引先をはじめとするステークホルダーの皆様の権利を保護し、公正で透明性のある企業活動を行うことに努めています。

 これらの人財戦略を通じて、時代の変化や社会環境の進化に柔軟に対応し、当社グループ全体として社会と共に発展し続けることを目指していきます。

 

イ 人的資本経営

 当社の人的資本経営は、「人を大切にし、人を成長の原動力とする」というスローガンのもと、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮させることを目指しています。これは、経営戦略で掲げる「顧客基盤の拡充」と「経営基盤の強化」を推進するためには、「人財」の育成が重要な課題であると認識しているためです。

 当社が考える人財育成の基本は、内発的動機付け、つまり「ハートに火をつける活動」に重きを置くことです。従業員一人ひとりが最大限の能力を発揮するためには、企業理念にある"お客様喜ばせ業"としての使命感や志からくる熱意が不可欠であると考えています。この内面から湧き上がる熱意こそが主体性を生み出し、従業員が自ら提供価値を高めていく原動力となります。

 当社では、この使命感や志からくる熱意を大切にし、従業員が主体的に行動することで、ビックカメラの事業を他に真似のできない唯一無二のものにすることを目指しています。このように、当社における人財育成の目的は、"お客様喜ばせ業"としての使命感を持ち、企業理念を体現する人財を育成することにあります。そのため、当社は「人財基本方針」を定め、この方針に基づいた取り組みを行っています。

 また、従業員の「ハートに火をつけ」、求める人財を育成するためには、以下の3つの要素に基づいた社内環境の整備が不可欠です。これら3要素をすべて満たすことが、従業員が持続的に熱意を持ち続けられる環境を形成すると考えています。各要素に対して具体的な指標及び目標を設定し、社内環境の整備をこの指標及び目標の達成に向けた施策と位置づけ、実行していきます。

 

a. 人財基本方針

1.企業理念に共感し体現する人財を育てる

従業員の主体的活動は、企業理念を前提としたものとし、全ての判断基準は企業理念によるものとする

2.個の提供価値に着目した能力開発を行う

従業員の多様な能力に着目し、一人ひとりの専門性や強み、人間力の最大化を図る

3.OJT教育をベースとして、各現場において成長の機会提供を行う

教育研修ではなく日々の実体験によって学ぶことに主眼を置き、現場でのPDCAにて能力開発を促す

4.上司が従業員の主体性を尊び、「対話」をしながら伴走する

従業員自ら考え行動することを目的とし、上司は指示をするのではなく見守り支援する

5.ハートに火をつけることで自走する人財を育てる

自ら学びたいという意欲や熱意を持つための働きかけを行うことに重点を置く

 

b. 社内環境整備方針

 

3要素

内容

方針

(1)

従業員が仕事に誇りと情熱を持つ

ハートに火がつく前提となる要素。『お客様喜ばせ業』として相手の幸せが自分の喜びとして捉え、自己の存在意義実感へ繋げる

1:企業理念への共感

(2)

従業員が働きがいを感じる

従業員自ら考え行動したことがどう貢献できたかの実感や、その多様な能力に着目した能力開発を行うことで得られる成長実感によってハートに火がつくものと考える

2:個人への権限委譲

3:マネジメントスタイルの変更

4:多様な能力に着目した制度設計

(3)

従業員が働きやすい環境であることを実感できる

ハートに火がついた状態が一過性でなく継続するための基盤を整えるもの

主に心身の充実や柔軟な働き方を可能にするための制度設計や風土づくりを行う

5:お客様にとことん向き合うための基盤づくり

※ 人的資本経営の具体的な取り組みは、「統合報告書2023」にて2023年8月期の取り組み状況を公表している他、2024年8月期の取り組みについては「統合報告書2024」(2025年春頃)に当社ホームページにて公表する予定です。https://www.biccamera.co.jp/ir/csr/csr_integrated_reporting.html

 

ロ 健康経営

 当社グループは、従業員及び従業員のご家族の心身の健康がその基盤だと考え、従業員が個々の能力を発揮しながらいきいきと働き続けられる会社づくりを目指します。

※ 健康経営の方針ならびに戦略マップ、推進体制等については、物販主要3社のホームページを以下のURLからご参照ください。

㈱ビックカメラ https://www.biccamera.co.jp/csr/health.html

㈱ソフマップ https://www.sofmap.co.jp/about/healthmanagement

㈱コジマ https://kojima-saiyou.net/health/

 

ハ 人権尊重の取り組み

a. 方針

 当社グループにおける事業活動の前提が、当社グループの事業に関わるすべての人の人権の尊重です。人権に関する国際規範や関係法令を遵守するとともに、その精神に従い、事業に関するすべての人の人権を尊重するため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」にもとづき、「ビックカメラ人権方針」を定めています。本方針は、当社役員及び従業員に適用し、事業に関連する全てのビジネスパートナーに対しても理解と実践への協力を求めています。

 本方針に伴う重要な課題は以下のとおりです。

重要課題

1.一切の差別を行わないこと

2.安全で健康的な労働環境の整備

3.公正な労働条件の確保

4.結社の自由

5.建設的な労使対話

6.児童労働・強制労働やその他の非人道的な扱いの禁止

7.プライバシーの保護

※ 人権方針については、当社ホームページ内「サステナビリティ 人権方針」を以下のURLからご参照ください。https://www.biccamera.co.jp/sustainability/humanrights/

 

b. 人権デュー・デリジェンス

 人権に対する負の影響を特定・評価し、これの防止及び軽減に継続的に取り組むべく、人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築しています。特定された負の影響に対して、それぞれ現状実行している予防策の検証及びその結果をまとめ、更なる対策を講じる必要があるかを検討します。ここで整理された負の影響に対する予防策については、リスク管理委員会にて定期的に点検し、課題が浮き彫りになったものはサステナビリティ推進委員会にて審議の上、取締役会に報告する仕組みを整えています。

 また、当社が事業活動を通じ様々なステークホルダーに対して価値を提供し、社会課題の解決と社会の持続的な成長に貢献するためにはビジネスパートナーの皆様の協力が不可欠であり、ともに取り組み、実現を目指す事項を「ビックカメラ調達ガイドライン」として定めています。

 本ガイドラインが効果的に実行されるよう、すべての役員及び従業員に対し理解を深めるための機会提供を積極的に行います。また、ビジネスパートナーへの啓発活動を行うことで、本方針の浸透を図り、人権にかかわる問題を未然に防げるよう環境を整備します。

※ 調達ガイドラインについては、当社ホームページ内「サステナビリティ 調達ガイドライン」を以下のURLからご参照ください。

  https://www.biccamera.co.jp/sustainability/humanrights/#procurement_guidelines

 

c. 救済措置

 一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)が提供する「対話救済プラットフォーム」に正会員企業として加盟し、ステークホルダー全般にわたる幅広い人権侵害への苦情・通報を受け付け、対応することで、サプライチェーン全体での人権尊重の取り組みを強化しております

 

③ リスク管理

 人財におけるリスク管理は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ③ リスク管理」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 当社グループは、すべての従業員がその多様なバックグラウンドや個性を尊重され、最大限の能力を発揮できる職場づくりを目指し、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)に注力しています。当社グループは、性別、年齢、国籍、障がいの有無、ライフスタイルにかかわらず、すべての人が公平な機会を得て活躍できる環境を提供することで、従業員一人ひとりの多様性を活かし、組織全体の成長と競争力の強化を図ってまいります。そのための指標は以下のとおりです。

[人財の多様性]

名称

目標

期限

㈱ビックカメラ

① 女性管理職比率 15%以上 ※1

② 男性の育児休業取得率 80%以上 ※2

2030年8月

㈱コジマ

① 女性管理職比率 15%以上

② 男性の育児休業取得率 80%以上 ※2

2030年8月

㈱ソフマップ

① 女性管理職比率 15%以上

② 男性の育児休業取得率 100%以上 ※2

2030年8月

㈱ビックロジサービス

① 採用した従業員に占める女性従業員の割合を10%にする

② 男女の平均勤続年数の差異を1年以内にする

2027年3月

㈱ラネット

① 男性の育休取得のための風土醸成及び取得促進

② 仕事と育児の両立のサポート

③ 年次有給休暇の取得促進

④ 平均残業時間13時間以下

⑤ 育児休業取得率を女性100%、男性80%以上を目指す

2025年8月

㈱じゃんぱら

① 女性従業員の育児休業取得率の維持及び男性従業員の育児休業取得率の向上を目指し、復帰後も安定して就業出来る環境づくりを整備する

・女性の産前産後休業・育児休業取得率:100%

・男性の育児休業取得率:80%

② 女性社員の採用・定着の向上に向けた環境づくり

2028年3月

㈱TDモバイル

① 仕事と育児の両立のサポート

② 男性の育休取得のための風土醸成及び取得促進

③ 全員が年次有給休暇12日以上の取得

④ 平均残業時間15時間以下

2027年3月

日本BS放送㈱

結婚や出産を機に退職する女性の割合を0%にするよう奨励する

2027年7月

※1 正社員のうち「管理職」を「労働基準法で定められている管理監督者および各店舗における店長職、副店長職」と定義し算出

※2 育児休業もしくは出生時育児休業を2023年9月~2024年8月に開始した従業員数を、同時期に子が生まれた従業員で割った値

 

※ 当社グループは、㈱ビックカメラ、㈱コジマ、㈱ソフマップにおいては統一の目標を定めています。また、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画をグループ各社にて各社の状況に合わせて定め、グループ全体の多様性の推進に努めています

 

 また、当社の人的資本経営における指標は、3つの要素に基づく従業員エンゲージメントの数値で設定しています。この3要素すべてが向上した状態を、従業員の「ハートに火がついた状態」と定義しています。これらの要素を測定する手段として、当社グループが実施する従業員への各種アンケート結果を活用しています。

 当社グループでは、このアンケートを通じて従業員エンゲージメントを定期的に測定し、共通の目標を掲げながら人財戦略に反映しています。具体的には、従業員満足度を測る社員向けの自己申告アンケート調査や、アルバイトも対象としたウェルネスサーベイを毎年実施し、グループ全体でその結果を共有しています。これらの数値を経年で追跡し、課題に対するアプローチを行うことで、従業員の「ハートに火がついた状態」を持続させてまいります。そしてその結果として、eNPS(ビックカメラ推奨度)の数値も向上すると考え、最終的な目標として位置付けています。

 

[2030年に向けた全体指標]

テーマ

テーマ別指標

全体指標

目標

測定手段

数値

測定

手段

2024年

数値

(前年比)

目標

数値

測定

手段

2024年

数値

(前年比)

目標

数値

従業員

満足度調査

※1

2024年

数値

(前年比)

目標

数値

ウェルネスサーベイ

ウェルネスサーベイ

仕事への誇り・情熱を持つ

仕事適応感数値

77.7%

(+1.8)

80.0%

ワークエンゲージメント

※2

43%

(-1)

55%

以上

推奨度

eNPS

※3

57%

(+1)

70%

以上

仕事が好きか・向いていると思うか・存在意義を実感出来るか

働きがいを感じる

能力発揮度

70.8%

(+4.1)

73.0%

強みを生かしているか・成長実感があるか・公正な評価を受けているか

働きやすい環境である事を実感できる

職場適応感数値

78.9%

(+1.9)

82.0%

人間関係は良好か・制度や設備に満足しているか

※1:従業員満足度調査

上記3つの設問に対して「適している・どちらかといえば適している・どちらかといえば適していない・適していない」と4段階で回答。

DI値は「適している・どちらかと言えば適している」のポジティブ回答率(%)‐ネガティブ回答率(%)を算出したもの。数値が高い方が満足度が高い事になる。

※2:ワークエンゲージメント

測定尺度は、新職業性ストレス簡易調査票ワークエンゲージメント関連2問に独自質問3問を追加した5問で構成した質問紙により調査。回答結果をスコア化し、FiNCウェルネスサーベイ導入企業全回答者を母集団とする偏差値と、その全回答者平均を算出し、自社従業員結果においての偏差値50以上の従業員割合を指標としている。

5問の構成は以下である。

・仕事をしているとき、活力が湧いてくると感じることがある  Yes・No

・仕事に熱意を持って取り組んでいる             Yes・No

・仕事に没頭しているとき、幸せや喜びを感じることがある   Yes・No

・仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる       そうだ・まぁそうだ・ややちがう・ちがう

・自分の仕事に誇りを感じる                 そうだ・まぁそうだ・ややちがう・ちがう

※3:eNPS

従業員の満足度指標となる質問をもとに回答結果をスコア化し、FiNCウェルネスサーベイ導入企業全回答者を母集団とする偏差値と、その全回答者平均を算出し、自社従業員結果においての偏差値50以上の従業員割合を指標としている。

設問は以下である。

・友人や知人にあなたの会社への入社を薦めたいと思う  非常にそう思う・そう思う・どちらでもない・そう思わない・まったく思わない

 

 健康経営の指標及び目標については、物販主要3社のホームページを以下のURLからご参照ください。

㈱ビックカメラ https://www.biccamera.co.jp/csr/health.html

㈱ソフマップ https://www.sofmap.co.jp/about/healthmanagement

㈱コジマ https://kojima-saiyou.net/health/