リスク
3【事業等のリスク】
当社の事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであり、当社はこれらリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の防止、回避及び発生した場合の早期対応に最大限努める方針でありますが、以下の記載は当社の事業に関し全て網羅するものではありませんので、ご留意下さい。
(1)事業展開について
① 外食業界の動向について
当社の所属している外食業界は、新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられたことで、需要の回復が顕著にあらわれたものの、選択的消費行動の広まりなどにより外食業界を取り巻く環境は大きく変化してきております。
当社といたしましては、これからの新たな生活様式に求められる、お客様がご安心してお食事を楽しめる飲食店を目指してまいります。当面におきましては、徹底した衛生管理を優先するとともに、システム導入等のDX化を行うことで作業負担の軽減を図り、さらに財政基盤の維持を目的に更なるコスト管理に取り組んでまいります。また、各種メディア等による積極的な情報発信、計画的なキャンペーンの実施により、ブランドイメージや認知度の向上に努めるとともに、アフターコロナにおける経営環境の変化に対応できる新業態開発の研究についても積極的に取り組んでまいります。
しかしながら、天災等の自然災害、感染症やBSEなどの社会問題、お客様の味覚及び嗜好の変化、テイクアウトやデリバリー需要増から高まる食中毒などの衛生管理リスク、時短や休業による従業員の解雇、雇い止め等によるスタッフのモチベーションの低下、円安による原材料費の高騰などが進む場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 店舗出店について
当社の出店におきましては、集客力が見込める商業施設、交通量の多いロードサイドと主要駅周辺に出店しております。新規出店にあたっては、立地条件、賃貸借条件、店舗の採算性、投資回収期間等を総合的に検討し決定しております。しかしながら、出店後に交通アクセスの変化や商業施設との競合、または同業他社等が新規参入した場合には当社の業績に影響を与える可能性があります。
③ 競合の参入について
当社のサービスの特徴は、当社オリジナルの特殊鉄皿を感熱センサー付電磁調理器で急速加熱し、食材を盛り付けてお客様に提供する調理システムであり、当社は感熱センサー付電磁調理器及び鉄皿について特許を取得して参入障壁を高くしておりましたが、2020年にペッパーランチ事業を譲渡した事で、そのオリジナル性が薄まりました。また主力事業である、いきなり!ステーキは単一業態を広域に多店舗展開することにより、お客様への認知度を高め、ブランド価値の向上に努めてまいりましたが、類似した事業を展開する企業との競合が本格化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 単一食材(牛肉)への依存について
当社は特定産地の単一食材(牛肉)に依存しております。今後も現状以上に新たな産地の開拓や分散調達等のリスクヘッジに努めてまいります。しかしながら、新たな疫病の発生、天候不順・天災等の発生により、必要量の原材料確保が困難な状況になること、または、市場価格や為替相場の変動により、仕入れ価格が高騰し、売上原価が上昇することにより、当社の業績へ影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定仕入先への依存について
当社は、当社の直営店舗及びFC店舗の食品供給の大半(約8割)を1社の食品供給業者に依存しており、供給が滞った場合には当社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 自然災害リスクについて
当社の営業店舗、物流センター等を含む地域で大規模な地震や洪水、台風等の自然災害が発生した場合、店舗の営業不能による売上低下、お客様及び従業員の人的被害、物流センターや受発注システムに損害が生じることにより仕入が困難になる等、正常な事業活動が困難となり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ ITシステムトラブルについて
当社は、コンピューターウイルスによる感染等により、ITシステムに不具合が生じた場合、情報ネットワークシステムに支障が生じ、商品配送の混乱、店舗サービス業務停止が予測され、それらの復旧に多額の費用を要し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 特許権について
当社は、エイシン電機株式会社と共同で、店舗にて使用している感熱センサー付電磁調理器(発明の名称:電磁誘導加熱を利用した加熱装置)に関する特許を取得しております。同様の機器を使用した他社との競合が本格化した場合には、当社独自の店舗システムの優位性が薄れ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の特許は法的に保護される反面、特許情報の公開によって特許の模倣が発生する可能性があります。また、他社による研究開発により同様の機器が開発される可能性があります。
同様の機器を使用した他社との競合が本格化した場合には、当社独自の店舗システムの優位性が薄れ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 商標権について
当社は、店舗名や商品名等は事業展開上の重要な要素として位置づけており、一般的な名称等の理由により登録が困難な場合を除き、商標の登録を行う方針としております。また、新たな商標を使用する場合には、第三者の商標権を侵害しないように常に注意しております。
しかしながら、商標使用時における当社の調査が十分でなく、当社の使用した商標が第三者の登録済みの商標権を侵害していると認定され、商標の使用差止や損害賠償請求が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ マーケティング活動について
当社は、ソーシャルメディアを含む多種多様の媒体を利用したマーケティング活動に財源を投じています。競合他社がマーケティング及び広告に多額の費用を投じ、当社のマーケティング活動に支障が生じて販促効果が得られなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)FC展開について
① FC加盟店の展開について
当社はFC加盟契約者を募っておりますが、当社の計画通りに新規FC加盟店が増加しない場合や、FC加盟店側の諸事情により加盟契約が解消された場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② FC加盟者との関係について
当社は、運営マニュアルに基づく開店前の研修やスーパーバイザーを通じた店舗運営指導により、FC加盟契約者への教育を行い、店舗運営レベルの維持、向上に努めております。しかしながら、急速な展開により、当社によるFC加盟契約者への教育及び運営指導が十分に行き届かない場合には、安全衛生、品質及びサービスの低下によるお客様からFC加盟店に対する苦情等の発生によるブランド価値の毀損により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ FC加盟者に対する債権管理について
当社は、FC加盟契約者に対して食材等の売掛金やロイヤリティ及び貸付金などの債権を有しております。
債権の回収管理を徹底しておりますが、これらのFC加盟者がデフォルト(債務不履行)になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)人材の確保・育成について
当社は引き続き、FC事業の拡大を事業の柱としているため、特にFC店に対して店舗運営指導を行うスーパーバイザーを中心とした、各部門の人材の確保及び育成が重要と考えております。現在、当社は求人広告や人材紹介会社からの紹介等を通じて、新卒並びに中途の求人・採用活動を行う一方、当社固有の人材育成システムなどを活用して積極的な人材育成を行っております。しかしながら、当社の求める人材が十分に確保出来ない場合や、人材の育成が計画通りに進捗しない場合には、FC加盟店の管理が十分に行われないおそれがあり、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制について
① 食品衛生法
当社は、外食事業者として「食品衛生法」の規制を受けております。食品衛生法は飲食に起因する衛生上の危害の発生防止及び公衆衛生の向上・増進に寄与することを目的としており、飲食店を営むに際して、食品衛生責任者を置き、厚生労働省の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければなりません。
営業店舗において食中毒の発生や、腐敗物の提供、未認証の添加物の使用など、食品衛生法の違反行為を行った場合、所轄の保健所は、違反を行った店舗に対して営業許可の取り消し、または営業の全部もしくは一部について期間を定めて営業停止を命じることがあります。
当社では、お客様に安心してお召し上がり頂くために、食材供給工場に対してISO9001及びHACCPに準拠した定期検査を実施し、その上で一定以上の衛生水準に達したと認定した場合に、商品の製造を依頼しております。食中毒発生の危害度が高いと判断した仕入食材については、定期的な微生物検査を実施し、当社の基準に合致した商品を購入しております。
委託先の物流センターでの在庫時及び店舗への配送時における温度管理は、最大限の注意を払っており、また各店舗におきましても、衛生管理マニュアルに沿った手順の遵守を指導しております。しかしながら、万が一何らかの要因で当社直営店舗、委託店舗及びFC店舗において食中毒等が発生した場合には、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 食品リサイクル法
当社では、食材の調理時に食品廃棄物が発生しないよう事前に加工を行うことや、商品注文時にお客様の要望を聞き提供する量を調整することにより、廃棄物発生量の抑制及び減量に努めております。
しかしながら、今後の出店増加等により食品廃棄物の排出量が増加し、生ゴミ処理機の設置や委託処理業者との新たな取引が発生する場合には、追加的な費用が発生し当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)個人情報の保護について
当社は、「個人情報保護方針」や「個人情報管理規程」を制定し、個人情報を取り扱う関係者に対して情報漏洩防止の徹底を啓蒙しております。
しかしながら、内部管理体制の問題や外部からの侵入により、これらの情報が漏洩した場合には、信用低下や損害賠償等によって当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)特定の人物への依存について
当社の主要な経営幹部は、経営方針及び経営戦略の策定等、事業運営の中心的役割を果たしております。
当社は、事業運営の中長期的な発展のために幹部社員の育成等による組織力の向上に努めておりますが、現時点において何らかの理由により経営から離れるような場合、当社の業績及び今後の事業の推進に影響を及ぼす可能性があります。
(7)海外展開におけるカントリーリスクについて
当社は、2023年12月31日現在、4店舗のいきなり!ステーキの海外FC出店を果たしております。今後につきましては、新たな加盟社も含め更なる海外展開の拡大を図っています。今後、フィリピンなど東南アジア、中国、今後他の地域も含め、海外事業を推進する方針でありますが、各国特有のカントリーリスク(疫病、伝染病、政情、経済、法規制、ビジネス慣習、為替等)により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)減損会計について
当社は、減損会計を適用しておりますので、当社保有の資産が当初期待した事業の収益性を下回るなどした場合、当該固定資産に対する減損処理が必要となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)訴訟等について
当社は、お客様、FC加盟者、雇用関係、不動産関係、不法行為、知的財産、契約違反、証券、デリバティブ及びその他の訴訟が関与する訴訟手続きにより、当社の評判を害し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)新株予約権(行使価額修正条項付)について
2022年12月8日開催の取締役会にて、当社は、投資事業有限責任組合インフレクションⅡ号、InfleXion II Cayman, L.P.及びフラッグシップアセットマネジメント投資組合88号を割当先とした第三者割当による新株予約権(行使価額修正条項付)を行うことを決議いたしました。そのため、新株予約権(行使価額修正条項付)が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
(11)継続企業の前提に関する重要事象等について
日本国政府は2020年2月以降、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に関連した感染症対策の基本方針等を公表しましたが、それ以降消費者は外出等を控え外食需要に重要な影響が生じております。当社においては、政府及び自治体からの各種要請等を受けて一部店舗の臨時休業や営業時間短縮を実施したことなどから、2020年3月以降、当社の来店客数は顕著に減少して売上高も著しく減少しております。2022年3月21日には、店舗の営業に対する制限が概ね解除され、来店客数等は次第に回復しておりますが、いまだ回復の途上にあり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の水準を下回る状況が続いております。これらの結果、当事業年度においては、継続した営業損失を計上するとともに、重要な当期純損失を計上しております。
この結果、借入金の返済等の資金繰りに懸念が生じており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社は、当該状況の解消または改善のために、下記のような対応策を講じております。
① 当社は、収益改善及び本社費用の削減等の施策を行っております。具体的には、既存店の売上対策を強化し、店舗の事情に応じたメニューの変更等を推進しております。また、従業員の適正配置などのコスト削減施策も推進し、事業の収益性を改善しております。
② 当社事業の各種ステークホルダー(金融機関等)との緊密な連携関係を高め、必要に応じた支払条件の柔軟化等を含めた協力体制の強化を行っております。
③ 当社は適切な店舗体制を構築するために、2020年度以降、当事業年度末までに151店舗の閉店を決定し必要な会計処理をしております。今後も店舗の収益性を見極めて不採算店の整理を進めております。
④ 当社は、2022年12月8日の取締役会にて、第三者を割当先とした第13回新株予約権及び第14回新株予約権の発行に係る決議を行いました。なお、2024年3月28日現在、これらのうち第13回新株予約権が行使され2,340百万円の調達を完了しております。
しかしながら、収益改善及び本社費用の削減等の施策の成果が、売上高及び業績に及ぼす影響について見通すことが容易ではないこと、また金融機関等との間で支払条件等の協力体制を築くために一定の期間を要することも想定されること及び、新株予約権の行使について株価下落等により予定通り資金調達ができない場合があることから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。
なお、財務諸表は継続企業を前提としており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しておりません。
配当政策
3【配当政策】
当社は、将来の事業展開に備えて内部留保を確保しつつ、財政状態、経営成績その他経営全般を総合的に判断し、安定した配当を継続して実施していくこと並びに中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これら剰余金の配当決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社は「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として、中間配当を行うことができる」旨を定款に定めております。
しかしながら、当事業年度の配当は業績を鑑み、誠に遺憾ではありますが、無配とさせていただきます。