2025年2月期有価証券報告書より
  • 社員数
    233名(単体) 5,343名(連結)
  • 平均年齢
    47.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.0年(単体)
  • 平均年収
    8,156,493円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年2月28日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

百貨店事業

2,943

〔1,259〕

SC事業

565

〔92〕

デベロッパー事業

870

〔393〕

決済・金融事業

249

〔21〕

その他

483

〔175〕

全社(共通)

233

〔19〕

合計

5,343

〔1,959〕

(注)1  従業員数は就業人員であります。

2  従業員数欄の〔外書〕は、専任社員、有期雇用の嘱託及びパートナーであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年2月28日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

233

〔19〕

47.4

16.0

8,156,493

 

セグメントの名称

従業員数(人)

全社(共通)

233

〔19〕

合計

233

〔19〕

(注)1  従業員数は就業人員であり、株式会社大丸松坂屋百貨店をはじめとしたグループ会社からの出向者を含みます。

2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3  従業員数欄の〔外書〕は、専任社員、有期雇用の嘱託及びパートナーであります。

4  平均勤続年数は、当社グループからの出向者等については、各社での勤務年数を通算して算出しております。

5  従業員数が前連結会計年度に比べ48名増加しております。これは主に、組織再編に伴う子会社からの出向、及び採用の増加によるものであります。

 

(3)労働組合の状況

当社グループには、J.フロント リテイリンググループ労働組合連合会があり、UAゼンセンに加盟しております。

会社と組合との関係は、相互信頼に基づき良好であり、特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

(単位:%)

当事業年度

女性管理職比率

(注)1.

男性労働者

育児休業取得率

(注)2.

労働者の男女の賃金の差異

(注)1、3.

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

27.9

78.2

80.0

69.9

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.男性労働者育児休業取得率は、該当者がいないため「-」としております。

3.男女の賃金差については、賃金制度上の男女間賃金格差はないものの、女性管理職比率が低いことや、女性で育児等に伴う短時間勤務社員が多いこと等で、格差が生じています。

 

②連結子会社

(単位:%)

当事業年度

名称

女性

管理職

比率

(注)1.

男性労働者育児休業取得率

(注)2.

労働者の男女の賃金の差異

(注)1、3.

全労働者

正規

雇用

労働者

パート・

有期労働者

株式会社大丸松坂屋百貨店

31.5

225.0

61.0

73.1

71.3

株式会社博多大丸

33.3

100.0

74.3

78.6

71.5

株式会社パルコ

27.0

109.1

79.5

76.2

103.4

株式会社パルコスペースシステムズ

10.8

100.0

66.1

79.5

79.3

株式会社.フロント建装

13.2

50.0

77.4

75.2

89.5

JFRカード株式会社

100.0

大丸興業株式会社

100.0

株式会社JFR情報センター

株式会社J.フロントONEパートナー

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

男性労働者育児休業取得率は、該当者がいない場合は「-」としております。

3.男女の賃金差については、賃金制度上の男女間賃金格差はないものの、女性管理職比率が低いことや、女性で育児等に伴う短時間勤務社員が多いこと等で、格差が生じています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営

当社グループの主要事業会社である大丸松坂屋百貨店は300年、400年という歴史の中で数々の危機に遭遇してきました。そうした状況に直面するたびに、「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」という社是に立ち返り、お客様や社会の変化を機敏に捉えながら事業活動を愚直に実践してきたことが、今日の当社グループの経営につながっています。社会との共存なくして企業の発展はありません。いま経営には、一層の長期視点により、社会に存在意義を放つ将来のあるべき企業像を描くことが不可欠となっています。地球温暖化、海洋汚染、生物多様性の喪失など地球環境問題の深刻化、サプライチェーン上の人権問題などの課題から目を背けて企業活動を行うことができないのは明らかです。そのような課題の解決に向けたサステナビリティの概念を企業戦略や事業戦略に組み込み、融合して推進することにより、将来の成長に向けた持続可能な経営の枠組みを獲得できるものと考えています。

このような考えのもと、当社グループは、持続可能な社会とくらしのあたらしい幸せの実現に向けて、環境や社会課題の解決と企業の成長を両立させるCSV(共通価値の創造)を実践することで、サステナビリティ経営を推進し、ステークホルダーの皆様の「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」に貢献していきます。

 

<サステナビリティ経営の全体像>

①ガバナンス

当社グループは、環境や社会課題への対応などサステナビリティに対する具体的な取り組み方針を、業務執行の最高意思決定機関であるグループ経営会議で審議・承認しています。グループ経営会議で承認された事項は、代表執行役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会(年2回以上開催)で全事業会社に共有されます。あわせて、サステナビリティ委員会では、各事業会社の実行計画及び進捗モニタリングを行っており、グループ全体の取り組みの実効性を高めています。

これに対し、取締役会(毎月開催)は、グループ経営会議で審議・承認された内容及びサステナビリティ委員会で協議された内容報告を受け、目標設定、対応方針、実行計画等について、監督を行います。

 

・取締役のスキルマトリックス

当社は、取締役候補者の選任にあたり、取締役に期待する専門性および経験等についてスキルマトリックスで明確にしています。サステナビリティ経営の推進を踏まえ、当社ではスキル項目として「環境」「社会」「ガバナンス」「人財・組織開発」を特定し、サステナビリティへの取り組みを適切に監督できる取締役を選任しています。

 

※スキルマトリックスについては、以下をご参照ください。

第18期招集通知

https://www.j-front-retailing.com/ir/stock/pdf/250428_Notice_of_Convocation.pdf

 

・非財務指標を取り入れた役員報酬制度

当社は、役員報酬制度における業績連動株式報酬を決定する非財務指標として、2021年度から「Scope1・2温室効果ガス排出量削減率」及び「女性管理職比率」を設定しています。これらは、中期経営計画のKPIとも連動しており、目標達成に向けた執行役の責任を明確化するとともに、サステナビリティ経営を実現・推進するためのインセンティブとして機能するようにしています。

 

※役員報酬制度については、「4 コーポレートガバナンスの状況等(4)役員の報酬等」をご参照ください。

 

JFRグループ サステナビリティマネジメント体制>

 

 

<サステナビリティ委員会の主な議題>

2023年

4月

・外部講師講演 「ビジネスと人権」

・各事業会社のダイバーシティ&インクルージョン推進の取り組み状況

・従業員意識調査結果報告

・グループ全体の2022年度KPI進捗報告および2023年度サステナビリティ実行計画

9月

・外部講師講演「生物多様性対応の概要と必要性」

・第2回お取引先様アセスメント実施概要

・グループ全体の2023年度上期KPI進捗報告

2024年

4月

・外部講師講演「中長期的な企業価値向上と非財務活動の関係」

・グループ全体の2023年度KPI進捗報告

・2024年-2026年度サステナビリティ中期計画

9月

・マテリアリティに関する従業員の自分ごと化

・グループ全体の2024年度上期KPI進捗報告

 

 

②リスク管理

当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面の双方に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。

当社は、リスク管理が経営上極めて重要であるとの認識から、サステナビリティ関連を含むリスク全般を全社統合的に管理するため、リスクマネジメント委員会(年3回開催)を設置しています。同委員会での審議内容は、グループ経営会議に報告されるとともに、サステナビリティ委員会に共有されます。

なお、リスクマネジメント委員会、サステナビリティ委員会での協議内容、グループ経営会議での承認事項については、それぞれ取締役会(毎月開催)に適時報告されており、取締役会による監督体制の下、当社グループの戦略に反映し、対応しています。

 

※当社のリスクマネジメント体制、プロセス、及びグループ経営において極めて重要度の高いリスクの詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 また、環境関連については、「(2)気候関連課題への対応(TCFD情報開示)②リスク管理」をあわせてご参照ください。

 

 

③戦略

(a)マテリアリティの特定

当社は、環境・社会課題と当社グループの事業活動の関連性を明確にするなかで、「企業と社会の持続的成長」および「持続可能な社会」の実現に資するテーマをマテリアリティ(重要課題)として特定し、2018年以降、中期経営計画策定のタイミングで見直すこととしています。

2024年度からスタートした今中期経営計画の策定においては、マテリアリティへの取り組みを課題解決にとどまらず企業成長に結びつけていくため、事業戦略と融合させ推進することを前提に、JFRグループ重要リスクや経営環境を取り巻く社会の変化などを踏まえて見直しを行い、5つのテーマを特定しました。

当社は、マテリアリティへの取り組みを通じて、リテール事業を中心に3つの共創価値「感動共創」「地域共栄」「環境共生」を提供し続ける“価値共創リテーラーグループ”への変革を目指します。

 

JFRグループ重要リスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

〔5つのマテリアリティ〕

・くらしにワクワクをプラスする

・地域の活力を高める

・環境と共に生きる社会をつくる

・価値共創するパートナーを増やす

・多様な人財を輝かせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(b)マテリアリティのコミットメント

当社は、社会課題の解決は、多くの人と企業の共通テーマであり、競う「競争」ではなく、共に創る「共創」であってこそ、社会に対するインパクトを持つと考えています。これまでのマテリアリティへの取り組みは、自社の事業活動の中で出来ることが中心でしたが、今後は、事業戦略と融合させ、従業員と共にこれまで以上に多くのお客様やお取引先様などのステークホルダーを巻き込み、取り組みの輪を広げていきます。そうすることで、社会の持続性だけではなく、当社の事業機会の創出、企業としての持続的成長もあわせて獲得していけるものと考えています。

 

5つのマテリアリティにおけるコミットメントは以下のとおりです。

マテリアリティ

コミットメント

アウトプット

くらしに

ワクワクを

プラスする

価値観が多様化するなか、人びとの心を動かすモノやコト、これらとの新たな出会いの場や空間を提供し、生活者一人ひとりのWell-Beingと心豊かでワクワクする未来のくらしを提案する。

・質の高い商品やサービス

・心躍るコンテンツ

地域の活力を

高める

当社の重点7エリアをはじめ各地域との結びつきを強化し、地域コミュニティ、行政、NPO等と共に、地域の活力を高め、持続可能な街づくりを行う。また、地域の魅力を発掘・発信することで、街に集う人びとにワクワクするあたらしい体験を提供する。

・街のにぎわい

・地域コミュニティの活性化

環境と共に

生きる社会を

つくる

2050年ネットゼロ目標達成に向けて、サプライチェーン全体の脱炭素化とサーキュラー・エコノミーの推進の両輪で取り組む。また、自社単独の取り組みにとどまらず、価値共創パートナーと共に、持続可能な社会づくりに誰もが貢献できる機会を提供し、働きかけを行う。

・温室効果ガス排出量削減

・循環型ビジネス

価値共創する

パートナーを

増やす

持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティに対する思いや考えを共有し、人権デューデリジェンスなどの社会的責任とともに、「感動共創」「地域共栄」「環境共生」の価値創出に向けたパートナー基盤をつくる。

・業種業界を超えた幅広いパートナーシップ

・持続可能なサプライチェーン

多様な人財を

輝かせる

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンやワーク・ライフ・インテグレーションをはじめ従業員一人ひとりが活躍できる環境や仕組みを整え、意志・意欲や能力を最大限に引き出し、人財と企業の持続的な成長を実現する。

・働きやすさと働きがい

 

④指標と目標

サステナビリティに関する指標と目標、および2024年度実績は以下のとおりです。

 

マテリアリティ

指標

実績

目標

2024年度

2026年

2030年

くらしに

ワクワクを

プラスする

グループ顧客会員数

増加率15.7%

(2023年度比)

増加率25%

(2023年度比)

※1

顧客調査(ワクワク・感動度)

基礎調査実施

2030年目標設定

75%※2

地域の活力を

高める

施設への入店客数

5.4%増

(2023年度比)

10%増

(2023年度比)

※1

顧客調査(地域への貢献度)

基礎調査実施

2030年目標設定

80%※2

環境と

共に生きる

社会をつくる

温室効果ガス排出量削減

Scope1・2

▲65.4%

(2017年度比)

▲70%

(2017年度比)

▲73%

(2017年度比)

Scope3

▲23.2%

(2017年度比)

▲40%

(2017年度比)

事業活動で使用する電力に占める再エネ比率

67.2%

72%

75%

食品リサイクル率

88.1%

80%

85%

新規開発物件の環境認証取得率

対象物件なし

100%

顧客調査

(顧客の環境への取り組み度)

基礎調査実施

2030年目標設定

55%※2

価値共創する

パートナーを

増やす

ステークホルダー共創件数

351件

400件以上

500件以上

人権アセスメント結果

2023年度結果に伴う対話(112社)

Webセミナー実施

35%

(B評価以上)

45%

(B評価以上)

多様な人財を

輝かせる

従業員エンゲージメント

従業員満足度

68.9%

70%

2026年度達成状況を踏まえ設定

勤務推奨度

59.9%

60%

女性管理職比率

26.2%

31%

40%

男女賃金格差

全労働者

66.5%

差異縮小※3

 

2026年度達成状況を踏まえ設定

正規雇用労働者

75.0%

非正規雇用労働者

75.5%

男性育児休業取得率

132.5%

95%

※1 マテリアリティの実現に向けて事業戦略とより関連を高められる指標・目標を本中期経営計画の中で検討します。

※2 2024年6月の基礎調査を基に2030年中期目標を設定しました。2025年に本調査を実施し、目標の妥当性を検証します。

※3 2023年度男女賃金差異は次のとおりです。

全労働者65.3%、正規雇用労働者74.4%、非正規雇用労働者:72.7%

 

(2)気候関連課題への対応(TCFD情報開示)

・2050年ネットゼロに向けたJFRの考え方

昨今、気候変動は極めて深刻なレベルまで進行し、将来世代はもちろんのこと、現世代の私たちを含め人類がその危機にさらされています。

当社は、気候変動への対応をサステナビリティ経営上の重要課題と位置づけています。気候変動に伴うリスクや機会は、当社グループの事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、2050年までのバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロ※1を目指し、「温室効果ガス排出量削減」と「サーキュラー・エコノミーの推進」の両輪でその対策に取り組んでいます。

 

・目標設定

当社はグループ全体で気候変動対策を推進するためには、中長期の野心的な温室効果ガス排出量の削減目標設定とその達成に向けたロードマップの策定が必要だと考えています。この考えに基づき、2019年に、Scope1・2・3排出量削減目標において、SBT(Science Based Targets)イニシアチブ※2による認定を取得しました。2021年には、2030年のScope1・2排出量削減目標を従来の40%から60%削減(基準年2017年度比)に引き上げ、「1.5℃目標」としてSBT認定を再取得しました。そして、さらに2023年2月には、Scope1・2・3排出量について、2050年までの「ネットゼロ目標」のSBT認定を取得しました。

 

なお、Scope1・2排出量の2030年目標「60%削減」については、2025年2月末時点において前倒しで達成しました(65.4%削減)。そのため、目標を引き上げ、新たな2030年目標として「73%削減」を設定しました。今後、さらに取り組みを進めていきます。

 

※1 温室効果ガス排出量を徹底して削減し、残りの排出量について、森林吸収やCCS(CO2の回収・貯留)等による除去量を差し引いて実質ゼロにすること

※2 企業が最新の気候科学に沿った野心的な排出削減目標の設定を可能にすることを目的として、2014年、CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が共同で設立

 

①ガバナンス

(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②リスク管理

当社グループは、気候関連リスク・機会について、サステナビリティ委員会の中でより詳細に検討を行い、各事業会社と共有化を図っています。各事業会社では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業会社社長を長とする会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。その内容について、グループ経営会議やリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。

 

JFRグループ リスク・機会の管理プロセス>

※気候関連リスク・機会の特定・評価プロセスの詳細及び全社リスク管理の仕組みへの統合状況は、「第2 事業

 の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

③戦略

 JFRグループ 2050年ネットゼロ移行計画

当社は、2050年ネットゼロの実現に向け、中長期視点で取り組む必要があるとの認識に基づき、2050年までの移行計画を策定しています。気候関連リスク・機会の分析結果、およびそれらによる財務影響を踏まえ、リスクに対しては適切な対応策を講じ、また機会に対しては、顧客ニーズの変化に積極的に対応することで新たな成長機会の獲得を目指す等、短期・中期・長期視点で、具体的な取り組みを推進していきます。本移行計画に、投資や資金計画、また当年度の取り組み実績を合わせて明示することで、それぞれの関係性を明確にし、本計画の実効性をより高めていきます。

 

 

(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細

当社は、気候関連リスク・機会は、長期間にわたり自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切なマイルストーンにおいて検討することが重要であると考えています。それを踏まえ、中期経営計画の実行期間である2026年度までを短期、SBTにおける短期目標年度である2030年度までを中期、SBTネットゼロ目標年度である2050年度までを長期と位置づけました。

当社グループは、気候関連リスク・機会に対し、ネットゼロを実現する2050年までを見据えたバックキャスティングにより、戦略を策定し、対応しています。

 

 <JFRグループにおける気候関連リスク・機会の検討期間の定義>

気候関連リスク・機会の検討期間

JFRグループの定義

短期

2026年度まで

中期経営計画の実行期間

中期

2030年度まで

SBTにおける短期目標年度までの期間

長期

2050年度まで

SBTネットゼロ目標年度までの期間

 

(b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度

シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、下表のとおり2つの世界を想定しています。

これらのシナリオを踏まえ、当社は、主要事業である小売業及びデベロッパー事業を対象にバリューチェーンプロセスの活動項目ごとに、TCFD提言に沿って、気候関連リスク・機会を抽出しました。その上で、気候変動がもたらす移行リスク(政策規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、気候変動への適切な対応による機会(資源効率、エネルギー源、製品およびサービス、市場、レジリエンス)を特定しました。

 

 2025年度シナリオ分析に活用するシナリオの説明

気温上昇

推定値

参照した既存シナリオ

想定される世界

対象事業

1.5℃/2℃未満

移行

「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA、2024年)

気候関連政策・規制が強化され、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」を想定した世界

 ・炭素税導入

 ・再エネの普及・拡大

 ・環境配慮型商品への関心の高まり

小売業・デベロッパー事業

物理

「Representative Concentration Pathways (RCP2.6)」(IPCC、2014年)

4℃

移行

「Stated Policy Scenario(STEPS)」(IEA、2024年)

新たな気候関連政策・規制は導入されず、現状のペースのまま温室効果ガスが排出され、気候変動が進行(平均気温2.6℃~4.8℃の上昇)することを想定した世界

 ・甚大な自然災害の増加

 ・海面上昇

 ・生物多様性の喪失

物理

「Representative Concentration Pathways (RCP8.5)」(IPCC、2014年)

 

 

(c)関連するシナリオに基づくリスク・機会及び財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス

当社は、特定した気候関連リスク・機会の中から、「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの基準に基づき、その重要性を評価しました。特に重要性が高いと評価した項目について、2030年度を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、および4℃シナリオの2つのシナリオにおける財務影響を定量、定性の両側面から評価し、それぞれの対応策を策定しました。

なお、財務影響を定量的に評価するための情報が入手困難なリスク・機会については、定性的に評価し、その結果を矢印の傾きによって3段階で表示しています。

 

 

 

 

 

 

JFRグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会、および2030年度の財務影響>

 JFRグループの事業及び財務への影響が非常に大きくなることが想定される

 JFRグループの事業及び財務への影響が大きくなることが想定される

 JFRグループの事業及び財務への影響が軽微であることが想定される

気候関連

リスク・機会の種類

発現時期

JFRグループにとって

特に重要な

気候関連リスク・機会

2030年財務影響

対応策

(※2024年度の取り組みはネットゼロ移行計画を参照)

短期

中期

長期

1.5℃/2℃

未満

シナリオ

4℃

シナリオ

リスク

移行

リスク

 

・炭素税等の導入に伴うコストの増加

約11億円※1

約10億円※1

・2050年ネットゼロ目標達成に向けた店舗における積極的な省エネ施策や再エネ切り替え拡大による温室効果ガス排出量削減

・環境性能の高い物件の開発と設備導入に係るコストの増加

・グリーンボンド等を活用した資金調達

・コスト効率的な設備導入

・高効率(省エネ)機器導入に係る投資の増加

・インターナルカーボンプライシングの活用

・コスト効率的かつ計画的な投資の検討

 

・再エネ由来電力需要増による再エネ調達コストの増加

約8億円※2

約4億円※2

・インターナルカーボンプライシングの活用

・再エネ調達手法の適切な組み合わせによる再エネ調達リスクの低減と中長期的なコストの低減

・自社施設への再エネ設備導入等、再エネ自給率の向上

物理

リスク

 

・自然災害による店舗休業に伴う収益の減少

約52億円※3

約103億円※3

・BCP整備による店舗・事業所のレジリエンス強化

・店舗の防災性能の向上

機会

エネルギー源

・高効率(省エネ)機器導入によるエネルギー調達コストの減少

約5億円※4

・高効率(省エネ)機器への適切なタイミングでの更新

製品

及び

サービス

 

・新たな価値共創パートナーを含む取引先と連携した環境配慮型商品

・サービスの提供による、バリューチェーン全体での脱炭素化とビジネス機会獲得に伴う収益の拡大

・環境配慮型商品・サービスの取扱い拡大

・廃食油を国産SAFとして再資源化

・AI需要予測システムの活用による食品廃棄物削減等、お取引先様との協働による取り組み

・温室効果ガス排出量の算定や削減目標の設定、排出量に係る一次データの提供依頼等、脱炭素化に向けたお取引先様との対話や説明会の開催

市場

・サーキュラー型ビジネスへの新規参入による新たな成長機会の拡大

・サステナブルなライフスタイルを提案することによる新規顧客の獲得に伴う収益の拡大

・ファッションサブスクリプション事業「アナザーアドレス」をはじめとしたシェアリング・アップサイクル・リユース等サーキュラー型ビジネスの拡大

・環境価値の高い店舗への転換による新たなテナントの獲得機会増に伴う収益の拡大

約11億円※5

・新規開発物件の環境認証の取得(ZEB、CASBEE等)

・RE100実現に向けた店舗の再エネ化の促進

 

(2030年度時点を想定した定量的財務影響の算出根拠)

※1 2030年度時点のJFRグループScope1・2排出量に1t-CO2あたりの炭素価格を乗じて試算

※2 2030年度時点のJFRグループ電気使用量に通常の電気料金と比較した1kWhあたりの再エネ由来電気料金価格高を乗じて試算

※3 過去の自然災害による店舗休業に伴う売上損失額に将来の洪水発生頻度を乗じて試算

※4 2030年度時点のJFRグループ省エネルギー量にエネルギー調達コストを乗じて試算

※5 2030年度時点のJFRグループ不動産収益に環境認証取得ビルの新規成約賃料への影響度合いを乗じて試算

 

<主なパラメータ>

 

レジリエンスに対する総括

 上記シナリオを前提に気候変動がもたらす影響を分析し、その対応策を検討した結果、いずれのシナリオ下においても、当社グループが既に実施している施策および計画している施策が、リスクを低減し、機会の実現に貢献できる実効性、柔軟性を有していることを確認しました。

炭素税等導入によるコスト増や自然災害に伴う収益への影響については、財務影響リスクを低減する対策を計画的かつ着実に実行していきます。また、シェアリング・アップサイクルやリユース事業等当社の特性をいかしたサーキュラー・エコノミーに資する事業を当社グループの成長につなげ、脱炭素社会の実現にも貢献していきます。

当社は、気候関連課題のリスクと機会の両面を捉えた取り組みを推進することで、経営のレジリエンスを高めていきます。

 

④指標と目標

(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標

当社は、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3排出量、および事業活動で使用する電力に占める再エネ比率の2つの指標を定めています。

また、役員報酬制度における業績連動株式報酬を決定する非財務指標の一つとして、Scope1・2排出量削減率目標を設定し、気候関連課題に対する執行役の責任を明確化しています。

 

※役員報酬制度については、以下をご参照ください。

    https://www.j-front-retailing.com/company/governance/governance05.html

 

(b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)

当社は、2017年度から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。当社グループの2024年度Scope1・2排出量は、約6.7万t-CO2(2017年度比65.4%削減)、Scope3排出量は、約225万t-CO2(2017年度比23.2%削減)を見込んでいます。また、再エネ比率は67.2%となる見通しです。なお、2024年度のScope1・2・3排出量および再エネ電力使用量は、第三者保証を取得する見込みです。

 

JFRグループ Scope1・2・3排出量実績及び見通し>             (単位:t-CO2

 

2017年度

2023年度

2024年度

実績※1

実績※1

見通し

2017年度比

(基準年度比)

 Scope1 排出量

16,052

14,021

14,430

▲10.1 %

 

 Scope2 排出量(マーケット基準)

178,102

68,736

52,696

▲70.4 %

       (ロケーション基準)

184,047

142,935

136,701

▲25.7 %

Scope1・2 排出量 合計※2

194,154

82,757

67,126

▲65.4 %

 Scope3 排出量※3

2,927,320

2,898,436

2,247,059

▲23.2 %

 Scope1・2・3 排出量 合計※2

3,121,474

2,981,193

2,314,185

▲25.9 %

 再エネ比率(%)

52.9

67.2

※1 LRQAリミテッドによる第三者保証を取得

※2 合計に使用するScope2排出量はマーケット基準にて算定

※3 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer.2.7(2025年3月 環境省 経済産業省)」・「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer.3.5(2025年3月)」・IDEAv3.3に基づき算出

 

(c)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標及び実績

当社は、世界全体の1.5℃目標達成のため、2018年に長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、2019年にScope1・2・3排出量削減目標についてSBTイニシアチブによる認定を取得しました。2021年には、2030年のScope1・2排出量削減目標を従来の40%から60%削減(基準年2017年度比)に引き上げ、「1.5℃目標」としてSBT認定を再取得しました。そして、2023年2月には、Scope1・2・3排出量について、2050年までの「ネットゼロ目標」の認定を取得しました。

これらの長期目標達成のため、当社グループは、2019年度から、自社施設における再エネ由来電力の調達を開始し、2020年10月に「RE100」に加盟し、2050年までに、事業活動で使用する電力に占める再エネ比率100%を目指します。

※事業活動で使用する電力を2050年までに100%再エネにすることを目標とする国際的イニシアチブ

 

・2030年目標の早期達成と新たな目標の設定

 Scope1・2排出量削減率および再エネ比率に関して、2025年2月末時点で、2026年および2030年目標(Scope1・2排出量60%削減、再エネ比率60%)を達成したため、より野心的に2030年目標の再設定を行いました。

また、2050年ネットゼロを着実に進めていくため、新たな中期目標として2040年目標を設定しました。

 

JFRグループの気候関連リスク・機会の管理に用いる目標>

指標

目標年度

目標内容

温室効果ガス排出量

2050年

Scope1・2・3排出量ネットゼロ※1

2030年

Scope1・2排出量73%削減(2017年度比)※2

Scope3排出量40%削減(2017年度比)※3

事業活動で使用する

電力に占める再エネ比率

2050年

再エネ比率100%※4

2040年

再エネ比率90%

2030年

再エネ比率75%

※1 2022年度「ネットゼロ目標」のSBT認定取得

※2 目標見直し前の2017年度比60%削減に対して、2021年度「1.5℃目標」のSBT認定取得

※3 2021年度「1.5℃目標」のSBT認定取得

※4 2020年 RE100に加盟

 

・インターナルカーボンプライシング(ICP)の活用

 当社は、社内におけるCO2排出量を金額換算することにより、CO2排出量をコストとして可視化し、脱炭素への意識醸成や脱炭素投資と連動した意思決定を促進することを目的として、2024年2月、インターナルカーボンプライシング(ICP)を導入しました。(社内炭素価格:10,000円/t-CO2

2024年度には、2026年および2030年の再エネ目標を見直す際にICPを再エネ調達コストとの比較で活用し、検証を行いました。

将来的には不動産投資の投資基準へのICP組み入れ等も視野に入れ、グループ全体での脱炭素経営につなげていきます。

 

・Scope3排出量削減に向けたサプライヤーエンゲージメント

当社のScope3排出量は、その87%以上をカテゴリ1(調達した製品・サービス)が占めているため、自社努力による削減が難しく、バリューチェーン全体で協働した削減が必要です。

これまで、主要事業会社である大丸松坂屋百貨店では、お取引先様の状況に応じて「排出量の算定」や「削減目標の設定」「排出量に係る一次データ(Scope1・2およびScope3上流)の提供依頼」など対話を進めてきました。(2024年度までの対話は累計121社、一次データ取得合意は72社)

今後、この取り組みを効率よく、かつ加速させていくために、2025年3月、新たな環境データ算定システムに切り替えました。本システムの活用と、お取引先様との連携を強化することにより、Scope3排出量削減に一層取り組んでいきます。

 

(3)自然関連課題への対応(TNFD情報開示)

近年の課題として、企業には、事業活動における自然への影響を把握し、生物多様性の損失を止め、その回復に貢献することが求められています。百貨店やショッピングセンターなどリテール事業を主軸とする当社グループは、お取引先様やお客様、また地域社会など様々なステークホルダーとの接点を持っています。このつながりをいかして、私たちは、事業を通じて環境配慮型商品の調達や自然との共生を意識したライフスタイルの提案、また環境性能の高い店舗開発等、ネイチャーポジティブ※1に向けた取り組みを推進していきます。そうすることで、当社は、ステークホルダーの皆様と共に生物多様性の保全に貢献し、かけがえのない地球環境を次世代に引き継いでいきます。

※1 ネイチャーポジティブ(自然再興)は、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」という考え方。2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」にも反映され、2030年、2050年に向けた目標が掲げられた。

 

①ガバナンス

(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②リスク管理

(2)気候関連課題への対応(TCFD情報開示) ②リスク管理」をご参照ください。

 

③戦略

(a)自然への依存と影響

当社グループの事業は、農産物、畜産物、水産物、木材や水などの資源に加え、土壌や森林、四季のある気候等、多くの自然の恵み(生態系サービス)を享受することで成り立っています。その一方で、私たちの事業活動は、温室効果ガスの排出や、廃棄物の排出、排水など、自然環境に様々な影響を与えています。当社は、自社の事業活動と自然環境との関係、具体的には両者の「依存」と「影響」について把握し、対応することが重要だと認識しています。

 

<事業活動と生態系サービスとの関わり>

 

(b)LEAP※2アプローチを考慮した自然関連課題等の評価

 LEAPアプローチとは、TNFDが推奨する、自然との接点、自然との依存関係、インパクト、リスク・機会など、自然関連課題の評価のための統合的なプロセスです。

 当社は、2023年度に主要事業会社である大丸松坂屋百貨店が全国各地に有する百貨店15店舗を対象として、LEAPアプローチを考慮した自然関連課題等(依存・影響、リスク・機会)の特定・評価を実施しました。

※2  LEAP : Locate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の4つのフェーズ

 

(i)依存と影響の外観(Locate)

TNFDが推奨する「ENCORE」(自然への依存・影響を特定するツール)をベースに、百貨店事業におけるバリューチェーン全体の依存・影響およびその程度を把握するため、ヒートマップを作成し、直接操業(店舗運営や店舗開発)およびバリューチェーン上流(調達)における自然資本への依存・影響の度合いを確認しました。

 

(ⅱ)リスク・機会を評価する店舗の特定(Locate)

WWF※3の「Risk Filter Suite」(生態系と水のリスク分析ツール)、WRI※4の「Aqueduct」(水リスク分析ツール)等を用いて、各店舗所在地における生態系の状況を確認し、さらに、当社独自の基準(土地建物の所有状況、売上規模等)と合わせ重要性評価を行いました。その結果、大丸心斎橋店を生物多様性保全における特に重要性の高い店舗と特定しました。

(ⅲ)自然に対する依存・影響の要因整理(Evaluate)

大丸心斎橋店での事業活動のうち、バリューチェーンにおける生態系サービスへの依存と影響が大きい「店舗開発」「衣料品・食料品」「包装資材」について関連する要因を整理しました。

(ⅳ)リスク・機会の評価と対応策(Assess・Prepare)

(ⅰ)~(ⅲ)までの大丸心斎橋店における生態系サービスへの依存・影響の整理を踏まえ、事業活動に影響を及ぼす自然関連リスク・機会を特定・評価するとともに、それらに対応する活動について検討しました。また、「自社にとっての重要性」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの基準に基づき、事業活動への影響を大・中・小の3段階で定性的に評価しました。

 

※3 WWF( World Wide Fund for Nature):失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行う100カ国以上で活動している環境保全団体

※4 WRI (World Resources Institute):地球の環境と開発の問題に関する政策研究と技術的支援を行う独立機関

 

<リスク・機会の評価と対応策>

項目

リスク・機会の内容

影響度

活動内容

リスク

物理

急性

・異常気象、自然災害増加による店舗休業に伴う収益の減少

・BCP整備による店舗・事業所のレジリエンス強化

・店舗の防災性能の向上

慢性

・気温上昇に伴うエネルギーコストの増加

・高効率機器への適切なタイミングでの更新

・不作、品質低下、収穫量の減少に伴う農水産物の取り扱い商品数の減少による収益の不安定化

・気温上昇や降雨パターン変化による来店客数の減少、売れ筋の変化

・重要な食品原材料の調達リスクについての論議と戦略策定

移行

政策・規制

・温室効果ガス排出量に関する規制強化によるコストの増加

・店舗における積極的な省エネ施策や再エネ切り替え拡大による温室効果ガス排出量削減

市場

・建材不足による店舗開発(外装・内装、増改築含む)の困難化、建築関連コストの増加

・国産間伐材の使用拡大

・サステナブルな商品に対する消費者の需要の高まりに応えられないことによる収益の減少

・認証商品等、環境配慮型商品の取り扱い拡大

・FSC認証等、環境配慮型包装資材への切り替え

・スマートラッピング、簡易包装の選択推進

評判

・持続可能な方法で生産された商品の調達が十分ではないことによるレピュテーションの低下

・認証商品の取り扱い拡大

・スマート納品(納品回数の削減)

・廃棄物の増加や適切な処理がなされないことによるレピュテーションの低下

・食品廃棄物削減のためのAI需要予測サービスの導入

・食品廃棄物削減に向けた従業員によるコンポストコミュニティ活動

・プラスチック資源循環法への適切な対応

機会

資源効率

・効率的な水利用に伴うコストの低減

・雨水、中水の利用

・節水機器の活用

製品・

サービス

・持続可能な資材調達による不動産開発や、エネルギー使用量削減に伴う建物の資産価値の向上

・調達ルールの整備と各種認証の獲得(CASBEE、ZEB等)を促進し、対外的に訴求

・認証品/持続可能な方法で生産された商品の取り扱い増加に伴う収益の増加

・認証商品の取り扱い拡大

・お客様への認証商品の周知と啓発

市場

・暴風雨や台風等の緩和による店舗運営の継続・維持

・生態系サービスを享受するための環境整備(立地、植生、気候特性を把握したうえでのルール作り等)

・生物多様性や景観に配慮した不動産開発、店舗運営(土地利用)に対する集客の増加

・屋上緑化、屋上都市養蜂の実施

・資源を循環するサステナブルなライフスタイルを提案することによる新規顧客の獲得に伴う収益の拡大

・ファッションサブスクリプション事業「アナザーアドレス」をはじめとしたシェアリング・アップサイクル・リユース等サーキュラー型ビジネスの拡大

資本フローと

資金調達

・建物の環境価値向上による資金調達力の向上

・新規開発物件の環境認証取得

・グリーンボンド等を活用した資金調達

評判

・屋上庭園等、憩いの場の提供によるレピュテーションの向上

・屋上緑化、屋上都市養蜂の実施

・循環型のビジネス推進によるレピュテーションの向上

・廃プラや食品廃棄物の資源循環に向けた他企業とのパートナーシップの構築(例:POOLプロジェクト、国産SAFプロジェクト等)

生態系保護・

復元・再生

・商品(特にリスクコモディティ)のトレーサビリティを向上させることによるコンプライアンスコストの低減

・アセスメントの実施等、お取引先様とのエンゲージメント強化

自然資源の

持続可能な

利用

・紙製品の使用削減、代替資材利用増加に伴う店舗ブランド価値の向上

・FSC認証等、環境配慮型包装資材への切り替え

・ペーパーレス化の実施

 

 

④指標と目標

当社グループは、生物多様性損失と気候変動は切り離せない課題であると認識しており、両者の包括的な解決を目指し、資源を効率的に循環させるための指標および目標を設定し、取り組みを進めていきます。

JFRグループの自然関連リスク・機会の管理に用いる指標と目標>

指標

目標年度

目標内容

温室効果ガス排出量

「(2)気候関連課題への対応(TCFD情報開示)④指標と目標」をご参照ください。

再エネ比率

食品リサイクル率

2030年

85%

新規開発物件の環境認証取得率

2030年

100%

 

2024年度の主な取り組み

・TNFDアダプターへの登録

当社は、2024年10月、TNFDアダプターに登録しました。TNFDの情報開示フレームワークに基づき、当社グループの事業と自然資本の関係性 (依存と影響) やリスク・機会の整理を行い、TNFDが推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスクと影響の管理」「指標と目標」の4つの視点から積極的な情報開示を進めていきます。

 

・リユース事業の立ち上げ(買い取り)

当社は、2025年3月、株式会社コメ兵と合弁会社「株式会社 JFR & KOMEHYO PARTNERS」を設立し、リユース事業を立ち上げました。2025年夏以降、大丸、松坂屋、パルコに買取専門店「MEGRÜS」(めぐらす)を順次展開する予定です。価値あるものが人から人へ受け継がれ、長く大切に使われることを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

・カーボンフットプリントを活用した環境貢献度の可視化

大丸松坂屋百貨店のファッションサブスクリプション事業「AnotherADdress(アナザーアドレス)」は、株式会社BiSUSと連携し、衣服1枚を1回レンタルする際の温室効果ガス排出量の定量化に取り組みました。アナザーアドレスを利用してファッションを楽しむ中で自然とアクションポイントが貯まり、ステージごとにお客様の温室効果ガス削減貢献度がわかる”AAD SUSTAINABILITY ACTION”をスタートしました。

※詳細は、以下のウェブサイトをご参照ください。

https://www.anotheraddress.jp/sustainability

 

 

(4)人的資本に対する考え方

当社は、2030年に目指す姿として、リテール事業を中心に3つの共創価値「感動共創」「地域共栄」「環境共生」を提供し続ける“価値共創リテーラーグループ”への変革を掲げています。未来を切り拓き、目指す姿を実現していくのは、当社グループの従業員一人ひとりの力に他なりません。当社は、従業員を最も重要な価値共創パートナーと位置づけ、一人ひとりのWill(意志・意欲、内発的動機)に寄り添いながら、会社と従業員が相互に支援・貢献することによって、共に成長していくことを目指しています。

 

<会社と従業員の価値共創の概念>

 

 (a)人財戦略の全体像

当社は、変革期と位置付けた今中期経営計画において、新たな成長パターンに転換するべく、積極的な人財投資を行い、将来の飛躍に向けた土台作りを進めていきます。

具体的には、当社が過去、全社的な合理化施策によって成し遂げた利益成長という成功体験から脱却し、多様な事業を持つJFRグループとしての総合力を発揮すべく、「人財管理」から「人財開発」へ、「オペレーション指向」から「マーケット指向」へ、「個社最適」から「グループ最適」へ、人財戦略の転換を図っていきます。

「価値共創リテーラー」の実現に向けては、グループ共通の人事領域における基本となる考え方である「人財マネジメントポリシー」を策定するとともに、経営戦略に対応した人財ポートフォリオへの転換を図ります。さらに人事各領域にて実効性のある施策を実施し、人財戦略のアウトカムとして従業員エンゲージメントおよび一人当たり生産性の向上を目指します。

 

 (b)人財マネジメントポリシー

当社は、価値共創に必要な従業員の行動・マインド変革を進めるため、グループ共通の人財マネジメントポリシー「巻き込むチカラを、面白がるココロを。」を策定しました。本ポリシーを軸に、「自らのWillを原動力とする人財」「組織を越え、つながる人財」「仕事を楽しむ人財」の採用、育成、配置、評価などを実施していきます。

 

 (c)「人財力主義」に基づく人事マネジメント

当社は、2019年度から、従業員が内包する目に見えない人財力(人財価値、性格、価値観、気質、志向・趣味)を可視化する、当社独自の「人財力主義」に基づく人事制度運用を行っています。この人財力主義に基づく人事マネジメントを継続しながら、業務遂行を通じて観察可能な知識・スキルに基づく成果発揮状況や行動・マインドを評価・サーベイ等によって把握することで当社全体における価値共創を推進していきます。

 

 

「人財価値」は、どのような状況であっても着実な成果・貢献に繋がる再現性・汎用性の視点で構成し(意志・意欲、学習力、革新・創造力、影響力、折衝力、育成力)、ステージごとに求めるレベルを設定しています。

<人財力の定義>

 

①ガバナンス

当社は、人財戦略に関する方針や具体的な施策を、業務執行の最高意思決定機関であるグループ経営会議で審議・承認しています。

これに対し、取締役会は、グループ経営会議で承認された内容の報告を受け、目標設定、対応方針、実行計画等について論議・監督を行います。

 

②リスク管理

今後、労働人口の減少による働き手の不足、および人財の流動性の高まりにより、人財獲得競争が益々激化し、人財流出の増加や優秀な人財の獲得が困難となる場合、業績への影響のみならず、当社が2030年に目指す姿「価値共創リテーラーグループ」への進化に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、人財戦略として、変革リーダーの育成、従業員による自発的な学びの支援、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進などに取り組むことにより、従業員が成長と働きがいを実感できる環境を整えていきます。またすべての従業員が心身ともに健康でいきいきと働くことができるよう、従業員一人ひとりに寄り添いながら、働きやすい職場環境づくりを進めていきます。

 

③戦略

当社は、人財マネジメントポリシーを軸に、従業員一人ひとりの力を最大化する取り組みによってこれをグループ全体の力につなげるとともに、経営戦略に対応した人的リソースの強化と再配分を通じて人財ポートフォリオの転換を図ることで、価値共創リテーラーの実現を目指します。

 

 (a)価値共創力の強化

現状の不透明な経営環境の中、当社が飛躍・成長を実現していくためには、全社で「価値共創力」を高めていくことが必要であると考えています。

「価値共創力」とは、これまで当社が主たる評価軸としてきた、スキル・知識に基づく成果発揮だけではなく、多様なステークホルダーと協働し、新たな価値を共創するために必要な行動・マインドも併せ持つ力であると定義しています。さらに具体的な能力要件、コンピテンシー、評価方法などは人財マネジメントポリシーである「巻き込むチカラを、面白がるココロを。」に沿ったものを整備していきます。

その一例として、CVC・ファンドを通じた外部研修型出向、デジタルコア人財育成、企業風土醸成企画「RED」といった取り組みの規模を拡大し、転換期における価値共創事例の創発を促進することにより、将来の飛躍を確かなものとするための基盤を創りあげます。

 

(b)マネジメント変革

従来型の階層別研修を継続しながら、評価スキル・フィードバックスキル向上および意識変革に取り組みます。また、効果的なマネジメントを実施するための適正なマネジメント範囲を検証し、必要な是正を行います。

 

(c)グループ人財交流

百貨店、SC、デベロッパー、決済・金融事業など多様なグループ企業を持つ当社の特色を生かし、グループ公募も含めた人財交流を積極的に行っています。今後、ビジネスモデルや社風の異なるグループ会社の人財交流をさらに活性化し、人的ネットワーク・ノウハウの融合やグループ最適・シナジー発揮につなげるための仕組みやルールを整備していきます。

 

(d)社内環境整備

・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

多様な個性を取り入れ、組織の力に変換していくことが持続的な成長の実現につながると考えています。そのために、若手の抜てき登用からミドル・シニア層の活性化まで、全ての従業員がその特性を活かして活躍できる環境を整えていきます。特に、従業員の半数以上が女性である当社グループにおいては、「女性活躍推進」をさらに進めることが不可欠です。これまで取り組んできた職場環境整備・働き方改革を背景とした積極的な登用を実施した結果、2023年度22.5%であった女性管理職比率は、2024年度には26.2%に上昇しました。2025年度はさらに全社的な意識改革につなげていくため、全従業員を対象に就業観やキャリア展望をヒアリングする「従業員アンケート」を実施し、この結果をもとに、社内外ネットワーキング活動、メンタリング制度、アンコンシャス・バイアス研修などを検討・実施していきます。

 

・人財確保および強化領域への重点配置

当社が「価値共創リテーラーグループ」へ進化を遂げるためには、3つの共創価値を創り出せる人財の確保・拡充が欠かせません。これに向けて当社は、人事体制の強化と採用チャネルの拡大を行い、採用力の向上を図るとともに、生産性の高い事業や新規事業を含め今後強化していく領域への人的リソース配分を強化していきます。

具体的には、新卒・若手人財に加え、高い専門性を持つ不動産・金融・財務等の人財、また、リテール事業においては、顧客ニーズをくみ取り新たなコンテンツやサービスを創造できる人財、デジタルトランスフォーメーションを牽引するデジタル人財等を中心に採用および配置を進めていきます。

また、これと並行して職場環境整備やオンボーディングの強化等にも取り組み、人財の定着支援を行います。

 

・心と身体の健康増進

従業員がエネルギー高く挑戦し続けるには、心と身体が健康であることが前提です。定期的にサーベイを行い、その結果を経営層・部門・従業員それぞれと共有し、改善につながるアクションを立案・実行するPDCAサイクルを丁寧に回していくことを通じて、従業員の創造性・生産性の高いアウトプットを支えていきます。

 

・人事体制の強化

従業員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮するためには、人事部門の役割がこれまで以上に重要となります。採用・配置・育成・評価などの現場課題にスピーディーかつ適切に対応するべく、人事部門の専門性を高めるとともに、業務の効率化を進めます。また、経営層や事業部門責任者のビジネス・パートナーとして貢献できる体制づくりに取り組みます。

 

④指標と目標

指標

2024年度実績

2026年度目標

女性管理職比率

26.2%

31%

男女賃金差異

全労働者

66.5%

キャリア開発や女性およびマネジメント向け研修など、キャリアロスを防ぐための取り組みを強化し、差異を縮小させていく

正規雇用労働者

75.0%

非正規雇用労働者

75.5%

男性育児休職取得率

132.5%

95%

エンゲージメントサーベイ 従業員満足度

68.9%

70%

エンゲージメントサーベイ 勤務推奨度

59.9%

60%

※1 管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規程に基づき算出したものです。

※2 特に記載がない限り、当社グループの集計です。

※3 労働者の男女賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金割合を示しています。

※4 2025年5月時点の指標と目標であり、今後の人財戦略に応じて、追加、見直しをする可能性があります。

 

 

(5)人権尊重

昨今、サプライチェーン上で発生する強制労働や差別など人権課題への関心が高まっており、企業には人権を尊重した事業活動が求められています。 当社は、国連が定めた「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、あらゆる事業活動の土台に人権の尊重を据え、人権デューデリジェンスに継続的に取り組むことで、従業員やお取引先様と共に人権を尊重した事業活動の実現を目指しています。

 

①ガバナンス

(a)人権方針

当社は、従業員やお取引先様と共に社会的責任を果たしていくための遵守事項として、2019年に「JFR行動原則」「JFRお取引先様行動原則」を策定し、その中に「人権方針」を定めています。人権方針は、責任あるサプライチェーンの構築を目指して当社が事業活動の中で人権を尊重した適切な対応を行うための考え方を示したものであり、すべての役員と従業員に適用され、また、お取引先様にも理解・遵守を働きかけています。

 

 

 ※ 人権方針については、以下をご参照ください。

https://www.j-front-retailing.com/sustainability/pdf/diversity04/Human_rights_policy.pdf

 

(b)推進体制

「(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

(c)人権デューデリジェンス

当社は、人権方針に基づき、人権デューデリジェンスを継続的に実施しています。2020年からサプライチェーン上の人権への悪影響を特定・評価し、人権への悪影響の防止・低減に対処しています。また、2021年からはお取引先様アセスメントを実施し、必要に応じて取引先との対話を実施しています。

 

  <人権デューデリジェンスの全体像>

 

②リスク管理

(a)リスクの特定・評価

当社の事業活動に関連して負の影響を受け得るステークホルダーの人権リスク(人権への潜在的な悪影響)については、事業全体のバリューチェーンの整理と事業内容ごとに想定される人権課題を網羅的に洗い出し、それぞれの深刻度(規模、範囲、救済困難度)および発生可能性の視点で評価したうえで、重要リスクを特定しました。事業会社の担当部門や弁護士を含む外部専門家も加わって検討を重ねることで、より実質的な人権リスクの特定・評価につなげるよう努めています。

 

JFRグループにおける重要な人権リスク>

 

③戦略

(a)考え方

当社はグループビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現に向け、事業を通じて環境・社会課題の解決を図るサステナビリティ経営を基軸に、2030年に目指す姿として、リテール事業を中心に「感動共創」「地域共栄」「環境共生」の3つの共創価値を提供し続ける“価値共創リテーラー”であることを掲げています。

これを実現していくためには、様々なステークホルダー(お取引先様やビジネスパートナー、従業員や地域社会など)の皆様と共に、人権尊重を含むサプライチェーン上の社会的責任を果たしていくことが、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長の基盤として欠かせないと考えていることから、マテリアリティに「価値共創するパートナーを増やす」を特定しています。人権尊重については、人権デューデリジェンスに継続的に取り組み、その実効性を高めていくことを目指しています。

 

マテリアリティ

コミットメント

価値共創するパートナーを増やす

持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティに対する思いや考えを共有し、人権デューデリジェンスなどの社会的責任とともに、「感動共創」「地域共栄」「環境共生」の価値創出に向けたパートナー基盤をつくる。

 

(b)具体的な活動

(i)人権リスク防止・軽減の取り組み

JFRお取引先様行動原則の浸透

当社は、人権方針を含む「JFRお取引先様行動原則」を2019年に策定し、お取引先様に対しては、自社の調達先も含めて、本原則をご理解、遵守いただけるよう働きかけを行っています。

 

JFRお取引先様行動原則については、以下のウェブサイトをご参照ください。

https://www.j-front-retailing.com/sustainability/supply-chain/supply-chain02.html

 

 

・従業員教育

当社は、2020年に「ハラスメント撲滅宣言」を策定し、人権リスクのひとつと捉えているハラスメントの撲滅と未然防止に努めています。アルバイトや派遣社員等を含む従業員を対象に、毎年ハラスメントアンケートを実施し、その結果を踏まえた管理職向けの人権研修を実施しています。また、従業員一人ひとりが人権の尊重に対する見識を深め、自分ごととして取り組むことができるよう、グループ全従業員を対象としたeラーニングを2023年から実施しています。

 

・ハラスメント相談窓口

当社は、ハラスメントの撲滅と未然防止に向け、「ハラスメント防止対策委員会」「ハラスメント相談窓口」をグループ各社に設置し、問題発生時の迅速な対応や再発防止に取り組んでいます。

 

・内部通報制度(JFRグループコンプライアンス・ホットライン)

当社の内部通報制度は、全役員・従業員および当社で勤務する全ての人(アルバイト・お取引先派遣者を含む)が、当社内における人権侵害や腐敗行為を含むコンプライアンス上の問題についてコンプライアンス委員会に直接通知し是正を求めることが可能です。

通報窓口は、社内のほか社外(顧問弁護士)にも設置し、公益通報者保護法に則り、通報者の秘密保護のほか、通報者に対する不利益取り扱いの禁止について、社内規程で厳格に規定しています。

 

(ⅱ)人権に関するアセスメントの実施

当社は、サプライチェーン全体での取り組みが求められる事項について、お取引先様の取り組み状況を確認するアセスメントを2021年から実施しています(原則として隔年実施)。2回目となる2023年は、人権尊重に重点を置いて実施しました。

 

※アセスメント詳細については、以下をご参照ください。サステナビリティレポート2024 p40

https://www.j-front-retailing.com/ir/library/pdf/sustainability/2024/J_FRONT_2024_J.pdf

 

 

④指標と目標

(a)人権への取り組みに対する指標と目標は以下のとおりです。

 

指標

目標

2026年

2030年

人権アセスメント結果

(B評価以上の割合)

 35%

45%

※2023年度実績31.7%

 

 

(b) 2024年度の主な取り組み

・取引先との対話の実施

2023年度のアセスメント結果を踏まえ、グループ全体で計112 社と対話(直接対話だけではなく、メールでのやり取り含む)を実施し、事業活動におけるビジネスと人権の取り組みの重要性について認識を共有しました。

 

・お取引先様向けWEBセミナーの実施

2023年度のアセスメントでは「ビジネスと人権に関する基本的な枠組みがわからない」「具体的に何をすればよいか、情報・知識面でのサポートが欲しい」というご意見が多くあったことから、当社は、2025年1月、外部有識者によるWEBセミナーを初めて実施し、人権尊重の重要性や基礎知識の理解促進を図りました(63社参加)。

 

・従業員向けeラーニング

グループ全従業員を対象としたビジネスと人権に関するeラーニングを実施しました(2024年12月実施、受講率:83.6%)。

 

・第三者レビューの実施

当社は、人権デューデリジェンスへの取り組み、2023年アセスメントの対象範囲や質問内容、また実施後の対応等について、外部有識者による客観的な視点でのレビューを受けました。

※詳細については、以下をご参照ください。サステナビリティレポート2024 p42

https://www.j-front-retailing.com/ir/library/pdf/sustainability/2024/J_FRONT_2024_J.pdf

 

・カスタマーハラスメントに対する基本方針

大丸松坂屋百貨店は、2024年12月、カスタマーハラスメント対応方針を策定しました。それまでは、社内のカスタマーハラスメント対応ガイド(2022年策定)に基づいて各店舗で研修を実施し、アルバイトや取引先派遣者を含む従業員をカスタマ―ハラスメントから守るための体制構築や具体的な対応内容の周知を行ってきましたが、これを方針として明文化しました。

※カスタマーハラスメント対応方針については、以下のウェブサイトをご参照ください。

https://www.daimaru-matsuzakaya.com/customer-harassment.html