人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数185名(単体) 5,277名(連結)
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平均年齢47.9歳(単体)
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平均勤続年数15.0年(単体)
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平均年収8,059,030円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2024年2月29日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
百貨店事業 |
2,945 |
〔1,361〕 |
SC事業 |
496 |
〔111〕 |
デベロッパー事業 |
855 |
〔381〕 |
決済・金融事業 |
256 |
〔24〕 |
その他 |
540 |
〔199〕 |
全社(共通) |
185 |
〔16〕 |
合計 |
5,277 |
〔2,092〕 |
(注)1 従業員数は就業人員であります。
2 従業員数欄の〔外書〕は、専任社員、有期雇用の嘱託及びパートナーであります。
(2)提出会社の状況
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2024年2月29日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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185 |
〔16〕 |
47.9 |
15.0 |
8,059,030 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
全社(共通) |
185 |
〔16〕 |
合計 |
185 |
〔16〕 |
(注)1 従業員数は就業人員であり、株式会社大丸松坂屋百貨店をはじめとしたグループ会社からの出向者を含みます。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 従業員数欄の〔外書〕は、専任社員、有期雇用の嘱託及びパートナーであります。
4 平均勤続年数は、当社グループからの出向者等については、各社での勤務年数を通算して算出しております。
(3)労働組合の状況
当社グループには、J.フロント リテイリンググループ労働組合連合会があり、UAゼンセンに加盟しております。
会社と組合との関係は、相互信頼に基づき良好であり、特記すべき事項はありません。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営
当社グループは300年、400年という歴史の中で数々の危機に遭遇してきました。そうした状況に直面するたびに、「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」という社是に立ち返り、お客様や社会の変化を機敏に捉えながら事業活動を愚直に実践してきたことが、今日の経営につながっています。社会との共存なくして企業の発展はありません。いま経営には、一層の長期視点により、社会に存在意義を放つ将来のあるべき企業像を描くことが不可欠となっています。地球温暖化、海洋汚染、生物多様性の喪失など地球環境問題の深刻化、サプライチェーン上の人権問題などの課題から目を背けて企業活動を行うことができないのは明らかです。そのような課題の解決に向けたサステナビリティの概念を企業戦略や事業戦略に組み込み、融合して推進することにより、将来の成長に向けた持続可能な経営の枠組みを獲得できるものと考えています。
このような考えのもと、当社は、持続可能な社会とくらしのあたらしい幸せの実現に向けて、環境・社会課題の解決と企業の成長を両立させるCSV(共通価値の創造)を実践することで、サステナビリティ経営を推進し、ステークホルダーの皆様の「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」に貢献していきます。
<サステナビリティ経営の全体像>
①ガバナンス
当社グループは、環境や社会課題への対応などサステナビリティに対する具体的な取り組み方針を、業務執行の最高意思決定機関であるグループ経営会議で審議・承認しています。グループ経営会議で承認された事項は、代表執行役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会で全事業会社に共有されます。あわせて、サステナビリティ委員会では、各事業会社の実行計画及び進捗モニタリングを行っており、グループ全体の取り組みの実効性を高めています。
これに対し、取締役会は、グループ経営会議で承認された内容及びサステナビリティ委員会での活動内容の報告を受け、目標設定、対応方針、実行計画等について論議・監督を行っています。
・取締役のスキルマトリックス
当社は、取締役候補者の選任にあたり、取締役に期待する専門性および経験等についてスキルマトリックスで明確にしています。サステナビリティ経営の推進を踏まえ、当社ではスキル項目として「環境」「社会」「ガバナンス」「人財・組織開発」を特定し、サステナビリティへの取り組みを適切に監督できる取締役を選任しています。
※スキルマトリックスについては、以下をご参照ください。
第17期招集通知
https://www.j-front-retailing.com/ir/stock/pdf/240418_Notice_of_Convocation_J.pdf
・非財務指標を取り入れた役員報酬制度
当社は、役員報酬制度における業績連動株式報酬を決定する非財務指標として、2021年度から「Scope1・2温室効果ガス排出量削減率」及び「女性管理職比率」を設定しています。これらは、中期経営計画のKPIとも連動しており、目標達成に向けた執行役の責任を明確化するとともに、サステナビリティ経営を実現・推進するためのインセンティブとして機能するようにしています。
※役員報酬制度については、「4 コーポレートガバナンスの状況等(4)役員の報酬等」をご参照ください。
<JFRグループ サステナビリティマネジメント体制>
<サステナビリティ委員会の主な議題>
2022年 |
4月 |
・外部講師講演 「ESG・サステナビリティ経営」 ・女性活躍推進プロジェクトの進め方 ・第1回お取引先様アセスメント(環境・人権)結果報告 ・2021年度進捗報告及び2022年度サステナビリティ実行計画 |
5月 |
・外部講師講演 「経営戦略としてのダイバーシティ」 |
|
9月 |
・女性活躍推進プロジェクト経過報告と今後の方向性 ・2022年度上期進捗報告 |
|
2023年 |
4月 |
・外部講師講演 「ビジネスと人権」 ・各事業会社のダイバーシティ&インクルージョン推進の取り組み状況 ・従業員意識調査結果報告 ・2022年度進捗報告及び2023年度サステナビリティ実行計画 |
9月 |
・外部講師講演「生物多様性対応の概要と必要性」 ・第2回お取引先様アセスメント実施概要 ・2023年度上期進捗報告 |
②リスク管理
当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面の双方に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。
※サステナビリティ関連のリスクを含む、中期的に当社のグループ経営において極めて重要度の高いリスクの詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
また、環境関連については、「(2)気候関連課題への対応(TCFD情報開示)②リスク管理」を、
人的資本については「(4)人的資本に対する考え方 ②リスク管理」をあわせてご参照ください。
③戦略
当社は、2024年度からスタートした中期経営計画の策定にあたり、マテリアリティの見直しを行い、5つのテーマを特定しました。マテリアリティへの取り組みを、課題の解決にとどまらず企業成長に結びつけていくため、事業戦略と融合させ推進します。このため、従来に増して従業員一人ひとりの熱量と行動が重要であるとの考えから、能動的な表現に変更しました。事業戦略については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
※サステナビリティ重要課題特定プロセスの詳細は、以下のウェブサイトをご覧ください。
④指標と目標
サステナビリティに関する主な指標と目標は、以下のとおりです。
指標 |
目標内容 |
温室効果ガス排出量 |
2050年までにScope1・2・3温室効果ガス排出量ネットゼロを目指す |
2026年、Scope1・2温室効果ガス排出量58%削減(2017年度比) 2030年、同60%削減 |
|
2030年、Scope3温室効果ガス排出量40%削減を目指す(2017年度比) |
|
事業活動で使用する電力に占める再エネ比率 |
2050年、100% |
2030年、60% |
|
食品リサイクル率 |
2030年、85% |
環境配慮型商品の展開 |
2030年、認証商品を含む環境配慮型商品の取扱高拡大 |
新規開発物件の 環境認証取得率 |
2030年、100% |
女性管理職比率 |
2026年、31% |
男女賃金格差 |
2026年、キャリア開発や女性及びマネジメント層向け研修など、キャリアロスを防ぐための取り組みを強化し、差異を縮小させていく |
男性育児休職取得率 |
2026年、95% |
離職率 |
2026年、5.3%以下 |
(2)気候関連課題への対応(TCFD情報開示)
昨今、気候変動は極めて深刻なレベルまで進行し、将来世代はもちろんのこと、現世代の私たちを含め人類がその危機にさらされています。
当社は、気候変動への対応をサステナビリティ経営上の重要課題と位置づけています。気候変動に伴うリスクや機会は、当社グループの事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、2050年までのバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロ※を目指し、「温室効果ガス排出量削減」と「サーキュラー・エコノミーの推進」の両輪でその対策に取り組んでいます。
※温室効果ガス排出量を徹底して削減し、残りの排出量について、森林吸収やCCS(CO2の回収・貯留)等による除去量を差し引いて実質ゼロにすること
①ガバナンス
「(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営 ①ガバナンス」をご参照ください。
②リスク管理
(a)環境関連リスク・機会の特定・評価プロセスの詳細 当社グループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しており、企業が適切に対応することで、持続的な成長につながると考えています。 環境関連リスク・機会に関しても、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、プラスとマイナスの両面から以下のプロセスで特定・評価を行っています。 はじめに、バリューチェーンプロセスの活動項目ごとに、リスク・機会を特定します。次に、その中から「自社にとっての重要性」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの基準に基づき評価しています。 ※詳細は、次の③戦略をご参照ください。 |
<リスク管理プロセス>
|
(b)環境関連リスクの管理プロセスの詳細 当社グループは、環境関連のリスクについて、サステナビリティ委員会の中でより詳細に検討を行い、各事業会社と共有化を図っています。各事業会社では、環境関連の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業会社社長を長とする会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。その内容について、グループ経営会議やリスクマネジメント委員会及びサステナビリティ委員会において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。 |
<リスク管理体制>
|
(c)全社リスク管理の仕組みへの統合状況
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
③戦略
(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細
当社グループは、気候関連リスク・機会は、長期間にわたり自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切なマイルストーンにおいて検討することが重要であると考えています。それを踏まえ、当社グループは、中期経営計画の実行期間である2026年度までを短期、SBT(Science Based Targets)※における短期目標年度である2030年度までを中期、SBTネットゼロ目標年度である2050年度までを長期と位置づけました。
※企業が最新の気候科学に沿った野心的な排出削減目標の設定を可能にすることを目的として、2014年、CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が共同で設立
<JFRグループにおける気候関連リスク・機会の検討期間の定義>
気候関連リスク・機会の検討期間 |
JFRグループの定義 |
|
短期 |
2026年度まで |
中期経営計画の実行期間 |
中期 |
2030年度まで |
SBTにおける短期目標年度までの期間 |
長期 |
2050年度まで |
SBTネットゼロ目標年度までの期間 |
(b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度
当社グループは、気候変動が当社グループに与えるリスク・機会とそのインパクトの把握、及び2030年度時点の世界を想定した当社グループの戦略のレジリエンス、そしてさらなる施策の必要性の検討を目的に、シナリオ分析を実施しています。
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、及び新たな気候関連政策・規制は導入されない世界を想定した4℃シナリオの2つの世界を想定しています。
この2つのシナリオを踏まえ、百貨店やショッピングセンターなどリテール事業を主軸とする当社グループは、バリューチェーンプロセスの活動項目ごとに、TCFD提言に沿って、気候関連リスク・機会を抽出しました。その上で、気候変動がもたらす移行リスク(政策規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、気候変動への適切な対応による機会(資源効率、エネルギー源、製品及びサービス、市場、レジリエンス)を特定しました。
<参照した既存シナリオ>
想定される世界 |
既存シナリオ |
1.5℃/2℃未満シナリオ |
「Net‐Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA、2023年) |
「Representative Concentration Pathways (RCP2.6)」(IPCC、2014年) |
|
4℃シナリオ |
「Stated Policy Scenario(STEPS)」(IEA、2023年) |
「Representative Concentration Pathways (RCP8.5)」(IPCC、2014年) |
(c)関連するシナリオに基づくリスク・機会及び財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス
当社グループは、特定した気候関連リスク・機会の中から、「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの基準に基づき、その重要性を評価しました。特に重要性が高いと評価した項目について、2030年度を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、及び4℃シナリオの2つのシナリオにおける財務影響を定量、定性の両側面から評価し、それぞれの対応策を策定しました。
なお、財務影響を定量的に評価するための情報が入手困難なリスク・機会については、定性的に評価し、その結果を矢印の傾きによって3段階で表示しています。
<JFRグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会、および2030年度の財務影響>
|
JFRグループの事業及び財務への影響が非常に大きくなることが想定される |
|
JFRグループの事業及び財務への影響が大きくなることが想定される |
|
JFRグループの事業及び財務への影響が軽微であることが想定される |
気候関連 リスク・機会の種類 |
発現時期 |
JFRグループにとって 特に重要な 気候関連リスク・機会 |
財務影響 |
対応策 |
||||
短期 |
中期 |
長期 |
1.5℃/2℃ 未満 シナリオ |
4℃ シナリオ |
||||
リスク |
移行 リスク |
● |
● |
|
・炭素税等の導入に伴うコストの増加 |
約15億円※1 |
約13億円※1 |
・2050年ネットゼロ目標達成に向けた店舗における積極的な省エネ施策や再エネ切り替え拡大による温室効果ガス排出量削減 |
● |
● |
● |
・環境性能の高い物件の開発と設備導入に係るコストの増加 |
|
|
・グリーンボンド等を活用した資金調達 ・コスト効率的な設備導入 |
||
● |
● |
● |
・高効率省エネルギー機器導入に係る投資の増加 |
|
|
・インターナルカーボンプライシングの導入 ・コスト効率的かつ計画的な投資の検討 |
||
● |
● |
|
・再エネ由来電力需要増による再エネ調達コストの増加 |
約7億円※2 |
約3億円※2 |
・インターナルカーボンプライシングの導入 ・再エネ調達手法の分散化による再エネ調達リスクの低減と中長期的なコストの低減 ・自社施設への再エネ設備導入等、再エネ自給率の向上 |
||
物理 リスク |
● |
● |
|
・自然災害による店舗休業に伴う収益の減少 |
約52億円※3 |
約103億円※3 |
・BCP整備による店舗・事業所のレジリエンス強化 ・店舗の防災性能の向上 |
|
機会 |
エネルギー源 |
● |
● |
● |
・高効率省エネルギー機器導入によるエネルギー調達コストの減少 |
約4億円※4 |
・エネルギー高効率機器への適切なタイミングでの更新 |
|
製品 及び サービス |
● |
● |
|
・環境配慮型商品・サービスの需要増への対応によるバリューチェーン全体の脱炭素化及び収益の拡大 |
|
|
・環境配慮型商品・サービスの取扱い拡大 ・廃食油を国産SAFとして再資源化 ・AI需要予測システムの活用による食品廃棄物削減等、お取引先様との協働による取り組み ・お取引先様への温室効果ガス排出量算定に関する働きかけ、Scope3排出量データの連携を目的とした説明会の実施等、脱炭素化に向けたお取引先様との対話 |
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市場 |
● |
● |
● |
・サーキュラー型ビジネスへの新規参入による新たな成長機会の拡大 ・サステナブルなライフスタイルを提案することによる新規顧客の獲得に伴う収益の拡大 |
|
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・ファッションサブスクリプション事業「アナザーアドレス」をはじめとしたシェアリング・アップサイクル等サーキュラー型ビジネスの拡大 ・M&AやCVC※投資を有効活用したサーキュラー型ビジネスの立ち上げ |
|
● |
● |
● |
・環境価値の高い店舗への転換による新たなテナントの獲得機会増に伴う収益の拡大 |
約25億円※5 |
― |
・新規開発物件の環境認証の取得(ZEB、CASBEE等) ・RE100実現に向けた店舗の再エネ化の促進 |
※CVC(Corporate Venture Capital): 将来性のあるスタートアップ企業への投資を通じて、事業共創を効率的・効果的に推進する仕組み。当社は、2022年度、「JFR MIRAI CREATORS Fund」を設立し、オープンイノベーションを推進。
(2030年度時点を想定した定量的財務影響の算出根拠)
※1 2030年度時点のJFRグループScope1・2温室効果ガス排出量に1t-CO2あたりの炭素価格を乗じて試算
(パラメータ:1.5℃シナリオ 140$/t-CO2、4℃シナリオ 120$/t-CO2)
※2 2030年度時点のJFRグループ電気使用量に通常の電気料金と比較した1kWhあたりの再エネ由来電気料金価格高を乗じて試算
※3 過去の自然災害による店舗休業に伴う売上損失額に将来の洪水発生頻度を乗じて試算
(出典:「Representative Concentration Pathways (RCP2.6)(RCP8.5)」(IPCC、2014年))
※4 2030年度時点のJFRグループ省エネルギー量にエネルギー調達コストを乗じて試算
※5 2030年度時点のJFRグループ不動産収益に環境認証取得ビルの新規成約賃料への影響度合いを乗じて試算
上記シナリオを前提に気候変動がもたらす影響を分析し、その対応策を検討した結果、いずれのシナリオ下においても、当社グループが既に実施している施策及び計画している施策が、リスクを低減し、機会の実現に貢献できる実効性、柔軟性を有していることを確認しました。今後も経営のレジリエンスを高めることにつなげていきます。
・JFRグループ 2050年ネットゼロ移行計画
当社グループは、2050年ネットゼロの実現に向け、中長期視点から戦略を強化していく必要があると考えています。そのため、当社グループは、2050年ネットゼロ実現に向けた移行計画を策定しました。同計画では、事業戦略において、マイナスのリスクに対しては適切な回避策を策定する一方、プラスの機会に対しては、マーケット変化へ積極的に対応する等、新たな成長機会の獲得を目指すため、短期・中期・長期的視点から、具体的取り組みを明確化しています。
2024年2月には、インターナルカーボンプライシング(ICP)を設定しました。社内におけるCO2排出量を金額換算することにより、CO2に対する削減効果と削減コストを可視化し、脱炭素への意識醸成や脱炭素投資と連動した意思決定の促進を目的としています。将来の炭素税等の発生コストを見通して先手で対策を講じて取り組むことは、長期視点ではコスト減、また事業創出の機会にもつながると考えています。
また、当社のScope3温室効果ガス排出量は、その90%以上をカテゴリ1(調達した製品・サービス)が占めているため、自社コントロール及び自社努力による削減が極めて難しく、バリューチェーン全体で協働して削減に取り組むことが必要です。このため、当社は、お取引先様に温室効果ガス排出量の算定を働きかけるとともに、既に算定済のお取引先様とは削減目標の設定を依頼するなど、対話を通じて段階的に取り組みを進めていきます。
<2050年ネットゼロ移行計画※>
④指標と目標
(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標
当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3温室効果ガス排出量、及び事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率の2つの指標を定めています。
(b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)
当社グループは、2017年度から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。当社グループの2023年度Scope1・2温室効果ガス排出量は、約8.2万t-CO2(2017年度比57.5%削減)、Scope3温室効果ガス排出量は、約289.8万t-CO2(2017年度比1.0%削減)を見込んでいます。また、再エネ比率は52.9%となる見通しです。なお、2023年度のScope1・2・3温室効果ガス排出量および再エネ電力使用量については、第三者保証を取得予定です。
<JFRグループ Scope1・2・3温室効果ガス排出量実績及び見通し> (単位:t-CO2)
|
2017年度 |
2022年度 |
2023年度見通し |
||
実績※1 |
実績※1 |
見通し |
2017年度比 (基準年度比) |
||
Scope1・2排出量 合計 |
194,154 |
109,785 |
82,450 |
▲57.5 % |
|
内訳 |
Scope1排出量 |
16,052 |
13,714 |
13,720 |
▲14.5 % |
Scope2排出量 |
178,102 |
96,071 |
68,730 |
▲61.4 % |
|
Scope3排出量※2 合計 |
2,927,320 |
2,761,669 |
2,898,650 |
▲1.0% |
|
再エネ比率(%) |
- |
33.6 |
52.9 |
- |
※1 LRQAリミテッドによる第三者保証を取得
※2 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer.2.6(2024年3月 環境省 経済産業省)」・「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer.3.4(2024年3月)」・IDEAv2.3(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)に基づき算出
(c)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標及び実績
当社グループは、世界全体の1.5℃目標達成のため、2018年に長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、2019年にScope1・2・3温室効果ガス排出量削減目標についてSBTイニシアチブによる認定を取得しました。2021年には、2030年のScope1・2温室効果ガス排出量削減目標を従来の40%から60%削減(基準年2017年度比)に引き上げ、「1.5℃目標」としてSBT認定を再取得しました。そして、2023年2月には、Scope1・2・3温室効果ガス排出量について、2050年までの「ネットゼロ目標」のSBT認定を取得しました。
これらの長期目標達成のため、当社グループは、2019年度から、自社施設における再エネ由来電力の調達を開始し、2020年10月に「RE100※」に加盟し、2050年までに、事業活動で使用する電力に占める再エネ比率100%を目指します。また、その中間目標として、2030年までに、事業活動で使用する電力に占める再エネ比率60%を目指します。
今後も、2050年までのネットゼロの実現に向け、再エネ由来電力の調達拡大に取り組みます。
※事業活動で使用する電力を2050年までに100%再生可能エネルギーにすることを目標とする国際的イニシアチブ
<JFRグループの気候関連リスク・機会の管理に用いる目標>
指標 |
目標年度 |
目標内容 |
温室効果ガス排出量 |
2050年 |
Scope1・2・3温室効果ガス排出量ネットゼロ※1 |
2030年 |
Scope1・2温室効果ガス排出量60%削減(2017年度比)※1 Scope3温室効果ガス排出量40%削減を目指す(2017年度比)※1 |
|
事業活動で使用する 電力に占める再エネ比率 |
2050年 |
100%※2 |
2030年 |
60% |
※1 SBT認定取得
※2 2020年 RE100に加盟
今後も、当社グループは、取締役会による監督体制のもと、環境マネジメントにおけるガバナンスの強化を進め、中長期の目標達成に向けた実行計画の立案・推進等、全社的な取り組みを進めていきます。
(3)自然関連課題への対応(TNFD情報開示)
近年の課題として、企業には、事業活動における自然への影響を把握し、生物多様性の損失を止め、その回復に貢献することが求められています。百貨店やショッピングセンターなどリテール事業を主軸とする当社グループは、お取引先様やお客様、また地域社会など様々なステークホルダーとの接点を持っています。このつながりをいかして、私たちは、事業を通じて環境配慮型商品の調達や自然との共生を意識したライフスタイルの提案、また環境性能の高い店舗開発等、ネイチャーポジティブに向けた取り組みを推進していきます。
・TNFDフォーラムへの参画
当社は2023年11月、自然関連財務情報開示タスクフォース (TNFD : Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)※1の理念に賛同し、その活動を支援するTNFDフォーラム※2に参画しました。TNFDの情報開示フレームワークに基づき、当社グループの事業と自然資本の関係性 (依存と影響) やリスク・機会の整理を行い、積極的な情報開示を進めていきます。
※1 TNFDは、自然関連のリスクと機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築する国際的な組織です。企業や金融機関に対して自然資本に関する情報開示を促し、世界の資金の流れをネイチャーポジティブに移行させることを目指しています。
※2 TNFDフォーラムは、クロスセクター分野の専門知識を有する企業・政府機関・学術機関などで構成され、情報開示フレームワークの策定に向けた支援やTNFDに関連する最新情報の提供などを行っています。
①ガバナンス
「(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営 ①ガバナンス」をご参照ください。
②リスク管理
「(2)気候関連課題への対応(TCFD情報開示) ②リスク管理」をご参照ください。
③戦略
(a)自然への依存と影響
当社グループの事業は、農産物、畜産物、水産物、木材や水などの資源に加え、土壌や森林、四季のある気候等、多くの自然の恵み(生態系サービス)を享受することで成り立っています。その一方で、私たちの事業活動は、温室効果ガスの排出や、廃棄物の排出、排水など、自然環境に様々な影響を与えています。当社は、自社の事業活動と自然環境との関係、具体的には両者の「依存」と「影響」について把握し、対応することが重要だと認識しています。
<事業活動と生態系サービスとの関わり>
(b)LEAP※アプローチを考慮した自然関連課題等の評価
LEAPアプローチとは、TNFDが推奨する、自然との接点、自然との依存関係、インパクト、リスク・機会など、自然関連課題の評価のための統合的なプロセスです。
2023年度は、当社グループの主要事業会社である大丸松坂屋百貨店が全国各地に有する百貨店15店舗を対象に、LEAPアプローチを考慮した自然関連課題等(依存・影響、リスク・機会)の特定・評価を実施しました。
※ LEAP : Locate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の4つのフェーズ
(i)依存と影響の外観(Locate)
百貨店事業におけるバリューチェーン全体の依存・影響及びその程度をTNFDが推奨する自然への依存・影響を特定するツール「ENCORE」をベースに把握、ヒートマップを作成し、直接操業(店舗運営や店舗開発)及びバリューチェーン上流(調達)における自然資本への依存・影響の度合いを確認しました。
(ⅱ)リスク・機会を評価する店舗の特定(Locate)
WWFの「Risk Filter Suite」(生態系と水のリスク分析ツール)、WRIの「Aqueduct」(水リスク分析ツール)等を用いて、各店舗所在地における生態系の状況を確認し、さらに、当社独自の基準(土地建物の所有状況、売上規模等)と合わせ重要性評価を行いました。その結果、大丸心斎橋店を生物多様性保全における特に重要性の高い店舗と特定しました。
(ⅲ)自然に対する依存・影響の要因整理(Evaluate)
大丸心斎橋店での事業活動のうち、バリューチェーンにおける生態系サービスへの依存と影響が大きい「店舗開発」「衣料品・食料品」「包装資材」について関連する要因を整理しました。
(ⅳ)リスク・機会の評価と対応策(Assess・Prepare)
(ⅰ)~(ⅲ)までの大丸心斎橋店における生態系サービスへの依存・影響の整理を踏まえ、事業活動に影響を及ぼす自然関連リスク・機会を特定・評価するとともに、それらに対応する活動について検討しました。また、「自社にとっての重要性」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの基準に基づき、事業活動への影響を大・中・小の3段階で定性的に評価しました。
<リスク・機会の評価と対応策>
項目 |
リスク・機会の内容 |
影響度 |
活動内容 |
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リスク |
物理
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急性 |
・異常気象、自然災害増加による店舗休業に伴う収益の減少 |
大 |
・BCP整備による店舗・事業所のレジリエンス強化 ・店舗の防災性能の向上 |
慢性 |
・気温上昇に伴うエネルギーコストの増加 |
中 |
・高効率省エネルギー機器への適切なタイミングでの更新 |
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・不作、品質低下、収穫量の減少に伴う農水産物の取り扱い商品数の減少による収益の不安定化 ・気温上昇や降雨パターン変化による来店客数の減少、売れ筋の変化 |
中 |
・重要な食品原材料の調達リスクについての論議と戦略策定 |
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移行 |
政策・規制 |
・温室効果ガス排出量に関する規制強化によるコストの増加 |
中 |
・店舗における積極的な省エネ施策や再エネ切り替え拡大による温室効果ガス削減 |
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市場 |
・建材不足による店舗開発(外装・内装、増改築含む)の困難化、建築関連コストの増加 |
小 |
・国産間伐材の使用拡大 |
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・サステナブルな商品に対する消費者の需要の高まりに応えられないことによる収益の減少 |
大 |
・認証商品等、環境配慮型商品の取り扱い拡大 ・FSC認証等、環境配慮型包装資材への切り替え ・スマートラッピング、簡易包装の選択推進 |
|||
評判 |
・持続可能な生産方法で生産された商品の調達が十分ではないことによるレピュテーションの低下 |
中 |
・認証商品の取り扱い拡大 ・スマート納品(納品回数の削減) |
||
・廃棄物の増加や適切な処理がなされないことによるレピュテーションの低下 |
中 |
・食品廃棄物削減のためのAI需要予測サービスの導入 ・食品廃棄物削減に向けた従業員によるコンポストコミュニティ活動 ・プラスチック資源循環法への適切な対応 |
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機会 |
資源効率 |
・効率的な水利用に伴うコストの低減 |
小 |
・雨水、中水の利用 ・節水機器の活用 |
|
製品・ サービス |
・持続可能な資材調達による不動産開発や、エネルギー使用量削減に伴う建物の資産価値の向上 |
大 |
・調達ルールの整備と各種認証の獲得(CASBEE、ZEB等)を促進し、対外的に訴求 |
||
・認証品/持続可能な生産方法で生産された商品の取り扱い増加に伴う収益の増加 |
大 |
・認証商品の取り扱い拡大 ・お客様への認証商品の周知と啓発 |
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市場 |
・暴風雨や台風等の緩和による店舗運営の継続・維持 |
大 |
・生態系サービスを享受するための環境整備(立地、植生、気候特性を把握したうえでのルール作り等) |
||
・生物多様性や景観に配慮した不動産開発、店舗運営(土地利用)に対する集客の増加 |
中 |
・屋上緑化、屋上都市養蜂の実施 |
|||
資本フローと 資金調達 |
・建物の環境価値向上による資金調達力の向上 |
大 |
・新規開発物件の環境認証取得 ・グリーンボンド等を活用した資金調達 |
||
評判 |
・屋上庭園等、憩いの場の提供によるレピュテーションの向上 |
中 |
・屋上緑化、屋上都市養蜂の実施 |
||
・循環型のビジネス推進によるレピュテーションの向上 |
中 |
・廃プラや食品廃棄物の資源循環に向けた他企業とのパートナーシップの構築(例:POOLプロジェクト、国産SAFプロジェクト等) |
|||
生態系保護・ 復元・再生 |
・商品(特にリスクコモディティ)のトレーサビリティを向上させることによるコンプライアンスコストの低減 |
小 |
・アセスメントの実施等、お取引先様とのエンゲージメント強化 |
||
自然資源の 持続可能な 利用 |
・紙製品の使用削減、代替資材利用増加に伴う店舗ブランド価値の向上 |
小 |
・FSC認証等、環境配慮型包装資材への切り替え ・ペーパーレス化の実施 |
④指標と目標
当社グループは、生物多様性損失と気候変動は切り離せない課題であると認識しており、両者の包括的な解決を目指すための指標及び目標を設定し、取り組みを進めていきます。
<JFRグループの自然関連リスク・機会の管理に用いる指標と目標>
指標 |
目標年度 |
目標内容 |
温室効果ガス排出量 |
「(2)気候関連課題への対応(TCFD情報開示)④指標と目標」をご参照ください。 |
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再エネ比率 |
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食品リサイクル率 |
2030年 |
85% |
環境配慮型商品の展開 |
2030年 |
認証商品を含む環境配慮型商品の取扱高拡大 |
新規開発物件の環境認証取得率 |
2030年 |
100% |
今後は、取り組みの優先度を検討し、範囲を広げていくとともに、主要なお取引先様を対象とした生物多様性に関するアセスメントの実施など積極的なコミュニケーションを行うことで、ネイチャーポジティブへの取り組みの実効性を向上させていきます。また、認証商品の取り扱いの拡充などにより、お客様の意識向上にも取り組みます。
※気候関連課題及び自然関連課題に対する詳細は、別途発行予定のTCFDレポート・TNFDレポートにて開示します。
(4)人的資本に対する考え方
当社を取り巻く環境は、テクノロジーの進化をはじめ、その変化のスピードは加速し、不確実性は一層高まっています。こうした経営環境の中で当社グループの未来を切り拓くことができるのは人財のみであると考えています。
当社は、従業員を最も重要な価値共創パートナーとして位置づけ、一人ひとりのWill(意志・意欲、内発的動機)に寄り添い、持てる力を最大限発揮するための制度や環境整備、キャリア形成などの成長支援を通じて、「従業員のWill実現」を会社の成長の原動力とし、グループビジョンの実現を目指しています。
<JFR人的資本経営の概念>
・「人財力主義」に基づく人事マネジメント
当社は職務型人事制度を経て、2019年度から当社独自の「人財力主義」に基づく人事制度を運用しています。これは、従業員一人ひとりの成果・行動・知識/スキルといった表出している部分に加え、従業員が内包する目に見えない人財力(人財価値、性格、価値観、気質、志向・趣味)を丁寧に可視化し、適正な配置と評価を行うことで、仕事を通じた成長を促進していく人事マネジメントです。
「人財価値」は、どのような状況であっても着実な成果・貢献に繋がる再現性・汎用性の視点で構成し(意志・意欲、学習力、革新力・創造力、影響力、折衝力、育成力)、ステージごとに求めるレベルを設定しています。 |
<人財力の定義>
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①ガバナンス
「(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営 ①ガバナンス」をご参照ください。
②リスク管理
今後、労働人口の減少による働き手の不足、および人財の流動性の高まりにより、人財獲得競争が益々激化し、人財流出の増加や優秀な人財の獲得が困難となる場合、業績への影響のみならず、当社が2030年に目指す姿「価値共創リテーラーグループ」への進化に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、人財戦略として、変革リーダーの育成、従業員による自発的な学びの支援、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進などに取り組むことにより、従業員が成長と働きがいを実感できる環境を整えていきます。またすべての従業員が心身ともに健康でいきいきと働くことができるよう、従業員一人ひとりに寄り添いながら、働きやすい職場環境づくりを進めていきます。
③戦略
人財育成方針
従業員の意志・意欲、内発的動機を起点としたWill実現サイクルを「可視化」「実現力の実装」実践」「波及」という4プロセスで捉え、それぞれに効果的な人事施策を実行することを通じて、従業員の挑戦と学習を支援・伴走していきます。またこれに加え、ビジョン実現に向けて私たちが大切にする考え方「JFR WAY」を実践することで、このサイクルを加速させていきます。
<従業員のWill実現サイクル>
〔1〕自己探索の支援
質の高い1on1を通じて、従業員一人ひとりが潜在的に持っているWillの探索と言語化に伴走し、人財の特長・志向性に沿ったキャリア形成・能力開発を支援していきます。
また、主な伴走者であるマネジメント層への教育を通じて、心理的安全性の高い職場づくり、気づきや本音を引き出す対話力の強化、従業員の強みや個性を伸ばす育成力の向上を促進していきます。
〔2〕学習機会の提供
従業員の自律的なキャリア形成・能力開発を支援すべく、公募型研修の拡充や教育研修費の補助、またグループの全従業員が利用可能な自己研鑽学習のためのポータルサイト「JFRカレッジ」を運営し、職種や勤務地に制限されることなく、自らの意志と選択により学ぶことができる環境を整備していきます。
また、仕事という実践の場を通じてWill実現に取り組み、自組織をはじめグループ全体の変革をリードしていく人財を育成するための「変革リーダー育成研修(T3研修)」等にも取り組んでいきます。
〔3〕実践機会の提供
従業員の挑戦・Willの実践に向けた様々な仕組みを提供していきます。具体的には、従業員がマネジメント層と共創して取り組む「RED」の活用推進や、会社の枠を越えた新たな事業領域の挑戦に向けた様々な仕組み(出資先を含むグループ外への出向・グループ公募制度など)の構築に取り組んでいきます。
〔4〕挑戦の称賛
人財が成長する過程において、「挑戦すること」は非常に重要なファクターであると考えています。挑戦した結果、それが叶えば自信に繋がり、新たな挑戦に向かうエネルギーとなります。また想い通りにいかなかったとしても、挑戦する過程で得られた気づきや発見が、次に繋がる大切な学びになると考えています。
このため当社は、結果・成果にこだわりながらも、まずは「従業員が勇気を持って挑戦したこと」そのものを称賛し、評価します。そして、その挑戦する姿勢・熱量が周囲の心を動かし、誰かの新しいWillの芽生えに繋がると考えています。この熱量の伝播を社内に広く波及させていくことで、従業員のWill実現サイクルをパワフルに循環させていきます。
社内環境整備
・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
多様な個性を取り入れ、組織の力に変換していくことが持続的な成長の実現につながると考えています。そのために、若手の抜擢登用からミドル・シニア層の活性化まで、全ての従業員がその特性を活かして活躍できる環境を整えていきます。特に、従業員の半数以上が女性である当社グループにおいては、「女性活躍推進」をさらに進めることが不可欠であり、これまで取り組んできた職場環境整備・働き方改革に加えて、従業員一人ひとりに寄り添った育成プランの立案や管理職登用後の定期的なフォローを強化していきます。
また、年齢・性別・働き方などから生じるアンコンシャス・バイアスを払拭し、人財の特性や志向性にあった登用・役割付与を実現していきます。
・人財確保
当社が「価値共創リテーラーグループ」へ進化を遂げるためには、3つの共創価値を創り出せる人財の確保・拡充が欠かせません。これに向けて当社は、人事体制の強化とアルムナイ・リファラルなどの採用ルートの拡大を行い、採用力の向上を図っていきます。
特に、採用ターゲットとして、新卒・若手人財に加え、高い専門性を持つ不動産・金融・財務等の人財を積極的に採用していきます。また、リテール事業においては、顧客ニーズをくみ取り新たなコンテンツやサービスを創造できる人財、デジタルトランスフォーメーションを牽引するデジタル人財を中心に採用を進めていきます。
また、これと並行して賃金政策や職場環境整備にも取組み、人財の定着支援を行います。
・心と身体の健康増進
従業員がエネルギー高く挑戦し続けるには、心と身体が健康であることが前提です。定期的にサーベイを行い、その結果を経営層・部門・従業員それぞれと共有し、改善につながるアクションを立案・実行するPDCAサイクルを丁寧に回していくことを通じて、従業員の創造性・生産性の高いアウトプットを支えていきます。
・人事体制の強化
従業員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮するためには、人事部門の役割がこれまで以上に重要となります。採用・配置・育成・評価などの現場課題にスピーディーかつ適切に対応するべく、人事部門の専門性を高めると共に、業務の効率化を進めます。また、経営層や事業部門責任者のビジネス・パートナーとして貢献できる体制づくりに取り組みます。
④指標と目標
指標 |
2023年度実績 |
2026年度目標 |
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女性管理職比率 |
22.5% |
31% |
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男女賃金差異 |
全労働者 |
65.3% |
キャリア開発や女性及びマネジメント向け研修など、キャリアロスを防ぐための取り組みを強化し、差異を縮小させていく |
正規雇用労働者 |
74.4% |
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非正規雇用労働者 |
72.7% |
||
男性育児休職取得率 |
87.5% |
95% |
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離職率 |
5.4% |
5.3%以下 |
※1 管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規程に基づき算出したものです。
※2 特に記載がない限り、当社グループの集計です。
※3 労働者の男女賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金割合を示しています。
※4 2024年5月時点の指標と目標であり、今後の人財戦略に応じて、追加、見直しをする可能性があります。