2026年2月期有価証券報告書より
  • 社員数
    243名(単体) 5,584名(連結)
  • 平均年齢
    47.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.6年(単体)
  • 平均年収
    8,979,626円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2026年2月28日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

百貨店事業

3,037

〔1,192〕

SC事業

579

〔98〕

デベロッパー事業

919

〔356〕

決済・金融事業

253

〔18〕

その他

553

〔165〕

全社(共通)

243

〔15〕

合計

5,584

〔1,844〕

(注)1  従業員数は就業人員であります。

2  従業員数欄の〔外書〕は、専任社員、有期雇用の嘱託及びパートナーであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2026年2月28日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

243

〔15〕

47.8

15.6

8,979,626

 

セグメントの名称

従業員数(人)

全社(共通)

243

〔15〕

合計

243

〔15〕

(注)1  従業員数は就業人員であり、株式会社大丸松坂屋百貨店をはじめとしたグループ会社からの出向者を含みます。

2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3  従業員数欄の〔外書〕は、専任社員、有期雇用の嘱託及びパートナーであります。

4  平均勤続年数は、当社グループからの出向者等については、各社での勤務年数を通算して算出しております。

 

(3)労働組合の状況

当社グループには、J.フロント リテイリンググループ労働組合連合会があり、UAゼンセンに加盟しております。

会社と組合との関係は、相互信頼に基づき良好であり、特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1、3

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

22.7

100.0

79.9

77.9

89.5

(注)1  「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3  男女の賃金差については、賃金制度上の男女間賃金格差はないものの、女性管理職比率が低いことや、女性で育児等に伴う短時間勤務社員が多いこと等で、格差が生じています。

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1、3

全労働者

正規

雇用

労働者

パート・

有期労働者

株式会社大丸松坂屋百貨店

32.1

100.0

61.1

72.2

77.5

株式会社博多大丸

35.7

76.3

78.1

76.7

株式会社パルコ

27.4

100.0

79.2

77.7

86.4

株式会社パルコスペースシステムズ

16.1

50.0

68.2

79.8

72.2

株式会社.フロント建装

14.6

150.0

75.5

74.2

81.9

JFRカード株式会社

23.3

80.0

65.3

68.0

188.8

大丸興業株式会社

13.3

76.7

77.6

75.9

株式会社J.フロントONEパートナー

50.0

100.0

62.0

85.8

63.3

(注)1  「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

男性労働者育児休業取得率は、該当者がいない場合は「-」としております。

3  男女の賃金差については、賃金制度上の男女間賃金格差はないものの、女性管理職比率が低いことや、女性で育児等に伴う短時間勤務社員が多いこと等で、格差が生じています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営

当社グループの主要事業会社である大丸松坂屋百貨店は300年、400年という歴史の中で数々の危機に遭遇してきました。そうした状況に直面するたびに、「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」という社是に立ち返り、お客様や社会の変化を機敏に捉えながら事業活動を愚直に実践してきたことが、今日の当社グループの経営につながっています。社会との共存なくして企業の発展はありません。いま経営には、一層の長期視点により、社会に存在意義を放つ将来のあるべき企業像を描くことが不可欠となっています。地球温暖化、海洋汚染、生物多様性の喪失など地球環境問題の深刻化、サプライチェーン上の人権問題などの課題から目を背けて企業活動を行うことができないのは明らかです。そのような課題の解決に向けたサステナビリティの概念を企業戦略や事業戦略に組み込み、融合して推進することにより、将来の成長に向けた持続可能な経営の枠組みを獲得できるものと考えています。

このような考えのもと、当社グループは、持続可能な社会とくらしのあたらしい幸せの実現に向けて、環境や社会課題の解決と企業の成長を両立させるCSV(共通価値の創造)を実践することで、サステナビリティ経営を推進し、ステークホルダーの皆様の「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」に貢献していきます。

 

<サステナビリティ経営の全体像>

①ガバナンス

当社では、取締役兼代表執行役社長がサステナビリティに係る経営判断の最終責任を負うとともに、サステナビリティ経営の実効性を高めるためのガバナンス体制を構築しています。

当社は、代表執行役社長の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置し、当社グループ事業の持続的成長に資する戦略や、環境・人権関連課題を含むサステナビリティに関する事項について議論するとともに、グループ全体の取り組みの進捗モニタリングを行っています。そのうえで、サステナビリティ経営をグループ全社で推進するうえで重要な事項については、業務執行の最高意思決定機関であるグループ経営会議で審議・承認しています。

一方、取締役会は、サステナビリティ委員会で協議された内容及びグループ経営会議で審議・承認された内容の報告を受け、目標設定、対応方針、実行計画等について監督を行います。

・取締役のスキルマトリックス

当社は、取締役候補者の選任にあたり、取締役に期待する専門性及び経験等についてスキルマトリックスで明確にしています。サステナビリティ経営の推進を踏まえ、当社ではスキル項目として「環境」「社会」「ガバナンス」「人財・組織開発」を特定し、サステナビリティへの取り組みを適切に監督できる取締役を選任しています。

 

※スキルマトリックスについては、以下をご参照ください。

第19期招集通知

https://www.j-front-retailing.com/ir/stock/pdf/260428_Notice_of_Convocation.pdf

・非財務指標を取り入れた役員報酬制度

当社は、役員報酬制度における業績連動株式報酬を決定する非財務指標として、2021年度から「Scope1・2温室効果ガス排出量削減率」及び「女性管理職比率」を設定しています。これらは、中期経営計画のKPIとも連動しており、目標達成に向けた執行役の責任を明確化するとともに、サステナビリティ経営を実現・推進するためのインセンティブとして機能するようにしています。

 

※役員報酬制度については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等(4)役員の報酬等」をご参照ください。

 

JFRグループ サステナビリティマネジメント体制>

 

 

 

 

JFRグループ サステナビリティマネジメントにおける会議体及び実行主体と役割>

会議体及び実行主体

役割

開催
頻度

 

 

取締役会

業務執行側において審議・承認された環境・人権関連課題を含むサステナビリティに関する目標設定及び取り組みの進捗の監督を行う。

毎月

グループ経営会議

業務執行の最高意思決定機関として、全社的な経営に係る方針や施策について審議・承認する。リスクマネジメント委員会及びサステナビリティ委員会で論議された環境・人権関連課題を含むサステナビリティに係る包括的なリスク・機会に対する全社的な経営方針等についても審議・承認を行う。承認事項は取締役会へ報告される。

毎週

リスクマネジメント

委員会

包括的なリスク・機会の特定、評価及び対応策等について、審議を行うとともに、リスク対応のモニタリングを実施する。環境・人権関連課題を含むサステナビリティに関するリスク・機会についても、全社リスク管理の仕組みへ統合し、本委員会で他のリスクと合わせて管理する。委員会での審議内容は取締役会へ報告される。

年2回

以上

サステナビリティ

委員会

当社グループ事業の持続的成長に資する戦略や、環境・人権関連課題を含むサステナビリティに関するリスク対応等、企業として取り組みが必要な事項について議論するとともに、グループ全体の取り組みの進捗モニタリングを行う。また、サステナビリティ関連課題に精通した有識者との対話も行う。協議内容は取締役会へ報告される。

年2回

以上

 

 

 

 

 

代表執行役社長

グループ経営会議の長を務めると同時に、リスクマネジメント委員会及びサステナビリティ委員会の委員長を務める。環境・人権関連課題を含むサステナビリティに関するリスク・機会の特定・評価・対応、課題解決に向けたグループ全体の取り組み推進などについて、業務執行の最終責任を負う。

 

事業会社

グループ経営会議での承認事項、リスクマネジメント委員会及びサステナビリティ委員会での協議内容を受け、各事業会社における環境・人権関連課題を含むサステナビリティに関する具体的施策を計画・実行するとともに、その進捗状況を当社のリスクマネジメント委員会及びサステナビリティ委員会へ報告する。

 

サステナビリティ

推進担当

(コーポレートコミュニケーション室)

サステナビリティ経営を推進するためのグループ方針等について立案・提案を行う。環境・人権関連課題を含むサステナビリティに関するリスク及び機会に関する情報を収集するとともに、中長期的な取り組みの方向性等を立案し、グループ経営会議やサステナビリティ委員会へ報告する。

 

 

<サステナビリティ委員会の主な議題>

2024年度

(2回)

・マテリアリティに関する従業員の自分ごと化

・グループ全体のKPI進捗報告

・外部講師講演「中長期的な企業価値向上と非財務活動の関係」

2025年度

(4回)

・今後の再生可能エネルギー調達のあり方

・環境及び人権に係るリスクの更新

・グループ全体のKPI進捗報告

・外部講師講演「ネットゼロ移行計画に向けた再生可能エネルギーの導入」

       「アンコンシャス・バイアス」

 

②リスク管理

当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面の双方に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。

当社は、リスク管理が経営上極めて重要であるとの認識から、環境・人権関連課題を含むサステナビリティに係るリスク全般を全社統合的に管理するため、リスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会での審議内容は、サステナビリティ委員会に共有されます。

なお、リスクマネジメント委員会、サステナビリティ委員会での協議内容、グループ経営会議での承認事項については、それぞれ取締役会に適時報告されており、取締役会による監督体制の下、当社グループの戦略に反映し、対応しています。

 

※当社のリスクマネジメント体制、プロセス及びグループ経営において極めて重要度の高いリスクの詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 また、環境関連については、「(2)気候/自然関連課題への対応(TCFD/TNFD統合開示)②リスク管理」をあわせてご参照ください。

 

③戦略

(a)マテリアリティの特定

 当社は、環境・社会課題と当社グループの事業活動との関連性を明確にするなかで、「企業と社会の持続的成長」及び「持続可能な社会」の実現に資するテーマをマテリアリティ(重要課題)として特定し、2018年以降、中期経営計画策定のタイミングで見直すこととしています。

2024年度からスタートした今中期経営計画の策定においては、マテリアリティへの取り組みを課題解決にとどまらず企業成長に結びつけていくため、事業戦略と融合させ推進することを前提に、JFRグループ重要リスクや経営環境を取り巻く社会の変化などを踏まえて見直しを行い、5つのテーマを特定しました。

当社は、マテリアリティへの取り組みを通じて、リテール事業を中心に3つの価値「感動共創」「地域共栄」「環境共生」を提供し続ける“価値共創リテーラーグループ”への変革を目指します。

 

JFRグループ重要リスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

〔5つのマテリアリティ〕

・くらしにワクワクをプラスする

・地域の活力を高める

・環境と共に生きる社会をつくる

・価値共創するパートナーを増やす

・多様な人財を輝かせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(b)マテリアリティのコミットメント

当社は、社会課題の解決は、多くの人と企業の共通テーマであり、競う「競争」ではなく、共に創る「共創」であってこそ、社会に対するインパクトを持つと考えています。これまでのマテリアリティへの取り組みは、自社の事業活動の中で出来ることが中心でしたが、今後は、事業戦略と融合させ、従業員と共にこれまで以上に多くのお客様やお取引先様などのステークホルダーを巻き込み、取り組みの輪を広げていきます。そうすることで、社会の持続性だけではなく、当社の事業機会の創出、企業としての持続的成長もあわせて獲得していけるものと考えています。

 

5つのマテリアリティにおけるコミットメントは以下のとおりです。

マテリアリティ

コミットメント

アウトプット

くらしに

ワクワクを

プラスする

価値観が多様化するなか、人びとの心を動かすモノやコト、これらとの新たな出会いの場や空間を提供し、生活者一人ひとりのWell-Beingと心豊かでワクワクする未来のくらしを提案する。

・質の高い商品やサービス

・心躍るコンテンツ

地域の活力を

高める

当社の重点7エリアをはじめ各地域との結びつきを強化し、地域コミュニティ、行政、NPO等と共に、地域の活力を高め、持続可能な街づくりを行う。また、地域の魅力を発掘・発信することで、街に集う人びとにワクワクするあたらしい体験を提供する。

・街のにぎわい

・地域コミュニティの活性化

環境と共に

生きる社会を

つくる

2050年ネットゼロ目標達成に向けて、サプライチェーン全体の脱炭素化とサーキュラー・エコノミーの推進の両輪で取り組む。また、自社単独の取り組みにとどまらず、価値共創パートナーと共に、持続可能な社会づくりに誰もが貢献できる機会を提供し、働きかけを行う。

・温室効果ガス排出量削減

・循環型ビジネス

価値共創する

パートナーを

増やす

持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティに対する思いや考えを共有し、人権デューデリジェンスなどの社会的責任とともに、「感動共創」「地域共栄」「環境共生」の価値創出に向けたパートナー基盤をつくる。

・業種業界を超えた幅広いパートナーシップ

・持続可能なサプライチェーン

多様な人財を

輝かせる

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンやワーク・ライフ・インテグレーションをはじめ従業員一人ひとりが活躍できる環境や仕組みを整え、意志・意欲や能力を最大限に引き出し、人財と企業の持続的な成長を実現する。

・働きやすさと働きがい

 

④指標と目標

サステナビリティに関する指標と目標、及び2025年度実績は以下のとおりです。

マテリアリティ

指標

実績

目標

2025年度

2026年

2030年

くらしに

ワクワクを

プラスする

グループ顧客会員数

(2023年度比増加率)

32.5%増

25%増

※1

顧客調査(ワクワク・感動度)

70.5%

75%

地域の活力を

高める

施設への入店客数

8.8%増

(2023年度比)

10%増

(2023年度比)

※1

顧客調査(地域への貢献度)

92.9%

80%

環境と

共に生きる

社会をつくる

Scope1・2排出量(2017年度比)

▲69.5%

(2017年度比)

▲70%

(2017年度比)

▲73%

(2017年度比)

Scope3排出量(2017年度比)

▲23.8%

(2017年度比)

▲40%

(2017年度比)

事業活動で使用する電力に占める再エネ比率

75.2%

72%

75%

食品リサイクル率

92.7%

80%

85%

新規開発物件の環境認証取得率

対象物件なし

100%

顧客調査

(顧客の環境への取り組み度)

63.8%

55%

価値共創する

パートナーを

増やす

ステークホルダー共創件数

371件

400件以上

500件以上

人権アセスメント結果

取引先説明会実施

35%

(B評価以上)

45%

(B評価以上)

多様な人財を

輝かせる

従業員エンゲージメント

従業員満足度

68.3%

70%

2026年度達成状況を踏まえ設定

勤務推奨度

62.0%

60%

女性管理職比率

27.7%

31%

40%

男女賃金格差

全労働者

65.1%

差異縮小※2

 

2026年度達成状況を踏まえ設定

正規雇用労働者

74.0%

非正規雇用労働者

69.2%

男性育児休業取得率

95.5%

95%

※1 マテリアリティの実現に向けて事業戦略とより関連を高められる指標・目標を次期中期経営計画で設定します。

※2 2024年度の男女賃金差異は次のとおりです。

全労働者66.5%、正規雇用労働者75.0%、非正規雇用労働者75.5%

 

(2)気候/自然関連課題への対応(TCFD/TNFD統合開示)

ネットゼロ・ネイチャーポジティブを目指して

私たちのくらしや、あらゆる事業活動は、食料や水、気候の安定など、多様な生物が関わりあう生態系からの恵み(生態系サービス)によって支えられています。しかしながら、地球温暖化による気候変動の影響や自然環境の悪化により、動物や植物の多様性(生物多様性)がこれまでにない速さで失われつつあり、現代はもちろんのこと、将来世代にわたって生態系サービスを享受できなくなる危機にさらされています。

当社は、気候変動と生物多様性損失は互いに切り離せない課題であり、中長期にわたって当社事業に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、マテリアリティ(経営上の重要課題)に「環境と共に生きる社会をつくる」を掲げています。

主力事業である百貨店やショッピングセンターなどのリテール事業において、お取引先様やお客様、また地域社会など様々なステークホルダーとのつながりを生かしながら、環境配慮型商品の調達や自然との共生を意識したライフスタイルの提案、環境性能の高い店舗開発等に取り組むことで、2050年までのバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロ※1、ネイチャーポジティブ※2に向けた取り組みを包括的に推進していきます。

なお、当社は、依存・影響、リスク・機会の検討においても、気候変動と生物多様性のトレードオフも考慮し、気候/自然に関するシナリオ及び対応策を一体的に検討し、気候/自然関連情報を統合的に開示いたします。

※1 温室効果ガス排出量を徹底して削減し、残りの排出量について、森林吸収やCCS(CO2の回収・貯留)等による除去量を差し引いて実質ゼロにすること

※2  ネイチャーポジティブ(自然再興)は、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」という考え方を指し、2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の2030年、2050年目標にも反映された概念

 

ネットゼロに向けた取り組みの方向性

 当社グループは、2050年ネットゼロ実現に向けて、「温室効果ガス排出量削減」と「サーキュラー・エコノミーの推進」の両輪で取り組みます。

 具体的には、店舗での省エネの徹底や再生可能エネルギー(以下「再エネ」という。)切り替え拡大等によるScope1・2温室効果ガス排出量(以下「Scope1・2排出量」という。)削減、お取引先様やお客様との協働によるScope3温室効果ガス排出量(以下「Scope3排出量」という。)削減に取り組むとともに、3R※3強化やサーキュラー型ビジネスの拡大等を通じた資源循環を推進します。

※3 Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つのRの総称

 

目標設定

当社はグループ全体で気候変動対策を推進するためには、中長期の野心的な温室効果ガス排出量の削減目標設定とその達成に向けたロードマップの策定が必要だと考えています。この考えに基づき、2019年に、Scope1・2・3排出量削減目標について、SBT(Science Based Targets)イニシアチブ※4による認定を取得しました。2021年には、2030年のScope1・2排出量削減目標を従来の40%から60%削減(基準年2017年度比)に引き上げ、「1.5℃目標」としてSBT認定を再取得しました。さらに2023年2月には、Scope1・2・3排出量について、2050年までの「ネットゼロ目標」のSBT認定を取得しました。

当社は、気候関連リスク・機会の分析結果や外部環境の変化を踏まえ、取締役会による監督の下、中期経営計画の策定・見直しサイクル等を通じて、温室効果ガス排出量削減目標の妥当性を定期的にレビューし、必要に応じて目標水準や目標年を見直しています。

なお、Scope1・2排出量の2030年目標「60%削減」は、2025年2月末時点で前倒しで達成したことから、目標を引き上げ、新たな2030年目標として「73%削減」を設定しました。目標の確実な達成に向け、今後も、Scope1・2排出量のさらなる削減に向けた取り組みを進めていきます。(2026年2月末時点で 69.5%削減となる見込み)

 

 

※4 企業が最新の気候科学に沿った野心的な排出削減目標の設定を可能にすることを目的として、2014年、CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が共同で設立
 

①ガバナンス

「(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②リスク管理

(a)気候/自然関連リスク・機会の特定・評価プロセスの詳細

当社グループは、リスク全般を、戦略の起点と位置づけ、「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しており、企業が適切に対応することで、持続的な成長につながると考えています。

環境関連リスク・機会に関しても、同様の認識のもと、プラスとマイナスの両面から特定・評価を行っています。

 

 

(b)重要な気候/自然関連リスク・機会の管理プロセスの詳細

当社は、環境関連リスク・機会について、サステナビリティ委員会の中でより詳細に検討を行い、各事業会社と共有化を図っています。各事業会社では、環境関連の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業会社社長が議長を務める会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。その内容について、グループ経営会議やリスクマネジメント委員会及びサステナビリティ委員会において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。なお、管理プロセスは前年度から変更はありません。

 

 

 

<JFRグループ リスク・機会の管理プロセス>

 

 

※気候関連リスク・機会の特定・評価プロセスの詳細及び全社リスク管理の仕組みへの統合状況は、「第2 事業

 の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

 

③戦略

(a)自然への依存と影響

当社グループの事業は、農産物、畜産物、水産物、木材や水などの資源に加え、土壌や森林、四季のある気候等、多くの自然の恵み(生態系サービス)を享受することで成り立っています。その一方で、私たちの事業活動は、温室効果ガスの排出や、廃棄物・排水の発生など、自然環境に様々な影響を与えています。当社は、自社の事業活動と自然環境との関係を、下図のように「依存」と「影響」の双方向で把握・評価し、特定された重要な課題については迅速に対応することが不可欠であると認識しています。

<事業活動と生態系サービスとの関わり>

 

(b)LEAP※1アプローチを考慮した自然関連課題等の評価

LEAPアプローチとは、TNFDが推奨する、自然との接点、自然への依存・影響、自然関連リスク・機会等、自然関連課題を特定・評価するための統合的なプロセスです。

当社は、2023年度に主要事業会社である大丸松坂屋百貨店が全国各地に有する百貨店15店舗を対象として、LEAPアプローチに沿った自然関連課題等(依存・影響、リスク・機会)の特定・評価を実施しました。

 

※1  LEAP : Locate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の4つのフェーズ

 

(c)依存と影響の外観(Locate)

TNFDが推奨する「ENCORE」(自然への依存・影響を特定するツール)をベースに、百貨店事業におけるバリューチェーン全体の依存・影響及びその程度を把握するため、ヒートマップを作成し、直接操業(店舗運営や店舗開発)及びバリューチェーン上流(調達)における自然への依存・影響の度合いを確認しました。

 

 ヒートマップを作成した結果、依存度が高いのは、アパレルや農畜水産物のバリューチェーン上流における水資源(供給サービス)に加え、洪水抑制や地形安定化等(調整サービス)であることがわかりました。また、影響度が高いのは、水資源の利用及び陸域・淡水生態系の利用であることが明らかになりました。

※特定した地域に関する詳細は以下をご参照ください

  https://www.j-front-retailing.com/ir/library/pdf/sustainability/2025/J_FRONT_2025_J.pdf

 

(d)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細

当社は、環境関連リスク・機会は、長期間にわたり自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切なマイルストーンにおいて検討することが重要であると考えています。それを踏まえ、中期経営計画の実行期間である2026年度までを短期、「気候変動に関する主要な目標であるSBT」における短期目標年度である2030年度までを中期、SBTネットゼロ目標年度である2050年度までを長期と位置づけました。

当社グループは、環境関連リスク・機会に対し、ネットゼロを実現する2050年までを見据えたバックキャスティングにより、戦略を策定し、対応しています。

 

<JFRグループにおける環境関連リスク・機会の検討期間の定義>

気候関連リスク・機会の検討期間

JFRグループの定義

短期

2026年度まで

中期経営計画の実行期間

中期

2030年度まで

SBTにおける短期目標年度までの期間

長期

2050年度まで

SBTネットゼロ目標年度までの期間

 

(e)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度

当社は、主軸であるリテール事業やデベロッパー事業における商品・原材料の調達や品質、店舗運営、また事業を行う上で欠かせないエネルギーの調達コスト等において、特に生態系の劣化や気候変動による影響を受けると捉えています。そのため、生態系の劣化や気候変動が当社グループに与えるリスク・機会とそのインパクトの把握、及び2030年度時点の世界を想定した当社グループの戦略のレジリエンスの検証・向上、そしてさらなる施策の必要性の検討を目的に、シナリオ分析を毎年実施しています。

シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照し、気候変動及び生物多様性に関して、下表の通り2つの世界を想定しています。それぞれの世界において、当社事業におけるリスクや機会を検討しています。

気温上昇推定値

シナリオ(想定される世界)

1.5℃/2℃未満※1

世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して1.5℃未満に抑えることを目指す最も意欲的な世界

⇒気候/自然関連の政策や規制が強化され、かつ市場もそれに整合し、気候変動や生態系の劣化のスピードが抑制された世界

 ●カーボンプライシングの導入

 ●再エネの普及・拡大

 ●環境配慮型商品への関心の高まり

 ●環境価値の高い店舗・街づくり

4℃※2

経済成長を優先し、現行政策のまま成り行きの世界

⇒新たな気候/自然関連政策・規制は導入されず、市場も整合せず、気候変動や生態系の劣化が進行することを想定した世界

 ●自然災害の激甚化(来店者激減、営業停止)

 ●季節の二季化(旬の消滅、伝統文化の喪失)

 ●産地の消滅

 ●調達・物流ルートの断絶

(参照した既存シナリオ)

※1 移行:「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA、2025年)

   物理:「Representative Concentration Pathways (RCP2.6)」(IPCC、2014年)

※2 移行:「Stated Policy Scenario(STEPS)」(IEA、2025年)

   物理:「Representative Concentration Pathways (RCP8.5)」(IPCC、2014年)

 

これらのシナリオを踏まえ、百貨店やショッピングセンターなどのリテール事業を主軸とする当社グループは、バリューチェーン・プロセスの活動項目ごとに、TCFD/TNFD提言に沿って、気候/自然関連リスク・機会を抽出しました。その上で、気候変動や生態系の劣化がもたらす移行リスク(政策規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、気候変動や自然関連課題への適切な対応による機会(資源効率、エネルギー源、製品及びサービス、市場、レジリエンス)を特定しました。

(f)関連するシナリオに基づくリスク・機会及び財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス

当社は、特定した気候/自然関連リスク・機会の中から、「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの基準に基づき、その重要性を評価しました。特に重要性が高いと評価した項目について、2030年度を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、及び4℃シナリオの2つのシナリオにおける財務影響を定量、定性の両側面から評価し、それぞれの対応策を策定しました。

なお、財務影響を定量的に評価するための情報が入手困難なリスク・機会については、定性的に評価し、その結果を矢印の傾きによって3段階で表示しています。

 

 

<2030年における財務に対するインパクト試算結果>

リスクタイプ

テーマ

内容

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

移行リスク

カーボン

プライシング

炭素税や排出量取引制度導入等に伴うコストの増加※1

12億円

(2050年 : 0円)

7億円

(2050年 : 0円)

移行リスク

再エネ

再エネ由来電力需要増による調達コストの増加※2

8億円

4億円

物理リスク

自然災害

異常気象、自然災害の激甚化による店舗休業に伴う収益の減少※3

52億円

103億円

事業機会

省エネ

高効率機器への切り替えによるエネルギー調達コストの削減※4

4億円

4億円

事業機会

環境価値の高い店舗・街づくり

環境価値の高い店舗への転換による新たなテナントの獲得に伴う収益の拡大※5

11億円

(定量的財務影響の算出根拠)

※1 2030年度時点のJFRグループScope1・2排出量に1t-CO₂あたりの炭素価格を乗じて試算

※2 2030年度時点のJFRグループ電気使用量に通常の電気料金と比較した1kWhあたりの再エネ由来電気料金価格高を乗じて試算

※3 過去の自然災害による店舗休業に伴う売上損失額に将来の洪水発生頻度を乗じて試算

※4 2030年度時点のJFRグループ省エネルギー量にエネルギー調達コストを乗じて試算

※5 2030年度時点のJFRグループ不動産収益に環境認証取得ビルの新規成約賃料への影響度合いを乗じて試算

 

<主なパラメータ>

パラメータ

出典

炭素税価格

2030年(1.5℃:157$/t-CO2 、4℃:87$/t-CO2
2050年(1.5℃:250$/t-CO2 、4℃:87$/t-CO2

「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」

(IEA、2025年)

「Stated Policy Scenario(STEPS)」

(IEA、2025年)

再エネ由来電気料金価格高

「日本のエネルギー2020」

(経済産業省、資源エネルギー庁、2021年)

将来の洪水発生頻度

「Representative Concentration Pathways(RCP8.5)」

(IPCC、2014年)

 ※2030年の数値は、IEAのWEO2025から試算

 

レジリエンスに対する総括

想定したシナリオを前提に気候変動や生態系の劣化がもたらす影響を分析し、その対応策を検討した結果、いずれのシナリオ下においても、当社グループが既に実施している施策、計画している施策が、リスクを低減し、機会の実現に貢献できる実効性、柔軟性を有していることを確認しました。

炭素税等導入によるコスト増や自然災害に伴う収益への影響については、サステナビリティボンド等を活用した再エネ導入の拡大、財務影響リスクを低減する対策を計画的かつ着実に実行していきます。また、シェアリング・アップサイクルやリユース事業等当社の特性をいかしたサーキュラー・エコノミーに資する事業を当社グループの成長につなげ、脱炭素社会の実現にも貢献していきます。

当社は、気候/自然関連課題のリスクと機会の両面を捉えた取り組みを推進することで、経営のレジリエンスを高めていきます。

 

JFRグループ 2050年ネットゼロ・ネイチャーポジティブ移行計画

当社は、2050年ネットゼロ・ネイチャーポジティブの実現に向け、中長期視点で取り組む必要があるとの認識に基づき、2050年までの移行計画を策定しています。気候/自然関連リスク・機会の分析結果、及びそれらによる財務影響を踏まえ、リスクに対しては適切な対応策を講じ、また機会に対しては、顧客ニーズの変化に積極的に対応することで新たな成長機会の獲得を目指す等、短期・中期・長期視点で、具体的な取り組みを推進していきます。本移行計画に、投資や資金計画、また当年度の取り組み実績・財務影響を合わせて明示することで、それぞれの関係性を明確にし、本計画の実効性をより高めていきます。なお、2025年度の環境投資については、計画どおり実施しました。

 

<JFRグループ 2050年ネットゼロ・ネイチャーポジティブ移行計画>

※移行計画については、有価証券報告書提出日現在(2026年5月26日)であり、今後の事業戦略に応じて修正する可能性があります。

 

④指標と目標

(a)気候/自然関連リスク・機会の管理に用いる指標

当社は、生物多様性損失と気候変動は切り離せない課題であると認識しており、両者の包括的な解決を目指しています。その実現に向けて、世界全体の1.5℃目標の達成のための指標及び目標と、資源を効率的に循環させるための指標及び目標を設定し、取り組みを進めていきます。

 

<JFRグループの気候/自然関連リスク・機会の管理に用いる指標と目標>

指標

目標年度

目標内容

温室効果ガス排出量

2050年

Scope1・2・3排出量ネットゼロ※1

2030年

Scope1・2排出量73%削減(2017年度比)※2

Scope3排出量40%削減(2017年度比)※3

事業活動で使用する

電力に占める再エネ比率

2050年

再エネ比率100%※4

2040年

再エネ比率90%

2030年

再エネ比率75%

食品リサイクル率

2030年

食品リサイクル率85%

環境配慮型商品の展開

2030年

認証商品を含む環境配慮型商品の取扱高拡大

新規開発物件の環境認証取得率

2030年

新規開発物件の環境認証取得率100%

※1 2022年度「ネットゼロ目標」のSBT認定取得

※2 目標見直し前の2017年度比60%削減に対して、2021年度「1.5℃目標」のSBT認定取得

※3 2021年度「1.5℃目標」のSBT認定取得

※4 2020年 RE100に加盟

 

なお、役員報酬制度における業績連動株式報酬を決定する非財務指標の一つとして、Scope1・2排出量削減率目標を設定し、気候関連課題に対する執行役の責任を明確化しています。

※役員報酬制度については、以下をご参照ください。

https://www.j-front-retailing.com/company/governance/governance05.html

 

(b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)

当社は、2017年度から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。2025年度Scope1・2排出量は、59,255 t-CO2(2017年度比69.5%削減)、Scope3排出量は、2,230,599 t-CO2(2017年度比23.8%削減)となる見込みです。また、再エネ比率は75.2%となる見込みです。

なお、2025年度のScope1・2・3排出量及び再エネ電力使用量は、第三者保証の取得を予定しています。

<JFRグループ Scope1・2・3排出量実績>                               (単位:t-CO2

 

2017年度

2024年度

2025年度

実績※1

実績※1

見込み

2017年度比

(基準年度比)

Scope1排出量

16,052

14,430

13,638

▲15.0 %

Scope2排出量(マーケット基準)

178,102

52,696

45,617

▲74.4 %

               (ロケーション基準)

184,047

136,692

133,872

▲27.3 %

Scope1・2排出量 合計※2

194,154

67,125

59,255

▲69.5 %

Scope3 排出量※3

2,927,320

2,247,051

2,230,599

▲23.8 %

カテゴリ1 調達した製品・サービス

2,701,018

1,958,949

1,934,925

▲28.4 %

カテゴリ2 資本財

81,883

58,639

64,266

▲21.5 %

カテゴリ3 Scope1・2を除くエネルギー

17,966

30,976

30,423

69.3 %

カテゴリ4 輸送・配送(上流)

7,400

3,756

3,556

▲51.9 %

カテゴリ5 事業から出る廃棄物

845

12,838

9,508

1,025.2 %

カテゴリ6 従業員の出張

627

4,099

5,101

713.6 %

カテゴリ7 従業員の通勤

1,158

1,825

2,169

87.3 %

カテゴリ9 輸送・配送(下流)

21,086

6,336

8,604

▲59.2 %

カテゴリ11 販売した製品の使用

14,841

16,111

カテゴリ12 販売した製品の廃棄

68,423

140,487

142,304

108.0 %

カテゴリ13 リース資産(下流)

26,914

14,305

13,632

▲49.4 %

Scope1・2・3排出量 合計※2

3,121,474

2,314,179

2,289,854

▲26.6 %

再エネ比率(%)

67.2

75.2

※1 LRQAリミテッドによる第三者保証を取得

※2 合計に使用するScope2排出量はマーケット基準にて算定

※3 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer.2.8(2026年3月 環境

   省経済産業省)」・「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位デー

   タベースVer.3.6(2026年3月)」・IDEAv3.5に基づき算出

   Scope3排出量カテゴリ8はScope1・2排出量で算定しているため算定除外

   Scope3排出量カテゴリ10、14、15は当社グループの事業プロセスに該当しないため算定除外

* 当社グループのScope1・2・3排出量の算定にあたっては、上記日本のガイドライン等を用いており、サプライチェーン排出量に関する国際的基準であるGHGプロトコルの枠組みに沿って算定しています。

 

・温室効果ガス削減に向けた取り組み

当社グループにおけるScope1・2排出量の多くは、大丸松坂屋百貨店やPARCOの店舗からの排出であり、その中でも割合が高いのが電力使用量によるものです。そのため、店舗で使用する電力について、インターナルカーボンプライシング(ICP)も活用しながら省エネやエネルギー効率の向上を図るとともに、再エネへの切り替えを進めています。大丸松坂屋百貨店では15店舗中10店舗、PARCOでは15店舗中12店舗を再エネで運営しています(いずれも2025年度末時点)。

Scope3排出量については、その約9割をカテゴリ1(調達した製品・サービス)が占めているため、自社努力のみによる削減が難しく、バリューチェーン全体で協働した削減が必要です。主要事業会社である大丸松坂屋百貨店では、これまで、お取引先様の状況に応じて「排出量の算定依頼」や「削減目標の設定依頼」「排出量に係る一次データ(Scope1・2及びScope3上流)の提供依頼」などについて対話を進めてきました。その結果、2024年度には、41社のデータを一次データとして算定に活用し、同年のカテゴリ1の排出量は、前年度比で26.9%減となりました。また、2025年11月には、主要取引先を対象とした説明会を実施し、当社グループの環境への取り組みを説明するとともに、温室効果ガス排出量の算定をはたらきかけました(参加:233社/336名)。

 

(3)人的資本に対する考え方

当社は、2030年に目指す姿として、リテール事業を中心に3つの価値「感動共創」「地域共栄」「環境共生」を提供し続ける“価値共創リテーラーグループ”への変革を掲げています。未来を切り拓き、目指す姿を実現していくのは、従業員一人ひとりの力に他なりません。当社は、従業員を最も重要な価値共創パートナーと位置づけ、一人ひとりのWill(意志・意欲、内発的動機)に向き合いながら、会社と従業員が相互に支援・貢献することによって、共に成長していくことを目指しています。

 

<会社と従業員の価値共創の概念>

 

(a)人財戦略の全体像

当社は、変革期と位置づけた今中期経営計画において、新たな成長パターンに転換するべく、積極的な人財投資を行い、将来の飛躍に向けた土台づくりを進めています。

「価値共創リテーラー」の実現に向けては、グループ共通の人事領域における基本となる考え方として策定された「人財マネジメントポリシー」を軸に置きながら、経営戦略と同期した人財ポートフォリオへの転換を図ります。また、実効性のある人事施策を継続的に実施し、人財戦略のアウトカムとしてワークエンゲージメント及び一人当たりの生産性の向上を目指します。

 

(b)人財マネジメントポリシー

当社は、価値共創に必要な従業員の行動・マインド変革を進めるため、グループ共通の人財マネジメントポリシー「巻き込むチカラを、面白がるココロを。」を策定しました。本ポリシーを軸に、「自らのWillを原動力とする人財」「組織を越え、つながる人財」「仕事を楽しむ人財」の創出に向け、採用、育成、配置、評価などの人事施策を実施していきます。

 

(c)「人財力主義」に基づく人事マネジメント

当社は、2019年度から、従業員が内包する人財力(人財価値、性格、価値観、気質、志向・趣味)を重視した当社独自の「人財力主義」に基づく人事制度運用を行っています。この人財力主義に基づく人事マネジメントを継続しながら、業務遂行を通じて観察可能な知識・スキルに基づく成果発揮状況や行動・マインドを評価・サーベイ等によって把握し、仕事を通じた人財育成を推進することで、当社全体における価値共創の実現を目指していきます。

 

 

「人財価値」は、どのような状況であっても着実な成果・貢献に繋がる再現性・汎用性の視点で構成し(意志・意欲、学習力、革新・創造力、影響力、折衝力、育成力)、ステージごとに求めるレベルを設定しています。

<人財力の定義>

 

①ガバナンス

当社は、人財戦略に関する方針や具体的な施策を、業務執行の最高意思決定機関であるグループ経営会議で審議・承認しています。

これに対し、取締役会は、グループ経営会議で承認された内容の報告を受け、目標設定、対応方針、実行計画等について論議・監督を行います。

 

②リスク管理

労働人口の減少による働き手の不足や人財の流動化が進行することにより、人財獲得競争が一層激化しており、優秀な人財の獲得が短期的な業績への影響のみならず、当社が2030年に目指す姿「価値共創リテーラーグループ」の実現においても重要リスクであると認識しています。

人財戦略の遂行に当たって、リスクマネジメント委員会、サステナビリティ委員会での協議内容、グループ経営会議での承認事項を、それぞれ取締役会に適時報告し、取締役会による監督体制の下、当社グループの戦略に反映し、対応しています。

 

③戦略

当社は、人財マネジメントポリシーを軸に、「人財力の強化」「多様性/女性活躍の推進」「ワークエンゲージメントの向上」「評価・報酬を軸とした制度改革」を重点取り組み領域と位置づけるとともに、各領域の実効性を高めるうえで中心的な役割が期待される「マネジメントの力量拡大と活躍」に注力することで、次期中期経営計画を視野に、適正な組織・人員構造の再構築を果たし、価値共創リテーラーの実現を目指します。

 

(a)人財力の強化

当社が「価値共創リテーラーグループ」へ進化を遂げるためには、3つの価値を具現化する人財の確保・拡充が欠かせません。当社は、人事体制の強化と採用チャネルの拡大を行うとともに、ハイパフォーマンス人財の確保に向けた柔軟な制度運用に取り組んでいきます。

具体的には、新卒・若手人財に加え、高い専門性を持つ不動産・金融・財務等の人財、また、リテール事業においては、顧客ニーズをくみ取り新たなコンテンツやサービスを創造できる人財や富裕層顧客へ専門性とホスピタリティを持って対応できる営業人財、デジタルトランスフォーメーションを牽引するデジタル人財、法務・財務・M&A等の専門人財等を中心に採用及び配置、育成に注力していきます。

また、これと並行して職場環境整備やオンボーディングの強化等にも取り組み、人財の定着支援を行います。

(b)多様性/女性活躍の推進

多様な個性を取り入れ、組織の力に変換していくことが価値共創と持続的な成長の実現につながると考えています。

そのために、若手の抜てき登用からミドル・シニア層の活性化まで、全ての従業員がその特性を活かして活躍できる環境を整えていきます。特に、従業員の半数以上が女性である当社グループにおいては、「女性活躍の推進」をさらに進めることが不可欠です。これまで取り組んできた職場環境整備・働き方改革を背景とした積極的な登用を実施した結果、2024年度26.2%であった女性管理職比率は、2025年度には27.7%に上昇しました。2026年度は31%という目標達成にむけて、管理職登用にむけた環境整備を行うとともに、社内外ネットワーキング活動、メンタリング制度、アンコンシャス・バイアス研修などを継続的に実施していきます。

 

(c)ワークエンゲージメントの向上

価値共創を具現化するためには、従業員の挑戦は不可欠であり、従業員がより挑戦したいと思える環境を整えることが重要であると認識しています。

当社は、ワークエンゲージメントを組織や仕事に対する従業員の積極的な関与と情熱の度合いと定義し、ワークエンゲージメントの高まりなしに従業員の挑戦は始まらないと考え、マネジメントの関与、社内諸制度、アサインメントなど全ての従業員体験の機会をワークエンゲージメントの観点から点検・改善することに取り組みます。

2025年度は、現状をより的確に把握するため、エンゲージメントサーベイの見直しを行い、その結果を課題抽出の起点とした改善活動を推進しています。活動の結果を毎年のサーベイで検証し、次年度のアクションにつなげる活動を展開していきます。

 

(d)評価・報酬を軸とした制度改革

適切な評価に基づく公正処遇の実現は、従業員の挑戦心を引き出すうえで最も重要な取り組みの一つであり、役割・成果・個の違いを的確に評価し、フィードバックできるよう、既存の評価制度の見直しと運用力を高めるトレーニングを上位職から進めていきます。

また、報酬政策については、人財力の強化にも直結する採用競争力の強化や従業員の定着という観点からも重要であり、採用マーケットをより意識した報酬水準の実現を目指します。

 

(e)マネジメントの力量拡大と活躍

人財戦略に掲げる各取り組みにおいて中心的役割を担い、経営と現場をつなぐ結節点でもあるマネジメントが、本来持つ力を最大限発揮できるよう、環境改善と意識改革に重点を置き、取り組みを進めています。具体的には、適切なマネジメント範囲への是正や組織活性化のための支援策の構築、挑戦を促進する評価制度への見直しなどに取り組むとともに、マネジメントの行動変容を促す役員・部長ワークショップを継続的に実施しています。

 

(f)人事機能の再定義と機能強化

以上の各施策を着実に実行していくためには、人事部門の役割がこれまで以上に重要となります。採用・配置・育成・評価などの現場課題にスピーディーかつ適切に対応するべく、人事部門の専門性向上に取り組むとともに、従業員が仕事を通じて成長実感を得られるよう業務運営プロセスの改革を進めます。また、経営層や事業部門責任者のビジネス・パートナーとして貢献できる体制づくりに取り組みます。

④指標と目標

指標

2025年度実績

2026年度目標

女性管理職比率

27.7%

31%

男女賃金差異

全労働者

65.1%

キャリア開発や女性及びマネジメント向け研修など、キャリアロスを防ぐための取り組みを強化し、差異を縮小させていく

正規雇用労働者

74.0%

非正規雇用労働者

69.2%

男性育児休職取得率

95.5%

95%

エンゲージメントサーベイ 従業員満足度

68.3%

70%

エンゲージメントサーベイ 勤務推奨度

62.0%

60%

※ 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金差異は、「女性の職業生活における活躍の推進

  に関する法律」(平成27年法律第64号)の規程に基づき算出したものです。

※ 特に記載がない限り、当社グループの集計です。

※ 労働者の男女賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金割合を示しています。

 

(4)人権尊重

昨今、サプライチェーン上で発生する強制労働や差別など人権課題への関心が高まっており、企業には人権を尊重した事業活動が求められています。当社は、国連が定めた「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、あらゆる事業活動の土台に人権の尊重を据え、人権デューデリジェンスに継続的に取り組むことで、従業員やお取引先様と共に人権を尊重した事業活動を実現し、企業価値の向上につなげていきたいと考えています。

 

①ガバナンス

(a)人権方針

当社は、2019年に「JFR行動原則」「JFRお取引先様行動原則」を策定し、その中に「人権方針」を定めています。人権方針は、責任あるサプライチェーンの構築を目指して当社が事業活動の中で人権を尊重した適切な対応を行うための考え方を示したものであり、すべての役員と従業員に適用され、また、お取引先様にも理解・遵守を働きかけています。

 

※ 人権方針については、以下をご参照ください。

https://www.j-front-retailing.com/sustainability/pdf/diversity04/Human_rights_policy.pdf

 

(b)推進体制

「(1)JFRグループが目指すサステナビリティ経営 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

(c)人権デューデリジェンス

当社は、人権方針に基づき、人権デューデリジェンスを継続的に実施しています。サプライチェーン上の人権への悪影響を特定・評価し、人権への悪影響の防止・低減に対処するとともに、定期的にお取引先様アセスメントを実施し、必要に応じて取引先との対話を実施しています。

 

<人権デューデリジェンスの全体像>

 

 

②リスク管理

(a)人権リスクの特定・評価・報告のプロセス

当社の事業活動に関連して負の影響を受け得るステークホルダーの人権リスク(人権への潜在的な悪影響)については、事業全体のバリューチェーンの整理と事業内容ごとに想定される人権課題を網羅的に洗い出し、それぞれの深刻度(規模、範囲、救済困難度)及び発生可能性の視点で評価し、外部専門家も加わり検討を重ねます。そのうえで、代表執行役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会で論議し、重要な人権リスクを特定するとともに、その防止軽減策についても確認しています。

なお、サステナビリティ委員会での論議内容は、取締役会に報告されます。

 

※ JFRグループにおける重要な人権リスクは、③戦略「重要な人権リスクに対する防止・軽減策」をご参照ください。

 

③戦略

(a)考え方

当社は、事業を通じて環境・社会課題の解決を図るサステナビリティ経営を基軸に、リテール事業を中心に「感動共創」「地域共栄」「環境共生」の3つの価値を提供し続ける“価値共創リテーラー”を目指しています。そして、これを実現するためのマテリアリティとして「価値共創するパートナーを増やす」を特定しています。

当社は、お取引先様、従業員や地域社会など様々なパートナーの皆様と共に、人権尊重を事業活動の基盤に据え、持続可能な社会の実現と当社の持続的成長につなげていきます。

 

マテリアリティ

コミットメント

価値共創するパートナーを増やす

持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティに対する思いや考えを共有し、人権デューデリジェンスなどの社会的責任とともに、「感動共創」「地域共栄」「環境共生」の価値創出に向けたパートナー基盤をつくる。

 

(b)重要な人権リスクに対する防止・軽減策

当社は、JFRお取引先様行動原則の周知、お取引先様アセスメントや個別対話の実施、また従業員向けのハラスメント窓口設置や社内教育の実施など、人権リスクの防止・軽減に取り組んでいます。

JFRグループにおける重要な人権リスク及び主な防止・軽減策>

※JFRお取引先様行動原則については、以下のウェブサイトをご参照ください。

 https://www.j-front-retailing.com/sustainability/supply-chain/supply-chain02.html

 

※2023年実施のアセスメント及び内部通報制度等の詳細については、以下をご参照ください。

 統合報告書2025 p73-74

 https://www.j-front-retailing.com/ir/library/pdf/annual/2025/J_FRONT_2025_J.pdf

 

④指標と目標

当社は、人権尊重をはじめとしたサプライチェーン全体での取り組みが求められる事項について、お取引先様の取り組み状況を確認するアセスメントを定期的に実施しています。

2025年11月には、大丸松坂屋百貨店の主要お取引先様を対象とした説明会を実施し、当社グループの環境・人権への取り組みについて説明を行うとともに、今後の人権アセスメントへの協力を呼びかけました。(参加:233社/336名)

当社は、アセスメントを通じたお取引先様との対話により、「ビジネスと人権の指導原則」に沿った取り組みがなされているお取引先様の割合を増やし、サプライチェーン全体での人権リスクの低減につなげていきたいと考えています。

 

指標

目標

2026年

2030年

人権アセスメント結果

(B評価以上の割合)

 35%

45%

※2023年度実績31.7%

※B評価以上:人権尊重への取り組み状況を当社基準でAからDの4段階で評価。B評価以上とは、「ビジネ

  スと人権の指導原則」に沿った取り組みがなされている状態