リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2024年5月29日)において当社グループが判断したものです。
(1)リスクマネジメントの考え方と体制
・リスクマネジメントの考え方
当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。
・リスクマネジメント体制
当社は、代表執行役社長の諮問機関として、代表執行役社長を委員長、メンバーを当社執行役及び、主な事業会社の社長とするリスクマネジメント委員会を設置しており、リスクの抽出及び評価、戦略に反映させるリスクの決定など重要事項を審議し、リスクマネジメントを経営の意思決定に活用しています。なお、同委員会での審議内容については、適時に取締役会に報告します。
同委員会には、リスク管理担当役員を長とする事務局を置き、委員会で決定した重要な決定事項を事業子会社に共有し、ERM(全社的リスクマネジメント)を推進しています。また、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることにより、リスクマネジメントを企業価値向上につなげるよう努めています。
なお、効果的なリスクマネジメントを行うため、次のとおり3ラインを構築しています。
・第1ライン(事業子会社などの業務執行部門):自らリスクの特定及び必要な対策を行う。
・第2ライン(持株会社の各部門):業務執行部門から独立した立場でリスクマネジメントの支援・指導・モニタリングを行う。
・第3ライン(内部監査部門):業務執行部門及び持株会社の各部門などから独立した立場でリスク管理機能及び内部統制システムの有効性について監査を行う。
第2ラインによる支援とモニタリング、第3ラインによる独立した監査によって、第1ライン(業務執行部門)は、遅滞なく、また適正な手続きで、リスク対応を主体的に遂行していきます。
(2)プロセスとリスク抽出方法
当社グループでは、下記のプロセスにより、リスクマネジメントを推進しています。具体的には、外部・内部環境分析や、取締役、経営層や外部有識者及び実務部門の認識をもとに当社グループにとって重要度の高いリスクの抜け漏れが生じないように努めています。
リスクを戦略の起点と位置づけていることから、本中期経営計画の前提として、当社にとって重要度の高いリスクとその抽出方法の見直しを行いました。
中期的に当社のグループ経営において極めて重要度が高いものは、「JFRグループ重要リスク(以下 グループ重要リスクと呼ぶ)」と位置づけ「グループ中期経営計画」の起点としています。
また、「グループ重要リスク」を年度視点に分解・詳細化したもの、及び当該年度で個別対応が必要なリスク(主にオペレーションリスクや制度対応など)を合わせて「JFRグループ年度リスク(以下 グループ年度リスクと呼ぶ)」とし、優先度をつけて対応策を実行しています。
「グループ年度リスク」は、リスクを取り巻く環境変化と対応策の進捗についてモニタリングを行い、リスクマネジメント委員会で論議後、その内容を取締役会に報告しています。
「リスクの抽出方法とPDCA」
下図は当社グループが、中長期にわたりJFRグループの成長・存続を左右する最重要のリスクと位置づけている「グループ重要リスク」です。
その中でも、「既存の事業における業界構造の変容」「人財獲得競争の激化」「テクノロジー革新の加速」「環境課題の重要性の高まり」の4つのリスクは、当社のグループ経営に及ぼす影響が極めて大きいため、中期経営計画において最優先で対応すべきリスクと位置づけています。
「グループ重要リスクの全体像」 *は、影響が極めて大きく最優先で対応しているリスク
なお、2023年度までの旧グループ重要リスクと、現在のグループ重要リスクの相関は以下の通りです。従来から取り組んできたリスクを網羅しつつ、環境変化に合わせてリスクを見直しています。
(3)リスクについて
①戦略上のリスク
既存事業における業界構造の変容 |
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影響度:非常に大 |
将来の見通し: |
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(非常に拡大) |
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リスク認識 |
業界内での競争激化、ECをはじめとした他社・他業態の参入、取引先との関係の変化、消費マーケット自体の縮小や消費者の行動変容の進展、さらに固定費の増加・変動など、事業運営を行う上でベースとなる業界構造や収益構造は変容しています。当社グループの主要事業である百貨店事業の業界動向は長期的な縮小傾向にあり、従来のビジネスモデルの継続のみでは収益の維持や拡大は困難な状況です。 構造変化に応じた新たな事業モデルの再構築や、事業ポートフォリオの組み換えが収益拡大のチャンスとなります。一方、適切に対応できない場合には、業績が悪化し、固定資産の減損が必要となるなど、会計・税務上のリスクが生じるおそれがあります。 |
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対応策 |
当社グループは、本中期経営計画期間を2030年の飛躍的成長に向けた変革期と位置づけ、主力のリテール事業の深化により利益成長を図るとともに、「顧客」「エリア」「コンテンツ」の3つの領域でグループシナジーを追求し、飛躍的な成長を目指します。また、2030年を見据え、リテール事業に加えてデベロッパー事業や決済・金融事業の成長戦略を推進します。 成長戦略投資では、リテール事業の新たな成長に向けて、国内のみならず、海外・デジタル領域での事業展開を見据えた自社コンテンツ、サービスなどの開発、保有を推進する他、将来像を踏まえたM&Aや新規事業開発の推進、CVCによる出資先と協同でのオープンイノベーションを推進していきます。 <ご参考>これまでの具体的な取り組み事例 ・コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)始動 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/221011_CVC.pdf ・「事業継承ファンド」設立 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/20240118jigyousyoukei.pdf |
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人財獲得競争の激化 |
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影響度:非常に大 |
将来の見通し: |
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(非常に拡大) |
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リスク認識 |
労働力人口の減少による働き手の不足、及び人財の流動性の高まりにより、人財獲得競争は熾烈を極めています。持続可能な経営の必須条件は人財の継続的な確保であり、また、事業ポートフォリオ変革には、これと連動した動的な人財ポートフォリオの実現が不可欠です。 人財の質と量の継続的な確保に向けて、適切な投資・教育を行い、新たな人財獲得(採用)と既存人財のキャリア形成やリスキリングなどによる社内流動性の向上が求められています。 |
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対応策 |
当社独自の「人財力主義」に基づき、戦略遂行に必要な人財ポートフォリオ実現に向けた効果的な人財投資を実施していきます。イノベーション人財や高度専門人財の採用強化、公募を活用したグループ人財交流の推進、キャリア開発・リスキリングなどの育成に積極投資を行います。特にデジタル人財については、経営層を含む社員を対象に社内教育を実施し、「デジタルコア人財」育成を継続実施しています。併せて、市場競争力のある賃金水準・処遇の実現や、世代・性別などによらない多様な人財が活躍する職場環境づくりに継続して取り組みます。 <ご参考>これまでの具体的な取り組み事例 ・専門人財採用 2023年218人、2022年161人、2021年103人 ・女性管理職比率 2023年22.5%、2022年22.2%、2021年21.3% ※人的資本に対する当社の考え方の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)人的資本に対する考え方」をご参照ください。 |
テクノロジー革新の加速 |
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影響度:非常に大 |
将来の見通し: |
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(非常に拡大) |
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リスク認識 |
ビジネスに大きなインパクトを持つテクノロジー革新の中でも、生成AIは特に活用範囲が広く、業務のあり方を変えつつあります。また、Web3.0、XR、NFTなどの新たなデジタル技術やサービスは、生活者のライフスタイルや価値観・コミュニケーションを変化させ、新たに主要な市場へ成長する可能性があるとともに、既存ビジネスモデルにも影響します。 技術を活用して新たなビジネスモデルを構築することにより、変化する消費者行動に適応し、収益向上に寄与できる一方、適切な対応ができない場合には、事業の変革対応の遅れやビジネス機会の喪失、業務効率の低下などの恐れがあります。 |
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対応策 |
当社グループでは、当社独自環境で使用する対話型生成AIを導入し、業務の効率化や効果性向上を図っています。また、百貨店・パルコ各店舗でのXRを活用したイベント実施やアバター販売の開始など、リアルとデジタルを融合した新たな体験価値の創出に取り組んでいます。その他、様々な取り組みを通じて、デジタル技術による社会変革に対してDX推進の準備が整っていることを認める「DX認定(経済産業省認定)」を受けています。 <ご参考>これまでの具体的な取り組み事例 ・経済産業省「DX認定事業者」に認定 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/202305010dx.pdf ・大丸松坂屋 アバター販売開始 https://www.daimaru-matsuzakaya.com/assets/news/3d_12_22.pdf ・パルコデジタルマーケティングXRメディア開設 *店舗でのイベント記事掲載 |
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環境課題の重要性の高まり |
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影響度:非常に大 |
将来の見通し: |
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(拡大) |
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リスク |
地球温暖化や海洋汚染、また生物多様性の喪失など、地球環境を取り巻く環境問題は深刻化しており、長期間にわたり企業の事業活動に影響を与えると認識しています。 企業には、これらの問題への対処だけではなく、課題解決を起点としたビジネスの創出など、持続可能な環境・社会づくりに向けた積極的な役割・貢献が求められています。 |
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対応策 |
当社は、気候変動をサステナビリティ経営上の重要課題と位置づけ、2050年までのバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロ※1を目指しています。具体的には、ネットゼロ実現に向けて、「温室効果ガス排出量削減」と「サーキュラー・エコノミーの推進」の両輪で取り組んでいます。 ※1 温室効果ガスの排出量を徹底して削減し、残りの排出量について、森林吸収やCCS(CO2の回収・貯留)等による除去量を差し引いて実質ゼロにすること <ご参考>これまでの具体的な取り組み事例 ・温室効果ガス排出量削減 Scope1・2削減(再生可能エネルギー切り替え拡大、店舗照明のLED化、営業用車両のEV化など) Scope3削減(説明会の実施などお取引先様への働きかけ) ・サーキュラー・エコノミーの推進 食廃油から国産SAF製造を目指す「Fry to Fly Project」参加 https://www.daimaru-matsuzakaya.com/assets/news/saf.pdf ・ファッションサブスクリプション事業「アナザーアドレス」 https://www.anotheraddress.jp/ ・不要な衣料品等を回収し、再資源化・再利用する取り組み「エコフ」https://dmdepart.jp/ecoff/about/ ※環境問題への対応の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動課題への対応(TCFD 情報開示)及び(3)自然関連課題への対応(TNFD 情報開示)」をご参照ください。 |
少子高齢化と所得格差の拡大 |
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影響度:大 |
将来の見通し: |
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(拡大) |
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リスク認識 |
人口減少により日本の消費人口は縮小し、また中長期的には、消費の中心は団塊ジュニアを核とする世代からミレニアム世代、Z世代(以下、MZ世代)へと交代が進展していきますが、MZ世代の価値観、行動様式は他の世代とは大きく異なる面を持っています。また、長寿命化の中、アクティブシニア市場が拡大すると見られ、従前の高齢者とは異なるライフスタイルを嗜好するシニア層にも適した事業運営が求められています。 世界的に所得格差は拡大、日本においても二極化が進展しており、ターゲットとする顧客に適切に対応するスピードと戦略性が求められます。 |
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対応策 |
消費の多様化が進み、求める商品やサービスが画一的ではなくなった今、当社グループは、自身のこだわりや価値観を重視し、高質で、心が高揚する消費や体験を嗜好する全ての生活者(特にMZ世代、富裕層、インバウンド等)に、新たな価値を提供していきます。 そのため、当社の強みである優良な顧客基盤の深耕に加え、海外顧客、消費を牽引していくMZ世代など新たな顧客とのつながりを拡大していきます。当社が事業基盤を持つ7つの重点エリア*を中心に、グループシナジーの発揮による顧客基盤の拡大、地域価値の最大化のため、百貨店、SC事業を軸に、デベロッパー事業、決済・金融事業を強化推進します。さらに、新規事業の取り組みとして、MZ世代に人気のeスポーツ事業にも、(株)XENOZの買収を通じて参入し、パルコを中心とした連携を強化しています。 <ご参考>これまでの具体的な取り組み事例 ・大丸松坂屋、GINZA SIX自社カードの統合による顧客基盤拡大、地域価値の最大化 https://www.jfr-card.co.jp/corporate/news/20231006.pdf ・(株)XENOZの株式取得 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/20221027esports.pdf |
*札幌、東京、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡
生活者の価値観や行動の多様化 |
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影響度:大 |
将来の見通し: |
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(拡大) |
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リスク認識 |
生活者の価値観の変化は、消費の主役の世代交代の進展とともに一層顕著となっていきます。消費トレンドは、所有から利用へ、便利で役立つものから情緒的で物語性のあるもの、今この瞬間しか味わえない体験(トキ消費)、競争から共創など多様化しています。また、「持続可能な経済活動」も求められています。消費行動プロセスも多様化しており、消費やサービスをオンライン上で完結したい消費者も現れています。合わせて足許の物価高やエネルギー資源の高騰は、お客様の消費意欲にも影響しています。 このような消費行動・ニーズの変容に適切に対応することができれば、当社ブランド力の向上や収益拡大のチャンスになります。 |
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対応策 |
上記のようなマーケット変化や次世代顧客に対応するため、国内外顧客から支持の高いラグジュアリーブランドの継続強化に加え、ライフスタイル提案、美や健康などの改装投資を実施し、各地域での店舗競争力強化を図ります。松坂屋名古屋店ではラグジュアリーをはじめ新たなファッションやライフスタイルを提案する大型改装を、PARCOにおいても、渋谷店・心斎橋店での初の大型改装や、名古屋店でのエンタテイメント、POPカルチャーゾーンの導入などを予定しています。また、大丸松坂屋百貨店のサブスクリプション事業は、従来のファッションに加えて、アート、冷凍グルメなどカテゴリーを拡大しています。 <ご参考>これまでの具体的な取り組み事例 ・冷凍グルメ宅配のサブスクリプションサービス「ラクリッチ」スタート https://www.daimaru-matsuzakaya.com/assets/news/5_16.pdf ・パルコゲーム事業スタート https://www.parco.co.jp/pdf/jp/store/storage/cname_20230907152708.pdf |
海外消費者の存在感の上昇 |
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影響度:大 |
将来の見通し: |
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(拡大) |
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リスク認識 |
低成長が続く日本とは対照的に、アジアを中心とする新興国は高成長を続けています。アジアの成熟都市には大型商業施設が多くあり、成長都市には国の成長に伴い都市開発、複合開発プロジェクトなどが増加しています。また、アジアにおいても富裕層は増加しており、中間層も人数や所得が急増しているなど、消費の牽引役としてのアジアの重要性が高まっています。 世界的なコロナ禍の収束を機に、海外消費者のマーケットは拡大していくと見られます。 このような中、海外消費者は当社グループにとって大きなターゲットと考えられるため、この市場に目を向けて適切に対応することがチャンスとなります。一方、政治情勢等の理由からインバウンドが大きく落ち込むことも想定し、国内顧客への対応も継続して注力していく必要があります。 |
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対応策 |
海外消費者のマーケット獲得は、将来の成長に欠かせない重要課題であり、顧客定着を推進するため、当社に海外事業担当の専門部署を新設しました。また、拡大していくインバウンド需要を着実に捉えるべく、国内外顧客から支持の高いラグジュアリーブランドなどの強化に加え、海外・デジタル領域でのビジネス展開を可能とするコンテンツ・サービスの開発・保有を推進していきます。その一方で、国内顧客基盤の拡大にも引き続き、取り組んでいきます。 <ご参考>これまでの具体的な取り組み事例 ・他社提携による海外富裕層へのアプローチを強化 |
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都市間の格差拡大 |
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影響度:大 |
将来の見通し: |
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(拡大) |
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リスク認識 |
日本の人口減少、少子高齢化が進む中、三大都市圏や主要都市には人口流入が続き、雇用の機会やマーケットも拡大し、他都市との労働人口や経済の格差が拡大しています。 都市部においては、自然災害やインフラの老朽化に対して防災・減災、BCPなど都市の安全性強化に向けたインフラ整備が求められる一方、環境に配慮した快適な住居環境や文化との共存も求められています。 当社グループが都市の自治体やNPOなどとも連携し、街づくりや地域課題の解決に参画していくことが出来れば、地域の発展とJFRグループの収益拡大という両面を実現することができます。 |
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対応策 |
当社グループでは、デベロッパー事業の強化に向けて、2023年3月にJ.フロント都市開発株式会社を設立し、以下のような取り組みを推進しています。 ・グループ拠点のある主要7都市において都市の魅力をアップデートする開発の推進(名古屋栄「錦三丁目」エリア、大阪心斎橋エリアでの大型複合施設開発など、ともに2026年竣工予定) ・「地域社会との共栄」を目指し、商業だけでなく、オフィス、ホテル、レジデンスなどを組み込んだ複合施設の開発 ・「環境との共生」に向けて、今後の新たな施設開発においては環境認証の取得に積極的に取り組む <ご参考>これまでの具体的な取り組み事例 ・名古屋「(仮称)錦三丁目25番街計画」 https://www.parco.co.jp/news/detail/?id=2573 ・心斎橋プロジェクト https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/20220510shinsaibashi_p.pdf |
②ファイナンス上のリスク
経済動向の不安定さ |
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影響度:大 |
将来の見通し: |
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(拡大) |
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リスク認識 |
国内景気はグローバルな経済状況に左右され、為替、金利、株価などの不確実性は高く、特に、金利は、J.フロント都市開発が担うデベロッパー事業に大きく影響します。不確実性の高い経営環境の中、JFRグループとして、各種施策を検討・実施する過程において、複数のシナリオを策定し、機動的に対応することが重要です。 適切な対応により収益機会の拡大やリスク低減に繋がる一方、その対応を誤ると、収益機会損失や資金コストの上昇などマイナスの影響を及ぼす可能性があります。 また、新規投資資金、既存有利子負債の借換え資金、運転資金などを想定通りに調達できない場合、事業ポートフォリオ改革の遅れや企業活動の縮小に繋がる可能性があります。 |
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対応策 |
当社では、従来から事業特性を勘案して、主として長期かつ固定金利での資金調達を行っているため、短期的には、金利の上昇によって急激に支払利息が増加するなどの大きな影響を受けることはありません。 一方で、今後の成長戦略に向けた投資資金の確保や既存有利子負債の借換えに際しては、金利上昇の影響を受け、支払利息が増加するとみています。新規での資金調達局面においては、調達手段を適切に選択することなどにより、金融費用を極力抑制する施策に取り組んでいきます。 また、戦略視点でも、常に変動とその影響を確認し、必要に応じて、中期経営計画の見直し、次年度方針に反映していきます。 |
③ハザードリスク
自然災害や疫病の発生や流行 |
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影響度:非常に大 |
将来の見通し: |
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(継続して重要) |
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リスク認識 |
南海トラフ地震や首都圏直下地震など巨大地震の発生リスクは高まっています。また巨大台風や集中豪雨など異常気象による自然災害についても、発生頻度、被害規模ともに増大しています。 コロナ感染症は、収束が見通されるものの、新たな疫病の発生など類似のパンデミック(世界的な大流行)の可能性があります。 このようなリスクが顕在化し、人的被害、事業活動の停止、サプライチェーンの分断、施設改修に係る費用の発生など事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループに大きな影響を及ぼす可能性があります。リスクが顕在化する場合を想定し、事前に適切な対策や訓練を実施することが必要です。 |
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対応策 |
事業継続を脅かす自然災害等のリスクに対し、事業継続計画に基づき重要業務(資金、支払業務等)、重要インフラ(システム等)確保の観点から業務継続体制を整備するとともに、富士山噴火対応マニュアルの制定など事業継続計画内容の拡充、各事業会社における定期的なBCP訓練の実施等により、幅広い危機事象への対応能力や実効性の向上を図っております。 また感染症などに対しては、人命の安全確保や事業への影響の極小化、平時における体制整備に関する事項などを定めた「新型感染症対応マニュアル」に基づき対応していきます。 |
地政学・地経学危機の顕在化 |
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影響度:大 |
将来の見通し: |
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(拡大) |
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リスク認識 |
ウクライナでの紛争の他、地政学リスクが顕在化しています。これらは、資源や食料、先端技術などの自国への囲い込みが進み、物価やサプライチェーン、消費者動向にも影響を与えます。 世界の不確実性が高まっていく中で、その動向を注視し、様々な状況を想定したプランの策定や事前の訓練は、海外従業員の安全・安心を確保する上でも不可避な取り組みです。リスクが顕在化した場合でも適時・適切な対応が可能となるよう、事前に有事を想定して準備をしておくことが重要です。 |
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対応策 |
従業員の海外赴任先や出張先のリスク環境・実態を踏まえた海外危機管理体制の構築と対応能力の強化を推進していきます。また、海外拠点、駐在員を置く事業会社(大丸松坂屋、大丸興業、パルコ等)での事業継続計画の見直しを実施します。なかでも、当社グループが拠点を有する東アジア有事への対応を定めた行動指針を新たに制定し、海外安全対策マニュアルを改訂するなど海外従業員の安全確保をはじめとした対応策を継続して強化していきます。 また、戦略視点でも、常に不安定要素と事業への影響を確認し、必要に応じて、海外戦略における次年度方針への反映や、施策の柔軟な変更を実施していきます。 |
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情報セキュリティ脅威の増大 |
||||
影響度:大 |
将来の見通し: |
|
(拡大) |
|
リスク認識 |
リモートワークの定着、クラウドやモバイル利用などの業務が拡大していく一方、サイバー攻撃や不正アクセスなどの手法の多様化、高度化が急速に進展しており、当社グループを取り巻くサイバーリスクは一層深刻化しています。また、当社グループは顧客情報や個人情報を多く保有しており、情報の保管、取り扱いについてより堅牢な仕組みの導入やシステムセキュリティ対策が必須となっています。 外部からの攻撃や人為的なミス、委託先の管理不備等により重要情報の外部流出やサービスの大規模停止などのリスクが顕在化した場合、社会的信用の失墜のほか被害の規模によっては当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。情報セキュリティ管理の整備・高度化を推進していくと同時に従業員が正しい知識を持ち、適切に行動することが必要です。 |
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対応策 |
当社グループでは、情報セキュリティを確保するため、以下のような方向で取り組みを進めています。 ・情報セキュリティの専門組織設置。グループ内IT組織の一元化と組織機能を発揮しやすいシステム環境整備 ・グループインフラの一元化と整備・高度化、情報システムの安全稼動及び堅牢性の高いセキュリティの構築 ・セキュリティ強化した館内Wi-Fi環境への切替により、従業員の不正な持ち込み機器による社内ネットワー クへの侵入対策 ・新ソリューションや外部監視サービスを活用した監視体制の強化、脆弱性に関する管理対象範囲の拡大、対 応品質の向上による情報漏洩等の未然防止などセキュリティ運用の高度化を推進 ・外部に委託するシステムに関する管理体制の強化 ・システム投資関連の運用の改善、IT資産管理関連の新運用の定着、IT事業継続計画の検討などITガバナン スの適正運用の推進 ・グループセキュリティガイドライン改訂、セキュリティインシデント対応体制の強化 ・IT担当者を対象としたインシデント対応訓練の実施、全従業員対象の情報セキュリティe-ラーニングや標的 型攻撃メール訓練の継続的実施などにより、従業員のセキュリティ意識とリテラシーの向上 |
JFRグループ「グループ重要リスク」一覧
分類 |
項目 |
影響度 |
将来の 見通し |
マイナス面 |
プラス面 |
対応策 |
戦 略
|
既存事業における 業界構造の変容 |
非常に大 |
|
・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下 |
・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長 |
・事業ポートフォリオの転換に向けた既存事業強化、事業開発 ・将来像を踏まえたM&AやCVCによる出資 |
人財獲得競争の 激化 |
非常に大 |
|
・人財獲得競争での劣後、優秀人財の流出 ・従業員のモチベーション低下 |
・事業戦略の推進、イノベーションの創出 ・従業員のエンゲージメント、組織力の向上 |
・専門人財の採用、グループ人財交流、育成 ・従業員のWell Being Life実現につながる人財投資 |
|
テクノロジー革新 の加速 |
非常に大 |
|
・グループ全体の成長の停滞 ・テクノロジー活用遅延による競争力の低下 |
・テクノロジー活用によるビジネスモデルの変革 ・業務の効率化 |
・グループデータベース活用 ・AIの活用による業務効率化 ・Web3.0、XR、NFTなど新たな市場でのビジネスモデルの構築 ・デジタル人財の育成 |
|
環境課題の重要性 の高まり |
非常に大 |
|
・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下 |
・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上 |
・温室効果ガス排出量削減 ・環境配慮型商品・サービスの取り扱い拡大 ・シェアリング・アップサイクル等サーキュラー型ビジネスの拡大 |
|
少子高齢化と所得 格差の拡大 |
大 |
|
・国内市場規模の縮小 ・従来ターゲットのボリューム層の減少 |
・ターゲットへの対応による新規マーケット拡大 |
・自身のこだわりや価値観を満たす、高質で心が高揚する消費や体験を嗜好する生活者へのアプローチ ・上記ターゲットへリーチするための顧客基盤・事業基盤の拡大 |
|
生活者の価値観や 行動の多様化 |
大 |
|
・売上、収益の減少 |
・新規マーケットの拡大 |
・自身のこだわりや価値観を満たす、高質で心が高揚する消費や体験を嗜好する生活者の価値観に沿った施策の推進(サブスクリプション事業、宅配事業、エンタテイメント、POPカルチャーなど) |
|
海外消費者の 存在感の上昇 |
大 |
|
・インバウンドの取り込みの遅れ ・インバウンドの急減 |
・インバウンド売上の拡大 ・ECなどの展開による外需獲得 |
・国内外顧客から支持の高い商品カテゴリーの継続強化 ・海外でのデジタル領域での展開を可能とするコンテンツ開発・保有の推進 ・継続した国内顧客基盤拡大の取り組み |
|
都市間の格差拡大 |
大 |
|
・都心立地の商業施設の集客力低下 |
・都市のニーズ、街づくりへの貢献を通じた事業展開 |
・グループ重要拠点において自治体などと連携した街づくり参画(商業施設、オフィス、ホテル、レジデンスなど) |
|
ファイナンス |
経済動向の 不安定さ |
大 |
|
・収益機会損失 ・資金コスト上昇 |
・成長戦略推進、事業ポートフォリオ変化の推進 ・資金コストの引き下げ |
・固定金利での長期調達 ・新規資金調達局面での適切な調達手段の選択 |
分類 |
項目 |
影響度 |
将来の 見通し |
マイナス面 |
プラス面 |
対応策 |
ハザ | ド |
自然災害や疫病の 発生や流行 |
非常に大 |
|
・お客様、従業員の人命損傷 ・事業継続の危機 |
・事業の安定運営 |
・実践的なBCP訓練の継続実施 ・事業継続計画の定期的な見直し ・新たなパンデミックへの備えの強化 |
地政学・地経学 危機の顕在化 |
大 |
|
・海外赴任(出張者)従業員の危険や生活困難 |
・海外事業の安定運営 |
・従業員の海外赴任先や出張先のリスク環境、実態を踏まえた海外危機管理体制の構築と推進 ・当社事業(特に海外事業)における影響注視 |
|
情報セキュリティ 脅威の増大 |
大 |
|
・個人情報の漏洩、訴訟・損害賠償の発生、社会的信用失墜 ・業務の遅延・停滞 |
・業務やシステムの安定稼動 ・業務の効率化、リモートワークの推進 |
・グループ共通のシステムインフラの整備、高度化の推進 ・セキュリティ運用の高度化推進と対応体制の強化 ・グループセキュリティガイドラインの見直しと訓練等を通じた従業員のセキュリティ意識、リテラシーの向上 |
影響度:中期経営計画期間中の、当社グループへの経済的なインパクト、ブランド価値へのインパクトを考慮したもの
見通し:中期経営計画期間中のリスクの増減を、当社グループへの影響度を考慮して見通したもの
|
:影響が極めて大きく、最優先で対応しているリスク |
リスクの分類については、複数の分野にまたがる場合は、当社グループの戦略に影響や関連性が最も高い分野で記載した
配当政策
3【配当政策】
当社は、健全な財務体質の維持・向上を図りつつ、利益水準、今後の設備投資、フリーキャッシュ・フローの動向等を勘案し、安定的な配当と柔軟かつ機動的な自己株式取得により、適切な利益還元を行うことを基本方針としております。
この方針に基づき、当中期経営計画期間(2024~2026年度)においては、連結配当性向40%以上の配当と、自己株式の取得により、自己資本の適正化に取り組みます。
内部留保につきましては、リテール事業を更に強化するための店舗改装投資や、グループシナジーの具現化に向けたデベロッパー事業への先行投資、成長投資などに活用し、企業価値の向上を図っていく所存であります。
なお、当期の配当は、中間配当16円に期末配当20円を加えた年間配当36円としました。
当社の剰余金の配当は、中間配当と期末配当の年2回を基本方針としており、取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年10月10日 |
4,228 |
16.00 |
取締役会決議 |
||
2024年4月15日 |
5,285 |
20.00 |
取締役会決議 |