リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2026年5月26日)において当社グループが判断したものです。
(1)リスクマネジメントの考え方と体制
・リスクマネジメント
当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。
そして、当社にとって重要度の高いリスクに対し、「リスクテイクし事業機会と捉えて推進していく戦略・施策」、「リスクを脅威と捉えてコントロールしていく戦略・施策」を検討し、リスクを戦略の起点と位置づけて対応を進めています。
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・リスクマネジメント体制
当社は、代表執行役社長の諮問機関として、代表執行役社長を委員長、メンバーを当社執行役及び、主な事業会社の社長とするリスクマネジメント委員会を設置しており、リスクの抽出及び評価、戦略に反映させるリスクの決定など重要事項を審議し、リスクマネジメントを経営の意思決定に活用しています。なお、同委員会での審議内容については、適時に取締役会に報告します。
同委員会には、リスク管理担当役員を長とする事務局を置き、委員会で決定した重要な決定事項を事業子会社に共有し、ERM(全社的リスクマネジメント)を推進しています。また、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることにより、リスクマネジメントを企業価値向上につなげるよう努めています。
なお、効果的なリスクマネジメントを行うため、次のとおり3ラインを構築しています。
・第1ライン(事業子会社などの業務執行部門):自らリスクの特定及び必要な対策を行う。
・第2ライン(持株会社の各部門):業務執行部門から独立した立場でリスクマネジメントの支援・指導・モニタリングを行う。
・第3ライン(内部監査部門):業務執行部門及び持株会社の各部門などから独立した立場でリスク管理機能及び内部統制システムの有効性について監査を行う。
第2ラインによる支援とモニタリング、第3ラインによる独立した監査によって、第1ライン(業務執行部門)は、遅滞なく、また適正な手続きで、リスク対応を主体的に遂行していきます。
(2)リスク抽出とモニタリングのプロセス
当社グループでは、下記のプロセスにより、リスクマネジメントを推進しています。
リスクの抽出については、外部・内部環境分析や、取締役、経営層や外部有識者および実務部門の認識をもとに当社グループにとって重要度の高いリスクの抜け漏れが生じないように努めています。
その中でも、中長期的に当社のグループ経営において極めて重要度が高いものは、「JFRグループ重要リスク」と位置づけ「グループ中期経営計画」の起点としています。また、「JFRグループ重要リスク」は策定後、事業会社に共有します。各事業会社はグループのリスクを参考としつつ、個社特有のリスクを抽出し、事業会社ごとに「重要リスク」を策定しています。
JFR、各事業会社は、ともにリスク対応策を年度で策定し、半期ごとに対応状況をモニタリングしています。併せて、リスク自体も再評価し、重要リスクを見直して次年度戦略に繋げています。
「リスクの抽出方法とPDCA」
(3)JFRのグループ重要リスク
当社は、中長期にわたりJFRグループの成長・存続を左右する最重要のリスクとして13項目の「JFRグループ重要リスク」を特定しています。
2025年度に実施した重要リスクの見直しにおいては、コンプライアンス違反が及ぼす経営への影響を鑑み「コンプライアンスの重要性増大」を新たに追加しました。また、重要リスクとして特定していた「環境課題の重要性の高まり」と「人権尊重の重要性の高まり」については、自然、気候、人権の課題が複雑に絡み合う中で統合的なアプローチが求められる現状を踏まえ、「サステナビリティ課題の複雑化」としました。
その中でも、「既存事業における業界構造の変容」「人財獲得競争の激化」「テクノロジー革新の加速」「サステナビリティ課題の複雑化」は、当社のグループ経営に及ぼす影響が極めて大きいとの認識に立ち、中期経営計画において最優先で対応すべきリスクと位置づけています。
「グループ重要リスクの全体像」 *は、影響が極めて大きく最優先で対応しているリスク
JFRグループ「グループ重要リスク」一覧
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分類 |
項目 |
影響度 |
将来の 見通し |
マイナス面 |
プラス面 |
対応策 |
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戦 略
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既存事業における 業界構造の変容 |
非常に大 |
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・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下 |
・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長 |
・事業ポートフォリオの転換に向けた既存事業強化、事業開発 ・将来像を踏まえたM&AやCVCによる出資 |
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人財獲得競争の 激化 |
非常に大 |
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・人財獲得競争での劣後、優秀人財の流出 ・従業員のモチベーション低下 |
・事業戦略の推進、イノベーションの創出 ・従業員のエンゲージメント、組織力の向上 |
・専門人財の採用、グループ人財交流、育成 ・従業員のWell Being Life実現につながる人財投資 |
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テクノロジー革新 の加速 |
非常に大 |
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・グループ全体の成長の停滞 ・テクノロジー活用遅延による競争力の低下 |
・テクノロジー活用によるビジネスモデルの変革 ・業務の効率化 |
・AIの活用による業務効率化 ・グループベースでのBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)への取組み ・デジタル人財/IT人財の育成 |
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サステナビリティ課題の複雑化 |
非常に大 |
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・自然災害の激甚化や気候変動の影響による売上、収益の減少 ・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下 |
・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上 |
・温室効果ガス排出量削減 ・環境配慮型商品・サービスの取り扱い拡大 ・シェアリング、アップサイクル等サーキュラー型ビジネスの拡大 ・人権デューデリジェンスの実施 ・顧客、取引先、地域社会等とのエンゲージメント強化
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少子高齢化と所得格差の拡大 |
大 |
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・国内市場規模の縮小 ・従来ターゲットのボリューム層の減少 |
・ターゲットへの対応による新規マーケット拡大 |
・自身のこだわりや価値観を満たす、高質で心が高揚する消費や体験を嗜好する生活者へのアプローチ ・上記ターゲットへリーチするための顧客基盤・事業基盤の拡大 |
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生活者の価値観や行動の多様化 |
大 |
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・売上、収益の減少 |
・新規マーケットの拡大 |
・自身のこだわりや価値観を満たす、高質で心が高揚する消費や体験を嗜好する生活者の価値観に沿った施策の推進(サブスクリプション事業、エンタテイメント、POPカルチャーなど) |
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海外消費者の 存在感の上昇 |
大 |
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・インバウンドの取り込みの遅れ ・インバウンドの急減 |
・インバウンド売上の拡大 |
・国内外顧客から支持の高い商品カテゴリーの継続強化 ・海外顧客の会員化 ・継続した国内顧客基盤拡大の取り組み |
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都市間の格差拡大 |
大 |
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・地方における消費パイの縮小 |
・都市のニーズ、街づくりへの貢献を通じた事業展開 |
・グループ重要拠点において自治体などと連携した街づくり参画(商業施設、オフィス、ホテル、レジデンスなど) |
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分類 |
項目 |
影響度 |
将来の 見通し |
マイナス面 |
プラス面 |
対応策 |
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ファイナンス |
経済動向の変動による消費行動やコスト構造の変化 |
大 |
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・収益機会損失 ・資金調達コスト上昇 |
・成長戦略推進、事業ポートフォリオ変革の推進 ・資金調達コストの引き下げ |
・固定金利での長期調達 ・新規資金調達局面での適切な調達手段の選択 ・常に変動を注視し、必要に応じた計画・方針の見直し |
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ハザ | ド |
自然災害や疫病の 発生や流行 |
非常に大 |
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・お客様、従業員の人命損傷 ・事業継続の危機 |
・事業の安定運営 |
・実践的なBCP訓練の継続実施 ・事業継続計画の定期的な見直し ・新たなパンデミックへの備えの強化 |
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地政学・地経学 危機の顕在化 |
大 |
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・海外赴任(出張者)従業員の危険や生活困難 |
・海外事業の安定運営 |
・従業員の海外赴任先や出張先のリスク環境、実態を踏まえた海外危機管理体制の構築と推進 ・当社事業(特に海外事業)における影響注視 |
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情報セキュリティ 脅威の増大 |
大 |
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・個人情報の漏洩、訴訟・損害賠償の発生、社会的信用失墜 ・業務の遅延・停滞 |
・業務やシステムの安定稼動 ・業務の効率化、リモートワークの推進 |
・グループ共通のシステムインフラの整備、高度化の推進 ・監視体制の強化や脆弱性管理対象範囲の拡大による、情報漏洩やインシデントの未然防止 ・グループセキュリティガイドラインの見直しと訓練等を通じた従業員のセキュリティ意識、リテラシーの向上 |
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オペレ |ション |
コンプライアンスの重要性増大 |
大 |
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・事業継続の危機 ・社会的信用失墜 ・ステークホルダーの離反、企業価値の低下 |
・企業価値の向上 ・当社グループ従業員のエンゲージメント向上や企業風土の変革 |
・「JFR行動原則」の継続的周知浸透の取組み ・グループ企業の経営層を対象とした意識醸成のための施策実施 ・内部通報制度の設置 |
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:影響が極めて大きく、最優先で対応しているリスク |
リスクの分類については、複数の分野にまたがる場合は、当社グループの戦略に影響や関連性が最も高い分野で記載した
影響度:中期経営計画期間中の、当社グループへの経済的なインパクト、ブランド価値へのインパクトを考慮したもの
見通し:中期経営計画期間中のリスクの増減を、当社グループへの影響度を考慮して見通したもの
:非常に拡大 :拡大 :継続して重要
(4)各リスクについて
①戦略上のリスク
●既存事業における業界構造の変容 (影響度:非常に大、見通し:非常に拡大)
<リスク認識>
業界内での競争激化、ECをはじめとした他社・他業態の参入、取引先との関係の変化、消費マーケット自体の縮小や消費者の行動変容の進展、さらに固定費の増加・変動など、事業運営を行う上でベースとなる業界構造や収益構造は変容しています。当社グループの主要事業である百貨店事業の業界動向は長期的な縮小傾向にあり、従来のビジネスモデルの継続のみでは収益の維持や拡大は困難な状況です。
構造変化に応じた新たな事業モデルの再構築や、事業ポートフォリオの組み換えが収益拡大のチャンスとなる一方、適切に対応できない場合には、業績が悪化し、固定資産の減損が必要となるなど、会計・税務上のリスクが生じる恐れがあります。
<対応策>
当社グループは、本中期経営計画期間を長期的成長に向けた変革期と位置づけ、主力のリテール事業の深化により利益成長を図るとともに、2030年を見据えた先行投資、成長戦略投資を強化します。既存事業の変革(海外・デジタルなどビジネス領域の拡大、コンテンツ・サービスの保有、開発を推進)する他、ポートフォリオの組み換えを図るべく、将来像を踏まえたM&Aや事業継承ファンドやCVCによる出資先と協同でのオープンイノベーションの推進を実施していきます。
●人財獲得競争の激化 (影響度:非常に大、見通し:非常に拡大)
<リスク認識>
労働力人口の減少による働き手の不足、および人財の流動性の高まりにより、人財獲得競争は熾烈を極めています。持続可能な経営の必須条件は人財の継続的な確保であり、また、事業ポートフォリオ変革には、これと連動した動的な人財ポートフォリオの実現が不可欠です。人財の質と量の継続的な確保に向けて、適切な投資・教育を行い、新たな人財獲得(採用)と既存人財のリカレント、リスキリングによる社内流動性の向上が求められています。
<対応策>
“価値共創リテーラー”への変革実現に向け、人と組織の持続的成長を図る新たなグループ人財戦略を、グループ一体となり強化推進します。女性活躍やグループ内交流など多彩な人財の活用機会の拡大に加え、想像と挑戦を促す組織文化の醸成に向けたマネジメント力の向上、評価・報酬など人事制度改革に取組みます。
●テクノロジー革新の加速 (影響度:非常に大、見通し:非常に拡大)
<リスク認識>
ビジネスに大きなインパクトを持つテクノロジー革新の中でも、生成AIは特に活用範囲が広く、業務のあり方を変えつつあります。また、新たなデジタル技術やサービスは、生活者のライフスタイルや価値観・コミュニケーションを変化させ、新たに主要な市場へ成長する可能性があるとともに、既存ビジネスモデルにも影響します。技術を活用して新たなビジネスモデルを構築することにより、変化する消費者行動に適応し、収益向上に寄与できる一方、適切な対応ができない場合には、事業の変革対応の遅れや、ビジネス機会の喪失・業務効率の低下などの可能性があります。
<対応策>
デジタルの活用等を通じた生産性をより一層高めるため、グループベースでのBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)に取組みます。また、IT投資に係る承認プロセスの高度化など 、グループITガバナンスを強化します。また、百貨店・パルコ各店舗でのXR・VRを活用したイベント実施やアバター販売など、リアルとデジタルを融合した新たな体験価値創出のビジネスモデルにトライしています。
●サステナビリティ課題の複雑化 (影響度:非常に大、見通し:拡大)
<リスク認識>
地球温暖化、海洋汚染、生物多様性の喪失など地球環境問題の深刻化、サプライチェーン上の人権問題など、サステナビリティをめぐる問題は相互に絡み合い、これまで以上に複雑化・深刻化しています。企業単独での対応には限界があるため、ステークホルダーとの連携やサプライチェーン全体での取り組みが求められています。更には、気候変動と生物多様性あるいは環境と人権等のトレードオフを考慮しながら取り組むことも必要です。
<対応策>
当社の環境・人権関連課題を含むサステナビリティに関する考え方及び対応策については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
●少子高齢化と所得格差の拡大 (影響度:大、見通し:拡大)
<リスク認識>
人口減少により日本の消費人口は縮小しており、また、中長期的には、消費の中心はミレニアム世代、Z世代(以下、MZ世代)へと交代が進展していきますが、MZ世代の価値観、行動様式は従前の世代とは大きく異なる面を持っています。また、世界的に所得格差は拡大、日本においても二極化が進展しており、ターゲットとする顧客に適切に対応することが求められます。
<対応策>
消費の多様化が進み、求められる商品やサービスが画一的ではなくなった今、当社グループは、属性に関わらず自身のこだわりや価値観に合う付加価値には高額でも対価を払う高質高揚消費層(特にMZ世代、富裕層、インバウンド等が顕著)に、新たな価値を提供していきます。また、当社の強みでもある富裕層ビジネス分野での競争優位性を確立するため、各エリアにおいて、顧客開拓、催事・体験企画の充実などに取り組んでいます。
●生活者の価値観や行動の多様化 (影響度:大、見通し:拡大)
<リスク認識>
生活者の価値観の変化は、消費の主役の世代交代の進展とともに一層顕著となっていきます。消費トレンドは、所有から利用へ、便利で役立つものから情緒的で物語性のあるもの、今この瞬間しか味わえない体験(トキ消費)、競争から共創など多様化しています。また、「持続可能な経済活動(エシカル消費)」も求められています。消費行動プロセスも多様化しており、消費やサービスをオンライン上で完結したい消費者も増加しています。このような消費行動・ニーズの変容に適切に対応することができれば、当社の企業価値の向上や収益拡大のチャンスともなります。
<対応策>
上記のようなマーケットや次世代顧客に対応するため、目利き力や調達力、ネットワークなど組織力を融合した自社コンテンツの開発に取り組み、百貨店では共同開発や共同出資による、複数の次世代スイーツブランドをオープンしました。また、PARCOでは、ゲームパブリッシング事業に本格参入し、新レーベル「PARCO GAMES(パルコゲームズ)」では3作品の発売を開始しました。加えて、サーキュラー・エコノミーに貢献できる事業として、コメ兵社と「(株)JFR &KOMEHYO PARTNERS」を設立し、ブランド買取専門店「MEGRUS(めぐらす)」を百貨店、PARCOの店舗内に順次出店しています。
●海外消費者の存在感の上昇 (影響度:大、見通し:拡大)
<リスク認識>
低成長が続く日本とは対照的に、アジアを中心とする新興国は高成長を続けています。また、アジアにおいても富裕層は増加しており、中間層も人数や所得が急増しているなど、消費の牽引役としてアジアの重要性が高まっています。日本政府も2030年を見据えて大きなインバウンド対策目標を掲げており、海外消費者マーケットは今後も拡大していくと見られます。
このような中、海外消費者は当社グループにとって大きなターゲットと考えられるため、この市場に目を向けて適切に対応することが大きなチャンスとなります。一方、海外政治情勢等の理由からインバウンドが大きく落ち込むことも想定し、国内顧客への対応も継続して注力していく必要があります。
<対応策>
百貨店事業においては、主にアジアからの訪日観光客を対象に、顧客会員化の促進や再来店の促進など、海外顧客とのコミュニケーション、提案力の強化を図り、海外情勢等にも影響を受けにくい基盤を目指します。PARCOにおいては、インバウンド取扱高を伸長させるべく、ポップカルチャーなど体験価値の提供を更に強化します。
●都市間の格差拡大 (影響度:大、見通し:拡大)
<リスク認識>
日本の人口減少、少子高齢化が進む中、三大都市圏や主要都市には人口が流入し、雇用の機会やマーケットも拡大、他都市との労働人口や経済の格差が拡大しています。
各都市において、自治体その他ステークホルダーなどとも連携し、街づくりや地域課題の解決に参画していくことが出来れば、地域の発展とJFRグループの収益拡大という両面を実現することができます。
<対応策>
当社グループでは、2026年初夏、「ザ・ランドマーク名古屋栄」に、百貨店とPARCOの融合による商業施設「HAERA(ハエラ)」を開業し、近隣の松坂屋名古屋店、名古屋PARCOと合わせ、栄エリアでの圧倒的なプレゼンスを確立します。その他、大阪心斎橋エリアや福岡天神エリアでの再開発計画、神戸エリアでの旧居留地25番館への出資を契機として街の回遊性向上や地域連携によるイベントの充実など、エリアの更なる魅力向上に取り組みます。
②ファイナンス上のリスク
●経済動向の変動による消費行動やコスト構造の変化 (影響度:大、見通し:拡大)
<リスク認識>
国内景気は米国をはじめとするグローバルな経済状況や政策に左右され、国内外ともに、景気や為替、金利、株価などの不確実性は高くなっています。特に、金利は、デベロッパー事業に大きく影響、また為替はインバウンド消費にも影響する可能性があります。不確実性の高い経営環境の中、JFRグループとして、各種施策を検討・実施する過程において、複数のシナリオを策定し、機動的に対応することが重要です。
適切な対応により収益機会の拡大やリスク低減に繋がる一方、その対応を誤ると、収益機会損失や資金調達コストの上昇などマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
<対応策>
資金調達に関しては、当社では、従来から事業特性を勘案して、固定金利での長期調達比率を高くしており、金利の上昇によって急激に支払い利息が増加するなど、短期的に大きな影響を受けることのない仕組みを導入しています。一方で、成長戦略の推進に伴う大型投資においては、支払い利息が増加していく可能性があると見ています。新規での資金調達局面においては、調達手段を適切に選択することにより、金融費用を極力抑制する施策に取り組んでいきます。
事業視点では、常に経済動向の変動とその影響を確認し、必要に応じて、中期経営計画の見直し、次年度方針に反映をしていきます。
③ハザードリスク
●自然災害や疫病の発生や流行 (影響度:非常に大、見通し:継続して重要)
<リスク認識>
南海トラフ地震や首都圏直下地震など巨大地震の発生リスクは高まっています。また、巨大台風や集中豪雨など異常気象による自然災害についても、発生頻度、被害規模ともに増大しています。また、疫病の発生などパンデミック(世界的な大流行)の可能性もあります。
このようなリスクが顕在化し、人的被害、事業活動の停止、サプライチェーンの分断、施設改修に係る費用の発生など事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクが顕在化する場合を想定し、事前に適切な対策や訓練を実施することが必要です。
<対応策>
事業継続を脅かす自然災害等のリスクに対し、事業継続計画に基づき重要業務(資金、支払業務等)、重要インフラ(システム等)確保の観点から業務継続体制を整備、定期的な訓練の実施等により体制を強化していきます。また、新型コロナウイルス感染症の対応分析をふまえ、今後新たな感染症が発生した際にも、人命の安全確保や、平時における体制整備に関する事項などを定めた「新型感染症対応マニュアル」に基づき対応し、事業への影響を極小化していきます。
●地政学・地経学危機の顕在化 (影響度:大、見通し:拡大)
<リスク認識>
各地で地政学リスクが顕在化しています。こうした中で、資源や食料、先端技術などの自国への囲い込みが進み、物価やサプライチェーン、消費者動向にも影響を与えます。世界の不確実性が高まっていく中で、その動向を注視し、各種状況を想定したプランの策定や事前の訓練は、海外従業員の安全・安心を確保し、被害を最小限に抑える上でも不可避な取り組みです。リスクが顕在化した場合でも適時・適切な対応が可能となるよう、事前に有事を想定して準備をしておくことが重要です。
<対応策>
従業員の海外赴任先や出張先のリスク環境・実態を踏まえた海外危機管理体制を構築していきます。海外での危機事象発生時における行動指針を定めた「海外安全対策マニュアル」に基づき対応能力を継続して強化していくほか、海外拠点、駐在員のおかれている事業会社での事業継続計画の見直しを実施していきます。
また、戦略視点でも、常に不安定要素と事業への影響を確認し、必要に応じて、次年度方針への反映や、施策の柔軟な変更を実施していきます。
●情報セキュリティ脅威の増大 (影響度:大、見通し:拡大)
<リスク認識>
リモートワークの定着やクラウド、モバイルの利活用拡大など、事業活動を取り巻くIT環境が高度化・多様化する一方で、サイバー攻撃や不正アクセス等の情報セキュリティ上の脅威は多様化・高度化しています。
このような環境下において、当社グループは顧客情報や個人情報を含む重要な情報資産を多数保有しており、外部からの攻撃、人為的なミス、委託先における管理不備等により、情報漏洩やシステム障害、サービスの停止等が発生するリスクを有しています。
これらの事象が発生した場合には、社会的信用の失墜に加え、被害の規模や内容によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<対応策>
具体的には、グループ共通のシステムインフラの整備・高度化を進めるとともに、多要素認証導入拡大などの認証・アクセス管理の強化を図っています。また、外部監視サービスを含めた監視体制の強化、脆弱性管理対象範囲の拡大等により、情報漏洩やインシデントの未然防止に努めています。
あわせて、グループセキュリティガイドラインの改訂やインシデント対応体制の強化を進めるとともに、インシデント対応訓練、情報セキュリティeラーニングや標的型攻撃メール訓練を継続的に実施し、従業員のセキュリティ意識およびリテラシーの向上を図っています。さらに、当社に情報セキュリティに関する専門組織(JFR-CSIRT)を設置するとともに、各事業会社に情報セキュリティ責任者を任命するなど、グループ全体での情報セキュリティ管理体制の強化を行っています。
これらの施策により情報セキュリティリスクの低減に努めておりますが、今後も新たな脅威の出現や攻撃手法の高度化が進む可能性があることから、継続的な対策の見直しと強化が必要であると考えています。
●コンプライアンスの重要性増大 (影響度:大、見通し:継続して重要)
<リスク認識>
反社会勢力との取引、法令(中小受託取引適正化法、独占禁止法、消費者関連法、各業法等)違反や規制当局からのガイドライン(マネー・ローンダリング等)への未対応、不正行為等があった場合のレピュテーション上のインパクトは増大しています。特に、業法に基づいた適正な手続き、業務運営が実施されなければ、行政指導などにより事業継続に大きな影響が発生する可能性があります。また、上記の行為等が発生した場合、当社に対する社会的信用の失墜やステークホルダーの離反、企業価値の低下が生じる可能性があります。
<対応策>
当社は、当社及びグループ会社にコンプライアンス担当部門または担当者を設置し、従業員への法令教育や業務運用状況の監督を継続的に実施するとともに、グループ全体において適切な経営判断がなされるよう、グループ会社の経営層の意識醸成を目的とした各種施策を実施しています。また、JFRグループの全役員・従業員が、社是・グループビジョンの実現に向け社会的責任を果たすために、自らの役割と責任を認識し、高い倫理感を持って行動するという観点から、日々守るべき基本的な行動として「JFR行動原則」を定め、周知を行っています。
さらに、全役員・従業員および当社グループで勤務する全ての者(アルバイト・お取引先派遣者を含む)が、JFRグループ内におけるコンプライアンス上の問題について通知し、その是正を求めることができる内部通報制度を設置しています。
配当政策
3【配当政策】
当社は、健全な財務体質の維持・向上を図りつつ、利益水準、今後の設備投資、フリーキャッシュ・フローの動向等を勘案し、安定的な配当と柔軟かつ機動的な自己株式取得により、適切な利益還元を行うことを基本方針としております。
この方針に基づき、当中期経営計画期間(2024~2026年度)においては、連結配当性向40%以上の配当と、自己株式の取得により、自己資本の適正化に取り組みます。
内部留保につきましては、リテール事業(百貨店事業・SC事業)を更に強化するための店舗改装投資や、グループシナジーの具現化に向けたデベロッパー事業への先行投資、成長投資などに活用し、企業価値の向上を図っていく所存であります。
なお、当期の配当は、中間配当27円に期末配当27円を加えた年間配当54円としました。
当社の剰余金の配当は、中間配当と期末配当の年2回を基本方針としており、取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
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決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
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2025年10月14日 |
6,756 |
27.00 |
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取締役会決議 |
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2026年4月27日 |
6,756 |
27.00 |
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取締役会決議 |