リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資者の投資判断上重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に対する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業等について
① 中古品の仕入について
中古品は、新品と異なり仕入数量の調整が難しく、商品を安定的に確保することが当社グループの経営上の重要な位置を占めております。このため、当社グループでは店頭における一般顧客からの買取、顧客宅を直接訪問して行う出張買取、宅配便による買取のほか、新品・中古品取扱業者等からの仕入により仕入経路の多様化を図ることで、商品を安定的に確保する体制を構築しており、2024年2月期は、当期連結商品仕入高は前期比27.6%増となり、既存店及び新店運営のために必要十分な在庫水準を維持できております。
しかしながら、今後の景気動向や競合先の出現、スマートフォンをベースにした個人間売買アプリの影響等による買取・仕入価格の上昇や仕入数量の不足等により、安定的な商品の確保に支障をきたした場合には、当社の既存店の業績悪化や新規出店の立ち上がりの遅れにつながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② コピー商品の買取リスクについて
当社グループでは、ブランド品の取扱いを行っており、ブランド品や腕時計、貴金属を含む服飾雑貨の販売構成比は、2024年2月期は連結で21.5%であります。ブランド品はコピー商品が流通している場合があり、当社グループにも買取品としてコピー商品が持込まれる可能性があります。
当社グループにおいては、偽造品や不正商品の流通防止と排除を目的とした民間団体に加盟し、コピー商品に関する情報を入手するとともに、社内で専門部門を置き、真贋判定のためのマニュアルを作成し、真贋情報を共有する体制を整えるなど、コピー商品の流入防止に努めております。
しかしながら、コピー商品に関するトラブルが発生するリスクは潜んでおり、大きなトラブルが発生した場合、当社グループの店舗に対する信頼が低下することによって、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ フランチャイズ(FC)店の展開について
2024年2月期末日現在、当社グループでは以下のとおりFC店を展開しており、店舗数ベースで当社グループ全体の12%を占めております。
総合リユース業態「トレジャーファクトリー」のFC店:4店
連結子会社の服飾専門リユース業態「カインドオル」のFC店:15店
連結子会社のゴルフ専門業態「ゴルフキッズ」のFC店:14店
連結子会社のブランド・貴金属専門業態「キンバリー」のFC店:1店
当社グループでは、フランチャイズ加盟店に対し独自のノウハウ・システムを提供し、対価としてロイヤリティーなどの収入を得ております。FC店で不祥事等が起きた場合にはグループ全体のブランドイメージが損なわれ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、フランチャイズ加盟契約では、契約期間終了前でも、フランチャイズ加盟店からの申し出に基づく契約解除も認められておりますので、現在加盟中のフランチャイズが契約を解除する可能性があります。
(2)出店について
① 店舗の出店・閉店について
最近5年間の当社の直営店舗数の推移は以下のとおりであります。
|
2020年2月期 |
2021年2月期 |
2022年2月期 |
2023年2月期 |
2024年2月期 |
新規出店(店) |
9 |
6 |
17 |
18 |
20 |
閉店(店) |
― |
― |
1 |
― |
― |
期末店舗数(店) |
127 |
133 |
149 |
167 |
187 |
出店物件の選定にあたっては、物件の状況、契約条件、周辺地域の人口やその動態、交通の便、競合店の状況等を勘案して判断しております。また、当社では、資産効率を維持し、機動的な出店・退店を可能とするため、原則、自社物件として取得するのではなく、賃貸方式により出店しております。出店物件の確保にあたっては、他小売業などと出店競合することがあり、また、景気の動向等によって空き物件が減少することがあります。
2025年2月期の事業計画では、グループでの新規出店の目標数として30店を掲げており、その実現のために、店舗開発部門の体制を強化し、物件確保に取り組んでおります。しかしながら、上記の理由から当社グループの望む時期に望むような物件を確保できない場合には、新規出店の遅れにつながり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新規出店店舗が当初の計画通りに推移せず業績が低迷する場合に加え、収益性の悪化等により当社の判断において店舗を閉鎖する場合や、賃貸人等の事情による契約の終了により業績が好調な店舗であっても閉鎖を余儀なくされる場合があります。これらの結果、減損損失や店舗閉鎖損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、2024年2月期においては、収益性の低下がみられた店舗について「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき減損処理を行い、減損損失108百万円を計上しました。これらの店舗について業績改善に努めてまいります。
② 敷金及び保証金について
当社グループは、出店に際して賃借物件により店舗開発を行うことを基本方針としております。当社グループは、物件を借り受けるにあたっては、賃貸人に対し、敷金及び保証金を差入れており、2024年2月期末における残高は2,274百万円(総資産額に対して12.8%)となっております。
これらの敷金保証金は、契約解消時に返還されることとなっておりますが、賃貸人の事情によりその一部又は全部が回収できなくなる可能性があります。また、当社グループの都合で賃貸借契約を中途解約した場合には、契約内容によっては敷金保証金の一部が返還されなくなる場合があります。
③ 有利子負債への依存について
当社グループは、出店に係る資金の一部を金融機関からの借入により調達しております。2024年2月期末における有利子負債の額は5,387百万円であり、総資産額の30.4%を占めております。現在、長期借入金については固定金利により調達しているため、一定期間においては金利変動の影響を受けないこととなりますが、今後、新たに借入を行う際に、経済情勢等によって借入金利が上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制等について
① 古物営業法に関する規制について
当社グループが取扱う商品は「古物営業法」に定められた「古物」に該当するため、出店に際しては管轄する各都道府県公安委員会から営業許可を受けております。当社グループでは同法に従って適切に業務を遂行するため、古物台帳の管理の徹底、古物営業法に係る社内マニュアルの整備、社員教育等を実施しております。本資料の発表日現在において、当社グループにおいて許可の取消し事由は発生しておりませんが、万一同法に定める規則に反した場合には、営業許可の取消し、又は営業停止等の処分を受ける可能性があり、その場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループが買取った商品が盗品又は遺失物であった場合には、盗難又は遺失の時から1年以内であれば無償で被害者等に返還しなければなりません。その場合には、損失が発生することになります。
② 個人情報の管理について
当社グループは、古物営業法等の規則により、商品を買取る際、顧客の個人情報を入手することがあります。また、ウェブサイトを通じて顧客や採用応募者の個人情報を取得することがあります。
このため、当社グループでは、個人情報の管理ルールを定める社内規程等の整備や従業員教育の実施等により社内管理体制の強化を図り、社内に専門のシステムインフラ部門を配置し、ネットワークシステムへのアクセス管理により不正アクセスを防止するなど、個人情報管理の強化に取組んでおり、今後も個人情報の保護に努めてまいります。
こうした対策にもかかわらず、個人情報が流出した場合には、社会的信用の失墜、事後対応による多額の経費発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ その他の法的規制等について
当社グループが規制を受けているその他の法律には、「特定商取引に関する法律」、「消防法」、「建築基準法」、「特定家庭用機器再商品化法」及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等があります。
これらの各種法令の改正等に伴い、新たな対応コストが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)事業体制について
① 人材の確保及び育成について
当社グループは、店舗数の拡大に応じて人材の確保及び育成に努めており、2024年2月期は新卒・中途等合わせて220名を採用しました。また、2025年2月期は新卒・中途等合わせて200名を採用する計画であります。当社では、採用数増加に対応するため、採用教育部門の人員増加を図るとともに、パート・アルバイトからの社員登用の強化などを進めておりますが、他業界の採用動向などの影響により十分な人材の確保ができない場合や出店計画に見合った人材育成が計画どおりに進まない場合には、店舗展開に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他
① 自然災害について
当社グループは、2024年2月期末全275店舗のうち175店舗を首都圏に出店しております。このため、首都圏において地震、風水害(暴風・豪雨・洪水・津波)、猛暑・熱波、豪雪、火山の噴火及びその他の異常な自然現象により、当社が物的及び人的な損害を受けた場合、当社グループの営業を著しく縮小せざるを得なくなった場合などは、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループ店舗が出店している地域において自然災害に起因して生じる電力の不足、燃料の不足、通信の途絶、運輸機能の停止及び水道の停止等ライフラインの途絶が発生した場合、行政からの避難命令・勧告等により営業継続が困難となった場合にも当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
② 新型コロナウイルス感染症の影響について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は沈静化したものの、今後また新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令などがなされ、消費者の移動制限や外出自粛、企業活動に対する制約などが生じた場合、消費が停滞し、経済活動全体が落ち込む可能性があります。当社のリユース事業も、小売業として、来客数の減少、それに伴う買取や販売の減少などの影響を受けることが想定されます。今後も、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、当社グループの営業を著しく縮小せざるを得なくなった場合などは、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
③ M&A等について
当社グループは、新たな地域や新規事業への進出、既存事業の強化等のため、M&Aや資本提携等(以下「M&A等」という。)を積極的に検討していく方針であり、これまでに計7件のM&Aを実行しております。M&A等の実行においては、対象となる事業・地域・市場動向、相手先企業の経営状況、財務内容等について調査・分析を行うこととしておりますが、外部環境の著しい変化、人材の流出、当事者間の利害不一致その他の要因から想定どおりに推移する保証はなく、M&A等の検討時における制約等から十分な調査・分析を実施できない場合には、実行後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性があります。また、相手先企業の業績悪化等が生じた場合には、投資回収の困難、追加費用の発生、のれん等の減損その他の要因から、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 海外進出について
当社グループは、2016年からタイ王国にてリユース事業を行っており、2022年12月には、台湾に1号店をオープンし、リユース事業を本格的に開始しました。海外進出にあたっては、事前に当該地域の市場規模、競合環境及び法規制等の諸条件を十分に調査、検討しておりますが、海外での事業運営には、法改正や政策変更による事業リスク、潜在的な税務リスク、各種法律や規制への違反抵触などのリスクがあります。また、人件費の高騰や採用難、未整備なインフラ、テロ・戦争・疾病・災害・その他の要因による社会的又は経済的混乱の発生により事業が影響を受けるリスクがあります。これらのリスクが顕在化することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 国際情勢の影響について
2022年2月以降のロシア・ウクライナ情勢の影響により、物流の混乱やエネルギー価格高騰等に起因して、当社グループの店舗運営や新店出店に係る資材・部材の価格の高騰やその調達の遅れなどが生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主への利益還元を重要な経営課題と認識しており、株主還元と内部留保の充実による財務基盤の強化のバランスを勘案して、業績に応じ継続的に配当を行うことを基本方針としております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行なうことができる旨を定款で定めております。これらの
剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記配当方針に鑑みて期末配当を16円とし、当期の1株当たり年間配当金は28円となります。
なお、当社は、「取締役会の決議によって、毎年8月31日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月11日 |
280 |
12.00 |
取締役会決議 |
||
2024年5月29日 |
374 |
16.00 |
定時株主総会決議 |