リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 外部・内部経営環境に関するリスク
① シリコンサイクル・需給バランス・景気変動の影響について
当社グループの属する半導体業界はシリコンサイクルと呼ばれる好不況のサイクルが存在し、浮き沈みを繰り返していると言われています。これは、半導体市況の上昇局面では、多くの企業が一斉に生産設備の増強を計画し、その後、生産も同時に行われるため、供給過剰が発生して製品価格が下落し、売上高の減少・停滞が発生するものです。一方、不況となれば一斉に投資に抑制がかかり、その後には供給不足となって価格下落がとまるとともに稼働率が上がって再び好況となります。当社グループは、このような半導体業界特有のサイクルによる好不況の影響を受ける可能性があります。また、当社は顧客、仕入先と常に最新情報の共有などを行っておりますが、昨今のように、このようなサイクルとは別に当社グループが取り扱う半導体の需要の変化や半導体の供給力の変化、または、半導体が搭載される製品の価格やライフサイクルの変化などによって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② サプライチェーン全般について
当社グループは、主力の半導体事業において、米国企業を中心とする半導体メーカーの製品を仕入れて、世界各地の顧客(各種製造事業者)に販売しております。半導体メーカーの製造工程には前工程、後工程、出荷テスト工程があり、製品ごとにそれぞれの工程がアジアを中心に世界各地に所在しており、納入先である顧客の生産拠点もその多くがアジア各地に所在しています。当社グループもアジアをはじめ世界26の国と地域に事業拠点を設置しております。当社グループでは事業継続のための各種取組みを行っておりますが、感染症パンデミックによる都市封鎖、自然災害等により、現状のサプライチェーンモデルが機能不全に陥り、事業継続が困難になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 仕入先との関係について
当社グループは、最先端の技術・商品などを有する国内外の様々な企業を仕入先としております。それら仕入先とは、代理店契約などを締結し、緊密な関係を維持しておりますが、仕入先がM&Aに遭遇したり、仕入先自体の代理店政策の見直しにより代理店再編成が生じた場合は、商権に変更が生じるなど業績に影響を与える可能性があります。また、半導体及びIT・セキュリティ業界は、技術革新の激しい業界でありますが、仕入先の商品開発力が著しく低下し、商品の競争力に優位性が保てない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 新規仕入先の継続的な発掘について
当社グループは国内外の最先端の技術力を持ち、競争力の高い商品・サービスを有した企業をいち早く発掘し、代理店契約を締結することで商品ラインナップを拡大・強化してまいりました。これらの企業の獲得競争は激しいものとなっており、仮にこのような新規仕入先の継続的な発掘が困難になった場合は、当社グループの事業計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ サービス・ソリューションモデルの構築について
半導体やネットワーク事業で培ってきた高付加価値ディストリビューションのビジネスモデルを拡大し、従来の仕入先、顧客に加え、研究機関、官公庁、M&Aにより拡大したグループ会社等と協働しながら、技術商社の枠を超えた価値を創造する高付加価値サービス・ソリューションモデルへの変革をめざしております。既に各市場で必要な専門技術やパートナーを獲得し、例えば、自動運転ソリューションやスマートマニュファクチャリング等の分野において着実に一定の取引実績を上げておりますが、今後、これら新規事業の進捗に遅延等が生じた場合、将来の当社グループの収益拡大に向けた事業計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 高度な技術力の維持と人材確保について
当社グループの属する半導体及びIT・セキュリティ業界は、技術革新の激しい業界にあり、今後の成長及び収益性の向上は半導体、セキュリティ、AI、デジタル技術などの高度な専門性に基づくソリューションを顧客の課題に応じて提供することが重要となります。このような価値を顧客に提供するには、社内の技術力を高め、優秀な人材を採用、育成することが必要になります。近年特に優秀な技術者の獲得競争は激しいものとなっており、高度専門人材の活躍を後押しし、人的資本を最大化する各種取組みを推進する等、当社グループは優秀な技術者の確保に注力しておりますが、仮に十分な技術者を採用できない場合や優秀な技術者が流出した場合には、事業計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ カントリーリスク
当社グループはアジアを中心として世界26の国と地域に拠点を設置しております。事業展開する海外各国において、法律・規制の大きな変化、テロや戦争、米中対立の激化による半導体製品の中国への輸出規制や中国での不買運動、その他政治・経済状況の急激な変化、疾病といった予測し難い事態が生じ、事業活動に大きな影響を受け、事業継続が困難になった場合、海外での事業活動の停滞や不測の事態による損害の発生等、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
(2) 財務リスク
① 為替相場変動の影響について
当社グループのビジネスにおきましては、2024年3月期の国内仕入額に占めるドル建比率は81.3%、海外も含めた販売額に占めるドル建比率が44.3%と外貨建比率が高いことから、為替相場変動が当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。すなわち、ドル建の販売に対しては売上高の変動、ドル建の仕入に対しては売上原価の変動、さらにこれらに係る債権債務の発生時から決済時迄の為替相場変動による営業外損益発生の可能性があります。また、米国主要仕入先との取引では、仕入値引を仕入の実施から数か月後の販売時に決済する取引条件としており、この間仕入値引に相当する債権額が変動する可能性があります。加えて、当社グループは、連結財務諸表を海外子会社の現地通貨ベースの資産及び負債を円換算して作成しているため、為替相場変動による換算リスクを負っています。当社グループは、輸出入取引で生じる外貨建債権債務をヘッジしておりますが、かかる為替リスクを完全に払拭することはできず、為替相場変動が当社グループの当期純利益に影響を及ぼす可能性があります。
② 棚卸資産廃棄及び棚卸資産評価の影響について
当社グループのビジネスにおきましては、顧客からの所要数、納期などの要求に迅速に対応するため数ヶ月分の棚卸資産を確保しております。当社グループでは、棚卸資産額を適正に保つため商品が搭載される最終製品の需要予測、顧客の所要数量及び受注状況を考慮しながら、仕入先への発注を調整するなどして棚卸資産を管理しております。しかしながら急激な顧客の所要数量の変動、また、生産中止品や保守用在庫として確保していた商品が、当初見込んでいた顧客所要数量より差異が生じる際は、廃棄、又は資産価値評価の見直しを必要とする可能性があります。このような場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業投資リスクについて
当社グループは、既存事業における確固たるポジションの確立やグローバルに拡大していくためにM&Aを行い、子会社化を進めてきました。また、継続的な成長を目指し、既存事業だけでなく、AI、ヘルスケアといった新規事業分野の企業への出資も行っております。これらの出資に関しては、出資の妥当性・適正性について事業開発委員会の審議・検討を経て経営会議または取締役会で決定し、継続的にそれら企業の業績モニタリングを行っております。しかしながら、出資先企業の価値または株式の市場価値が低迷した場合には、当社グループが投資金額の全部もしくは相当部分を失うことがあります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法的及びその他リスク
① 当社が影響下にある法規制について
当社グループは、半導体・集積回路などの最先端の電子部品およびネットワーク関連商品・セキュリティ関連製品などの情報通信機器の輸出入を行っているため、輸出関連法規や関連諸規定の影響下にあります。当社グループでは、安全保障貿易管理を適切に実施するため、わが国の「外国為替及び外国貿易法(外為法)」に基づく輸出関連法規や関連諸規定を遵守しております。取扱商品の輸出に際しては、仕入先メーカーと協力のうえ「該否判定」を実施するほか、「仕向地、需要者、用途、取引経路等」の把握にも努めておりますが、需要者を通じて懸念国に迂回輸出され、軍事用途製品の一部に転用される可能性もあります。
当社グループとしましては、海外の需要者に対しても、軍事的用途に使用しないこと、安全保障貿易に関する法令・関連諸規定、国際条約等を遵守することを規定した確認証を提出して頂くよう求め、リスクの軽減に最大限努めておりますが、万一、当社グループの取引商品が予期せぬ需要者、用途で使用された場合、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 情報セキュリティについて
当社グループは、当社が提供する商品・サービスの販売活動を通じて、顧客企業が保有する個人情報などの各種機密情報を知り得る場合があります。このような状況において、サイバー攻撃、もしくは人為的な過失等により、サービス停止、個人情報や機密情報の漏洩・改ざん・紛失等が発生する可能性があります。当社では最先端のサイバーセキュリティ対策製品を導入し、システムがサイバー攻撃を検知した際には、即座に分析・対応できる組織を構成しております。また、世界各地の関連法規制を含み、社員への教育や啓蒙を継続的に実施することで、リスクの軽減に最大限努めております。しかし、このような取組みにもかかわらず、情報漏洩等が発生した場合に、顧客企業などからの損害賠償請求や、当社グループへの信頼喪失を招くことで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 求償リスクについて
当社グループの取扱商品及びサービスは、業務の性格上、顧客企業の様々な製品・サービスに使用されておりますので、製品不良等の問題により、当社グループが損害賠償を負う可能性があります。当社グループでは、契約書、取扱商品のクレームに対する仕入先メーカーとの連携及び協力等により、リスクの予防・軽減に最大限努めておりますが、このような対策にもかかわらず、重大な問題が発生した場合には、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
配当の基本方針は、将来の事業展開と経営体質の一層の充実・強化のために必要な内部留保を確保するとともに、株主の皆様に対し極力利益を還元すること、諸般の情勢を勘案しつつも安定した配当の継続に努めることと致します。当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としており、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
このような方針に基づき、当期末の配当金は1株当たり120円とし、中間配当1株当たり80円と合わせて年間配当200円とさせていただきました。
2022年度-2024年度「中期経営計画」において株主還元方針を一部変更しております。具体的には、経営環境や各事業年度の連結業績および目標とするROE(15.0%)などを勘案しながら、連結自己資本配当率(DOE)4.0%を目安として安定的かつ継続的な配当を実施するとともに、機動的な株主還元の手段として資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を実施し、総還元性向30~50%を目指します。
当社は、2024年6月26日開催の定時株主総会において、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によっても剰余金の配当ができる旨、定款の変更を決議しております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。