リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループが持続的に成長・進化するにあたってグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
(1) 競合についてのリスク
当社グループが属するエレクトロニクス業界は、「市場の成熟化と新興企業の参入」、「IoT(モノのインターネット)/AI(人工知能)の進展」、「ニーズの多様化・高度化」といった大きな環境変化の中にあり、競争が非常に激しい業界であります。そのため、価格競争の激化、技術革新に伴う当社の製品やサービスの対応の遅れといった要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしましては、業務の効率化を進めるとともに、グループの技術力を高めワンストップサービスや新たなビジネスモデルの提供を推し進め、付加価値の向上を目指します。
(2) 海外進出に伴うリスク
当社グループは、海外各国・地域で事業を展開しております。そのため、関連する海外各国・地域における政治・経済状況の変化、法律・税制の変化、テロ・戦争、パンデミック等による社会的混乱、債権回収リスク、労働力不足・人件費高騰等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしましては、国ごとのリスクを事前に把握し、現地専門家や海外現地のパートナー企業とコミュニケーションをとり可能な限りの対策を講じてリスクマネジメントを図っております。
(3) 金融市場の変動リスク
当社グループは、日本国内の他、海外でグローバルな事業活動を展開しているため、円の他にUSドルやユーロなどの他国通貨の取り扱い及び借入金があります。各通貨は、通貨国の経済状況や、中央銀行の政策金利の影響を受けており、著しい為替変動や金利上昇は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
為替リスクや金利上昇リスクを完全に払拭することは困難ではありますが、当社グループとしましては、為替差損益を極力縮小させることや、在庫削減や資金の効率運用などで、借入金を抑制し、金利負担低減を図ってまいります。
(4) 新規事業の立上げ及び投資に関するリスク
新規事業の立上げやその他投資にあたっては、その市場性や採算性等について十分な検証を行った上で、意思決定を行っておりますが、市場環境の急激な変化や不測の事態等により当初計画に乖離が生じた場合には、減損処理等を実施することとなり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしましては取締役会、投資/財務委員会においての議論を通じ、目的の適切性や定量的な検証等、事前の精査を高める一方、投資後においても投資/財務委員会等で、各進捗状況の検証を行い、事業や投資の継続有無を検討してまいります。また事業の立上げや契約に伴って生じる事業特有の法的リスクに対処できるように努めてまいります。
(5) 人材の確保及び育成についてのリスク
当社グループは優れたスキル・ノウハウを保有した人材の採用及び育成が重要であると認識しております。必要な人材を確保又は育成できなかった場合には、当社グループの事業展開や業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループとしましては、人材の棚卸を行い、スキルを明確にした上で採用活動を進めてまいります。また、評価・報酬制度や教育制度を整備してまいります。
(6) 気候変動・自然災害及び事故災害・感染症等のリスク
当社グループは、多様な事業を展開しており、気候変動や、地震・洪水・台風等の自然災害、火災等の事故災害又は感染症が発生した場合、自社の従業員や関連施設が直接的な被害を受けるリスクに加えて、仕入先メーカー・顧客メーカー等の操業停止に伴い、当社グループの事業活動が停滞し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
気候変動によるリスクへの対応については再生可能エネルギーの発電拡大等を通じて事業化の取組みを進めております。
気候変動におけるリスク管理の重要度の観点からはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づいたScope1・2におけるCO2削減の取組みを進めてまいります。
また自然災害や事故災害、新型コロナウイルスを含む感染症等のリスクについては、未然の防止を想定した業務マニュアルの徹底を図るとともに、防災対策、在宅勤務制度、サプライチェーンの継続を柱とする迅速な事業継続(BCP)体制の推進、損害保険への加入等でリスクヘッジを図ってまいります。
(7) システム障害及び情報漏洩のリスク
当社グループは、仕入や販売、及び会計などの業務処理に様々なシステムを活用しておりますが、企業規模の拡大に伴い、システムエラーやサイバー攻撃などによるシステム障害リスクは年々高まっております。また、取引先から入手した機密情報や個人情報等を保有しており、それらの情報資産が漏洩した場合には取引先情報資産の損失だけでなく、当社グループの社会的信用の失墜や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、障害に強いシステム環境の構築を促進すると共にシステム運用体制や管理手順を整備し、障害リスクの低減を図ってまいります。情報漏洩リスクに対しても、グループ管理体制の強化、より高度なセキュリティツールの導入、システム運用管理の徹底等によりリスク低減を図ってまいります。
(8) 当社グループが展開する事業に関するリスク
・顧客の需要動向に関するリスク
当社グループが販売する半導体及び電子部品は、顧客(セットメーカー)製品に搭載され、機器は顧客の業務プロセスの一部に組み込まれ、使用されています。
そのため、顧客製品の需要動向・搭載機能や経済環境・景気の変動に伴う顧客の設備投資動向に変更が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
・顧客及び仕入先に関するリスク
当社グループは国内外の多岐に渡る企業と取引を行っております。デバイス事業及びシステムソリューション事業では、特定の企業の商材を多く取り扱っているため、当該企業への依存度が高くなっており、当該企業の経営方針の変更や特定部品の需給逼迫動向等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、仕入先の事業再編(M&A等)や販売チャネル・テリトリー政策の見直し等により、当社グループの商権に変更が生じた場合にも、当社グループの業績と財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
・事業の季節要因についてのリスク
当社グループが展開するシステムソリューション事業は、放送関連市場、企業・学校・官公庁市場を主な市場としている特性から、顧客の予算執行の関係で期末の3月と9月に売上高が集中する傾向にあります。そのため、顧客の予算実行計画の変更等により、業績予測に影響を及ぼす可能性があります。
・施策の変更等に関するリスク
当社グループが展開するエコソリューション事業は、国の施策や環境規制等の様々な法令・規制との関連性が高い面を有しております。そのため、国の施策や環境規制等に変更があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
・電力市場価格の変動に関するリスク
原油価格の上昇や為替の大幅な変動、また自然災害等による原子力発電所の稼働停止等の要因で、電力の市場価格が大きく変動することにより、エコソリューション事業の採算性に影響を与える可能性があり、その場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
・植物工場の経営に関するリスク
エコソリューション事業の植物工場内において、設備の故障や植物の病気が発生した場合又は感染症に罹患した場合は、工場の操業を一時停止し問題を解決する必要があり、生産計画に影響を与える可能性があります。また、提供する商品の不具合の発生等において第三者から費用請求等を受け、その責任が当社グループに起因するものと判断された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
個々の事業リスクについては、迅速な情報収集や特定のビジネスに依存することのないようにラインナップの拡充、新規の仕入先・顧客の開拓等に努めるとともに、グループ戦略として多様な事業展開を進めることで、リスクの分散を図ってまいります。
(9) 長期経営に関するリスク
グループビジョンの達成に向けて代表取締役会長兼社長 今野邦廣氏の判断に依存しているリスクがあります。今野氏に突然の離脱があった場合には当社の経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は永続的な成長・進化を目指すことを目的に、グループの理念・ビジョンを共有した複数の代表取締役による経営の執行により未来を見据えた長期経営を実現しうる体制の構築を図っております。本体制には承継者の育成目的も含まれております。
当社グループとしましては「リスク管理規程」に基づき、各社各部門においてリスクの識別・評価・対応を行うと共に、各種委員会・会議等を開催しモニタリングを実施しております。また、重要度に応じて、親会社の取締役会等へ報告する体制を構築しております。
配当政策
3 【配当政策】
当社の2027年3月期を最終年度とする中期経営計画の期間においての株主還元の基本方針は次のとおりであります。
・安定的な株主還元の充実、成長領域への積極的な投資と財務健全性のバランスを考慮
・連結株主資本配当率(DOE)4%以上
・安定的且つ継続的に増配の実施
・余剰資金については機動的な自社株買い
※ DOE(Dividend on Equity):株主資本配当率=配当額÷株主資本=配当利回÷PBR
株主資本をベースとするため、配当性向に比べて、利益のぶれに対する影響が少なく、安定的な配当となります。当社は、株主の皆様に安心して長期保有いただけるよう、DOEを重要な指標として捉えて、株主還元を行ってまいります。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当、期末配当ともに取締役会であります。
以上の基本方針を踏まえた上で、2024年3月期の期末配当金につきましては、1株当たり60円とさせていただきます。すでに実施済みの中間配当金55円とあわせまして、年間配当金は1株当たり115円となります。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開への備えとして投入していくこととしております。