リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
(1) 消費者嗜好の変化及び競合について
外食業界では、他業界と比較すると参入障壁が低いため新規参入が多く、また継続的な価格競争等もあり、非常に厳しい競合状態が続いております。当社グループは、「磯丸水産」を主力業態として、複数業態による店舗展開を行っております。その中で当社グループは、お客様からより高い支持をいただけるよう、各業態ともに、市場ニーズや消費者嗜好の情報を収集しながら、新しい発想を取り入れ、一店舗一店舗こだわりをもった店づくりに取り組むと同時に、料理・サービス力の向上、店舗設備の改善等を継続的に図ることにより、競合店舗との差別化を図っております。しかしながら、市場ニーズ及び消費者嗜好の変化が当社グループの予想以上に進んだ場合、若しくは、今後当社グループの店舗と同様のコンセプトを持つ競合店舗の増加等により競合状態がさらに激化した場合には、各業態の集客力が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 人財の確保及び育成について
当社グループが主として展開する飲食店事業の展開においては、十分な人財の確保及び育成が不可欠です。したがって知名度の向上や採用手法の多様化等により人財の確保に努めており、また、社員の階層に合わせたEラーニング等を活用した研修プログラムの導入、実践的な技術指導を通じた人財教育等により、お客様満足度の向上と円滑な店舗オペレーションの推進に取り組んでおります。
しかしながら、人財採用環境の変化等により必要な人財が集まらない場合や、採用した人財の教育が一定レベルに到達せず店舗を管理できる人財が十分確保できない場合は、各店舗の集客力の低下、営業時間の短縮や計画通りの出店が困難となること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 出退店政策について
当社グループは主に、高い集客が見込める都心部及び郊外の主要駅周辺に出店しており、新規出店に際しては、立地条件、賃貸条件、予想投資回収期間等を総合的に検討して、出店候補地を決定しております。しかしながら、出店条件に合致する出店候補地を確保できず、新規出店が計画通り遂行できない可能性があり、また、出店候補地を確保して新規出店した場合においても、出店後の環境変化等により、当社グループの事前の検討結果どおりにならず、計画した店舗収益を確保できない可能性があります。
また、当社グループでは業績不振店舗については、月次の店舗ごとの損益状況等を踏まえて退店基準に基づいて検討し、業態転換、退店を実施することがあります。そのほか、定期賃貸借契約に基づき出店している店舗については、再契約が行われないことにより退店することがあります。業態転換や退店を実施した場合、固定資産の除却損や退店に係る減損損失の計上、賃貸借契約等各種契約の解約による違約金、退店時の原状回復費用等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 食材の安全性、調達について
食材につきましては、「安心」「安全」が特に問われる環境下にあり、以前にも増して安全な食材の調達が重要になっております。当社グループ使用の食材において、安全性が疑われる問題等が生じた場合や食材市況の変動等により食材を安定的に調達することが難しい状況になった場合等は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、天候不順や災害、国際紛争、エネルギー価格の高騰、物流コストの上昇、ウイルスの流行、検疫制度を含む法令改正等の外的要因により提供する食材の調達に制限を受けた場合、需給関係が逼迫して仕入コストが上昇する等の場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 未知のウイルス感染症の流行について
当社グループにおける新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、行政による休業要請、助成金の受給、客足の鈍化、衛生管理の徹底化など多岐に渡りました。2023年5月、新型コロナウイルス感染症の位置付けが季節性インフルエンザと同等の「5類感染症」に変更されたことにより、感染症法に基づく外出自粛や基本的感染対策の必要性はなくなりました。しかしながら、今後、新たに未知のウイルスが流行した場合は、新型コロナウイルス感染症拡大時と同様に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 法的規制等について
当社グループは、居酒屋業態の店舗を展開しておりますが、その運営に係る法令・規制等は多岐にわたっております。当社グループでは、顧問弁護士等に関係法令・規則等の確認を適宜行いながら、総務部・人事部を中心に法令・規制等遵守の体制を整えておりますが、重大なコンプライアンス上の問題が発生した場合や、法令・規制等の改正等により当社グループの社内体制を大幅に変更しなければならない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社グループに係る法令・規制等のうち特に影響が大きいと考えられるものは、以下のとおりです。
① 食品衛生法
当社グループは「食品衛生法」に基づき、所管保健所より飲食店営業許可を取得し、全ての店舗に食品衛生管理者を配置しております。各店舗におきましては、衛生管理マニュアルの運用の徹底、衛生管理教育や外部機関のチェック等により衛生管理体制の強化を図っており、また衛生管理マニュアルを随時見直すことにより最新の情報の反映を行っておりますが、仮に食中毒に関する事故が発生した場合や食品衛生法の規定に抵触するような事象が発生した場合には、食品等の廃棄処分、営業許可の取り消し、営業の禁止、若しくは一定期間の営業停止等の処分、被害者からの損害賠償請求、信用力の低下等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
深夜12時以降も営業する店舗につきましては、深夜営業について「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」により規制を受けており、各店舗への周知徹底等を通じて規制の遵守に厳重に取り組んでおりますが、法令違反等が発生した場合には、一定期間の営業停止が命じられる等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 外国人の労働条件に係る法令等について
当社グループの店舗では外国人がパートタイマー・アルバイト等として働いております。外国人の労働に関しては、出入国管理及び難民認定法により規制されております。当該法律の改正等により規制が変更された場合、雇用条件の変更、外国人就業者の減少、管理コストの増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 個人情報の管理について
当社グループは、従業員の情報及び店舗にご来店頂いたお客様の情報等の個人情報を保有しており、全社を挙げてその適正な管理に努めておりますが、万が一個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合には、社会的信用の失墜、損害賠償請求の提起等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 商品表示について
当社グループは、メニュー表記上の産地の表示や、店舗に供給する食材の原材料名については、十分なチェックを行った上で表示しておりますが、その内容に重大な誤り等が発生した場合には、当社グループに対する信用の低下等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑥ 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)に係る規制について
2001年5月に施行された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」が2007年6月に改正され、同年12月より食品廃棄物等の発生量が年間100トン以上の外食事業者は、毎年度、主務大臣に定期報告を行うことが義務付けられております。また、食べ残し等の食品廃棄物について、発生抑制と減量化により最終的に処分される量を減少させるとともに、肥料等の原材料としての再生利用を促されております。
そのため、今後法的規制の強化が行われた場合は、規制に対応するため設備投資等に関連する新たな費用が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 商標管理について
当社グループが新たな業態の店舗を出店する際には、商標の出願、登録を行うか、若しくは商標登録には馴染まない一般的な名称を用いた店舗名を使用する等、第三者の商標権を侵害しないように常に留意しております。万が一当社グループが第三者の商標権等の知的財産権を侵害していると認定され、その結果、損害賠償請求、差止請求等がなされた場合、若しくは、当該事項により当社の信用力が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) システム障害について
店舗の売上管理、食材の受発注、勤怠管理等のシステムの運営管理は、専門の外部事業者を利用するとともに、バックアップ体制を十分に構築しておりますが、災害や機械の故障、ウイルスの侵入等不測の事態によりシステム障害が発生した場合には、当社グループの運営に支障をきたすことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 自然災害及び天候の影響について
当社グループの多数の店舗が首都圏に集中しており、首都圏において大規模な地震や台風等による災害が発生した場合、若しくは長期的な天候不順やゲリラ豪雨等に見舞われた場合、その直接的、間接的影響による販売低迷等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 敷金及び保証金の回収について
当社グループは、賃借により出店を行うことを基本としております。店舗の賃借に際しては賃貸人へ敷金及び保証金を差入れております。賃貸借契約に際しては、賃貸人の信用状況の確認等を行い十分検討しておりますが、契約期間満了による退店や当社の都合によって契約を中途解約する等の時において、賃貸人の財政状態等により敷金及び保証金が回収不能となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、2024年2月末時点で連結貸借対照表に敷金及び保証金が2,801百万円計上されております。
(11) 親会社グループとの関係について
当社の親会社である株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、2024年2月末現在、当社発行済株式のうち13,435,500株(議決権比率58.96%)を所有しております。
今後においても、連結関係を維持するために必要となる当社株式数を継続的に所有する方針を親会社は現時点で有しております。
① 親会社グループにおける当社グループの位置付け
当社グループを除く親会社グループの主力事業は、郊外の商業施設等におけるレストラン及びフードコートの展開であり、当社グループの主力事業は、繁華街の路面店における居酒屋の展開であります。このように、当社グループを除く親会社グループと当社グループとは主力事業が異なり、事業の棲み分けがなされていることから、現在競合となりうる状況は発生しておらず、今後発生する見込みも現時点ではありません。しかしながら、将来的に親会社の経営方針に変更が生じた場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 親会社グループとの取引関係
以下の項目において親会社等との間で精算取引等が発生しております。
・親会社が株主に贈呈する「株主様ご優待券」利用による飲食代金の親会社に対する売掛金
・親会社の100%子会社である株式会社クリエイト・レストランツによる当社ブランド「磯丸水産」及び「磯丸水産食堂」のフランチャイズ展開に係るロイヤリティ
・当社子会社である株式会社クルークダイニングによる株式会社クリエイト・レストランツブランド「抹茶館」のフランチャイズ展開に係るロイヤリティ
③ 親会社グループとの人的関係
本書提出時点において、当社取締役8名のうち、親会社の従業員1名が、当社取締役を兼任しております。これは上場会社グループにおける知見の活用、コーポレート・ガバナンス体制の強化を主な目的としたものです。兼任している従業員は以下のとおりです。
④ 親会社グループとのその他特別な関係
当社グループを除く親会社グループとの間において上記の他に特別な関係はありません。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、新規出店・新業態開発等の事業展開と経営体質強化のための内部留保、経営成績及び財務状況を勘案し、安定継続的な配当を行うことを基本方針としております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本としております。当社は2022年5月26日開催の第12期定時株主総会において、資本政策及び配当政策の機動的な遂行を図るため、剰余金の配当等を取締役会決議により行うことが可能となる定款の一部変更議案を付議し、承認されました。これにより2023年2月期より中間配当及び期末配当の決定機関は取締役会となりました。
2024年2月期は新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しつつも感染者数が減少し、店内需要の復調から業績改善の兆しが見られましたため、中間配当を1株当たり11円、期末配当を1株当たり12円とさせていただきました。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、次のとおりです。