リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事業のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの財政状態及び経営成績等の状況に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済情勢の変動に係わるリスクについて
当社グループの主要事業である不動産開発販売事業は、景気動向・金利動向・不動産需要動向・住宅税制等各種税制の影響を受けやすく、景気の急速な悪化や大幅な金利上昇、需給悪化による販売価格の下落、住宅税制や建築基準法等の変更・改廃等によって、販売先の需要動向が変化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、金融市場の混迷及び先行き不透明感により、ローン構築の不成立や顧客購入意欲の低下の可能性があり、販売価格や保有不動産の評価を下げる必要がある等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの対応策として、景気動向・金利動向等のモニタリング、販売先の財務状況管理、各種法令の改廃情報の取得等を十分に行った上で開発・販売計画を策定しており、建築確認が下りた開発物件は速やかに販売先を選定し、売買契約を締結するよう努めております。
なお、当社グループは2020年10月より東京・蒲田駅前にてホテルを運営しておりますが、景気が急速に悪化し、宿泊需要が低下したことにより、客室稼働率や客室料金の低下が起こった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)気候変動並びに自然災害に係わるリスクについて
当社グループでは、開発エリアを主に東京23区並びに川崎市、横浜市等としておりますが、従前から報告されている大地震発生のリスクに加え、ここ数年気候変動に起因すると思われる大型台風の直撃やゲリラ型豪雨が頻発する事例が発生しており、当社グループが開発途中の物件において、地盤への影響や建設中の建物の倒壊等のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、開発用地購入においてハザードマップの確認を義務づけており、建築途中の物件現場においては、作業員の安全に留意しつつ、台風や豪雨等の被害を最小限にとどめるよう必要な対策をいたしております。
(3)事業用地の仕入に係わるリスクについて
① 事業用地の取得について
当社グループでは、東京23区並びに川崎市、横浜市等の利便性、人気とも高い事業用地を求めておりますが、他社との競合や価格の上昇等によって用地の取得が計画通りに行えない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの持続的な成長のためには、安定的な用地取得は不可欠であり、当該リスクの対応策として、既存情報取得先との関係強化及び新規情報取得先の開拓を行っております。
② 土壌汚染等によるリスクについて
当社グループは用地仕入に際し、土壌汚染・地中埋設物・埋蔵文化財・産業廃棄物の地中廃棄物等によるコスト排除を明確にするため、事前調査を徹底し、売買契約においても原則としてこれらのコストを売主負担としてまいりましたが、現在は開発用地獲得を優先する環境下のため、同コストは当社グループ負担となっており、想定外の土壌汚染問題等が発生した場合、処理費用が追加発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)特定取引先との取引集中に係わるリスクについて
① アウトソーシングに係わるリスクについて
当社グループは、都市型賃貸マンションにおいて、アウトソーシングを最大限活用した少人数体制を経営の基本方針としており、当連結会計年度においても、株式会社合田工務店への建築工事のアウトソーシングが集中しております。
当社グループと同社との取引関係に急激な変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの対応策として、建築工事の新たなアウトソーシング先を開拓しており、過度な集中とならないよう努めてまいります。
② 販売先に係わるリスクについて
当社グループと開発物件の販売先は安定的な取引関係にあり、今後もその取引関係に急激な変化はないと考えておりますが、当社グループの主たる販売先に不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの対応策として、マンション販売会社及び資産家やファンド等、多方面への販売チャネル確保に注力してまいります。
(5)販売に関連するリスクについて
① 販売用不動産の売却可能性について
当社グループの開発プロジェクトにおいて販売先との売買契約締結が長引いた場合、その間に不動産市況の急激な悪化等により売却可能性に問題が生じ、評価損の計上ひいては在庫が滞留するリスクがあります。
また、戸建やマンション、テラスハウス分譲事業、アパート事業においては、エンドユーザー向けの分譲となるため、景気の変動等により売却可能性に問題が生じ、評価損の計上ひいては在庫が滞留するリスクがあります。
都市型賃貸マンションに関しては不動産市況等を勘案しながら、用地購入から設計確認までの期間を短縮し、販売価格とのバランスを取りつつ販売先との売買契約を最短にするよう努力をしてまいります。
また、分譲マンションに関しましては、景気変動の可能性のある時期においての開発を抑制しております。
② 営業エリアに関連するリスクについて
当社グループでは、営業エリアを主に東京23区並びに川崎市、横浜市等にしていることで、不動産需要の減少に対して相対的に影響を受けにくくなっておりますが、同地区においてテロ等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)固定資産の減損に関するリスクについて
当社グループは、不動産賃貸収益の獲得及び将来的な自社開発物件の確保を目的として、賃貸用不動産の保有及び効率的活用を進めておりますが、経済情勢や不動産市況の悪化により賃料水準の低下や空室率の上昇等、賃貸用不動産の収益性が低下した場合等には固定資産の簿価切下げに伴う損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは東京・蒲田駅前にホテルを保有しておりますが、感染症の再拡大や経済情勢の悪化等により、ホテルの稼働率や1室当たりの客室単価が低下した場合等には固定資産の簿価切下げに伴う損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)借入金への依存に関連するリスクについて
① 金利の上昇リスクについて
当社グループは、事業資金を金融機関からの借入により調達しており、当連結会計年度末における総資産額に占める有利子負債の割合は、62.6%と高水準であります。
従いまして、金融情勢の変化により金利水準が上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 調達のリスクについて
当社グループは、用地仕入に際し、その資金を金融機関による間接金融に負っております。
金融機関の不動産融資の姿勢に変化が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、資金調達に際して、特定の金融機関に依存することなく、多数の金融機関と良好な関係を構築する一方で、新たな金融機関との新規取引による間接金融の拡大、エクイティ等の直接金融での資金調達を実施し、資金調達の円滑化と多様化に努めております。
(8)設計・建築工事について
当社グループは、都市型賃貸マンションにおいて、意匠設計及びプラン設計以外を設計事務所及び建設会社等にアウトソーシングしております。設計会社及び建設会社の選定から工程の進捗に至るまで、入念にアウトソーシング先の管理をしておりますが、アウトソーシング先の倒産や工事中の事故等が発生した場合に、工事の遅延・中止、また、2022年2月に発生したロシアによるウクライナへの侵攻等によるサプライチェーンの混乱や円安を起因とした建築資材価格の高騰及び人件費等の上昇に伴い、工事費用が上がっていくことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの対応策として、アウトソーシング先の財務調査及び各種情報収集を継続的に行うとともに、工事の早期発注や建築資材の代替品の活用、調達先の多様化等を実施しております。
また、建築事業においては、下請先の業績悪化等により、工事の遅延や中止になる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)物件の引渡し時期について
当社グループの不動産開発販売事業において、売上計上は物件引渡しによって行われます。
このため、建設業界の慢性的な人手不足、2024年4月からの働き方改革関連法の適用や天候不順、自然災害及び感染症蔓延等を原因とした工期遅延により、引渡時期が決算期を越えて遅延する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
販売会社との売買契約につきましても、竣工引渡後原則4ヶ月後決済(ただし戸別決済に応じる)となっておりますことから、決算期に跨る売買契約における計上戸数については、販売会社の販売状況によっては、当社グループの当該決算期業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)人材確保について
当社グループは、事業用地の仕入・設計・施工監理・建築・自治体との調整及び近隣との調整や竣工マンションの1棟販売等、専門的な知識・経験及び資格が要求されることから、人材の獲得・育成が重要であると認識しております。しかしながら、優秀な人材の確保・育成が計画通りに進行しない場合、若しくは保有人材の流出が大規模に発生した場合は、当社グループの今後の事業運営及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
(11)法的規制について
当社グループの事業は、「建築士法」・「宅地建物取引業法」・「金融商品取引法」・「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」・「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」・「旅館業法」・「公衆浴場法」・「温泉法」等により、法的規制を受けております。
また、当社グループの事業においては、事業活動に際して、以下の免許、許認可等を受けております。当社グループは、これまでにこれら法的規制によって重大な影響を受けたことはありませんが、今後新たな規制の制定や改廃が行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後何らかの理由により免許等の取消・更新・欠格による失効等の事象が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、業績に影響を及ぼす可能性があります。
許認可等の名称 |
会社名 |
許認可番号等 有効期間 |
規制法令 |
免許取消 条項等 |
一級建築士事務所登録 |
株式会社アーバネットコーポレーション |
東京都知事登録 第42424号 2022年9月10日 ~2027年9月9日 |
建築士法 |
第26条等 |
株式会社ケーナイン |
東京都知事登録 第62947号 2024年2月20日 ~2029年2月19日 |
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宅地建物取引業者免許 |
株式会社アーバネットコーポレーション |
東京都知事 (6)第75706号 2022年10月18日 ~2027年10月17日 |
宅地建物取引業法 |
第66条等 |
株式会社アーバネットリビング |
東京都知事 (2)第97760号 2020年4月25日 ~2025年4月24日 |
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株式会社ケーナイン |
国土交通大臣 (3)第8582号 2024年3月5日 ~2029年3月4日 |
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第二種金融商品取引業登録 |
株式会社アーバネットコーポレーション |
関東財務局長(金商)第1178号 |
金融商品取引法 |
第52条等 |
マンション管理業者登録 |
株式会社アーバネットリビング |
国土交通大臣 (2)第034154号 2020年3月19日 ~2025年3月18日 |
マンションの管理の適正化の推進に関する法律 |
第83条等 |
株式会社ケーナイン |
国土交通大臣 (1)第034608号 2022年3月10日 ~2027年3月9日 |
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賃貸住宅管理業者登録 |
株式会社アーバネットリビング |
国土交通大臣 (01)第001830号 2021年10月13日 ~2026年10月12日 |
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 |
第23条等 |
特定建設業許可 |
株式会社ケーナイン |
東京都知事許可 (特-5)第142913号 2024年3月15日 ~2029年3月14日 |
建設業法 |
第29条等 |
なお、最低住戸面積の引き上げ等ワンルームマンションの建設を規制する条例等が制定された場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(12)情報セキュリティについて
当社グループの保有している営業機密や個人情報等の重要情報が、何らかの事由により漏洩した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティを維持・管理するための体制や基本原則等を定め、当社グループが保有及び運用管理する情報資産を過失・事故・災害・犯罪の脅威等から保護し、事業活動を正常かつ円滑に行うことに努めております。
(13)訴訟等の可能性について
当社グループは、都市型賃貸マンションの開発を事業の基幹としております。当社グループは、役職員及び近隣対策会社等への啓蒙活動や近隣住民との対話回数の増加等により、訴訟等の発生を最大限回避する企業努力を行っておりますが、開発エリアを主に東京23区の駅徒歩10分以内としていることから、近隣住民からの苦情等を完全に排除することは難しく、法令に基づいて実施しているとはいえ、開発用地にある既存建物の解体やマンション建設に関連する騒音・振動・電波障害・日照問題・景観変化等の近隣住民等からのクレーム等に起因する訴訟及びその他の請求が発生する可能性があります。
当社は設立から26年以上が経過し、当社グループが過去に販売した物件における瑕疵の発生も可能性があります。
また、マンション管理・賃貸管理事業においても入居者等からのクレームや賃料滞納等に起因する訴訟及びその他の請求が発生する可能性があります。
これらの訴訟等の内容、結果、対応によっては、レピュテーションリスクが生じる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)ホテル事業について
ホテル事業につきましては、感染症の再拡大や経済情勢の悪化等による稼働率の低下、客室単価の下落、また、地震、台風等の自然災害や、事故、火災等の人的災害の発生等の予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)感染症等の発生について
当社グループでは、新型コロナウイルス等の感染症の拡大に備え、従業員及び取引先の安全を第一に考え、時差出勤やテレワーク・web会議を可能とするIT環境の整備を完了しております。また、新型コロナウイルス感染症に関しては規制が撤廃されており、当社グループにおいても通常の感染対策を維持するとともに、クラスター発生時においては新型コロナウイルス感染症対策で培った感染予防体制を実行してまいります。
なお、当社グループの開発現場において新型コロナウイルス等の感染症が蔓延した場合には、工事の一時的な停止等により竣工時期が遅延する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)その他について
当社グループは、事業展開上様々なリスクがあることを認識し、それらを最大限の努力で回避するとともに、リスクが発現した場合に備えて対策を十分に行うよう努めております。
しかしながら、事業遂行に当たり、予期できぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、財務体質の健全化のための内部留保及び手元流動性の確保の必要性を認識する一方、企業経営において、株主への利益還元がますます重要な経営課題であることを第一に考え、上場以来、業績数値に基づいた上で株主への配当を優先させることを企業の原則としてまいりました。
当社は、基本的な配当方針として、親会社株主に帰属する当期純利益から法人税等調整額の影響を排除した数値の40%を配当することとしております。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり21円の配当(うち中間配当10円)を実施することを決定しました。この結果、当連結会計年度の連結配当性向は38.8%となりました。
次期の配当につきましても、上記理念に基づき、通期配当を1株につき普通配当21円(うち中間配当1株当たり10円)を予定しております。
また、内部留保資金につきましては、主に開発不動産の仕入資金として充当する等、企業価値向上に努めてまいります。
なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。
また、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めておりますので、剰余金の配当の時期は、毎年12月31日を基準日とする中間配当及び毎年6月30日を基準日とする期末配当の年2回を基本としております。
(注)基準日が第27期事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年2月9日 |
317,740 |
10.00 |
臨時取締役会決議 (注)1 |
||
2024年8月8日 |
360,514 |
11.00 |
臨時取締役会決議 (注)2 |
(注)1.2024年2月9日臨時取締役会の決議による配当金の総額には、株式給付信託が保有する当社株式に対する配当金4,024千円が含まれております。
2.2024年8月8日臨時取締役会の決議による配当金の総額には、株式給付信託が保有する当社株式に対する配当金6,626千円が含まれております。