人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数118名(単体) 21,898名(連結)
-
平均年齢42.8歳(単体)
-
平均勤続年数15.1年(単体)
-
平均年収12,784,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2025年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
都市開発 |
957 |
(167) |
戦略投資 |
718 |
(83) |
管理運営 |
13,740 |
(6,088) |
不動産流通 |
5,803 |
(635) |
全社(共通) |
680 |
(106) |
合計 |
21,898 |
(7,078) |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
(2)提出会社の状況
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|
2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
|
118 |
(22) |
42.8 |
15.1 |
12,784 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
全社(共通) |
118 |
(22) |
合計 |
118 |
(22) |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社の従業員は、東急不動産㈱等からの出向者であるため、労働組合は組織されておりません。なお、連結子会社のうち東急不動産㈱には労働組合が組織されておりますが、労使関係は良好で、特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
②連結子会社
当事業年度 |
補足説明 |
||||||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合 (%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1 |
||||||
全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 |
|
全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 |
|||
東急不動産㈱ |
7.6 |
96.3 |
- |
- |
(注)3 |
57.0 |
59.9 |
50.3 |
|
㈱東急コミュニティー |
11.7 |
89.5 |
- |
- |
(注)3 |
80.7 |
64.9 |
86.1 |
|
東急リバブル㈱ |
1.8 |
95.0 |
95.0 |
- |
(注)1、2 |
47.6 |
55.3 |
26.6 |
|
東急住宅リース㈱ |
11.1 |
92.0 |
- |
- |
(注)3 |
67.2 |
66.3 |
88.7 |
|
㈱学生情報センター |
15.2 |
85.7 |
- |
- |
(注)3 |
51.6 |
76.4 |
75.0 |
|
東急不動産SCマネジメント㈱ |
17.1 |
- |
- |
- |
|
- |
- |
- |
|
リニューアブル・ジャパン㈱ |
7.5 |
66.7 |
66.7 |
- |
(注)1、2 |
72.5 |
73.4 |
69.0 |
対象期間は2024年1月~2024年12月となっております。 |
㈱東急Re・デザイン |
3.5 |
50.0 |
- |
- |
(注)3 |
62.6 |
60.3 |
71.2 |
|
㈱石勝エクステリア |
- |
50.0 |
- |
- |
(注)2 |
75.1 |
75.9 |
82.6 |
|
東急リゾーツ&ステイ㈱ |
4.8 |
60.0 |
- |
- |
(注)3 |
66.7 |
73.4 |
78.8 |
|
㈱東急イーライフデザイン |
25.7 |
71.4 |
- |
- |
(注)3 |
72.5 |
87.5 |
60.4 |
|
㈱イーウェル |
19.0 |
50.0 |
50.0 |
- |
(注)1、2 |
49.7 |
71.9 |
62.7 |
|
瀬良垣ホテルマネジメント㈱ |
16.7 |
- |
- |
- |
|
- |
- |
- |
|
東急ビルメンテナンス㈱ |
18.5 |
50.0 |
- |
- |
(注)3 |
73.4 |
81.2 |
87.4 |
|
東急リバブルスタッフ㈱ |
66.7 |
50.0 |
- |
- |
(注)3 |
74.6 |
81.5 |
74.0 |
|
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した
ものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)
の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)
の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
なお、各社の男女賃金格差が一定生じている背景は主に2点です。1点目は、当社グループの多くが、基幹業務を担う総合職と定型業務を担う事務職で構成されており、事務職の女性比率が高いことにあります。当社グループでは同じ職種・等級においては性別の違いによる賃金差はありませんが、総合職と事務職の賃金差によって、結果的に男女の賃金の差異が生じております。今後も、各事業の継続性を担保するために、定型業務を担う事務職の雇用は継続していく方針です。事務職は性別に関わりなく選択可能な職種ですが、応募者の多くを女性が占めるため、今後も一定の男女の賃金の差異は発生すると考えております。2点目は、管理職における女性比率が低いためです。処遇の高い管理職の男性比率が高いため、結果的に男女の賃金の差異が生じておりますが、今後女性管理職の比率が高まるにつれ、男女の賃金の差異が縮小していくと考えています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ戦略
当社グループは、サステナビリティビジョンおよびサステナビリティ方針を策定しています。事業活動を通じて社会課題を解決し、ステークホルダーとともに、サステナブルな社会と成長をめざします。2021年度に策定した長期ビジョン「GROUP VISION 2030」においては、グループの理念体系である“ありたい姿「価値を創造する企業グループへ」”の実現に向けて非財務の取組を重要な経営課題と位置づけ、継続的な強化を行いながら、持続的な企業価値向上を図り、次の世代、さらに次の世代を見据え、美しく豊かな環境の形成と、長く愛され続けるまちづくりを実現していきます。
また、私たちがめざす価値創造「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現」に向け、中期経営計画2030では、社会的テーマを捉えたプレミアムな価値の創出を目指します。
また、当社は国連グローバル・コンパクトを支持し、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」からなる10原則に基づき責任ある経営を推進しており、「環境ビジョン」や「東急不動産ホールディングスグループ人権方針」(以下、人権方針)および「東急不動産ホールディングスグループサステナブル調達方針」(以下、サステナブル調達方針)を定めています。
<サステナビリティビジョン・サステナビリティ方針>
<環境ビジョン>
[人権方針]
URL https://sustainability-cms-tokyu-s3.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/response_file/file/102/human_rights_policy_J.pdf
[サステナブル調達方針](2025年4月改訂)
①ガバナンス
環境・社会課題に対する迅速な意思決定に向け、健全で透明性のあるガバナンス体制の構築を進めています。全社横断的な対応を図るため、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」および「リスクマネジメント委員会」、「情報セキュリティ委員会」を設置しており、年に2回定例会議を開催しています。各委員会では、自社のみならずサプライチェーンおよびバリューチェーン全体において、気候変動・生物多様性をはじめとした環境課題、人権・DE&Iを含めた社会課題、コンプライアンスなどの重要課題について、方針※・目標(KPI)・行動計画を策定し、機会とリスクの特定・評価・計画立案・実績確認を行ない、審議結果は取締役会に報告しています。
取締役会では、上記の重要課題について、各委員会の報告を受けて業務執行内容の監督を行っています。
取締役の選定に際しては「環境・サステナビリティ」を含む7つの専門性と経験を考慮しており、取締役の報酬にはESGへの取組が勘案されています。
※サプライヤーと協働し、環境課題への対応、地域住民・先住民族の権利や強制労働・児童労働などの人
権リスクの未然防止・軽減を企図する方針。「人権方針」、「サステナブル調達方針」、「生物多様性
方針」など。
<体制図>
②戦略
長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の策定にあたり、重要な社会課題を抽出し、経営陣とステークホルダーの意向を踏まえ、6つのマテリアリティを特定しました(詳細はP11参照)。各マテリアリティは機会とリスクを整理し、2030年に目指す姿を定め、事業活動を通じて対応を行っています。
また、自らの事業だけでなく、サプライチェーンおよびバリューチェーン全体におけるマテリアリティに沿った施策の実行によりお客さまや社会に多様な価値を創出することで、あらゆるステークホルダーの満足度向上を図り、サステナブルな社会や当社グループの価値向上をめざします。
特に、マテリアリティ「サステナブルな環境をつくる」は、長期経営方針における全社方針「環境経営」において、「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」の3つを環境重点課題とし、注力して取り組んでいます。環境先進の強みに社会課題への取組を掛け合わせ、事業を融合させることで付加価値化を推進し、企業価値向上を図っています。
また、マテリアリティ「多様な人財が活きる組織風土をつくる」では、人的資本経営による人財戦略を推進することで、グループの価値の最大化をめざしています。また、人権においては、人権方針およびサステナブル調達方針に基づき、2024年度に人権リスクを再評価し、リスクマップとして整理しました。その結果、重要な人権課題として自社およびサプライチェーンにおいて優先的に対応すべき12の項目を特定しています。さらに、主に建設会社を重要なステークホルダーと捉え、強制労働・児童労働の解決に向け、人権デュー・ディリジェンスを実施することで人権リスクの未然防止と軽減に努めています。
<人権リスクマップ>
<優先的に対応すべき12の人権課題>
[労働者(自社、サプライヤー)]
①強制労働、②児童労働、③労働安全衛生、④差別、⑤公正な賃金、⑥適切な労働時間・休憩・休日
[顧客・利用者]
⑦安全と健康、⑧施設利用者の人身取引への加担
[地域住民・先住民族]
⑨先住民族の権利の侵害
[全ライツホルダー]
⑩気候変動による人命・健康・生活への影響、⑪救済アクセスの制限、⑫プライバシー・個人情報の保護
<6つのマテリアリティを通じて提供する価値>
③リスク管理
気候変動リスクを含む8つの個別リスクを重要性の高いリスクとして認識し、リスクマネジメント委員会において、グループ各社が担うリスクマネジメントを統括的に管理し、取締役会が監督しています。また、6つのマテリアリティに関連する重要リスクを特定し、「リスク管理基本規程」に基づき個別リスクごとの主管部署を定め、当該部署においてグループにおけるリスク管理体制および運用状況を統括しています(詳細は3 事業等のリスク を参照)。
サステナビリティ委員会では、環境や社会課題などのサステナビリティに関する重要な課題について一体的に管理し、取締役会が監督しています。
また、2019年度にサステナブル調達方針を策定し、バリューチェーンにおいても、上流・下流のステークホルダーとの協働により環境や社会課題に関するネガティブインパクトの低減に取り組んでいます。
(気候変動リスク)
バリューチェーン全体における現行および新規の法規制をはじめとする移行リスク、および気候変動の進行による物理的リスクの影響把握、ならびに各事業における戦略への反映を行っています。
(自然・ 生物多様性関連課題)
バリューチェーンにおける地域および関わっている自然の特性を踏まえ、物理的・移行リスクと機会の影響把握、ならびに各事業における戦略への反映を行っています。
(人権および調達リスク)
自社およびサプライチェーンを含むステークホルダーにおける人権リスク評価を行い、優先的に対応すべき12の項目を特定しています。中でも、主に建設会社を重要なステークホルダーと捉え、人権課題の解決に向け人権デュー・ディリジェンスを実施しています。
④指標と目標
長期ビジョン「GROUP VISION 2030」において、マテリアリティごとに2030年度のKPI目標を設定しています。財務および非財務KPI目標の双方達成に向け、進捗状況のモニタリングを行い、PDCAサイクルを回すとともにグループ横断で取組を進めています。
なお、目標は、進捗や達成状況等により中期経営計画2030において一部上方修正または追加しています。
<マテリアリティと主なKPI目標>
※前中期経営計画目標と2024年度実績
※中期経営計画2030における目標
(2)気候変動および生物多様性・自然関連課題への対応(TCFD提言およびTNFD提言への取組)
当社グループでは、環境への取組を企業価値向上につなげるため、長期経営方針において「環境経営」を全社方針に掲げ、脱炭素社会の実現と環境に寄与するライフスタイル創造に取り組みます。気候変動や生物多様性をはじめとした自然関連課題は、当社グループの事業活動にとってリスクであると同時に、新たな事業機会であると考えています。
「気候関連」では、気候関連財務情報開示の重要性を鑑み、当社は2019年3月にTCFD提言に賛同し、TCFDの取組について議論する国内組織である「TCFDコンソーシアム」にも参加しています。
また「自然関連」では、事業における自然資本に関わる依存・インパクト、リスクと機会について把握し開示を行うため、2023年6月から「TNFDフォーラム」に参加し、2023年8月に国内不動産業で初めて自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の開示(フレームワークβ版に準拠)を行いました。
2025年2月には、TCFD開示、脱炭素社会への移行計画、TNFDレポート(第3版)の3つを統合した「TCFD/TNFDレポート」を開示しています。
*TCFD・TNFD提言等に基づく情報開示
https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/tcfd-tnfd
①ガバナンス
上記(1)サステナビリティ戦略①ガバナンスを参照。
②戦略
A.気候・自然関連の重要なリスク・機会
気候関連のシナリオ分析、自然関連の依存・インパクト分析により検討した主な移行リスク・機会は以下の
とおりです。
気候関連のシナリオ分析、自然関連の依存・インパクト分析により検討した主な物理的リスク・機会は以下のとおりです。
B.気候関連課題の戦略
1)気候関連のシナリオ分析
気候変動課題についてはTCFD提言に沿い、当社グループの幅広い事業領域において気候関連の重要課題を認識し、3つのシナリオ(1.5℃、3℃、4℃)による分析を通じて機会とリスクを特定しています。また、事業戦略および財務計画への影響を把握することで重要度の評価を行い、2023年度にはTCFDなどのガイダンスに沿った「脱炭素社会への移行計画」を策定。各事業における対応策への反映を図っています。
東急不動産㈱においては2019年に国内の不動産業で初めてRE100※1に加盟し、2024年4月には国内事業会社※2で初めてRE100を達成※3し認定されました。その他、ZEB(Net Zero Energy Building)やZEH(Net Zero Energy House)の推進、建物環境認証の取得、インターナル・カーボン・プライシング(社内
炭素税)の導入、再生可能エネルギー事業の拡大、グリーン資金調達などを実施しています。
*TCFD提言に対応した情報開示 https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/tcfd
*脱炭素社会への移行計画
https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/transition-plan
※1世界で影響力のある企業や団体が、遅くとも2050年までに、自らの事業で使用する電力を再生可能
エネルギー100%化することを目指す国際的イニシアチブ
※2金融機関を除きます。
※3RE100が認めるグリーンガスが国内市場に存在しないため、コジェネレーション自家発電による電
力を除きます。
<気候変動の重要課題>
<気候変動のシナリオ分析>
気候関連シナリオ分析の対象事業:都市事業(オフィス・商業施設事業)、住宅事業、レジャー事業、
再生可能エネルギー事業
目標期間:中期(2030年)、長期(2050年)
*気候関連リスクと機会の財務影響の詳細はHPを確認ください。
URL https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/tcfd-tnfd/detail#510
2)低炭素社会への移行計画
2023年7月に、脱炭素戦略と事業戦略・財務指標の整合性を示しつつ、TCFDなどが提示している移行計画
のガイダンスに沿って作成した国内の不動産業では初の独立したレポートを発行しました。
具体的なロードマップは以下になります。
C.自然関連課題の戦略
当社グループは、地域特性を踏まえたネイチャーポジティブへの貢献を掲げ、都市においては、都市に点在する緑をつなぐ人と自然に配慮した緑化、地方においては、生態系サービスとの共存を取組目標として、不動産開発・運営管理を行っています。
2011年に策定した生物多様性方針を、これまでの当社グループの環境配慮と自然との共生の歩みを踏まえ2023年8月に改定し、また、自然関連課題についてはTNFD提言に沿い、LEAPアプローチを活用した分析により機会とリスクを特定しました。
1)当社グループ全体の自然への依存・インパクトの概観
TNFDの分類を参照し、事業・バリューチェーン段階別に依存・インパクトの内容と定性的な重要性についてその概要を検討しました。UNEP(国連環境計画)が開発したツールであるENCOREやSBT for Natureのツールにおける、セクター別レーティングを参考にしています。
(インパクト)
・不動産開発・運営時の土地改変・占有などの面で「陸域生態系の利用」が特に高い。
・GHG排出や廃棄物排出、操業段階での水使用、外来種導入なども高い。
(依存)
・不動産開発・運営時の水資源、建材などの供給サービスのほか、景観の向上・癒し等の文化的サービスが高い。
・ホテルやレジャー施設では、バリューチェーン上流の食材等の生産段階で、水供給や花粉媒介、気候調整
などが特に高い。
*検討内容の詳細はHPを確認ください。
URL https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/tcfd-tnfd/detail#510
2)当社グループの保有・運営物件における優先地域の検討
バリューチェーンの中でも、開発から運営段階における自然のかかわりの重要性が特に高いと考えられるため、当社グループが保有・運営する主要267拠点(オフィス・商業施設、ホテル、レジャー施設、再生可能エネルギー施設など)を対象に、生態系の十全性・生物多様性の重要性、水ストレスに関連する各指標を分析し、その結果、「広域渋谷圏※」と「リゾート施設等13地域」を優先地域としました。
<優先地域の検討>
※広域渋谷圏:東急グループの渋谷まちづくり戦略において定めた渋谷駅を中心とした半径2.5kmのエ
リアを指しており、当社グループとして広域渋谷圏を優先地域と定めています。
3)優先地域「広域渋谷圏」における自然関連の依存・インパクトおよびリスク・機会
3)-a.バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト
建設資材の調達段階では建材・木材等の資源に依存し、インパクトを与えています。不動産の開発・運営段階では、土地改変・占有をはじめとしたネガティブインパクトを与える可能性がある一方ヒートアイランド現象や災害の緩和といった調整サービス※1、癒しやストレス緩和、レクリエーションなどの文化的サービス※2の観点で自然に依存しています。
※1 調整サービス:気候調整や局所災害の緩和、土壌侵食の抑制、有害生物や病気を生態系内で抑制す
る効果など、生物多様性により環境を制御するサービス。
※2 文化的サービス:人間が自然にふれることで得られる、審美的、精神的、心理的な面などで影響を
受けるサービス。
<バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト> 太字は特に重要と考えられる依存・インパクト
(*)建物緑化によるインパクトの定量評価
依存・インパクトのうち、土地利用・建物緑化による自然へのインパクトを、㈱シンク・ネイチャーの分析ツールを用いて定量分析した結果、広域渋谷圏における建設前後の生物多様性再生効果が、2012年度以降の物件からプラスとなっていることが分かりました。近年竣工物件における、都市開発諸制度等による緑地面積の確保や、植栽樹種での在来種選定など、緑化の量と質の確保に向けた取組の成果が表れ、当社グループのまちづくりがネイチャーボジティブに貢献していると評価されています。特に再開発事業の対象物件は、緑地の量や質がこれまでの施設と比べ高い傾向です。
3)-b.重要なリスク・機会の評価
依存している生態系サービスの劣化による物理的リスクや、規制、市場環境の変化による移行リスクなどのリスクが想定される一方で、多くの自然関連機会も生じうることが分かりました。
上記A)気候・自然関連の重要なリスク・機会を参照ください。
4)優先地域「東急リゾートタウン蓼科」における自然関連の依存・インパクトおよびリスク・機会
4)-a.バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト
「東急リゾートタウン蓼科」の事業は、様々な面で自然や生態系サービスに依存しており、事業を営む上で、自然や自然のもたらす恵みが特に重要であると考えられます。また、ネガティブ・ポジティブ双方の自然へのインパクトも与えています。
<バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト> 太字は特に重要と考えられる依存・インパクト
(*)土地利用によるインパクトの定量評価
依存・インパクトのうち、土地利用・森林管理による自然へのインパクトを、㈱シンク・ネイチャーの分析ツールを用いて定量分析しました。
空中写真・衛星画像からの森林面積の分析の結果、森林面積はゴルフ場や別荘建設等による落ち込みを挟みつつも、全体の推移としては回復傾向にあり、現在は最も回復した水準となっていること、森林を維持・回復しながらの事業運営により当社グループのリゾート開発・運営がネイチャーポジティブに貢献していることが評価されました(下図)。
<森林面積割合の変化>
4)-b.重要なリスク・機会の評価
依存している生態系サービスの劣化によるリゾート・観光地としての魅力の低下などの物理的リスクや、規制、市場環境の変化による移行リスクなどのリスクが想定される一方で、多くの自然関連機会も生じうることが分かりました。
上記A.気候・自然関連の重要なリスク・機会を参照ください。
③リスク管理
上記(1)サステナビリティ戦略③リスク管理を参照ください。
④指標と目標
A.気候変動
当社グループは、事業活動を通じて脱炭素社会の実現に貢献することをめざし、2021年度に気候変動に関する中期・長期目標を掲げました。
[中期目標]2025年までに、自社(スコープ1・2)排出量削減を進めるとともに、再生可能エネルギー事業などにおけるCO2排出削減量が自社のCO2排出量を上回る「カーボンマイナス」をめざす。
[長期目標]自社およびサプライチェーン(スコープ1・2・3)において、科学的根拠に基づく削減目標である「Science Based Targets(SBT)」の「1.5°C目標」を2030年までに実現し、2050年にはネットゼロエミッション達成をめざす。
長期目標にかかるSBTについては、2024年7月SBTネットゼロ認定を取得いたしました。
中期目標については、第三者保証済みのスコープ1・2の実績は2021年度から継続して2023年度まで達成しており、2024年度も達成見込みです。また、自社におけるカーボンマイナスにおいても、2021年度から2023年まで達成しており、2024年度も達成見込みです。
上記において、中期目標(2025年度)が達成する見通しから、新中期経営計画において中期目標(2030年度)を上方修正しました。(下図、気候変動に関する目標参照)
また、東急不動産㈱では、自社で大規模展開する再生可能エネルギー事業の強みを活かし、2022年12月に自社事業所及び保有施設※1における使用電力※2を再生可能エネルギー電力へ切替え完了し、国内事業会社 ※3では初めてRE100を達成し、2024年4月にRE100事務局であるCDPから認定されました。
※1RE100の対象範囲とならない、売却又は取壊し予定案件及び当社がエネルギー管理権限を有しない一部の
共同事業案件を除きます。
※2RE100が認めるグリーンガスが国内市場に存在しないため、コジェネレーション自家発電による電力を除
きます。
※3金融機関を除きます。
<気候変動に関する目標と実績>
詳細URL https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/esg-data
※4当社のSBT認定における削減目標対象はカテゴリ1・2・11
※5ZEB/ZEH Oriented相当またはそれを超える建物性能を有する東急不動産の分譲マンション・オフィ
スなどの施設件数割合(着工ベース)
※6非住宅の大型保有物件(延床面積10,000㎡以上)を対象。共同事業など一部除く
※72023年度実績
当社グループのGHG(Greenhouse Gas)排出量は以下のとおりです。
<GHG排出量の実績および目標と削減率>
<GHG排出量スコープ3 カテゴリ別内訳>
B.自然関連課題
<自然関連課題の目標と実績>
詳細URL https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/esg-data
(3)人的資本経営
当社グループにおける「人的資本経営」とは、「GROUP VISION 2030」の実現に向け、経営戦略と連動した人財戦略を策定及び実行することで、持続的な価値向上に取り組むことを指します。また、「中期経営計画2030」においては、「3万人が成長し続ける人財ポートフォリオ」「創意工夫し続けるクリエイティブなカルチャー」という2つのビジョンを定めました。
「3万人が成長し続ける人財ポートフォリオ」とは、本中期経営計画の推進をリードする経営人財や事業変革人財を計画的に育成することや、管理運営事業に欠かせないエッセンシャル人財が活躍する持続的な体制を構築することです。「創意工夫し続けるクリエイティブなカルチャー」とは、心理的安全性・DE&Iを基盤とし、グループが相互に連携しながら、社会課題に挑戦し続ける組織風土のことです。それらを実現するために、従来の人財戦略を継続するとともに、人的資本投資を強化していきます。採用・研修・風土醸成への投資や、物価上昇を超える処遇向上や福利厚生の拡充を行い、従業員体験の向上を目指します。それが従業員の高いパフォーマンスを引き出し、挙げた成果をまた人的資本投資に還元するという循環を生み出すことで、持続的な企業価値の向上を図ります。
<人的資本経営の考え方>
①ガバナンス
人財戦略を経営戦略と連動させるために、サステナビリティ委員会・リスクマネジメント委員会にて人財戦略の課題及びKPIの進捗を報告のうえ方針を経営層間にて討議し、その結果を取締役会にて報告しております。
人財戦略の推進にあたっては、当社のグループ人事部が主要会社の人事部を統率して管理しています。具体的なモニタリングの機能としては、グループ人財会議を年2回開催し、グループ各社の課題及びKPIの進捗について報告・共有を行っております。さらに、ダイバーシティ・採用・労務マネジメントといったテーマごとに個別の分科会を行い、人財戦略を着実に実行できる体制を整えています。
<人財戦略の推進体制>
グループ全体でのグループ人財戦略の推進に加えて、各社においては、ビジネスモデルに最適な取組を推進しております。経営戦略、事業戦略と人財戦略がどれも一貫したものとなるよう、グループ人事部およびグループ経営企画部を中心としたコーポレート部門が連携しながら、各社の人事施策の推進を支援しております。
<グループ推進体制>
②戦略
ありたい姿の実現に向け、当社グループは“すべての従業員が「挑戦するDNA」と「社会に向き合う使命感」をもち、サステナブルな社会づくりと成長を目指します”というグループ人財理念を掲げました。
そして、グループ人財戦略として、『価値を創造する人づくり』『多様性と一体感のある組織づくり』『働きがいと働きやすさの向上』の3つの戦略を進めております。
1つ目の『価値を創造する人づくり』は、グループ理念と経営戦略に基づいた、人財の育成に関する方針です。長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の実現に向けてグループ理念の浸透を図るとともに、全社方針と連動するDX人財の育成と環境経営に基づく人財育成を掲げております。
2つ目の『多様性と一体感のある組織づくり』は、グループの価値創造を支える社内環境整備に関する方針です。女性管理職比率向上をはじめとする女性の活躍推進や、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の取組による多様な人財の活躍推進に加えて、イノベーティブな組織風土の醸成が、「挑戦するDNA」の体現やグループの価値創造には不可欠と考えております。
3つ目の『働きがいと働きやすさの向上』は、従業員一人ひとりを支える社内環境整備に関する方針です。健康経営の推進や、ライフステージに応じた多様な働き方の支援に加え、働きがいという観点でのワークエンゲージメントの向上も重要な施策として取り組み、モニタリングをしております。
これら3つの人財戦略に取り組むことで、グループ従業員に対して、こころもからだも健康にモチベーションと志をもって働ける環境を実現するとともに、生産性が高く広く社会に貢献する人財を輩出します。当社グループは人的資本経営に取り組むことで、2030年のありたい姿「価値を創造し続ける企業グループ」の実現を目指して参ります。
<人財理念と人財戦略>
A.グループ全体での取組
・グループ理念の浸透
「WE ARE GREEN」は、多様なグリーンの力で、2030年にありたい姿を実現していく私たちの姿勢を表現したグループスローガンです。
グループインナーサーベイ(Eラーニング形式)ではグループ従業員の意識向上を図るとともに、特にグループ各社執行役員については、どれだけ自身がグループ連携を実践できているかを示す「自分ゴト化」度を測定しております。2024年度は90%(計145名回答)の執行役員が実践していると回答し、前中期経営計画最終年度の2025年度目標を達成しました。
また、2024年度には、「誰もが自分らしくいきいきと輝ける未来」の実現に向けた新たな取組として、グループ横断でのインナーコミュニケーション企画「東キュン不動産ホールディングス」を開始しました。
それぞれが持つ”好き”=“キュン”をヒントに未来を発想するAIを通じて画像を生成し、グループ内共有やチームビルディングへの活用を行うことで、グループの更なる一体感の醸成を目指します。
<インナーコミュニケーション企画「東キュン不動産ホールディングス」>
「東キュン不動産ホールディングス」特設サイト 渋谷駅での広告掲載イメージ
・DX人財の育成
全社方針である「DX」に基づき、DX事例の創出を目指して、グループ横断プロジェクトの実行と実践型学習・研修の両輪で人財基盤の構築を行っております。2022年2月にはTFHD digital株式会社を設立し、デジタル専門人財の採用を行い、グループ各社およびグループ全体のDX支援を行う体制を築きました。そうしたDX推進に向けた組織・制度の整備や既存・新規ビジネスの双方での具体的なDX事例などが評価され、経済産業省によるDX認定に2021年より継続して選出されております。
特に、事業会社においてDX推進の中心的な役割を担う人財を「ブリッジパーソン」と定義し、2030年度までにDX推進人財10,000人育成という目標を掲げて取り組んでおります。ブリッジパーソン育成のために、データ・AI活用やデジタルマーケティングなど様々なデジタルスキル習得のためのプログラムを用意するほか、ビジネスモデル変革を担う人財を育成する実践型研修である未来洞察型プログラム「HD-X」では未来のデジタル事業構想を不動産開発の現場社員が参加してアイデア創出を行っております。
これらの人財育成の取組を基盤に、「デジタル活用によるビジネス件数」は2024年度実績で累計77件に至り、2030年度の計100件以上という目標にむけて着実に遂行しております。また、東急不動産㈱では全社員を対象にITパスポートの取得を促し、2024年度実績で93%が取得済み、2030年度取得率100%を目指しております。
<DX人財の人財体系・目標数値・プログラム>
・環境経営に基づく人財育成
全社方針である「環境経営」に基づき、Eラーニングや体感型サステナブル研修、サステナブル・アクション・アワードを通じて啓発を行っています。サステナブル・アクション・アワードでは、事業活動を通じた環境・社会課題解決の具体的な取組を表彰しています。2024年度は192案件(対前年+11件)という多くの応募が寄せられ、2022年度から2024年度までの累計応募数は496件となり、2025年度の目標であった累計応募数300件という目標を大幅に達成。これらの取組を基盤とした「事業を通じた環境への取組件数」は2024年度実績で35件、累計105件となり、2030年度目標である累計100件以上を達成し、成果を創出しています。環境先進企業として、社員一人ひとりが環境への理解を促進し、環境価値の機会創出につながる人財育成を図っています。
・女性の活躍推進
女性の活躍推進については特に重要なテーマと捉え、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)の基本理念に則り、性別にかかわらず個性と能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。
女性の活躍を促進するために、当社グループは次の3つの方針で取り組んでおります。第一に、経営層のコミットメントです。女性の活躍推進を経営課題として捉えるために、「新卒女性採用比率」「女性管理職比率」「女性管理職候補比率」をKPIとして取り組んでおります。「新卒女性採用比率」は、2030年度目標は50%と掲げて採用活動に取り組んでおり、2025年4月実績は40%となりました。「女性管理職比率」は2030年度目標を20%以上と掲げており、2025年4月実績が9%という進捗です。「女性管理職候補比率」は女性管理職の一つ手前の等級(係長層)を対象とした指標で、2030年度目標を20%以上と設定し、2025年4月実績19%です。「女性管理職比率」は実績から一定の乖離がある目標値ではありますが、「女性管理職候補比率」の底上げを図ることで進めて参ります。
第二に、制度の取組です。具体的には、産休・育休取得者に対応した昇格プログラム運用(東急不動産㈱)、育児サポート制度・パートナー制度による目標軽減・休日シフト・複数担当制(東急リバブル㈱)などを導入しております。制度については一定の整備が進んできております。
第三に、風土の取組です。制度があっても風土が伴わなければ、女性活躍は実現できないと考えております。会社を越えたネットワーキングに積極的に取り組んでおり、2024年度はグループ3社合同での次世代女性リーダー育成研修を実施しました。
その他、男性育児休暇取得率について2030年100%と目標に掲げており、2024年度実績は93%となりました。男性も積極的に育児休暇を取得することで、男女間の職位の偏りがないよう、女性のキャリアパスや働き方を支援し、これまで以上の女性活躍を促進するとともに、男女賃金格差の改善に取り組んでまいります。
・多様な人財の活躍推進
当社グループはDE&Iビジョンを策定しております。多様な属性の違いをお互いに認め、差別をなくすと共に公正な活躍機会を提供し、誰もが自分らしくいきいきと働ける環境作りを進めることで、イノベーションを生み出し、価値創造に取り組みます。従業員に対しては「DE&I」理解深化のEラーニングを実施し、受講率をKPIとして設定、2030年度は受講率100%を目指しております。また、多様性を担保するためのKPIとして「キャリア採用者管理職比率」を設定、2030年度50%を目標と定めました。現状キャリア採用者管理職比率は54%となっており、既に目標達成済ですが、引き続き登用を続ける方針です。
また、多様な人財の活躍に向け、外国人財の登用も積極的に進めており、2025年2月に外国人財を支えるプラットフォームを提供する新会社Global Gateway Japan株式会社を設立しました。日本で働きたいと願う外国人財が安心して働ける環境を提供すると共に、ビルメンテナンス業界や宿泊業界など労働集約型で人手不足の問題を抱える業界全体の活性化を促進します。
・イノベーティブな組織風土の醸成
「挑戦するDNA」を継承し、会社の枠を超えたイノベーションを創出するために、「STEP」というグループ共創型社内ベンチャー制度を設立しております。「STEP」は「S(Start/Sustainable/Shibuya)」+「TFHD(東急不動産ホールディングス)Entrepreneur Program」の略称です。2019年度にグループ従業員を対象として開始し、2024年度には第6期を迎えました。2024年度時点で応募累計401件、内5件が事業化決定しております。2025年4月には事業化5件目となる株式会社ReINNを設立。民泊サービスを提供する会社として、日本の宿泊市場の再定義と未活用不動産資産の有効活用を目指す新たなサービスを展開いたします。
「STEP」では、審査の結果、会社設立ではなく、グループ内での施策として採用されたプロジェクトもあります。2021年度応募の「メンタルヘルス不調者の職場復帰支援」の事業案は、東急不動産ホールディングスのグループ人事施策として姿を変えて始動。2024年度には対象者向けアプリのトライアル利用を開始するなど、グループ従業員の心身の健康を支える活動を行っております。このように、会社設立という手段だけに留めず、イノベーティブな組織風土が途切れぬようグループで多面的に取り組んでおります。
<社内ベンチャー制度「STEP」>
・健康経営の推進
従業員の幸福と健康維持・増進を重要な経営課題と捉えて、心身の健康に繋がる様々な施策に取り組んでいます。2030年度の目標として、健康診断受診率100%・ストレスチェック受検率100%・男性育児休暇取得率100%を目標に掲げ、セミナーや啓蒙活動などに取り組んでいます。男性育児休暇取得率は2023年度89%に対し、2024年度実績は93%(+4%)に向上しました。引き続き、従業員が健康で働きやすい職場づくりに取り組んでいきます。
・柔軟な働き方の支援
効率性・生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現のため、柔軟な働き方を支援しています。主要会社(東急不動産㈱、東急リバブル㈱、㈱東急コミュニティー、東急住宅リース㈱、㈱学生情報センター)ではテレワーク制度およびフレックス勤務制度(またはスライド勤務制度)を導入し、ITを活用して場所や時間にとらわれないフレキシブルな働き方を実現しています。東急不動産㈱では、副業制度についてもトライアルを実施しており、社員の挑戦と自律を支援しています。
・ワークエンゲージメントの向上
グループ各社では定期的なストレスチェックと合わせて、ワークエンゲージメントの調査を行ってきました。加えて、個社ごとの従業員エンゲージメント・サーベイを定期的に実施しています。東急不動産㈱では、サーベイ結果を組織単位(ユニット・本部・部・グループ)で各組織長にフィードバックすることで、エンゲージメントの維持・改善に取り組んでおります。2017年度より全社を対象に導入し、2023年度、2024年度ともにレーティングAA(全11段階の格付けランクの上から2番目)を維持、2030年度目標を前倒しで達成しております。
サーベイ結果からわかる同社の主な強みは、「理念の発信と伝達」「個性や能力の発揮」「部下への支援行動」です。トップメッセージが社内に浸透しているとともに、従業員ひとり一人の個性や能力が発揮しやすい職場を実現しております。一方、課題の「ナレッジの汎用化・標準化」については、DX推進によるナレッジシェアやChatGPTなどAIを活用した業務効率化・高度化により改善活動を継続して参ります。レーティングだけでなく、各スコアからわかる強みをさらに強化し、働きがい・働きやすさの向上を目指します。
B.資産活用型ビジネスにおける取組(東急不動産㈱)
資産活用型ビジネスを担う東急不動産では、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の実現に向けて、2022年度に人事制度を改定。目指すべき社員像を「事業プロデューサー」と掲げ、その社員像を実現するために人事制度を体系化しております。
事業プロデューサーとは、自ら知見と経験を広げ社会への価値創造を追求する人財です。3つの行動指針(チャレンジシップ、オーナーシップ、パートナーシップ)と、5つの求める人財要件(企画力、実行力、影響力、人材開発・組織開発力、倫理観)を職種・等級のレベルに応じて設定し、期待する役割を明確化しています。
・採用・配置
採用は、新卒採用とキャリア採用を継続的に行っています。特にキャリア採用については、リファラル(社員紹介)採用やリターンエントリー(元社員の再入社)で幅を広げるほか、2023年7月には元社員が参加するアルムナイネットワークを設立。元社員との事業共創や再入社のきっかけづくりとなる活動をしております。また、専門性の高いDX・施工管理・経理・法務などの職務について、ジョブを特定した専任職としてジョブ型採用(職務限定採用)を積極的に行っております。また、キャリア入社の社員に対しては、オンボーディング取組として、入社後のフォロー面談や座談会などを実施しています。
配置は、総合職については長期的な目線で事業プロデューサーとしての育成を行うため、ジョブ・ローテーション制度を2012年より継続しています。新卒入社後9年間において、2業(住宅事業、都市事業他)・2職務(開発、営業・運営、スタッフ)を原則経験するものとして配属・異動を行っています。また、本人が自律的なキャリアを選択できるよう、全社員との人事面談や、本人異動宣言制度(FA制度)を運用。毎年社員が手上げで別事業の部門へ異動し、新たな職務に挑戦しています。
・等級・評価・報酬
等級は、M職(マネジメント職)・L職(リーダー職)・S職(スタッフ職)の大きく3段階に分けており、それぞれの期待役割を明確に定義し、能力発揮・成長を促しています。評価は、部門内外への組織貢献を評価する「組織貢献度目標」や「チャレンジ宣言」を設定し、組織に対する貢献度を評価します。報酬は、全社の業績を社員の賞与に反映するほか、個人の評価符号に賞与のインセンティブを設けており、主体的なチャレンジに報いる制度設計となっています。これらの制度を通じて、事業プロデューサーとして期待する役割の理解浸透や意識共有を図りつつ、一人ひとりの活躍に報いる処遇を設けております。
・育成・昇格
育成は、全社員が自身の上長と1on1面談を実施するほか、求められる能力要件を基準とした360度フィードバックを実施しています。新卒入社1年目の社員についてはOJT制度を導入しており、OJTメンターが月1回の面談を行うことでサポート。その他の等級については事業プロデューサー育成および経営リーダー育成(サクセッション)の観点に基づいて研修を体系化し、定期的にプログラムの見直しを行っております。2024年度の一人あたり研修費用は83,108円、一人あたり研修時間は16時間という実績です。
昇格は、従来の年功序列から実力主義への転換を進めるべく、2022年4月の人事制度改定において、昇格に必要な滞留年数要件をほぼ撤廃しました。その上で、昇格プロセスを自薦でのエントリーを起点とすることで、年齢や性別にかかわらず能力と意欲の高い社員が活躍しやすい風土づくりを行っています。また昇格候補者は、年間を通じた育成プログラムに参加する仕組みとしております。プログラムでは、タレントレビュー会議(部下の育成会議)や外部機関によるアセスメントを実施し、参加者の強みや課題について多面的にフィードバックを行います。加えてナナメ1on1(他部門の上長との1on1)を実施することで、全社目線で育成に取り組んでいます。
C.人財活躍型ビジネスにおける取組(東急リバブル㈱)
東急リバブル㈱の強みは、お客様から寄せられる不動産売買・賃貸ニーズに対して、広い事業領域と事業間連携で確実に収益機会に繋げることができる体制・人財です。理念や営業戦略においても、自部門に限らず全社の事業・リソースを活用してお客様に付加価値を提供できる人財をマルチバリュークリエイター(MVC)と定義し、そのような人財に成長するための育成・配置の仕組みづくりを行っています。
・理念浸透
東急リバブル㈱では、業界トップクラスのプレゼンスを実現すべく、会社が目指すビジョンや理念を社員に浸透する取組に注力しています。例として事業を牽引する管理職に対して、社長が自ら経営方針・事業戦略を対面で説明を行い、直接質疑を交わす説明会を毎年開催しており、同説明会の内容は管理職以外の全社員も閲覧できるよう動画配信しております。また理念や戦略を自分事化するために、課長同士が意見交換やネットワーク構築を図る管理職 座談会を開催し、2024年度は計9回実施しました。
<理念浸透の取組>
・育成・配置の仕組み
人財活躍型ビジネスでは、一人ひとりのスキル・知識が大きな資本となります。そのため、新しく入社した社員を早期に戦力化して全体を底上げできるか否かが、事業の成果に直結します。東急リバブルでは、優秀営業担当者の知見を集め体系化した「虎の巻」プログラムを活用し、新入社員にも早期から優秀者のノウハウを伝授しております。本プログラムでは集合研修・ロールプレイング研修を継続的に実施するほか、成果検証として営業レベル評価や知識テストを組み合わせて、社員本人や上長に対して成長段階を見える化することで確実な育成を推進しております。本プログラムの取組は2018年に第7回「日本HRチャレンジ大賞」を受賞しました。
また、MVCとして事業領域の広さを活かした取組ができるよう、社員が様々な業務経験を積むことができる制度を整えています。具体的には、現業務3年経過した社員を対象として、希望する部門に異動希望をエントリーできるキャリアチャレンジ制度や、他部門の業務が1~2日程度体験できる社内インターン制度などを運用しています。これらの制度を通じて、MVCとしての社員の成長や、事業間連携の促進を行っております。
<「虎の巻」プログラム>
D.人財活躍型ビジネスにおける取組(㈱東急コミュニティー)
㈱東急コミュニティーでは、社員が提供する技術やサービスこそ最大の商品と考え、特色ある研修制度と施設を完備しております。自社技術研修センター「NOTIA(ノティア)」と「マンションライフ館」で、より高度な人財育成に取組、お客様への上質なサービス提供を目指します。
・技術研修センター「NOTIA(ノティア)」
2019年5月に開業したNOTIAは、2,000名を超える技術系社員を育成する自社の研修センターです。研修機能と環境性能を有することで、建物そのものが社員にとって「気づきの場」となるよう設計しております。センター内は、電気、空調、防火・防災や給排水・衛生など各設備機器の原理原則を体感し学べる設備実習のフロア、グループで課題を解決する協調学習の場となるアクティブラーニングスペース、共創の広場・ホールを有する多目的フロアから構成されます。
実践的な技術力と提案力を育成するNOTIAは建物としても評価されており、優れた省エネへの取組やビジネスモデルを表彰する「省エネ大賞(2021年)」や「学会賞技術賞(空気調和・衛生工学会(2021年)」のほか、「カーボンニュートラル賞 大賞(第10回)(2022年)」を受賞しております。また、先進的な環境技術を導入し、東京都内の事務所ビルとしては初めて「Nearly ZEB」(省エネルギー75%(正味)を達成したビル)を取得しました。
・技術研修センターNOTIA「マンションライフ館」
NOTIAの別館となるマンションライフ館は、2013年に開設したマンション管理業務の専門研修施設です。現実と変わらない環境を再現して訓練を行い、マンション運営のプロである営業担当(フロント担当)やアメニティーメイト(管理員)を育成しています。特に、現地に常駐する管理員が把握しておかなければならない知識や情報、そして居住者とのコミュニケーションについて実践を通して学ぶことで、マンションの管理維持および居住者との良い関係を築ける管理員を育てております。同社ではシニア人財の雇用を積極的に取り組んでおりますが、年齢に関わらず質の高いサービスを提供できるよう、研修に力を入れております。
E.人財活躍型ビジネスにおける取組(東急住宅リース㈱)
東急住宅リース㈱では、設立10周年を機に、本社を「汐留ビルディング」へ移転しました。従業員が打ち合わせ等で使用しやすい、コミュニケーションが活性化するよう工夫したエリアを動線の中心に設けることで、オフィスで働く時間をより有意義なものとし、お客様へ提供するサービスの質向上に邁進できる執務環境を整備しています。
③リスク管理
人財戦略の推進におけるリスクの1点目は、経営戦略と実際の人財施策に乖離が生じることです。それを防ぐため、各施策に対応する人財KPIを指標として設定し、サステナビリティ委員会にて進捗を報告しております。経営層が人財戦略の方針について議論することで、経営戦略と現場の施策が一貫したものとなるよう担保しております。
リスクの2点目は、採用です。当社グループは全国に拠点を持ち、100社超・約3万人の従業員から構成されます。国内の少子高齢化に伴う労働力人口の減少、それを背景とした人手不足が、当社グループの事業継続性に与える影響は少なくありません。人手不足に対する取組方針は、第一に、グループ全体での採用計画・活動のモニタリングや、合同採用イベント・活動の強化です。東急不動産ホールディングスのグループリソースおよびブランドを最大限に活用し、グループ全体の継続的な採用を支援します。第二に、外国人財の採用です。適切な採用ルートを通じた雇用を行うとともに、人権に配慮した労働環境の整備に取り組むことで、グループ内で必要な労働力を維持し、事業継続性を担保します。先述の、外国人財プラットフォームを提供するGlobal Gateway Japan株式会社が中心となり、管理運営事業を中心としたグループ各社の人手不足に対応していきます。
④指標及び目標
<人財KPI表>
※2024年度及び2025年4月の実績は、第三者検証取得前の実績も含まれており、概算値になります。