2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    105名(単体) 21,036名(連結)
  • 平均年齢
    42.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.3年(単体)
  • 平均年収
    13,199,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    3.2%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

 当社グループは、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」で掲げるありたい姿の実現に向け、「価値を創造する人づくり」「多様性と一体感のある組織づくり」「働きがいと働きやすさの向上」の3つをグループ人財戦略の柱として推進しております。なお、環境経営やDX、多様な人財の活躍推進(DE&I)などに関する具体的な社内環境整備方針および指標・実績等につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本経営」をご参照ください。

 当社グループの多様な事業ポートフォリオを支え、事業戦略と連動した人材育成ならびに従業員の処遇に関する基本方針は以下の通りです。

 

①階層別の人材育成方針

 当社グループでは、強固な人財基盤を構築するため、「経営人財の育成」「事業変革人財の育成」「人財定着」の3つを基本方針として掲げ、グループ各社横断で対象となる階層に応じたOJT(実践経験の付与)、Off-JT(研修)、その他(スキルの可視化等)を組み合わせた体系的な人的資本投資を展開しております。

変化の激しい事業環境下においても「強固で独自性のある事業ポートフォリオの構築」を持続的に牽引できる経営体制を確固たるものにするため、グループ全体の経営を高い視座で牽引する次世代リーダーを育成しております。具体的には、共通アセスメントを用いた能力・知識の可視化を行うとともに、グループ各社の執行役員のIR面談同席や経営課題の解決に向けた修羅場経験の付与、合同執行役員研修を実施し、経営スキルの向上を図っております。

事業変革人財の育成について、部門や会社の枠を越えた連携を促し、「広域渋谷圏戦略」「GXビジネスモデルの確立」「グローカルビジネスの拡大」の重点テーマにおいて、ビジネスエコシステムを通じたプレミアムな価値創造を力強く推進するため、ビジネスモデルの変革をリードする人財を育成しております。その一環として、事業の枠を超えた視点と専門性を養うべく、公募でのグループ間出向や新規事業・業態変革経験の機会の提供、選抜型の合同部長研修を実施し、多様な知見の融合とネットワークの構築を図っております。

人財定着においては、中長期的な事業成長の源泉となる「3万人が成長し続ける人財ポートフォリオ」を実現するため、グループへの所属意識を高め、各社の事業を最前線で支える若手・中堅層の定着と早期戦力化を図っております。その成長と活躍の土台整備として、グループ一体感の醸成に向けた定期人財交流や、合同新入社員研修を実施しております。

 

②従業員の給与その他の給付の額及び内容の決定に関する方針

当社グループは、「中期経営計画2030」の実現に向けて、全従業員が高いモチベーションと一体感を持って働き続けられる環境を整備することが、持続的な企業価値の向上に不可欠であると考えております。この考えのもと、従業員の給与(賞与を含む)およびその他の給付に関する基本方針を以下の通り定めております。

 

・給与等に関する方針

従業員の給与および賞与については、各人の担う役割や職務、および事業成長への貢献度を公正に評価し、成果に応じた適正な報酬決定を行っております。

また、人材獲得競争の激化やマクロ経済環境の変化に対応し、事業基盤を支える優秀な人財を確保・定着させるため、「物価上昇を超える処遇向上」をグループの重要施策として掲げ、ベースアップ等の給与水準の引き上げを継続的に推進しております。

 

・その他の給付に関する方針

働きがいと安心を支える基盤として、法定福利に加え、グループのスケールメリットを最大限に活かした福利厚生の拡充を行っております。従業員のファイナンシャル・ウェルビーイングの実現と株主視点の醸成を目的としたインセンティブ施策や、各社単独では実現が困難な高水準のサポートを提供する共済制度の展開等を通じて、グループに所属する体験価値と会社との一体感を高める給付を行っております。

なお、これらの給付に関する具体的な取り組み(信託型従業員持株インセンティブ・プラン、共済 等)につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本経営」、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (8)役員・従業員株式所有制度の内容」をご参照ください。

 

(2)【従業員の状況】

①連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

都市開発

1,003

(165)

戦略投資

836

(108)

管理運営

12,549

(5,708)

不動産流通

6,030

(653)

全社(共通)

618

(113)

合計

21,036

(6,746)

 (注)1.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。

2.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

②提出会社の状況

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

105

(25)

42.8

15.3

13,199

3.2

 

セグメントの名称

従業員数(人)

全社(共通)

105

(25)

合計

105

(25)

(注)1.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。

     平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は、就業人員(臨時雇用者を除く)について算定しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.平均年間給与の対前事業年度増減率については、当事業年度と前事業年度の平均年間給与の差額を前

事業年度の平均年間給与で除して算出しております。

4.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属

しているものであります。

 

 

③最大人員会社の状況

A.当事業年度における従業員数が最も多い会社

株式会社東急コミュニティー

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

4,630

41.3

11.9

5,816

4.0

(注)1.従業員数は正社員数(提出会社への出向者を除く)であり、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は、

     正社員(提出会社への出向者を除く)について算定しております。

2.上記従業員数に契約社員、他社からの出向者を含め、他社への出向者を除いた就業人員数は、

     7,035人です(臨時雇用者数は含めておりません。)。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.平均年間給与の対前事業年度増減率については、当事業年度と前事業年度の平均年間給与の差額を前

事業年度の平均年間給与で除して算出しております。

 

B.上記Aの次に従業員数が多い会社

東急リバブル株式会社

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

3,857

36.7

11.5

8,351

7.9

(注)1.従業員数は正社員数(提出会社への出向者を除く)であり、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は、

     正社員(提出会社への出向者を除く)について算定しております。

2.上記従業員数に契約社員、他社からの出向者を含め、他社への出向者を除いた就業人員数は、

  4,103人です(臨時雇用者数は含めておりません。)。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.平均年間給与の対前事業年度増減率については、当事業年度と前事業年度の平均年間給与の差額を前

事業年度の平均年間給与で除して算出しております。

 

C.その他

東急不動産株式会社

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

1,167

41.5

12.1

13,088

4.9

(注)1.従業員数は正社員数(提出会社への出向者を除く)であり、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は、

     正社員(提出会社への出向者を除く)について算定しております。

2.上記従業員数に契約社員、他社からの出向者を含め、他社への出向者を除いた就業人員数は、

     1,134人です(臨時雇用者数は含めておりません。)。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.平均年間給与の対前事業年度増減率については、当事業年度と前事業年度の平均年間給与の差額を前

     事業年度の平均年間給与で除して算出しております。

 

④労働組合の状況

 当社の従業員は、東急不動産㈱等からの出向者であるため、労働組合は組織されておりません。なお、連結子会社のうち東急不動産㈱には労働組合が組織されておりますが、労使関係は良好で、特記すべき事項はありません。

 

⑤管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

A.提出会社

提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

B.連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合

 (%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

 

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

東急不動産㈱

8.4

100.0

(注)3

57.1

60.1

50.1

 

㈱東急コミュニティー

13.0

93.2

93.2

(注)1、3

82.0

65.1

87.1

 

東急リバブル㈱

1.0

93.3

93.3

(注)1、2

48.6

56.3

26.0

 

東急住宅リース㈱

12.3

89.7

(注)3

67.8

66.8

96.1

 

㈱学生情報センター

14.3

64.3

64.3

(注)1

58.9

66.5

92.8

 

東急不動産SCマネジメント㈱

20.0

60.0

60.0

(注)1、2

 

リニューアブル・ジャパン㈱
(注)4

2.9

62.5

62.5

(注)1、2

71.0

69.1

87.5

対象期間は2025年1月~2026年3月となっております。

㈱東急Re・デザイン

10.5

66.7

66.7

(注)1、3

61.1

59.2

65.7

 

㈱石勝エクステリア

260.0

(注)3

70.1

74.8

67.4

 

東急リゾーツ&ステイ㈱

5.2

78.3

(注)3

68.7

73.3

84.6

 

㈱東急イーライフデザイン

88.9

(注)3

71.9

85.7

55.5

 

瀬良垣ホテルマネジメント㈱

17.5

100.0

100.0

(注)1

67.1

70.9

86.0

 

東急ビルメンテナンス㈱

21.7

100.0

(注)3

73.1

80.0

86.6

 

東急リバブルスタッフ㈱

66.7

73.1

80.2

72.7

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した

ものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)

の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)

の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

4.2026年4月1日付で㈱リエネ・エナジーに商号変更しております。

 

なお、各社の男女賃金格差が一定生じている背景は主に2点です。1点目は、当社グループの多くが、基幹業務を担う総合職と定型業務を担う事務職で構成されており、事務職の女性比率が高いことにあります。当社グループでは同じ職種・等級においては性別の違いによる賃金差はありませんが、総合職と事務職の賃金差によって、結果的に男女の賃金の差異が生じております。今後も、各事業の継続性を担保するために、定型業務を担う事務職の雇用は継続していく方針です。事務職は性別に関わりなく選択可能な職種ですが、応募者の多くを女性が占めるため、今後も一定の男女の賃金の差異は発生すると考えております。2点目は、管理職における女性比率が低いためです。処遇の高い管理職の男性比率が高いため、結果的に男女の賃金の差異が生じておりますが、今後女性管理職の比率が高まるにつれ、男女の賃金の差異が縮小していくと考えています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ戦略

当社グループは、サステナビリティビジョンおよびサステナビリティ方針を策定しています。事業活動を通じて社会課題を解決し、ステークホルダーとともに、サステナブルな社会と成長をめざします。2021年度に策定した長期ビジョン「GROUP VISION 2030」においては、グループの理念体系である“ありたい姿「価値を創造する企業グループへ」”の実現に向けて非財務の取組を重要な経営課題と位置づけ、継続的な強化を行いながら、持続的な企業価値向上を図り、次の世代、さらに次の世代を見据え、美しく豊かな環境の形成と、長く愛され続けるまちづくりを実現していきます。

また、私たちがめざす価値創造「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現」に向け、「中期経営計画2030」では、社会的テーマを捉えたプレミアムな価値の創出を目指します。

当社は国連グローバル・コンパクトを支持し、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」からなる10原則に基づき責任ある経営を推進しており、「環境ビジョン」や「東急不動産ホールディングスグループ人権方針」(以下、人権方針)および「東急不動産ホールディングスグループサステナブル調達方針」(以下、サステナブル調達方針)を定めています。
 

<サステナビリティビジョン・サステナビリティ方針>

 

<環境ビジョン>


[人権方針]
 URL https://sustainability-cms-tokyu-s3.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/response_file/file/102/human_rights_policy_J.pdf
[サステナブル調達方針](2025年4月改訂)
 URL https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/img/uploads/response_file/file/103/procurement_policy_J.pdf

 

① ガバナンス

 環境・社会課題に対する迅速な意思決定に向け、健全で透明性のあるガバナンス体制の構築を進めています。全社横断的な対応を図るため、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」および「リスクマネジメント委員会」、「情報セキュリティ委員会」を設置しており、年に2回定例会議を開催しています。各委員会では、自社のみならずサプライチェーンおよびバリューチェーン全体において、気候変動・生物多様性をはじめとした環境課題、人権・DE&Iを含めた社会課題、コンプライアンスなどの重要課題について、方針※・目標(KPI)・行動計画を策定し、機会とリスクの特定・評価・計画立案・実績確認を行い、審議結果を取締役会に報告しています。

 取締役会では、上記の重要課題について、各委員会の報告を受けて業務執行内容の監督を行っています。

 取締役の選定に際しては「環境・サステナビリティ」を含む7つの専門性と経験を考慮しており、取締役の報酬にはESGへの取組が勘案されています。

 ※サプライヤーと協働し、環境課題への対応、地域住民・先住民族の権利や強制労働・児童労働などの人

  権リスクの未然防止・軽減を企図する方針。「人権方針」、「サステナブル調達方針」、「生物多様性

  方針」など。

 

<体制図>

 

② 戦略

長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の策定にあたり、重要な社会課題を抽出し、経営陣とステークホルダーの意向を踏まえ、6つのマテリアリティを特定しました(詳細はP11参照)。各マテリアリティは機会とリスクを整理し、2030年に目指す姿を定め、事業活動を通じて対応を行っています。

また、自らの事業だけでなく、サプライチェーンおよびバリューチェーン全体におけるマテリアリティに沿った施策の実行によりお客さまや社会に多様な価値を創出することで、あらゆるステークホルダーの満足度向上を図り、サステナブルな社会や当社グループの価値向上をめざします。

特に、マテリアリティ「サステナブルな環境をつくる」は、長期経営方針における全社方針「環境経営」において、「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」の3つを環境重点課題とし、注力して取り組んでいます。環境先進の強みに社会課題解決への取組を掛け合わせ、事業を融合させることで高い付加価値による収益力強化を図り、プレミアムな価値を創出します。

 

 

また、マテリアリティ「多様な人財が活きる組織風土をつくる」では、人的資本経営による人財戦略を推進することで、グループの価値の最大化をめざしています。人権においては、人権方針およびサステナブル調達方針に基づき、2024年度に人権リスクを再評価し、リスクマップとして整理しました。その結果、重要な人権課題として自社およびサプライチェーンにおいて優先的に対応すべき12の項目を特定しています。さらに、主に建設会社を重要なステークホルダーと捉え、強制労働・児童労働の解決に向け、人権デュー・ディリジェンスを実施することで人権リスクの未然防止と軽減に努めています。

 

<人権リスクマップ>

 

 

<優先的に対応すべき12の人権課題>

[労働者(自社、サプライヤー)]

 ①強制労働、②児童労働、③労働安全衛生、④差別、⑤公正な賃金、⑥適切な労働時間・休憩・休日

 [顧客・利用者]

  ⑦安全と健康、⑧施設利用者の人身取引への加担

 [地域住民・先住民族]

  ⑨先住民族の権利の侵害

 [全ライツホルダー]

  ⑩気候変動による人命・健康・生活への影響、⑪救済アクセスの制限、⑫プライバシー・個人情報の保護

 

<6つのマテリアリティを通じて提供する価値>

 

③ リスク管理

 気候変動リスクを含む8つの個別リスクを重要性の高いリスクとして認識し、リスクマネジメント委員会において、グループ各社が担うリスクマネジメントを統括的に管理し、取締役会が監督しています。また、6つのマテリアリティに関連する重要リスクを特定し、「リスク管理基本規程」に基づき個別リスクごとの主管部署を定め、当該部署においてグループにおけるリスク管理体制および運用状況を統括しています(詳細は3 事業等のリスク を参照)。

サステナビリティ委員会では、環境や社会課題などのサステナビリティに関する重要な課題について一体的に管理し、取締役会が監督しています。

また、2019年度にサステナブル調達方針を策定し、バリューチェーンにおいても、上流・下流のステークホルダーとの協働により環境や社会課題に関するネガティブインパクトの低減に取り組んでいます。

(気候変動リスク)

 バリューチェーン全体における現行および新規の法規制をはじめとする移行リスク、および気候変動の進行による物理的リスクの影響把握、ならびに各事業における戦略への反映を行っています。
(自然・ 生物多様性関連課題)

 バリューチェーンにおける地域および関わっている自然の特性を踏まえ、物理的・移行リスクと機会の影響把握、ならびに各事業における戦略への反映を行っています。

(人権および調達リスク)

 自社およびサプライチェーンを含むステークホルダーにおける人権リスク評価を行い、優先的に対応すべき12の項目を特定しています。中でも、主に建設会社を重要なステークホルダーと捉え、人権課題の解決に向け人権デュー・ディリジェンスを実施しています。

 

④ 指標と目標

 「中期経営計画2030」において、マテリアリティごとに2030年度のKPI目標を設定しています。財務および非財務KPI目標の双方達成に向け、進捗状況のモニタリングを行い、PDCAサイクルを回すとともにグループ横断で取組を進めています。

 

<マテリアリティと主なKPI目標>

 ※「中期経営計画2030」における目標と2025年度実績

 

(2)気候変動および生物多様性・自然関連課題への対応(TCFD提言およびTNFD提言への取組)

 当社グループでは、環境への取組を企業価値向上につなげるため、長期経営方針において「環境経営」を全社方針に掲げ、脱炭素社会の実現と環境に寄与するライフスタイル創造に取り組みます。気候変動や生物多様性をはじめとした自然関連課題は、当社グループの事業活動にとってリスクであると同時に、新たな事業機会であると考えています。

「気候関連」では、気候関連財務情報開示の重要性を鑑み、当社は2019年3月にTCFD提言に賛同のうえ、フレームワークに沿った開示を進めています 。

また「自然関連」では、事業における自然資本に関わる依存・インパクト、リスクと機会について把握し開示を行うため、2023年6月から「TNFDフォーラム」に参加し、2023年8月に国内不動産業で初めて自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の開示(フレームワークβ版に準拠)を行いました。

2025年2月には、TCFD開示、脱炭素社会への移行計画、TNFDレポートの 3つを統合した「TCFD/TNFDレポート」を開示し、2025年12月には第2版を発行しました。(2026年7月第3版開示予定)
*TCFD・TNFD提言等に基づく情報開示
 https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/tcfd-tnfd

 

① ガバナンス

上記(1)サステナビリティ戦略①ガバナンスを参照。

 

② 戦略

A.気候・自然関連の重要なリスク・機会

 気候関連のシナリオ分析、自然関連の依存・インパクト分析により検討した主な移行リスク・機会は以下の

とおりです。

 

 

 

気候関連のシナリオ分析、自然関連の依存・インパクト分析により検討した主な物理的リスク・機会は以下のとおりです。

 

 

B.気候関連課題の戦略

1)気候関連のシナリオ分析

 気候変動課題についてはTCFD提言に沿い、当社グループの幅広い事業領域において気候関連の重要課題を認識し、3つのシナリオ(1.5℃、3℃、4℃)による分析を通じて機会とリスクを特定しています。また、事業戦略および財務計画への影響を把握することで重要度の評価を行い、2023年度にはTCFDなどのガイダンスに沿った「脱炭素社会への移行計画」を策定。各事業における対応策への反映を図っています。

 東急不動産㈱においては2019年に国内の不動産業で初めてRE100※1に加盟し、2024年4月には国内事業会社※2で初めてRE100を達成※3し認定されました。その他、ZEB(Net Zero Energy Building)やZEH(Net Zero Energy House)の推進、建物環境認証の取得、インターナル・カーボン・プライシング(社内炭素税)の導入、再生可能エネルギー事業の拡大、グリーン資金調達などを実施しています。

*TCFD提言に対応した情報開示 https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/tcfd

*脱炭素社会への移行計画

 https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/transition-plan

※1世界で影響力のある企業や団体が、遅くとも2050年までに、自らの事業で使用する電力を再生可能

  エネルギー100%化することを目指す国際的イニシアチブ

※2金融機関を除きます。

※3RE100が認めるグリーンガスが国内市場に存在しないため、コジェネレーション自家発電による電力を

  除きます。

 

<気候変動の重要課題>

 

 

<気候変動のシナリオ分析>

 

 

気候関連シナリオ分析の対象事業:都市事業(オフィス・商業施設事業)、住宅事業、レジャー事業、

                再生可能エネルギー事業
目標期間:中期(2030年)、長期(2050年)

 

*気候関連リスクと機会の財務影響の詳細はHPを確認ください。

URL  https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/tcfd-tnfd/detail#510

 

2)脱炭素社会への移行計画

 2023年7月に、脱炭素戦略と事業戦略・財務指標の整合性を示しつつ、TCFDなどが提示している移行計画

のガイダンスに沿って作成した国内の不動産業では初の独立したレポートを発行しました。

具体的なロードマップの詳細はHPを確認ください。
URL  https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/transition-plan#a01

 

C.自然関連課題の戦略

 当社グループは、地域特性を踏まえたネイチャーポジティブへの貢献を掲げ、都市においては、都市に点在する緑をつなぐ人と自然に配慮した緑化、地方においては、生態系サービスとの共存を取組目標として、不動産開発・運営管理を行っています。

 2011年に策定した生物多様性方針を、これまでの当社グループの環境配慮と自然との共生の歩みを踏まえ2023年8月に改定し、また、自然関連課題についてはTNFD提言に沿い、LEAPアプローチを活用した分析により機会とリスクを特定しました。

 

1)当社グループ全体の自然への依存・インパクトの概観

TNFDの分類を参照し、事業・バリューチェーン段階別に依存・インパクトの内容と定性的な重要性についてその概要を検討しました。UNEP(国連環境計画)が開発したツールであるENCOREやSBT for Natureのツールにおける、セクター別レーティングを参考にしています。

 

(インパクト)

・不動産開発・運営時の土地改変・占有などの面で「陸域生態系の利用」が特に高い。

・GHG排出や廃棄物排出、操業段階での水使用、外来種導入なども高い。

 

(依存)

・不動産開発・運営時の水資源、建材などの供給サービスのほか、景観の向上・癒し等の文化的サービスが高い。

・ホテルやレジャー事業の関連施設では、バリューチェーン上流の食材等の生産段階で、水供給や花粉媒
 介、気候調整などが特に高い。

 

*検討内容の詳細はHPを確認ください。

URL  https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/environment/tcfd-tnfd/detail#510

 

2)当社グループの保有・運営物件における優先地域の検討

バリューチェーンの中でも、開発から運営段階における自然のかかわりの重要性が特に高いと考えられるため、当社グループが保有・運営する主要267拠点(オフィス・商業施設、ホテル、レジャー事業の施設、再生可能エネルギー施設など/2024年3月)を対象に、生物多様性の重要性・生態系の十全性に関連する各指標を分析し、その結果、「広域渋谷圏※」と「リゾート施設等13地域」を優先地域としました。

 

<優先地域の検討>

 

 

※広域渋谷圏:東急グループの渋谷まちづくり戦略において定めた渋谷駅を中心とした半径2.5kmの

       エリアを指しており、当社グループとして広域渋谷圏を優先地域と定めています。

 

 

3)優先地域「広域渋谷圏」における自然関連の依存・インパクトおよびリスク・機会

 

3)-a.バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト

 建設資材の調達段階では建材・木材等の資源に依存し、インパクトを与えています。不動産の開発・運営段階では、土地改変・占有をはじめとしたネガティブインパクトを与える可能性がある一方ヒートアイランド現象や災害の緩和といった調整サービス※1、癒しやストレス緩和、レクリエーションなどの文化的サービス※2の観点で自然に依存しています。

 

※1 調整サービス:気候調整や局所災害の緩和、土壌侵食の抑制、有害生物や病気を生態系内で抑制す

                   る効果など、生物多様性により環境を制御・維持するするサービス。

※2 文化的サービス:人間が自然にふれることで得られる、審美的、精神的、心理的な面などで影響を

                     受ける文化的なサービス。

<バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト> 太字は特に重要と考えられる依存・インパクト

 

(※)建物緑化によるインパクトの定量評価

 依存・インパクトのうち、土地利用・建物緑化による自然へのインパクトを、㈱シンク・ネイチャーの分析ツールを用いて定量分析した結果、広域渋谷圏における建設前後の生物多様性再生効果が、2012年度以降の物件からプラスとなっていることが分かりました。近年竣工物件における、都市開発諸制度等による緑地面積の確保や、植栽樹種での在来種選定など、緑化の量と質の確保に向けた取組の成果が表れ、当社グループのまちづくりがネイチャーポジティブに貢献していると評価されています。特に再開発事業の対象物件は、緑地の量や質がこれまでの施設と比べ高い傾向です。

 

 

3)-b.重要なリスク・機会の評価

 依存している生態系サービスの劣化による景観・快適性の悪化などの物理的リスクや、規制、市場環境の変化による移行リスクなどのリスクが想定される一方で、多くの自然関連機会も生じうることが分かりました。

上記A.気候・自然関連の重要なリスク・機会を参照ください。

 

4)優先地域「東急リゾートタウン蓼科」における自然関連の依存・インパクトおよびリスク・機会

 

4)-a.バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト

 「東急リゾートタウン蓼科」の事業は、様々な面で自然や生態系サービスに依存しており、事業を営む上で、自然や自然のもたらす恵みが特に重要であると考えられます。また、ネガティブ・ポジティブ双方の自然へのインパクトも与えています。

 

<バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト> 太字は特に重要と考えられる依存・インパクト

 

(※)土地利用によるインパクトの定量評価

 依存・インパクトのうち、土地利用・森林管理による自然へのインパクトを、㈱シンク・ネイチャーの分析ツールを用いて定量分析しました。
 空中写真・衛星画像からの森林面積の分析の結果、森林面積はゴルフ場や別荘建設等による落ち込みを挟みつつも、全体の推移としては回復傾向にあり、現在は最も回復した水準となっていること、森林を維持・回復しながらの事業運営により当社グループのリゾート開発・運営がネイチャーポジティブに貢献していることが評価されました(下図)。

 

<森林面積割合の変化>

 

4)-b.重要なリスク・機会の評価

依存している生態系サービスの劣化によるリゾート・観光地としての魅力の低下などの物理的リスクや、規制、市場環境の変化による移行リスクなどのリスクが想定される一方で、多くの自然関連機会も生じうることが分かりました。

上記A.気候・自然関連の重要なリスク・機会を参照ください。

 

5)優先地域「パラオ パシフィック リゾート」における自然関連の依存・インパクトおよびリスク・機会

 

5)-a.バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト

「パラオ パシフィック リゾート」の事業は、陸域(森林)の自然資源に加え、海洋におけるサンゴ礁やオオシャコガイ等の豊かな生態系への依存度が高いといえます。また、東急不動産㈱初代社長である五島昇の「ヤシの木より高い建物は建てるなよ」という言葉に象徴される、当社グループの環境への想いを引き継ぎ 、「自然と開発の両立」「地元に貢献し地元の人々に受け入れられる事業」を開発時のコンセプトに、開発に伴うネガティブなインパクトに配慮するとともに、陸域および海洋生態系の回復などのポジティブなインパクトも与えています。

 

<バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト> 太字は特に重要と考えられる依存・インパクト

 

(※)森林および海洋保全によるインパクトの定量評価

 依存・インパクトのうち、土地利用・海洋保全による自然へのインパクトを㈱シンク・ネイチャーの分析ツールを用いて定量分析した結果、陸域(森林)については、開業(1984年)に伴い建物用地が増えたものの、これを大きく上回る面積の森林が再生されていることが分かりました(図<敷地内の森林面積の変化>参照)。また、海洋については、サンゴに関する評価では、海洋保護区指定や保全活動などの取り組みを通じ、前面海域でサンゴ被度が安定的に増加してきたこと、台風や生物の食害などの近年の外部環境の悪化にもかかわらず、サンゴの新たな個体の定着が増加傾向にあることが分かりました(図< 敷地内の森林面積の変化>参照)。このように、開発当時のコンセプトを守り続け、当社グループの様々な自然保護活動も含め、事業を通じてネイチャーポジティブに貢献していることが評価されました。(図<前面海域のサンゴ被度およびサンゴ幼生加入の密度の変化>参照)。

 

<敷地内の森林面積の変化>

 

<前面海域のサンゴ被度およびサンゴ幼生加入の密度の変化>

出典:世界平均の被度「ICRI, GCRMN, Australia Institute of Marine Science, UNEP “Status of

Coral Reefs of the World 2020」より作成

サンゴの幼生加入密度「PICRC(2025)」

※ PRP:パラオ パシフィック リゾート

 

5)-b.重要なリスク・機会の評価

依存している生態系サービスの劣化によるリゾート・観光地としての魅力の低下などの物理的リスクや、規制、市場環境の変化による移行リスクなどのリスクが想定される一方で、多くの自然関連機会も生じうることが分かりました。

上記A.気候・自然関連の重要なリスク・機会を参照ください。

 

③ リスク管理

 上記(1)サステナビリティ戦略③リスク管理を参照ください。

 

④ 指標と目標

A.気候変動

当社グループは、事業活動を通じて脱炭素社会の実現に貢献することをめざし、2021年度に気候変動に関する中期・長期目標を掲げ、2025年度には気候変動に関する目標を変更しました。

 

[中期目標]2030年度までに、自社(スコープ1・2)排出量を80%削減、サプライチェーン(スコープ3)の排出量を46.2%削減。加えて、CO2排出削減貢献量が自社のCO2排出量の10倍以上をめざす。

[長期目標]自社およびサプライチェーン(スコープ1・2・3)において、科学的根拠に基づく削減目標である「Science Based Targets(SBT)」の「1.5°C目標」を2030年までに実現し、2050年にはネットゼロエミッション達成をめざす。

 

長期目標にかかるSBTについては、2024年7月SBTネットゼロ認定を取得いたしました。スコープ1・2の削減実績は2022年度から継続して2024年度まで前中計KPIを達成しており、また、CO2排出削減貢献量においては、2024年度は3倍となります。(図<気候変動に関する目標と2024年度実績>参照)

 

また、東急不動産㈱では、自社で大規模展開する再生可能エネルギー事業の強みを活かし、2022年12月に自社事業所及び保有施設※1における使用電力※2を再生可能エネルギー電力へ切替え完了し、国内事業会社 ※3では初めてRE100を達成し、2024年4月にRE100事務局であるCDPから認定されました。

※1RE100の対象範囲とならない、売却又は取壊し予定案件及び当社がエネルギー管理権限を有しない一部の

  共同事業案件を除きます。

※2RE100が認めるグリーンガスが国内市場に存在しないため、コジェネレーション自家発電による電力を除

  きます。

※3金融機関を除きます。

 

<気候変動に関する目標と2024年度実績>

CO2排出量については第三者検証済みの実績値として、2024年度分の数値を記載しています。

他指標についても同年度を記載しています。

 

 詳細URL https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/esg-data

※4当社のSBT認定における削減目標対象はカテゴリ1・2・11

※5当社グループの事業を通じたCO2 排出削減貢献量を示したもの。再エネ発電によるCO2 排出削減量(なお、自社利用再エネ分除く)が、自社のCO2排出量(Scope1,2)の何倍かを算出している。詳細は、「環境経営レポート2025」のP41参照(詳細URL https://pdf.irpocket.com/C3289/HgJ1/UEbD/WPu2.pdf

※6ZEB/ZEH Oriented相当またはそれを超える建物性能を有する東急不動産㈱の分譲マンション・オフィスなどの施設件数割合(着工ベース)

※7非住宅の大型保有物件(延床面積10,000㎡以上)を対象。共同事業など一部除く

 

当社グループのGHG(Greenhouse Gas)排出量は以下のとおりです。

<GHG排出量の実績および目標と削減率>

 

<GHG排出量スコープ3 カテゴリ別内訳>
 
 

B.自然関連課題

<自然関連課題の目標と実績>

 

詳細URL https://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/esg-data

 

 

(3)人的資本経営

 当社グループにおける「人的資本経営」とは、「GROUP VISION 2030」の実現に向け、経営戦略と連動した人財戦略を策定及び実行することで、持続的な企業価値の向上に取り組むことを指します。

 当社グループは、都市開発から戦略投資、管理運営、不動産流通に 至るまで、「資産活用型ビジネス」と「人財活躍型ビジネス」という多様な事業ポートフォリオを有しております。この強固なビジネスエコシステムを深化させ、「広域渋谷圏戦略の推進」「GXビジネスモデルの確立」「グローカルビジネスの拡大」を重点テーマとする各事業戦略を力強く推進するためには、各事業の特性に応じた人財の存在が不可欠です。

「中期経営計画2030」においては、「3万人が成長し続ける人財ポートフォリオ」「創意工夫し続けるクリエイティブなカルチャー」という2つのビジョンを定めました。本中期経営計画の推進をリードする経営人財や事業変革人財を計画的に育成することや、管理運営事業に欠かせないエッセンシャル人財が活躍する持続的な体制を構築します。これを実現するため、心理的安全性・DE&Iを基盤とした組織風土の醸成を進めるとともに、採用・研修・風土醸成への投資や、物価上昇を超える処遇向上や福利厚生の拡充を行い、従業員体験の向上を目指します。それが従業員の高いパフォーマンスを引き出し、労働生産性の向上と人的資本投資に還元するという循環を生み出すことで、持続的な企業価値の向上を図ります。

 

<人的資本経営の考え方>

 

 

① ガバナンス

 人財戦略を経営戦略と連動させるために、サステナビリティ委員会・リスクマネジメント委員会にて人財戦略の課題及びKPIの進捗を報告のうえ方針を経営層間にて討議し、その結果を取締役会にて報告しております。

 人財戦略の推進にあたっては、当社のグループ人事部が主要会社の人事部を統率して管理しています。具体的なモニタリングの機能としては、グループ人財会議を開催し、グループ各社の課題及びKPIの進捗について報告・共有を行っております。さらに、ダイバーシティ・採用・労務マネジメントといったテーマごとに個別の分科会を行い、人財戦略を着実に実行できる体制を整えています。

 加えて、グループ全体の人的資本ガバナンスを強化するため、2025年度は当社とグループ各社社長との間で人的資本に関する討議を計4回実施し、経営人財の育成や配置について議論を深めてまいりました。2026年度からは、この取り組みをさらに発展させ、各社社長が参加する「人財戦略会議」を新たに設置いたします。同会議にて各社における経営人財の育成進捗や候補者の状況を共有し、グループ横断での適材適所の配置や育成施策の横展開を図ることで、継続的にPDCAを回す強固な体制を構築してまいります。

 

 

<人財戦略の推進体制>

 

グループ全体でのグループ人財戦略の推進に加えて、各社においては、ビジネスモデルに最適な取組を推進しております。経営戦略、事業戦略と人財戦略がどれも一貫したものとなるよう、グループ人事部およびグループ経営企画部を中心としたコーポレート部門が連携しながら、各社の人事施策の推進を支援しております。

 

<グループ推進体制>※2026年4月1日付体制

 

 

② 戦略

 ありたい姿の実現に向け、当社グループは“すべての従業員が「挑戦するDNA」と「社会に向き合う使命感」をもち、サステナブルな社会づくりと成長を目指します”というグループ人財理念を掲げています。

そして、多様な事業ポートフォリオを支えるグループ人財戦略として、『価値を創造する人づくり』『多様性と一体感のある組織づくり』『働きがいと働きやすさの向上』の3つの戦略を進めております。

 1つ目の『価値を創造する人づくり』は、グループ理念と経営戦略に基づいた、人財の育成に関する方針です。長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の実現に向けてグループ理念の浸透を図るとともに、個別の事業領域にとどまらず全社的な視座で事業変革をリードできる「経営人財」や「事業変革人財」の育成、ならびに当社独自のKPIを用いたDX人財の育成と環境経営に基づく人財育成を掲げております。これらの人財を持続的に輩出することが、各事業の枠を越えたグループシナジーの創出や、新たなビジネスモデルへの変革を牽引する基盤となります。

2つ目の『多様性と一体感のある組織づくり』は、グループの価値創造を支える社内環境整備に関する方針です。女性管理職比率向上をはじめとする女性の活躍推進や、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の取組による多様な人財の活躍推進に加えて、イノベーティブな組織風土の醸成が、「挑戦するDNA」の体現やグループの価値創造には不可欠と考えております。多様なバックグラウンドや専門性を持つ人財が交わり、互いに共創する「一体感」のある組織風土を醸成することは、既存の枠組みにとらわれない柔軟な発想を生み出し、複雑化する社会課題や顧客ニーズに対するプレミアムな価値を創出し続ける原動力となります。

3つ目の『働きがいと働きやすさの向上』は、従業員一人ひとりを支える社内環境整備に関する方針です。健康経営の推進や、ライフステージに応じた多様な働き方の支援に加え、働きがいという観点でのワークエンゲージメントの向上も重要な施策として取り組み、モニタリングしております。従業員が安心と高いモチベーションを持って働ける環境を整備することは、優秀な人財の定着を確固たるものにするとともに、労働生産性の持続的な向上に直結するものと考えております。

これら3つの人財戦略に取り組むことで、グループ従業員に対して、心も身体も健康に、モチベーションと志をもって働ける環境を実現するとともに、生産性が高く広く社会に貢献する人財を輩出します。当社グループは人的資本経営に取り組むことで、2030年のありたい姿「価値を創造し続ける企業グループ」の実現を目指してまいります。

 

<人財理念と人財戦略>

 

 

A.グループ全体での取組

経営戦略、事業戦略と人財戦略がどれも一貫したものとなるよう、コーポレート部門が連携しながら各社の人事施策の推進を支援する、以下のようなグループ横断施策を展開しております。

 

・グループ理念の浸透

 「WE ARE GREEN」は、多様なグリーンの力で、2030年にありたい姿を実現していく私たちの姿勢を表現したグループスローガンです。

グループインナーサーベイ(Eラーニング形式)ではグループ従業員の意識向上を図るとともに、特にグループ各社執行役員については、どれだけ自身がグループ連携を実践できているかを示す「自分ゴト化」度を測定しております。2025年度は90%(計157名回答)の執行役員が実践していると回答し、前中期経営計画最終年度の2025年度目標を達成、高水準を維持しております。

また、「誰もが自分らしくいきいきと輝ける未来」の実現に向けたグループ横断でのインナーコミュニケーション企画「東キュン不動産ホールディングス」を展開し、それぞれが持つ”好き”=“キュン”をヒントに未来を発想するAIを通じて画像を生成し、グループ内共有やチームビルディングへの活用を行うことで、グループの一体感の醸成を図ってまいりました。

 さらに2025年度は、従業員のグループへの所属意識を高め、各社のリソースを掛け合わせた広域渋谷圏戦略等の重点テーマを、グループ共創により力強く推進していくための新たな施策として、グループ横断イベント「TFHDアーバンスポーツフェス 2026」を開催いたしました。アーバンスポーツの体験や観戦等を通じて、従業員とその家族がグループに「接する」「関わる」機会を創出し、「クリエイティブなカルチャー」への理解と「中期経営計画2030」の実現に向けた強固な土台を整備しております。

 

<グループ横断イベント「TFHDアーバンスポーツフェス 2026」>

 

 

  第7回全日本ブレイキン選手権の        アーバンスポーツ体験会を当社施設で開催

    ファミリー観覧を実施          (グループ従業員のほか、一般参加者も募集)

 

 

・DX人財の育成

 全社方針である「DX」に基づき、DX事例の創出を目指して、グループ横断プロジェクトの実行と実践型学習・研修の両輪で人財基盤の構築を行っております。2022年2月にはTFHD digital株式会社を設立し、デジタル専門人財の採用を行い、グループ各社およびグループ全体のDX支援を行う体制を築きました。そうしたDX推進に向けた組織・制度の整備や既存・新規ビジネスの双方での具体的なDX事例などが評価され、経済産業省によるDX認定に2021年より継続して選出されております。

 具体的な人財育成として、事業会社においてDX推進の中心的な役割を担う人財を「ブリッジパーソン」と定義し、2030年度までにDX推進人財10,000人育成という目標を掲げて取り組んでおります。ブリッジパーソン育成のために、データ・AI活用やデジタルマーケティングなど様々なデジタルスキル習得のためのプログラムを用意するほか、ビジネスモデル変革を担う人財を育成する実践型研修である未来洞察型プログラム「HD-X」では未来のデジタル事業構想をグループ会社の現場社員が参加してアイデア創出を行っております。

 これらに加え、実践的なデジタルスキルの習得と高度なDX人財の育成を加速させることで、既存事業の枠組みを超えた新たなビジネスモデルの変革と継続的なデジタルビジネスの創出を図るため、2025年度より新たにDX推進人財の最上位に位置する「スーパーブリッジパーソン」を設け、育成に取り組んでいます。各社からホールディングスのDX推進部門への異動・出向を通じて「高度なDX推進スキル習得」及び「DXプロジェクト推進経験」により高度なDX人財の育成を加速させています。

 こうした当社のDXビジョン「Digital Fusion」で掲げる「EX(従業員体験価値)」「CX(顧客体験価値)」「BX(ビジネスモデル変革)」の3つのXの好循環を核とした戦略や、それを実現するための組織体制・高度なDX推進人財育成プログラムの実績が高く評価され、経済産業省と東京証券取引所が認定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄 2026」に選定されました。

 

<スーパーブリッジパーソン制度の新設>

 

 

・環境経営に基づく人財育成

当社グループが目指す「サステナブルな社会づくりと成長」を実現するためには、従業員一人ひとりが環境・社会課題を自らのビジネスを通じて解決し、新たな環境プレミアムを創出する風土の醸成が不可欠です。そのため、全社方針である「環境経営」に基づき、Eラーニングや体感型サステナブル研修、グループ社員のサステナビリティ意識浸透を企図した「サステナ月間」やサステナブル・アクション・アワードを通じて啓発を行っています。サステナブル・アクション・アワードでは、事業活動を通じた環境・社会課題解決の具体的な取組を表彰しています。2025年度は203案件(対前年+11件)という多くの応募が寄せられ、2022年度から2025年度までの累計応募数は699件となり、2025年度の目標であった累計応募数300件を大幅に達成。これらの取組を基盤とした「事業を通じた環境への取組件数」は2025年度実績で27件、累計132件となり、2030年度目標である累計100件以上を達成し、成果を創出しています。環境先進企業として、社員一人ひとりが環境への理解を促進し、環境価値の機会創出につながる人財育成を図っています。

 

・女性の活躍推進

女性の活躍推進については特に重要なテーマと捉え、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)の基本理念に則り、性別にかかわらず個性と能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。

女性の活躍を促進するために、当社グループは次の3つの方針で取り組んでおります。第一に、経営層のコミットメントです。女性の活躍推進を経営課題として捉えるために、「新卒女性採用比率」「女性管理職比率」「女性管理職候補比率」をKPIとして取り組んでおります。「新卒女性採用比率」は、2030年度目標は50%と掲げて採用活動に取り組んでおり、2026年4月実績は42%となりました。「女性管理職比率」は2030年度目標を20%以上と掲げており、2026年4月実績が10%という進捗です。「女性管理職候補比率」は女性管理職の一つ手前の等級(係長層)を対象とした指標で、2030年度目標を20%以上と設定し、2026年4月実績19%です。「女性管理職比率」は実績から一定の乖離がある目標値ではありますが、「女性管理職候補比率」の底上げを図ることで進めてまいります。

第二に、制度の取組です。各事業の特性に合わせ、ライフイベントとキャリアの継続を両立できる柔軟な支援体制の整備を進めております。具体的には、育休取得者の業務をカバーする周囲の従業員に向けた手当の導入(㈱東急コミュニティー)や育児短時間勤務の対象期間の延長(東急住宅リース㈱)など、各社の実態に即した制度を拡充しております。制度を利用する本人だけでなく、周囲の従業員も前向きに協働できる仕組みを整えることで、誰もがキャリアを諦めずに活躍し続けられる環境づくりを推進しております。

第三に、風土の取組です。制度があっても風土が伴わなければ、女性活躍は実現できないと考えております。女性管理職手前層を対象とした「次世代女性リーダー育成研修」をグループ5社に拡大して実施するとともに、研修卒業生を対象としたネットワーキングイベントを開催し、多様なリーダーシップの在り方やロールモデルの共有を支援しております。

その他、男性育児休業取得率について2030年100%と目標に掲げており、2025年度実績は93%となりました。男性も積極的に育児休暇を取得することで、男女間の職位の偏りがないよう、女性のキャリアパスや働き方を支援し、これまで以上の女性活躍を促進するとともに、男女賃金格差の改善に取り組んでまいります。

 

・多様な人財の活躍推進

多様な属性や価値観を持つ人財がそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境を整備し、新たなイノベーションと価値創造を継続的に生み出す組織基盤を構築するため、当社グループはDE&Iビジョンを策定しております。多様な属性の違いをお互いに認め、差別をなくすと共に公正な活躍機会を提供し、誰もが自分らしくいきいきと働ける環境作りに取り組みます。従業員に対しては「DE&I」理解深化のEラーニングを実施し、受講率をKPIとして設定、2030年度は受講率100%を目指しております。2025年度は「哲学対話」をテーマとしてHD全従業員必須で展開するとともにアンケート調査を実施し、各社へのフィードバックを通じて組織課題の解消を図っております。この結果、当年度の受講率は98%となり、目標達成に向けて着実に進捗しております。また、多様性を担保するためのKPIとして「キャリア採用者管理職比率」を設定、2030年度50%を目標と定めました。現状キャリア採用者管理職比率は55%となっており、既に目標達成済ですが、引き続き登用を続ける方針です。

さらに、新たな取組として東急プラザ原宿「ハラカド」でのLGBTQ+映画上映イベントの実施や「障がい者雇用情報連絡会」での情報共有を行っており、これらの取り組みが評価され、LGBTQ+に関する「PRIDE指標」における最高位「ゴールド」の連続受賞(東急不動産㈱、㈱東急コミュニティー)や、「プラチナくるみん」の認定取得(東急住宅リース㈱)など、外部からも高い評価を得ております。

また、多様な人財が安心して活躍できる基盤として、ビジネスを通じた人権の尊重を推進しております。2025年度には、従業員一人ひとりの人権に対する基礎知識の理解と意識向上を目的として「人権ハンドブック」を新たに発刊いたしました。人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施や通報窓口(ヘルプライン)の適切な運用等を通じて、差別やハラスメントのない健全な職場環境を構築するとともに、サプライチェーン全体における人権課題にも対応し、持続的な企業価値の向上に繋げてまいります。

 

 

・イノベーティブな組織風土の醸成

「挑戦するDNA」を継承し、会社の枠を超えたイノベーションを創出するために、「STEP」というグループ共創型社内ベンチャー制度を設立しております。「STEP」は「S(Start/Sustainable/Shibuya)」+「TFHD(東急不動産ホールディングス)Entrepreneur Program」の略称です。2019年度にグループ従業員を対象として開始し、2025年度には第7期を迎えました。2025年度時点で応募累計530件、内5件が事業化決定しております。2025年4月には事業化5件目となる株式会社ReINNを設立しました。民泊サービスを提供する会社として、日本の宿泊市場の再定義と未活用不動産資産の有効活用を目指す新たなサービスを展開いたします。

「STEP」では、審査の結果、会社設立ではなく、グループ内での施策として採用されたプロジェクトもあります。2025年度応募の「不動産業界のサポーティブスタッフのキャリア支援事業」の事業案は、東急不動産ホールディングスのグループ人事施策として姿を変えて始動し、専門知見を保有する有期雇用労働者の離職を防ぎ、即戦力人材としてグループ全体で継続雇用を維持する枠組みの構築を検討しております。このように、会社設立という手段だけに留めず、イノベーティブな組織風土が途切れぬようグループで多面的に取り組んでおります。

 

・健康経営の推進

従業員の幸福と健康維持・増進を重要な経営課題と捉えて、心身の健康に繋がる様々な施策に取り組んでいます。2030年度の目標として、健康診断受診率100%・ストレスチェック受検率100%・男性育児休業取得率100%を目標に掲げ、セミナーや啓蒙活動などに取り組んでいます。また、メンタルヘルス不調からの復職支援や、サステナ月間における「女性の健康セミナー」や「介護両立イベント」を開催し、ライフステージに応じた支援を拡充しております。2025年度の従業員の健康診断受診率は100%、ストレスチェック受検率は94%と高水準を維持しており、引き続き、従業員が健康で働きやすい職場づくりに取り組んでいきます。

 

・柔軟な働き方の支援

 効率性・生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現のため、柔軟な働き方を支援しています。主要会社(東急不動産㈱、東急リバブル㈱、㈱東急コミュニティー、東急住宅リース㈱、㈱学生情報センター)ではテレワーク制度およびフレックス勤務制度(またはスライド勤務制度)を継続して導入し、ITを活用して場所や時間にとらわれないフレキシブルな働き方を実現しています。東急不動産㈱では、副業制度についてもトライアルを実施しており、社員の挑戦と自律を支援しています。

 

・ワークエンゲージメントの向上

「中期経営計画2030」に掲げる目標の達成、ならびに強固な事業ポートフォリオの構築を実現するためには、それらを推進する全従業員が高いモチベーションと一体感を持って働ける環境整備が不可欠です。激化する人材獲得競争の中においても、優秀な人財の採用力と定着率を強固にし、持続的な企業価値の向上を目指すため、従業員の働きがいと安心を支える具体的な人的資本投資として、以下の取り組みを進めております。

第一に、従業員のファイナンシャル・ウェルビーイングの実現に向け、「信託型従業員持株インセンティブ・プラン」を導入しています。2022年より開始した第1弾は2025年に終了し、対象となる従業員に残余財産を分配し、現在第2弾を実施しております。本プランを通じて従業員の持株会への加入を促進し、資本参加による株主視点の醸成と成長成果の共有を図ることで、会社と従業員の一体感を高めております。

第二に、グループのスケールメリットを最大限に活かした福利厚生の拡充として、グループ横断の共済制度の対象事業会社を順次拡大しております。各社単独では実現が困難な高水準のサポートを提供し、グループに所属する体験価値を向上させることで、従業員の採用力・定着率を高めています。

これら従業員向けのエンゲージメント施策に各社取締役向けの株式報酬制度の導入も決定し、経営陣から従業員まで全社一丸となって持続的な企業価値の向上を目指す体制を整えております。

 

 

B.資産活用型ビジネスにおける取組(東急不動産㈱)

 資産活用型ビジネスを担う東急不動産㈱では、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の実現に向けて、2022年度に人事制度を改定しました。目指すべき社員像を自ら知見と経験を広げ社会への価値創造を追求する「事業プロデューサー」と掲げ、その実現に向けて制度運用を開始し、体系化した研修プログラムによる人財育成を行っております。2025年度の一人あたり研修費用は154千円、一人あたり研修時間は19時間という実績となりました。

 

・自律的なキャリア形成を支える「全社員面談」

事業プロデューサーとして継続的に成長するためには、会社主導ではなく、従業員自身の自律的なキャリア形成が不可欠です。当社では、一人ひとりが「事業プロデューサー」としてのキャリアを“自分ごと”として真剣に考え、前向きに挑戦できるよう、人事部と全社員が直接対話を行う「マイプロデューサー面談(全社員面談)」を実施しております。この面談を通じて得られた本人の意向を、本人異動宣言制度(社内公募制度)やキャリアチャレンジ制度の運用に活かすことで、納得感のある適材適所の配置とキャリア支援を実現しております。

 

・多様な知見の定着を促す「キャリアオンボーディング」

既存事業の枠組みを超えた新規領域の開拓と、事業ポートフォリオの変革を加速させるため、当社では多様な知見を持つ総合職のキャリア採用を拡大しております。これらのキャリア人財が当社のカルチャーに早期にフィットし、持ち合わせた知見を事業価値へと変換できるよう、独自のキャリアオンボーディングプログラムを強化しております。

実務面でのサポートとして、直属の上司とは異なる同僚が専任のサポート役となる「ブラザー・シスター制度」を導入しております。入社初期の「社内の歩き方」ガイドとして、定期的なランチ会等を通じたコミュニケーションの機会を設け、気軽に相談できる関係性を構築することで、新しい職場環境へのスムーズな適応を支援しています。

 また、カルチャー面での適応を促すため、2025年度にはキャリア入社社員を対象とした「社長講話・ランチ懇談会」を開催いたしました。社長自らが「挑戦するDNA」といった当社の歴史や社員への期待を直接語りかけるとともに、役員や人事部を交えた活発な意見交換の場を設けております。前職の価値観からのアンラーニング(学びほぐし)と当社組織風土への理解を同時に促進することで、高いエンゲージメントを引き出し、入社後の早期活躍と定着を後押ししております。

 

    当日の様子

 

C.人財活躍型ビジネスにおける取組(東急リバブル㈱)

東急リバブル㈱の強みは、お客様から寄せられる不動産売買・賃貸ニーズに対して、広い事業領域と事業間連携で確実に収益機会に繋げることができる体制・人財です。理念や営業戦略においても、自部門に限らず全社の事業・リソースを活用してお客様に付加価値を提供できる人財をマルチバリュークリエイター(MVC)と定義し、一人ひとりが創出する付加価値を最大化することで、情報生産性の持続的な向上を目指しております。

 

・理念浸透と組織風土改革

東急リバブル㈱では、「業界No.1」という目標に向けて社員のベクトルを合わせるため、経営の可視化とビジョン浸透に注力しております。社長自らが経営方針や事業戦略を説明し、直接質疑を交わす「社員説明会」や管理職を対象とした「経営フォーラム」、さらには社長と社員が直接対話する「車座ミーティング」などを継続的に開催し、経営陣と現場の一体感を高めております。これらの対話を通じ、顧客ロイヤルティ(NPS)と従業員エンゲージメント(eNPS)が連動して向上する好循環を生み出す組織風土改革を推進しております。

 

・MVC戦略の推進と「LIBANK」による情報生産性の向上

豊富な川上情報を広範な事業領域で最有効活用するため、部門の壁を越えた情報連携を積極的に推進しています。その中核施策として、全社情報集約ツール「LIBANK」を2025年度に新システムとしてリリースいたしました。物件登録の自動化や顧客ニーズとのマッチング機能を搭載したことで、部門を跨いだ情報共有が飛躍的に活性化しております。結果として、本部間成約が大幅に拡大するなど、具体的な収益向上と業務効率化(情報生産性の向上)という確かな効果を創出しております。

 

・自律的成長を促す育成体系の進化

こうしたMVCとしての事業間連携や付加価値創出をさらに加速させるため、2025年度より人財育成体系を改訂いたしました。従来より展開している、優秀営業担当者のノウハウを体系化した「虎の巻」プログラムや「キャリアチャレンジ制度(異動希望制度)」などに加え、各階層で求められる重点能力をスキルマップとして明確化し、実務課題と連動した実践的なプログラムを提供することで、環境変化に応じた価値を創出できる次世代のリーダー人財の輩出を図っております。

 加えて、多様な人財が持続的に活躍できるよう、営業現場における「水日定休チーム」、「チームでの数量目標設定」のトライアル導入など、働き方の見直しと労働生産性向上の取り組みも並行して推進しております。

 

D.人財活躍型ビジネスにおける取組(㈱東急コミュニティー)

・「ソーシャル・プロフェッショナル」の育成と新人事制度の導入

㈱東急コミュニティーでは、変化する環境下でも持続的に価値を創造できる事業モデルへの転換に向け、2026年度より新人事制度を導入することを決定いたしました。本制度では、新たに求める人財像を「ソーシャル・プロフェッショナル」と定義し、同人財像の5つの行動指針と連動した「行動評価」を新たに導入することで、一人ひとりの挑戦と成果創出を強力に後押しします。

また、従業員の自律的なキャリア形成を支援するため「マネジメント」と「プロ」の選択制や、従業員の希望や事情に応じたキャリア・働き方の選択肢を広げるため、従来の職群転換に加え、職掌転換制度を新たに導入しました。さらに、若手社員の昇格に必要な最短在級年数を大幅に短縮し、早期のステップアップ機会を拡充しております。これらにより従業員のモチベーションと定着率を高め、労働生産性の持続的な向上を図っております。

処遇面においては、年収に占める月例給の比率を高めて安定性を向上させつつ、業績・成果に応じたメリハリのある報酬体系へと刷新し、全社的なベースアップによる魅力ある報酬水準を実現しています。さらに、シニア制度を改定し、豊富な知識・経験を持つシニア層が長く活躍できる環境を整備しております。

 

E.人財活躍型ビジネスにおける取組(東急住宅リース㈱)

・新企業理念(パーパス)の策定と浸透

 東急住宅リース㈱では、設立10周年となる2024年度を節目とし、今後のさらなる収益拡大とブランド価値向上、そして従業員が「やりがい」をもって働ける会社を目指し、企業理念の再構築を行いました。

 2025年4月に、会社が存在する意義を表す新パーパス「安心と快適の、未来をつくる」をはじめとする新たな理念体系(パーパス・ビジョン・バリュー)を策定いたしました。このプロジェクトは、全従業員が参画した分科会や各本部から選出された委員によるワークショップなど、約1年をかけて社内の多様な意見を交わしながら進められました。これにより、全従業員の向かうベクトルと価値基準が明確になり、より社会に求められる存在であり続けるための基盤が整いました。新理念の浸透を通じて従業員のワークエンゲージメントを最大化し、持続的な事業成長を実現してまいります。

 

F.人財活躍型ビジネスにおける取組(㈱学生情報センター)

・「働きがいNo.1」を実現する人事制度改革

 ㈱学生情報センターでは、中期経営計画に掲げる「働きがいNo.1」の実現と人的資本マネジメントの推進に向け、2026年度より新人事制度を導入いたします。

 本改定では、社員の多様なキャリア志向に応えるため、「ゼネラリスト」「エキスパート」「プロフェッショナル」の3つのキャリアパスを新設いたしました。また、職務給のベースアップや残業手当の構造見直しにより、公正で納得性の高い処遇体系への引き上げを実施しております。さらに、会社の求める人物像に基づく「目標管理制度」を刷新し、評価の透明性向上と、1on1等を通じた対話・フィードバックの質を向上させることで、社員の自律的な成長と組織の持続的成長を促進しております。

 

③ リスク管理

 人的資本に関するリスク及び機会については、全社的リスク管理の枠組みに統合し、サステナビリティ委員会およびリスクマネジメント委員会において識別・評価・モニタリングを行っております。

人財戦略の推進におけるリスクの1点目は、経営戦略と実際の人財施策に乖離が生じることです。それを防ぐため、各施策に対応する人財KPIを指標として設定し、サステナビリティ委員会にて進捗を報告しております。経営層が人財戦略の方針について議論することで、経営戦略と現場の施策が一貫したものとなるよう担保しております。

リスクの2点目は、採用および人手不足です。当社グループは全国に拠点を持ち、100社超・約3万人の従業員から構成されます。国内の少子高齢化に伴う労働力人口の減少、それを背景とした人手不足が、当社グループの事業継続性に与える影響は少なくありません。人手不足に対する取組方針は、第一に、グループ全体での採用計画・活動のモニタリングや、合同採用イベント・活動の強化です。東急不動産ホールディングスのグループリソースおよびブランドを最大限に活用し、グループ全体の継続的な採用を支援します。第二に、外国人財の採用です。適切な採用ルートを通じた雇用を行うとともに、人権に配慮した労働環境の整備に取り組むことで、グループ内で必要な労働力を維持し、事業継続性を担保します。2025年2月に設立した外国人財プラットフォームを提供するGlobal Gateway Japan株式会社が中心となり、管理運営事業を中心としたグループ各社の人手不足に対応していきます。

 

 

④ 指標及び目標

  当社グループでは、人財戦略の進捗を測るため、客観的な比較可能性を持つ指標(女性管理職比率等)と、当社のビジネスモデルの変革を測る独自性のある指標(デジタル活用ビジネス件数等)を組み合わせた以下のKPIを設定し、モニタリングしております。

<人財KPI表>

 

※2025年度及び2026年4月の実績は、第三者検証取得前の実績も含まれており、概算値になります。

 

なお、従業員に対する給与その他の給付の決定に関する方針、ならびに平均年間給与等の法定項目に関する記載につきましては、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等」をご参照ください。