2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    119名(単体) 13,748名(連結)
  • 平均年齢
    44.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    4.5年(単体)
  • 平均年収
    7,553,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

一建設グループ

2,648

飯田産業グループ

1,938

東栄住宅グループ

1,150

タクトホームグループ

1,232

アーネストワングループ

1,964

アイディホーム

663

その他

4,034

全社(共通)

119

合計

13,748

(注)1.従業員数は就業人員であります。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、当社の従業員数であります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

119

44.6

4.5

7,553

(注)1.当社は、2013年11月に設立しているため平均勤続年数が短くなっております。

2.平均年間給与のうち、当事業年度の出向者にかかる出向費用の平均額は7,530千円です。

 

(3)労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)(注)1

男性労働者の

育児休業取得率

(%)(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

3.7

68.0

71.2

35.0

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

当事業年度

連結子会社

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)(注)1

男性労働者の

育児休業取得率

(%)(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

一建設

1.1

52.2

69.0

67.9

68.0

住宅情報館㈱

1.4

23.1

56.0

53.8

74.0

飯田産業

4.7

24.4

65.0

66.8

69.0

㈱ファミリーライフサービス

9.8

50.0

73.0

71.8

93.0

㈱ユニバーサルホーム

7.1

50.0

74.0

74.7

70.0

東栄住宅

5.5

25.9

71.0

70.8

91.0

東栄ホームサービス㈱

12.5

0.0

77.0

76.5

37.0

タクトホーム

2.7

42.9

57.0

58.4

55.0

ティーアラウンド㈱

0.0

33.3

69.0

68.6

アーネストワン

5.0

32.1

79.0

77.2

71.0

㈱エイワンプラス

0.0

100.0

94.0

105.6

32.0

㈱アーネストウイング

0.0

42.9

73.0

73.0

50.0

アイディホーム

4.7

15.4

82.0

75.1

80.0

ファーストウッド

2.8

30.0

83.0

74.3

85.0

ホームトレードセンター

3.9

8.3

55.0

68.6

107.0

IGウインドウズ

4.6

100.0

76.0

77.8

72.0

ファーストプラス

5.9

71.0

73.0

68.0

オリエント

5.3

33.3

73.0

74.6

72.0

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.連結子会社のうち、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象でない会社は、記載を省略しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方及び取組み

当社グループは、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長の両立を図るべく、サステナビリティ基本方針に基づき、サステナビリティ経営を推進しております。

当社グループは、経営理念として「より多くの人々が幸せに暮らせる住環境を創造し、豊かな社会作りに貢献する」を掲げ、「誰もがあたり前に家を買える社会」の実現という事業コンセプトに基づき、安全・快適・健康に暮らせる住環境をお客様に提供してまいりました。この「誰もがあたり前に」というコンセプトは、サステナブルな社会を実現する上でも極めて重要であると考えております。

 

① サステナビリティ基本方針

人生100年時代、持続可能な社会の創造へ。

私たち飯田グループは、住宅業界のリーディングカンパニーとして持続的成長と社会貢献で、より多くの人々が幸せに暮らせる豊かな社会づくりを推進し、企業価値の向上に努めます。

 

・より多くの人々が長く安心して活き活きと暮らせる住環境の実現を目指します。

・事業を通じて環境に配慮した住宅・サービスを提供し、CO2排出量削減や廃棄物の抑制、生物多様性の保全などに取り組みます。

・個人の人権、多様な価値観を尊重するとともに、安全で快適な職場環境を実現し働きがいのある健康的な職場環境の整備に努めます。

・あらゆる法令、規則等やルールを厳格に遵守するとともに腐敗防止に取組み、誠実かつ公正な企業活動を遂行します。

・適切な情報開示により、透明性や信頼性を高め、ステークホルダーとの積極的な対話に努めます。

 

② 当社グループのマテリアリティ(重要課題)

当社グループは、企業活動を通じて社会課題の解決と当社グループの持続的成長の両立を図るべくマテリアリティを特定し、グループ一体となって、統一的にサステナビリティ経営を推進しております。

マテリアリティの特定にあたっては、GRIスタンダードやSASB等に基づくESG課題、業界特有のESG課題を網羅的に抽出し、投資家・株主、お客様、取引先、従業員をはじめとしたステークホルダーにとっての重要度と、当社グループにとっての重要度の2つの観点から、ESG課題の選別を行っております。抽出された重要度の高いESG課題に対してはシナリオ分析を行い、当社グループにとっての機会及びリスクを検討し、優先度の高いものをマテリアリティとして特定しております。マテリアリティは、サステナビリティ推進委員会で審議した後、取締役会にて決議しております。マテリアリティは、事業環境の変化やマテリアリティ毎に設定する目標値に対する進捗状況等を踏まえて、概ね3年程度を目安として検証を行い、必要に応じて見直しを行う予定としております。

取締役会並びにサステナビリティ推進委員会の構成メンバーについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ.企業統治の体制の概要」に記載のとおりです。

 

「当社グループのマテリアリティと主な取り組み内容」

 

マテリアリティ

主な取組み内容

環境

(E)

地球環境保全・クリーンエネルギーへの貢献

温室効果ガスの削減

商品・サービスによるエネルギー効率の改善

社会

(S)

誰もが安全・快適・健康に暮らせる住環境の実現

誰もが家を持てる社会の実現

安全性の高い住環境の創出

健康に暮らせる住環境の創出

住宅の長寿命化・資産価値の維持

企業と組織

(G)

健康的で働きがいのある職場環境の維持

ワークライフバランスの推進

健康経営の推進

労働時間の減少

人材育成と雇用の確保

人材の育成・活用

多様性の確保

法令・規則の厳格な遵守と公平公正な企業活動

及びリスク管理

リスクマネジメント体制の構築

 

「マテリアリティ特定プロセス」

 

③ ガバナンス

当社は、取締役会による監督のもと、代表取締役社長を委員長とし、主要グループ会社の代表取締役を委員とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、定期的に開催しております。更に、同委員会の下部組織として「サステナビリティ推進部会」を設置しており、同委員会での決定事項を具体的な実施策に落とし込み、グループ一体となって、統一的に推進できる体制を構築しております。

サステナビリティ推進体制の構成と、構成する各会議体の機能及び活動概要は以下のとおりです。

 

(ⅰ)取締役会

取締役会は、サステナビリティ推進委員会で審議した方針や目標、施策推進状況や重要な変更事項等の報告を定期的に受け、重要事項については決議を行い、サステナビリティに関する執行側の取組みを監督しております。また、サステナビリティに関して知見を有する各独立社外取締役は、当社の持続的な企業価値向上に対する有効性の視点から監督し、サステナビリティ経営の実効性を高めております。

 

(注)1.サステナビリティ推進委員会及び同委員会と連携するリスクマネジメント委員会の構成メンバーは取締役会構成メンバーと重複しており、また監査役もオブザーバーとして同会議に参画していることから、取締役会での審議だけではなく、委員会を通じて代表取締役以外の取締役や監査役からの監督も行われております。サステナビリティ推進委員会及びリスクマネジメント委員会の構成メンバーについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ.企業統治の体制の概要」に記載のとおりです。

(注)2.リスクマネジメント委員会については、下記「⑤ リスク管理」をご参照ください。

 

(ⅱ)サステナビリティ推進委員会

サステナビリティ推進委員会は、代表取締役社長を委員長とし、主要グループ会社の代表取締役を委員として構成することによって、本委員会での審議内容をグループ会社全体に迅速に共有・展開しております。また、サステナビリティ経営に知見を有する社外取締役を委員として構成すると共に、監査役もオブザーバーとして出席しております。同委員会は、「サステナビリティ推進委員会規程」に基づき、サステナビリティに関する基本方針・戦略・目標の策定、施策の進捗管理・評価、下部組織を通じたグループ会社への指示・管理、リスク及び機会に関する評価の適切性などを議論し監督しております。また、必要な情報の抽出や調査を実施し、取締役会への報告・提言も実施しております。

 

(ⅲ)サステナビリティ推進部会

サステナビリティ推進部会は、サステナビリティ推進委員会の下部組織として、主要グループ会社のサステナビリティ担当者で構成され、定期的に開催しており、サステナビリティ推進委員会の方針決定に基づいて、グループ会社全体のサステナビリティに関する具体的な取組みや課題に関して改善活動を進めております。同部会を通じて、グループ一体となってサステナビリティに関する取組みを推進しております。また、必要な情報の抽出や調査を実施し、サステナビリティ推進委員会への報告・提言も実施します。

 

「サステナビリティ推進体制」

 

 

④ 戦略

(ⅰ)地球環境保全・クリーンエネルギーへの貢献環境

当社グループは、環境に配慮した事業活動を通じて、環境保全を含めたESG課題の解決を推進しております。グループ全体の環境方針を定め、断熱性能が高く、消費エネルギー量の少ない住宅を供給するだけではなく、資材調達先等を含む事業活動プロセス全体での環境負荷低減を推進していく方針です。

また、CO2を吸収・固定化する木材の利用促進は、脱炭素社会の実現に向けて重要な取り組みであるとの認識から、保有する森林資源の適正な保全と管理を推進し、CO2吸収能力を高め、カーボンニュートラルの達成に貢献してまいります。

 

(ⅱ)誰もが安全・快適・健康に暮らせる住環境の実現

当社グループは、分譲戸建住宅を中心に住まいに関わる様々な商品・サービスを通じて、人生100年時代においても、より多くの人々が長く、安全、快適、健康に暮らせる社会の実現を目指しております。耐久性能、安全性能、環境性能の高い高品質な住宅の供給と、誰もが購入しやすい値ごろ感のある住宅を供給することは相反する側面があるものの、その両方を実現することが当社グループの社会的存在意義であると考えております。このため、分譲戸建住宅全棟で住宅性能評価を取得した高品質な住宅を、地域ごとの平均的な世帯収入で購入可能な販売価格で提供してまいります。

また、ライフステージやライフスタイルに応じて健康で豊かに暮らすことのできる社会の実現を目指し、長く安心して暮らしていただくために、住む人の健康にも寄り添う「健康住宅」の開発を推進してまいります。

 

(ⅲ)健康的で働きがいのある職場環境の維持

当社グループは、人的資本の向上が企業成長の源泉と捉え、経営の重要課題の一つであると認識しております。多様な価値観を認め、従業員の自律的な成長を支援し、人と組織が強くなることで組織力を高めてまいります。また、ワークライフバランス、健康経営を推進し、誰もが安心して活躍できる、働きがいのある健康的な職場環境を築いてまいります。

(注)その他の取り組みについては、下記「(3)人的資本に関する取組み ① 戦略」をご参照ください。

 

(ⅳ)法令・規則の厳格な遵守と公平・公正な企業活動及びリスク管理

当社グループは、事業活動に関わるあらゆる法令、規則等やルールを厳格に遵守するとともに、腐敗防止に取り組み、誠実かつ公正な企業活動を遂行すべく、グループ全体として効果的かつ効率的なリスクマネジメント体制を構築し強化してまいります。人権研修や情報セキュリティ研修、コンプライアンス研修をはじめとしたコンプライアンス教育を推進し、役職員のコンプライアンス意識の向上を図るとともに、従業員並びにサプライチェーンの労働安全の確保、安全配慮、環境整備を推進してまいります。

 

⑤ リスク管理

コーポレート・ガバナンスの充実に向けた取組みとして、当社代表取締役社長を委員長とし、主要グループ会社の代表取締役を委員として構成するリスクマネジメント委員会を設置し、グループ全体のリスクマネジメントに関するさまざまな審議を行うとともに効率的かつ効果的なリスクマネジメントを推進する体制を整備しております。

サステナビリティ推進委員会とリスクマネジメント委員会は連携し、環境リスク(温室効果ガス排出削減、資源の持続可能な利用、廃棄物管理、生態系保全等)、社会リスク(人権保護、労働環境の改善等)、ガバナンスリスク(コンプライアンス、企業倫理、サプライチェーン管理等)を含むグループ全体におけるリスク管理が実施できる体制となっております。サステナビリティ推進委員会は、中長期の事業環境変化によるリスク及び機会の分析をおこなっており、同委員会で検討されたリスクについては、リスクマネジメント委員会へ報告されております。リスクマネジメント委員会では、サステナビリティ推進委員会で抽出されたリスクに加え、業務運営から検出されたリスクも含めて対応策の検討を行い、グループ全体のリスク管理をおこなっております。

 

「リスクマネジメント体制」

 

 

(注)1.リスクマネジメント体制に示すとおり取締役会の諮問機関である「リスクマネジメント委員会」と「サステナビリティ推進委員会」が連携し、サステナビリティに関する基本方針、サステナビリティ関連を含めて経営全般に係るリスクや機会の選定、優先順位付け、対応策の決定、進捗管理等を行っており、定期的に取締役会への報告や、当社規程の定めに従い決議事項の決議を行っております。

(注)2.サステナビリティ推進委員会及びリスクマネジメント委員会の構成メンバーについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ.企業統治の体制の概要」に記載のとおりです。

 

⑥ 指標及び目標

各マテリアリティの戦略の進捗状況を把握するためのKPI並びに2030年3月期をターゲットとする目標値は以下のとおりです。

 

マテリアリティ

主な取組み内容

KPI

2025年3月期実績(注)1

2030年3月期

目標

地球環境保全・

クリーンエネルギーへの貢献

温室効果ガスの削減

売上収益当たりのCO2排出量

(t-CO2e/百万円)

4.0

2.5

商品・サービスによる

エネルギー効率の改善

新築分譲戸建のZEH水準比率

90.4%

100%

誰もが安全・快適・健康に暮らせる住環境の実現

誰もが家を持てる社会の実現

ターゲット世帯が購入可能な物件比率

94.9%

96%

安全性の高い住環境の創出

健康に暮らせる住環境の創出

住宅性能評価取得率

100%

100%

住宅の長寿命化・資産価値の

維持

健康的で働きがいのある職場環境の維持

ワークライフバランスの推進

健康経営の推進

ストレスチェック受検率

91.5%

100%

労働時間の減少

有給休暇取得率

74.5%

85%

人材育成と

雇用の確保

人材の育成・

活用

資格保有率(注)2

58.6%

80%

多様性の確保

女性管理職比率

4.1%

30%

男性育児休業取得率

33.5%

85%

法令・規則の厳格な遵守と公平・公正な企業活動及びリスク管理

リスクマネジメント体制の構築

休業災害度数率

2.3

0

コンプライアンス研修

受講率

98.9%

100%

(注)1.2025年3月期(実績)につきましては、連結ベースでの記載としております。

ただし、海外においては、日本国内と法制度や資格制度等の環境が異なることから画一的な基準に基づき実績に含むことが困難なため、海外子会社の実績は含んでおりません。

2.弁護士、公認会計士、不動産鑑定士、司法書士、税理士、宅地建物取引士、建築士、施工管理技士等の当社が指定する資格を示しております。

 

(2)気候変動関連等に対する取組(TCFD提言への対応)

当社グループでは、サステナブルな社会を実現するためには、地球温暖化がもたらす気候変動問題に対して、温室効果ガスの排出量削減だけでなく、環境性能の高い商品・サービスを誰もが当たり前に手に入れられるようにすること、すなわち、環境対策に必要なコスト負担と、誰もが享受できる値ごろ感を両立させることが重要であると考えております。

当社グループは、気候変動や環境規制の強化等による事業環境の変化が当社グループに与えるリスク及び機会について評価、分析を行い、事業戦略へ組み込むことで環境負荷低減を推進してまいります。

 

① 戦略

当社グループでは、気候変動関連のリスクは事業活動に大きな影響を及ぼす重要な課題であると認識し、NZEシナリオ及びIPCCを参考に、地球の平均気温上昇が産業革命前と比較して+1.5℃と+4.0℃となる2つのシナリオを選択し、重要性の判断から「戸建住宅事業(注)1」と「森林事業(注)2」について分析を行いました。

その結果、気候変動は政策・法規制リスクをはじめ、短期・中期・長期で当社グループの事業に影響を及ぼす可能性が明らかになりました。

当社グループでは、気候変動を含む環境問題を重要な経営課題の1つと捉え、2050年カーボンニュートラルの達成という目標を前提とした事業戦略を検討してまいります。

(注)1.戸建住宅事業とは、戸建分譲事業及び注文住宅事業の木造住宅を供給する事業のこと。

(注)2.森林事業とは、森林管理を行い、木材の伐採、製材加工を行う事業のこと。

 

② リスク及び機会

当社グループが供給している住宅は、長期間に渡って使用する商品の特性上、その利用期間を通じて発生する温暖化ガスが多量になります。商品のエネルギー効率を改善することは環境負荷低減になり、競合商品との差別化要素になることが考えられます。

当社グループが供給する分譲戸建は、すでに全棟で住宅性能評価を取得しており、断熱化対応、一次エネルギー消費量削減対応を行っているため、必要となるコストは相対的に小さいことから、販売価格における相対的な優位性は高まり、販売棟数拡大の機会となることが考えられます。

 

リスク

気候変動による

事業リスク

財務への潜在的な影響

顕在化

期間

財務的

インパクト

1.5

 

政策・法規制

炭素税・

炭素排出量規制

炭素税が導入された場合、増税により利益額(利益率)を押し下げる影響がある。

中期

省エネ・

低炭素規制

住宅に対する断熱基準が引き上げられた場合、追加コストが発生することから、利益額(利益率)を押し下げる影響があるものの、既に供給する住宅全棟で住宅性能表示制度の断熱等性能等級4以上、一次エネルギー消費量等級5以上を取得するとともに、2025年4月以降に確認申請を取得する分譲戸建住宅は全棟でZEH水準を達成していることから、その影響は「小」の範囲に抑えることが可能である。

短期

再エネ装置の

設置義務

新築戸建住宅のZEH義務化が行われた場合、再生可能エネルギー設備の設置コスト分が販売価格の上昇となり、補助金や税制優遇策次第では、住宅需要を縮小させるだけでなく、利益額(利益率)を押し下げる可能性がある。

短期

研究開発投資

低炭素型住宅の

開発

より断熱性能が高く、エネルギー消費量の少ない低炭素型住宅が求められるようになることが想定されるが、既にZEH等への対応に向けた研究開発を計画的に推進しており、追加的な投資及び費用による財務的な影響は小さい。

短期

市場

顧客ニーズ・

購買行動の変化

エシカル消費志向が住宅分野にも広がり、環境対応をはじめとする企業活動が消費者の購買決定に大きく影響することが想定されるが、現状推進している環境対応をすすめることで、追加的な投資及び費用による財務的な影響は小さい。

中期

調達

資材調達コストの上昇

温暖化対策が加速していく過程において、CO2固定化可能な木材に対する需要が高まり、木材価格は上昇することが予想されるが、当社は自社で森林資源を保有していることから、グループ連結ベースでの財務的な影響は限定的である。

中期

 

 

 

リスク

気候変動による

事業リスク

財務への潜在的な影響

顕在化

期間

財務的

インパクト

4

 

極端な気象変化

 

施工現場への影響

施工現場の被災による復旧費や引渡し遅延リスク等が想定されるが、当社は施工現場当たりの規模が小さいことに加え、営業エリアが全国に展開しておりリスク分散が図られていることから財務的な影響は小さい。

短期

サプライチェーンへの影響

サプライヤー工場の被災により操業停止やサプライチェーン分断等が発生した場合、施工遅延による住宅の引渡し時期の遅れや、借入金の金利負担の増加などが生じるため財務的な影響が生じる可能性がある。

短期

降水パターンの変化

当社資材工場への影響

河川氾濫による洪水、内水による被害等が想定されるが、当社工場の立地から長期に操業が停止するようなリスクは低く、財務的な影響は小さい。

中期

平均気温の上昇

施工現場での作業への影響

施工現場の作業効率低下、熱中症による健康被害への対策費等の増加や、引渡し遅延のリスクがあるが財務的な影響は小さい。

中期

森林の生育環境

への影響

住宅建設に使用される針葉樹の生育環境が変化することが想定されるが、2050年を想定した場合、その影響は限定的と思われ、財務的な影響は小さい。

長期

 

 

 

 

機会

気候変動による

事業機会

財務への潜在的な影響

顕在化

期間

財務的

インパクト

1.5

 

市場

分譲戸建住宅市場における低炭素住宅の需要拡大

分譲戸建住宅市場はZEH対応が遅れているが、当社は既に断熱化対応、一次エネルギー消費量削減対応を行っているため、必要となる追加コストは相対的に小さいことから、販売価格における相対的な優位性は高まり、販売棟数拡大の機会となる。

中期

木材需要の拡大

温室効果ガスの削減対策が強化されていく過程で、CO2を固定できる木材の需要が高まることが想定される。従来木材を利用していない高層建築物などで新たな木材需要が創出されれば、当社の木材事業の売上収益の拡大が見込まれる。

中期

人工光合成技術による用途分野の拡大

人工光合成技術は、CO2の排出がないだけでなく吸収効果もあることから環境効果は太陽光パネルより高い。単位コスト当たり発電効率が代替手段よりも高い装置が開発できれば住宅の付加価値を高めるとともに、装置単体としての売上拡大も期待できる。

中期

木造住宅の訴求価値向上

当社グループでは年間40,000棟の木造住宅建築を通じて年間65万tのCO2を固定している。消費者の環境意識が高まることで訴求価値は高まり、当社住宅の販売促進効果が見込まれる。

短期

森林資源を活用した環境貢献

保有する森林資源はCO2の固定化に貢献する経営資源であり、環境志向の高い消費者への訴求価値は高くなる。

短期

森林によるCO2クレジット創出

将来、仮に森林クレジットをGHG排出量削減に使用することができるようになれば、直接的な財務効果が見込まれる(ただし、現時点では不確定であることから財務的な影響についての見積もりは行っていない)。

短期

 

③ 指標及び目標

当社グループでは、気候変動への対応として「2050年カーボンニュートラル」実現を目指し、2030年の気候関連リスク・機会を評価・管理するため中長期温室効果ガス削減目標を策定し、取組みを進めております。この目標と実績の推移は以下のとおりです。

 

<GHG排出量の実績>

当社グループのGHG排出量算定は、国際的な基準である「GHGプロトコル」に準拠しております。また、信頼性の高いデータ収集及び情報開示が重要であるとの認識のもと、Scope1、Scope2、Scope3のGHG排出量について、第三者認証を受け、保証報告書を取得しております。

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

Scope 1・2 (万t)

6.9

6.9

7.3

6.7

6.0

Scope 3     (万t)

615.2

597.3

571.6

 

 

<中長期 温室効果ガス削減目標>

当社グループは、SBT(Science Based Targets)1.5℃水準として求められるCO2排出削減レベルを考慮し、Scope1、Scope2について「2050年度実質ゼロ」という最終目標の達成に向け中間目標を設定し、削減策を推進しております。

 

2030年度

2050年度

Scope1

46%

100%

Scope2

Scope3

 

(3)人的資本に関する取組み

当社グループは、人的資本の価値向上が企業成長の源泉と捉え、経営の重要課題の一つであると認識しております。健康的で働きがいのある職場環境の維持を通じ、採用の強化、人材育成、働き方の多様化、人材の多様化、グローバル化に取組みます。グループ経営方針に定める「常に新時代を切り拓く市場創造のトップ集団であり、社会から信頼・尊敬される企業集団」「社員が挑戦でき、働き甲斐のある、生き生きとした魅力的な職場」となることを常に意識し、従業員一人ひとりの個の成長と多様性を高め、人と組織を強くしていくことで、持続的成長の実現を目指してまいります。

 

① 戦略

(ⅰ)健康経営の推進

人的資本の価値向上に向けた取組みを加速するべく、『社員一人ひとりの健康を大切にして、「住まいと暮らし」で地域社会に貢献する企業として「人生100年」「健康100年」「住宅100年」を目指します』という飯田グループ健康経営宣言を策定し、健康経営推進委員会を新たに設置しました。「未病の改善」の概念を取り入れ、生涯にわたる従業員の健康維持推進を目指し、「卒煙」「生活習慣の改善」「ヘルスケア」を当面の重点施策とし、ストレスチェック受検、セミナー、eラーニングの実施等、従業員の心身の健康を積極的に支援しております。

 

(ⅱ)労働時間の減少

有給休暇の取得促進に取り組んでおり、有給休暇取得率に関しては、2025年3月期実績は74.5%と、政府目標を上回り、高い水準を維持しております。生成AIの業務への活用を開始する等、引き続き業務プロセスの見直しやデジタルツールの活用による効率化を進めることにより、社員が短い時間でより高い成果を生み出せる環境を整えるとともに、多様な働き方を実現し、健全かつ活力ある職場を目指してまいります。

 

(ⅲ)人材の育成・活用

社員の自律的成長とスキル向上をサポートするため、グループ全体で資格手当の拡充・統一を図ってまいりました。その結果、グループ全体の有資格者数は6,000名を超え、増加基調にあります。また新卒採用社員向け宅建合格講座、若手社員向け各種技能講習、管理職向けマネジメント研修等、グループ各社において各種研修プログラムを展開しております。各社の取組みにおける工夫や好事例を適宜グループ内で共有を図ることで、グループ全体の生産性向上や競争力強化ひいては採用強化や離職率低減等人材の雇用確保にもつなげてまいります。

 

(ⅳ)多様性の確保

組織の成長力の維持強化のためには、多様な人材活用による価値創造が必要と考え、性別、国籍、新卒、中途採用に係らず、能力のある人材を中核人材に登用することとしております。測定可能な目標として、女性の管理職登用及び男性育児休業取得率に関し、政府目標に合わせて目標設定を行っております。また、両立支援の一環として、小さな子供を持つ従業員が安心して働けるよう、本社(東京都武蔵野市)ビル内に事業所内託児所「すまいーだ保育園」を設置しております。社内環境整備を通じ、多様な人材が活躍できる職場作りを進めてまいります。

 

② 指標及び目標

「健康的で働きがいのある職場の維持」をマテリアリティに設定し、主な取組みを「ワークライフバランスの推進」「人材育成と雇用の確保」としております。戦略の進捗状況を把握するためのKPIは、「ストレスチェック受検率」「有給休暇取得率」「資格保有率」「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」となります。目標値については、上記「(1)サステナビリティに関する考え方及び取組み ⑥指標及び目標」にてお示ししております。