2025年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社といたしましては、このようなリスク要因の存在を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、万一発生した場合でも適切に対処するよう努める所存であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) インターネット広告を巡る事業環境について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社が主たる事業を展開するインターネット広告業界は、インターネットの普及や技術革新により市場規模が過去十数年で急速に拡大いたしました。しかしながら、インターネット広告業界に限らず広告業界は、景気変動の影響を敏感に受けやすく、今後景気が悪化し、市場規模が想定したほど拡大しない場合には、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

また、運用型広告市場の拡大や、多種多様な媒体の登場により取引が高度化・複雑化しており、顧客のニーズに応えたプランニングが出来ない場合には、解約や取引量の減少につながり、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

さらに、GAFA(米国の主要IT企業であるグーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の頭文字を取った4社の総称)を代表とするメガプラットフォーマーの事業戦略の転換や方針の変更に伴い、当社のサービスの提供が困難となった場合には、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 特定顧客への依存について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社が営むデジタルマーケティング支援事業においては、現在のところ特定顧客への依存はみられませんが、今後、広告予算の増加やインターネット広告の費用対効果の向上等を背景に、特定の顧客との取引が大きく拡大し、売上構成比率が高まる可能性があります。このような場合、将来的に当該顧客の事業方針の変更や業績変動等の何らかの理由により当社との取引が大きく縮小した場合、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。当社は、顧客の分散を進めることで、当該リスクに対応してまいります。

 

(3) メディア運営会社への依存について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社が営むデジタルマーケティング支援事業においては、メディア運営会社が提供する広告媒体に大きく依存しており、上位3社(Google、LINEヤフー、Meta)の仕入高は2025年3月期の当社全体の年間仕入高の81.4%となっております。当社では、メディア運営会社との良好な関係の維持には十分留意しておりますが、何らかの事情によりメディア運営会社との取引関係に変化が生じた場合には、取引が継続されない又は取引条件の変更等が発生することにより、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(4) 競合他社との関係について(発生の可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

当社が属するインターネット広告業界には、既に複数の競合他社が存在しますが、市場規模が拡大傾向にあることから、今後も新規参入企業が増加する可能性があります。当社では、競争優位性を確立し、競争力を高めるべく様々な施策を講じておりますが、今後、競合他社が革新的な技術を開発した場合や、新規参入により競争が激化した場合には、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 技術革新への対応について(発生の可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

インターネット関連分野における技術革新のスピードは著しく、インターネットに関連した事業の運営者は、その変化に素早く、柔軟に対応する必要があります。当社においても、最新技術や業界動向等の情報収集に日常的に努めておりますが、これらの変化に適切な対応ができない場合には、当社の競争力が低下し、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 法令等による規制について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の主な事業領域においては、事業を展開する上で著しく制約を受ける法的規制は現時点ではありません。ただし、広告の内容によっては、顧客である広告主において「不当景品類及び不当表示防止法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等の規制を受ける可能性があります。そのため当社では、広告主が各種法令等による規制に抵触することを回避し、また、当社としてのレピュテーションリスクを回避するために、具体的な注意点を記したマニュアルを整備し、担当者やその上長が慎重に確認を行い、必要に応じて外部弁護士によるリーガルチェックを受ける体制を採用しております。

また、当社自身が、企業の事業活動に関わる各種法律に抵触しないよう、「リスク管理規程」及び「コンプライアンス規程」を制定し、役職員が遵守すべき法的規制の周知徹底を図るとともに、「公益通報者保護規程」の制定により法令違反行為等の情報を収集する体制を構築しております。しかしながら、上記の対策を講じているにもかかわらず、不測の事態により関係法令等の規則が遵守できなかった場合や、今後、法令等の改正や新たな法令等の制定が行われ既存の法令等の解釈に変更が生じる場合や、法令等に準ずる位置づけで業界の自主規制が制定され、その遵守を要請される場合には、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 知的財産権について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は、知的財産権の保護や管理についてその重要性を認識しており、事業の運営にあたっては第三者の知的財産権を侵害しないように社内の校閲担当者が外部弁護士等と連携し確認を行っております。当社では、現在まで、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差止の請求を受けたことはありませんが、第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。このような場合には、当社に対する損害賠償請求や使用差止の請求を受け、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 災害等による影響について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

地震、台風等の自然災害、新たな感染症等の世界的な蔓延(パンデミック)等の予期せぬ事態に備え、有事発生時でも事業を継続させることは、当社の最重要課題であると認識しております。そのため当社では、社員安否確認システムの整備、在宅勤務制度の導入等を通じた対策を講じております。しかしながら、想定を大きく上回る規模で自然災害等が発生した場合には、当社の事業が一時的又は中長期的に停止するなどの事象により、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) システムリスクについて(発生の可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は主にインターネット通信を利用してサービスを提供しており、システムの増強やバックアップ体制の強化等、安定稼働のために常に対策を講じております。しかしながら、機器の不具合、コンピュータウイルス、人為的ミスその他の事故等により、通信ネットワークに障害が生じる可能性があり、このような場合には、サービスの停止等により顧客からの信用が低下し、状況によっては損害賠償を請求される等、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 風評被害について(発生の可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の事業及び役職員について、インターネット上の掲示板の書き込みや、それを起因とするマスコミの報道等により、何らかの否定的な風評が広まった場合には、その内容の正確性にかかわらず、企業イメージの毀損等により、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社では、適時適切な情報開示を行うことにより、当該リスクに対応してまいります。

 

(11) 大株主について(発生の可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

2025年3月31日現在、当社の所有株式数の上位3名で持ち株比率が発行済株式総数の約49%と大株主の占める割合が多くなっております。これらの大株主は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。

当社といたしましても、これらの大株主は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、これらの大株主の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) ストック・オプションの行使による株式価値の希薄化について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は、取締役、従業員に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためストック・オプションを発行する可能性があります。これらのストック・オプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末現在、これらのストック・オプションによる潜在株式数は493,750株であり、発行済株式総数8,080,000株の6.1%に相当しております。

 

(13) 情報管理体制について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社では、事業遂行上、顧客の機密情報や個人情報を入手し取り扱う機会があり、これらの情報資産を保護するため、「情報セキュリティ管理規程」を定め、法令を遵守するほか、入退室管理、ハードウェアやネットワーク管理について整備強化に努めております。また、2005年10月にはプライバシーマークを取得し、個人情報管理についても十分な体制構築が行われていると考えております。しかしながら、上記の対策を講じているにもかかわらず、不測の事態により情報漏洩等の事故が発生した場合には、損害賠償請求による予期せぬ費用やプライバシーマークの承認取消処分等によるレピュテーションリスクが発生し、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 資金調達の使途について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

当社が株式上場時に行った公募増資による調達資金については、事業継続性のためのトランスフォーメーション投資、安定した経営基盤構築のためのシステム及び人材投資、並びに既存事業拡大のためのマーケティング投資に充当する予定であります。しかしながら、急速に変化する外部環境その他の事由により、当初の予定以外の資金使途となる可能性があります。また、当初の予定に沿って調達資金を使用した場合でも、想定する投資効果を上げられない可能性があります。

当社では、外部環境の変化を敏感に察知し、あらかじめ様々なシナリオに備えた投資計画、資金計画を作成することで、当該リスクに対応してまいります。

 

(15) 内部管理体制について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社では、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると考え、業務の適正性を確保し、財務報告の信頼性を高め、さらに法令遵守を徹底することを目的に、社長直轄組織である内部監査室が内部監査を実施する等、内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、事業の拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 株式の流動性について(発生の可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は2025年3月19日に東京証券取引所スタンダード市場へ上場をいたしましたが、流通株式比率は2025年3月末日時点において40.16%であります。

今後は、既存株主への一部売出しの要請、新株予約権の行使による流通株式数の増加等により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社では、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置付けております。当社は、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた株主への利益還元を継続的に行うことを基本方針としております。剰余金の配当につきましては、配当性向を10~20%を目安とし、安定的・持続的に配当することに努めております。

当社の剰余金の配当は、会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めております。また、剰余金の配当基準日は、期末配当は3月31日、中間配当は9月30日、その他基準日を定めて剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めております。

当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記の基本方針に則り、1株当たり14円としております。

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2025年5月27日

取締役会

112,420

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