リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの事業に伴うリスクについて
スイーツ事業(洋菓子のヒロタ、あわ家惣兵衛、トリアノン洋菓子店)
① 経営環境の動向について
スイーツ事業は、景気や個人消費の動向及び同業他社・異業種小売業などとの更なる競争の激化など、国内の経営環境の変化により、当社グループの業績、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 災害・感染症に関するリスク
スイーツ事業では、地震・台風等の自然災害及びウイルス等の感染症の流行による操業停止をせざるを得ない様な事態の発生に備え、従業員の安全確保、災害及び感染症の未然防止、早期復旧、取引先との連携等を実施しております。しかしながら、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損や感染症などによる生産の中断等が生じた場合、顧客への製品供給が遅れること等により、当社グループの業績、営業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制について
スイーツ事業が経営する直営店及び大手スーパーマーケット、コンビニエンスストア、大手小売企業等への卸売販売ついては、食品衛生法による法的規制を受けております。食品衛生法においては各店舗及び工場において食品衛生責任者を各市区町村の保健所に届け出て許可を受けております。
また、店舗及び工場の衛生管理を徹底するため、設備器具、食材の取扱い及び従業員の衛生管理についてマニュアルにより細目にわたり規定するとともに、定期的な細菌検査を実施しております。所轄の保健所から毎年商品検査や立ち入り検査を受けておりますが、食品衛生法に基づく食品営業許可の期限更新時において問題になるような指摘は受けておりません。しかしながら、上記諸施策や検査にもかかわらず、今後当社グループの直営店舗における食中毒や食品衛生に関するクレーム等の事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態、営業許可の期限更新に影響を及ぼす可能性があります。
また、上記食品衛生法の他、「製造物責任法」、「消防法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」等により制約を受けております。
④ 品質管理について
洋菓子のヒロタ、トリアノン洋菓子店の商品は、シュークリーム、ケーキ群を中心とした洋菓子であり、あわ家惣兵衛は和菓子を中心とした商品であります。品質管理には十分配慮をしておりますが、細菌検査の結果によっては出荷不可能なケースも存在します。
現在、洋菓子のヒロタにおいてシュークリームラインのHACCP高度化基準の見直しにより、日本発国際基準の食品安全マネジメント規格である「JFS-B規格」の適合証明を取得するなどあらゆる対策を講じておりますが、品質に異常が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼすこととなります。
⑤ 特定商品の依存について
現在、当社グループが展開している洋菓子のヒロタは「シュークリームのヒロタ」といわれるように、シューアイスを含めたシュークリーム群の売上高に対する依存度が2024年3月期で79.84%となっております。シュークリームは日本の洋菓子のなかで長く親しまれた商品であり、今後も同様であると認識しております。また、シュークリームの中でも季節毎のオリジナル商品の開発によって顧客ニーズの多様化に対応しておりますが、洋菓子のヒロタが提供するオリジナル商品と顧客ニーズの多様性の間にミスマッチが生じた場合には、当社グループの業績見通しに影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 出店について
当社グループが行うスイーツ事業は、2024年3月末日現在において首都圏を中心に直営店舗の洋菓子のヒロタを7店舗出店、「あわ家惣兵衛」として大泉学園を中心に和菓子の店舗5店舗出店、「トリアノン洋菓子店」として高円寺を中心に店舗3店舗出店しております。新規に出店する際の出店先の選定については、店舗の採算性、賃貸条件、乗降客数等を考慮して決定しております。
当社グループのスイーツ事業におきましては、積極的な出店を計画しておりますが、常に個別店舗の採算を重視した店舗展開を行っており、出店条件に合致する物件がなければ、出店計画に変更をきたすこともあるため、当社グループの業績見通しに影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 競合について
当社グループが展開しているシュークリームとシューアイスを中心とした直営店舗の洋菓子のヒロタは、大正13年(1924年)の創業以来、日本全国の消費者に広く知られたブランドであり、消費者の大部分である女性の嗜好を取り入れた商品を提供しております。また、ケーキと焼菓子を中心としたトリアノン洋菓子店は、昭和35年(1960年)に設立し、厳選された安全素材を使い伝統に培われた確かな技術力で、パティシエが伝統の味を守り続けながら新商品の開発も含め商品を提供しております。
当社グループが行うスイーツ事業の属する洋菓子及び和菓子のテイクアウトビジネスにおいては、出店スペースの確保が容易であることや、外食事業に比べ初期投資が極端に少ないことから参入しやすく、小規模な個人運営店舗や大規模にFC展開を行っている店舗、コンビニの商材まで競合しており、出店競争や価格競争が激化すると、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当社グループの事業推進体制について
① 小規模組織における管理体制について
当社は2000年3月に設立され、現在役員9名、従業員8名と小規模組織であり、内部管理体制もこのような規模に応じたものになっております。今後事業拡大に応じて、人員の増強、組織の整備により内部管理体制の一層の充実を図る方針でありますが、当社の事業拡大や人員増加に対して適切かつ十分な対応ができなかった場合には、当社の経営活動に支障が生じる可能性があります。
② 人材の確保及び育成について
当社グループが営む各事業は今後も積極的な事業展開を行う方針であり、会社の成長速度に合った人材の確保が今後の事業展開に影響を与える重要な経営課題となっております。当社グループは今後も事業拡大に伴い、積極的な採用により優秀な人材を確保していく方針であります。
(3) 継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、当連結会計年度まで営業キャッシュ・フローのマイナスを継続しており、営業損失380,359千円、固定資産の減損損失を155,489千円計上したことで、親会社株主に帰属する当期純損失545,124千円を計上しております。その結果、当連結会計年度末の純資産は148,240千円の債務超過になっております。
これらにより、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況を解消するためには、当社グループの中核事業会社である洋菓子のヒロタの既存事業の収益性の改善を図るとともに、新規開発事業の収益拡大並びに事業会社3社の運営体制の強化、収益拡大を実現させることであります。また今後の資金需要に対して機動的かつ安定的な資金調達手段として、銀行借入及び重要な後発事業に記載の通り限度付借入契約を締結し資金確保を行っております。なお、現段階で改善するための対応策は以下のとおりです。
<スイーツ事業>
洋菓子のヒロタが創業100周年を迎え、新規直営3店舗と既存店舗のリニューアルにより創業100周年仕様の店舗環境が整い、販売する商品も100周年限定の新商品を展開いたしました。この期間で企業ブランドの再構築につきましては、色々な場面で取り上げられ一定の評価を得ることが出来ましたが、期待していた売上には至りませんでした。しかしながら、企業ブランド・商品認知度につきましては一定の評価を得ることができたことで、新規開発事業の取組が進んでおります。今後、既存事業の収益改善と新規開発事業の安定的拡大により次年度の黒字化及び債務超過解消を目指してまいります。
(洋菓子のヒロタ)
新規直営3店舗を含めた直営店舗の売上拡大を商品開発力と販売力の強化により図ってまいります。商品につきましては、主力商品の店頭供給とシーズン毎の新商品提案を充実させ、販売体制もお客様に満足いただける接客が可能な人員数とシフトを組んでまいります。ポップアップ店舗も準直営店舗と位置づけ店長制を導入、販売効率の高い店舗に絞って展開してまいります。店頭への商品供給は、直営店舗、ポップアップ店舗も同一に、自社による物流体制を構築し物流費用の低減にも努めてまいります。売上構成比率が高い流通事業は、価格改定が本年5月より実施となり収益改善が図れる見通しであります。商品原価率の低減は適正上代価格への変更と商品消化率を高め物流費用の削減も実行してまいります。また、材料費の高騰や人材不足に対する対策は、海外人材の研修を含めた受け入れと、昼夜の工場稼働など生産体制の効率化により生産原価率の低減に努めてまいります。営業面からは新規開発事業として、ブランド再構築にもつながるフランチャイズ事業を始め買取ビジネスの拡大を計画しております。
(あわ家惣兵衛)
直営店舗の単店舗売上拡大のため新商品の開発、モチベーション対応など、地域に根付く企業として地域貢献も含めた提案を積極的に行っていくとともに、洋菓子のヒロタ創業100周年に向けた商品開発、商品供給により収益拡大を図ってまいります。また、あわ家惣兵衛の得意な商品群を展開出来る独自の催事店舗の開発も積極的に行ってまいります。一方で、恒常的な人材不足や材料費の高騰に対する対策としては、製造部門の機械化を進めるなかで、きめ細かい原価管理体制を構築し品質を高めながら売上原価率の低減に努めてまいります。
(トリアノン洋菓子店)
店舗は、売上向上のための販売体制の強化とシーズンに合わせた商品開発を進め、年間を通して消費者の期待に応えられる品揃えを実現させ、1店舗当たりの集客力とリピート率を高めてまいります。洋菓子のヒロタ創業100周年の商品開発と商品供給に積極的に取組むとともに、OEM取引先に対する供給も更に強化し収益改善を実現させてまいります。また、材料費の高騰や生産部門の人材採用にたいしては、仕入先の再検討や学校訪問による採用活動など進め、付加価値の高い商品づくりと受注生産高を高めることで製造原価の低減を図ってまいります。
以上の対応策の実施により、事業面及び財務面での安定化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいります。
しかしながら、これらの対応策は実施途上にあり、現時点において継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表には反映しておりません。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要な課題の一つとして位置付けておりますが、現在当社は成長過程にあると考えており、設立以降現在に至るまで利益配当を行っておりません。現時点におきましては、内部留保の充実を図り、新規出店や人材育成、管理体制強化のための投資等に充当することで競争力の強化と業容の拡大に努め、企業価値の向上を目指すことが株主に対する利益還元に繋がるものと考えております。将来的には、業績、事業展望、財務状況等を総合的に勘案した上で、配当による利益還元を実現してまいりたいと考えております。
なお、当社の配当回数についての基本的な方針は、中間配当と期末配当の年2回であり、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
また、当社は、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項に定める中間配当をすることができる旨を定款に定めております。