2024年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある主要なリスクは以下のとおりであります。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしてまいります。

また、当社として必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な開示の観点から記載しております。当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

1.事業環境、事業構造面

(1) 市場環境について(発生可能性:低、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、DXソリューション「CIERTO」を中心にサービスを提供しております。当社が属するDAMの世界市場規模は、年々成長を続けており、2028年度には87億800万米ドルにも及ぶとの調査結果があります(出所:Marketsandmarkets Research Private Ltd/DIGITAL ASSET MANAGEMENT MARKET-GLOBAL FORECAST TO 2028)。今後国内においてはデジタルアセットマネジメントの日本市場規模は、2028年に2億6,100万米ドルに達すると推定され、年平均成長率は13.7%で成長すると予測されております。

しかしながら、市場の成長ペースが鈍化した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、市場の拡大が進んだ場合であっても、当社が同様のペースで順調に成長しない可能性があります。

このようなリスクに対して、当社では市場動向を日々注視しながら、適宜当社の経営戦略に織り込み柔軟に対応できる体制構築に努めてまいります。

 

(2) 競合他社の動向について(発生可能性:低、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:大)

当社事業は、あらゆる企業が事業活動を行う上で必要とする販促媒体(Webサイト、ECサイト、SNS、カタログ、映像)におけるコンテンツの制作・管理・配信を支援するDXソリューションとして「CIERTO」を主として提供しております。現時点において、当社事業と同様のサービスを提供する海外ベンダーは存在するものの、日本市場においては、DAMシステムに対するサポート体制が十分に追いついていない状況にあります。また、国内ベンダーの提供するサービスは、オンラインストレージサービスの機能拡張という位置づけであり、DAMが必要とするワークフロー機能などは整備されていない状況であります。そのため、当社が優位性をもってサービス展開が可能であると認識しております。しかしながら、類似するサービスや当社と同様のシステムを提供する国内ベンダーの参入等により競争環境が激化し、当社の優位性が損なわれるような場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 技術革新について(発生可能性:中、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:中)

当社が事業を展開しているDAM市場は技術革新が速く、当社の優位性を維持するためには、技術革新に即座に対応する必要があります。当社では、各種イベントやセミナーへの参加や社内の定期的な技術研修等を通じて、技術革新の動向を把握するとともに、それに対応した新サービスの提供ができるよう努めております。しかしながら、当社が技術革新に対応できないような場合、または、当社が対応できないような技術革新が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) システム障害について(発生可能性:中、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:中)

当社が提供するDXソリューション「CIERTO」は、インターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であると認識しております。そのため、アンチウイルスソフトの導入や信頼性のあるクラウドサーバー、クラウドサービスを使用するなどのセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、予期せぬ自然災害や不正アクセス等による通信ネットワークの切断やネットワーク機器の障害などの理由により、安定的なサービス提供に支障をきたす可能性があります。その場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 特定のサービスへの依存について(発生可能性:中、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の売上高全体のうち、主力サービスである「CIERTO」の売上高は約9割(2024年12月期)を占めております。当社では「CIERTO」を外部環境の変化に左右されず安定的な収益獲得が継続できるよう競争力の維持・強化に努めるとともに、「CIERTO」とAPIで連携するWM、MCPなどの売上拡大を図り、さらにはEC/CMSベンダーとの連携強化を通して「CIERTO」のビジネスを維持継続する予定です。しかしながら、様々な外部要因により「CIERTO」の売上高が著しく減少した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 情報セキュリティ及び個人情報等の漏えいについて(発生可能性:中、発生可能性時期:特定時期なし、影響

度:大)

主力サービスである「CIERTO」では、顧客情報や知的財産情報等を保有しております。当社では、クラウドサービス提供の過程において、クライアントの機密情報やユーザーの個人情報を取り扱う可能性がありますが、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員等の故意等による機密情報や個人情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が発生し、当社がそのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失や不正利用による想定外の費用負担の発生等が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、システム上のセキュリティ対策やアクセス権限管理の徹底に加え、2007年2月に情報セキュリティマネジメントシステム「ISO /IEC 27001(JIS Q 27001)」の認証を取得し、外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入防止等についてシステム的な対策を講じて情報セキュリティ事故の未然防止に努めております。さらに役員を含む全従業員に対しては、適切な研修や情報セキュリティを含むコンプライアンスチェックを継続的に行い、情報管理への意識を高め、内部からの情報漏洩を防いでおります。また、個人情報保護法への対応を推進し、個人情報保護に関する安全管理に努めております。

 

(7) 法的規制について(発生可能性:低、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、事業を展開する上で、電気通信事業法、著作権法、不正アクセス行為の禁止等に関する法律、迷惑メール防止法、不正競争防止法、下請代金支払遅延等防止法等の基本的な事業活動に関わる法的規制を受けております。これらの当社に適用される法的規制が改正・厳格化されることによりサービス提供に制約が生じた場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 知的財産権について(発生可能性:低、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:大)

当社が開発するシステムにかかる知的財産権について、第三者の知的財産権に抵触しないよう細心の注意を払っており、これまで第三者から侵害訴訟を提起されたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないと認識しております。しかしながら、第三者の知的財産権の状況を完全に調査することは極めて困難であり、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償の請求、当該知的財産権の使用に対する対価の支払いまたはサービスの停止等が発生した場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、第三者の知的財産権を侵害しないよう、必要に応じて専門家と連携しながらリスクの軽減を図っております。

 

2.組織、体制面

(1) 人材の確保と育成について(発生可能性:高、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:大)

当社サービス提供の継続、発展、成長のためには、高い専門性を備えた人材(開発者、コンサルティング担当者、サポート技術者等)の採用、育成、維持が重要であると認識しております。当社が必要とする人材の確保が計画どおりに進まずに事業上の制約要因になる場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、今後も事業規模の拡大に応じて、新卒採用に加え、専門技術や知識を有する優秀な人材の中途採用に努めるとともに、教育制度の充実、人事評価制度の見直し、インセンティブの付与、労働環境の整備等、従業員の働きがいを向上させる取り組みを強化していく方針であります。

 

(2) 特定人物への依存について(発生可能性:中、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の代表取締役社長である三村博明は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。三村博明は、当社サービスの営業戦略及び開発に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、遂行に極めて重要な役割を果たしております。当社では、役員・幹部社員の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築等により、経営組織の強化を図り、特定人物に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により三村博明の業務遂行が困難となった場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 内部管理体制について(発生可能性:低、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:低)

当社の継続的な成長には、倫理観を共有し、適切なコーポレート・ガバナンスを整備し、内部管理体制を整えることが重要であると認識しております。しかしながら、当社の事業成長に比べて内部管理体制の構築が間に合わない場合、適切な経営管理が行えず、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.その他

(1)訴訟、係争の可能性について(発生可能性:低、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:大)

当社では、本書提出日現在において訴訟や紛争は生じておりません。しかしながら、今後何らかの事情によって当社に関連する訴訟、紛争が行われる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過または結果によっては、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:大、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:低)

当社は、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権をストック・オプションとして付与しており、今後においても優秀な人材を確保することを目的としてストック・オプションの発行を継続して実施していくことを検討しております。本書提出日現在における付与株式数は66,000株であり、発行済株式総数1,655,000株に対する潜在株式数の割合は、3.99%となります。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が発行され、既存株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

(3) 配当政策について(発生可能性:低、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、株主に対する利益還元については経営の重要課題の一つと位置づけており、安定的に配当を行ってまいりました。今後におきましては、引き続き経営成績、財政状態、事業計画の達成状況等を勘案しながら、株主への利益配当を検討していく方針であります。しかしながら、当社の事業が計画通り推移しないなどの場合、配当を実施できない可能性があります。

 

(4) 調達資金の使途について(発生可能性:低、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:中)

公募増資による調達資金については、優秀な人材確保のための採用費及び増員分の人件費、オフィス拡張に伴い増加する地代家賃、及び広告宣伝費用(展示会出展費用、SEO対策費用及びその他広告宣伝費用)に充当する予定であります。しかしながら、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。

また、市場環境の変化により、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性が発生した場合には、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。

 

(5) 当社株式の流動性について(発生可能性:低、発生可能性時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、本書提出日現在において、東京証券取引所グロース市場における上場維持基準のうち、流通株式時価総額については形式要件に抵触しておりません。しかしながら、下記の各施策が奉功せず、又は株式相場等の要因により、流通株式時価総額が上場時から増加しない、あるいは低下する可能性のほか、流通株式比率が想定よりも増加しない可能性があります。

 

・配当政策の充実

上場直後から配当を実施し、以後も経営成績、財政状態、事業計画達成状況等を見ながら、配当性向や配当金額を充実してまいります。

・開示・IRの充実

当社の顧客へのサービス内容は、法人顧客向けの専門的なDXソリューションであり、直感的な理解は難しいため、当社株式への投資を促進するべく、分かりやすく充実した開示、IRに努めてまいります。

・業績の伸長による株価向上

当社の属するDAMマーケットは成長が予想されており、かつ、国内での競合も少ない状況であります。この環境の下で、上場を活用し、知名度向上のほか、事業提携や優秀な従業員採用を進め、より一層、顧客の支持を得ることにより、売上・利益の伸長を図り、株価の向上に努めてまいります。

・資本政策の検討

事業計画達成状況、業績見通し、当社株価、株式相場等を見ながら、公募増資、売出し等の実施を慎重に検討してまいります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、将来の事業展開や経営基盤の強化に係わる内部留保を確保しつつ、財政状態及び経営成績並びに経営全般を総合的に判断し、利益配当を行っていく方針であります。

内部留保資金につきましては、収益力強化や事業基盤整備のための投資や今後の成長に資する人員の採用等に有効活用していく予定でおります。

剰余金の配当を行う場合には、年1回の剰余金の配当を期末に行うことを基本としており、期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。

上記方針等に基づき、当事業年度に係る剰余金の配当を以下のとおり実施いたしました。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たりの配当額(円)

2025年3月27日

定時株主総会決議

18,354

13.11