2025年6月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 10,297 100.0 515 100.0 5.0

事業内容

3【事業の内容】

 当社は建築金物・家具金物を主体とした内装金物全般の企画・開発・販売を「ATOM」ブランドの下、国内全域のハウスメーカー・住宅設備機器メーカー・建材メーカーならびに建築金物店等を販売先とする、ファブレス(工場を持たない)メーカーとして事業活動を展開しております。

 

 事業の系統図は、次のとおりであります。

 

 

※上記系統図以外に、当社全額出資による子会社(非連結)として、中国に「上海阿童木建材商貿有限公司」、
ベトナムに「ATOM LIVIN TECH VIETNAM COMPANY LIMITED」を設立しています。
当該2社は、海外協力工場の開拓、現地販売ならびに日本国内への商品供給の拡大を目的としております。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

①業績

 当事業年度におけるわが国経済は、政府による積極的な経済対策や日銀の緩和的な金融環境の維持を背景に、雇用・所得環境が改善傾向を示したことに加え、インバウンド需要の増加等によって、景気は緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、物価上昇による実質購買力の抑制が消費の重しとなったことに加え、少子高齢化社会の進展による人手不足の深刻化が危惧されるなど、下振れリスクが残存する状況が継続いたしました。また、世界経済を巡っては、国際社会の分断・対立の深まりによって、各地で地政学リスクが高まるほか、米国における関税政策の影響や中国経済の先行き懸念など、不確定要素が多く、景気の先行きに対する不透明感は、依然として払拭できない状況の下で推移いたしました。

 当社の関連する住宅市場におきましては、住宅ローン減税の拡充や省エネ住宅への補助金制度など、政府による各種住宅取得支援政策が下支えしたものの、建築資材の原材料コストや製造・輸送に係るエネルギーコストの高止まり等を要因とした建設コストの増加が住宅需要を抑制する状況が続き、新設住宅着工戸数は低調な推移を示しました。また、建設業界における慢性的な人工不足に加え、日銀の金融緩和政策の転換に伴う住宅ローン金利上昇の懸念から、住宅取得マインドは低調に推移する中、省エネ基準適合義務化によって、一時的な駆け込み着工の動きがみられたものの、住宅業界を取り巻く環境は依然として先行き不透明感が拭えず、本格的な市場の回復には未だ至らない水準で推移いたしました。

 このような状況の下、今期を初年度とする「第12次中期経営計画(第71期~第73期)」において掲げた「伝統を活かし、変革に挑む」との企業スピリットに従い、創業以来、122年の社歴で培ってきた特長的な事業スタイルを有効に活用できる原動力(人材)を確保するため、全社的な連携体制の強化と環境を整備し、社員一人ひとりが責任と自覚を持って積極的に行動することによって、未来を切り開いていくことのできる“突破力”を備えた発想豊かな人材の育成に尽力したことに加え、市場ニーズに応える「ものづくり」を推進することにより、全方位のお客様にご満足いただける裾野の広い商品とサービスを丁寧に提供し続ける「住空間創造企業」への進化に取り組みました。

 また、住宅産業における企画開発型企業として、当社の主力商品群に成長したソフトクローズ関連商品の拡充はもとより、あまた市場の要望に応えて新技術ならびに新商品の開発に取り組み「内装金物(住まいの金物)の全般」に目を向けた商品開発と営業戦略の推進を心がけ、併せて販売費及び一般管理費の圧縮など調整かつ管理可能な諸施策を講じて、経営環境の変動に左右されにくい社内体制と財務体質の構築を目指し、さらには商品戦略、市場戦略、及び情報システム戦略に一層の前進を果たすべく、鋭意、当面する各々の課題に取り組んで参りました。

 商品戦略につきましては、日々嵩じるお客様のご要望に即応し、より現場主義に徹した柔軟で機動力のある商品開発を目指して、当社独自の機能を内包するソフトクローズ関連商品を拡充したほか、3枚の引戸をスムーズな動きで連動させて開閉できる「シンクロ連動引戸金具 SU-101」を新たに設定、また滑らかな動きで折りたためて操作も簡単な「ダンパー付き折りたたみ棚受け」、さらには、開き戸・引戸どちらにも使用可能で、空気の入れ替えが簡易的に行える「室内用可動ルーバー」等、その他を含め、裾野の広い商品開発を推進してきました。アトムCSタワー(東京・新橋ショールーム)においては、新設したホテルの客室をイメージした空間に、当社商品の使用例や家具商材・その他商品の追加提案を行うなど、市場ニーズに対応した関連商品の拡充と市場への定着を目指した活動に注力しつつ、機能性と利便性の向上を実現して参りました。

 一方、市場戦略につきましては、金物卸売業界の流通ルートの整備に取り組むとともに、2025年4月には東京・アトムCSタワーにて「2025春の新作発表会・東京展」を開催し、併せて、総合カタログ「ATOM-DATA-LINE(2025-2027)」を発刊して、新たな商品展開の周知と販路開拓に努め、続く6月にはベトナム・ホーチミン市で開催されたベトナム最大級の建築系展示会「VIETBUILD2025」に出展するなど、お客様との商談機会の創出に取り組みつつ、新規事業と既存事業とのさらなる相乗効果の創出を図って参りました。また、当社の情報発信基地としての性格を持つアトムCSタワーでは、金物のみならず広くインテリアに関わる商品を常設展示しつつ、「KANAGUつなぐ 地域」伝統工芸支援プロジェクトを推進し、日本各地の伝統工芸や職人と協業して金物との融合を模索するなど、同所開設の本旨に則り、積極的に新分野・異分野の開拓を図っております。

 なお、西日本市場の強化と深刻化する運送コストや、自然災害によるリスク分散など、BCP対策を踏まえた物流拠点の複数化を目的に運用している「広島営業所・C/Dセンター」につきましては、管理運用する商品を徐々に増やしつつ、商品供給面における顧客満足・サービスの維持向上に努めて、所期の目的を果たして参る所存であります。

 

 

 さらに情報システム戦略につきましては、当社の経営管理体制を支える、受発注・会計管理システムを今後の変革にも対応可能なクラウド型システムへ更新して、営業・業務・現業の各部門とも、あまねく同システムを最大限に活用しつつ利便性の向上に努め、常に業務効率ならびに経営効率の一層の向上を図っております。

 加えて、当社の「ものづくり」を広く紹介する目的として、ホームページ内の「atom動画ぎゃらりー」におきましては、機能商品を中心とした商品紹介や設計・施工ガイドなどを動画で配信し、当社の主力商品について単なる商品紹介に留まることなく、職人不足が顕著な建築現場においても施工方法や手順、金物の調整方法等を明解に確認できる利便性を高めた動画コンテンツの整備を進め、また同ホームページ内では、アトムCSタワー内の展示商品の写真や一部商品では動画の閲覧が可能な「ショールームビュー」の充実を図るなど、SNSを積極的に活用した販売支援ツールの拡充に努めて参りました。

 このような経営全般にわたる諸施策を期中における内外況の変化に即応して推進して参りました結果、当期の売上高は10,297百万円(前期比1.3%増)、営業利益は515百万円(前期比54.6%増)、経常利益は561百万円(前期比50.9%増)、当期純利益は390百万円(前期比53.5%増)となりました。

 

②キャッシュ・フロー

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ3,190百万円減少し、当事業年度末では1,924百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、使用した資金は1,154百万円(前年同期は540百万円の増加)となりました。

 主な資金増加要因は、税引前当期純利益560百万円等によるものです。また主な資金減少要因は、仕入債務の減少額1,723百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は1,894百万円(前年同期は289百万円の減少)となりました。

 主な資金増加要因は、定期預金の払戻による収入3,600百万円、有価証券の償還による収入300百万円、投資有価証券の償還による収入300百万円等によるものです。また主な資金減少要因は、定期預金の預入による支出5,100百万円、商品開発の金型など有形固定資産の取得による支出233百万円、情報システムの更新など無形固定資産の取得による支出256百万円、投資有価証券の取得による支出502百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は139百万円(前年同期は139百万円の減少)となりました。

 これは配当金の支払額139百万円によるものです。

 

 

③仕入及び販売の実績

a.仕入実績

 当事業年度の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自 令和6年7月1日

至 令和7年6月30日)

前期比(%)

折戸・引戸金物(千円)

5,499,976

1.0

開戸金物(千円)

620,293

△0.2

引出・収納金物(千円)

608,372

△20.4

取手・引手(千円)

373,513

△2.0

附帯金物(千円)

428,490

2.0

合計(千円)

7,530,646

△1.3

(注) 当社は、単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

 

 

b.販売実績

 当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自 令和6年7月1日

至 令和7年6月30日)

前期比(%)

折戸・引戸金物(千円)

7,659,237

3.0

開戸金物(千円)

812,611

2.7

引出・収納金物(千円)

729,888

△17.0

取手・引手(千円)

487,857

7.1

附帯金物(千円)

607,422

1.5

合計(千円)

10,297,016

1.3

(注)1.当社は、単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

2.最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 当事業年度末の資産総額は、11,608百万円となり、前事業年度末に比べ1,579百万円の減少となりました。主な内容は、現金及び預金が1,409百万円、無形固定資産が255百万円それぞれ増加しましたが、有価証券及び投資有価証券が3,152百万円減少したこと等によるものです。

 負債につきましては、1,177百万円となり、前事業年度末に比べ1,859百万円の減少となりました。主な内容は、電子記録債務が1,857百万円減少したこと等によるものです。

 純資産につきましては、10,430百万円となり、前事業年度末に比べ279百万円の増加となりました。主な内容は、配当金支払で139百万円減少しましたが、当期純利益で390百万円増加したこと等によるものです。

 

b.経営成績の分析

 当社の関連する住宅市場におきましては、省エネ住宅への補助金制度など、政府による各種住宅取得支援政策が下支えしたものの、建築資材の原材料コストや製造・輸送に係るエネルギーコストの高止まり等を要因とした建設コストの増加が住宅需要を抑制する状況が続き、新設住宅着工戸数は低調な推移を示しました。また、建設業界における慢性的な人工不足に加え、日銀の金融緩和政策の転換に伴う住宅ローン金利上昇の懸念から、住宅業界を取り巻く環境は依然として先行き不透明感が拭えず、本格的な市場の回復には未だ至らない水準で推移いたしました。

 こうした市場環境のもと、当社におきましては、住宅産業における企画開発型企業として、当社の主力商品群に成長したソフトクローズ関連商品の拡充はもとより、「内装金物(住まいの金物)の全般」に目を向けた商品開発と営業戦略の推進を心がけて参りました結果、売上高は10,297百万円(前年同期に比べ134百万円の増加)となりました。

 利益面につきましては、高騰した原材料価格を販売価格へ転嫁する活動が徐々に浸透してきたほか、当社の主力商品に関連する設備投資を実現するなど、長期的に原価低減につながる取り組みを進めたことに加え、販売費及び一般管理費の圧縮により、営業利益は515百万円(前年同期に比べ181百万円の増加)、経常利益は561百万円(前年同期に比べ189百万円の増加)、当期純利益は390百万円(前年同期に比べ136百万円の増加)となりました。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では、売上高と営業利益・経常利益を当社の成長を示す経営指標として位置付けております。また、財務基盤強化の観点から自己資本比率を重視しております。各指標は、次のとおりです。

指標

令和6年6月期

令和7年6月期

増減

売上高

10,162,479千円

10,297,016千円

134,536千円増

営業利益

333,501千円

515,476千円

181,975千円増

経常利益

371,930千円

561,274千円

189,344千円増

自己資本比率

77.0%

89.9%

12.9ポイント増

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は、住宅用内装金物事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

 当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、主に設備投資であります。

 運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金で賄っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。