2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    21名(単体) 780名(連結)
  • 平均年齢
    49.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    20.7年(単体)
  • 平均年収
    13,742,197円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

宮地エンジニアリング

488

エム・エム ブリッジ

271

報告セグメント計

759

その他

21

合計

780

    (注)1.従業員数は、就業人員で記載しております。

          2.「その他」の区分は、報告セグメントに帰属しない当社(純粋持株会社)であります。

          3.出向者が出向元の業務を兼務している場合においても、出向先の従業員数として記載しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

21

49.0

20.7

13,742,197

 (注)1.従業員数は、就業人員で記載しております。

2.従業員は、宮地エンジニアリング㈱およびエム・エム ブリッジ㈱からの出向者であり、平均勤続年数は出向元での勤続年数を通算しております。

3.平均年間給与には、賞与および基準外賃金を含んでおります。

(3)労働組合の状況

提出会社においては、労働組合はありません。

また、連結子会社における労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

 提出会社の従業員は、連結子会社である宮地エンジニアリング㈱およびエム・エム ブリッジ㈱からの出向者であるため、本項においては出向元である連結子会社において記載することとし、提出会社としての記載を省略しております。

 

② 連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に占める女性労働者の割合

 (%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)1

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

 

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

 

宮地エンジニアリング株式会社

2.2

25.0

33.3

0.0

63.8

65.8

42.6

 

エム・エム ブリッジ株式会社

0.0

0.0

0.0

52.9

53.9

42.1

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「男性労働者の育児休業取得率」における「-」は、当事業年度に育児休業の対象となる男性労働者がいないことを示しております。

3.正規雇用労働者には対象会社から社外への出向者が含まれており、社外から対象会社への出向者は含まれておりません。

4.対象賃金には賞与および基準外賃金が含まれております。

5.当社および事業子会社には性別を理由とする評価指標は存在しておらず、全社員を共通の基準(努力する業務姿勢と管理職にあってはマネジメント力)で評価する方針を採っており、指標となるべき企業行動憲章や行動規範を定め、女性・外国人・中途採用者を含めた全従業員が十分に活躍できる環境を整えております。

6.男女の賃金の差異は、建設業界共通の課題でもある女性労働者比率の低さに起因する女性管理職比率の低さと、女性の平均年齢の低さに起因するものであり、性別を理由とした評価の結果ではありません。

 

③ 連結

当事業年度

補足説明

管理職に占める

女性労働者の割合(%)(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)1

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

 

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

 

1.5

14.3

16.7

0.0

60.0

61.9

42.6

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.正規雇用労働者には対象会社から社外への出向者が含まれており、社外から対象会社への出向者は含まれておりません。

3.対象賃金には賞与および基準外賃金が含まれております。

4.当社および事業子会社には性別を理由とする評価指標は存在しておらず、全社員を共通の基準(努力する業務姿勢と管理職にあってはマネジメント力)で評価する方針を採っており、指標となるべき企業行動憲章や行動規範を定め、女性・外国人・中途採用者を含めた全従業員が十分に活躍できる環境を整えております。

5.男女の賃金の差異は、建設業界共通の課題でもある女性労働者比率の低さに起因する女性管理職比率の低さと、女性の平均年齢の低さに起因するものであり、性別を理由とした評価の結果ではありません。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 宮地エンジニアリンググループは、「橋梁、建築、沿岸構造物等の社会インフラの建設、維持・補修の事業を通じ、豊かな国土と明るい社会創りに貢献する」との経営理念のもと、グローバルな社会課題解決に向け、事業を通じて取り組み、サステナブルな社会の実現に向けて貢献してまいります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、取締役の過半数以上を占める社外取締役が委員を務める監査等委員会設置会社を採用して、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図るとともに、内部統制システムの実効性を高め、コンプライアンスの推進・徹底とリスクマネジメントの構築・推進に積極的に取り組んでおります。

①コーポレート・ガバナンス

 当社のコーポレート・ガバナンスへの取り組みについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

②株主との建設的な対話に関する方針

 当社は、株主の意見を真摯に受け止め、経営に反映するため、的確かつ迅速な経営情報の開示を行うとともに、株主との建設的な対話を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めております。

 その方針に基づき、IRの担当取締役とIR室を中心として、株主との積極的な対話を心がけております。また、アナリスト・機関投資家向けの決算説明会(2回/年)を開催し、その資料と動画を当社ホームページに掲載しております。なお、会社概要、経営方針、グループ構成、コンプライアンス(企業行動憲章)、IR情報(招集通知、報告書、中間報告書、決算短信、有価証券報告書、その他開示書類等)などの情報につきましては、当社ホームページにおいて即時開示に努めております。

③会社情報の適時開示に係る社内体制

 当社は、投資者に適時適切な会社情報の開示を行うことを基本姿勢として、以下の社内体制により対応しております。

ⅰ)決定事実に関する情報

 決定事実に関する情報は、定例取締役会、必要に応じて開催される臨時取締役会、その他重要な会議において決定した事実に対して、株式会社東京証券取引所の定める適時開示基準または法令に基づき適時開示を行っております。

ⅱ)発生事実に関する情報

 発生事実に関する情報は、発生した事象に係る所管部署が、取締役会等に報告を行います。この情報について、適宜、会計監査人、顧問弁護士等の専門家に助言・指導を受けながら、情報取扱責任者を中心にIR室、総務・人事部、企画・管理部において適時開示の必要性の有無を検討しております。

 適時開示基準に該当する発生事実に関する情報は、原則として取締役会での決議を受けた後、遅滞なく適時開示を行っております。

ⅲ)決算に関する情報

 決算に関する情報は、適宜、会計監査人に助言・指導、監査を受け、取締役会において決定し、適時開示を行っております。

ⅳ)事業子会社に関する情報

 当社は、持株会社としてグループの統括・管理を行っております。

 事業子会社の取締役会等重要な会議での決定事項ならびに外的要因による事象の発生については、情報管理部門からIR室、総務・人事部または企画・管理部に報告が行われ、社内規則に定める基準に則り、当社においても取締役会等で決定、もしくは報告が行われます。

 事業子会社より報告された事業子会社に関する情報は、適宜、会計監査人、顧問弁護士等の専門家に助言・指導を受けながら、情報取扱責任者を中心にIR室、総務・人事部、企画・管理部において適時開示の必要性の有無を検討しております。

 適時開示基準に該当する事業子会社に関する情報は、原則として取締役会での決議を受けた後、遅滞なく適時開示を行っております。

ⅴ)その他の重要な情報

 その他の重要な情報は、適宜、会計監査人、顧問弁護士等の専門家に助言・指導を受けながら、情報管理責任者を中心にIR室、総務・人事部、企画・管理部において適時開示の必要性の有無を検討しています。

 適時開示基準に該当するその他の重要な情報は、原則として取締役会での決議を受けた後、遅滞無く適時開示を行っております。

④取締役会の役割・責務

 当社の取締役会の役割・責務については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

⑤ガバナンス強化

 当社は、2023年度に当社グループの経営活動上の課題として特定したマテリアリティに対する取り組みを強化するため、代表取締役を委員長、取締役を副委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、課題解決に向けた積極的な議論を行い、対策を推進しております。また、取締役会への報告等をより積極的に推進し、マテリアリティへの経営陣の関与をさらに高めるためのガバナンス強化を進めております。(下記体制図参照)

 

 

(2)戦略

 宮地エンジニアリンググループは、企業としての社会的責任を認識した上で、サステナブルな社会に必要な課題の解決に向けて、企業として適切な取り組みを行うことをコンプライアンス・リスク管理基本規程に定め、その具体的な行動指針として、企業行動憲章と行動規範を定めており、SDGsの達成に向けて積極的な取り組みを行っております。

①コンプライアンスの推進

 当社および各事業子会社は、社内で就業するすべての人々の法的および社会的安全と価値を守るとともに、社会的責任を追及する企業統治の確立を図るため、別に定める企業行動憲章および行動規範に従い、次に掲げる基本方針でコンプライアンスに取り組んでおります。

ⅰ)基本的な考え方

1)コンプライアンスに照らして問題ある活動に関与しない。

2)違反、逸脱、過失等は素直に認め、速やかに是正措置と再発防止措置を講じる。

3)組織における役割、責任、権限ならびに情報の伝達経路を明らかにする。

4)すべての役員および社員等に対して十分な教育と厳格な評価を継続して行う。

5)管理方針と企業行動憲章および行動規範に基づき、宮地エンジニアリンググループ各社は毎年度、適切な自己監査を行う。

6)企業としての社会的責任を認識した上で、サステナブルな社会に必要な課題の解決に向けて、企業として適切な取り組みを行う。

7)経営の優先課題としてコンプライアンス推進活動に取り組む。

 

ⅱ)コンプライアンスの推進体制について

 当社は、コンプライアンスの推進・徹底を図るための組織として、取締役会の下に「コンプライアンス・リスク管理委員会」を設置する。

ⅲ)コンプライアンスの定義について

 コンプライアンスとは、組織の業務や組織が扱う財・サービス、組織が生み出す価値(以下、「企業価値」という。)、組織としての社会的責任(以下、「社会的責任」という。)および組織に対する社会的評価(以下、「社会的評価」という。)に関連する法令等(各種法令の他、通達・告示・ガイドライン・要綱等や、当社が定める定款、社内規程類、その他社会一般の求められるルール等を含む。詳細については「ⅳ)対象とする法令等の範囲について」に記載のとおり。)への抵触リスクを対象とし、かつ損失の未然防止を図る組織内活動をいう。

ⅳ)対象とする法令等の範囲について

 当社におけるコンプライアンスが対象とする法令等の具体的な範囲は下記のとおりとする。

1)国が定める各種法令

2)各種行政機関が定める通達・告示・ガイドライン・要綱等

3)当社または事業子会社が所属する組織が定める各種規程等

4)当社が定める定款、経営理念、企業行動憲章、行動規範およびその他各種社内規程

5)社会一般のルール

6)社会通念上の各種規範および倫理観

7)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)

ⅴ)反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方およびその整備状況

1)基本的な考え方

 当社は、グループ企業行動憲章および行動規範において、反社会的勢力とは一切関係を持たないことを明確に定めており、社員に周知徹底しております。

2)整備状況

 総務・人事部が担当となり、定期的に外部専門機関他との情報交換会に出席するなど、情報収集に努めており、被害防止に役立てております。また、不当な要求を受けるなどの事案が発生した場合には、外部専門機関・顧問弁護士と連携して対応する体制を構築しております。

②人材への取り組み

ⅰ)基本的な考え方

 他業界同様、建設業界でも少子高齢化と生産年齢人口の減少に伴う人材不足という課題を抱える中、持続的成長を続けるためには、イノベーションを生み出すような職場環境の整備とともに、人材の確保と育成は重要な課題です。宮地エンジニアリンググループは、新たな価値を創造できる人材の育成と、そのために必要な人材確保へ向けた計画的な取り組みを行い、技術、技能、知識ならびに大切な企業文化の伝承および更なる向上に努めるとともに、グループとしてのサステナブルな成長を目指します。

ⅱ)ダイバーシティの推進

 宮地エンジニアリンググループは、企業の持続的な発展のためには多様な背景を持つ人材が活躍することが必須であると認識しております。宮地エンジニアリンググループではかねてよりコーポレートガバナンス・コードに示された属性の登用などに係る測定可能な目標設定の努力とともに、事業環境の変化などを捉えて弾力的な運用を行うことができるように、過度な成果主義を改め、全社員を共通の基準(努力する業務姿勢と管理職にあってはマネジメント力)で評価する方針を採っており、指標となるべき企業行動憲章や行動規範を定め、女性・外国人・中途採用者を含めた全従業員が十分に活躍できる環境を整えております。中でも、「女性活躍・外国人活躍」は建設業界として積極的に進めなければならない課題であり、女性については、事務系のみならず技術系、技能系とともに積極的に採用して戦力化を進め、外国人についても、異文化の感性を社内に持ち込むことは会社の活性化、意識改革のためのメリットが大きいと考え、積極的に採用を進めております。

ⅲ)イノベーションを生み出す職場環境の整備

 制度面も含めた職場環境の整備は、従業員エンゲージメントを高める上で重要な課題の一つです。宮地エンジニアリンググループでは、性別を問わずすべての従業員が仕事と家庭でより充実した生活を過ごすことができるように、さまざまな制度を設けるとともに、快適な職場環境の整備にも努めております。その具体的な内容の一部につきましては、次のとおりであります。

1)働き方改革による残業時間の抑制

 従業員のメンタルおよびフィジカル面双方での健康管理のため、グループ各社では水曜日をノー残業デーに定めるとともに、DXを活用した業務効率化等による残業時間の削減等を進め、従業員が仕事と家庭の両立に取り組むことができる環境の整備に努めております。

 

2)育児休業制度の整備

 グループ各社では、性別を問わず、子供が3歳未満の間に認められる育児休業制度や、中学生未満の間は1日4時間の短時間勤務を可能とする育児勤務制度等を定め、次世代育成および仕事と家庭の両立を積極的に支援しております。

3)介護に伴う制度の整備

 グループ各社では、従業員に近親者の介護をする必要性が生じた場合に備え、一定期間の休暇を取得できる介護休業制度や、再雇用を前提とする退職制度、1日4時間の短時間勤務を可能とする介護勤務制度などを定め、個々の状況に応じたさまざまな支援制度を充実させております。

4)職場環境の改善

 グループ各社は、従業員の増加に伴う作業スペースの拡張や引っ越し等による拡大などを適宜行うとともに適切な設備更新等を行い、快適な職場環境の維持と向上に努めております。

ⅳ)計画的な人材確保への取り組み

 新卒ならびにキャリア採用ともに、必要とする人材のターゲットを多面的な要素から絞った採用活動を毎年計画的に進めると同時に、従業員満足度の向上により近年社会的な課題となっている若手従業員の定着率向上を図り、グループとしてこれからのサステナブルな成長に必要不可欠な人材の確保に努めております。具体的には、一般職や技能職から総合職への転換等、多様な働き方のメニューを取り揃えることにより、優秀な人材を登用する門戸を広げるとともに、若手従業員の仕事と能力のミスマッチによる離職を防ぐ取り組みを行っております。また、将来人材育成の一環として、大学院生への奨学金制度などの整備にも取り組んでおります。

ⅴ)技術・技能および企業文化伝承への取り組み

 技術・技能および企業文化の次世代への伝承は、多くの貴重な経験と知見を有する従業員の高齢化が進む建設業界の重要な課題の一つであり、グループ各社も新入社員教育や中堅社員研修等の教育カリキュラムの設定や、各種資格取得の支援、現場OJTによるベテラン従業員の指導等により、それらの伝承および維持向上に取り組んでおります。その具体的な内容の一部につきましては、次のとおりであります。

1)公的資格取得奨励制度

 グループ各社では、一級土木施工管理技士や技術士等の資格取得を奨励するため、受験料の他に資格取得のための受講料を援助するとともに、合格者に対しては奨励金等の支給も行っております。

2)具体的な職能基準の設定

 グループ各社では、部門ごとに職能に応じた具体的に習得するべき技能や技術等の内容を定め、個人ごとにそれに基づくOJTを主体とした教育・指導方針を定めた上で人材育成に取り組んでおります。

3)博士号取得奨励制度

 グループには、博士号取得のための大学院への留学制度や、支援制度等があります。

ⅵ)グループの将来を担う人材育成への取り組み

 会社としてのマネジメント能力の強化は、サステナブルな成長のために重要な課題の一つです。グループでは経営幹部の共通した評価基準を定め、レポート提出により重要課題への施策や取り組み状況などを確認し、フォローしております。また、グループ各社では、個人の能力を適切に評価し、その能力に見合った立場を与える制度を充実させるとともに、一定以上の立場の管理職に対して複数年にわたる外部マネジメント研修を受講させる等の対応により、俯瞰的な視野を持ち、リーダーシップを発揮する優秀な人材を育成する取り組みを行っております。

③環境への取り組み

ⅰ)基本的な考え方

 宮地エンジニアリンググループは、企業行動憲章および行動規範において「環境の保全」を行動基準として定め、環境に配慮した事業活動を推進するとともに、気候関連財務情報の開示を推進します。

ⅱ)環境に配慮した取り組みについて

 宮地エンジニアリンググループは、工場・工事現場で発生する廃棄物の抑制等に取り組みます。特に建設副産物についてはリサイクルや適正処理に十分配慮した事業活動を行います。また、事業活動の全過程において、環境負荷の低減を目指し、省資源・省エネルギー化を推進し、地球環境の保全や温暖化防止のために努力します。

 また、社会インフラづくりに資する新設橋梁事業はもとより、インフラの老朽化に対する橋梁の保全・維持補修事業そのものが「環境配慮型社会の実現」に資するものと捉え、積極的な事業展開を図っております。

 

ⅲ)環境負荷低減への取り組み

1)太陽光発電について

 宮地エンジニアリンググループは、気候変動対策の一環として、松本工場跡地を利用して太陽光発電所を稼働させております。設置している太陽光パネルは7,980枚、発電量は一般家庭550世帯分の消費電力に相当する2,611,000kWh/年であり、年間469,858kgのCO2削減効果があります。今後も工場や機材センター等の建屋上への設置についても検討を進め、更なるCO2削減に努めてまいります。

2)浮体式ペロブスカイと太陽電池の共同実証実験について

 当社グループの事業子会社であるエム・エム ブリッジ株式会社は、積水化学工業株式会社と恒栄電設株式会社と共に、閉校となった旧清至中学校跡地の学校プールを活用し、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を水上に設置する共同実証実験を実施しております。ペロブスカイト太陽電池の軽量性を活かした浮体構成や施工性の検証を目的として、2024年4月3日から1年間実証を行います。なお、この実験は4月3日現在、国内で最大規模のものです。当社グループは、今後も脱炭素社会への貢献を目指します。

ⅳ)省資源・省エネルギー化推進への取り組み

1)工場における具体的な活動について

 すでに多くの省資源・省エネルギー化活動に取り組んできた工場においては、環境負荷を大幅に低減できる施策はなかなかないため、設備更新等に合わせて少しずつ対策を積み上げていくことが重要となります。電力使用量を従来機種よりも10%以上低減できるデジタル溶接機の導入を進めたり、照明を順次LEDに取り替える等して電力の使用効率を上げるとともに、各種設備の稼働効率を上げる等の工夫により、対策導入前より15%以上もの電力使用量を削減することができました。

2)機材センターにおける具体的な活動について

 機材センターの環境負荷を低減するため、太陽光発電の導入や電動フォークリフト導入等の検討を進めております。最新の広島機材センターは、オール電化事業所として2020年より稼働しております。また、2022年度より更新工事を始めた栗橋機材センターにおいては、太陽光発電の導入を予定しております。さらには、電動フォークリフトの導入や有機溶剤の使用量削減を目標とした機材のメッキ処理推進等を順次進めており、周辺環境、職場環境の改善にも取り組んでおります。

ⅴ)地球環境保全への取り組み

1)サンゴの保全活動について

 流電陽極法によって電気防食している浮桟橋で、電場が0~100mA/㎡の範囲において比較的強い場所を選ぶようにサンゴが生育していることを発見し、石垣港の沖合に電場条件の異なるサンゴ生育棚を4基設置し、無性生殖のサンゴ片を各棚に60個取り付け、成長促進効果について10年以上にわたって観察を行いました。その結果、微弱な電場はサンゴの成長を明らかに促進し、さらには微弱電流によって温度耐性が向上することが示唆されました。これらの知見を活用して、これからもサンゴの保全活動に取り組んでまいります。

ⅵ)気候関連財務情報の開示について

1)気候変動に対する宮地エンジニアリンググループとしての取組方針

ⅰ)当社グループは気候変動を重要な経営課題の一つとして認識し、2023年度より当社グループの事業活動に伴うGHG(CO2換算)排出量の開示を開始しております。当社グループは開示の質・量の高度化を進めており、2023年度に開示したScope1,2(2021年度実績)に加え、2024年度からは直接・間接排出以外のScope3 (2022年度実績)の開示も行います。

ⅱ)組織的対応としては、2022年度に実施したコンプライアンス・リスク管理基本規程の改定に加え、2023年度には環境対策を含むマテリアリティの設定をおこなうとともに、代表取締役を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、気候変動問題に対する取締役会レベルでの関与をさらに強化しました。また、当社グループに対する環境影響を測るシナリオ分析、リスク・機会分析も開始します。

ⅲ)今後も、当社グループはサステナビリティ推進委員会における活発な議論を通じ、取締役会レベルでもカーボンニュートラル方針の深化・強化を進めることで、ガバナンスを強化して全社一丸となり、気候変動課題への取り組みをより一層進めます。

2)開示項目: グループの事業活動に伴う自社のGHG(CO2換算)排出量を公表 (2022年度分)

Scope 1:  770.22 トン(前年比増加+34%)※昨年度Scope3と想定していた項目を見直したために増加

Scope 2: 2,329.81 トン(前年比減少△6%)

Scope 3:184,290.50 トン(本年度より開示)

 

 

 

 

3)排出削減目標

 直接排出(Scope1)および間接排出(Scope2)につきましては、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2024年度より計画的に検討を進めてまいります。

4)気候変動に関するシナリオ分析に基づくリスク・機会への考察

ⅰ)2024年度より、当社グループに影響を与える気候変動関連のシナリオ分析を行い、環境影響から生じるリスク・機会の考察を開始します。想定されるシナリオとしては、国連気候変動政府間パネル(IPCC)の設定する1.5℃シナリオ(温度上昇を積極的に抑制)と4.0℃シナリオ(現状の延長線)を採択しております。

ⅱ)当社グループ全体としてリスクサイドのみならず、機会サイドについても将来の事業の進展に資するものと捉え、今後も積極的に分析の高度化を図ってまいります。

5)グループ全体のガバナンス強化

ⅰ)2022年度のコンプライアンス・リスク管理基本規程の改正に加え、2023年度は取締役会にて気候変動対策を含んだマテリアリィの策定・設定を行いました。

ⅱ)当社代表取締役を委員長、取締役を副委員長とするサステナビリティ推進委員会の下に、気候変動対策・カーボンニュートラル検討分科会を設置し、気候変動対策に関する積極的な議論を行い、2050年のカーボンニュートラルに向けた対策を推進します。

ⅲ)取締役会への気候変動課題の報告等をより積極的に推進し、同時に経営陣の関与をさらに高めるためのガバナンス強化を進めております。

6)シナリオ分析に基づくリスク・機会の考察

ⅰ)1.5℃シナリオ(積極的に緩和措置に対応)でのリスク

 当社グループにおいての1.5℃シナリオ下のリスクは、主に以下の4点と想定される。

◇政策・法規制:環境対応規制強化によるコスト上昇、政府の方針変更による工事発注量減少、炭素税導入によるコスト上昇

◇技術・製品:環境対応製品等の供給逼迫とコスト上昇、同製品等への転用時の強度・安全性への懸念

◇市場:スペックの高度化・環境対応への負荷上昇、技術者・人員の不足。同業他社との競争熾烈化

◇レピュテーション・企業価値:環境対応遅延による株価低迷、入札機会の減少、採用活動への影響

 

リスク・機会

サプライ

チェーン

影響度

(短期)

影響度

(中期)

影響度(長期)

説明

移行リスク

現行の規制

調達

カーボンプライシング制度の導入が進み、CO2排出権の価格が高騰すると予測されるため、温室効果ガスの排出量が多い産業にとってはコスト増の要因となると想定されている。また、低炭素製品や技術への投資失敗等の長期的な技術リスクがある。

売上

新たな規制

調達

売上

法規則

調達

訴訟エクスポージャーなどのリスクがあるが、当社グループの主要な調達先や顧客への大きな影響は予想されない。

売上

技術リスク

調達

低炭素製品や技術へのシフトが進むことによるコストの上昇や、安全性への対応が懸念される。

売上

市場リスク

調達

環境対応による原価の変動により一時的なリスクが考えられるが、インフラ事業は中長期的には安定すると考えられる

売上

評判リスク

調達

環境対策が不十分であることにより調達先や取引先からの評判リスクが断続的に考えられる。

売上

 

ⅱ)1.5℃シナリオ(積極的に緩和措置に対応)での機会

 同時に、積極的な緩和措置に対応することで、当社グループへの機会も以下のとおり想定される。

◇政策・法規制:電力のカーボンニュートラル化を先行的に進めることで、炭素税導入コストの軽減に資することが可能となり、コスト軽減に繋がる

◇技術・製品:環境対応部材への適応を積極的に進めることで、低排出型製品・サービスを提供することが可能

◇市場:発注仕様・要件の高度化・環境対応への高度化・スピード化により、マーケットシェア向上に資する

◇レピュテーション・企業価値:環境対応優良企業としての高評価を獲得

リスク・機会

サプライ

チェーン

影響度

(短期)

影響度

(中期)

影響度(長期)

説明

機会

市場

調達

低排出技術の導入等を積極的に進めることによる炭素税導入コストの軽減。入札条件に低炭素が加わった場合の発注依頼増加。

売上

レジリエンス

調達

省エネ対策などの実施や再エネ化により機会が生まれる。

売上

資源の効率性

調達

効率的な輸送手段や生産プロセスによる機会の創出。

売上

エネルギー源

調達

低排出エネルギー源を使用する建設の需要が高まり、新規受注につながる。

売上

製品・サービス

調達

新技術の開発・導入等により低排出のサービスを提供することで将来的に機会が見込まれる。

売上

ⅲ)4.0℃シナリオ(現状の延長線上で推移)下のリスク・機会

 4.0℃シナリオ下に想定される物理的リスクは、突発的に発生する急性リスクと恒常的な慢性リスクに大別される。

<急性リスク>

◇台風・豪雨・洪水の発生 ⇒ 土砂崩れ等による橋梁等の破損、橋梁架設・保全工事等対応時の事故リスク増加、保有機材の損壊

◇急激な天候変化 ⇒ 作業の安全性低下、機材の劣化・耐久性の低下

◇急性リスク由来の金属・非金属加工品の調達コスト上昇

<慢性リスク>

◇気温・湿度の上昇 ⇒ 野外労働環境の悪化・従業員の健康被害、塗料劣化・鋼材腐食による構造的劣化の危険、特に夏場の作業効率の低下

◇海面上昇 ⇒ 海上作業の危険性アップ、沿岸地区工場への悪影響

◇雨季の雨量増加 ⇒ 排水設備の強化・コスト増、工事中断リスクの顕在化

◇異常気象多発化による、電力供給の不安定化

リスク・機会

サプライ

チェーン

影響度

(短期)

影響度

(中期)

影響度(長期)

説明

物理的リスク

急性リスク

調達

洪水、干ばつ、雪崩、熱波、山火事などあらゆる自然災害が予想される。主要調達のうち、金属加工や非金属加工は長期的になるほど影響を受け、調達コストが上昇する可能性がある。しかし、自然災害による橋の再建など、リスクのみでは無く機会も生まれると考えられる。

売上

慢性リスク

調達

温度変化(空気・淡水・海水)、降水や風のパターン変化、海面上昇など自然の慢性的な変化を予想している。

建設業界においては夏場の作業効率の低下や雪や強風により工事がストップしたりなど、決して少なくはないリスクが考えられる。

売上

 

 4.0℃シナリオ下で予見される物理的リスクに対しては、当社グループとして以下のような対応(機会)を想定する。

<急性リスク>

◇台風・豪雨・洪水の発生 ⇒ 架け替えや新規架設のニーズ、耐風・耐水性機材の開発

◇急激な天候変化 ⇒ 安全性の高い設計・施工技術等の開発

◇災害発生由来の土木再建ニーズの増加

<慢性リスク>

◇気温・湿度の上昇 ⇒ 安全性の高い設計・施工技術等の開発、高耐久性素材や塗料等の導入検討、快適労働環境の整備(衣類等)

◇海面上昇 ⇒ 浮体式構造物の開発・導入、千葉工場の強靭化・改修

◇雨季の雨量増加 ⇒ 排水設備の強化・充実

◇気候変動多発化による、電力供給の不安定化 ⇒ 自家発電・バックアップ電源の整備

 

(3)リスクマネジメントへの取り組み

①基本的な考え方

 当社およびその事業子会社は、自然災害、事故などの人為的災害、および経営上のさまざまなリスクに的確に対処し、経営理念および経営目標の達成を阻害するすべての要因を可能な限り防止または予防し、排除することにより、社会的責任を果たすため、次に掲げる基本方針でリスク管理に取り組んでおります。

ⅰ)リスク管理の実践を通じ、事業の継続・安定的発展とともに企業価値および社会的評価の維持・向上を図る。

ⅱ)製品・サービスの品質と安全性の確保を最優先に、企業価値および社会的評価毀損要因の除去・軽減に努めるとともに、顧客、取引先、株主・投資家、地域社会等の各利害関係者、ならびに役員および社員等の社会的評価および経済的利益阻害要因の除去・軽減に努める。

ⅲ)社会全般において幅広く使用されている製品・サービスを安定的に供給することを社会的使命として行動する。

ⅳ)すべての役員および社員等は、コンプライアンスの精神に則り、各種法令、規則等を遵守し、それぞれが自律的に、何が正しい行為かを考え、その判断に基づき行動する。

②リスクマネジメントの推進体制について

 当社は、リスクマネジメントの構築・推進を図るための組織として、取締役会の下に「コンプライアンス・リスク管理委員会」を設置しております。

③リスクマネジメントの定義について

ⅰ)リスクとは、グループ各社の企業価値、将来生み出す社会的評価および収益に対して影響を与えると考えられる事象の発生の不確実性をいう。

ⅱ)リスク管理とは、リスクに関して、組織を指揮し管理する、調整された活動をいう。グループ各社にとって危険なこと・好ましくない結果をいかに低減するかを目指すものであって、利益を極大化するためのものではない。

ⅲ)リスク管理システムとは、リスクに関する戦略的な計画策定、意思決定および他の過程などリスク管理に関する組織のマネジメントシステムの諸要素をいう。

ⅳ)危機とは、人の身体に悪影響を及ぼすような事態、企業価値に悪影響を及ぼすような事態、社会的評価を著しく低下させるような事態または財物を損壊または使用不能とするような事態により、グループ各社の経営または事業活動に重大な影響を与える、または与える可能性があるものをいう。

ⅴ)危機管理とは、危機に直面し、緊急時に至った場合に備えた事前取り組み、実際の緊急時対応に関するマネジメントをいう。

④リスクマネジメントの対象とするリスクについて

 リスクマネジメントの取り組みにおいて対象とするリスクの類型は、下記のとおりとする。

ⅰ)工事現場における社会的影響の大きな事故

ⅱ)社会的影響の大きな品質不適合問題

ⅲ)国が定める各種法令や行政機関が定める通達・告示・ガイドライン・要綱等に対する違反行為

ⅳ)グループ各社が所属する組織が定める各種規程等に対する違反行為

ⅴ)上記以外の社会的な信頼および評価を著しく低下させるような行動および事象

ⅵ)社会一般のルール、社会通念上の各種規範および倫理観に著しく抵触するような行為

ⅶ)地震や台風等による大規模な自然災害

ⅷ)気候変動リスク

ⅸ)上記いずれにも属さない当社に大きな悪影響を及ぼす事象

 

(4)指標および目標

 当社は、2022年度にグループの持続的成長のための経営活動上の課題であるマテリアリティを特定し、サステナビリティ推進委員会主導のもと、現在は指標を含めた目標とKPIの設定作業を行っており、ホームページや統合報告書2024などにより9月頃に公表する予定としております。

 なお、人的資本に関する「管理職に占める女性労働者の割合」、「男性労働者の育児休業取得率」、「労働者の男女の賃金の差異」の実績につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。