2023年9月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクのすべてを網羅するものではありません。

 

(1) 市場環境の変化について

当社グループの事業のうち、不動産売上高と仲介事業収益(売買)については、景気、金利、地価、税制及び政策等によって、投資用物件、土地、中古住宅に対する顧客の売却・購入意欲が大きく左右されます。

当社グループにおいては、需要の高い不動産をタイムリーに提供出来るようにするために、これらの外部動向について市場分析を行い、あわせて地域の特性と需要に応じた不動産のタイムリーな仕入れ、魅力ある商品作りを行っております。しかしながら、今後の景気の悪化、所得の低下、金利の上昇、地価の上昇、税制及び政策の変更、不動産投資に対する金融機関の融資姿勢の変化があった場合は、顧客の売却・購入意欲の減退につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合について

  当社グループが茨城県内を中心に展開している不動産流通事業及び不動産管理事業は、免許業種であるものの、事業運営に必要な設備が少なく参入障壁が低いため、競合他社による新規参入やエリア拡大などにより、競争が激化する可能性があります。当社は水戸・ひたちなかエリアにおいてドミナント戦略を展開し、不動産情報の収集力強化に努めるとともに、その他のエリアへの展開を図っておりますが、競合状況によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 不動産販売
 不動産販売事業においては、戸建用地、中古建物の仕入れや販売に関し、資金力に加え、不動産情報の収集力が鍵となります。これに対して当社グループは、仲介の事業プロセスにおいて不動産情報(売却、購入の顧客情報)を収集し、投資用物件についても、来店顧客から地域のニーズをしっかりと聞き取って、時代にあった商品作りに努めておりますが、競合他社が当社グループと同様の戦略で事業を展開してきた場合等は、当社グループの差別化要因が薄れ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 仲介事業
 仲介事業においては、商圏の賃貸管理戸数(売買においては売買物件数)と集客数が、売上数値の構成の鍵となります。これに対して当社グループは、茨城県内の水戸・ひたちなかエリアにおいてドミナント戦略を展開し、顧客、物件数の囲い込みを行っております。しかし、その他のエリアにおいては未だ成長段階にあり、それらエリアへの拡大が進展せず、また、水戸・ひたちなかエリアへの競合他社の多店舗展開における参入等により、顧客、物件の確保ができなくなる等の状況が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 不動産管理事業
 不動産管理事業においては、商圏内で一定規模の賃貸管理戸数を確保することに加え、リーシング力、集客数、賃貸不動産における資産価値維持向上のための提案力が鍵となります。当社グループは、ドミナント戦略を展開している水戸・ひたちなかエリアにおいて、顧客、物件数の囲い込みを実現して競争力の強化を図っておりますが、強力な提案力等を背景に多数の賃貸管理戸数を獲得する競合他社が出現した場合、競合他社へ当社の管理が移行し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3) 需要減少リスク

わが国の人口は今後減少が見込まれております。世帯数についても、現時点では単身者世帯の増加により世帯数は増加しているものの、今後は減少していく見込みです。その結果、入居者獲得競争が激化し、家賃相場が全体的に下落した場合、当社グループの不動産管理事業については、賃貸事業収益及び管理手数料の減少が想定されます。また、不動産流通事業においては、家賃相場の下落による仲介事業収益(賃貸)の減少、人口の比例に伴う不動産購買層の減少による不動産売上高、仲介事業収益(販売)の減少の可能性が考えられます。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 自然災害等について

当社グループの各事業においては、台風や地震等の自然災害等により中古住宅の購入に対する顧客の購入意欲が減退する可能性、あるいは引き渡し前の不動産商品が破損または倒壊する恐れがあります。

当社は、茨城県水戸市を中心に業を行っておりますが、先の東日本大震災のように、今後当社の営業地域において不測の自然災害が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルスの影響について、当社グループへの影響は軽微であったものと認識しております。しかし、新たな変異株の出現により再度、感染が拡大するような事態となった場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 販売用不動産の仕入れ及び工事原価について

当社グループの不動産売上高の商品構成は、土地・中古住宅が中心であり、自社企画投資用不動産の割合は小さいものの、この不動産売上高に係る商品企画においては、投資家ニーズに合わせた商品作りが重要となり、主として賃貸用不動産の商品作りを継続事業としてまいりました。今後も、管理戸数の拡大に寄与する鉄筋コンクリート造の物件及び、小型の木造賃貸住宅を商品化したいところではありますが、先の東日本大震災でもあったように自然災害、競争激化や経済環境の変化に伴う建築費高騰における、仕入価格、建材価格の上昇等があった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 在庫リスクについて

当社グループは、自社商業エリアにおいて需要予測、近隣地域環境、お客様のニーズ等を慎重に分析調査を行ったうえで、物件の仕入れ、リフォーム、販売を行っております。しかし、不動産市況の悪化等によって物件の販売が滞った場合、物件保有期間の長期化に繋がる可能性があります。当社のビジネスモデルとして、長期在庫となった場合は販売価格等を見直しての売却処分や、棚卸資産の評価損処理が必要となる場合があるほか、滞留在庫の増加により有利子負債が増加する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 契約不適合責任について

当社グループの自社不動産販売事業においては、宅地建物取引業法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に基づき、中古住宅については引き渡し後2年間、新築住宅については引き渡し後10年間の契約不適合責任を負っております。

当社グループにおいては、仕入れ時に入念な現況調査を行い、基礎部分で致命的な欠陥がある等、再生に適さないと判断した場合には買取の対象から除外する、あるいは建屋を解体して平地にすることにより、当社の提供する中古住宅の品質を一定に維持しております。

しかしながら、引き渡し後の不動産に何らかの契約不適合があった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 収益の季節変動性リスク

当社グループの賃貸仲介事業及び管理事業収益(賃貸不動産の管理業務等)の売上高は、日本の慣習である2月から4月にかけての入学、入社や人事異動の転居に伴い集中する傾向があります。また、不動産売上高においては、商品の売却の時期、売却額により四半期の売上高に大きな影響を与えることがあります。これらにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、第42期連結会計年度における四半期ごとの売上高、経常利益は以下の通りであります。

 

 

第42期連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日

 

第1四半期
2022年10月
2022年12月

第2四半期
2023年1月
2023年3月

第3四半期
2023年4月
2023年6月

第4四半期
2023年7月
2023年9月

通期

売上高(千円)

2,687,673

2,213,566

2,643,386

1,780,289

9,324,915

売上構成比(%)

28.82

23.74

28.35

19.09

100.0

経常利益(千円)

200,919

285,016

296,610

71,583

854,128

 

 

(9) 有利子負債への依存と金利変動の影響について

当社グループの財務状況として、不動産商品の仕入れや太陽光売電設備等の設備投資により有利子負債比率が高くなる傾向にあります。そのため、当社グループでは棚卸資産の回転期間を重要な経営指標としており、原則として6ヶ月間(大型分譲開発行為を伴うものについては1年間)での販売計画を実施し、適正な在庫水準を維持することに重点を置いて、財務の安定を図っております。しかし、新たな投資用不動産の開発資金の借り入れを行う場合、金融機関の融資姿勢や金利の動向により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

 (10) 固定資産の減損について

当社グループは、賃貸事業として賃貸用不動産を所有するほか、コインパーキングを営んでおります。また、太陽光売電事業として太陽光発電設備等を所有しております。これらの資産及び展開する営業店舗について、収益性の低下、地価の下落等の影響により固定資産の減損損失を計上することとなった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (11) 人材の確保及び育成について

当社グループが行う不動産業には、専門的かつ高度な知識や資格を有した人材が不可欠であります。また、新しい地域に事業拠点を拡大していくためには営業人員等の増強が不可欠であります。さらに管理部門においても、法令遵守や財務報告の適正性と正確性を確保するために有能な人材を配置する必要があります。今後、人材の育成に努めるとともに良質な人材の確保を急ぐ予定でありますが、これらが不調に終わった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

 (12) 特定人物への依存について

当社代表取締役会長である薄井 宗明は、当社創業者であり、当事業年度の末日(2023年9月30日)において筆頭株主として発行済株式総数2,711,800株に対し960,000株(持株比率35.40%)を所有し、代表取締役として経営方針や経営戦略の決定等、当社の事業活動上の重要な役割を果たしております。当社においては、同人に対して過度に依存しないよう、合議制や権限委譲を推進することにより意思決定の合理化を図っております。しかしながら、現時点において、同人が何らかの理由により経営者として業務を遂行できなくなった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 (13) 法的規制について

当社グループは、宅地建物取引業の免許、賃貸住宅管理業の登録、建設業の許可及び、建築士法に基づく登録等を行って不動産販売や建築請負の事業を展開しておりますが、これらの事業は宅地建物取引業法、都市計画法、建築基準法その他、多くの法令や自治体の定める条例等による法規制を受けております。そのため当社グループでは法令遵守を徹底し、免許等の取消事由や更新欠格事由が発生しないように努めており、継続に支障を来たす要因は発生しておりませんが、将来当社グループの免許等が何らかの理由により取消し等になった場合には、当社グループの事業活動が大幅に制約されることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。なお、当社グループの主要な業務である宅地建物取引業及び、賃貸住宅管理業について、その有効期限やその他の期限が法令、契約書により定められているものは下表のとおりです。

 

(許認可の状況)

許認可等の名称

許認可(登録)番号

有効期限

許認可等の取消または更新拒否の事由

宅地建物取引業者免許

国土交通大臣(4)第7026号

2025年3月31日

宅地建物取引業法第66条

賃貸住宅管理業者登録

国土交通大臣(2)第002086号

2026年10月19日

賃貸住宅管理業法第23条

 

 

 (14) 個人情報の保護について

当社グループは、土地・住宅・投資用不動産の購入顧客や管理賃貸住宅の入居者等の個人情報、従業員や一部取引先の個人番号等を保有しております。これらの情報については、「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)や「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)等に基づいてデータへのアクセス権限を制限したり、外部からの侵入防止を図る等の対策を講じたりするとともに、従業員等に対して個人情報保護法や番号法に係る啓蒙活動を実施して、その漏洩や不正使用の未然防止に努めております。しかしながら、人為的なミスや何らかの不正な方法等により当社グループが保有する個人情報等が漏洩等した場合には、信用力の低下や損害賠償の請求等によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(15) 訴訟等について

当社グループは、本書提出日現在において業績に重要な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、販売した不動産における契約不適合や債権未回収等の権利関係をめぐった顧客等との間でトラブルが発生した場合、または、リフォーム工事期間中に近隣からの騒音クレーム等が発生した場合等は、これらに起因する訴訟が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (16) ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について

当社グループは、当社及び当社子会社の取締役及び従業員に対し、当社グループの業績向上に対する貢献意欲や士気をよりいっそう高めるとともに、株主との価値共有の推進により、企業価値向上に資することを目的として、ストック・オプションとしての新株予約権を付与しております。提出日の前月末現在、新株予約権による潜在株式数は137,800株であり、これは発行済株式総数の5.08%に相当しております。今後、これらの新株予約権が行使されることで、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

(17) 太陽光発電設備の操業リスク

 当社グループが運営する太陽光発電設備においては、安全操業及び設備の安定運転を心がけております。保守・保安作業については当社グループ従業員のみならず、発電設備メーカー及びメンテナンス会社と協議を重ねた上で実施しておりますが、これら太陽光売電設備において、故障や盗難等の想定外の設備不良により、計画通りの操業ができなくなった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、持続的な成長を可能とする収益力の強化と突然の波乱要因に耐えうる財務基盤を築くことが株主への期待に応えることと考えております。

株主への利益還元につきましては、経営の重要課題と位置付け、配当原資確保のための収益力を強化し、持続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。また、連結配当性向30%を目標に累進配当を続けることとしております。

なお、当社は、取締役会の決議により、毎年3月31日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、当事業年度につきましては、中間配当として1株当たり40円(株式分割換算後20円)、期末配当として1株当たり21円の配当を実施することと決定しました。

内部留保資金につきましては、今後の事業展開への備えと企業価値の向上に充当していくこととしております。

 

 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年5月12日

取締役会

53,980

40

2023年12月26日

定時株主総会

56,943

21

 

(注)2023年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。2023年5月12日決議の1株当たり配当額については、当該株式分割前の実際の配当額を記載しております。