人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数539名(単体) 1,210名(連結)
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平均年齢35.7歳(単体)
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平均勤続年数5.0年(単体)
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平均年収6,830,000円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年6月30日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数(パートタイマーのみ、人材会社からの派遣社員は除く。)は、年間の平均人数を(外数)で記載しております。
2 全社(共通)として記載している従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属している従業員数を記載しております。
3 前連結会計年度末に比べ従業員数が131名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。
(2) 提出会社の状況
2025年6月30日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時従業員数(パートタイマーのみ、人材会社からの派遣社員は除く。)は、年間の平均人数を(外数)で記載しております。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 前事業年度末に比べ従業員数が61名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。
(3) 労働組合の状況
当社グループには、労働組合は結成されておりませんが、労使関係については良好であります。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
② 連結子会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
1. サステナビリティ全般
(1) 戦略
① アイスタイルが目指すサステナビリティ
アイスタイルは、「生活者中心の市場の創造」をビジョンとして掲げ、生活者視点で未来のあるべき姿を捉え、あらゆるステークホルダーと好循環を生み出すことで生活者を軸とした市場の創造を目指しています。そのため、創業時より“生活者と化粧品メーカー・ブランドを適切につなげること”に尽力してまいりました。
アイスタイルが起業した1999年は、マスメディアでの一方的な情報発信がまだ多かった時代でした。デジタルを活用した正しいコミュニケーションの在り方を目指して、生活者のニーズとメーカーのすれ違いを解消することをテーマに、生活者の声であるクチコミを集めて市場に反映する仕組みとして、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を立ち上げました。
生活者は、情報が増えすぎて何が正しく何を信用すべきか分からない。
ブランドは、情報接点が複雑化したため生活者に情報が伝えられない。
これらを解決するため、情報が氾濫するデジタル社会における不変的な価値として、中立的なプラットフォームを中長期で維持していくことがアイスタイルの目指すサステナビリティです。
そして、そのサステナビリティの中核を成すのが、中立な場である“プラットフォーム”、健全なコミュニケーションを促すステークホルダーとの“パートナーシップ”、これらを推し進める心臓部となる“人材”、活動の土台となる“ガバナンス”の4つです。これらの要素がアイスタイルの根幹を支える価値であるため、マテリアリティとして注力しています。
② マテリアリティ
a. 信頼されるプラットフォーム
「@cosme」は、情報であるクチコミを扱うサイトであるため、生活者やメーカーから信頼を得ることが必要であると認識しています。生活者の声を正しく・効率的に市場へ届けるためには、健全で中立なコミュニティの運営、情報セキュリティ、それらを支えるITなどが不可欠です。これからも安心してご利用いただけるプラットフォームの構築を目指します。
b. パートナーシップによる共創
ビューティー領域において、生活者やブランドをはじめとした多くのステークホルダーと共に、事業を通じてサステナビリティへの意識醸成や循環型社会に向けた取り組み等を共創することによって、サステナブルな社会に向けて貢献します。
c. 人材のエンパワーメント
企業の心臓部である人材の重要性は、少子高齢化が進む日本社会において今まで以上に増しています。人が成長するためには、成長したいと思える意欲・働き方の選択肢が充実したワークライフバランスの整った環境が必要です。その上でアイスタイルでしか築けないキャリア(複数事業によるシナジー)で成長を加速させ、最終的には業界を牽引するような新しい価値を創出するリーダーの育成を目指しています。結果として、これらの取り組みが企業価値の向上に繋がるものと考え、人の成長にコミットしてまいります。
d. ガバナンスの充実
経営の健全性、透明性及び客観性の向上を目的とするコーポレート・ガバナンスの強化は、アイスタイル が環境変化の著しいIT業界に属する点からも、重要な経営課題であると認識しております。また、企業だけでなくメディアやプラットフォームとしての健全性にも注力しています。
アイスタイルはこれからも生活者の声を市場に反映するだけでなく、メディア・EC・店舗などを通じて様々な出会い方をアップデートすることで、化粧品業界の発展や持続可能な社会に貢献してまいります。
(2) ガバナンス・リスク管理
アイスタイルはサステナビリティの推進を経営課題の1つとして捉え、代表取締役社長直下に全社横断の組織であるSUSTAINABILITY推進委員会を設置し、取締役副会長CFOを責任者として任命しています。同委員会にて全社的なサステナビリティに関する活動の推進・管理を行っております。
SUSTAINABILITY推進委員会および各事業部の責任者で都度開催される定例会にて、サステナビリティに関する機会とリスクを把握し、適宜評価・管理を行ったうえで経営課題となり得るものをグループ経営会議を経て取締役会に報告しております。
(3) 指標及び目標
「人的資本、多様性に関する事項」については2.の(1)戦略と指標及び(2)目標、「気候変動対応」については3.の(4)指標及び(5)目標を参照。なお、他マテリアリティに関する指標等は精査中です。
2. 人的資本、多様性に関する事項
(1) 戦略と指標
当社では、これからも事業を成長させ企業価値を高めるためには、人の成長を促し、成長意欲の高い人々から選ばれる企業であることが不可欠と考えております。「Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう」というミッションの達成に向けて、1)従業員自らのチャレンジを促進させ、2)個人の活躍を後押しし、3)働き方の多様性・柔軟性を高めることで、4)化粧品業界を牽引するリーダーの育成に注力してまいります。前述の重要なテーマを以下の4つに分け、課題や対策、これらの進捗を表す指標を整理してまいりました。
① 成長を感じチャレンジしたいカルチャーの醸成
人が成長するためには、従業員本人のチャレンジする意欲と、それを促す環境が必要であると考えています。本取り組みにおける実態を把握するべく、従業員に対して“そう思う”から“思わない”までの5段階評価に分けた意識調査を前連結会計年度に引き続き実施しました。
今年度は、リーダー層のマネジメント価値観のアップデート、一人ひとりに成長とチャレンジを問う目標・評価制度、チャレンジ意欲を行動につなげるポジションハンズアップ制度をアクションの柱として推進しました。これにより、2025年4月に実施した意識調査の結果においても、会社がチャレンジする環境を提供していると捉えている社員の割合増加につながりました。
KPIであるグラフ(a)~(c)の項目において、引き続き肯定回答が大勢を占めているものの、前年度と比べて取り組むべき課題も見つかりました。さらに明確化するために従業員の属性に分けて当該調査の結果を精査したところ、階層間と男女間において意識差があることが判明しました。(a)と(c)においては階層間で差異があり、役職者の方が全体より高い傾向となっています。男女間については、当社における連結での女性管理職比率は63%(単体では55%)と他企業に比べて高い水準であるものの、特に(c)の上位職へのキャリア志向において女性の肯定回答が男性に比べて15pt低く、また(a)のチャレンジ意欲についても同様に10ptの差がありました。これは男女間賃金差異の要因ともなっており、一般社員・マネージャー(課長相当)・部長・本部長等のステージ毎に分けた場合、賃金格差は90~95%に収まってはいるものの、部長以上の上位管理職では男性比率が高くなる傾向があり、その結果が全体の差異として表れております。男女間での意識の差については、当社の環境によるものだけでなく女性を取り巻く社会環境にも要因があると考えていますが、当社では性別やライフステージを問わず、より挑戦したい、働きがいを求めたい気持ちを後押しするため、積極的に支援を進めていく所存です。
そのためのアクションとして、「人の成長にコミットする」育成方針に則り、引き続き、新目標・評価制度や1on1による対話、ハンズアップやローテーション異動のほか、チャレンジ意欲の醸成に向けて、ハンズアップ者などのインタビュー、社内の業務やプロジェクトの発表、アワードなどによる取り組みの紹介などを通じ、社内における様々な役割・ポジションの認知向上、チャレンジを応援するカルチャーの醸成などに取り組んでまいります。
また、成長意欲の高い人々に選ばれ続けるには、大前提として従業員が「働きがい」や「やりがい」を感じ、これからも当社で活躍したい、成長したいという意欲につながることが重要と考えているため、当該事項を指標化するべく前年度より以下の質問(d)を追加しました。
こちらは、前年度よりも肯定回答が6pt減少した結果となりました。働きやすさ、会社への共感、戦略の納得性などが高まっていることも相まって、「個人」としての働きがい・やりがいは、個人が自身のキャリアやビジョン、成長実感を得ることで生まれると考えています。そこで、今年度はマネジメントのテーマを「VISION」と掲げ、個人のVISIONと会社やチームのVISIONを重ねる対話を促進し、さらに、自組織の上司とは異なるメンターとの1on1「イクサポ」(成長の対話のための育成サポーター制度)などに注力してまいります。
② 働きがいを後押しするライフステージに合わせた働き方支援
ますます多様化する社会において、性別・年齢・人種・障がいの有無に関わらず、誰しもが個性を発揮して活躍できる場を提供することが必要不可欠であると考えています。
意識調査の質問(e)においては、継続的に肯定回答が90%を超えており、もともと女性従業員比率が高く、働き方の選択肢を幅広く提供してきた結果だと考えております。一方で、前述した女性の上位職志向が男性に比べて低い事に対しては、本テーマにおけるマネジメント層の働き方改革や、より明確なロールモデルの提示等で併せて改善してまいります。
さらに、働き方の選択肢を増やすため、オフィスへの出社とリモート勤務のハイブリッドを基本としておりますが、家族の転勤や介護などの止むを得ない事情で出社が困難である社員を対象に、フルリモートでの勤務形態を2024年9月より正式に制度化しました。この取り組みによりリテンションが向上し、退職することなく継続的に活躍できる環境を実現しました。
また、障がい者など多様な人材が活躍する部門では、全社と連携してワークシェアを推進し、オフィス業務から店舗運営支援まで幅広くグループ内の20部門にわたる90の業務を担当することで、事業成長の一翼を担っております。さらに、当連結会計年度から活動をサテライトオフィスだけでなく、本社オフィスにも拡張し、ダイバシティを推進してまいります。
③ 異なる分野・業種における共創
リアルとネット、ユーザー視点とブランド視点といった多面的観点を部門間の横連携や複数領域での経験を通じて養うことが当社の強みであり、提供できるキャリアの特徴です。
当該質問(f)に対する肯定回答を50%以上とする目標を掲げて2年、全社横断のプロジェクト、ハンズアップによる異動やローテーション、事業間のオープンな情報共有などの施策を積極的に進めてまいりました。その結果、肯定回答が60%超となり、目標を1年前倒しで大幅に達成いたしました。今後、この連携実感を事業の成果に結びつけるべく、他部門と交わることで気づきを得て、新しいシナジーを生み出す当社独自の価値を創造する人材の育成を推進してまいります。
④ 新しい価値観で未来を牽引するリーダーの育成
「Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう」をミッションに据え、化粧品業界が培ってきた資産と、当社で生まれた革新性を融合させることで、新しい可能性を切り拓き業界の未来を牽引するリーダーの育成を目指しています。これを加速するために、マネジメント改革に引き続きトライしています。
今年度においては、目標・評価制度を刷新し、メンバーの成長と一人ひとりの視点から変革のタネを見つけていくために対話を重視したマネジメントに取り組み、前年度に続き外部講師を招いた講演会とリーダー全員で取り組むワークショップである「マネジメントデイ」を実施しました。また、気づきの機会提供として、組織リーダーを中心に課題図書をもとにした意見交換の場である「ラウンドテーブルディスカッション」を実施し、年8回の当該プログラムに100名を超えるリーダーが継続的に参加しています。さらに、他者から気づき、自身をアップデートさせていく経験を増やすため、前述の「イクサポ」を導入しました。次年度からはこの取り組みを全社に広げていきます。
新たに100名以上の従業員が加わったことで、会社のカルチャーへの理解がまだ浅いこともあり、一部の調査結果において微減項目があるものの、全体としては上記①~④の取り組みを通じて、働きがいや成長意欲、チャレンジできる環境づくりには、従業員が肯定的に捉えていると考えています。引き続き、これらをさらに伸ばす施策を進めていくことを方針として取り組んでまいります。
(2) 目標
当社の人的資本経営におけるチャレンジとして、質問(f)の「複数部門間の横連携が推進されていると思うか」に対して、2027年までに肯定回答を50%以上にする目標を設定しました。25期、26期とリーダー間の学びの共有や交流の場を積極的につくり、社内での情報共有や部署間横断の共通プロジェクトなどの参加、リーダーの間の関係構築などを通じて複数レイヤーで相互理解が進んできた成果として、2025年4月の意識調査では60%以上と大きく伸張し前倒しての達成となりました。これは当社の事業成長に向けてよい状況であると考えています。今後も事業成長に伴う人員増を見込んでいるため、新たな従業員に対してもオンボーディングに尽力し、高水準が維持できるよう取り組んでまいります。
新たな目標として、成長意欲の高い人に選ばれ続けるという人材戦略に沿って、「働きがい・やりがい感じている」の肯定割合70%を設定し、個人のパフォーマンスが最大限発揮されていく組織を目指してまいります。
当社のバリューとして掲げている「共創」イノベーションを起こすことで、「Beautyの世界をアップデートする」というミッションの達成を目指してまいります。
<人的資本経営の概要一覧>
(3) ガバナンス・リスク管理
経営陣・執行役員・人事責任者・SUSTAINABILITY推進委員会のメンバーで構成される「人材委員会」を隔週で開催し、人材に関する全社方針や戦略を決定するなど中長期視点での人的資本の強化を図っております。
また、定常的な活動の推進・管理は、サステナビリティ全般のガバナンス・リスク管理に記載の通り、人事関連部署とSUSTAINABILITY推進委員会で定期的にて行っております。
3. 気候変動対応
当社グループでは、TCFDのフレームワークに則り、気候変動が当社事業に与える将来的な影響をリスク・機会の観点から精査した結果、他ESG課題と比べてリスクが相対的に低いものと見込んでおります。そのため、マテリアリティとして特定しておりませんが、当社事業ならびに生活者、ひいては当社が属する化粧品業界全体に影響を及ぼす社会課題であるため、カーボンニュートラルな社会を目指して全社横断で気候変動対応を進めております。
(1) ガバナンス
取締役副会長CFOを推進責任者に据えるSUSTAINABILITY推進委員会にて、気候変動対応における推進及び管理を行っております。同委員会を中心に関連事業部と連携・協議して方針を決定し、適宜必要に応じて取締役会に関連議題を上程しております。
(2) 戦略
当社事業に対する気候変動のリスク・機会を精査するにあたり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が策定するSSP1-1.9及びSSP5-8.5シナリオを参照した上で、1.5℃以内の気温上昇に留める将来予測と、4℃以上の気温上昇となる場合を想定して分析を行いました。詳細は以下のとおりです。
(3) リスク管理
現在・将来に渡って事業継続に影響を及ぼし得る要素について、その影響度合いと発生可能性をSUSTAINABILITY推進委員会が分析した上で取締役会へ上程し、リスク・機会として特定しております。今後はシナリオ分析をさらに進めることで、時間軸を整理した上で利益影響額を精査してまいります。
(4) 指標
カーボンニュートラルな社会を目指し、当社の事業活動における温室効果ガスの排出量を測定しております。24期からScope1・2に加えて、Scope3(サプライチェーンにおける排出量)の算出も開始しております。
本集計結果について、Scope2は店舗事業の拡大に伴い増加いたしました。また、Scope3の主要な排出源としては、当社EC及び店舗にて販売する化粧品等が含まれるカテゴリー1と、当社の来店客による店舗と自宅間の移動で使用される電車等のカテゴリー9となります。今期の結果においても事業拡大に伴い増加している一方、これらの排出量削減は直接的には難しいものの、カテゴリー1に関しては当社のステークホルダーである化粧品メーカーとの対話にて、削減を目指してまいります。また、カテゴリー9は、事業規模の拡大に伴い今後も増加していくものと見込まれるため、経済合理性を考慮しつつ、温室効果ガスを吸収するカーボンニュートラルな施策を一層検討してまいります。
(5) 目標
目標値については、Scope2を31期(2030年)までに現在の半分以下となる300t-CO²を目指す方針であります。背景として、本社オフィスは既に再生可能エネルギーに切り替わっているものの、当社店舗については出店先であるショッピングセンターとの対話が必要となり、当社だけでは対応が困難であるため中期視点での目標として設定しております。しかしながら、長期視点ではネットゼロを目指す方向性に変わりないため、ステークホルダーと共にカーボンニュートラルな社会の実現に向けて対策を推進してまいります。