人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数478名(単体) 1,079名(連結)
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平均年齢35.0歳(単体)
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平均勤続年数5.0年(単体)
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平均年収6,690,000円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年6月30日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数(パートタイマーのみ、人材会社からの派遣社員は除く。)は、年間の平均人数を(外数)で記載しております。
2 全社(共通)として記載している従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属している従業員数を記載しております。
(2) 提出会社の状況
2024年6月30日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時従業員数(パートタイマーのみ、人材会社からの派遣社員は除く。)は、年間の平均人数を(外数)で記載しております。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
当社グループには、労働組合は結成されておりませんが、労使関係については良好であります。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
② 連結子会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
1. サステナビリティ全般
(1) 戦略
① アイスタイルが目指すサステナビリティ
アイスタイルは、「生活者中心の市場の創造」をビジョンとして掲げ、生活者視点で未来のあるべき姿を捉え、あらゆるステークホルダーと好循環を生み出すことで生活者を軸とした市場の創造を目指しています。そのため、創業時より“生活者と化粧品メーカー・ブランドを適切につなげること”に尽力してまいりました。
アイスタイルが起業した1999年は、マスメディアでの一方的な情報発信がまだ多かった時代でした。デジタルを活用した正しいコミュニケーションの在り方を目指して、生活者のニーズとメーカーのすれ違いを解消することをテーマに、生活者の声であるクチコミを集めて市場に反映する仕組みとして、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を立ち上げました。
生活者は、情報が増えすぎて何が正しく何を信用すべきか分からない。
ブランドは、情報接点が複雑化したため生活者に情報が伝えられない。
これらを解決するため、情報が氾濫するデジタル社会における不変的な価値として、中立的なプラットフォームを中長期で維持していくことがアイスタイルの目指すサステナビリティです。
そして、そのサステナビリティの中核を成すのが、中立な場である“プラットフォーム”、健全なコミュニケーションを促すステークホルダーとの“パートナーシップ”、これらを推し進める心臓部となる“人材”、活動の土台となる“ガバナンス”の4つです。これらの要素がアイスタイルの根幹を支える価値であるため、マテリアリティとして注力しています。
② マテリアリティ
a. 信頼されるプラットフォーム
「@cosme」は、情報であるクチコミを扱うサイトであるため、生活者やメーカーから信頼を得ることが必要であると認識しています。生活者の声を正しく・効率的に市場へ届けるためには、健全で中立なコミュニティの運営、情報セキュリティ、それらを支えるITなどが不可欠です。これからも安心してご利用いただけるプラットフォームの構築を目指します。
b. パートナーシップによる共創
ビューティー領域において、生活者やブランドをはじめとした多くのステークホルダーと共に、事業を通じてサステナビリティへの意識醸成や循環型社会に向けた取り組み等を共創することによって、サステナブルな社会に向けて貢献します。
c. 人材のエンパワーメント
企業の心臓部である人材の重要性は、少子高齢化が進む日本社会において今まで以上に増しています。人が成長するためには、成長したいと思える意欲・働き方の選択肢が充実したワークライフバランスの整った環境が必要です。その上でアイスタイルでしか築けないキャリア(複数事業によるシナジー)で成長を加速させ、最終的には業界を牽引するような新しい価値を創出するリーダーの育成を目指しています。結果として、これらの取り組みが企業価値の向上に繋がるものと考え、人の成長にコミットしてまいります。
d. ガバナンスの充実
経営の健全性、透明性及び客観性の向上を目的とするコーポレート・ガバナンスの強化は、当社グループが環境変化の著しいIT業界に属する点からも、重要な経営課題であると認識しております。また、企業だけでなくメディアやプラットフォームとしての健全性にも注力しています。
アイスタイルはこれからも生活者の声を市場に反映するだけでなく、メディア・EC・店舗などを通じて様々な出会い方をアップデートすることで、化粧品業界の発展や持続可能な社会に貢献してまいります。
(2) ガバナンス・リスク管理
アイスタイルはサステナビリティの推進を経営課題の1つとして捉え、代表取締役社長直下に全社横断の組織であるSUSTAINABILITY推進委員会を設置し、取締役副会長兼CFOを責任者として任命しています。同委員会にて全社的なサステナビリティに関する活動の推進・管理を行っております。
SUSTAINABILITY推進委員会および各事業部の責任者で開催される月次定例会にて、サステナビリティに関する機会とリスクを把握し、適宜評価・管理を行ったうえで経営課題となり得るものをグループ経営会議を経て取締役会に報告しております。
(3) 指標及び目標
「人的資本、多様性に関する事項」については2.の(1)戦略・指標及び(2)目標、「気候変動対応」については3.の(4)指標及び(5)目標を参照。なお、他マテリアリティに関する指標等は精査中です。
2. 人的資本、多様性に関する事項
(1) 戦略及び指標
当社では、これからも事業を成長させ企業価値を高めるためには、人の成長を促し、成長意欲の高い人々から選ばれる企業であることが不可欠と考えております。「Beautyの世界をアップデートしながら多くの人を幸せにしよう」というミッションの達成に向けて、従業員自らのチャレンジを促進させ、個人の活躍を後押しし、働き方の多様性・柔軟性を高めることで、化粧品業界を牽引するリーダーの育成に注力してまいります。
なお、人を成長させる上で重要なテーマを以下の4つに分け、課題や対策、これらの進捗を表す指標を整理しました。
① 成長を感じチャレンジしたいカルチャーの醸成
人が成長するためには、従業員本人のチャレンジする意欲と、それを促す環境が必要であると考えています。本取り組みにおける実態を把握するべく、従業員に対して“そう思う”から“思わない”までの5段階評価に分けた意識調査を前連結会計年度に引き続き実施しました。
“そう思う”“やや思う”の肯定的な回答の割合は、前回からほぼ横ばいとなりましたが、全体的には大勢を占めている状態です。しかしながら、回答の最上位項目である“そう思う”のみに着目すると、質問(a)については52%であったのに対して、(b)は26%、(c)は39%となっております。
課題を明確化するために男女に分けて当該調査の結果を精査したところ、当社における連結での女性管理職比率は63%(単体では55%)と他企業に比べて高い水準であるものの、特に(c)の上位職へのキャリア志向において女性の肯定的な回答が男性に比べて低い事が判明しました。これは男女間賃金差異の要因ともなっており、一般社員・マネージャー(課長相当)・部長・本部長等のステージ毎に分けた場合、各層では90~95%に収まってはいるものの、部長以上の上位管理職では男性比率が高くなる傾向があり、その結果が差異として表れております。男女間での意識の差については、当社の環境によるものだけでなく女性を取り巻く社会環境にも要因がありますが、当社では性別を問わず、より挑戦したい、働きがいを求めたい気持ちを後押しするための働き方支援を進めていく所存です。
そのためのアクションとして、「人の成長にコミットする」育成方針に則り、当連結会計年度より個人の成長・チャレンジに大きくフォーカスした評価制度へ刷新し、それに加えて年2回の社内でのハンズアップ(挙手制度)による新たな部門への異動が進むよう、環境づくりを推進してまいりました。さらに、従来より実施していた1on1の制度や、マネジメント向けの学びの場を提供するなど、より実施率・内容の質が高まるよう積極的に働きかけ、マネジメント・メンバー双方の対話量を高めることで、一人ひとりの目指しを引き出す活動を推進してまいりました。今後も、成長につながるよう責任の大きい業務や管理職へのチャレンジ意欲の醸成に向けて、ロールモデルや社内における様々な役割・ポジションの認知向上などに取り組んでまいります。
また、成長意欲の高い人々に選ばれ続けるには、大前提として従業員が「働きがい」や「やりがい」を感じ、これからも当社で活躍したい、成長したいという意欲につながることが重要と考えているため、当該事項を指標化するべく今回より以下の質問(d)を追加しました。
肯定的な回答が73%と高い水準である一方、否定的な回答において女性が12%、男性が5%と男女で差が生じているため、前述の対策に加えて、一人ひとりの役割や業務が過度に硬直化していないか注視しながら、成長意欲に応える機会提供を進めてまいります。
② 働きがいを後押しするライフステージに合わせた働き方支援
ますます多様化する社会において、性別・年齢・人種・障がいの有無に関わらず、誰しもが個性を発揮して活躍できる場を提供することが必要不可欠であると考えています。
意識調査の質問(e)においては、肯定的な回答が90%となりました。これは当社が美容・コスメを題材にした事業を展開していることから、もともと女性従業員比率が高く、働き方の選択肢を幅広く提供してきた結果だと考えております。一方で、前述した女性の上位職志向が男性に比べて低い事について、本テーマにおけるマネジメント層の働き方改革や、より明確なロールモデルの提示等で併せて改善してまいります。
さらに、働き方の選択肢を増やすため、オフィスへの出社とリモート勤務のハイブリッドを基本としておりますが、家族の転勤や介護などの止むを得ない事情で出社が困難である社員を対象に、これまで試験導入していたフルリモートでの勤務形態を2024年9月より正式に制度化しました。なお、試験導入期間においても、この取り組みによりリテンションが向上し、退職することなく継続的に活躍できる環境を実現しました。
また、障がい者など多様な人材が活躍する部門では、全社と連携してワークシェアを推進し、グループ内の20部門にわたる73の業務を担当することで、事業成長の一翼を担っております。さらに、当連結会計年度から活動領域をオフィスワークから店舗関連業務にまで展開しており、今後も活躍の場を一層広げてまいります。
③ 異なる分野・業種における共創
アイスタイルが市場において独自のポジションを確立した理由は、メディア・EC・店舗等のオンライン・オフラインを一気通貫した複数事業を運営し、それらが有機的に連携することで生み出されたシナジーによって、唯一無二のプラットフォームを形成できたからだと考えています。リアルとネット、ユーザー視点とブランド視点といった多面的観点を部門間の横連携や複数領域での経験を通じて養うことがアイスタイルの強みであり、提供できるキャリアの特徴です。
しかしながら、横連携の推進に関する質問(f)において肯定的な回答が45%に留まっており、連携強化には未だに課題と伸びしろがあるため、全社横断のプロジェクト、ハンズアップによる異動やローテーション、事業間のオープンな情報共有、社内の人材交流などの施策を進めております。今後、当社が化粧品業界だけでなく新しいBEAUTY領域に進出するためにも、@cosmeの価値を最大化し、そのアセットを活用した新しいビジネスにおける価値創造が必要不可欠です。既存事業を大切に育てながらも固定概念に囚われることなく、他部門と交わることで新しいシナジーを生み出し、アイスタイル独自の価値を創造する人材の育成を推進してまいります。
④ 新しい価値観で未来を牽引するリーダーの育成
アイスタイルの原点はITであり、古い観念にとらわれないDXネイティブな企業であるため、従業員の自主性と新しいアイデアを尊重してまいりました。化粧品業界が培ってきた資産と、当社で生まれた革新性を融合させることで、新しい可能性を切り拓き、業界の未来を牽引するリーダーの育成を目指しています。これを加速するために、組織マネージャーを単なる管理者ではなく、人の成長にコミットする役割と位置づける、いわゆるコーチ型の人事制度・評価制度を導入するマネジメント改革にトライしています。
当連結会計年度においては、組織マネージャーに対して外部講師を招いた講演会と全員で取り組むワークショップである「マネジメントデイ」を実施しました。また、気づきの機会提供として、組織マネージャーを中心に課題図書をもとにした意見交換の場である「ラウンドテーブルディスカッション」を実施し、年8回のプログラムに100名を超える組織マネージャーが継続的に参加しています。さらに、育成力に不可欠な「聴く力」を養うための研修制度を試験導入し、50名の部門長に同プログラムを提供しています。引き続き、「人の成長にコミットする」組織カルチャーへの変革に向けた施策を実施してまいります。
上記①~④全体を鑑みると、やりがいや成長意欲、チャレンジできる環境については、施策も含め一定の肯定的な評価や実感が従業員にあるため、今後はそれらをより伸ばす施策を進めていくことを大方針とします。
(2) 目標
当社の企業価値の根幹を支えているのは人材であり、また、独自性を形成しているのは複数の事業や部門が交わることで新しいシナジーを創出し続けているからであると認識しております。したがって、複数部門間の横連携を推進し、それを実感している人材を増やすことが、人と企業双方の成長を促す重要な施策であると考えております。
そのため、当社の人的資本経営におけるチャレンジとして、質問(f)の「複数部門間の横連携が推進されていると思うか」に対して、2027年までに肯定的な回答を50%以上にする目標を設定しました。部門間シナジーをより推進し、イノベーションを起こすことで「Beautyの世界をアップデートさせる」というミッション達成を目指してまいります。
<人的資本経営の概要一覧>
(3) ガバナンス・リスク管理
経営陣・執行役員・人事責任者・SUSTAINABILITY推進委員会のメンバーで構成される「人材委員会」を隔週で開催し、人材に関する全社方針や戦略を決定するなど中長期視点での人的資本の強化を図っております。
また、定常的な活動の推進・管理は、サステナビリティ全般のガバナンス・リスク管理に記載の通り、人事関連部署とSUSTAINABILITY推進委員会で月次定例会にて行っております。
3. 気候変動対応
当社グループでは、TCFDのフレームワークに則り、気候変動が当社事業に与える将来的な影響をリスク・機会の観点から精査した結果、他ESG課題と比べてリスクが相対的に低いものと見込んでおります。そのため、マテリアリティとして特定しておりませんが、当社事業ならびに生活者、ひいては当社が属する化粧品業界全体に影響を及ぼす社会課題であるため、カーボンニュートラルな社会を目指して全社横断で気候変動対応を進めております。
(1) ガバナンス
取締役副会長兼CFOを推進責任者に据えるSUSTAINABILITY推進委員会にて、気候変動対応における推進及び管理を行っております。同委員会を中心に関連事業部と連携・協議して方針を決定し、適宜必要に応じて取締役会に関連議題を上程しております。
(2) 戦略
当社事業に対する気候変動のリスク・機会を精査するにあたり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が策定するSSP1-1.9及びSSP5-8.5シナリオを参照した上で、1.5℃以内の気温上昇に留める将来予測と、4℃以上の気温上昇となる場合を想定して分析を行いました。詳細は以下のとおりです。
(3) リスク管理
現在・将来に渡って事業継続に影響を及ぼし得る要素について、その影響度合いと発生可能性をSUSTAINABILITY推進委員会が分析した上で取締役会へ上程し、リスク・機会として特定しております。今後はシナリオ分析をさらに進めることで、時間軸を整理した上で利益影響額を精査してまいります。
(4) 指標
カーボンニュートラルな社会を目指し、当社の事業活動における温室効果ガスの排出量を測定しております。24期より、当社店舗での電気使用量をScope2に含めて算出しており、これに伴い23期のデータも再集計しました。また、Scope3(サプライチェーンにおける排出量)の算出も24期から開始しております。
本集計結果について、Scope2においては、本社ビルの電気が再生可能エネルギーに移行したことに伴い減少いたしました。また、Scope3の主要な排出源としては、当社EC及び店舗にて販売する化粧品等が含まれるカテゴリー1と、当社の来店客による店舗と自宅間の移動で使用される電車等のカテゴリー9となります。これらの排出量削減は直接的には難しいものの、カテゴリー1に関しては当社のステークホルダーである化粧品メーカーとの対話にて、削減を目指してまいります。また、カテゴリー9は、事業規模の拡大に伴い今後も増加していくものと見込まれるため、経済合理性を考慮しつつ、温室効果ガスを吸収するカーボンニュートラルな施策を一層検討してまいります。
(5) 目標
目標値については、Scope2を31期(2030年)までに現在の半分以下となる300t-CO²を目指す方針であります。背景として、本社オフィスは既に再生可能エネルギーに切り替わっているものの、当社店舗については出店先であるショッピングセンターとの対話が必要となり、当社だけでは対応が困難であるため中期視点での目標として設定しております。しかしながら、長期視点ではネットゼロを目指す方向性に変わりないため、ステークホルダーと共にカーボンニュートラルな社会の実現に向けて対策を推進してまいります。