2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

サイバー・セキュリティ事業 ソフトウェア開発・テスト事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
サイバー・セキュリティ事業 2,588 83.8 877 97.3 33.9
ソフトウェア開発・テスト事業 500 16.2 24 2.7 4.8

事業内容

3【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、FFRIセキュリティ(当社)及び、子会社1社、関連会社1社で構成されており、サイバー・セキュリティ事業を主な事業内容とし、さらにソフトウェア開発・テスト事業を営んでいます。

なお、事業区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一です。各事業の内容は以下のとおりです。

 

(1)サイバー・セキュリティ事業

コンピュータ・システムは今や社会に深く根付き、そのシステムが果たす機能の安全を守ることは、私たちの生活だけでなく、国家安全保障においても重要な課題となっています。近年では、技術革新に伴ってコンピュータ・システムに対する脅威は多様化・複雑化し、かつ急速に変化しています。増え続ける標的型攻撃 ※1 やランサムウェア ※2 などによる機密情報漏洩やシステム破壊は、従来のリスク管理プロセスだけでは十分な対応を取る事が難しく、サイバー・セキュリティ ※3 の果たすべき役割の重要性はますます高まっております。

当社グループは、サイバー・セキュリティの基盤となる技術とリサーチ能力をバックグラウンドに、IT社会を取り巻く様々な外部脅威からコンピュータ・システムを守る、サイバー・セキュリティの研究開発企業です。特に、セキュリティ脆弱性 ※4 分野、マルウェア ※5 関連分野、車載システムを始めとするIoTセキュリティ分野、情報家電やスマートフォンなどの組み込み機器分野に係るセキュリティにおける技術力を強みとしており、研究成果はBlack Hat ※6 等の国際的に権威のあるセキュリティカンファレンスを通じて発表しております。

また、当社グループではサイバー・セキュリティのシーズ型研究開発 ※7 を行っており、研究開発活動から得た技術・知見を元に様々な形態でユーザーにサイバー・セキュリティ対策を提供しています。なお、近年は日本発のサイバー・セキュリティ企業として、国や政府関連機関とも連携しながら安全保障領域の課題解決へと注力しており、政府の進める研究開発プロジェクトや、セキュリティ調査・研究・分析・人材教育といったセキュリティ・サービスの提供及び、セキュリティ・プロダクトの提供をしております。

なお、サイバー・セキュリティ事業は、以下の内容で販売を区分しております。

販売区分

分類内容

セキュリティ製品

FFRI yaraiなどのセキュリティ製品の販売

ナショナルセキュリティ・サービス

安全保障関連のセキュリティ・サービスの提供

その他セキュリティ・サービス

安全保障以外のセキュリティ・サービスの提供

 

 各販売区分で提供している、サービス及びプロダクトの内容は以下のとおりです。

(セキュリティ・サービスについて)

セキュリティ・サービスでは、セキュリティ脅威の調査・分析から脆弱性検査、セキュリティ人材育成のための教育・研修サービスや、セキュリティ上の課題に対するコンサルティング及びセキュリティ情報の提供、コンピュータ・システムのセキュリティ堅牢性調査と実際にサイバー攻撃を受けた場合の影響調査、ハードウェア・ソフトウェアへ独自のサイバー・セキュリティ対策の仕組みを組み込むための受託開発などのほか、ユーザーのニーズに応じてセキュリティ調査・分析・研究等を行っております。

 

(セキュリティ・プロダクトについて)

セキュリティ・プロダクトでは、パターンファイル ※8 に依存しない、完全ヒューリスティック検出技術 ※9 により未知・既知のマルウェア及びセキュリティ脆弱性を狙った攻撃を防御する技術を始めとした、従来の技術では防御できない新たな外部脅威からコンピュータ・システムを守る製品を提供しております。各種セキュリティ対策製品はサブスクリプションライセンス(期限付きの使用権)又はパーペチュアルライセンス(無期限の使用権)により販売しています。サブスクリプションライセンスではユーザーは契約した期間、製品を使用でき、契約には製品のアップデートや保守サポートを含んでいます。契約期間終了後、引き続き使用する際は再度契約の更新をすることとなります。パーペチュアルライセンスは販売後、ユーザーは製品を永続的に使用することができますが、最新のプログラムへのアップデート及び保守サポートサービスは別途保守サービスを有償で提供しています。

また、サイバー・セキュリティ対策の仕組みを販売用製品として開発し、主にITセキュリティベンダー ※10 やSIer ※11 を対象にそれらプログラム著作物の権利販売を行っています。

セキュリティ・プロダクトの主な製品は、標的型攻撃対策製品「FFRI yarai」、マルウェア自動解析ツール「FFRI yarai analyzer」といった製品を提供しております。

 

 

当社グループの提供する主な製品は次のとおりです。

名称

内容

FFRI yarai

マルウェアごとに検出パターンを作成する旧来の技術では、未知の攻撃をカバーしないほか、検出パターンの増加に伴いシステムに対する負荷も増加します。FFRI yaraiはパターンファイルに依存しない、完全ヒューリスティック検出技術による標的型攻撃マルウェア対策製品で、未知・既知のマルウェア及びセキュリティ脆弱性を狙った攻撃を防御します。

FFRI yarai analyzer

プログラムや文書ファイル、各種データファイルを自動的に解析し、マルウェア混入のリスク判定が可能となります。実施が難しいソフトウェア製品の出荷前マルウェア混入検査、マルウェア被害の初動分析、ハッキングによる情報流出対策などで活用可能です。

 

(2)ソフトウェア開発・テスト事業

 ソフトウェア開発・テスト事業においては、ソフトウェアの設計・開発・評価・解析などの業務に関わる技術者の派遣や、ソフトウェアの不具合により顕在化するリスクを回避するため、ソフトウェアの不具合を発見、又は、重大な不具合が発生していないことを確認するテストの計画・設計、実施を提供しております。

 

[事業系統図]

 

(注)セキュリティ・プロダクトでは、販売パートナーとOEM提供先の2つの販売チャネルにてユーザーに提供しております。販売パートナーは主にSIerやITセキュリティベンダーで構成され、当社グループから製品を仕入れ、ユーザーに販売します。OEM提供はITセキュリティベンダー向けに行っており、当社製品をOEM提供先ブランドとしてカスタマイズし、ユーザーに販売します。当社グループはOEM提供先から製品の対価を受け取ります。また、販売パートナー及びOEM提供先はユーザーに対して製品のユーザーサポートを提供し、当社グループは販売パートナー及びOEM提供先に対して製品についての技術的な問合せに対応する技術サポートを提供する体制をとっています。このほか、個人向けにおいては当社グループからの直接販売も行っております。

 

(用語解説)

※1

標的型攻撃

特定の企業や組織、個人を狙った攻撃のこと。攻撃者は綿密な事前調査により、標的システムのセキュリティ対策に応じた攻撃手法を選択するため、危険度の高い脅威。

ランサムウェア

コンピュータ・ウイルスの一種で、感染すると直ちにコンピュータ内のファイルを暗号化しファイルを使えなくしたうえで、元に戻すための身代金を要求する。

サイバー・セキュリティ

第三者による悪意ある攻撃からの防御対策のことで、コンピュータへの不正アクセス、データの改ざんや破壊、情報漏洩、コンピュータ・ウイルスの感染などからコンピュータ・システムを守ること。

セキュリティ脆弱性

コンピュータやネットワークなどの情報システムにおいて、第三者が保安上の脅威となる行為(システムの乗っ取りや破壊、機密情報の漏洩など)に利用できる可能性のあるシステム上の欠陥や仕様上の問題点。

マルウェア

コンピュータ・ウイルス、スパイウェアなど、悪意のある目的を持ったソフトウェアやプログラム。

Black Hat

世界各国の企業や政府、教育機関等からのリーダーが一堂に会し、最先端のセキュリティ情報を発表する世界最大規模の国際セキュリティカンファレンス。

シーズ型研究開発

顕在化した需要に基づいて行うニーズ型研究開発に対して、現在ある情報を元に将来発生するであろう需要を探り、それに基づいて行う研究開発のこと。

パターンファイル

ウイルス対策ソフトが持つ、マルウェアを検出するためのデータベースのことで「定義ファイル」ともいう。マルウェアが持つ特定の文字列や、特徴的な動作パターンなどが記録されているもので、多くのウイルス対策ソフトはこのパターンファイルとマルウェアを照合することで検査対象のプログラムがマルウェアかどうか判定する。新しいマルウェアが出現するごとに対応するパターンファイルが必要であるため、新種や未知のマルウェアに対する防御機能はない。

ヒューリスティック検出技術

マルウェア等の不正なプログラムを検知する際、パターンファイルによるマッチングではなく、マルウェア等がもつ特徴的なプログラムの構造や振る舞いを検知する手法。これにより未知のウイルスや亜種、0-day脆弱性などにも対応できる。

10

ITセキュリティベンダー

ウイルス対策ソフト等のセキュリティ対策ソフトウェアやセキュリティ関連サービスを開発・提供している事業者のこと。

11

SIer

ユーザーニーズに応じて選定した複数のシステムを1つのシステムとして構築し、それぞれの機能が正しく働くように完成させる「システムインテグレーション」を行う企業のこと。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるサイバー・セキュリティ業界は、政府機関や、金融機関、交通機関等の重要インフラ企業に対するサイバー攻撃が相次ぎ発生した他、引き続きランサムウェアによる被害も拡大しており、サイバー脅威の増大傾向が続いています。政府においては、セキュリティ・クリアランス制度の整備や、サイバー安全保障大臣の新設、NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)の発展組織の組成決定、能動的サイバー防御に関する法案の整備など、政策の制定・整備が急速に進みました。さらに、経済産業省が取りまとめたサイバーセキュリティ産業振興戦略では、国内サイバーセキュリティ産業及び技術基盤を強化する方針が示される等、防衛三文書に示された「サイバー防衛能力を欧米主要国と同等以上に強化する」という目標の実現に向けて、官民が一層連携するための政策が提示されるなど、課題解決のための抜本的な政策や体制強化が進められています。

 このような環境の中、当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなりました。

 なお、当社ではサイバー・セキュリティ事業における販売区分を顧客の分類別に「ナショナルセキュリティセクター」、「パブリックセクター」、「プライベートセクター」の3区分としておりましたが、近年注力を進めている安全保障の領域が拡大しており、顧客の属性が複雑に入り混じる案件が増加していることから、明確に区分をすることが困難となりつつあります。そのため、サイバー・セキュリティ事業の販売区分を、「セキュリティ製品」、「ナショナルセキュリティ・サービス」、「その他セキュリティ・サービス」に変更いたします。

 各販売区分における分類内容は以下のとおりです。

販売区分

分類内容

セキュリティ製品

FFRI yaraiなどのセキュリティ製品

ナショナルセキュリティ・サービス

安全保障関連のセキュリティ・サービス

その他セキュリティ・サービス

安全保障以外のセキュリティ・サービス

 

○サイバー・セキュリティ事業

(セキュリティ製品)

 FFRI yaraiシリーズの販売におきましては、当社製品を積極的に販売する戦略的販売パートナーとの連携強化及び、OEM販売が好調に推移した結果、法人向け・個人向けともに前年を上回って推移しました。また、マルウェア自動解析ツールFFRI yarai Analyzerの契約ライセンス数も増加しております。

 この結果、当連結会計年度におけるセキュリティ製品の売上高は1,213,880千円(前年同期比48.2%増)となりました。

 

(ナショナルセキュリティ・サービス)

 ナショナルセキュリティ・サービスにおきましては、防衛省を含む官公庁及び防衛産業向けに安全保障関連のセキュリティ調査・研究・分析・教育等のサービスを請け負い提供しております。当社グループにおきましては、経済安全保障重要技術育成プログラム関連案件や、NICTの推進する実証事業のサポート等、引き続き需要が拡大している安全保障関連の案件を実施しました。

 この結果、当連結会計年度におけるナショナルセキュリティ・サービスの売上高は944,388千円(前年同期比16.1%増)となりました。

 

(その他セキュリティ・サービス)

 その他セキュリティ・サービスにつきましては、エンジニアのリソースをナショナルセキュリティ・サービスに集中しているため受注が限定されております。当連結会計年度におきましては、法人向けにセキュリティ調査や情報提供サービスを中心に実施しました。

 この結果、当連結会計年度におけるその他セキュリティ・サービスの売上高は429,711千円(前年同期比23.5%増)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度におけるサイバー・セキュリティ事業の売上高は2,587,980千円(前年同期比30.7%増)となりました。

 

○ソフトウェア開発・テスト事業

 ソフトウェア開発・テスト事業におきましては、一部案件の解約によりやや減収となりましたが、利益面への影響は軽微なものとなりました。また、品質保証業務を中心に新規顧客の開拓及び既存案件における単価の向上に取り組んでおります。

 この結果、当連結会計年度におけるソフトウェア開発・テスト事業の売上高は451,465千円(前年同期比3.2%減)となりました。

 

 その他、株式会社エヌ・エフ・ラボラトリーズにおきましては、案件増加に伴い人材の確保・育成を進めている他、教育・研修及び調査・テストなどの案件を中心に実施した結果、持分法による投資利益43,694千円(前年同期比25.3%増)を計上しております。

 

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高3,039,446千円(前年同期比24.2%増)、営業利益817,002千円(前年同期比64.1%増)、経常利益880,538千円(前年同期比62.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益687,022千円(前年同期比59.0%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ84,248千円増加し、2,162,980千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、641,498千円(前年同期比64.2%増)となりました。これは主に、税金等調整前純利益の計上880,538千円、売上債権及び契約資産の増加による支出302,976千円、契約負債の増加236,954千円、法人税等の支払額140,709千円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、477,608千円(前年同期は70,716千円の支出)となりました。これは主に出資金の払込による支出430,000千円、有形固定資産の取得による支出23,485千円、無形固定資産の取得による支出22,764千円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は、79,641千円(前年同期は95千円の支出)となりました。これは配当金の支払額78,777千円、リース債務の返済による支出671千円、自己株式の取得による支出192千円によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(イ)生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(ロ)受注実績

 当社グループは概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。

 

(ハ)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの種類

当連結会計年度

(自 令和6年4月1日

至 令和7年3月31日)

前年同期比(%)

サイバー・セキュリティ事業(千円)

2,587,980

130.7

ソフトウェア開発・テスト事業(千円)

451,465

96.8

合計(千円)

3,039,446

124.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

当連結会計年度

(自 令和6年4月1日

至 令和7年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

一般社団法人サイバーリサーチコンソーシアム

623,485

20.5

日本電気株式会社

441,192

18.0

451,947

14.9

防衛省

392,109

16.0

341,777

11.2

※最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は3,234,030千円となり、前連結会計年度末に比べ434,623千円増加いたしました。主な増加要因は現金及び預金の増加84,248千円、売掛金の増加208,436千円、契約資産の増加94,540千円、前払費用の増加37,028千円等であります。固定資産は1,076,777千円となり、前連結会計年度末に比べ495,109千円増加いたしました。主な増加要因は一般社団法人サイバーリサーチコンソーシアムに対する基金の拠出による出資金の増加430,000千円等による投資その他の資産の増加479,134千円、有形固定資産の増加22,449千円等であります。

 この結果、総資産は、4,310,807千円となり、前連結会計年度末に比べ929,733千円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は1,497,382千円となり、前連結会計年度末に比べ310,486千円増加いたしました。主な増加要因はセキュリティ・プロダクトにおける契約の増加等による契約負債の増加236,954千円、未払法人税等の増加62,339千円、未払消費税等の増加18,049千円等であります。固定負債は24,460千円となり、前連結会計年度末に比べ11,513千円増加いたしました。増加要因はリース債務の増加8,937千円、資産除去債務の増加2,575千円であります。

 この結果、負債合計は、1,521,843千円となり、前連結会計年度末に比べ321,999千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は2,788,963千円となり、前連結会計年度末に比べ607,733千円増加いたしました。主な増加要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加687,022千円、主な減少要因は剰余金の配当による利益剰余金の減少79,097千円等によるものです。

 

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、3,039,446千円(前年同期比24.2%増)となりました。内訳としましては、セキュリティ製品が1,213,880千円、ナショナルセキュリティ・サービスが944,388千円、その他セキュリティ・サービスが429,711千円、ソフトウェア開発・テスト事業が451,465千円であります。

 

(売上原価)

 当連結会計年度における売上原価は、1,009,715千円(前年同期比11.7%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,212,728千円(前年同期比16.1%増)となりました。

 

(営業外収益及び営業外費用)

 当連結会計年度における営業外収益は、持分法による投資利益等の計上により63,825千円、営業外費用は、289千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、687,022千円(前年同期比59.0%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる当社の会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社グループは、これらのリスク要因について、分散又は低減するよう取り組んでまいります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針

 当社グループでは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の各リスク項目について顕在化することがないよう常に注意を払っております。また、当面の当社の課題として「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の各事項に対応していくことで、企業価値向上に努める方針であります。

 

⑥ 経営戦略の現状と見通し

○サイバー・セキュリティ事業

(セキュリティ製品)

 FFRI yarai 及び FFRI yarai Home and Business Edition を始めとするセキュリティ・プロダクトの機能強化を継続する他、当社製品の販売を積極的に行う戦略的販売パートナーとの連携強化や、OEM販売による販売拡大を進めてまいります。また、純国産製品の強みを活かして、官公庁・重要インフラ企業、地方自治体、医療関係組織等への販売施策を強化してまいります。さらに、新たな戦略的販売パートナーの獲得に向けた活動も進めてまいります。

 

(ナショナルセキュリティ・サービス)

 国家安全保障及び経済安全保障に関連したセキュリティ・サービスの提供を行ってまいります。足元では政府の進めるサイバー防衛能力強化がかつてない速度で進められており、需要が大幅に増加しております。当社グループにおきましては、経済安全保障重要技術育成プログラム関連案件や、NICTの推進する実証事業のサポートの他、引き続き安全保障関連のセキュリティ調査・研究・分析・教育等の案件の実施を予定しております。また、引き続き需要の増加が見込まれるため、新卒採用を中心にエンジニアの増員を進めております。

 

(その他セキュリティ・サービス)

 その他のセキュリティ・サービスにつきましては、エンジニアのリソースを緊急性の高いナショナルセキュリティ・サービスに集中するため、受注を限定し、FFRIセキュリティ マネージド・サービスや、セキュリティ調査・研究及び情報提供などの案件を実施していく予定です。

 

○ソフトウェア開発・テスト事業

 ソフトウェア開発・テスト事業につきましては、子会社である株式会社シャインテックにおいて品質保証業務及びテスト業務を中心に実施してまいります。当期においては、新規顧客の獲得及び、将来的なサイバー・セキュリティ関連業務の提供に向けて、当社の教育メソッドを活用しセキュリティ人材の育成を継続してまいります。

 

⑦ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフトウェア開発に伴う人件費、その開発用のパソコン及びソフトウェア等の購入費用の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらについては主に自己資金により対応しております。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,162,980千円となっており、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社グループは、サイバー・セキュリティ事業とソフトウェア開発・テスト事業の2つを報告セグメントとしております。

 サイバー・セキュリティ事業はサイバー・セキュリティの製品販売、サービス提供を行っております。ソフトウェア開発・テスト事業はソフトウェアの開発や第三者評価を行っております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

 報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、棚卸資産の評価基準を除き、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一であります。

 棚卸資産の評価については、収益性の低下に基づく簿価切下げ前の価額で評価しております。

 報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

 セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報

前連結会計年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

合計

調整額

連結財務諸表計上額

 

サイバー・セキュリティ事業

ソフトウェア開発・テスト事業

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

1,980,553

466,351

2,446,904

2,446,904

セグメント間の内部売上高又は振替高

26,196

26,196

△26,196

1,980,553

492,547

2,473,100

△26,196

2,446,904

セグメント利益

549,708

29,968

579,676

△81,780

497,896

セグメント資産

3,093,965

289,966

3,383,931

△2,857

3,381,074

セグメント負債

1,140,760

61,940

1,202,701

△2,857

1,199,843

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

28,126

487

28,613

28,613

のれんの償却額

13,972

13,972

13,972

持分法投資利益

34,867

34,867

34,867

持分法適用会社への投資額

328,289

328,289

328,289

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

23,726

23,726

23,726

 

当連結会計年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

合計

調整額

連結財務諸表計上額

 

サイバー・セキュリティ事業

ソフトウェア開発・テスト事業

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

2,587,980

451,465

3,039,446

3,039,446

セグメント間の内部売上高又は振替高

48,351

48,351

△48,351

2,587,980

499,816

3,087,797

△48,351

3,039,446

セグメント利益

876,728

23,903

900,631

△83,629

817,002

セグメント資産

4,037,510

277,962

4,315,472

△4,665

4,310,807

セグメント負債

1,489,953

36,555

1,526,509

△4,665

1,521,843

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

29,968

416

30,384

30,384

のれんの償却額

13,972

13,972

13,972

持分法投資利益

43,694

43,694

43,694

持分法適用会社への投資額

371,984

371,984

371,984

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

61,068

61,068

61,068

 

4.報告セグメント合計額と連結財務諸表計上額との差額及び当該差額の主な内容(差異調整に関する事項)

(単位:千円)

 

売上高

前連結会計年度

当連結会計年度

報告セグメント計

2,473,100

3,087,797

セグメント間取引消去

△26,196

△48,351

連結財務諸表の売上高

2,446,904

3,039,446

 

 

(単位:千円)

 

利益

前連結会計年度

当連結会計年度

報告セグメント計

579,676

900,631

全社費用(注)

△81,780

△83,629

連結財務諸表の営業利益

497,896

817,002

(注)全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

 

 

(単位:千円)

 

資産

前連結会計年度

当連結会計年度

報告セグメント計

3,383,931

4,315,472

セグメント間の債権の相殺消去

△2,857

△4,665

連結財務諸表の資産合計

3,381,074

4,310,807

 

(単位:千円)

 

負債

前連結会計年度

当連結会計年度

報告セグメント計

1,202,701

1,526,509

セグメント間の債務の相殺消去

△2,857

△4,665

連結財務諸表の負債合計

1,199,843

1,521,843

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 本邦の外部顧客への売上高の金額が連結損益計算書の売上高の金額の90%を超えるため、地域ごとの売上高の記載を省略しております。

 

(2)有形固定資産

 当社グループは本邦以外の国・地域に有形固定資産を保有しておりません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円)

 

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

日本電気株式会社

441,192

サイバー・セキュリティ事業

防衛省

392,109

サイバー・セキュリティ事業

リコーITソリューションズ株式会社

259,228

ソフトウェア開発・テスト事業

 

当連結会計年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 本邦の外部顧客への売上高の金額が連結損益計算書の売上高の金額の90%を超えるため、地域ごとの売上高の記載を省略しております。

 

(2)有形固定資産

 当社グループは本邦以外の国・地域に有形固定資産を保有しておりません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円)

 

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

一般社団法人サイバーリサーチコンソーシアム

623,485

サイバー・セキュリティ事業

日本電気株式会社

451,947

サイバー・セキュリティ事業

防衛省

341,777

サイバー・セキュリティ事業

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

 該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)

 該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

 ソフトウェア開発・テスト事業セグメントにおける、のれんの償却額は13,972千円、未償却残高は101,303千円であります。

 

当連結会計年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)

 ソフトウェア開発・テスト事業セグメントにおける、のれんの償却額は13,972千円、未償却残高は87,330千円であります。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

 該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)

 該当事項はありません。