リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)新規サービスの展開について
① 「グリパチ」に続くコアタイトルの育成
当社グループの主力サービスであるバーチャルホール「グリパチ」は、当社グループの売上を支えるコアタイトルでありますが、サービス開始から10年以上が経過した現在、安定的な収益基盤のひとつとして稼働させていくのが主なミッションであり、ここから大きく成長させるフェーズにはないと認識しております。
このため、現在の主力サービスに次ぐ第2、第3の柱となるサービスを早急に育成し、スマートフォン向けコンテンツビジネスにおけるシェアの拡大により事業の安定的な収益基盤が図れるものと考えております。
当社グループは経営基盤の強化と成長性を確保するため、積極的に新規サービスの開発に取り組んでおります。しかしながら、その遂行過程において事業環境の急激な変化や事後的に顕在化する予測困難な問題等が発生し、サービスの開発自体を断念する可能性は否定できません。また、必要な先行投資を行った後、一定期間内に当初予測した収益を上げられなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
新規サービスにおいて、特にスマートフォンゲーム事業はコンテンツ確保のための契約金及び最低保証許諾金(ミニマムギャランティー)については事業の採算性を念頭に優良なコンテンツの選定を進めておりますが、スマートフォンゲーム市場においては、市場環境やユーザーの嗜好、トレンドなど急変する要素が多いことから、サービス開始後においてユーザー趣向に合わず事業計画を下回り、サービス開始から1年以内に事業プロジェクトが当初の計画を達成できない場合にはリスクが顕在化し、事業プロジェクト継続による損失拡大を避ける観点から配信停止等も含めて当該事業に供する固定資産の資産価値について回収可能性を検討し、一部又は全額に対して減損損失の計上を行う可能性があります。当社グループとしましては事業プロジェクトの継続による損失拡大を避けるためにも減損の兆候については推移を見極めるとともに、社内リソースを優先的に集中し事業プロジェクトの計画達成に努めております。
また、スマートフォンゲーム事業を展開する上で、スマートフォンネイティブアプリの開発費は資金負担が非常に重く、一定数の利用者を獲得するまでは先行投資的な支出が続くことや、運営費として企画運営の人件費や優良なコンテンツ確保のための契約金及び最低保証許諾金(ミニマムギャランティー)等も先行して支出され、投下資金回収までの期間において手元流動性の低下が見込まれます。このため、当社グループは運転資金の効率的な調達のため、金融機関からの長期運転資金の借り入れと当座貸越契約の締結により、事業活動のための適切な資金の確保を図ってまいります。
② 新事業領域への投資
当社グループは、中長期的な企業価値の向上に向けて、事業領域の拡大のため他社株式と債権を取得し保有しております。
当社グループとしましては、ユーザー嗜好により急変するゲーム市場のトレンドに合わせたゲームコンテンツを獲得することが当社の事業拡大につながるものと考えており、アプリ事業に未参入の企業や特定ユーザー向けコンテンツに強みをもつ企業との業務提携を行うことで、新しいビジネス領域を開拓し、業務提携先の強みを生かした市場での独占が図れる事業モデルが創出できると考えております。このため、新しいジャンルのサービスに特化した企業と業務提携することで、新サービスを育成するための開発費用の削減や許諾契約までの期間短縮の効果も見込まれることから業務提携を前提とした投資株式については保有していく方針です。
保有する他社株式と債券(以下、投資株式等といいます。)の取得に際し、中長期的視点を踏まえ継続保有の合理性・必要性を確認しておりますが、事業プロジェクトの推進過程の動向により、株式価値等に著しい変動が生じる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
投資株式等の価額は、事業プロジェクト計画に基づく株価算定書の評価額としていることから、保有先企業の経営成績が当初の計画を大きく下回る場合にはリスクが顕在化し、投資株式等の資産価値について評価を見直し、一部又は全額に対して減損損失又は貸倒引当金の計上を行うことになります。当社グループとしましては業務提携先に対し、社内リソースを優先的に提供し事業プロジェクトの計画達成に努めております。
また、投資株式等については、継続的に保有先企業との取引状況、保有先企業の財政状態、経営成績の状況についてモニタリングを実施し、政策保有の継続の可否や保有の合理性について、取締役会における検証を定期的に行っております。
(2)事業展開について
① 「グリパチ」への依存
当社グループのソーシャルゲーム事業で主力サービスであるバーチャルホール「グリパチ」は、着実に会員数を増加させており、当社グループ売上に占める比率が最も高くなっております。このためサービスを展開するプラットフォーマーの事業方針やサービスの変更により運営に支障が生じた場合や、ゲーム市場のトレンドに対して同サービスの価値が陳腐化した場合、競合サイトに対する競争力が低下し利用者数が減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② プラットフォーム提供会社へのコンテンツ提供
当社グループは、収益基盤の拡大に向け、プラットフォーム提供会社が運営する集客力のあるプラットフォームに参加し、コンテンツを提供しております。当該プラットフォーム提供会社に事業方針の変更があった場合、また、当社グループのコンテンツが当該プラットフォームの運営規約の要件を十分に満たさない等の理由により不適切であると判断され、当該プラットフォームにおいてコンテンツの提供を継続できなくなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ Google Inc. 及び Apple Inc. の動向
当社グループは、ソーシャルゲーム等のスマートフォン向けコンテンツビジネスを展開しております。これにともない、当社グループの売上に関してはスマートフォン専用ゲームアプリサービスの比率が高まり、Google Inc. 及び Apple Inc. の回収代行サービスへの依存が大きくなってきております。
これらプラットフォーマーの事業方針の変更により、レギュレーションや審査基準の変更や回収トラブルが生じ、回収代金が減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ ブロックチェーン事業の展開について
当社グループでは、中長期的な事業成長に向け、ブロックチェーン事業を展開しております。ブロックチェーン領域においては暗号資産を取扱うため、暗号資産を保有しており、「資金決済法における暗号資産の会計処理等に関する当面の取扱い」(実務対応報告第38号 2018年3月14日)に従い会計処理を行っておりますが、暗号資産に関しては短期的な時価の変動が激しく、また、市場動向や取引量等の状況から流動性が損なわれ取引が困難となり不利な価格での取引を行う可能性もあります。このため、保有する暗号資産の時価が著しく低下した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤ グローバル展開について
当社グループは、収益基盤の拡大に向け、海外の優良コンテンツを発掘し、国内のニーズに合わせたカルチャライズによりソーシャルコンテンツとしてサービスを展開するとともに、日本の豊富なコンテンツについても海外でのサービスを展開するコンテンツプロバイダー事業を推進しております。しかしながら、グローバルに事業展開を行っていく上で、事業計画が予定通りに進捗しない場合や、各国の法令、規制、政治情勢、為替等の潜在的なリスクや世界的な伝染病等の発生・流行による影響で事業の推進が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑥ パチンコ・パチスロメーカーからの著作権の使用許可
当社グループのコンテンツの多くは、パチンコ・パチスロメーカーから著作権使用の許可を得ております。今後もこれらのパチンコ・パチスロメーカーと良好な関係を維持し、著作権使用の許可を得ていく所存でありますが、これらのパチンコ・パチスロメーカーが独自に当社グループと同様の事業を展開していくような状況になった場合、著作権の使用許可を得ることができなくなる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 競合の激化
当社グループの主力事業であるモバイル事業においては、競合会社が多数存在しております。
当社グループは、ユーザーに対し優良なコンテンツ及び有意義な情報を配信し、競合他社との差別化を図っていく所存ではありますが、既存事業者における競争激化、あるいは新規参入事業者との競争において、当社グループが効果的に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 知的財産権
当社グループの事業分野であるインターネット業界においては、インターネット関連の技術に対して特許を申請する動きが広まっており、商取引の仕組みそのものに特徴を有する特許(いわゆるビジネスモデル特許)の出願も多く行われております。
このような状況におきまして、当社グループは自社開発のソフトウエアに関する技術の保護を図るため、商標権等の出願や第三者の権利に関する調査を積極的に行っております。しかしながら、今後当社グループの事業分野において、第三者の新たな特許等の成立や当社グループが認識していない特許等が既に成立していた場合、当該第三者から損害賠償又は使用差止等の請求を受ける可能性があります。このような状況になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 訴訟等の発生
当社グループが事業を行っていく上で投融資先や取引先等との間で新たに訴訟や係争が生じた場合、将来生じうる訴訟事件等に関する裁判所等の最終判断は、現時点では予想不可能ではありますが、これらの内容及び結果によっては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 技術革新
モバイル業界におけるスマートフォンの急速な普及と技術革新により、ソーシャルゲームを含むモバイルアプリに対するユーザーニーズは日々変化し続けることが予想されます。当社グループが、新サービスの開発において、ユーザーニーズに適合した開発と提供が遅れた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業を展開するソーシャルゲームを含むモバイル事業においては、スマートフォン等のモバイル端末及びPCを含むインターネット関連技術に基づいた事業を展開しておりますが、モバイル端末およびインターネット関連業界では、新技術や新サービスが相次いで開発されており、その技術革新スピードの変化が早い特徴があります。このため、当社グループはこれらの変化に対応する研究開発の推進と技術革新に迅速に対応できる人材を確保するなど体制作りに努めております。しかしながら、当社グループが技術革新のスピードに適切に対応できない場合には、当社グループの技術が陳腐化し競争力が低下する可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑪ システムトラブル
a. プログラム不良によるリスク
当社グループの開発したプログラムその他のソフトウエアに不良箇所が存在した場合、コンテンツ配信サービスの中断・停止をする可能性があります。当社グループでは、配信前に入念なテストを行っておりますが、このような事態が発生した場合、当社グループのコンテンツに対する信頼性の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b. システム不良によるリスク
当社グループの事業は、インターネットを含む通信ネットワークに依存したサービスを行っております。これらの通信ネットワークが予期せぬ天災・事故その他の非常事態等により、切断された場合や、トラフィックの急激な過負荷等により、ネットワークコンピュータシステムが動作不能に陥った場合、当社グループの営業は不能になります。このような事態が発生した場合、当社グループのシステムに対する信頼性の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 個人情報の管理
当社グループの事業において、ユーザーの個人情報をサーバー上に保管する場合があります。これらの個人情報につきましては、当社グループが採用しているネットワークセキュリティにより厳重に管理されております。
さらに、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)に則り、当社グループは個人情報の保護及び取り扱いをより一層強化する所存ではありますが、外部からの不正アクセス等により、個人情報が流出する可能性があります。
現在まで流出の発生事実はありませんが、個人情報が流出した場合、当社グループに対する損害賠償請求や訴訟等の責任追及がなされる可能性があります。また、このような事態に陥った場合、当社グループの社会的信用力の低下等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営環境について
① 株式価値の希薄化について
将来当社グループが大規模な資金調達を行い株式が発行された場合、1株当たりの株式価値は希薄化し、将来の株式市場の動向によっては需要供給のバランスが大幅に変動し、当社グループの株式価値に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保と育成について
当社グループの事業は人材に大きく依存しており、事業の中長期的な事業成長の向けては、一定水準の知見や技術力を有する人材の確保と育成が重要となりますが、これらの人材の確保と育成ができない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは「第2.事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組(2)戦略」に記載した施策を推進し、新卒及びキャリア採用の強化を進めるとともに、柔軟な働き方や女性の活躍を支援する制度等、多様な人材を受け入れるための体制の整備を図ってまいります。
③ 親会社であるCykan Holdings Co., Ltd.(韓国)との関係について
本有価証券報告書提出日現在において、当社グループはコムシード株式会社の議決権の51.00%を持つCykan Holdings Co., Ltd.(以下、Cykan Holdingsといいます )の子会社であることから、Cykan Holdingsは引き続き当社の筆頭株主として、株主権を行使することにより、当社の株主総会の決議事項について決定させる地位を維持することとなります。当社グループはモバイル事業に経営資源を集約し業績の向上を推進しておりますが、財務面におきましても引き続きCykan Holdingsの連結子会社としてCykan Holdingsグループ(以下、サイカングループ)に属することを想定しており、Cykan Holdingsの方針によっては、サイカングループと当社グループとの関係に変化が生じ、当社グループの今後の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
現在、サイカングループ内では、各社の位置付けが明確になっており現時点では想定されないものの、Cykan Holdingsが今後実施するM&A等、将来における環境変化等によりサイカングループと当社グループとの関係に何らかの変化が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、今後におけるサイカングループの当社グループに係る方針等は以下の通りであり、サイカングループと当社グループは、以下の事項に関し合意しております。
a. 当社グループの上場維持への協力について
1) 当社グループのモバイル事業を核とした事業推進を支持し、同事業拡大において大型の資金需要が発生した場合等、サイカングループは必要に応じて財務支援を行っていく予定です。また、サイカングループの経営者は、当社グループの事業推進に対し支援及び助言を継続していく所存です。
2) サイカングループはサイカングループ各社(その投資先企業を含む。)と当社グループとの組織再編行為は行わないなど、当社グループの上場会社としての実質的存続性に疑義が生ずることとなる行為は行いません。
3) サイカングループは当社グループが名古屋証券取引所の定める適時開示及び企業行動規範をはじめとする諸規則等を遵守することに協力します。
b. 当社グループの独立性の確保について
1) 当社グループに対する出資比率の方向性につきましては、サイカングループは株主の立場で適正な株主権の行使範囲において、引き続き親会社として株式を保有していく方針です。なお、サイカングループは当社グループの経営方針の決定及び事業活動の遂行に関して、当社グループ独自の意思決定を尊重し、過度に制約することはありません。また、当社グループの少数株主の権利を保護し、当社グループから不当な利益流出を行わないほか、当社グループの少数株主の権利を尊重します。
2) 当社グループの取締役構成につきましては、当社グループのプロパー従業員から役員登用を行うなど幹部人材の育成を図るとともに、当社グループの企業価値向上実現のために現場に精通し、関連分野における十分な経験と一定の知識を有する適切な人材の登用を図る方針です。
配当政策
3【配当政策】
当社は、利益配分につきましては、株主への利益還元を重要な経営課題と位置づけており、経営基盤の強化に必要な内部留保を確保しつつ、配当を継続して実施していくことを基本方針としております。
当社は、期末配当と中間配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。また、中間配当の基準日は9月30日としておりますが、取締役会の決議により期末配当及び中間配当のほか、取締役会の決議により基準日を定めて剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めております。
当事業年度におきましては、前期に続き繰越利益剰余金が欠損の状況となっております。このため当期及び次期の株主配当につきましても、誠に遺憾ではございますがその実施を見送らせていただくことといたしました。
今後につきましては業績回復に全社を挙げて取り組み、早期に配当原資とすべき利益の計上を行えるよう、収益基盤の強化を図ってまいります。