2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 8,535 100.0 1,467 100.0 17.2

事業内容

3【事業の内容】

当社は、情報サービス事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、ビジネスフィールド別に記載しております。当社では、情報サービス事業のビジネスを事業分野別に分類したものを、ビジネスフィールドと呼んでおり、本文中では「BF」と略しております。

 

(1) 当社の事業内容について

当社は、リアルタイムソフトウェアの提供を主体とするリアルタイム技術専門会社です。

当社では、リアルタイム技術を「時々刻々と変化する外界と密接な相互作用を持ったコンピュータシステムを開発する技術」と定義しており、ユビキタス社会の基盤技術と位置づけております。

 

①リアルタイム技術について

コンピュータは、センサーなどの入力データを、予めプログラミングされた処理を実行して、その結果を制御データとして出力する装置ですが、自然現象を入力とするようなシステムを設計する技術を「リアルタイム技術」といいます。自然現象をセンサーなどで計測して処理をする「センサーベースシステム」や「計測制御システム」などと呼ばれるシステムの設計技術です。

この自然現象は、突然発生したり、集中したり、どんな順序で発生するかが予測できず、また、再現性もありません。このような事象に対して、迅速に対応し、24時間連続で動き、再現性がない事象であってもトラブルを解析できなければならない、高度な信頼性が求められるシステムがリアルタイムシステムです。このリアルタイムシステムは「割り込み処理」「優先処理」「並行処理」といったリアルタイム技術の特有な処理を用いて開発されます。

 

(a) 割り込み処理

割り込みとは、ソフトウェアの処理とは非同期に発生するイベントで、システムに対して決められた電気信号(割り込みイベント)が入ると、現在実行している処理を一時停止させて、割り込みイベントに対応した処理をするものです。

例えばスマートフォンであれば、電話の着信や緊急地震速報の受信、タッチパネル操作やスイッチ・ボタン操作などが割り込み処理に該当します。

(b) 優先処理

リアルタイムシステムでは、時間内に処理を完了させるため、各処理に優先度を設定して、優先度の高い順に実行することができます。優先処理には、優先度の高いものから順に実行する方式のほか、締め切り時刻(デッドライン)が早い処理から順に実行する方式や、処理時間の短いものから順に実行する方式があります。

スマートフォンで例えると、ブラウザでホームページを閲覧している時に電話の着信があった場合に着信の画面に切り替わるのは優先度を高く設定しているためです。緊急地震速報の受信はさらに高い優先度が設定されており、どのような処理中であっても最優先されることになります。

(c) 並行処理

並行処理は、見かけ上、コンピュータに複数の処理を並列動作させるようにするための仕組みです。1つのCPUで複数の命令系列を同時に実行することはできませんが、1回あたりミリ秒あるいはマイクロ秒単位といった短い間隔でCPUを割り当てることで、あたかも複数の処理が同時に動作しているように見せています。

例えば、スマートフォンでは、地図アプリケーションを表示させる処理をしている裏で、GPSの測位処理をするようなケースなどがあります。

 

 

②リアルタイム技術が得意とする分野

当社は、「社会の安全と発展のために」をスローガンとしております。この「社会の安全と発展」に関連する分野の中で、リアルタイム技術を多く使う分野が当社のビジネスフィールド(BF)になります。

創業からの約20年間は「社会の安全=社会インフラ」として社会基盤システムBF、「社会の発展=夢の追求」として宇宙先端システムBFを中心に事業を行ってまいりました。その後、移動体通信事業者向けの基地局のシステム開発を中心とするモバイルネットワークBFを1984年に、インターネットの普及に伴いWebシステムの開発を中心とするインターネットBFを1995年にスタートするなど、事業分野を広げてまいりました。

当社はこの4つのBFでリアルタイムソフトウェアとリアルタイムソリューションを提供しております。

 

(a) 社会基盤システムBF

社会公共性の高いシステムを開発している分野です。高度交通システムや防衛関連システム、医療、環境エネルギーなど、社会公共分野の技術アプリケーションを開発しております。また、国や独立行政法人、地方自治体などで利用される情報システムを開発しております。

(b) 宇宙先端システムBF

科学衛星や惑星探査機に搭載される組込みソフトウェアや、天体望遠鏡の制御、観測データの解析などの宇宙関連システムと、車両自動走行の研究開発や、次世代ロボットに関する研究開発、サービスロボットシステム、各種研究機関向けの技術アプリケーションなどの先端システムを開発している分野です。

(c) モバイルネットワークBF

キャッシュレス決済端末や車載端末などモバイルデバイスを使ったサービスシステムや、スマートコンストラクションに関するシステム、XR(クロスリアリティ)など次世代技術を使ったエッジデバイスのソフトウェアを開発している分野です。

(d) インターネットBF

非接触ICに搭載される組込みソフトウェアや、IoT関連システム、民間企業向けの技術アプリケーションやクラウドシステムなどを開発している分野です。

 

(2) 子会社について

当社には、非連結子会社が1社(AMSEC,INC.)あり、当社より米国最新技術及びビジネス動向調査を委託しております。

 

 

(3) 事業系統について

当社は、移動体通信事業者、電機メーカー、自動車メーカー、各種研究機関、官公庁などに技術サービスを提供しております。

当社の事業系統図は以下のとおりであります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における我が国情報サービス業の業況は、経済産業省「特定サービス産業動態統計」によると、2023年4月以降の月別売上高は前年同月比で増加しており、IT需要は全体的には概ね堅調と推察されます。当社事業分野では、サービスロボット関連やスマートコンストラクション関連の開発が大幅に増加したことに加え、官公庁向けの開発も引き続き好調であるなど、需要構造の変化が継続しております。

こうした傾向の中、当社は、重点テーマであります「先端技術を窮め、オープン・イノベーションで事業成長を目指す」を実践し、増収増益となりました。

ビジネスフィールド(以下、ビジネスフィールドをBFと省略)別には、モバイルネットワークBFは、スマートコンストラクション関連の開発が大幅に増加し、売上高は1,248百万円(前年同期比6.4%増)となりました。インターネットBFは、民間企業向けの開発が増加し、売上高は1,155百万円(同13.5%増)となりました。社会基盤システムBFは、環境分野や医療・福祉分野をはじめとした官公庁向けの開発が引き続き好調で、売上高は3,325百万円(同21.5%増)となりました。宇宙先端システムBFは、宇宙関連の開発が堅調であることに加え、サービスロボット関連の開発が大幅に増加し、売上高は2,804百万円(同9.6%増)となりました。

この結果、全社売上高に占める割合では、社会基盤システムBFが上昇し、インターネットBFがほぼ前年同期並みとなり、モバイルネットワークBF、宇宙先端システムBFが減少しております。

以上の結果、当事業年度の業績は、売上高8,534百万円(前年同期比14.0%増)、営業利益1,467百万円(同20.7%増)、経常利益1,547百万円(同21.1%増)、当期純利益1,105百万円(同25.8%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ108百万円減少して、期末残高は2,968百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果得られた資金は384百万円となりました。これは主に、税引前当期純利益1,547百万円による増加、売上債権の増加836百万円による減少、法人税等の支払額441百万円による減少の結果であります。前年同期と比較して142百万円の収入減となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果支出した資金は139百万円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出201百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入100百万円、有形固定資産の取得による支出33百万円によるものであります。前年同期と比較して164百万円の支出減となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果支出した資金は352百万円となりました。これは主に、配当金支払いによる支出350百万円によるものであります。前年同期と比較して28百万円の支出減となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社は単一セグメントであるため、ビジネスフィールド別に記載しております。

 

(a) 生産実績

当事業年度の生産実績をビジネスフィールド別に示すと、次のとおりであります。

ビジネスフィールド

金額(千円)

前年同期比(%)

モバイルネットワーク

1,248,537

106.4

インターネット

1,078,228

116.8

社会基盤システム

3,301,431

121.7

宇宙先端システム

2,781,148

109.3

合計

8,409,346

114.4

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.リアルタイムソリューションの製品ビジネスは、サービスの性格上生産実績を定義することが困難であるため、金額に含まれておりません。

 

(b) 受注実績

当事業年度の受注実績をビジネスフィールド別に示すと、次のとおりであります。

ビジネスフィールド

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

モバイルネットワーク

1,197,346

98.7

234,457

82.1

インターネット

1,235,635

127.4

323,156

132.9

社会基盤システム

5,030,820

150.1

4,323,720

165.1

宇宙先端システム

3,077,582

122.2

888,336

144.3

合計

10,541,384

130.9

5,769,672

153.3

 

(c) 販売実績

当事業年度の販売実績をビジネスフィールド別に示すと、次のとおりであります。

ビジネスフィールド

金額(千円)

前年同期比(%)

モバイルネットワーク

1,248,537

106.4

インターネット

1,155,694

113.5

社会基盤システム

3,325,431

121.5

宇宙先端システム

2,804,868

109.6

合計

8,534,531

114.0

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析

a.当事業年度の経営成績の分析

(a) 売上高

売上高は、サービスロボット関連やスマートコンストラクション関連の開発が大幅に増加したことに加え、官公庁向けの開発も引き続き好調であるなど需要環境は好調で、前事業年度と比較して1,045百万円増加し、8,534百万円となりました。詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(b) 営業利益

売上原価は、外注費の増加、社員数の増加やベースアップによる人件費の増加などにより、前事業年度と比較して736百万円増加し、5,983百万円となりました。売上総利益は、前事業年度と比較して308百万円増加し、2,550百万円となりました。売上総利益率は29.9%となり、前事業年度と同水準となりました。

販売費及び一般管理費は、新入社員の増加などに伴う人件費の増加、研究開発費の増加などにより、前事業年度と比較して57百万円増加し、1,083百万円となりました。

以上の結果、営業利益は、前事業年度と比較して251百万円増加し、1,467百万円となりました。

当社では、会社理念の方針のひとつである「質重視経営」の成果は売上高営業利益率に表れると考えてその向上に努力しております。当事業年度は15.9%で計画しましたが、計画を1.3ポイント上回って17.2%となり、前事業年度と比較して1.0ポイント改善いたしました。

(c) 経常利益

営業外収益は、受取出向料が減少したものの、研究開発の補助金収入が大幅に増加したことにより、前事業年度と比較して17百万円増加し、82百万円となりました。

営業外費用は、前事業年度と比較して0百万円減少し、1百万円となりました。

以上の結果、経常利益は前事業年度と比較して269百万円増加し、1,547百万円となりました。

(d) 当期純利益

特別利益、特別損失は発生しませんでした。

法人税・住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた法人税等の合計は、賃上げ促進税制適用による税負担の減少などにより、前事業年度と比較して42百万円の増加にとどまり、442百万円となりました。

以上の結果、当期純利益は前事業年度と比較して226百万円増加し、1,105百万円となりました。

 

b.当事業年度の財政状態の分析

(a) 資産の状況

当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ923百万円増加し、10,108百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少108百万円・売上債権(受取手形、売掛金及び契約資産)の増加831百万円などによる流動資産の増加742百万円、投資有価証券の増加143百万円などによる固定資産の増加181百万円によるものであります。

(b) 負債の状況

負債は、前事業年度末に比べ128百万円増加し、1,710百万円となりました。これは主に、買掛金の増加106百万円・未払消費税等の増加60百万円・賞与引当金の増加14百万円などによる流動負債の増加148百万円、長期未払金の減少27百万円などによる固定負債の減少20百万円によるものであります。

(c) 純資産の状況

純資産は、当期純利益による増加、自己株式取得による減少、配当金支払いによる減少などの結果、前事業年度末に比べ795百万円増加し、8,398百万円となりました。自己資本比率は前事業年度末の82.8%から83.1%となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.当事業年度のキャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ108百万円減少して、期末残高は2,968百万円となりました。詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.資金需要の主な内容

当社の資金需要は、主に生産活動に必要となる人件費、外注費となります。これらについて、現在手元資金でまかなえる状況でありますが、手元資金の変動を平準化し、突発的な資金需要に備えるため、賞与資金の一部について短期借入を行っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。