リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会計制度の変更、税制等の改正について
わが国では制度改正が頻繁に行われており、特に新リース会計基準の強制適用時期は間近となっております。またIFRS(国際会計基準)の強制適用時期は未定ではあるものの、任意適用を選択する企業は増加しております。
このような制度改正やIFRS(国際会計基準)の任意適用の選択等は、ユーザー企業のシステム更新を促す要因となることから、ビジネスチャンスとなりうる反面、既存のパッケージ製品の陳腐化を招く可能性があります。当社グループでは、公認会計士やコンサルティングファームとの連携強化及びSEの会計知識・業務知識のレベルアップを通じて、制度改正に一層柔軟に対応できる開発体制、製品供給体制を構築していく方針でありますが、制度改正に適時適切に対応しきれなかった場合や顧客ニーズに適合した製品の開発・供給が不十分であった場合、あるいは販売競争の激化が一層進展した場合、当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。
(2)ユーザー企業のシステム投資動向について
当社グループは、業務アプリケーションシステムの開発・販売を中心に行っていることから、当社グループの経営成績は、ユーザー企業のシステム投資動向の影響を受ける可能性があります。
(3)経営成績の偏重等について
会計等に係る業務関連の新システム導入に関しては、新年度からの稼働を望むユーザー企業が多く、特に国内の多くの企業の決算月が3月に集中していることから、当社グループの経営成績は3月の売上及び利益の計上が他の月と比べて高くなる傾向があります。また、カスタマイズを行なったパッケージソフト及び受託開発案件について、ユーザー企業の検収が3月に集中しているため、検収の遅れが発生した場合には、売上及び利益の計上が翌期となる可能性があります。
(単位:百万円)
(会計期間) |
2024年3月期 |
|||
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
|
売上高 |
1,296 |
1,730 |
1,885 |
1,900 |
営業利益 |
23 |
392 |
569 |
647 |
経常利益 |
39 |
403 |
751 |
683 |
親会社株主に帰属する四半期純利益 |
26 |
274 |
537 |
511 |
(4)ユーザー企業のニーズへの対応等について
当社グループが提供しているパッケージシステムは、ユーザー企業の利用状況、資産規模等によって個別のカスタマイズが必要となる場合があります。特に対象となるユーザー企業の規模が大きければ大きいほど、開発・導入にかかる期間が長期化する傾向があります。当社グループでは、これら長期にわたるプロジェクトについては、開発工程あるいは期間毎に契約を行ない、完成部分に対する検収を通じて売上計上を行なうこととしております。しかしながら、システム面での不具合、バグ等を完全に除去することは困難であるため、不具合を解消するための追加的なコストが発生した場合、あるいはユーザー企業側の既存システムにも影響を与えるようなシステムトラブル等が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(5)情報セキュリティ対策について
当社グループは、ユーザーのニーズを的確に把握するために、多種多様な重要情報を取扱う機会があります。当社グループは、これらユーザーとの間において守秘義務契約を締結し、重要情報の取り扱いに際しては、当社グループのコンプライアンス関連規程・マニュアル等に則り厳格に運用し、当社グループ内部からの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。しかしながら、万一、当社グループによる情報の紛失、破壊、漏洩等の発生、又は外部からの不正手段による当社グループシステムへの侵入等が生じた場合には、当社グループへの損害賠償請求又は信用低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)自然災害・感染症等について
地震や台風等の自然災害、未知のコンピューターウイルス、テロ攻撃、システムトラブル又は伝染病といった事象が発生し、当社グループがそれらの影響を受けた場合には、業績に影響を与える可能性があります。当社グループではシステムをクラウドにより管理するなどリスクの分散を図っておりますが、当社グループの拠点地域において、これら自然災害等が発生した場合には多大な損害を被る可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ウクライナや中東での紛争による影響については、当社の主力製品である「ProPlus固定資産システム」が、大企業を中心としたあらゆる業種に導入されており今後も安定的な引き合いが見込まれること、また当社グループにおいてテレワーク体制を整備し、新型コロナウイルス感染症の拡大前と変わらぬ生産性を実現していることから、当該感染症が当社グループ業績に与える影響は限定的であると考えております。
(7)知的財産権等について
当社グループは、保有する知的財産権、プログラム著作権、高い専門性や技術力及び長年培ってきた業務スキル・ノウハウ等の社内管理体制を強化しております。しかしながら、当社グループがメインとしている業務アプリケーションシステムの分野における技術革新に伴い、当社グループが認識していない知的財産権の成立等により、第三者から知的財産権侵害の訴訟、又は使用差止請求等を受けた場合には、多額の費用と時間がかかることにより、業績に影響を与える可能性があります。
(8)協業及び販売体制について
当社グループの販売形態は、直接ユーザーから受注する直接販売と、システムインテグレーターやコンサルティングファーム等(日本電気㈱、日鉄ソリューションズ㈱、㈱電通国際情報サービス、NTTコムウェア㈱等)と協同で受注する間接販売があります。直接販売、間接販売ともにユーザーと直接、特定プログラム使用許諾契約を締結し、プログラム著作権は当社グループが留保する形態となっております。
現在、上記のシステムインテグレーターやコンサルティングファーム等とは良好な取引関係を維持しておりますが、何らかの理由で協業・取引関係の維持が困難となった場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(9)中国及びASEANへの進出について
当社グループは、海外展開を今後の成長戦略の一つとして位置付け、中国及びASEANを主なターゲットとして海外展開を進めております。中国については、2005年4月に大連市に現地法人を設立しており、ASEANにおいては現地パートナー企業と協業し、現地でのセミナー開催等を行っております。中国及びASEANは、経済発展に伴い、日本と同様に高度なシステムニーズが見込まれることから、当社グループが提供するシステムの販売市場が存在し、それが拡大していくものと考えております。
しかしながら、中国及びASEANの法令制度や取引慣行あるいはインフラの整備状況等により、当社グループの進出に支障をきたす可能性があります。また、事前調査による予想が不可能な事象が発生した場合には、当該投資の回収が見込みどおりに進まず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)人材の確保、育成について
当社グループが事業拡大を進めていくためには、スキルの高い優秀なスタッフを確保することが重要な要素であると考えております。しかしながら、ソフトウェア業界での人材獲得競争は激しく、業務上必要とされる知識及び経験を備えた人材を確保できないリスクがあります。
当社グループでは、優秀な人材の採用については最重要の課題と認識して取り組んでおりますが、優秀な人材を十分かつ適時に確保できなかった場合及び社内の有能な人材が流出してしまった場合には、今後の事業展開に制約を受けることとなり、業績に影響を与える可能性があります。
(11)ストック・オプション及び譲渡制限付株式について
当社グループは、当社の取締役及び従業員に対して、これまで9回にわたりストック・オプションを付与しております。また今後は、優秀な人材を確保すると共に取締役及び従業員のモチベーションの向上を図るため、譲渡制限付株式報酬の付与を実施することと致しました。
ストック・オプションは、取締役及び従業員の業績向上に対する意欲や士気をより一層高めるものであり、必ずしも既存の株主の利益と相反するものではありませんが、ストック・オプションの権利行使が行われた場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、ストック・オプションの行使により取得した株式が市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。また、譲渡制限付株式は流動性が低いため、株式の買い占めによる当社の乗っ取りが発生する可能性は一般的に低いものの、そのリスクを全く否定することはできないと考えられます。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要課題として認識しており、配当政策の基本方針として自己資本の充実と
収益力の向上を図るとともに、積極的に株主への利益還元に取り組む方針であります。
当社は、期末に一括配当することを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。当事業年度の配当につきましては、最近のIT向け設備投資動向等を踏まえて総合的に勘案した結果、1株当たり50円00銭の期末配当を実施することといたしました。この結果、当期の配当性向は45.6%となりました。
内部留保資金につきましては、安定的経営基盤を確保する一方、技術革新の著しいIT産業において持続的な成長を図るため、スキルの高い人材確保・教育のための投資、新製品開発・新規事業開拓のための研究開発投資及びコンピューター関連設備等への積極的な先行投資を行う所存であります。
当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年6月20日 |
615,729 |
50.00 |
定時株主総会決議 |