2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避、および発生した場合の対応に努める所存であります。文中における将来に関する事項については有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 事業環境の変化に伴う影響について

ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学的リスクから、原材料価格の更なる高騰やグローバルなインフレの拡大に伴い、企業の情報化投資の抑制傾向が強まると、それまで予定されていたシステム開発の案件が中断・縮小される可能性があります。こうした企業の情報化投資削減により、当社技術者の稼働率が低下し、売上高減少・収益悪化となる可能性があります。このような状況が長引き、当社予想に反し企業の情報化投資が動き出さない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。顧客の情報化投資削減は、顧客の業績悪化の6~12か月後に現れる傾向があり、顧客の業績動向を注視すると共に、必要に応じて技術者を最適配置しております。

また、事業環境の変化における影響はユーザーの業種や地域によって影響度合いが大きく異なるため、如何に影響の少ないユーザーを確保するかが今後の課題であり、事前にユーザー動向を正確にキャッチし、対策と準備を欠かさず実施する方針であります。

 

(2) 主要顧客との取引について

当社の主要商圏であります東海地区におけるトヨタグループとの取引は、重要な位置を占めておりますが、大手システムインテグレーターを経由して受注しており、トヨタ自動車株式会社本体の業務となる売上高は下記のとおりであります。

 

売上金額

売上比率

2023年3月

3,855百万円

17.8%

2024年3月

4,086百万円

17.5%

 

現状は、自動車関連製造業を中心に受注が順調に推移しており、顧客との取引は安定的に推移しておりますが、トヨタ自動車株式会社の事業動向によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

トヨタグループとの取引の拡大を推進すると共に、他の顧客の取引や新規顧客との取引も拡大することで売上比率が極端に偏らない方針としております。

(注)当社では、トヨタ自動車株式会社の連結子会社、関連会社をトヨタグループとしております。

 

(3) 業績の季節変動について

当社の四半期における営業利益、経常利益が、第1四半期が他の四半期に比べ低い傾向にあります。これは新入社員の配属が第2四半期以降になるためであり、今後もこの傾向は続くものと考えております。

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日

通期

 

 

上半期

 

 

下半期

 

第1四半期

第2四半期

 

第3四半期

第4四半期

 

 

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 (百万円)

5,555

5,752

11,308

5,931

6,080

12,012

23,320

構成比(%)

23.8

24.7

48.5

25.4

26.1

51.5

100.0

営業利益

 

 

 

 

 

 

 

 (百万円)

472

714

1,186

778

738

1,516

2,703

構成比(%)

17.5

26.4

43.9

28.8

27.3

56.1

100.0

経常利益

 

 

 

 

 

 

 

 (百万円)

485

723

1,209

784

775

1,559

2,768

構成比(%)

17.6

26.1

43.7

28.3

28.0

56.3

100.0

 

 

 

(4) 低収益ならびに不採算プロジェクトの発生可能性について

当社では、品質管理強化に向けたPRM (プロジェクト・リスク・マネジメント)活動を強化した「PRiMER」(注)を重要な柱として位置付け、システム開発部門、経営企画部門が連携を密にし、受注時の利益の確保とリスク回避のための改善活動を組織的に推進しております。しかしながら、受託した案件のうち、開発の難易度やバグ(コンピュータプログラムに含まれる誤りや不具合のこと)等の想定外のコスト発生のため、収益の低いプロジェクトが発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)プロジェクトの計画段階から進行段階に至るまでの重要なチェックポイントを定義し、プロジェクトリスク管理と、その状況報告の手法ならびに運用を、当社がプロジェクト・リスク・マネジメントとして体系化したものです。当社社員とプロジェクト管理をより密接なものと捉えることから「Project Risk Management and Educational activities for System Research」とし、略してPRiMERと名付けました。

 

(5) 技術者および協力会社の確保、育成について

情報システムの設計、構築等は、知識集約型の業務であると同時に労働集約的な面があり、事業拡大のためには一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保が不可欠なものと認識しております。現時点では、当社の人事制度・教育制度により、必要な技術者は確保されておりますが、労働市場の逼迫により当社が必要とする優秀な技術者または労働力を確保、育成できない場合、または当社の従業員が大量に退職した場合には、当社の事業展開が制約される可能性を有しております。このため、プロジェクト管理者および技術者の育成や、積極的な採用活動に努めると共に、働き方改革等を通じて労働環境の改善に取り組んでおります。

また、当社は業務上必要に応じて、協力会社に外注しております。現状、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、協力会社において質・量(技術力および技術者数)が確保できない場合は、当社の事業運営に支障をきたすことが考えられ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。このため、協力会社と良好な取引関係を継続すると共に、優秀な協力会社と取引できるよう営業活動を推進しております。

 

(6) ソフトウエアパッケージの開発・販売について

ソフトウエアパッケージの開発は、OS(基本ソフト)や開発ツールのバージョンアップやベンダー側からの製品サポートの終了等予想を超える事態により開発計画の遅延・コスト増ならびに品質精度の問題が発生する場合があります。また、ソフトウエアパッケージ市場の動向等により将来の収益計画を下方修正するに至った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。このため、ソフトウエアパッケージ市場動向を注視すると共に、ベンダーより積極的に情報収集しております。

 

(7) 法的規制等について

当社は事業活動を行うにあたり、「個人情報保護法」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、「労働者派遣法」という)、「下請代金支払遅延等防止法」等関係法令の規制を受けております。

当社は、労働者派遣法に基づき一般労働者派遣事業の認可(許可番号 般23-300001(現番号 派23-300001))を得ております。なお、労働者派遣事業は労働者派遣法第6条の欠格事項が設けられており、この欠格事項に該当するときは、事業の許可が取り消されるか、事業の停止となる旨が定められております。

当社は法令を遵守した事業を運営するため、コンプライアンス委員会の定期開催や監査の実施等の対策を講じておりますが、万一法令違反に該当するような場合、または法的な規制が変更等になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、許可の有効期限の満了後、許可が更新されない場合においても労働者派遣事業ができないこととなり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は事業活動を行うにあたり、協力会社から派遣された技術者と一体となってプロジェクトを組織しシステム開発を行うことがありますが、当社が継続利用している協力会社が、許可の有効期間の満了後、許可が更新されない場合や、法的な規制が変更等になった場合、技術者の確保が困難となり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、下請代金支払遅延等防止法でいう下請業者に当たる協力会社に対し開発を依頼しております。現在では支払代金の遅延等を未然に防止する体制を構築しておりますが、万一法令違反に該当するような場合、または法律の改正等が行われた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 個人情報の管理および情報セキュリティについて

高度情報化社会の進展に伴い、個人情報の保護は極めて重要な問題となっております。企業が取り扱う機密情報や個人情報について、情報管理が不十分であると会社経営に重大な影響を与える可能性があることを認識しております。また昨今、マルウェア感染やサイバー攻撃等、インターネット上での犯罪行為が高度化、巧妙化しており、悪意ある攻撃に当社が晒される危険性もあります。

当社は、システム開発事業において、取引先の顧客データを取り扱うことがある事業環境にありますので、顧客の安全性・信頼性に重点を置いた政策をとり、ISO9001に準拠した品質重視の開発・運用の推進、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム/ISO27001)認証取得企業として、情報セキュリティ対策の強化に取り組んでおります。また脅威メール対策やゼロトラストネットワークの導入により、外部からの攻撃への対策を実施しております。

しかしながら、今後、不測の事態や外部からの悪意ある攻撃により、顧客情報や従業員の個人情報の漏洩、長期間に及ぶ事業活動の停止といった状況が発生した場合には、社会的な信用等の失墜や損害賠償責任の発生、修復に要する多額の費用の発生等、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 自然災害等の発生について

当社の本社は、東海地震や東南海地震等の大規模な地震や、低い海抜の地域への水害が想定される東海地方にあります。こうした自然災害のほか、火災、停電、感染症等により、コンピュータ機器の破壊やデータの破損・消失、人的被害等でシステム開発能力の低下に陥る可能性があるため、当社では本社基幹サーバの代替機保管やデータのクラウド保管・システムのクラウド化、危機管理委員会の定期開催や安否確認訓練の実施、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策を講じております。

しかしながら、大規模な自然災害等によるリスクの全てを回避することは困難であり、これにより、事業の復旧に多大な費用が生じ売上が減少した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)M&A、資本提携等について

当社では今後の事業拡大への経営資源を取得するために、M&Aによる企業買収や資本提携等も積極的に推進してまいります。それらを実施する場合には、対象となる企業の財務内容や事業についてのデューデリジェンスを行い、事前にリスクを把握するとともに、収益性や投資回収の可能性について検討しています。

しかしながら、国内外の経済環境の変化等の理由から、当社がM&Aや資本提携等を行った企業の経営、事業、資産等に対して十分なコントロールを行えない可能性があります。結果として当社が期待したシナジーが得られず、当社が既に行った投資額を十分に回収できないリスクが存在し、当初の期待通りに事業を展開できない場合には、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

株主への配当につきましては、当社の株式を長期的かつ安定的に保有していただくため、安定配当を基本方針としております。また、株主還元の一層の充実を図るべく配当性向40%を目標としてまいります。

剰余金の配当につきましては、期末配当の年1回を基本的な方針としておりますが、取締役会の決議により、9月30日を基準日として会社法第454条第5項の規定による中間配当を行うことができる旨を、定款に定めております。

当社は、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議により剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に掲げる事項を決定することができる旨を、定款に定めております。

当事業年度の剰余金の配当金につきましては、継続的な安定配当の基本方針のもと、1株当たり80円(連結配当性向33.9%)とさせていただくことを2024年5月27日開催の取締役会にて決議いたしました。

内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開への備えとして留保していくこととしております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2024年5月27日

取締役会決議

668,631

80