2024年5月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループとしては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要と考えられる事項については投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項以外を慎重に判断した上で行われる必要があると考えられます。

 文中の将来に関する事項は、本書提出日(2024年8月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社グループの事業について

(人材の確保について)

 当社グループの主要事業であるSES事業においては、ITエンジニアによる役務及び生産活動が収益の源泉となっており、人材の育成及び優秀な人材の確保が重要な課題であると考えております。当社グループにおきましては、採用活動の強化、研修カリキュラムの充実、雇用条件の改善、全社的なコミュニケーションの積極化等に取り組む方針であります。

 しかしながら、他の業界への人材流出等の雇用環境の変化があった場合、当社グループが求める人材が計画どおり採用できなかった場合又は採用した人材が育成できず収益への寄与が計画どおりでなかった場合等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(拠点拡大の事業戦略について)

 当社グループはSES事業及びソリューション事業において、福岡県福岡市に本社及び研修施設、東京都千代田区に支店を設置しております。当面は、この2拠点を中心に事業を拡大してまいりますが、将来的な事業戦略としては、その他の主要地域へのSES事業及びソリューション事業の拡大による支店・営業所の設置、研修施設の設置を考えております。

 しかしながら、支店・営業所及び研修施設の設置が行えなかった場合又は設置後SES事業及びソリューション事業の取引先開拓及びIT人材の募集・育成が行えなかった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(受託開発プロジェクトにおける採算性について)

 当社グループのソリューション事業の中でも受託開発案件は、顧客の要求する品質及び性能のソフトウエアを定められた期日に納めることで収益を得ております。当社グループは、過去において、受注金額の見積りの精査が不十分であったケース、社内生産工程での管理が不十分であったケース等があり、見積り精度の向上やプロジェクト管理の徹底に取り組んでおります。

 しかしながら、技術の高度化やシステムの複雑化又は当社グループのプロジェクト管理の不徹底等により、当社グループの採算性の悪化及び顧客からの信用失墜等があった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(事業環境について)

 当社グループの主要事業であるSES事業及びソリューション事業を取り巻く情報サービス業界においては、クラウドサービスの活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、社会全体としてIT活用の流れが一層増加しており、企業によるIT関連への投資意欲は底堅く、堅調に推移するものと考えております。

 しかしながら、諸外国の問題から企業がIT投資を急激に減少させることも懸念され、ITエンジニアの過剰供給による業界内での競争激化が進む可能性も考えられます。また、技術の高度化、システムの複雑化に伴い、とりわけ優秀な高度IT人材の慢性的不足という状況も顕著化しております。

 このため当社グループは、このような外部環境のもと、業界内での優位性を保つために、「従業員の技術的・知識的満足度の向上」「従業員の収入的満足度の向上」を柱に一層技術の研鑽に努め、お客様の満足度を高めていく方針であります。

 

(2) 法的規制について

(労働者派遣法について)

 当社グループの主要事業であるSES事業の派遣登録者の派遣については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下、「労働者派遣法」という。)」の規制対象であり、厚生労働大臣より派遣事業の許可を受けなければ、派遣登録者の当該派遣事業を営むことができません。当社グループは、2000年12月1日より一般労働者派遣事業の許可を得ており、当該許可の次回更新時期は2028年11月30日であります(許可・指定番号:派40-01-0197)。

 しかしながら、今後、派遣業種の変更等の法改正があった場合又は欠格要件に抵触することにより許可取り消し等があった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(社会保険の加入について)

 当社グループは、従業員、契約社員、派遣登録者を多く擁しており、社会保険制度の遵守の徹底に取り組んでおります。現在の社会保険加入対象者の加入率は100%であります。

 しかしながら、今後、社会保険料率や加入対象範囲等の改定があった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) その他

(個人情報の保護について)

 2005年4月1日の個人情報保護法の施行を契機とし、様々な業種において個人情報の管理が重要視されるようになりました。主に人材の個人情報を取扱う当社グループにおきましても、個人情報の厳重な管理に取り組むとともに、プライバシーマークを取得しております(認定番号:第18820138(09)号)。

 しかしながら、故意、過失等による個人情報の漏洩の発生により、社会的信用の失墜や損害賠償請求等があった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(顧客の機密情報の管理について)

 当社グループの主要事業であるSES事業及びソリューション事業においては、リリース前のシステム製品の企画・設計情報や導入技術に関する情報を入手することや、顧客が保有する個人情報を取り扱う可能性があります。当社グループでは、従業員、契約社員及び派遣登録者からの誓約書の徴求、外注会社との契約における機密情報の取扱いに関する定め等により、これらの顧客の重要な機密情報の取扱いに細心の注意を払っております。

 また、2010年12月4日に、情報セキュリティ基本方針に基づき、業務で保有する情報やお客様から提供を受けた情報など重要な情報資産の安全確保や機密保持を行う目的で情報セキュリティマネジメントシステムの国際基準である「ISO/IEC27001:2013」の認証(審査登録証:IA100814、認証範囲:ソリューション事業)を取得し、顧客の機密情報の管理を強化いたしました。

 しかしながら、故意、過失等による情報漏洩の発生により、顧客からの信用失墜や損害賠償請求等があった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主の皆様に対する配当での利益還元を経営の重要課題と位置づけております。当社は、利益配当金につきましては、事業成長に必要かつ十分な内部留保を維持する政策をとりながら、当社の経営成績及び財政状態等を総合的に判断し、株主の皆様に対し、配当での利益還元を積極的に実施していくことを基本方針としております。

内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当社は「取締役会の決議により、11月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

しかしながら、当事業年度におきましては国外の政情不安による国内景気への影響など先行きが見通せない経営環境の下では、手元流動性資金の確保を最優先と考え、経営と雇用の安定化に備えることが最善であると判断いたしまして、誠に遺憾ではございますが無配とさせていただきました。

株主の皆様に対して深くお詫び申し上げます。また、当社グループが現在置かれている状況につきまして、何卒ご理解賜りますよう重ねてお願い申し上げます。