2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

社会インフラ事業 先進インダストリー事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
社会インフラ事業 9,731 62.9 2,138 62.6 22.0
先進インダストリー事業 5,732 37.1 1,278 37.4 22.3

事業内容

3【事業の内容】

 当社は1976年の創業以来、独立系システム開発企業として、暮らしと社会を支える社会インフラシステムの提供を通じ、今日のDX・IoTに不可欠な「監視」「通信」「制御」技術を強みに事業基盤を拡充してまいりました。

 現在は、国内の社会インフラ関連企業や大手メーカーに対し、社会インフラ事業、先進インダストリー事業、ソリューション事業の3事業を主軸に、デバイス制御(センシング、OSを含む)からネットワーク、大規模インフラ、クラウドシステムまで、お客様の事業特性と「ICTシステムのライフサイクル(※)」にあわせたワンストップソリューション(コンサルティング~設計~開発~保守)を提供しております。

 社会インフラ事業では、「エネルギー(電力・ガス)」「交通」「次世代通信」「公共・防災」「デジタルサービス」などの領域で、暮らしや社会を支えるICTシステムを提供しております。

 先進インダストリー事業では、日本の高度なモノづくりを担う企業(「モビリティ」「医療・ヘルスケア」「産業機器」)やサービス事業者が取り組むDX・IoTの実現に最先端テクノロジーを駆使し、貢献しております。

 ソリューション事業では、「GIS:地理情報システム」「IoT空間情報」「セキュリティ」をコアテクノロジーとしたValueソリューションの提供を通じ、新たな価値の創造・提供に取り組んでおります。

 

 事業推進体制では、国内(5拠点)に、ベトナム(3拠点)を加えたグローバル分散開発体制を確立しており、海外オフショア開発を統括する100%子会社「アドソル・アジア株式会社」及び関連会社による「アドソル・グループ」を形成しております。

 加えて、中期経営計画で掲げた事業戦略を加速させるため、国内外の最先端企業とのアライアンス体制の構築や、AI研究所によるAI等の最新技術に関する調査・研究、米国サンノゼ・シリコンバレーの100%子会社「Adsol-Nissin San Jose R&D Center, Inc.(アドソル日進サンノゼR&Dセンタ)」におけるリサーチ、各大学・研究機関との共同研究等を推進しております。

 人材育成面でも積極的な投資を行っております。社員の保有資格数は一人当たり平均5資格以上であり、中でも、高品質なシステムインテグレーションサービスの提供に向けて取得を推奨しているPMP(Project Management Professional:プロジェクト管理の国際標準資格)は、社員技術者の4人に1人が保有しております。さらに、DXへの対応を強化するため「ICT・業務コンサルタント」「データサイエンティスト」「AIエンジニア」等の育成にも注力しております。

 

 ※ICTシステムのライフサイクル

 一般に、ICTシステムのライフサイクルは、システムの新設、更新に関するコンサルティングの提供、システムの企画提案から要件定義、開発に至るまでのシステム構築、並びにシステムの稼動に関連する試験、教育、運用等のサポートの工程により構成されています。

 当社グループはこのライフサイクルにおいて、新設・更新時にはコンサルティング、システム構築においては、開発に係る技術・サービス、システム稼働に際しては保守運用サービスを提供しております。(下図参照)

 

 

 

 

 ※事業系統図

 当社グループがコンサルティングサービスやソリューションを提供するに際しては、国内外の最先端企業とのアライアンスや共創活動と独自マーケティングに基づき、グローバルトレンドを踏まえたシステム提案及びオリジナルソリューションの開発・提供を行っています。

 また、ICTシステムを構築する際には、その規模やシステム特性に応じ、国内・海外(ベトナム)の協業パートナーから技術・サービスの提供を受けています。

 なお、当社グループが構築したICTシステムやソリューションを提供する方法としては、顧客(国内の社会インフラ関連企業や大手メーカー)へ直接提供する方法と、国内外のアライアンスパートナー(メーカーやシステムインテグレーション企業)及び販売パートナーとの共創により提供する方法とがあります。

 以上に述べました事項を事業系統図によって示すと、以下のとおりです。

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における我が国経済は、資源・エネルギー価格や物価のさらなる上昇、慢性的な人材不足、国際情勢不安などが継続する一方、企業の設備投資やインバウンド需要の増加、個人消費の拡大などを背景に、景気は緩やかな回復基調が続きました。

 当社グループ(当社及び連結子会社)が属するICT市場においては「生産性・効率性向上のためのDX」「老朽化したシステムの刷新/モダナイゼーション」「デジタルデータを利活用したビジネスの創出」「AIを活用したサービス提供」などのテーマに対する旺盛なニーズのもと、企業の投資意欲は高水準で推移いたしました。

 当社の主要顧客(社会インフラを支える企業や、日本のモノづくりを担う先進的なインダストリー企業など)においても、これらテーマによるICTシステム投資や、当社が貢献を目指す領域(カーボンニュートラルやスマートシティ)を見据えた取組みを推進しており、引き合いは継続的に増加いたしました。

 

 このような環境下において、当社グループは、中期経営計画「New Canvas 2026(2024年3月期~2026年3月期)」のもと、中長期的かつ持続的な成長に向けた次の重点施策に取り組みました。

 

 成長事業「次世代エネルギー」の取組みとして、AIや半導体、データセンター等における電力消費量の増大が想定される中、効率的なエネルギーの利活用やGX(グリーントランスフォーメーション)に向けて「エネルギーマネジメントシステム」(可視化・分析・効率化)のコンサルティング、PoC(概念検証)に取り組み、精密機器関連をはじめとする製造業等への導入を推進いたしました。

 「スマートインフラ/スマートライフ」の取組みとしては、GIS:地理情報システムを活用し、物流配送ルート最適化や、顧客が保有する各種データの利活用コンサルティングなどを進めました。

 

 ベースロードの強化に向けては、データ利活用やDXによるビジネス変革に貢献する新サービスとして、2024年7月からクラウド移行に特化した「CloudLeap(クラウドリープ)」、アジャイル開発に特化した「AgileLeap(アジャイルリープ)」の提供を開始、2024年10月には、データマネジメントに特化した「D×DLeap(ディーディーリープ)」をリリースいたしました。2025年2月には、これら企業変革ソリューションを統括する新ブランドとして「LeapX(リープクロス)」を発表し、提案活動を推進いたしました。

 

 ビジネスエリアの拡大に向けては「名古屋オフィス」を起点とした中部地区での事業拡大(エネルギー業、製造業)に取り組みました。2024年10月には「九州支社」を移転・リニューアルいたしました。今後、半導体工場の誘致などにより電力需要の増大やICT投資の活性化等が見込まれる九州地区において、さらなるビジネス拡大に取り組んでまいります。

 

 収益力の強化に向けては、上流工程(コンサルティング)へのビジネスシフトや、AIの活用、DX/GXに対応するシステム開発体制の強化・拡大を進めました。この取組みのさらなる強化に向け、2024年9月には、当社の主要ビジネスパートナーの1社である株式会社SALTOと業務提携契約を締結し、協業体制の深化を図りました。

 

 ビジネスモデルの転換に向けては、当社オリジナル・ソリューションや次世代テクノロジーを紹介する「デジタル・イノベーション・ラボ」に加え、GIS:地理情報システムのさらなる普及と利活用を推進する「GISテクニカルセンター」等を活用したソリューション提案・共創活動に取り組みました。

 2025年3月には、SaaS型・サブスクリプションサービスの第2弾となる、AI機能を搭載した商圏分析ソリューション「DOCOYA(ドコヤ)」の販売を開始いたしました。

 

 コンサルティング強化を目指した取組みとしては、DX/モダナイゼーションによる業務効率化やビジネス変革を目指す顧客に向け、業務改革コンサルティングの提供を推進いたしました。加えて「社会インフラ特化型コンサルタント」の育成(第1期:50名)を進め、2025年1月からは、この中から対象者を選抜し、上級育成コースを実施いたしました。

 

 グローバル開発の拡大に向けては、ベトナムにおける「高度IT人材1,000名体制」を確立すべく、IT特区であるダナン市の「アドソル日進ダナン開発センタ」において、アジャイル開発に強みを持つ関連会社の「Techzen(テックゼン)社」を中核としたオフショア開発サービスの提供に注力いたしました。

 また、高度IT人材育成を図るため、ベトナム・ダナン大学との「ITトレーニングセンター」の共同運営に加え、現地での教育・研修事業を本格的に展開するための準備を進めました。

 持続的成長に向けた企業戦略としては、人的資本経営推進の一環として、全社員対象の処遇改定(2期連続・平均6%)や新卒初任給の引き上げを行いました。

 また、持続的成長の源泉となる優秀な人材の獲得に向け、採用活動(新卒・経験者)に継続して取り組み、2025年4月には新入社員49名が入社いたしました。なお、2026年4月入社の新卒採用については、70名以上を目標に掲げ、採用活動を進めております。

 

 研究開発については、当社AI研究所や100%子会社である「Adsol-Nissin San Jose R&D Center, Inc.(アドソル日進サンノゼR&Dセンタ)」を中心に、企業や研究機関との共同研究、リサーチ等に継続して取り組みました。

 産学連携活動としては、東京大学大学院工学系研究科(宇宙・衛星データ×AI)、早稲田大学(エネルギーマネジメント)、慶應義塾大学(GIS・IoT)、ベトナム・ダナン大学(メタバース×教育システム)等との共同研究を継続いたしました。

 ビジネス適用が急速に進む生成AI関連では、自社開発の生成AI「AdsolChat(アドソルチャット)」を活用した業務効率化に加え、生成AIサービスの企画・開発及びサービス化を推進いたしました。

 知的財産への取組みとして、これまでに取得した特許は、累計24件となっております。

 

 持続的成長と中長期的な企業価値の創出に向けては、2024年4月1日付で設置した「サステナビリティ委員会」のもと取組み及び開示を強化し、2024年10月には国際的なサステナビリティ評価機関 EcoVadis(エコバディス)社の調査において、評価対象企業の上位35%に与えられる「ブロンズメダル」を獲得いたしました。

 なお、14期連続増配の実績を踏まえ「日経連続増配株指数」の構成銘柄に2年連続で選定されました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高・売上総利益率・営業利益・営業利益率は、いずれも期初計画を超過、かつ過去最高を更新し、中期経営計画で掲げた業績目標(2026年3月期:売上高150億円、営業利益15億円以上、営業利益率10%以上)を1年前倒しで達成いたしました。

 売上面では、社会インフラ事業におけるエネルギー分野(電力・ガス)や公共分野、先進インダストリー事業におけるサービス分野(決済・カード)向けのDX案件などが業績をけん引し、15,463百万円(前期比9.8%増)となりました。

 利益面では、契約条件の見直しに加え、コンサルティングなど上流工程対応やベトナムにおけるオフショア開発の拡大、品質強化施策等により、売上総利益率が27.8%(前期比+0.7ポイント)と良化いたしました。また、九州支社の移転・リニューアルなど、2030年以降の持続的成長に向けた戦略投資とコストコントロールの両立に取り組んだ結果、営業利益は1,710百万円(前期比19.0%増)、営業利益率は11.1%(前期比+0.9ポイント)となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は15,370百万円(前連結会計年度は14,869百万円)、当連結会計年度末における受注残高は3,246百万円(前連結会計年度末は3,327百万円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりです。

①社会インフラ事業

 エネルギー分野(電力・ガス)では、電力領域で2023年4月に開設した名古屋オフィスを起点に中部地区での営業活動を強化するとともに、受注した複数のDX案件対応を継続いたしました。また、ガス領域でも新規にDX/モダナイゼーション案件を受注し、プロジェクトを推進いたしました。

 交通・運輸分野(道路・鉄道、航空・宇宙等)では、道路・鉄道領域が拡大いたしました。

 公共分野(官公庁向け)では、安全保障システム関連や、防災関連が拡大いたしました。

 通信・ネットワーク分野では、5Gを中心とした基地局開発等に取り組みました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、9,731百万円(前期比17.6%増)となりました。

 

②先進インダストリー事業

 製造分野では、スマートモビリティ(先進EVや自動運転等)が堅調に推移したことに加え、大手メーカー向けDX案件が計画どおり推移いたしました。

 サービス分野では、決済・カード領域において、顧客ビジネス拡大に向けたDX・デジタル化案件に加え、データマネジメント、デジタルマーケティングなどのデータ利活用支援、データ基盤構築案件などが拡大いたしました。

 エンタープライズ分野では、医療・ヘルスケア向け案件が堅調に推移いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、5,731百万円(前期比1.2%減)となりました。

 

③ソリューション事業

 「GIS:地理情報システム」「IoT空間情報」「セキュリティ」を中核ソリューションとした提案活動に取り組み、社会インフラ事業では、電力会社や自治体向けのGISソリューションが堅調に推移いたしました。

 また、先進インダストリー事業では、建設/測量コンサルティング企業向けGISソリューション、製造業・物流業向けIoTソリューションの拡大に取り組みました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、1,209百万円(前期比12.1%増)となりました。

 

セグメント別売上高

事業

2024年3月期

2025年3月期

 

分 野

実績(百万円)

構成比(%)

実績(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

社会インフラ

8,275

58.8

9,731

62.9

17.6

 

エネルギー

6,544

46.5

7,458

48.2

14.0

交通・運輸

826

5.9

838

5.4

1.5

公共

548

3.9

998

6.5

81.9

通信・ネットワーク

355

2.5

435

2.8

22.6

先進インダストリー

5,803

41.2

5,731

37.1

△1.2

 

製造

1,657

11.8

1,522

9.8

△8.1

サービス

2,755

19.6

3,078

19.9

11.7

エンタープライズ

1,390

9.9

1,130

7.3

△18.7

全社合計

14,078

100.0

15,463

100.0

9.8

(うち、ソリューション事業)

1,078

7.7

1,209

7.8

12.1

 

 

(2)生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

事   業

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

 

分   野

生産高(百万円)

前年同期比(%)

社会インフラ

7,096

15.7

 

エネルギー

5,435

12.7

 

交通・運輸

607

△3.6

 

公共

714

76.1

 

通信・ネットワーク

339

22.9

先進インダストリー

4,061

△1.8

 

製造

1,066

△6.5

 

サービス

2,184

10.1

 

エンタープライズ

811

△19.9

合 計

11,158

8.6

 (注)当社グループの生産実績の大半が提出会社によるものであるため、上記の金額は提出会社単独の金額を記載しております。

 

 b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

事   業

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

 

分   野

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

社会インフラ

9,641

6.9

2,125

△4.0

 

エネルギー

7,429

3.5

1,774

△1.6

 

交通・運輸

874

7.2

130

37.2

 

公共

927

32.6

157

△30.9

 

通信・ネットワーク

409

25.2

62

△29.2

先進インダストリー

5,729

△2.0

1,121

0.8

 

製造

1,443

△12.7

205

△25.5

 

サービス

3,100

10.8

721

3.5

 

エンタープライズ

1,185

△15.1

194

39.5

合 計

15,370

3.4

3,246

△2.4

 (注)当社グループの受注実績の大半が提出会社によるものであるため、上記の金額は提出会社単独の金額を記載しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

事   業

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

 

分   野

売上高(百万円)

前年同期比(%)

社会インフラ

9,731

17.6

 

エネルギー

7,458

14.0

 

交通・運輸

838

1.5

 

公共

998

81.9

 

通信・ネットワーク

435

22.6

先進インダストリー

5,731

△1.2

 

製造

1,522

△8.1

 

サービス

3,078

11.7

 

エンタープライズ

1,130

△18.7

合 計

15,463

9.8

 (注)最近2連結会計年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。

 

 

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額

(百万円)

割合

(%)

金額

(百万円)

割合

(%)

三菱電機(株)

2,431

17.3

2,777

18.0

東京ガスiネット(株)

1,656

11.8

2,141

13.8

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

 財政状態は、次の通りであります。

 「流動資産」は、6,679百万円となり、前連結会計年度末と比べ561百万円減少しました。

 主な変動要因としては、売掛金及び契約資産が276百万円増加した一方、現金及び預金が872百万円減少したこと等によります。

 「固定資産」は、3,205百万円となり、前連結会計年度末と比べ245百万円増加しました。

 主な変動要因としては、無形固定資産が115百万円減少した一方、投資有価証券が344百万円増加したこと等によります。

 これにより、資産合計は9,885百万円となり、前連結会計年度末と比べ316百万円減少しました。

 「流動負債」は、2,215百万円となり、前連結会計年度末と比べ83百万円減少しました。

 主な変動要因としては、買掛金が42百万円増加した一方、未払金が150百万円減少したこと等によります。

 「固定負債」は、594百万円となり、前連結会計年度末と比べ16百万円減少しました。

 主な変動要因としては、退職給付に係る負債が16百万円減少したこと等によります。

 これにより、負債合計は2,810百万円となり、前連結会計年度末と比べ100百万円減少しました。

 

 「純資産」は、7,074百万円となり、前連結会計年度末と比べ215百万円減少しました。

 主な変動要因としては、その他有価証券評価差額金が228百万円増加した一方、自己株式が371百万円増加したこと等によります。

 以上の結果、「自己資本比率」は69.8%となり、前連結会計年度末と比べ0.3ポイント減少しました。

 当連結会計年度は、売上高は15,463百万円、営業利益は1,710百万円、経常利益は1,766百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,209百万円となりました。この分析については、当連結会計年度における重点施策の取組み状況、セグメント別ごとの経営成績の分析とあわせ、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 又、当社グループの経営方針、対処すべき課題及びその課題に対応するための事業戦略、重点戦略等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 (a)営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは1,027百万円の収入(前年同期は804百万円の収入)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益1,771百万円、売上債権の増加254百万円、法人税等の支払額513百万円等によるものであります。

 

 (b)投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動によるキャッシュ・フローは202百万円の支出(前年同期は71百万円の支出)となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出137百万円、敷金及び保証金の差入による支出83百万円等によるものであります。

 以上により、フリー・キャッシュ・フローは、825百万円の収入となりました。

 

 (c)財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動によるキャッシュ・フローは1,697百万円の支出(前年同期は364百万円の支出)となりました。主な要因は自己株式の取得による支出1,240百万円等によるものであります。

 

b.資金需要

 当社グループの資金需要として主なものは、運転資金として、システム開発のための人件費、外注費、販売費及び一般管理費としての人件費、経費等の他、研究開発投資や、M&A並びに資本業務提携といった投資戦略も資金需要の一つと考えております。

 

c.財務政策

 必要となる資金につきましては、内部資金を充当し、必要に応じて有利子負債の調達を実施することを基本としております。

 又、運転資金の調達手段の利便性確保を目的として総額700百万円のコミットメントライン契約を締結しております。尚、この契約に基づく当連結会計年度末の借入残高はありません。

 

d.経営資源の配分

 当社は、経営理念に『私たちは 「会社の発展」「社員の幸福」「株主の利益」をともに追求します』と掲げて、株主の皆さまへの利益還元を経営の重要な課題の一つとして位置付けております。

 利益配分に関しては、持続的成長と企業価値向上に向けた戦略投資を図りつつも、株主の皆様に業績に裏付けられた成果配分に加え、積極的な還元に努めることを基本方針としております。

 なお、2025年3月期の剰余金の配当につきましては、「累進かつ連続増配(1円以上の増配)」「配当性向40%以上」を前提とし、「年2回(中間・期末)」実施いたしました。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、この連結財務諸表の作成に当たっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。

これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴う為に、実際の結果は、これらとは異なることがあります。

会計上の見積りのうち、特に重要な判断を要するものは以下の通りです。

 

a. 一定の期間にわたり履行義務を充足する収益認識

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

b. 完成工事補償引当金

当社グループは、「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に記載の通り、工事契約における完成工事のうち、完成工事の品質に関する補償費用の支出が見込まれる場合には、当該費用見込額を完成工事補償引当金として計上しております。想定していなかった原価の発生等により、当初の見積りを超える原価が発生する場合には、親会社株主に帰属する当期純利益及び利益剰余金に影響を及ぼす可能性があります。

尚、当連結会計年度末において、完成工事補償引当金は発生していないため、連結貸借対照表に計上しておりません。

 

c. 工事損失引当金

当社グループは、「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に記載の通り、工事契約における未引渡し工事のうち、損失の発生が高く、工事損失額を合理的に見積ることができる工事等については、損失発生に備えるため、当該損失見込額を工事損失引当金として計上しております。想定していなかった原価の発生等により、当初の見積りを超える原価が発生する場合には、親会社株主に帰属する当期純利益及び利益剰余金に影響を及ぼす可能性があります。

尚、当連結会計年度末において、工事損失引当金は発生していないため、連結貸借対照表に計上しておりません。

 

d. 退職給付費用及び退職給付に係る負債

当社グループは、「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項 (4)退職給付に係る会計処理の方法」に記載の通り、従業員の退職給付に備える為、当連結会計年度末における退職給付債務の見込み額に基づき、退職給付費用及び退職給付に係る負債を計上しております。

退職給付債務は、割引率、退職率及び死亡率など数理計算上の基礎率に基づき見積られております。実績と見積りとの差は数理計算上の差異として、発生年度に一括して費用処理しており、退職給付費用及び退職給付に係る負債に影響を及ぼします。この数理計算上の仮定を適切と考えておりますが、実績との差異や仮定の変動により親会社株主に帰属する当期純利益及び利益剰余金に影響を及ぼす可能性があります。

尚、退職給付費用及び退職給付に係る負債に関する見積りや前提条件については、「注記事項(退職給付関係)」に記載の通りです。

 

e. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産についてその発生の原因ごとに回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる項目については、評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断については、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合には、回収可能性の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、親会社株主に帰属する当期純利益及び利益剰余金に影響を及ぼす可能性があります。

尚、繰延税金資産の発生の主な原因別の内訳については、「注記事項(税効果会計関係)」に記載の通りです。

 

f. 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、対象資産のグルーピングを行い、減損の兆候の有無を判定しております。

減損するか否かを判断するための対象資産の収益性の評価は、その時の業績等により変動するため、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合には、固定資産の減損を実施し、親会社株主に帰属する当期純利益及び利益剰余金に影響を及ぼす可能性があります。

尚、当連結会計年度において減損損失の認識はしていないため、注記に記載はしておりません。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクにつきましては、「3 事業等のリスク」に記載の通りであります。

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

 当社の報告セグメントは、当社の構成単位の内、分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価する為に、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社の事業は、内部管理上採用している次の2つの事業領域(事業)で取組んでおり、報告セグメントとしております。

 社会インフラ事業では、「エネルギー(電力・ガス)」「交通」「次世代通信」「公共・防災」「デジタル・サービス」など、暮らしや社会を支えるICTシステムを提供しております。

 先進インダストリー事業では、日本の高度なモノづくりを担う企業(「モビリティ」「医療・ヘルスケア」「産業機器」)やサービス事業者向けに、「最先端テクノロジー」を駆使し、DX・IoTの実現に貢献しております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法

 報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成する為に採用される会計方針に準拠した方法であります。

 棚卸資産の評価については、収益性の低下に基づく簿価切り下げ後の価額で評価しております。

 報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報

 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

社会

インフラ

事業

先進

インダストリー

事業

調整額

(注)1

連結財務諸表

計上額

(注)2

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

8,275,124

5,803,294

14,078,418

-

14,078,418

セグメント間の内部売上高又は振替高

-

-

-

-

-

8,275,124

5,803,294

14,078,418

-

14,078,418

セグメント利益

1,669,540

1,206,876

2,876,417

△1,438,464

1,437,952

セグメント資産

2,316,622

1,274,221

3,590,844

6,610,354

10,201,198

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

59

61,616

61,675

79,132

140,807

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

-

202

202

54,352

54,554

(注)1.調整額は、以下の通りであります。

      セグメント利益の調整額△1,438,464千円は全社費用であり、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

      セグメント資産の調整額6,610,354千円は、主に報告セグメントに配分していない現金及び預金3,759,855千円、有形固定資産及び無形固定資産819,786千円、繰延税金資産180,236千円、投資有価証券1,419,658千円が含まれております。

      尚、有形固定資産は、主に報告セグメントに帰属しない独身寮の建物及び土地であります。

      減価償却費の調整額79,132千円は、報告セグメントに帰属しない資産のうち、主に社内システム、本社及び開発拠点の建物に係るものであります。

      有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額54,352千円は、主に本社及び開発拠点の整備に伴う設備投資、社内システムの追加投資に伴うソフトウエアの増加によるものであります。

   2.セグメント利益は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。

 

 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

社会

インフラ

事業

先進

インダストリー

事業

調整額

(注)1

連結財務諸表

計上額

(注)2

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

9,731,066

5,731,975

15,463,041

-

15,463,041

セグメント間の内部売上高又は振替高

-

-

-

-

-

9,731,066

5,731,975

15,463,041

-

15,463,041

セグメント利益

2,138,205

1,278,268

3,416,474

△1,705,556

1,710,917

セグメント資産

2,578,024

1,254,388

3,832,413

6,052,780

9,885,194

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

34

60,968

61,002

85,518

146,521

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

-

-

-

100,748

100,748

(注)1.調整額は、以下の通りであります。

      セグメント利益の調整額△1,705,556千円は全社費用であり、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

      セグメント資産の調整額6,052,780千円は、主に報告セグメントに配分していない現金及び預金2,887,453千円、有形固定資産及び無形固定資産836,306千円、繰延税金資産65,560千円、投資有価証券1,764,280千円が含まれております。

      尚、有形固定資産は、主に報告セグメントに帰属しない独身寮の建物及び土地であります。

      減価償却費の調整額85,518千円は、報告セグメントに帰属しない資産のうち、主に社内システム、本社及び開発拠点の建物に係るものであります。

      有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額100,748千円は、主に九州支社の移転・リニューアル、本社及び開発拠点の整備に伴う設備投資によるものであります。

   2.セグメント利益は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

  セグメント情報に同様の情報を開示している為、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超える為、記載を省略しております。

 

(2)有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がない為、該当事項はありません。

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円)

 

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

三菱電機㈱

2,431,987

 社会インフラ事業

 先進インダストリー事業

東京ガスiネット㈱

1,656,203

 社会インフラ事業

 

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

  セグメント情報に同様の情報を開示している為、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超える為、記載を省略しております。

 

(2)有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がない為、該当事項はありません。

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円)

 

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

三菱電機㈱

2,777,827

 社会インフラ事業

 先進インダストリー事業

東京ガスiネット㈱

2,141,393

 社会インフラ事業

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

   該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

   該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

 該当事項はありません。