リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の有価証券に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日(令和6年6月28日)現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 四半期毎の業績の変動について
当社グループの開発人員は153名であり、他の大手ゲームメーカーと比較して新製品開発のための人的資源に制約がある上、ゲームソフトの開発に多額の費用を投じることが困難であることから、年間の発売可能なタイトル数が限定されております。そのため、当社グループの売上は、主要ソフトの発売時期に集中する傾向があります。このような販売傾向により、当社グループの業績は、年間を通じて平準化されずに、四半期決算の業績が著しく変動する可能性があります。
(令和6年3月連結会計年度)
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
売上高(千円) |
1,310,600 |
1,749,177 |
1,344,332 |
935,857 |
5,339,967 |
(構成比)(%) |
(24.5) |
(32.8) |
(25.2) |
(17.5) |
(100.0) |
経常利益(千円) |
98,132 |
361,838 |
255,838 |
126,198 |
842,007 |
(令和5年3月連結会計年度)
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
売上高(千円) |
1,253,234 |
1,113,984 |
982,247 |
1,484,339 |
4,833,806 |
(構成比)(%) |
(25.9) |
(23.0) |
(20.3) |
(30.7) |
(100.0) |
経常利益(千円) |
442,359 |
193,057 |
37,020 |
268,726 |
941,164 |
(2) 特定のゲームソフトへの依存について
当社グループは、エンターテインメント事業において、複数のゲームソフトを発売しておりますが、『ディスガイア』シリーズ等、特定のゲームソフトへの売上高依存度が高くなる傾向があります。シリーズ作品は固定的なファンが多く、業績の安定化に寄与するものと認識しておりますが、ユーザーの嗜好に合わない場合やこれらの特定のソフトに不具合が生じた場合、ユーザー離れが生じ、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、ゲームソフトの発売時期が同業他社と重なり、発売時期の延期が必要となる等、ゲームソフトが計画通りに販売できなくなった場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(3) デジタル・コンテンツ市場における顧客嗜好の変化、消費者ニーズの多様化及び技術革新について
当社グループは、良質なコンテンツを市場に提供し、収益性を維持しつつ中長期的な成長を実現していくことを目標としております。
近年においては、ITや通信環境の急速な発展・普及により、ネットワークを前提とするエンターテインメントに対する消費者ニーズが急速に高まっております。当社はこれまで家庭用ゲーム機向けの主にスタンドアロンタイプのゲームソフトを強みとしてまいりましたが、今後これらの顧客嗜好の変化に対応できない、又は通信環境の変化や技術革新の進展に応じたゲームソフトの開発が遅れることにより、当社の相対的な評価が下がる可能性があり、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4) 製品開発について
当社グループは、魅力ある製品を開発するために相当の開発期間を設けておりますが、新製品の開発に必要な資金と人的資源を今後も十分に手当できる保証はない上、新製品への開発投資が、競争力のある新製品の開発につながる保証もありません。特に、近年では家庭用ゲーム機器は高性能化しており、これに対応するため、ゲームソフトの開発費は高騰化するとともに、開発期間も長期化する傾向にあります。
したがって、当社グループが魅力ある新製品を開発できない場合や、販売計画未達成の場合等により、棚卸資産評価損、中止損が発生する可能性があり、開発資金を回収できず当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(5) 外注業者へのソフト制作の依存について
当社は自社開発でゲームソフトの大部分の制作を行っておりますが、一部、もしくはその全部について外注業者を使用する場合があります。外注業者の選定に当たりましては、事前に技術水準、価格並びに経営状況を調査した上で決定しております。しかし、外注業者の納期が長期化し商品開発に支障をきたす場合や外注コストが増加した場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6) 組織体制について
当社グループの事業の発展のためには、有能な開発人員の確保が不可欠であります。このため、当社グループは有能な人材を継続的に採用、育成を行うように努めておりますが、有能な人材を確保できなかった場合や人材が多数流出した場合には、事業活動に支障が生じる可能性があります。
(7) 特定の取引先への依存について
当社グループは家庭用ゲームソフトの販売について、主に国内では任天堂株式会社、株式会社セガ、株式会社ソニ-・インタラクティブエンタテインメント、国外ではKOEI TECMO AMERICA CORPORATIONに委託しております。令和6年3月期における4社に対する売上高合計は、1,918,171千円であり、売上高に占める割合は35.9%となっております。
各社と取引関係を継続していくことは、当社グループの事業戦略上、重要な課題であり、魅力的な製品を開発していくことにより、今後も良好な関係を継続していく方針でありますが、各社の事業戦略に変更があった場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(8) 家庭用ゲーム機の普及動向について
当社グループは、国内外において株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント及び任天堂株式会社等の家庭用ゲーム機向けに家庭用ゲームソフトを供給しておりますが、家庭用ゲーム機の普及が芳しくない場合や不具合が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(9) 中古ソフト市場の拡大等について
現在中古ソフトの市場規模はゲーム市場規模の3分の1前後を占めております。また、アジア市場における違法コピー商品も後を絶ちません。
このため、開発資金の回収も徐々に難しくなっており、同市場の動向によっては、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(10) 米国子会社NIS America, Inc.について
① 海外の事業展開に伴うリスクについて
当社は、欧米を中心とする海外でのゲームソフト販売を目的として、同社を設立しております。海外での積極的な事業展開に伴い、海外売上高の比率が高まっております。当社グループでは、海外展開に伴うリスクを軽減するように努めておりますが、海外での事業展開には、現地政府による様々な規制、関税・移転価格等の租税リスク、海外におけるゲームソフトの販売動向、為替相場の変動等の様々なリスクに晒されます。これらの要因により当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
② 返金負債について
欧米における小売店でのゲームコンテンツ販売は、商習慣上、小売店がその売れ行きに応じて独自に値下げを行います。小売店は、当該値下げ額を販売代理店に請求し、それを受けて販売代理店は発売会社(NIS America, Inc.)に請求することから、タイトル毎に締結される契約に基づき、相当分を負担することとなります。
したがって、NIS America, Inc.は商品及び製品の発売時において、将来発生する可能性があると見込まれる売上値引に備えるため、その見込額を返金負債として計上しておりますが、想定以上の金額を請求された場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(11) 製品・サービスの瑕疵について
当社グループの家庭用ゲームソフト及び携帯電話・スマートフォン向けゲームコンテンツ等の製品・サービスは、発売当初あるいは新バージョンのリリース時には検知されない欠陥が含まれている可能性があります。
当社グループはこのような瑕疵が発生しないように努めておりますが、出荷した製品、サービスに大規模なリコールや製造物責任賠償等につながるような重大な瑕疵があった場合には、多額のコストが発生し、又は当社グループの製品の販売動向に影響を与えることにより、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(12) 知的財産保護と管理について
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積するように努めておりますが、第三者が当社グループの製品を模倣、又は解析調査する事を防止できない可能性があります。また、他社の知的財産権を侵害しない様に留意して技術、製品等の開発を行っておりますが、認識の相違等により他社から訴訟等を提起されない保証はなく、訴訟等の結果によっては、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(13) 顧客情報の流出について
当社グループはウェブサイトを利用した各種サービスにおける顧客情報の管理において、顧客データベースへのアクセス管理、セキュリティシステムの改善を図り、顧客情報の保護に留意しております。
また、顧客情報の取扱いについては、社員教育活動など全社的な取り組みを実施し、内部管理体制の強化にも十分留意しております。しかしながら、それらの対策にもかかわらず顧客情報が流出した場合は、当社グループの信用力が低下する可能性があります。
(14) 法令規制等の改正について
当社グループは国内外において、風俗営業、製造物責任、特許、消費者、租税、個人情報、環境・リサイクル関連等、各種の法規制やコンテンツ表現に対する業界自主規制等の適用を受けております。したがって、それらの規制の改正によっては、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(15) 金利変動リスク、資金調達リスクについて
当社グループでは、資金調達を主に銀行借入により行うこととしているため、金利の変動による影響を受けます。金利上昇によるコストの増加を事業活動において吸収できない場合は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、現状、金融機関との関係は良好で、必要資金は問題なく調達できておりますが、将来も引き続き十分に調達可能であるという保証はありません。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営課題の一つとして位置付け、更なる事業拡大を図るために必要な投資原資として内部留保を確保しつつ、当社の株式を長期的かつ安定的に保有していただくため、安定した配当を継続的に実施していくことを念頭に置き、経営成績及び財政状態や今後の見通し、配当性向などを総合的に勘案して利益配分を決定し、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会を決定機関とし、毎事業年度において2回の配当を行うことを基本方針としております。
この方針に基づき、当期の配当につきましては、期末配当として1株当たり5円(普通配当5円)の実施となります。
なお、内部留保資金につきましては、主として優秀な人材確保、ゲームソフト制作費、開発ツール、サーバー等のシステム設備投資及び新規事業に向けた投資等に充当する方針であります。
当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
令和6年6月27日 |
25,202 |
5 |
定時株主総会 |