2024年6月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクは、以下のとおりです。

また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、リスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行う必要があります。

以下の記載のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が独自に判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。また、下記の記載は、当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではない点につきましてもご留意ください。

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

経済情勢

市場環境

当社グループの主要事業は海外市場で展開されており、各国の通商政策及び再生可能エネルギーに関する政策などのの影響を受けるリスクがあります。

海外市場における関税や投資規制の変更などにより、事業環境が変化し、中期経営計画などの経営計画に影響が及ぼされます。

主な対策

当社グループは、製品の需要や市況の変化に対応すべく、持続的な競争優位ポジションの確保に努めております。また、事業リスクの低減を図るため、国内外の市場における市場環境の動向を注視し、相対的競争優位性を維持・向上すべく、適切なリスクコントロールを講じます。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

グローバル

事業展開

当社グループは、アジア・米国・欧州など海外で広く事業を展開しており、米中対立など経済安全保障に関するリスクがあります。

当社グループの事業に不利な影響を及ぼす税制や関税の変更、事業運営に関する諸規則の設定・運用・改廃、予期しない不利な経済的又は政治的要因の発生により経営計画が影響される可能性があります。

主な対策

国際的な事業活動におけるリスクに対しては、日本やベトナム国を含むアジア・米国・欧州の各地域のリスク関連情報や各国の法規制動向の把握と分析を行っています。特に、当社グループの主要販売地域である米国の太陽光パネル製造事業に関わるリスクについては、重要なリスクと認識して、市場及び政策的動向を注視しています。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

サプライ

チェーン

当社グループの太陽光パネル製造事業の主要部材については、海外市場にて調達を行っており、台風・地震などの大規模自然災害、感染症、地政学的リスクの影響等からサプライチェーンが影響を受けるリスクがあります。

太陽光パネル製造について、事業活動の縮小・停止などにより、お客さまへの供給が遅延・停止する可能性があります。

主な対策

太陽光パネル製造に関して、シリコン供給先との戦略的提携による安定調達及び主要部材であるウエハ・セルの内製化を推進することなどにより、サプライチェーンチェーンのレジリアンスの向上に取り組みます。

 

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

太陽光パネル
市場動向

中国企業の供給能力増強によりグローバル市場は供給過剰な状況となっており、太陽光パネル及び部材価格が下落し、当社グループの事業運営が影響を受けるリスクがあります。

価格下落に伴う販売価格の下落や競争環境激化による収益力低下など、グローバル成長戦略に影響が及ぶ可能性があります。

主な対策

当社グループは、ベトナム国における太陽光パネル事業の内製化を進め、サプライチェーンの全体最適化を向上させることにより収益力の向上に取り組んでいます。また、今後、子会社のナスダック上場をベースとして、成長市場である米国市場に供給拠点を構築し、早期に同国での事業基盤を構築することにより、グローバル市場の競争環境の変化に機動的に対応し、相対的競争優位生を維持することに取り組んでいます。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

米国の

関税動向

当社グループは、米国政府による東南アジア4ヵ国に対する免税措置の終了などにより、同国向けの販売戦略が大きな影響を受けており、グローバル事業戦略が影響を受ける リスクがあります。

ベトナム国を拠点としたグローバル事業展開を基礎としてきた事業戦略に影響が及ぶ可能性があります。

主な対策

当社グループは、成長市場である米国市場への進出を着実に推進するため、連結子会社のナスダック上場、さらに生産拠点の確保などサプライチェーンを構築することにより、同国での事業基盤を構築し、米国政府による関税政策の変更に適切に対処するべく取り組んでいます。また、米国以外の市場として、欧州及びインドなどの成長が見込まれる市場への販売を拡大することにより、グローバル事業の多軸化を図ることにより、事業リスクの低減に取り組んでいます。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

気候変動

地球温暖化による世界的な気候変動への危機感の高まりを受け、政府及び企業による対策が進んでいます。当社グループは、太陽光パネル製造事業を通じて再生可能エネルギーの創出に貢献していますが、今後、政策・規制、技術開発、市場動向などにより、当社グループの成長戦略及び事業運営が影響を受けるリスクがあります。

気候変動リスクに対する社会的関心が高まることは、太陽光パネル製造事業を営んでいる当社グループにとって成長の機会であります。一方、政策の変更、技術開発の動向など競争環境の変化に十分に対応できない場合、当社グループの相対的競争力が低下する可能性があります。

主な対策

当社グループは、再生可能エネルギー供給企業として、地球温暖化による気候変動へ貢献するために、常に政策動向、技術動向、市場動向などを注視することにより、競争力の維持・向上に取り組むことにより事業基盤の強化を図っています。

 

 

 

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

コンプライ

アンス

法令違反や社会の要請に反した行動が行われるリスクがあります。

法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、ステークホルダーからの信頼を失います。

主な対策

当社グループは、コンプライアンス委員会を中心に、動機・機会・正当化の観点でのリスク抑止、不祥事を起こさない組織風土づくり、内部通報制度の設置などにより、グループ全体の企業倫理・コンプライアンス活動の深化及びコンプライアンス意識の徹底を図ってまいります。

また、当社グループは、内部統制システムの整備を図り、各種法令等の遵守に努めて国内外関係会社の更なる内部統制システムの充実を図ります。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

為替・

金利変動

当社グループの主要事業である太陽光パネル製造事業は海外市場で事業を展開しており、為替レート変動の影響を受けるリスクがあります。また、金融市場の変化により金利が変動するリスクがあります。

為替レート変動による財務諸表等の項目における円換算への影響があります。

資金調達や調達コストが変動する可能性があります。

主な対策

金融市場の変動による影響を完全に排除することはできませんが、当社グループでは、調達手段の多様化やグループキャッシュの一元管理による効率化に取り組むなどにより、業績や財務状況に与える影響の可能性を低減し、資金関連リスクへの対応に取り組んでいます。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

情報

セキュリティ

当社グループは、サイバー攻撃、情報セキュリティ、情報漏洩などに関するリスクがあります。

個人情報や重要な営業情報の漏洩により、お客さまからの信頼の失墜や損害賠償が発生するリスクがあります。

サイバー攻撃により、業務が停止する、または復旧に時間を要することで事業活動が影響を受けるリスクがあります。

主な対策

当社グループは、深刻化するサイバー攻撃を重要な経営リスクとして、情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、当社グループ内のセキュリティ対応体制を整備し、人的・技術的対策を実施することにより、ウィルス感染や外部からの不正アクセスなどのサイバー攻撃の脅威への対策強化に取り組んでいます。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

知的財産権

当社グループは、十分な注意を持って事業運営を行っておりますが、第三者の知的財産権を侵害するリスクがあります。

当社グループが、意図せず第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求や仕様差止請求等を起こされる可能性があります。

主な対策

当社グループは、第三者が所有する知的財産権を尊重することを基本方針としています。事業運営に際しては、事前に調査、予防、必要に応じて解決策を講じることによって、知的財産権侵害リスクの低減に取り組んでいます。

 

 

 

(1) 経済状況について

当社グループの事業展開において、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「3 事業等のリスク」に記載の内容をご参照ください。

 

(2) 経営戦略の現状と見通し

当社グループでは、以下の企業理念を掲げ、先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の持続可能な発展に貢献し続けることを掲げています。

 

<企業理念>Best Values

・ 先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の

 持続可能な発展に貢献し続けます。

・ 価値の提供によって≪Excellent Creative Company≫のビジョンのもと、従業員の幸福、お客様・社会との

 Win-Win関係、企業価値・株主価値の向上・最大化を図り続けます。

・ 価値の提供、愛と感動を原動力にAbalanceグループは成長し続けます。

 

 

2030年にグループが目指す姿として、「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」となることを目標に据え、保有発電容量1GW、年間製造目標8GWを成長戦略の柱としております。当社は、グループの持続的成長と社会価値を両立しながら、企業価値の最大化を図ってまいります。

<企業価値向上への強化施策について>

・VSUNの太陽光パネル及びCell Companyの太陽光セル収益力向上と販売先の多角化

・セル製造のほか、インゴット、ウエハ製造の上流工程を視野に入れたサプライチェーンの強化

・米国ナスダックに上場したTOYOの米国内における太陽光パネル製造事業の展開

・グリーンエネルギー事業における太陽光発電所の自社保有化と安定収益基監の構築

・自己資本比率の計画的な向上(財務健全化)

・戦略的なパートナーシップ、有力企業・総合商社などとの提携推進

 

当社グループの主要セグメントである太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業を中心に予算編成を行った結果、2025年6月期の連結業績予想(2024年7月1日~2025年6月30日)については、売上高80,000百万円、営業利益10,000百万円、経常利益10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,000百万円としております。

連結業績予想に係る前提条件は、外部環境の動向を踏まえ、以下のように、現状において合理的に予測可能な条件等に基づいて設定しております。

 

(a) 太陽光パネル製造事業

太陽光発電市場は、世界的な地球温暖化による気候変動対策として、今後も世界各国の再生可能エネルギーの導入は加速し、中長期的な成長が見込まれる市場です。しかしながら、2024年に入り、太陽光パネル及び原材料の需給バランスが軟化し、これに伴い価格下落トレンドが形成されています。この傾向は2025年6月期も継続する見通しのほか、米国政府による東南アジア製太陽光パネル及びセルに対する免税措置の終了(2024年6月)は、当社グループの太陽光パネル製造事業のVSUNのパネル及びCell Companyのセルの事業運営に影響を与えております。なお、米国市場において、東南アジア4カ国の太陽光パネル関連製品に対する免税措置が終了(2024 年 6 月)となり、更にアンチダンピング関税及び相殺関税についても米国政府の検討が続いていることから、同国への製品輸出が厳しい状況になっています。当社グループは、VSUN及びCell Companyからの製品販売先として、これまでは米国市場を中心としていましたが、欧州及びインドを始めとするアジア市場など販売先の多角化に取り組みます。また、Cell Companyの親会社であるTOYOは2024年7月に米国ナスダックに上場いたしました。米国ではインフレ抑制法などにより、国内での投資が活発化し、“Made in USA”の動きが進んでいます。今後、TOYOは米国市場動向及び税制などの政策動向を注視しながら、同国内での太陽光パネル及びセルのサプライチェーン構築へ向けた検討を行ってまいります。

 

(b) グリーンエネルギー事業

当社グループでは、太陽光発電所を自社保有化し、電力会社に電力販売を行うストック型ビジネスを強化しています。発電所開発・建設のほか、M&Aも積極的に活用し、事業基盤の拡充に取り組みます。また、太陽光発電関連サービスを提供するフロー型ビジネスに関し、小売量販店と組んで、量販店の顧客宛に太陽光発電設備ならびに蓄電設備を販売するビジネスをスタートしております。そして、積極的な海外展開に取り組むほか、将来的に太陽光パネルの廃棄問題が懸念される状況に対し、社会問題解決への取組みという観点からも、PV Repower株式会社を中心に太陽光パネルのリユース、リサイクル事業への取り組みも積極的に展開してまいります。

 

なお、当社グループは2023年9月22日に2026年6月期を最終年度とする、中期経営計画(2024-26)を公表させていただきましたが、当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることを受け、2024年8月14日に数値目標を取り下げることを発表しました。当社グループは、引き続き成長が見込まれる太陽光パネルのグローバル市場において、市況及び政策などの市場環境変化に機動的に対応することにより、太陽光パネル製造事業の競争力あるサプライチェーン構築及び販売エリアの多角化などを推進し、事業成長を図ってまいります。新たな数値目標につきましては、合理的に算定可能となった段階で、速やかに開示させて頂きます。

配当政策

3 【配当政策】

当社は、今後の事業展開と財務内容の強化を図るため必要な内部留保を図りつつ、安定した配当を継続すること、また、財務状況に応じた積極的な株主への利益還元策を行うことを基本方針としております。

なお、当社は会社法第454条第5項に基づいて中間配当制度を採用しており、剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本方針としております。配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会としております。

上記の基本方針のもと、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2024年3月14日

取締役会決議

52

3

2024年9月26日

定時株主総会決議

89

5