2025年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクは、以下のとおりです。

また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、リスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行う必要があります。

以下の記載のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が独自に判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。また、下記の記載は、当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではない点につきましてもご留意ください。

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

経済情勢

市場環境

当社グループの主要事業は海外市場で展開されており、各国の通商政策及び再生可能エネルギーに関する政策等の影響を受けるリスクがあります。

海外市場における関税や投資規制の変更等により、事業環境が変化し、中期経営計画等の経営計画に影響が及ぼされます。

主な対策

当社グループは、製品の需要や市況の変化に対応すべく、持続的な競争優位ポジションの確保に努めております。また、事業リスクの低減を図るため、国内外の市場における市場環境の動向を注視し、相対的競争優位性を維持・向上すべく、適切なリスクコントロールを講じます。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

グローバル

事業展開

当社グループは、アジア・米国・欧州・アフリカ等海外で広く事業を展開しており、米中対立等経済安全保障に関するリスクがあります。

当社グループの事業に不利な影響を及ぼす税制や関税の変更、事業運営に関する諸規則の設定・運用・改廃、予期しない不利な経済的又は政治的要因の発生により経営計画が影響される可能性があります。

主な対策

国際的な事業活動におけるリスクに対しては、日本やベトナム国を含むアジア・米国・欧州・アフリカ等の各地域のリスク関連情報や各国の法規制動向の把握と分析を行っています。特に、当社グループの主要販売地域である米国の太陽光パネル製造事業に関わるリスクについては、重要なリスクと認識して、市場及び政策的動向を注視しています。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

サプライ

チェーン

当社グループの太陽光パネル製造事業の主要部材については、海外市場にて調達を行っており、台風・地震等の大規模自然災害、感染症、地政学的リスクの影響等からサプライチェーンが影響を受けるリスクがあります。

太陽光パネル製造事業について、事業活動の縮小・停止等により、お客さまへの供給が遅延・停止する可能性があります。

主な対策

太陽光パネル製造事業に関して、シリコン供給先との戦略的提携による安定調達及び主要部材であるウエハ・セルの内製化並びに各国の関税政策を勘案した地域でのセルの生産を推進すること等により、サプライチェーンのレジリアンスの向上に取り組みます。

 

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

太陽光パネル
市場動向

中国企業の供給能力増強によりグローバル市場は供給過剰な状況が継続しており、太陽光パネル及び部材価格が下落し、当社グループの事業運営が影響を受けるリスクがあります。

供給過剰に伴う販売価格の下落や競争環境激化による収益力低下等、グローバル成長戦略に影響が及ぶ可能性があります。

主な対策

当社グループは、ベトナム国における太陽光パネル製造事業の内製化を進め、サプライチェーンの全体最適化を向上させることにより収益力の向上に取り組んでいます。また、ナスダックに上場した連結子会社を通じて、エチオピア国にセル工場及び米国にパネル工場を建設し、早期に成長市場である米国顧客への供給体制を整備する事で、グローバル市場の競争環境の変化に機動的に対応し、相対的競争優位生を維持することに取り組んでいます。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

米国の

関税動向

当社グループは、米国政府による東南アジア4ヵ国に対する免税措置の終了、アンチダンピング関税及び相殺関税の適用等により、同国向けの販売戦略が大きな影響を受けており、グローバル事業が影響を受けるリスクがあります。

太陽光パネル製造事業において、これまでのベトナム国を生産拠点としたグローバル事業戦略に影響が及ぶ可能性があります。

主な対策

当社グループは、成長市場である米国市場での事業拡大を推進するため、ナスダックに上場の連結子会社を通じ、税制面で優位性のあるエチオピア国にセル工場及び米国にパネル工場を建設することにより、米国政府による関税政策に適切に対処し、米国顧客への供給体制を確立するべく取り組んでいます。また、ベトナム国からの販売については、引き続きインド国等のアジアや欧州の成長市場への販売多角化を推し進め、事業リスクの低減に取り組んでいます。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

気候変動

地球温暖化による世界的な気候変動への危機感の高まりを受け、政府及び企業による対策が進んでいます。当社グループは、太陽光パネル製造事業を通じて再生可能エネルギーの創出に貢献していますが、今後、政策・規制、技術開発、市場動向等により、当社グループの成長戦略及び事業運営が影響を受けるリスクがあります。

気候変動リスクに対する社会的関心が高まることは、太陽光パネル製造事業を営んでいる当社グループにとって成長の機会であります。一方、政策の変更、技術開発の動向等競争環境の変化に十分に対応できない場合、当社グループの相対的競争力が低下する可能性があります。

主な対策

当社グループは、再生可能エネルギー供給企業として、地球温暖化による気候変動へ貢献するために、常に政策動向、技術動向、市場動向等を注視することにより、競争力の維持・向上に取り組み、事業基盤の強化を図っています。

 

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

コンプライ

アンス

法令違反や社会の要請に反した行動が行われるリスクがあります。

法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、ステークホルダーからの信頼を失います。

主な対策

当社グループは、コンプライアンス委員会を中心に、動機・機会・正当化の観点でのリスク抑止、不祥事を起こさない組織風土づくり、内部通報制度の設置等により、グループ全体の企業倫理・コンプライアンス活動の深化及びコンプライアンス意識の徹底を図ってまいります。

また、当社グループは、内部統制システムの整備を図り、各種法令等の遵守に努めて国内外関係会社の更なる内部統制システムの充実を図ります。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

為替・

金利変動

当社グループの主要事業である太陽光パネル製造事業は海外市場で事業を展開しており、為替レート変動の影響を受けるリスクがあります。また、金融市場の変化により金利が変動するリスクがあります。

為替レート変動による財務諸表等の項目における円換算への影響があります。

資金調達や調達コストが変動する可能性があります。

主な対策

金融市場の変動による影響を完全に排除することはできませんが、当社グループでは、調達手段の多様化やグループキャッシュの一元管理による効率化への取り組み等により、業績や財務状況に与える影響の可能性を低減し、資金関連リスクへの対応に取り組んでいます。

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

情報

セキュリティ

当社グループは、サイバー攻撃、情報セキュリティ、情報漏洩等に関するリスクがあります。

個人情報や重要な営業情報の漏洩により、お客様からの信頼の失墜や損害賠償が発生するリスクがあります。

サイバー攻撃により、業務が停止する、または復旧に時間を要することで事業活動が影響を受けるリスクがあります。

主な対策

当社グループは、深刻化するサイバー攻撃を重要な経営リスクとして、情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、当社グループ内のセキュリティ対応体制を整備し、人的・技術的対策を実施することにより、ウィルス感染や外部からの不正アクセス等のサイバー攻撃の脅威への対策強化に取り組んでいます。

 

 

 

リスク分野

想定されるリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

知的財産権

当社グループは、十分な注意を持って事業運営を行っておりますが、第三者の知的財産権を侵害するリスクがあります。

当社グループが、意図せず第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求や仕様差止請求等を起こされる可能性があります。

2024年12月19日開示「当社及び当社子会社7社に対する訴訟の提起に関するお知らせ」のとおり、太陽光パネルの大手メーカーより、当社グループは太陽光パネル製品の特許権侵害に対する損害賠償請求及び差止請求を受けています(訴訟の目的額は未定です)。

主な対策

当社グループは、第三者が所有する知的財産権を尊重することを基本方針としています。事業運営に際しては、事前に調査、予防、必要に応じて解決策を講じることによって、知的財産権侵害リスクの低減に取り組んでいます。

また、当社グループは、今後も知的財産権を尊重すると共に、上記に記載した本件訴訟に対し、米国の特許専門の法律事務所と対応を行っています。原告の主張及び請求内容を精査するとともに、本件訴訟における当社グループの正当性を主張してまいります。

 

 

(1)経済状況について

当社グループの事業展開において、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2  事業の状況  1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「3  事業等のリスク」に記載の内容をご参照ください。

 

(2)経営戦略の現状と見通し

当社グループでは、以下の企業理念を掲げ、先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の持続可能な発展に貢献し続けることを掲げています。

 

<企業理念> Best Values

・ 先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の持続可能な発展に貢献し続けます。

・ 価値の提供によって≪Excellent Creative Company≫のビジョンのもと、従業員の幸福、お客様・社会とのWin-Win関係、企業価値・株主価値の向上・最大化を図り続けます。

・ 価値の提供、愛と感動を原動力にAbalanceグループは成長し続けます。

 

 

2030年にグループが目指す姿として、「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」となることを目標に据え、保有発電容量1GW、年間製造目標8GWを成長戦略の柱としております。当社は、グループの持続的成長と社会価値を両立しながら、企業価値の最大化を図ってまいります。

<企業価値向上への強化施策について>

・VSUNの太陽光パネル及びTOYO SOLARの太陽光セル収益力向上と販売先の多角化

・セル製造のほか、インゴット、ウエハ製造の上流工程を含むサプライチェーンの強化

・米国ナスダック上場の連結子会社TOYOの米国及びエチオピア国における太陽光パネル製造事業の展開

・グリーンエネルギー事業におけるNon-FIT発電所開発・建設やM&Aも活用した最適なポートフォリオの構築

・市場成長が見込まれる系統蓄電池事業における蓄電所の新規案件獲得と事業拡大

・自己資本比率の更なる改善(財務健全化の推進)

 

 

当社グループの主要セグメントである太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業を中心に予算編成を行った結果、2026年3月期の連結業績予想(2025年4月1日~2026年3月31日)については、売上高95,000百万円、営業利益6,000百万円、経常利益6,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,000百万円としております。連結業績予想に係る前提条件は、外部環境の動向を踏まえ、以下のように、現状において合理的に予測可能な条件等に基づいて設定しております。

 

(a) 太陽光パネル製造事業

世界的な地球温暖化による気候変動対策として、今後も世界各国の再生可能エネルギーの導入は加速し、太陽光発電市場は、中長期的な成長が見込まれる市場です。しかしながら、一昨年から太陽光関連製品は供給過剰により市況が軟調に推移しています。主要な販売先である米国市場では、本年4月にアンチダンピング関税及び相殺関税の賦課に関する最終決定が米国政府より、ベトナム国に対しても下され、VSUN等への影響が見込まれます。加えて、米国政府は全ての国から輸入される実質的に全ての品目に10%の追加関税を課すベースライン関税のほか、ベトナム国を含む特定の国に対し、相互関税(4月9日から発動を90日間停止)の賦課を決定しておりますが、同国の税制政策については今後の国際情勢等を含め、依然流動性がある事から、予断を許しません。同国では、これまでインフレ抑制法(IRA)等により、米国内での投資が活発化していましたが、今後のエネルギー政策動向による当社グループ事業への影響を注視しています。

以上のような環境を踏まえ、当社グループの太陽光パネル製造事業に関し、ベトナム国VSUNのパネル及びTOYO SOLARのセルの製品販売先として、引き続き欧州やインド国を始めとするアジア市場等の販売多角化を推し進めます。TOYOはエチオピア国シダマ州アワサ市において、セルの新工場(第1フェーズ)の生産を開始しました。また、旺盛な需要を背景に、生産能力の増強を決定し、2026年3月期第2四半期中を目途に第2フェーズの生産を開始する予定です。米国テキサス州に建設中の太陽光パネルの新工場への製品供給を行うほか、外部顧客への販売も強化します。そして、米国市場において太陽光パネル関連製品の安定した供給体制を構築し、同国内での太陽光パネル製造事業の拡大に取り組みます。なお、設備投資に係る資金については自己資金及び金融機関からの借り入れを中心に調達方法を検討してまいります。

 

(b) グリーンエネルギー事業

当社グループでは、太陽光発電所を自社保有化し、電力会社に電力販売をおこなうストック型ビジネスを強化しています。Non-FIT発電所開発・建設やM&Aも積極的に活用するほか、最適なポートフォリオの構築に取組み、収益基盤の拡充を図ります。

太陽光発電関連サービスを提供するフロー型ビジネスに関し、大型小売量販店と連携し、量販店の顧客向けに太陽光発電設備ならびに蓄電設備の販売拡大を目指します。そして、積極的な海外展開に取り組むほか、将来的に太陽光パネルの廃棄問題が懸念される状況に対し、社会問題解決の観点からも、太陽光パネルのリユース事業への取り組みも継続的に展開してまいります。また、北海道地区において、電力の需給調整や停電時などに備えて、安定的な電力供給を可能とする系統蓄電池事業に参入しております。石狩の蓄電所が2026年に運転開始となるほか、WWBを含む9社合同で設立した「北海道札幌蓄電合同会社」において、2027年4月の北海道札幌蓄電所の運転開始を目指しています。今後は、系統蓄電池事業において、更なる蓄電所の新規案件獲得に取り組んでまいります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、今後の事業展開と財務内容の強化を図るため必要な内部留保を図りつつ、安定した配当を継続すること、また、財務状況に応じた積極的な株主への利益還元策を行うことを基本方針としております。

なお、当社は会社法第454条第5項に基づいて中間配当制度を採用しており、剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本方針としております。配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会としております。

上記の基本方針のもと、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2025年3月24日

取締役会決議

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