2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる、主な事項を記載しております。

また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 技術の陳腐化について

当社グループは、電子・電気機器開発に必要な自社開発のソフトウェア製品と、海外メーカーの開発したソフトウェア製品を多様な分野に展開しておりますが、これらの技術革新のスピードは速く、製品の高機能化も進んでおります。

当社グループといたしましては、技術の進展に鋭意対応していく方針ですが、当社グループが想定していない新技術の台頭、普及により事業環境が急変した場合、必ずしも迅速に対応できない可能性があります。

また、競合他社が当社グループを上回る技術を開発した場合には、当社グループの技術が陳腐化する可能性があります。これらの状況に迅速に対応するため、多額の研究開発費用が発生する可能性もあります。

上記のような事象が発生した場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 競争の激化について

当社グループは、電子・電気機器開発に必要な自社開発のソフトウェア製品と、海外メーカーの開発したソフトウェア製品を取り扱っております。近年は、LinuxやAndroid、FreeRTOS等の無償で利用できるソフトウェアプラットフォームが拡大し、また半導体メーカーが半導体デバイスと一緒に開発に必要なソフトウェアを組み合わせて包括的に提供する傾向にあり、特にミドルウェア製品群は、これらとの競争が激化しております。当社グループは、今後も競争力の維持強化に必要な製品ラインアップの強化、無償のソフトウェアでは得られない品質保証、技術サポートの提供や、脆弱性へのリスク対応等による差別化を図ることで競争力の維持強化に向けたさまざまな取り組みを進めてまいりますが、優位に競争が進められず、当該市場で十分なシェアを獲得できない場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

③ 新規事業について

当社グループでは事業拡大を行う上で、当社グループ独自の技術やノウハウを活かした新規事業や製品を提供することが必要であると認識しております。このため、新規事業や製品への投資については、その市場性等について十分な検証を行った上で投資の意思決定を行っておりますが、市場環境の変化や不測の事態により、当初予定していた投資回収を実現できない可能性があります。

また、新規事業や新規サービス・製品の立ち上げには、一時的に追加の人材採用、研究開発等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 海外事業展開について

当社グループは今後グローバルな事業展開を予定しておりますが、海外市場への事業進出には、各国政府の予期しない法律や規制の変更、社会・政治及び経済情勢の変化、異なる商慣習による取引先の信用リスク、競合企業の存在や知的財産権の取扱方法の違い、為替変動等の要因により、事業展開及びその成果が当初予測と異なる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 知的財産権について

当社グループは自社開発したソフトウェアについて著作権を有しておりますが、第三者が当社グループの著作権を侵害することなく、当社グループのソフトウェアと同様の機能を実現した場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、当該第三者が特許権を取得した場合、当社グループが損害賠償義務を負担する可能性があります。加えて、当社グループが特定分野でのソフトウェア開発業務遂行のため、他社よりソフトウェアのソースコード開示を受けることがまれにありますが、この場合、当該ソースコードの開示を理由に当該成果物以外の当社グループ著作物に対する著作権侵害の訴訟等を受けるおそれがあります。

⑥ ソフトウェアの不具合による顧客の損失について

当社グループのソフトウェアの不具合による顧客の損失については、契約上、当社グループの損害賠償額の上限を当社グループが収受した契約対価に限定するように努めておりますが、このような事態が発生した場合、直接的に売上高の取消による損失が発生するのみならず、信用失墜により当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ DTLAからの高度機密情報の提供について

当社グループは、DTCPのライセンス管理団体であるDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)に加盟し、同団体からDTCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、DLNAやIPTVのコンテンツ保護における根幹の技術情報であり、当社グループ製品への統合により競争力を高めることができます。しかしながら、DTLAとの約定により、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

⑧ DCPからの高度機密情報の提供について

当社グループは、HDCPのライセンス管理団体であるDCP(Digital Content Protection)に加盟し、同団体からHDCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、Miracast等と合わせて必要とされるコンテンツ保護における根幹の技術情報であり、当社グループ製品への統合により競争力を高めることができます。しかしながら、DCPとの約定により、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

⑨ ライセンス契約について

当社グループは、顧客との間で、当社グループソフトウェアを搭載した半導体・製品等の販売本数に応じて製造ロイヤルティを収受する契約を締結しております。従って、当社グループの売上高は、顧客の半導体・製品等の販売本数に影響を受けることとなります。顧客の半導体・製品等の販売が好調であった場合、予想外の収益を計上できる可能性がありますが、一方、顧客の新製品の発売時期が遅延した場合や当初の販売見込みを下回った場合、顧客の販売戦略に変更が生じた場合等においては、当社グループの収益が低下する可能性があります。

⑩ 仕入先との契約更新に係るリスク

ソフトウェアディストリビューション事業及びデータアナリティクス事業では、国外のソフトウェアベンダーの製品の輸入販売を行い、最先端の技術・製品等を有する海外のソフトウェアベンダーを仕入先としております。それらの仕入先とは、販売代理店契約等を締結し、良好な関係を維持しておりますが、仕入先が第三者からの買収や、代理店政策の見直しがあった場合は、商権に変更が生じる等、業績に影響を与える可能性があります。

⑪ 契約更新に係るリスク

株式会社エイムは、米国Gracenote社の音楽データベースに関するライセンス契約を締結し、一定の収益を計上しております。しかしながら、相手先企業の経営方針の変更等、当社がコントロールし得ない何らかの事情によりこの契約が更新されなかった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑫ 経済状況・市場動向が影響するリスク

ⅰ)自動車業界の動向が影響するリスク

 当社の事業収益のうち、自動車業界関連が約60%と大部分を占めています。そのため、自動車の販売台数が減少した場合には、車載情報端末を中心とした製造ロイヤルティ収益に影響を及ぼす可能性があります。

 また、自動車関連企業が収益減少のために開発投資へリソースを割かない場合、ソフトウェア開発支援ツール、各ソフトウェア開発キット及び関連する開発委託業務に影響を及ぼす可能性があります。

ⅱ)経済全般の停滞が影響するリスク

 景気低迷による顧客の機器生産台数の低迷により、製造ロイヤルティ収益へ影響を及ぼす可能性があります。

 また、収益低下懸念による費用圧縮に伴う新規開発投資の抑制により、ソフトウェア開発支援ツール、SDK及び関連する開発委託業務へ影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当連結会計年度の業績は純利益の黒字化を達成いたしましたが、さらなる収益基盤の強化及び今後の事業展開に備えるための内部留保の充実を図っていく必要があることから、無配を継続させて頂きます。

また、現在保有している資金は、革新的な技術を生み出す研究開発や世界的に競争力を持つ製品の開発、並びに販売力の強化、新分野への進出を容易かつ確実なものにするための合併・買収等に活用し、財務面での健全性を維持しながら、業績拡大を目指す所存であります。

今後の配当につきましては、安定的な利益創出と充分な内部留保が実現された段階で、事業展開の状況及びリスク等を総合的に勘案し、再開を検討してまいります。

なお、当社は「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として剰余金の配当をすることができる。」旨を定款に定めておりますが、事務コストの観点から中間配当は実施せず、期末配当の1回とする方針です。なお、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。