人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数423名(単体) 39,136名(連結)
-
平均年齢45.1歳(単体)
-
平均勤続年数17.2年(単体)
-
平均年収8,448,000円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員です。
2.臨時従業員数は総数が100分の10未満であるため記載を省略しています。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員です。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
3.臨時従業員数は総数が100分の10未満であるため記載を省略しています。
(3) 労働組合の状況
労使関係について特に記載すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当社グループでは、王子グループ人財理念に従って、人財確保、人財育成に取り組んでおり、その前提として、「コンプライアンス・安全・環境の徹底」、「人権の尊重、インクルージョン&ダイバーシティ」、「人財活用(実力主義に基づく公正な処遇とエンゲージメント向上)」を社内環境整備方針の基盤としています。
労働者の男女の賃金の差異について、当社グループでは性別により賃金の取り扱いに差を設けていません。男女の賃金の差異が生じる主な理由は、勤続年数の差、構成差(管理職比率・総合職比率の男女差)によるものです。なお、人的資本に関する取組は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(4)人的資本の強化」を参照ください。
① 提出会社
(注1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
(注2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。
② 連結子会社
(注1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
(注2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)ガバナンス(共通)
当社は、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」としてコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方、枠組み及び運営方針を定めており、サステナビリティに関するリスク管理体制についても取締役会が整備及び運用状況の監督を行うとともに、独立した客観的な立場から、業務執行取締役及び執行役員に対する実効性の高い監督を行うこととしています。また、取締役会の実効性を高めるため、追加の情報や外部の専門家の助言を適切に入手するための支援体制の整備や社外役員(社外取締役及び社外監査役)による監督機能の強化を図るため、原則月2回、当社グループの重要な業務執行内容を社外役員(社外取締役及び社外監査役)に報告するなどの取組を行っています。
さらに、当社グループのサステナビリティに関するリスク及び対策について協議し、グループ一体となったサステナビリティについての取組を推進するため、取締役会による監督の下、グループ規程に基づき、当社代表取締役社長執行役員CEOを委員長、王子マネジメントオフィス㈱ サステナビリティ推進本部(以下、サステナビリティ推進本部)管掌/分掌役員、カンパニープレジデント、当社代表取締役社長執行役員CEOの指名する当社取締役(社外取締役を含む)、監査役、執行役員を委員とするサステナビリティ推進委員会を年2回開催し、以下の事項を協議することとしています。
サステナビリティ推進委員会の協議事項
・気候関連のリスク及び機会、並びにその対応に関する事項
・当社グループの自然関連の依存、影響、リスク及び機会とその対応、並びに自然資本の回復・拡大に関する事項
・上流・下流バリューチェーンの自然関連の依存、影響、リスク及び機会とその対応、並びに自然資本の回復・拡大に関する事項
・サーキュラーエコノミー推進に関する事項
・持続可能な森林経営に関する事項
・当社グループ及びサプライチェーンにおけるプラスチック汚染、使用量削減に関する事項
・水関連のリスク及び機会、並びにその対応に関する事項
・サプライチェーンリスク、及びその対応に関する事項
・環境リスク、及びその対応に関する事項
・人権リスク、及びその対応に関する事項
・腐敗防止に関する事項
・インクルージョン&ダイバーシティ推進に関する事項
・その他、サステナビリティに関する重要課題、及びその対応に関する事項
グループ横断的なサステナビリティに関するリスク及び機会は、サステナビリティ推進本部が特定し、その対応とともにサステナビリティ推進委員会で協議、承認します。重要事項については当社グループ経営会議で審議するとともに、グループガバナンスを徹底し、グループ各社に対してグループ戦略及び重要情報の共有を図ることとしています。
なお、グループ経営会議で審議された事項のうち、グループ経営戦略に関わる重要な事項については、取締役会において執行を決定します。
決定事項の執行については、CSOの所管の下、サステナビリティ推進本部が当社グループのサステナビリティに関する統括管理を担い、各カンパニープレジデントの下、グループ各社が施策を実行します。なお、グループ各社による施策の実行に際しては当社内に組織する各グループ管理部門が計画策定や実行支援等を行います。サステナビリティ推進本部は、毎月、グループ各社の取組進捗を取り纏めCSOに報告し、重要性に応じてグループ経営会議に付議・報告します。サステナビリティに関する重要なリスク及び機会はCSOの判断のもと、取締役会に随時報告します。
サステナビリティ体制図
(2)リスク管理(共通)
当社グループは、刻々と変化する社会動向を踏まえ、2019年に以下のプロセスで事業におけるサステナビリティに関するリスク及び機会を識別し、重要課題を特定しました。重要課題の特定プロセスにおいては当社グループのコア・コンピタンスを考慮し、SDGs、グローバルリスク、ESG評価、ステークホルダーとの対話の内容に基づき課題を抽出し、外部機関の意見を取り入れて評価しました。特定したサステナビリティ重要課題はグループ経営会議で妥当性を確認し、承認しました。
2020年には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に沿って気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)等のシナリオを用いた気候変動関連のリスク及び機会の分析を行いました。評価及び対応の検討においては、国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)のネット・ゼロ・エミッション(NZE: Net Zero Emissions)シナリオの2030年の炭素価格:140 USD/t-CO2を内部炭素価格(ICP: Internal Carbon Price)として参照しています。また、2024年には自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD: Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)提言のLEAPアプローチ※に沿って自然関連の依存及びインパクトを特定、優先評価対象をCelulose Nipo-Brasileira S.A.(以下、CENIBRA社)の植林事業としてリスク及び機会を抽出し、シナリオ分析を行いました。
重要性が高いリスク及び機会については指標及び目標を設定し、サステナビリティ推進委員会で対応を協議するとともに、進捗を管理します。コア・コンピタンスを活かした当社グループの成長戦略を中核に据え、リスク及び機会を踏まえたサステナビリティに関する重要課題に取り組むことは、当社グループの持続的な企業価値の向上に資するものと考えています。
※LEAPアプローチとは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)により開発された統合アプローチです。自然関連課題を発見(Locate)、診断(Evaluate)、評価(Assess)、準備(Prepare)の4つのフェーズで評価し、管理します。
サステナビリティ重要課題の特定プロセス
サステナビリティに関する重要課題
当社グループが持つ5つのコア・コンピタンス
(3)各サステナビリティに関する重要課題に向けた戦略、指標及び目標
当社グループにおけるサステナビリティに関する各重要課題に向けた戦略、指標及び目標は次のとおりです。
「気候変動の緩和・適応」課題に向けた取組
①戦略
当社グループは、2030年に向けた中期の炭素税等の政策・規制による移行リスク、2050年に向けた長期の降水・気象パターンの変化等の物理的リスク、中・長期の低炭素製品の需要増加機会を重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会と識別しています。
これらのリスク及び機会に対応するため、環境に配慮した技術を向上し、森林保全・植林を通じた森林の二酸化炭素の蓄積並びに事業構造転換、製品製造、輸送部門の徹底した省エネルギー、再生可能エネルギーの利用量拡大により脱炭素社会への移行に対応し、2040年の正味ゼロ・カーボン化を目指しています。また、降水・気象パターンの変化による樹木の生育状況悪化に備え、分散調達による安定的調達の強化や、気候・地域に適した樹種の開発・選定に取り組んでいます。さらに、脱炭素化に貢献する木質由来の新素材の開発を進めています。
2021年度、2023年度に石炭ボイラを廃止するなど、移行段階として石炭からガスへの燃料転換を進めており、将来的には水素、アンモニア、e-methane(合成メタン)の導入を検討します。また、安定的な森林資源の確保により当社グループの事業基盤を強化するとともに、森林の二酸化炭素の蓄積を推進するため、2024年度においては、ウルグアイに設立したOji Uruguay Forest Company S.A.Sによる植林地の取得や、森林アセットマネジメント事業会社New Forests Pty Limitedとの提携によるグローバルに森林投資を行う「Future Forest Innovationsファンド」の設立等を実施しました。
気候関連のリスク及び機会と対応
※影響額(ICPを用いて評価) 小:100億円未満、中:100億円以上500億円未満、大:500億円以上 ※以外は定性評価
②指標及び目標
当課題の取組に関連する主な指標及び目標は、以下のとおりです。
・2030年度までにGHG排出量を2018年度対比で70%以上削減※(Scope 1、Scope 2)
※森林によるCO2吸収・固定を含める
・石炭使用量の低減等により、2030年度までに再生可能エネルギー利用率60%以上に向上
・2030年度までに海外植林地を40万haへ拡大
さらに、2025年5月には環境行動目標2040を策定し、以下の指標及び目標を設定しました。
・2040年度のGHG排出量を森林によるCO2吸収・固定で相殺し正味ゼロ・カーボン化(Scope 1、Scope 2)
・2040年度までに石炭使用量ゼロ
「持続可能な森林経営と生物多様性の保全」課題に向けた取組
①戦略
当社グループは森林を事業の核としており、特に林業において生態系サービスへの依存と土地利用による自然へのインパクトが大きいと認識しています。また、CENIBRA社の植林事業を対象としたシナリオ分析を通じて、報告義務の強化や新たな規制の導入、森林伐採に対するネガティブイメージの拡大による移行リスク、気温上昇に伴う木材生産性の低下、森林火災の発生頻度の増加による物理リスク、再生可能資源やサステナブル製品の需要増加、木材や水資源の利用効率の向上による機会を重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会と識別しています。
当社グループは従来より「木を使うものは木を植える義務がある」という考えの下、長年にわたり実践してきた持続可能な森林経営を通じて、これらのリスク及び機会に対応してきました。引き続き持続可能な森林経営を推進して森林の多面的機能を高めるとともに、生態系を保全・回復する取組を継続・拡大し、世界のネイチャーポジティブの達成に貢献します。
2024年にはCENIBRA社が第三者機関の審査を受け、生物多様性保全活動等による生物多様性へのポジティブな影響が、企業活動による生物多様性への圧力を大幅に上回っていることが確認されました。また、森林には木材生産だけでなく、生物多様性や水源涵養といった多面的機能があり、当社グループの国内社有林の自然資本としての経済価値を2024年度に試算しました。
②指標及び目標
当課題の取組に関連する主な指標及び目標は、以下のとおりです。
・海外の森林認証取得率を向上(国内は100%維持)
・2024年度から2033年度までの期間に3,000 ha以上の天然林を所有地内で再生
・2024年度から2033年度までの期間に50万本以上の郷土樹種を所有地内で植栽
・2024年度から2033年度までの期間に3,500 ha以上の緑の回廊を所有地外で設置
さらに、2025年5月には環境行動目標2040を策定し、以下の指標及び目標を設定しました。
・森林破壊ゼロを継続
・2018年度から2040年度までの期間に5,000 ha以上の天然林を所有地内で再生
・2018年度から2040年度までの期間に90万本以上の郷土樹種を所有地内で植栽
・2018年度から2040年度までの期間に6,000 ha以上の緑の回廊を所有地外で設置
「資源の循環的利用」「環境負荷の低減」課題に向けた取組
①戦略
当社グループは、紙・パルプの生産工程で利用する「水」や、紙の原料である「古紙」の循環的利用の取組を行っており、社会のサーキュラーエコノミーへの移行に貢献してきました。また、環境配慮型紙製品の拡販により、社会のプラスチック使用量削減に貢献します。
<水に対する戦略> 当社グループが国内外に所有する森林資源は水源涵養機能を有し、特に国内の「王子の森」の水源涵養量は当社グループ事業場全体の取水量の約2.6倍に相当すると解析されています。森林の水源涵養機能により地域の水資源を創出していることを機会と考え、地域の水資源を支える森林の水源涵養機能を継続して維持していきます。一方で事業において使用している水資源は、過剰に使用することで地域の水資源枯渇を引き起こすリスクや、汚染物質を排出することで地域の生態系を脅かすリスクがあります。当社グループはステークホルダーと協働しながら、事業を展開する地域の状況に合わせた水資源の利用を行います。継続して取水量、水質汚濁物質の削減を進め、地域の生態系を保護しながら水資源を地域に戻していきます。また、当社グループの一部事業場は水リスクが高い地域で事業を行っています。水リスクの高い地域の売上高及び資産は、当社グループ全体に占める割合は低いため、財務的影響は小さいと見積もっています。一方で水リスクが高い地域での水使用の影響を認識しており、地域への影響の緩和を行っていきます。さらに水資源への取り組みにより得た水処理の知見に基づいて得られた水処理技術を拡大することは、社会において地域の生態系を保護しながら水資源を利用することにつながるため、当社グループにとって機会と考え、事業を展開しています。
<古紙に対する戦略> 再生されず処分されていた紙製品の再生利用に取り組んでいます。2023年度には、従来、耐水性を持たせるためプラスチックラミネート加工が施されているなどの理由により再資源化ができず一般的に焼却処分されていた紙コップを分別・回収し、繊維分を効率的に回収する技術を確立し、段ボール原紙としてリサイクルする取組を開始しました。技術開発による紙製品の再生利用の拡大を機会と考え、取組を推進します。2024年度には、さらに企業・業界の枠を超えた低炭素・資源循環型社会への取組として回収の規模を拡大し、ハンドタオル(ペーパータオル)としてリサイクルする取組を開始しました。
<プラスチックに対する戦略> 欧州などの規制強化、消費者意識変化によるプラスチック代替製品の需要増加を機会ととらえ、プラスチック製品から環境配慮型紙製品への置換を通じて、当社グループの顧客で使用される、さらには社会全体で使用されるプラスチックの量を削減します。
②指標及び目標
当課題の取組に関連する主な指標及び目標は、以下のとおりです。
・2030年度の取水原単位を2018年度対比で6%以上削減
・紙のリサイクル(古紙利用率)を国内70%以上に向上
・2030年度までに環境配慮型紙製品を5,000 t以上拡販
さらに、2025年5月には環境行動目標2040を策定し、以下の指標及び目標を設定しました。
・2040年度の取水総量を2018年度対比で10%以上削減
・高水リスク地域におけるステークホルダーエンゲージメントを年1回以上実施
・段原紙古紙利用率を国内90%以上に維持
「責任ある原材料調達」課題に向けた取組
①戦略
企業価値の向上には、当社グループだけではなくサプライチェーン全体での法令遵守と社会的責任の遂行が不可欠です。グローバル化の急速な進展とともに、社会的課題への対応が注目されており、特に原材料調達におけるサステナビリティへの配慮が強く求められています。サプライチェーン上で環境や社会への配慮に欠けた事例が発生することでステークホルダーからの信頼を失うリスクがあり、リスク低減に向けた対応が必要です。また、欧州の規制強化により森林破壊に対する関心が高まっており、当社グループで森林破壊や転換のない、持続可能な森林管理及び木材原料調達を行ってきたことは機会につながると考えます。
当社グループは、サプライヤーとの継続的な対話を通じて、責任ある原材料調達を推進し、持続可能な社会への貢献を目指しています。サプライチェーンリスク低減のため「王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」と「木材原料の調達指針」を定めており、新規サプライヤーに取引前に両指針への理解を求めるとともに、指針改訂時には全サプライヤーに周知徹底を図っています。また、2020年度より取引額及び品目を基に選定した主要サプライヤーに対しサステナビリティ調査を行い、サプライチェーンの実態把握とリスク管理を行っています。
また、2024年12月には「森林破壊・転換ゼロコミットメント」を公表しました。本コミットメントの下でサプライチェーン全体で森林破壊・転換を行わない調達を継続します。
②指標及び目標
当課題の取組に関連する主な指標及び目標は、以下のとおりです。
・主要サプライヤーに対するサステナビリティ調査の100%実施
・「木材原料の調達指針」に基づくトレーサビリティ調査の100%実施
さらに、2025年5月には環境行動目標2040を策定し、以下の指標及び目標を設定しました。
・サプライヤー人権・環境デュー・ディリジェンス 1回/年 実施
「人権の尊重」
①戦略
人権の尊重はコア・コンピタンスの前提であり、サステナビリティ重要課題が成立するための不可避の条件です。当社グループは、人権への配慮欠如によるステークホルダーからの信頼低下のリスク、エンゲージメント向上の機会を重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会と識別しています。
当社グループは、人権尊重の取組が当社グループの競争力強化の大前提と捉え、2020年に「王子グループ人権方針」を制定しました。本方針は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「国際人権章典」等の国際規範を支持・尊重しており、当社グループの全ての役員及び従業員に適用し、全ての事業活動に反映し、全てのステークホルダーに対して方針の理解と遵守を期待するものです。
同指導原則においては、人権尊重の責任を履行するものとして「人権方針の策定」「人権デュー・ディリジェンスの実施」「苦情処理メカニズムの整備」が定義づけられています。当社グループは企業活動に関連する人権の負の影響を特定・防止・軽減するための「人権デュー・ディリジェンス」を2022年度から実施しています。2024年度は潜在的人権リスクが高いと思われるサプライヤーを対象に、人権や労働慣行等を確認する人権アセスメントを実施したほか、当社グループ海外事業所の移民労働者を対象とした第三者機関によるインタビュー調査を実施しました。2025年2月には、これまで未対応だった「苦情処理メカニズム」を導入し、非司法的な苦情処理プラットフォームにより、あらゆるステークホルダーからの人権及び自然資本に関わる苦情処理を受け付ける体制を構築しました。これにより、ステークホルダーとのエンゲージメント向上に努めていきます。
②指標及び目標
当課題の取組に関連する主な指標及び目標は、以下のとおりです。
・人権デュー・ディリジェンス 1回/年 実施
・対象者への人権教育・研修の100%実施
(4)人的資本の強化
①戦略
当社グループは、サステナビリティに関する重要課題を解決し、世の中に求められる企業として存続していくためには「人」が重要であると考え、「企業の力の源泉は人財(人的資本)にあり」という大原則のもと、「王子グループ人財理念」に従って、人財確保、人財育成に取り組んでいます。
王子グループ人財理念
高い倫理観
経営理念・パーパス(存在意義)・経営戦略の理解と実践
変革意識と挑戦
自己研鑽と組織の成長・進化への貢献
世界を意識した行動
具体的な取組は以下のとおりです。
「人的資本の強化」が目指す姿である王子グループ人財理念を体現する人財の確保、育成の前提となるものは、「コンプライアンス・安全・環境の徹底」、「人権の尊重、インクルージョン&ダイバーシティ」、「人財活用(実力主義に基づく公正な処遇とエンゲージメント向上)」であり、この3つが、社内環境整備方針の基盤となります。
3つの基盤をしっかりと整えた上で、従業員一人ひとりの意識(行動)の改革や、管理職による部下の成長・進化を促すマネジメントを通じ、多様な人財の能力開発・キャリア形成及びワークライフマネジメントの向上を促し、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、多様な価値観・発想からクリエイティブな成果を通じてイノベーションを実現させることで、持続的な企業価値の向上を目指していきます。
「コンプライアンス・安全・環境の徹底」
当社グループは、「国連グローバル・コンパクト」の人権、労働、環境、腐敗防止の原則を織り込み、2004年に「王子グループ企業行動憲章」及びこの憲章の行動指針である「王子グループ行動規範」を制定し2020年度にSDGs等の社会環境及び、経営理念を反映させて改訂し、より時代の要求に即した内容としました。
企業行動憲章・行動規範の改廃は取締役会の決議事項であり、取締役会の関与の下、活動の規範として、グループ拠点のある各国の言語に翻訳され、グループに属するすべての役員及び従業員に周知しています。すべての役員及び従業員は、この企業行動憲章と行動規範を正しく理解し、実践することに努め、もし、反する行為を行っている場合、もしくは違反が疑われる場合は、速やかに上司あるいは会社・職場のコンプライアンス担当窓口、または企業ヘルプライン(グループ内部通報)窓口に通報、相談することとしています。
当社グループ全体にわたるコンプライアンス意識の醸成のために、国内外のグループ各社では、コンプライアンス責任者、コンプライアンス推進リーダーが推進活動の中心となり、半期ごとのコンプライアンス会議を実施するなど、コンプライアンス活動を推進しています。
「人権の尊重、インクルージョン&ダイバーシティ」
当社グループでは、すべての従業員に対して、経営理念、パーパス(存在意義)、人財理念など、核となるものについては、共通の価値観を求めています。さらに、当社グループは、人種、国籍、民族、出身地、思想信条、価値観、宗教、年齢、性別、性的指向、性自認、障がい、社会的身分、社内的地位等に関わらず、従業員一人ひとりの多様な価値観、発想、能力を最大限に活用し互いに成長することで企業の競争力強化に結びつく「個人・組織の活性化」に向け「インクルージョン&ダイバーシティ」を推進しています。なお、「人権の尊重」に関する戦略、指標及び目標については(3)各サステナビリティに関する重要課題に向けた戦略、指標及び目標において記載しています。
「人財活用(実力主義に基づく公正な処遇とエンゲージメント向上)」
・公正な処遇
価値創造の源泉となる人財を活用し、経営理念・パーパス(存在意義)を実践し、経営戦略(長期ビジョンを含む)に沿った課題を確実に遂行するため、「役割期待」及び「成果」を基準とする実力主義に基づく人事制度として、「役割等級制度」を適正に運用し、従業員一人ひとりが、その保有する能力を通じて発揮した役割の大きさに応じて処遇しています。
また、高年齢者にも会社生活で培った知識、技術、技能を存分に発揮し意欲をもって働けるよう、国内主要グループ会社にて、「65歳定年制」を導入し、また、2023年度より、一定の条件を満たす従業員を対象に、最長67歳までの再雇用制度を導入しました。
・エンゲージメントの向上
「人財育成、グループ内公募制度」
人財育成を進めるため、グローバル人財育成やDXリテラシー教育、管理職育成等の研修プログラムを実施するとともに、従業員の意思にもとづく自律的なキャリア形成を促進し、意欲の高い人財の適正配置、有効活用により、事業の強化、組織の活性化、従業員のエンゲージメント向上を図ることを目的として、2022年度から国内グループ会社正規従業員及び海外駐在員を対象として公募制度を実施しています。
「エンゲージメントサーベイの実施」
実態を把握・分析し改善を図るため2024年度よりエンゲージメントサーベイを拡充し、各職場にフィードバックしています。特にやりがい(仕事)と長期就労意欲(組織)に対する回答結果に着目し、スコアの低い職場への改善策の立案・実施や、労働環境の改善など、スコアの向上に向けて継続的に取組を進めています。
「タウンホールミーティングの実施」
経営理念をはじめとした経営方針、事業戦略を浸透させ、さらに現場の生の声を聞く(取り入れる)ことにより双方のコミュニケーションを深め、事業運営の意思統一、組織の一体感や風通しの良い職場の醸成、従業員のエンゲージメント向上を図ることを目的にタウンホールミーティング(経営陣と従業員の直接対話)を実施しています。
「スキルマップとポータルサイトの新設」
従業員の保有するスキルとレベルを正確に把握し、それに基づいた最適な人財配置と育成を実現するため、2025年度より「スキルマップ」の整備を開始しました。職種とスキル・レベルの組み合わせにより、約3,000種類に分類される予定です。また、グループ全体でのノウハウや情報の共有を促進し、経営理念・パーパス(存在意義)・経営戦略への理解を深めるとともに、従業員のリスキリングによる生産性とエンゲージメントの向上を目的として、王子グループ独自のコンテンツを集約したポータルサイト「Oji library」を新設しました。
②ガバナンス及びリスク管理に関する補足説明
サステナビリティ推進委員会において、当社グループを横断した安全・環境・人権・インクルージョン&ダイバーシティ等の推進方針・目標の共有を行っています。
また、2020年10月に「王子グループ健康宣言」を制定し、当社代表取締役社長執行役員CEOを最高健康責任者とし、健康の確保に取り組んでいます。
③指標及び目標
人的資本の強化の取組に関する指標及び目標、実績は下表のとおりです。
a コンプライアンス・安全・環境の徹底
b 人権の尊重、インクルージョン&ダイバーシティ
c 人財活用(実力主義に基づく公正な処遇とエンゲージメント向上)
※1 2024年10月1日から2025年3月31日までの対象期間
集計範囲:国内グループ会社153社
※2 2024年1月1日から2024年12月31日までの対象期間
※3 2025年3月31日から2025年5月23日までの対象期間 総受講者2,647名(対象25社)を対象に実施
※4 集計範囲:2015年9月集計開始時従業員数301名以上の国内グループ会社16社
2024年度(2024年4月1日から2025年3月31日までの対象期間)
※5 目標:法定雇用率達成 2024年6月1日時点
実績:2024年6月1日時点
グループ適用6社:王子ホールディングス㈱、王子ネピア㈱、王子イメージングメディア㈱、王子製紙㈱、王子マネジメントオフィス㈱、王子クリーンメイト㈱を対象に集計
グループ83社:2024年度の法定雇用率2.5%において1名以上の障がい者の雇用義務のある従業員40人以上の会社(国内グループ適用6社を含む)
※6 2024年度(2024年4月1日から2025年3月31日までの対象期間)
※7 集計範囲:2015年9月集計開始時従業員数301名以上の国内グループ会社16社
実績:2025年3月末
※8 集計範囲:2025年4月集計開始時従業員数301名以上の国内グループ会社14社と従業員数301名未満で王子マネジメントオフィス㈱一括採用(新卒総合職)対象の国内グループ6社
実績:2025年3月末
※9 実績:2025年4月1日入社
当社グループ主要会社の新卒採用総合職は、優秀人財の確保や業務効率化の観点より、2018年度入社者から王子マネジメントオフィス㈱にて一括採用しています。