2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    381名(単体) 38,322名(連結)
  • 平均年齢
    48.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.7年(単体)
  • 平均年収
    8,401,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

生活産業資材

19,010

機能材

5,002

資源環境ビジネス

8,510

印刷情報メディア

2,877

報告セグメント計

35,399

その他

2,923

合計

38,322

 

(注) 1.従業員数は就業人員です。

2.臨時従業員数は総数が100分の10未満であるため記載を省略しています。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

381

48.3

19.7

8,401

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

その他

381

合計

381

 

(注) 1.従業員数は就業人員です。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3.臨時従業員数は総数が100分の10未満であるため記載を省略しています。

 

(3) 労働組合の状況

労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当社グループでは、王子グループ人財理念に従って、人財確保、人財育成に取り組んでおり、その前提として、「コンプライアンス・安全・環境の徹底」、「人権の尊重、インクルージョン&ダイバーシティ」、「人財活用(実力主義に基づく公正な処遇とエンゲージメント向上)」を社内環境整備方針の基盤としています。

労働者の男女の賃金の差異について、当社グループでは性別により賃金の取り扱いに差を設けていません。男女の賃金の差異が生じる主な理由は、勤続年数の差、構成差(管理職比率・総合職比率の男女差)によるものです。なお、人的資本に関する取組は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)人的資本に関する戦略(人財育成方針、社内環境整備方針)及び具体的な取組」を参照ください。

 

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業等取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用
労働者

パート・
有期労働者

全労働者

正規雇用
労働者

パート・
有期労働者

10.0

-

100.0

-

67.8

67.5

81.0

 

(注) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

 

 

② 連結子会社

当事業年度

会社名

管理職に占める
女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業等取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・有期

労働者

 

全労働者

正規雇用

労働者

パート・有期

労働者

 

王子マテリア㈱

2.0

90.5

-

-

(注2)

68.8

70.3

67.0

王子コンテナー㈱

3.4

80.0

-

-

(注2)

67.6

69.7

76.9

ムサシ王子コンテナー㈱

0.0

-

-

-

-

-

-

-

森紙業㈱

4.7

-

25.0

-

(注1)

65.6

65.5

70.8

森紙販売㈱

2.5

-

-

-

-

-

-

-

北海道森紙業㈱

0.0

-

66.7

-

(注1)

-

-

-

長野森紙業㈱

7.1

-

-

-

-

-

-

-

王子製袋㈱

1.9

-

-

-

-

-

-

-

王子ネピア㈱

7.6

-

85.7

-

(注1)

67.0

77.4

45.1

王子タック㈱

0.0

-

50.0

-

(注1)

64.5

65.3

37.6

新タック化成㈱

4.1

-

-

-

-

76.6

76.9

72.2

王子キノクロス㈱

12.9

-

-

-

-

-

-

-

㈱チューエツ

2.8

-

-

-

-

-

-

-

王子エフテックス㈱

3.0

-

84.6

-

(注1)

71.1

71.4

21.0

王子イメージングメディア㈱

6.5

-

37.5

-

(注1)

60.7

63.1

55.3

王子木材緑化㈱

6.3

-

-

-

-

73.7

75.3

55.7

王子コーンスターチ㈱

2.7

-

-

-

-

-

-

-

王子斎藤紙業㈱

11.8

-

-

-

-

-

-

-

王子製紙㈱

1.7

113.6

-

-

(注2)

68.2

69.0

64.9

苫小牧王子紙業㈱

0.0

-

-

-

-

-

-

-

王子紙業㈱

11.1

-

-

-

-

-

-

-

米子王子紙業㈱

-

-

100.0

-

(注1)

-

-

-

旭洋㈱

1.7

-

133.3

-

(注1)

57.3

56.1

52.9

㈱ギンポーパック

0.0

-

150.0

-

(注1)

66.0

72.3

71.3

㈱ホテルニュー王子

6.1

-

100.0

-

(注1)

63.7

74.7

67.8

王子エンジニアリング㈱

1.0

-

100.0

-

(注1)

67.1

67.8

42.8

王子物流㈱

5.7

-

100.0

-

(注1)

66.5

79.7

63.9

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD※)に2020年12月に賛同し、本タスクフォースが推奨する気候関連情報開示に取り組んでいます。

また、2024年1月、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD※)におけるアーリーアダプターとして登録し、2024年度におけるTNFDレポートの開示を宣言しました。国内外で展開する森林経営をはじめとする事業活動の自然への依存・影響を認識するとともに、長年に渡り培ってきた豊かな森づくりを通して生物多様性保全を図る事でネイチャーポジティブの達成に貢献してまいります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

※TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures

G20財務大臣・中央銀行総裁会合の要請を受け、金融安定理事会(FSB)によって設立されたタスクフォースです。2017年6月、投資家の適切な投資判断のために、気候関連のリスクと機会がもたらす財務的影響について情報開示を促す提言を公表しています。

※TNFD:Taskforce on Nature-related Financial Disclosures

政府、企業、金融機関の支持のもと、企業に自然関連財務情報の開示を促すことを目的として、2021年6月に設立された国際組織です。開示のためのフレームワーク、ガイダンスを開発し、公表しています。

 

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

当社グループは、気候関連を含むサステナビリティへの取り組みを経営に係る重要課題の一つとして認識しています。気候関連を含むサステナビリティ全般の取り組みを強化するため、代表取締役社長グループCEOを委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置するとともに、「サステナビリティ推進本部」が当社グループのサステナビリティに関する取り組みを統括管理することとしています。

サステナビリティ推進委員会(年2回開催)では、気候関連リスク・機会への対応や持続可能な森林経営に関する事項、サプライチェーンリスクへの対応、環境リスク・人権リスクへの対応、インクルージョン&ダイバーシティの推進等、サステナビリティに関するコミットメントを果たす上で重要な事項について協議し、重要性に応じてグループ経営会議の審議を経て、執行を決定します。

執行を決定した事項は、グループ統括管理部門のサステナビリティ推進本部が推進します。サステナビリティ推進本部は、管掌取締役に進捗を毎月報告し、グループ経営会議に年2回付議・報告をします。重要な事項については管掌取締役の判断のもと、取締役会に報告します。さらに、取締役会は、報告を通じて気候関連を含むサステナビリティに関するリスク管理について整備運用を監視・監督します。

 

 

 

      サステナビリティ推進委員会の構成は次のとおりです。

委員長

代表取締役社長 グループCEO

委員

取締役 サステナビリティ推進本部 管掌/分掌役員

委員

取締役 コーポレートガバナンス本部 管掌/分掌役員

委員

取締役 カンパニープレジデント

委員

グループCEOの指名する取締役(社外取締役を含む)

 

 

②戦略

気候関連のリスクと機会については、2030年に向けた中期の炭素税等の政策・規制による移行リスク、2050年に向けた長期の降水・気象パターンの変化等の物理的リスクおよび中・長期の低炭素製品の需要増加機会について、その重要性を認識しています。脱炭素社会への移行に対応すべく、GHG排出削減目標を定め、石炭使用量削減や森林による二酸化炭素純吸収量の拡大、プラスチックを代替する木質由来製品の開発などに取り組んでいます。これまでの取り組みを継続することにより、脱炭素社会への移行が事業に及ぼす影響は限定的と認識していますが、今後もリスク分析を継続し、レジリエンスを強化していきます。

また、森林を適切に育て、管理することにより、再生可能な森林資源を作るだけでなく、生物多様性保全、水源涵養、土壌保全など、森林がもつ多面的機能を高めるとともに、ネイチャーポジティブの達成に貢献していきます。地球温暖化への対応や生物多様性保全といった環境への配慮という命題に対し、当社グループの大切な財産である森林の機能を存分に活用し、事業活動を通じて「森を育て、森を活かす」ことを継続していきます。

 

③リスク管理

リスク分析は、サステナビリティ推進本部が社外の専門家の協力を得てグループ横断的にリスクを整理し、サステナビリティ推進委員会にて重要性と優先順位を協議し、実施しています。リスクへの対応は、サステナビリティ推進本部が統括管理し、サステナビリティ推進委員会が進捗を管理します。また、重要性に応じてグループ経営会議に付議・報告し、全社的なリスク管理と併せ、取締役会が監視・監督を行います。

なお、気候関連リスクが事業・戦略・財務に及ぼす影響は、1.5℃(2℃)と4℃のシナリオを活用して中期(2030年度)的な影響と長期(2050年度)的な影響に整理し、定量的または定性的に評価します。特にGHG排出量の削減については、プロジェクトチームを編成し、石炭使用量の削減や森林による二酸化炭素吸収量の拡大に取り組んでいます。

 

 

気候関連のリスク・機会と戦略・対応

タイプ

ドライバー
(事業への影響を発生させる要因)

事業環境の認識

事業への影響

1.5℃(2℃)
シナリオ

4℃シナリオ

2030

2050

2030

2050

移行リスク

政策・
法規制

化石燃料由来のエネルギー価格変動

・エネルギーミックスの変化により、化石燃料由来のエネルギーを用いた調達や電力についてコストが増加

二酸化炭素排出規制の強化

・炭素税や排出権取引の導入または強化により、エネルギー消費やクレジット運用コストが増加

大※

小※

中※

小※

市場

ステークホルダーの低炭素製品・サービスへの関心の高まり

・消費者の脱炭素への意識が高まることにより、化石燃料由来のエネルギー消費製品・サービスに対する不買運動が増加

評判

ステークホルダーからの
ネガティブフィードバック

・必要以上の森林伐採が地球温暖化を促進するとのイメージから紙製品の需要が減少
・投資家の要求に対応できず評価減少、資金調達が厳しくなる

物理的リスク

急性

異常気象事象の激甚化

・大規模な自然災害発生による拠点の被災やサプライチェーンの寸断等の事業停滞

慢性

降水・気象パターンの変化や平均気温上昇

・主原料となる樹木の生育状況悪化等に伴い調達コストが増加

機会

資源効率

資源有効活用
水の使用と消費の削減

・洪水や干ばつ、降水量の変化や水ストレス地域でのクリーンな水需要の増加により、高度な水処理技術・用水管理の需要が増加

エネルギー源

エネルギーの低排出源使用

・脱低炭素社会の実現に向け再生可能エネルギーの需要が増加

製品と
 サービス

・消費者嗜好の変化
・研究開発とイノベーションによる新製品・サービスの開発

・脱炭素、環境に対する意識が高まり、低炭素・環境配慮型製品の需要が増加

大※

大※

大※

大※

市場

インセンティブの使用

・森林利用・林業促進政策により、森林保全活動に対する支援拡大
 ・2050年以降の森林吸収に伴うカーボンクレジット売買による社有林の価値向上や森林経営/マネジメントに係る支援(ノウハウ教示)要請の拡大の可能性

 

※ 影響額 小:100億円未満、中:100億円以上500億円未満、大:500億円以上 ※以外は定性評価

 

 

タイプ

戦略と対応策

移行リスク

政策・
法規制

・省エネを徹底し、自家発電設備運用の効率化を図り、化石燃料使用量と購入電力量を低減し、エネルギーコスト全体を最適化
・2050年度のネット・ゼロ・カーボンに向け、水力やバイオマスなどの再生可能エネルギー運用を強化

市場

・再生可能エネルギー等の二酸化炭素排出が少ない燃料への転換や省エネルギー対策の強化
・森のリサイクルや古紙のリサイクルなど、資源循環型の環境にやさしい事業の取り組みをさらに推進

評判

・持続可能な森林経営の取り組み状況をステークホルダーへ継続的発信
・森林認証取得の推進、違法伐採しない等の調達方針の公表や調達先のトレーサビリティ確保
・環境NGO等と協力し、環境に配慮した事業活動を伝える環境教育の実施
・クリーンウッド法で定める第一種、第二種登録木材関連事業者としての登録
・木材原料やバイオマス燃料の調達に伴う合法証明デュー・ディリジェンス、合法性の確認

物理的リスク

急性

・BCPの策定、定期的な見直しおよびBCMの強化
・主要原料における状況把握・モニタリング
・サプライヤーとの関係強化、サプライヤーの多様化による調達安定化

慢性

・北米、南米、オセアニア等の分散調達による安定的調達の強化
・社有林の拡大および有効活用の推進
・気温や降雨などが樹木の生育に及ぼす影響の調査や研究、その地域に適した樹種の選定

機会

資源効率

・生活用水製造用としての展開を推進する等水処理事業のさらなる拡大
・水資源の有効活用につながる革新的な技術の提案

エネルギー源

・風力発電や小水力発電等の電力事業の推進

製品と
 サービス

・バイオマスを原料としたバイオマスプラスチックへの代替やプラスチック包装に代わる紙素材の開発の強化および販売機会の拡大

市場

・社有林に対し国や地方自治体の方針に沿った管理を計画・実行
・現地に即した研究技術開発を行うなど植林木の生産性を維持・向上

 

 

 

 

 

④指標及び目標

当社が特定した物理的リスクの低減、気候変動の緩和に資するため、パリ協定における1.5℃目標及び環境ビジョン2050、環境行動目標2030を踏まえ、以下の目標を設定し、取り組んでいます。また、国際エネルギー機関(IEA)のネット・ゼロ・エミッション(NZE)シナリオを参照し、ICP(内部炭素価格)を設定しています。目標の達成確度を上げるため、石炭使用量削減等によるGHG排出量の削減、森林による二酸化炭素固定量の増加についてサステナビリティ推進本部を中心に積極的に取り組んでいます。

また、当社では環境行動目標2030において「海外植林面積40万ha」・「森林認証取得率100%」を目標としており、環境との調和に配慮した持続可能な森林経営の実践と拡大を通し、二酸化炭素吸収による気候変動問題への貢献と生物多様性の維持に努めていきます。

 


※2018年度対比で70%以上削減する目標を設定しています。

 

(2)人的資本に関する戦略(人財育成方針、社内環境整備方針)及び具体的な取組

 

①戦略

当社グループは、グローバル企業として「領域をこえ 未来へ」歩むとともに、「成長から進化へ」を目指し、経営理念・存在意義(パーパス)・経営戦略(長期ビジョンを含む)を実践しています。

これらを実践していく上で、また、世の中に求められる企業として存続していくために、最も重要な要素は、「人」であると考え、「企業の力の源泉は人財(人的資本)にあり」という大原則のもと、王子グループ人財理念に従って、人財確保、人財育成に取り組んでいます。

王子グループ人財理念として、まず、従業員一人ひとりに、高い倫理観を持つことを求めています。その上で、経営理念・存在意義(パーパス)・経営戦略(長期ビジョンを含む)を理解し、実践すること、変革意識を持ち挑戦すること、自己を研鑽し、組織の成長・進化に貢献すること、そして、世界を意識して行動することを求めています。

人的資本強化における目指す姿は、この王子グループ人財理念を体現する人財の確保、育成になりますが、その大前提となるものが、「コンプライアンス・安全・環境の徹底」、「人権の尊重、インクルージョン&ダイバーシティ」、「人財活用(実力主義に基づく公正な処遇とエンゲージメント向上)」であり、この3つこそが、人財育成、社内環境整備方針の基盤となります。

この3つの基盤をしっかりと整えた上で、従業員一人ひとりの意識(行動)の改革や、管理職による部下の成長・進化を促すマネジメントを通じ、多様な人財の能力開発・キャリア形成及びワークライフマネジメント向上を促していきます。

これらにより、価値創造の源泉となる従業員一人ひとりが活躍し、能力を最大限に発揮することや、従業員の多様な価値観・発想からクリエイティブな成果を通じてイノベーションを実現させることで、王子グループ人財理念を体現する人財の確保、育成に繋がり、この一人ひとりの人財が、経営理念・存在意義(パーパス)・経営戦略(長期ビジョンを含む)を実践することで、持続的な企業価値の向上を目指していきます。


 

 

(ⅰ)コンプライアンス・安全・環境の徹底

コンプライアンス・安全・環境の徹底は、企業活動の根幹をなすものであり、経営の最優先・最重要課題と認識しています。

職場における良好なコミュニケーションや働きやすさ、仕事へのモチベーションを通じ、すべての従業員が「健全な常識」「おかしいと思う感性」「行動する勇気」を持ち、法令遵守は当然ながら、社会一般のルールを守り、誠実な態度を持って日々の職務に努めています。

 

(a)コンプライアンス

当社グループは、「国連グローバル・コンパクト」の人権、労働、環境、腐敗防止の原則を織り込み、2004年に「王子グループ企業行動憲章」及びこの憲章の行動指針である「王子グループ行動規範」を制定し2020年度にSDGs等の社会環境及び、経営理念を反映させて改訂し、より時代の要求に即した内容としました。

企業行動憲章・行動規範の改廃は取締役会の決議事項であり、取締役会の関与の下、活動の規範として、グループ拠点のある各国の言語に翻訳され、グループに属するすべての役員及び従業員に周知しています。すべての役員及び従業員は、この企業行動憲章と行動規範を正しく理解し、実践することに努め、もし、反する行為を行っている場合、もしくは違反が疑われる場合は、速やかに上司あるいは会社・職場のコンプライアンス担当窓口、または企業ヘルプライン(グループ内部通報)窓口に通報、相談することとしています。

グループ全体にわたるコンプライアンス意識の醸成のために、国内外グループ会社では、コンプライアンス責任者、コンプライアンス推進リーダーが推進活動の中心となり、半期ごとのコンプライアンス会議を実施するなど、コンプライアンス活動を推進しています。

 

(b)安全

当社グループでは「安全絶対優先の基本原則」の方針の下、従業員一人ひとりが基本原則を実践・遵守し、働く仲間の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成の促進、より良い職場安全風土の構築等、安全な環境で安心して働くことができる企業を目指し、取り組んでいます。

当社グループは死亡・重篤災害ゼロ、労働災害度数率削減を目標としていますが、2023年は、残念ながら2件の死亡災害(海外2件)が発生、また休業災害件数が18件増加したことでグループ全体の労働災害度数率は昨年比で0.08 上昇し1.20となりました。

グループを挙げて設備の安全化を推進し、全ての従業員に安全ルールを確実に守り・守らせることで、労働災害防止を図り、重点目標である「死亡・重篤災害ゼロ」を達成する取り組みを展開しています。

 

 


 

 

(c)環境

当社グループは、気候変動問題を経営上の重要課題と認識しており、この問題に積極的に取り組み、持続可能な社会の構築に貢献しています。

この方向性を明確に示すため、当社グループが目指す姿「ネット・ゼロ・カーボン」を中核とする、2050年に向けた「環境ビジョン2050」と、そのマイルストーンとして「環境行動目標2030」を2020年9月に制定しました。

毎月、すべての役員及び従業員に対して、当社グループの気候変動問題への対応、豊かな森づくりと資源循環、生態系への配慮、ステークホルダーとの信頼関係の醸成について、分かりやすく社内発信する等、従業員の王子グループ環境経営への理解の促進と、環境意識の向上を図っています。

 

(ⅱ)人権の尊重、インクルージョン&ダイバーシティ

当社グループは、人権の尊重に一層努めるとともに、個々人の多様な価値観を尊重し、能力を最大限に発揮できる社会の実現に貢献します。

 

 

(a)人権の尊重

当社グループは、人権を尊重する責任は、重要なグローバル行動基準と考え、人権尊重の取り組みをより一層推進・実践するため、2020年8月「王子グループ人権方針」を制定し、2024年2月に一部改訂を行いました。

「王子グループ人権方針」は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「国際人権章典」等の国際規範を支持、尊重しており、当社グループのすべての役員及び従業員に適用し、すべての事業活動に反映されるとともに、すべての当社グループのステークホルダーに対し、本方針の理解と遵守を期待するものです。また、企業活動に関連する人権への負の影響を特定・防止・軽減・救済するための「人権デュー・ディリジェンス」の仕組みを構築し、人権尊重の責任を果たしていきます。

2023年度は産品別、地域別で潜在的人権リスクが高いと思われるサプライヤーを対象に、人権や労働慣行を確認する人権アセスメントを実施しました。アセスメント結果から顕在化した重大な人権リスクは認められなかったものの、方針の周知、人権推進体制の明確化、また人権重要課題である児童労働・強制労働の禁止、適正な賃金、結社の自由、職場の安全衛生について低ポイントのサプライヤー3社を対象に改善依頼を行いました。

また、人権方針の理解や人権意識の向上を図るため、各種研修内での人権教育実施のほか、ビジネスと人権に関するリスクマネジメントの基礎をテーマとしたWeb研修を国内主要グループ会社の管理職が受講(受講者数2,503名)しました。

 

(b)インクルージョン&ダイバーシティ

当社グループでは、全ての従業員に対して、経営理念、存在意義(パーパス)、人財理念など、核となるものについては、共通の価値観を求めています。さらに、当社グループは、人種、国籍、民族、出身地、思想信条、価値観、宗教、年齢、性別、性的指向、性自認、障がい、社会的身分、社内的地位等に関わらず、従業員一人ひとりの多様な価値観、発想、能力を最大限に活用し互いに成長することで企業の競争力強化に結びつく「個人・組織の活性化」に向け「インクルージョン&ダイバーシティ」を推進しています。

「サステナビリティ推進委員会」において、半期ごとに、グループを横断したダイバーシティ推進方針・目標の共有を行うとともに、グループCEOを最高健康責任者とし、健康経営に取り組んでいます。

 

(c)女性管理職、新卒採用女性総合職

女性活躍推進については、国内の従業員数301人以上の国内連結グループ会社16社を対象に、女性管理職比率5.5%(2025年3月末)を目標に取り組んでいます。

また、当社グループ主要会社の新卒採用総合職は、優秀人財の確保や業務効率化の観点より、2018年度入社者から、王子マネジメントオフィス㈱にて一括で採用しており、新卒採用女性総合職比率30%を目標とし、将来の女性管理職候補の人財確保に努めています。併せて、性差の無い育成を目指し、管理職手前の男女総合職を対象とした「キャリアアップ総合職研修」などを実施し、育成を図るとともに、保育園「ネピア ソダテラス」の開設(東京都江戸川区)や、早期育児休職復帰者への保育所補助制度などにより、従業員の仕事と育児の両立を支援しています。

保育園「ネピア ソダテラス」は、上述の従業員の仕事と育児との両立支援の他、企業の社会的責任から待機児童対策に寄与することも目的としており、当社グループ従業員だけでなく、地域住民の方々にもご利用いただいています(2024年3月末現在 従業員子女6名、地域住民子女14名)。

 

 


 

 

 

(d)男性の育児休業等取得

当社グループでは、従業員数301人以上の国内グループ会社16社を対象に、男性の育児休業等取得率100%を目標に掲げ、男性の家事・育児への参加を積極的に推進しています。2023年度では、3交替の製造現場も合わせて、92.5%となっています。

 

 

(e)障がい者雇用比率

障がい者雇用については、2007年7月に知的障がい者を主体とした障害者雇用推進法の特例子会社「王子クリーンメイト(本社ビル清掃業務)」を設立する等、積極的に取り組んできました。「グループ適用制度(関係会社特例)が適用される6社(王子ホールディングス㈱を含む)での障がい者雇用率は法定雇用率(2.3%)を達成しています。今後も、さらなる障がい者の雇用拡大を推進していきます。

 

(f)外国籍従業員

多様性の実現において、グローバル人財の育成を重要なテーマとして、位置付けています。当社グループ国内主要会社の新卒総合職は、優秀人財の確保などの観点より、王子マネジメントオフィス㈱にて一括で採用しており、国内グループ会社の将来の管理職候補として、2024年度は3名の外国籍総合職を採用しています。今後も一定数を継続して採用し、管理職への登用も進めていきます。2024年3月末時点の外国籍総合職は22名で、そのうち9名が管理職として海外グループ会社の現地事業の運営管理等を行っています。

当社グループの従業員約38千名のうち、海外グループ会社従業員比率は58%(2024年3月末)となっており、海外グループ会社の経営者や管理職は現地採用者が中心となっています。2019年には外国籍従業員を当社のグループ経営委員として登用しました。

 

(g)キャリア採用

経営戦略の迅速な実現に向けた人財の確保を目的に、キャリア採用を継続的に実施しており、2023年度に54名(王子マネジメントオフィス㈱による採用者)を採用し、うち28名が管理職として活躍しています。今後も一定数を継続して採用し、管理職への登用も進めていきます。

また、アルムナイ人財(定年退職者以外の退職者で再入社した者)の活用として、社外で経験を積んだ人財の登用も進めています。

 

(h)LGBTQ

「王子グループ企業行動憲章」・「王子グループ行動規範」に基づき、当社グループにおいて、性的マイノリティの当事者を含めて、多様な人財が活躍できる職場環境を醸成することを目的として、「王子グループLGBTQハンドブック」を作成しました。

また、 2024年4月1日より性的マイノリティに関する外部相談窓口(当社グループ全従業員対象)を設置しています。

 

(i)総労働時間

2014年度より、働き方改革の一環として、生産性の向上、労働時間の長さに捉われない働き方の実践を目的に、業務効率化、フレックスタイム制・在宅勤務の活用、年休取得の推進により、総労働時間の削減に取り組んでいます。

現在は、年間総労働時間1,850時間を目標(当社グループ本社地区26社)とし取り組みを進めています。

 

 


 

(j)健康経営

2020年10月に「王子グループ健康宣言」を制定し、最高健康責任者(グループCEO)のもと、従業員の健康の確保に取り組んでいます。会社とグループの各健康保険組合・労働組合、各事業所の産業医が連携して健康増進活動を推進し、従業員が健康で活き活きと活躍できる職場づくりを目指した取り組みを行っています。

2024年3月に、2021年度より引き続き4回目となる健康経営優良法人2024(大規模法人部門)の認定を受けています。

 

健康経営の取り組み事例

・健康診断、ストレスチェックの実施

・健康相談窓口の設置

・インフルエンザワクチン(職域接種、費用補助)

・通院のための保存休暇の時間単位利用

・長時間労働の削減

 

(ⅲ)人財活用(実力主義に基づく公正な処遇とエンゲージメント向上)

価値創造の源泉となる人財を活用し、経営理念・存在意義(パーパス)を実践し、経営戦略(長期ビジョンを含む)に沿った課題を確実に遂行するため、実力主義に基づく公正な処遇と、エンゲージメント向上を目指しています。

 

(a)人事・賃金制度(役割等級制度、定年延長、研究員の裁量労働制)

「実質的年次」から「役割期待」及び「成果」を基準とする実力主義の人事制度として、「役割等級制度」を適正に運用し、従業員一人ひとりが、その保有する能力を通じて発揮した役割の大きさに応じて、処遇しています。

また、高年齢者にも、活き活きと活躍してもらうことを目的に、2017年度より、会社生活で培った知識、技術、技能を存分に発揮し、意欲をもって働けるよう、国内主要グループ会社にて、「65歳定年制」を導入し、また、2023年度より、一定の条件を満たす従業員を対象に、最長67歳までの再雇用制度を導入しました。

特に高度な専門知識を有する研究員には、「認定研究員制度」や「クリエイティブ人財育成制度」により、働き方の裁量を与え、研究に集中できる環境を提供することで、多様な価値観・発想からクリエイティブな成果を通じたイノベーションの実現を推進しており、2022度より、それ以前と比較し、「クリエイティブ人財育成制度」の対象者を、約2倍に拡大しています。

 

(b)研修

王子グループ人財理念に沿って人財育成を進めるため、2023年2月に、静岡県富士宮市に新設した王子グループ富士研修センター等を活用し、キャリアのステージや求めるスキルに応じた当社グループ内研修を積極的に実施しています。

2023年度より、コロナ禍で中断していたグローバルインテンシブプログラムを再開しており、海外駐在員候補の拡充に繋げています。また、海外事業会社ローカル人財の育成を目的に、東南アジアエリアの幹部候補27名が来日し、アセスメント研修を受講しました。

さらに、ビジネス(戦略~作業)とデジタル(システム、情報、データ)を一体化することにより、経営課題を効果的に解決し、また、新たな価値を創造し、企業として生存、成長、進化させるデジタル・リテラシー(基本知識・スキル・マインド)を身につけるため、国内40社の間接部門従業員及び海外駐在員を対象(約7千名)にDXリテラシー教育(eラーニング)を実施しました。

 

2023年度研修実施一覧

目的

研修名

対象

内容

グローバル人財育成

グローバルインテンシブプログラム

海外駐在員候補者

ホールディングス役員とのタウンホールミーティング
海外駐在員との交流
グローバル人財のとしてのスキルの習得

アセスメント研修

(Oji Asia Packaging)

東南アジアエリアの
幹部候補者

海外事業会社の外国籍人財を日本に迎え育成を支援
ホールディングス役員とのタウンホールミーティング 国内事業会社従業員との交流
東南アジアエリアにおけるグループの方向性をプレゼンテーション

DXリテラシー教育

デジタルリテラシー教育(eラーニング)

国内40社間接部門従業員
海外駐在員

デジタルリテラシーを身につける

管理職研修

新任管理職研修

新任管理職

管理職の責務、人事制度および評価者訓練

新任部長研修

部長クラス

CEOとのタウンホールミーティング
部門戦略の実現に求められる知識とスキルの習得

管理職育成

キャリアアップ総合職研修

管理職手前の総合職

管理職に求められる役割の認識と、課題設定および解決能力の向上

キャリアデザイン

若手総合職
キャリアデザイン研修

入社3年目総合職

自身の能力の棚卸を行い、キャリア自律のための目標設定

従業員の能力開発支援

Personal Empowerment制度

対象資格取得者

自律的なキャリア形成への支援

 

 

 

 

(王子グループ富士研修センター外観)


(c)グループ内公募制度

従業員の意思にもとづく自律的なキャリア形成を促進し、意欲の高い人財の適正配置、有効活用により、事業の強化、組織の活性化、従業員のエンゲージメント向上を図ることを目的として、2022年度から国内グループ会社正規従業員及び海外駐在員を対象として公募制度を実施しています。

2023年度は、パーパス及び長期ビジョンの実現に向け、森を育て、森を活かすことや、グローバル化の推進に直結する当社グループ3社4部門を対象に実施し、17名の従業員が異動することとなりました。

 

 

②指標と目標

上記方針及び具体的な取組の指標による目標と当期の実績は以下の通りです。

 

基盤

項目

指標

目標

実績

備考

(ⅰ)コンプライアンス・

安全・環境の徹底

(a)コンプライアンス

コンプライアンス会議 参加

参加率100%

98.8%

※1

(b)安全

死亡・重篤災害

ゼロ

海外2

※2

労働災害度数率の減少

2030年に2018年
(0.89)比50削減

1.20

※3

(ⅱ)人権の尊重、インクルージョン&ダイバーシティ

(a)人権の尊重

対象研修内での
人権教育受講率

参加率 100%

94.3%

※4

(c)女性管理職、
新卒採用女性総合職

女性管理職比率

5.5%

3.9%

※5

新卒採用女性総合職比率(王子マネジメントオフィス㈱一括採用(スポーツ採用者除く))

30%以上

40.6%

※6

(d)男性の育児休業等取得率

男性の育児休業等取得率

100%

92.5%

※7

(e)障がい者雇用比率

障がい者雇用比率

2.3%

グループ適用6社2.51%

 

※8

グループ81社2.20%

(i)総労働時間

総労働時間(当社グループ本社地区26社)

1,850時間

1,835.3時間

※9

 

※1 2023年10月1日から2024年3月31日までの対象期間

※2 2023年1月1日から2023年12月31日までの対象期間

※3  連結子会社 2023年1月1日から2023年12月31日までの対象期間

        (参考)2023年労働災害度数比率 製造業1.29、パルプ・紙・紙加工品製造業1.38

        (厚生労働省 労働災害動向調査、事業所規模100名以上)

※4  2024年3月29日から2024年5月10日までの対象期間

※5  集計範囲:2015年9月集計開始時従業員数301名以上の国内グループ会社16社

目標:2025年3月末

実績:2024年3月末

その他実績:当社グループ全体女性管理職比率(2024年3月末)

国内グループ会社 4.2%(内、王子ホールディングス㈱(単体)10.0%)

海外グループ会社 32.9%

当社グループ計  14.4%

※6 2024年4月1日入社

※7 集計範囲:2015年9月集計開始時従業員数301名以上の国内グループ会社16社

2023年度(2023年4月1日から2024年3月31日までの対象期間)

※8  目標:法定雇用率達成 2023年6月1日時点

 実績:2023年6月1日時点

※9  2023年度(2023年4月1日から2024年3月31日までの対象期間)