2024年4月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業内容に関するリスクについて

① 事業環境に関するリスクについて
イ スマートデバイスビジネスの動向について

当社グループは、スマートフォン/タブレット端末及びそれに準じるスマートデバイス向けにゲームコンテンツ等の提供を行っております。

スマートデバイス市場は成熟期を迎え、スマートデバイスの普及動向により事業が大きく左右されるリスクは限りなく低くなったものの、新たな法的規制の導入や技術革新、新たな端末の普及等の予期せぬ要因によりスマートデバイスビジネスの発展が阻害される場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

ロ 技術革新について

当社グループが事業展開を行うモバイルインターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードが速く、それに基づく新サービスの創出が相次いで行われております。当社グループは技術革新に伴う事業構造の変化に迅速に対応する強固な体制作りに努めておりますが、技術革新に関し予期せぬ事態が生じた場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

ハ モバイルオンラインゲームの市場動向について

当社グループが事業展開を行うモバイルオンラインゲーム市場は、スマートフォン/タブレット端末の高性能化及び普及拡大に伴い、市場成熟期ながらも安定的に推移しております。当社グループにおいては、モバイルオンラインゲーム市場は国内・海外において引き続き安定推移すると見込んでおりますが、市場が大きく縮小した場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

ニ ブロックチェーン及びXR領域の市場動向について

当社グループは、将来市場の拡大が見込まれるブロックチェーン領域及びXR領域等への早期参入により、将来の収益基盤の構築を目指しております。当該事業領域において、市場の成長が鈍化又は縮小した場合、若しくは当社グループの成長予測を下回った場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

② 事業のリスクについて
イ プラットフォーマーとの契約等について

当社グループが運営するモバイルオンラインゲーム事業は、Apple Inc.、Google Inc.等の決済代行事業者(プラットフォーマー)を介して一般消費者(ユーザー)にゲームコンテンツを提供するため、プラットフォーマーとの間でコンテンツ提供に関する契約を締結、ないしはコンテンツ提供に関する規約に同意する必要があります。そのため、プラットフォーマーの事業方針の変更等に伴い、当社グループのゲームコンテンツの提供が困難となった場合は当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 

ロ コンテンツにおける表現の健全性確保について

当社グループでは、ゲームコンテンツの健全性確保のため、コンテンツの制作・配信過程において、当社グループ独自の基準を設定しております。この基準は、青少年に対して著しく暴力的ないしは性的な感情を刺激する描写・表現をコンテンツ内に使用しないこと等を基本方針としております。しかしながら、今後法的規制の強化や新たな法令の制定等に伴い、当社グループのコンテンツの提供が規制される事態等が生じた場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

ハ 開発費、広告宣伝費の負担について

当社グループでは、ゲームコンテンツ単位での開発費の予実管理による資金繰り管理及び費用対効果を見極めた広告宣伝の実行により、強固な財務基盤を実現しております。しかしながら、近年、ネイティブアプリの高品質化に伴い、開発期間が長期に亘り開発費が高騰する傾向にあり、また、競合他社との競争激化に伴い、広告宣伝に関しても多額の投資が必要なケースも増加しています。今後、市場環境の変化等により一層のコスト増加を強いられる場合には、先行投資に耐えうる運転資金の確保が必要になります。

 

ニ システムリスクについて

当社グループは、自然災害、アクセス過多によるサーバー停止等の要因によるシステムトラブルの発生を回避するために、サーバーの負荷分散、稼動状況の監視、定期的バックアップの実施等の手段を講じることで、システムトラブルの防止及び回避に努めております。

しかしながら、提供しているゲームコンテンツを管理するサーバーや配信システムにおいて何らかのトラブルが発生することで、ゲーム配信に障害が生じる可能性もあり、当該障害が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

ホ 競合について

モバイルオンラインゲーム市場には競合他社が多数存在しておりますが、当社グループではゲームコンテンツ開発に際し、時代の潮流を見据えた企画の立案及び高い技術力を用いた開発を実施し、ユーザーのニーズに即した魅力あるゲームコンテンツを提供しております。また、ゲーム運用に際しては、ユーザーの利用状況調査・分析等に基づく効果的な運用及びマーケティングを行っております。

しかしながら、今後当社グループが提供するゲームコンテンツがユーザーに支持されず、又は競合他社との競争激化に伴い、当社グループが提供するゲームコンテンツのユーザー数及びアイテム課金額等が著しく減少した場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

ヘ ユーザー数について

当社グループでは、当社グループが提供するゲームコンテンツのユーザー数を拡大させることが安定した収益基盤の確立、業績の拡大のための重要な課題であると考えております。

しかしながら、競合他社との競争激化、ユーザーの嗜好の変化、又はその他の不測の要因によりユーザー数が想定どおりに増加しない場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

ト サイバー攻撃等による暗号資産の消失について

当社グループは、管理する電子ウォレットにおいて暗号資産を保有しております。

権限のない第三者による電子ウォレットに対する不正アクセスのリスクを軽減するためのサイバーセキュリティ対策を講じておりますが、電子ウォレットに対して不正アクセスが行われた場合には、権限のない第三者によりこれらの電子ウォレットに保管される暗号資産が消失させられるとともに、当社グループがこれらの暗号資産を取り戻せない可能性があります。当社グループが保有する暗号資産の消失により、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 

③ 法的規制や業界規制に係るリスクについて
イ インターネットに関連する法的規制について

当社グループの提供するゲームコンテンツのユーザーの個人情報に関しては「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。加えて、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」では、他ユーザーのID、パスワードの無断使用の禁止等が定められております。さらに、「特定商取引に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」により、一部の広告・宣伝メールの送信に際し、法定事項の表示義務を負う場合があります。

当社グループは上記法的規制等について適切な対応をしておりますが、不測の事態により、当該規則等に抵触しているとして何らかの行政処分を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化され、若しくは新たな法令等が定められ当社の事業が制約を受ける場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ リアル・マネー・トレード(RMT)に関するリスクについて

現在、モバイルオンラインゲーム業界においてはユーザー間においてゲーム内のアイテムをオークションサイト等で売買するというリアル・マネー・トレードと呼ばれる行為が一部のユーザーにより行われております。当社グループでは、利用規約でリアル・マネー・トレードの禁止を表記しており、またオークションサイト等の監視も実施しております。しかしながら、当社グループが提供するゲームに関し大規模なリアル・マネー・トレードが発生する等、不測の事態が生じた場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

ハ 事業領域全般に関連する法的規制について

当社グループが属するモバイルオンラインゲーム業界、XR業界(VR、AR、MR等)及びブロックチェーン業界は、新たな業態であるため、法的規制の適用に関する解釈の相違等が発生しやすい環境にあるといえます。

当社グループでは、「資金決済に関する法律」等の各種法令や、監督官庁の指針、ガイドライン等による規制を遵守することに加え、加入している業界団体の意見も取り入れ、事業展開を図っております。しかしながら、今後社会情勢の変化によって、既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定等、法的規制が行われた場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(2) 自然災害、事故等のリスクについて

当社グループの開発拠点は、日本においては東京都及び福岡県にあり、当該地区において大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障をきたす可能性があります。また、海外にも子会社等を有しており、各所在地で同様の要因により開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障をきたす可能性があり、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。なお、システムリスクについては、「(1) 事業内容に関するリスクについて ② 事業のリスクについて ニ.システムリスクについて」に記載しております。

 

 

(3) 会社組織に関するリスクについて

① 優秀な人材の確保について

当社グループでは、事業拡大を進めていくにあたり、優秀な人材の確保、育成が極めて重要な課題であると考えております。このため、採用活動の強化、研修体制の充実等に努めておりますが、十分な人材を確保・育成できない場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

② 個人情報の管理について

当社グループは個人情報を取得しているため、個人情報を有するサーバーへのアクセス制限や情報セキュリティに関する基本方針及び個人情報保護に関する規程を制定し、社員教育を実施する等、個人情報の管理体制強化を図っております。しかしながら、今後、個人情報の流出等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

③ 知的財産の管理について

当社グループでは、知的財産の取扱いに関する留意事項を文書化した社内基準を制定するとともに、従業員に対し当該基準の遵守について定期的な共有を図る等、内部管理体制を構築しております。また、ゲームコンテンツ制作の一部を委託する外部クリエイターとの契約において、知的財産については第三者の知的財産権を侵害しないこと、当社グループに対して著作権を譲渡すること等の細かな取り決めを行っております。

しかしながら、当社グループの提供するコンテンツによる第三者の知的財産権の侵害等、不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

④ 内部管理体制について

当社グループでは、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、国内、海外の法令・ルールの遵守及び企業倫理に沿った法令遵守を定めた規程を制定するとともに、内部監査等で遵守状況の確認を行っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為等、不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(4) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループでは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、当社の新株予約権(以下、「ストック・オプション」という。)を付与しております。また、今後におきましても、役員及び従業員に対してインセンティブとしてストック・オプションを付与する可能性があります。これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

(5) 海外展開について

当社は、2012年より海外子会社の設立を開始し、当連結会計年度の海外言語版の売上高が全社売上高の約2割を占めている状況にあります。今後も引き続きグローバルな事業展開を行っていく方針でありますが、各所在地の法令、制度・規制、社会情勢等をはじめとしたカントリーリスクが顕在化し、円滑な事業推進を行うことが困難になった場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

なお、当社グループでは、連結財務諸表の作成時に外貨建てから円換算を行っていることから、換算時の為替レートが大幅に変動した場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(6) M&A、資本業務提携について

当社は、同業他社等に対するM&Aや資本業務提携を既存の事業を補完・強化するための有効な手段の一つであると位置づけております。M&Aや資本業務提携の実行に際しては、財務・税務・法務・ビジネス等に関する詳細なデュー・ディリジェンスを行い、各種リスクの低減に努める方針でありますが、事前に想定されなかった事象が発生した場合、又はM&Aや資本業務提携に見合う効果の創出がなされなかった場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 

(7) 投資活動について

当社グループでは、中長期的な事業成長の実現に向け、当社グループでのM&A、資本業務提携活動に加え、ファンドを通じた投資活動を行っております。投資活動においては、当社グループとの業務シナジーを創出されうる事業領域への投資活動を遂行しており、主としてモバイルオンラインゲーム領域及びブロックチェーン領域への投資を行っております。各事業領域への投資実行に際しては、財務・税務・法務・ビジネス等に関する詳細なデュー・ディリジェンスを行うことで、投資リスクの低減に努めておりますが、事前に想定されなかった事象が発生した場合、又は投資先の株式価値が著しく低下した場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

また、ブロックチェーン領域においては暗号資産への投資も行っており、「資金決済法における暗号資産の会計処理等に関する当面の取扱い」(実務対応報告第38号 2018年3月14日)に従った会計処理を行っておりますが、暗号資産に関しては短期的な時価の変動が激しいことから、保有する暗号資産の時価が著しく低下した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

配当政策

 

3 【配当政策】

 当社は、剰余金の配当につきましては、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と財務基盤の強化のための内部留保とのバランスを保ちながら、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としております。

 なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。

 しかしながら、当事業年度においては親会社株主に帰属する当期純損失5,934,026千円を計上したことに鑑み、無配とさせていただくことといたしました。