2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境に関するリスク

① ICT分野における新技術への対応による影響について

 当社グループは、ICT関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、ICT分野における新技術や新サービスは激しく変化しております。これらの変化に対応するため、当社では、積極的に研究開発を行い、新技術への対応を行っております。

 しかしながら、研究開発が遅延した場合や、優秀な開発人材の確保が順当に行えなかった場合には、技術革新に適切に対応できない可能性があります。その結果、当社グループの製品開発能力の低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 国や地方自治体の施策による影響について

 我が国の施策としてICTを活用した教育の情報化が推進されていることから、当社グループの商品・製品が属する市場規模は今後拡大していくことが予想されます。

 しかしながら、国の施策が変更された場合には市場の成長が鈍化し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、学校に対する売上高は、導入先の性質上、獲得された予算規模や予算執行状況に大きく影響を受ける可能性があります。

 

③ 業績の季節的変動による影響について

 当社グループの四半期における業績は、第2四半期及び第4四半期において、売上高及び営業利益が偏重する傾向にあります。これは、第2四半期については主力商品・製品の導入先である学校が長期休みに入る時期に導入案件が増加すること、第4四半期については導入先の年度予算の執行等の関係により販売パートナーを通じた受注が増加することによるものであります。

 当社グループは、当該季節的要因を踏まえた販売計画を策定し、受注の増加が見込まれる時期の売上の確保に努めておりますが、何らかの事情により当該期間の受注が計画通りに獲得できなかった場合や、当社グループが導入機器の設置まで行う受注形態で決算月である3月に予定されていた検収が翌期以降に遅れる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、近時では、顧客との契約期間にわたって収益を計上する取引が増加してきており、季節的変動は縮小していく傾向にありますが、リスクとして引き続き存在しております。

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

上半期

 

 

下半期

通期

第1四半期

第2四半期

 

第3四半期

第4四半期

 

 

売上高(千円)

1,062,798

1,232,701

2,295,499

1,019,815

1,306,364

2,326,180

4,621,680

構成比(%)

23%

27%

50%

22%

28%

50%

100%

営業利益(千円)

 101,793

170,112

271,906

117,401

202,594

319,996

591,902

構成比(%)

17%

29%

46%

20%

34%

54%

100%

 

 

④ 入札制度による影響について

 当社グループは、販売パートナー制度を採用しており、当社グループの商品・製品の大部分は販売パートナーを経由して利用者に販売されておりますが、当社グループの商品・製品は、大学、地方自治体や教育委員会等の機関が作成した「機器仕様書・仕様書」に基づく設備・ICT機器・教材の入札公告(一般競争入札、指名競争入札等)に、販売パートナーが入札・応募し、落札することで、利用者である教育機関に導入される流れとなっており、事業の特性上、入札結果が当社以外の要因に左右される性格を有しております。そのため、何らかの要因によって入札の不調、遅延等が起こった場合や、当社グループが想定するような入札結果が得られなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 少子化による影響について

 当社グループの主たる市場は、学校教育をICTでサポートする「学校教育ICT市場」であります。そのため、少子化によって長期的には当社製品の利用者が減少する可能性があります。ただし、今後、我が国のICTを活用した教育の情報化推進施策や、少子化に直面した教育機関が質の高い教育を提供するため積極的な情報化投資を推進することが見込まれるため、当面は「学校教育ICT市場」の市場規模は拡大していくものと考えております。

 しかしながら、少子化の影響が想定以上に大きく、当社グループ製品の利用者が予想以上に減少し、教育機関の情報化投資が減少した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業体制に関するリスク

① 小規模組織であることについて

 本書提出日現在における当社組織は、取締役(監査等委員であるものを除く。)5名、監査等委員である取締役3名、従業員数57名(臨時従業員除く)であり、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制となっております。このため、業容の拡大に応じた人員を確保できず業務遂行に支障が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退職した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経営陣への依存について

 当社代表取締役川居睦をはじめとする経営陣は、各担当業務分野において、重要な役割を果たしております。これら役員が業務執行できなくなった場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、当社グループでは過度に経営陣に依存しない経営体制を構築すべく、組織規模の拡大に応じた権限委譲を進めるとともに、役員及び幹部社員による情報の共有化等を通じて経営組織の強化を図っております。

 しかしながら、現時点で何らかの理由により、主要経営陣の業務遂行が困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 優秀な人材の確保や育成について

 教育の情報化推進ニーズに応えるため、高度な専門知識を有する優秀な技術者を安定的に確保する必要があります。当社グループでは、必要な技術の習得や開発ノウハウを蓄積するなど、計画的な技術者の育成に努めております。

 しかしながら、IT業界における慢性的な人材不足等により、当社グループが必要とする時期に必要な技術者を十分に確保できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  ④ 販売パートナー施策による影響について

 当社グループは、販売パートナー制度を採用しております。当社グループの営業部門は、主にエンドユーザーである先生、学生や児童生徒のニーズの収集や、教育システム導入の提案を行っている一方で、当社グループの商品・製品の大部分は販売パートナーを経由してエンドユーザーに販売されております。そのため、主要販売パートナーの販売状況や経営環境の変化によって、当社グループの売上高が大きく変動する可能性があります。

 当社グループは、主要販売パートナーと良好な業務関係を構築・維持することで商品・製品の販売拡大に努めておりますが、これらのパートナーは他社の競合商品・製品も取り扱っており、主要販売パートナーの方針により当社グループの商品・製品の取り扱いが縮小された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ ソフトウエアの調達先に関する影響について

 当社グループでは、自社開発製品のほか、ソフトウエアについては他社からOEM供給製品の販売も行っており、主として文教市場でニーズの高いセキュリティ関連製品を、国内外のソフトウエアメーカーから調達し、販売パートナーを通じてエンドユーザーである学校等に販売しております。

 OEM製品については、OEMメーカーと長期安定的な関係を築きながら、安定的な調達を行っておりますが、何らかの事情により、取引が継続できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

⑥ ハードウエアの製造委託先に関する影響について

 当社グループは、画像転送システム、無線LAN最適化ソリューション等のハードウエアについては、国内外の他のハードウエアメーカーからのOEM供給を受けて販売することを主流としておりますが、当社グループが提供するハードウエアは、特殊な製造技術を必要とするものではなく、一般的な製造技術で生産可能であり、基本的な設計等については自社で管理していることから、万一供給元であるメーカーの倒産等によって製品供給が困難となった場合であっても、他のメーカーへの切り替えは可能であると考えております。

 しかしながら、代替先との契約に長期間を要した場合や、相手国における政治経済情勢の悪化、輸出入及び外資の規制、予期しない法令の変更、テロ・戦争、その他の要因による社会的混乱等があった場合には、当社グループが提供するハードウエアの供給に影響を及ぼすことも考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ M&Aによる影響について

 当社グループは、事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、当社グループに関連する事業のM&Aを検討していく方針です。M&A実施に際しては、対象企業の財務・法務・事業等について事前にデューデリジェンスを行い、十分にリスクを吟味した上で決定いたしますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、また事業の展開等が計画通りに進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 災害・訴訟等に関するリスク

① 自然災害等による影響について

 地震、台風、津波等の自然災害、火災、各種感染症の拡大等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループの主要な事業拠点である首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、正常な事業運営が行えなくなる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、自然災害等が発生した場合に備え、体制を整備しておりますが、自然災害等による人的、物的損害が甚大である場合は、事業の継続そのものが不可能になる可能性があります。

 

② 製品の不良による影響について

 当社グループは、主要な製品・デジタル教材については社内で開発を行っており、新製品のリリースに当たっては、開発部門と異なる部門が検証を十分に行い、開発・品質管理体制の強化を図っております。また、リリース後 に発見されたバグ等については、迅速に対応しており、大きな問題が生じたことはありません。

 しかしながら、ソフトウエア開発はその性質上、プログラム等に生じたバグを完全に排除することは難しく、万が一にも重大なバグが生じた場合、製品を利用することができない可能性があります。

 こうした事態が生じた場合、教育現場での混乱や当社製品の信用力の低下を招き、結果的に、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、取引先やエンドユーザーからの損害賠償の訴訟等が提起され、不測の損害が生じる可能性もあります。

 

③ 知的財産権にまつわる影響について

 当社グループが提供する製品及びサービスに対して、これまで知的財産権にまつわる侵害訴訟等を提起されたことはありません。当社グループは、第三者の知的財産を侵害しないよう日頃より注意を払っておりますが、当社が認識していない範囲で第三者の知的財産権を侵害し、損害賠償や対価の支払い等を請求された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、損害賠償の訴訟等が提起され、不測の損害が生じる可能性もあります。

 また、第三者が当社の製品を模倣する等により当社の知的財産を侵害するような場合においては、売上の減少等により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 個人情報流出による影響について

 当社は、「個人情報の保護に関する法律」における「個人情報取扱事業者」に該当することから、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制の構築・維持の一環として、2010年11月12日からプライバシーマーク(第10823718(07)号)を取得し、個人情報の適切な取り扱いに努めております。

 しかしながら、何らかの原因により個人情報が漏えいした場合には、当社グループへの信頼が損なわれ企業イメージの低下を招くなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、損害賠償の訴訟等が提起され、不測の損害が生じる可能性もあります。

 

⑤ システムダウン及び情報セキュリティに係るリスクについて

 当社グループのクラウド型教材配信システムである「CHIeru.net」は、インターネット環境が十分に整備されていることを前提に運営しております。また、外部のデータセンター運営会社と協力し、運営に必要なコンピュータネットワーク等について情報セキュリティの強化を推進しております。しかし、インターネット環境が何らかの理由で阻害されたり、従業員・パートナー事業者の過誤、コンピュータシステムの不備、自然災害、コンピュータウイルス、ネットワークへの不正侵入、アクセス増加等の一時的な過負荷等に基づき、重要データの漏えい、コンピュータープログラムの不正改ざん、システムダウン等が発生する可能性があります。

 こうした事態が生じた場合、当社グループの教材をWEB上で利用しているユーザーはサービスを利用することができなくなり、当社グループの信用力の低下を招き、結果として、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 法的規制による影響について

 現時点で、今後の当社グループの事業そのものを規制対象とする法的規制はないものと認識しておりますが、IT業界の変革は激しく、状況に応じては、今後新たな法令等の整備が行われる可能性があり、その内容によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 財務会計に関するリスク

① 市場販売目的のソフトウエアの評価について

 当社グループは「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会平成10年3月13日)に従い、研究開発費の一部について、適切に資産計上及び減価償却を行っておりますが、製品販売戦略の見直し等により当初予定していた収益が見込めなくなった製品が発生した場合には、翌連結会計年度の業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社グループは、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、当社グループの株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 当連結会計年度末現在におけるこれらの新株予約権による潜在株式数は65,200株であり、発行済株式総数7,869,000株の0.8%に相当しております。

 

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題と認識しており、企業体質の強化及び継続的な商品開発に備えた内部留保を確保しつつ、継続的かつ安定的な配当を実施していくことを基本方針としております。今後も中期経営計画に掲げた目標を目指し、企業価値を高めてまいる所存であります。

当事業年度の期末配当につきましては、1株あたり7.0円といたします。

内部留保につきましては、今後の企業体質及び製品開発力の強化のための資金として有効に活用してまいります。

剰余金の配当につきましては年1回、期末配当を行うことを基本としておりますが、定款において毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨定めております。なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当等を行うことができる旨定款に定めております。

 

(注)  基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2024年5月27日

51,989

7.0

取締役会決議