リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を記載しております。当社及び当社グループ各社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避や発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況の変化について
当社グループは主に日本国内の製薬メーカー及び化粧品メーカーを得意先として事業展開しております。そのため、日本国内の経済情勢の変動や取引先各社の経営成績により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)取引先が特定の業種に偏重していることについて
当社グループの主たる事業である印刷包材事業の売上高がグループ総売上高に占める割合は、当連結会計年度において92.5%となっており、印刷包材事業の売上高のうち、その大半は医薬品向け包材と化粧品向け包材が占めております。
総売上高に占める取引先1社当たりの売上高の割合は低く、取引先の分散は図られているものと認識しており、当社は今後ともこれまでの取引関係を維持発展させて行く方針でありますが、製薬メーカー及び化粧品メーカーの属する市場環境及び業界動向、薬機法の改正及びその他薬事行政における指導、並びに取引先各社の事業方針、経営施策により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)特有の法的規制及び製品の不具合が生じた場合の責任について
主力の印刷包材事業におきまして、当社グループ各社は品質マネジメントシステムISO9001をベースとした品質管理・品質保証体制を構築し、安定した品質の製品供給に努めております。しかし、例えば、医薬品印刷包材に表示面での誤りがあった場合、その誤った情報を基に医薬品が使用されますと、時には人命にもかかわる事態を引き起こすことも考えられます。したがって、万が一、当社グループの製造過程における過失等により薬機法に抵触する製品が市場に流通した時には、得意先が実施する市場回収コスト等に対する当社負担が発生し、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が製造・販売した製品に起因する何らかの不具合が生じた場合、得意先内で発生した改修費用のうち、その責任割合に応じた費用請求がなされることがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)新製品及び新技術に係る商品化について
当社グループでは、将来の成長には新製品の開発が不可欠であり、継続して新製品を開発する体制を維持することが必要であると考えておりますが、新製品の開発はその性質から複雑かつ不確実なものであり、以下の様々なリスクがあります。
①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を今後十分充当できる保証はありません。
②長期的な投資と資源投入が、新製品または新技術の創造につながる保証はありません。
③新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
④消費者の嗜好の変化により、製品が時代遅れになり、市場の需要について行けなくなる可能性があります。
これらのリスクをはじめ、予想以上に市場等が変化し、魅力ある新製品の開発ができない場合、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)知的財産権の侵害について
当社グループの保有している知的財産権については、企画開発戦略室にて一括管理しておりますが、当社グループの知的財産権に対する他社からの侵害や、当社グループが他社の知的財産権を侵害することが発生した場合には、取引先との信頼関係に影響を及ぼすとともに他社との係争に関わる費用が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)原油価格や為替レート等の変動について
主力の印刷包材事業で使用しております原材料の紙やインキは、メーカーでの原燃料となる原油価格の変動による影響を受けます。また、紙に関しましては主原料である輸入木材チップ及び古紙等の価格変動にも影響を受けます。原油や為替レートの変動による輸入原材料価格の高騰が発生し、当社製品の販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)原材料の供給状況による影響について
主力の印刷包材事業で使用しております原材料等に関しましては、供給元と基本取引契約書を締結し、安定的な調達を行っておりますが、現状、主原材料である板紙の供給元地域は東海(富士地区)への偏りが見られます。使用する板紙は得意先と取り交わしている規格書において、紙の銘柄を限定している製品が多く、供給元地域における天災や供給元での不慮の事故が発生した場合、または供給元との取引関係に変化が生じた場合には、原材料の不足が生じる恐れがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)環境に関する法的規制について
当社グループ各社は環境マネジメントシステムISO14001の認証を取得しており、環境関連法規を遵守し環境保全に配慮した企業活動を推進しておりますが、法規遵守の過程における追加的費用や、当社グループでの製造中に意図しない環境汚染が生じ、その保全に費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)設備投資について
当社グループの主たる事業は印刷包材の製造・販売であり、設備投資の大半はこの印刷包材事業に関わるものとなります。当事業では市場環境の動向や取引先情報を踏まえた販売部門の受注予測に基づいて、生産計画や設備投資計画の立案を行っております。しかしながら、受注予測や設備計画が計画どおりに進捗しない場合には、投資回収までの期間の長期化や、生産計画の遅延等に伴う売上計画の未達成と減価償却費の増加に伴う収益性低下が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報セキュリティについて
主力の印刷包材事業では取引先から新製品発売に関わる情報の提供を受け、その印刷包材を製造しております。取引先とは機密保持契約や覚書を締結し、新製品情報の漏えい防止を徹底しております。また、コンピューターウイルスやサイバー攻撃等への対策強化にも努めておりますが、万が一、情報漏えいが発生した場合には、取引先との信頼関係失墜による受注機会の損失に加え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)電力の供給状況による影響について
現在、当社グループ各社の生産設備の動力源は電力であり、供給不足や電力料金値上げが発生した場合には、工場の操業への影響や、製造原価の上昇が生じることがあります。当社グループは、省エネ、原価低減等の対応策を積極的に推進してまいりますが、これらの影響を吸収できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)地震等の災害について
当社グループの生産拠点において、地震、洪水等の自然災害や火災等の事故が発生した場合には、当社グループの操業に直接的または間接的に影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対しまして、当社の生産体制は市場別・製品群別に分けた工場体制を構築しており、グループ各社と合わせて同仕様製品を複数の生産拠点で製造できるよう機械設備を設置しております。また、富山県富山市に集中していた当社の工場立地状態を鑑み、2015年に京都府木津川市に京都クリエイティブパーク東棟、2020年に西棟を建設しました。今後も富山地区と京都地区による二大生産体制に加え、グループ会社を含めた連携体制を強化し、地震等の災害に対応するBCP(事業継続計画)の高度化に努めてまいります。
(13)海外事業展開について
当社グループは、マレーシア子会社であるHarleigh (Malaysia) Sdn.Bhd.、Shin-Nippon Industries Sdn.Bhd.及びKinta Press & Packaging(M)Sdn.Bhd.を拠点に、ASEANを中心とした販売・製造体制の確立、人材交流等を通じた人財の育成など海外事業を進めております。
海外における事業活動には法律や規制の変更、労務環境の違いによる争議等の発生、人材の採用と確保の難しさ、テロ・戦争・感染症・その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)のれんの減損について
当社グループは、Harleigh (Malaysia) Sdn.Bhd.、Shin-Nippon Industries Sdn.Bhd.及びKinta Press & Packaging(M)Sdn.Bhd.の株式を取得し連結の範囲に含めたことに伴い、連結貸借対照表にのれんを計上しております。期待しているキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、収益性が低下した場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)感染症対策について
当社グループは、「人命尊重」を基本理念として、当社グループで働く全ての人の安全と健康を確保することを企業活動の基盤とし、全ての人が参加するかたちで、安全・衛生活動を推進し、「安心して働くことができる職場」を実現してまいります。
1.関係法令遵守
当社は、労働安全衛生法等の法令を遵守し、従業員の安全と健康の確保に努めております。
2.安全衛生委員会
当社は、全社を管轄する中央安全衛生委員会の下部に各事業所での安全衛生委員会を設置し、全社で安全・衛生方針の浸透と、各職場に応じた安全・衛生活動を推進しております。
インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症等の感染症対策については、社長を対策本部長とした対策本部を設置しております。政府や行政機関などの見解を参考に社内の状況を鑑みた体制構築等、マニュアル化を実施しております。マニュアルでは、感染状況に応じた段階的な対応を取決めております。
(16)地政学的リスクについて
当社グループではロシア、ウクライナ等、地政学的リスクの高い地域に拠点を有しておらず、また同地域向けの事業も手掛けておりません。しかしながら、当該リスクの影響による資源価格やエネルギー価格の高騰に伴うコスト上昇が発生しております。コスト上昇が当社製品の販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)人材の確保について
当社グループでは企業活動に求められる人材の確保及び育成に努めております。しかしながら、労働人口の減少等により必要な人材の確保が困難となるリスクや、マネジメントの失敗による人材流出のリスクが存在しま
す。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要施策と位置づけ、利益の配分につきましては、株主の皆様への安定的な配当の継続を基本としつつ、これに加え業績に応じた成果の配分を行うことを念頭に、具体的には、連結配当性向40.0%以上の配当を実施してまいりたいと考えております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり中間配当額15円、1株当たり期末配当額20円を実施することを決定しました。
この結果、連結配当性向は46.5%、連結純資産配当率は2.3%となります。
内部留保した資金につきましては、業容の拡大に向けた財務体質の強化資金や設備投資資金として活用するとともに、将来の収益力の向上を通じて株主の皆様に還元したいと考えております。
当社は、取締役会の決議によって、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載または記録された株主または登録株式質権者に対し、中間配当を行うことができる旨定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年11月13日 |
324,792 |
15 |
取締役会決議 |
||
2024年6月27日 |
427,212 |
20 |
定時株主総会決議 |
(注)1.2023年11月13日取締役会決議の配当金の総額には、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が所有する当社株式に対する配当金237千円が含まれております。
2.2024年6月27日定時株主総会決議の配当金の総額には、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が所有する当社株式に対する配当金316千円が含まれております。