2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業に関するリスク

① 国内の農業環境の変化によるリスク

 当社グループの主力事業である肥料事業は、政府の農業政策とそれによる国内農業の変化により大きな影響を受けます。人口減による農産物消費量の減少、農産物輸入の拡大、農業者の高齢化や都市化による耕地面積の減少等を要因に、農産物生産の減少に伴う肥料需要の減少が顕在化した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 また、農業資材費低減、減肥政策等の農業経営の見直しも、肥料需要の減少に繋がると予想され、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 肥料流通の変化によるリスク

 肥料の国内流通は、全国農業協同組合連合会他の系統組織が大きなシェアを占めており、当社グループも肥料販売の大半を系統組織に依存しておりますが、何らかの理由で系統の流通シェアが大きく減少した場合や流通が困難になった場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 販売における与信リスク

 当社グループは販売の大半を系統組織に依存しており、その与信リスクは些少でありますが、その他一般の販売先向けは一定程度の与信リスクを負担しているため、与信管理規程によるリスク管理を行っておりますが、販売先の経営状況によっては、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 肥料市場における競争激化によるリスク

 肥料の国内市場において、需要の減少に伴うメーカー間の競争が激化し販売価格が低下した場合、業界の統合再編により他社の競争力が当社グループを上回る状況になった場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 工場操業停止によるリスク

 当社グループは全国21カ所に工場を有しております。組織的な労働安全衛生体制及び保安防災管理体制の構築・運用並びに設備の保全・保安等の対応策により、労働災害及び生産設備等の事故防止に取り組んでおります。しかしながら、重篤な労働災害や重大な災害・事故等完全に防止することはできないため、それらのリスクが顕在化し、一時的又は長期にわたる工場操業停止により当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 原料事情によるリスク

 主要原料の多くを海外に依存している肥料事業及び化学品事業の一部品目において、原料市況、運賃市況、外国為替市況、エネルギー市況、社会不安(戦争、テロ、感染症、地政学的リスク等)等によっては、原料の価格高騰や調達の難航、供給不足が予想され、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 原料及び製品在庫に関するリスク

 肥料事業の一部品目においては原価に占める原材料費の割合が高いため、原料市況が大きく下落した場合、安定供給のため保有している原料及び製品在庫が当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 飼料の需要及び市況に関するリスク

 国内の畜産物の需要減により配合飼料が減産もしくは生産停止となった場合、また、国内外の飼料原料の市況の変動により代替原料の使用が増加した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 化粧品原料及び化粧品凍結乾燥品に関するリスク

 化粧品原料及び化粧品凍結乾燥品に関する安全性については細心の注意を払っておりますが、当社グループの製品に起因する予期せぬ副作用等が発生した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 食品・農産物に関するリスク

 当社グループが取り扱う食品・農産物については、その安全性を確保すべくトレーサビリティを重要視しておりますが、何らかの理由で食品衛生法等関連法規上の問題が発生した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 海外展開におけるリスク

 当社グループは海外市場への展開を図っております。今後、海外展開に伴い、現地における地政学的問題、法規制、労働環境や習慣等に起因する予測不可能な事態の発生、社会的又は政治的混乱等が発生した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制、研究開発、訴訟、自然災害その他に関するリスク

① 法的規制に関するリスク

 肥料事業、化学品事業、その他当社グループが行う事業は、肥料の品質の確保等に関する法律、農薬取締法、飼料安全法、食品衛生法等を始めとした様々な関連法規によって規制されており、当社グループはこれら法規の遵守を徹底すべく細心の注意を払っております。

 しかし、過失や事故等により法規違反を犯す可能性は否定できず、違反を起こしたことで、当社グループの事業活動を制限する何らかの行政命令や罰金、それに起因する損害賠償の請求等があった場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 また、何らかの環境変化のため、予期せぬ法的規制の変更や新設により、既存の事業活動が制限を受ける場合、既存の原料の使用ができなくなる場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 研究開発に関するリスク

 当社グループは、製品の品質向上、技術水準の維持に加え、新商材の開発のために研究開発活動を行っておりますが、何らかの理由で商材の開発を断念する場合、開発した商材の上市ができなかった場合、研究開発コストの回収ができず、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 知的財産権に関するリスク

 当社グループは特許権等の知的財産権の管理には細心の注意を払っておりますが、当社グループの保有する知的財産権が第三者によって侵害され利益を遺失した場合、第三者の保有する知的財産権を侵害し損害賠償を請求された場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟に関するリスク

 当社グループは事業遂行にあたり、コンプライアンスを最重要事項に位置づけ、企業活動を行っておりますが、各種関連法規違反の有無に係わらず、製造物責任、知的財産権、環境問題等の問題において訴訟を提起される可能性があります。訴訟が提起された場合は、その結果の如何に係わらず企業イメージや顧客信頼度の毀損、あるいは損害賠償負担等により、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 保有資産に関するリスク

 当社グループの保有する土地・建物や有価証券等の資産価値が下落することで、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 退職給付に関するリスク

 当社の年金資産の運用にあたっては、社内に設置した退職給付信託・年金信託財産運用委員会で許容できるリスクの範囲内で常に年金資産の極大化に努めております。しかしながら、証券市場の低迷等により年金資産が減少した場合、退職給付費用が増加し、年金資産の積み増し等が必要となることがあります。また、退職給付債務の割引率や昇給率等が、実際の数値と異なる場合、退職給付債務の金額に変動が生じる可能性があります。これらの場合には、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 天候・自然災害に関するリスク

 主要事業である肥料事業が農業に依存することから、台風、大風、大雪、大雨、旱魃、日照不足等の異常気象や悪天候に加え、大規模自然災害やそれに伴う農地や環境被害による影響を受ける可能性があります。

 また、生産設備に対する減災に向け、自主防災組織の結成や環境保安査察による定期的な設備点検を実施するほか、当社グループとして可能なバックアップ体制を構築しておりますが、地震等の大規模自然災害による被害を受け減産や生産停止した場合、コンピューターシステムへの被害等が起こった場合等、被害の程度によっては、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 人材の確保に関するリスク

 当社グループの将来の業績を支えるのは有能な人材であると認識しており、新卒採用の強化や中途採用を実施しているほか、2023年4月にはエリア総合職及び専門職コースを導入する等、現状に即した人事制度となるよう定期的に制度の見直しを行っております。労働市場の変化により、有能な人材の採用や育成ができない場合、有能な人材が流出した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 感染症に関するリスク

 当社グループは、感染症への対策として、WEB会議システムの活用や在宅勤務及び時差出勤等、必要に応じて安全対策を実施しております。しかし、感染症拡大が長期化した場合、当社グループや主要取引先における納品の遅延や原料調達への影響等により、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策の一つと位置付けており、収益力の強化に努め、安定した配当を継続することを基本方針としております。この方針に基づき、会社法第454条第5項に規定する中間配当と期末配当の2回の剰余金配当を行うことができる旨を定款に定めており、これらの配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会であります。

 当事業年度は、今後の経営環境等を総合的に勘案し、第109期定時株主総会の決議をもって期末配当は1株につき20円とさせていただきました。

 また、現在のところ次期配当につきましては、中間配当は無配とし、期末配当は1株につき34円を予定しております。

 内部留保資金につきましては、主力製品の安定した供給体制の整備及び確立、並びに新製品の開発と高付加価値化のための投資、海外事業への投資等に活用し、経営基盤のより一層の強化に努める所存であります。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下の通りであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月25日

180

20

定時株主総会決議