リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 製品・原燃料の国際市況の変動
当社グループでは、石油化学事業、クロル・アルカリ事業を中心に、ナフサや製品等の市況変動の影響を受ける製品を有しており、それらは製品価格変動リスクに晒されております。また、ナフサ、石炭等の原燃料についても多くが市況変動に伴う購入価格変動リスクに晒されており、急激な原燃料価格の高騰に対し、製品市況が連動して上昇しない場合や製品価格の是正が適切に行われない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(2) 在庫評価の影響
当社グループは、棚卸資産の評価方法及び評価基準について、主として総平均法による原価法を採用しております。そのため、ナフサや石炭等の原燃料価格が在庫単価に比べて下落する局面においては、期初の相対的に高価な在庫の影響により売上原価が押上げられるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、収益性の低下に基づく簿価切下げを行った場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 国内外の経済情勢・需要変動、競合
国内外の顧客や市場の動向、経済情勢の変動により、当社グループの製品マーケットの縮小や市況の下落が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、競合他社による生産能力増強や低価格販売などの事業展開により、当社グループの製品マーケットのシェア低下や需給バランスが崩れることによる製品価格の下落が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 企業買収・資本提携及び事業再編
当社グループは、事業の拡大・効率化や競争力強化を目的として国内外における企業買収、資本提携を実施しております。当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、活動が円滑に進まない、あるいは当初期待した効果が得られないなどの場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 為替レートの変動
当社グループは、国内で製造した製品の一部を海外へ輸出しており、原燃料の大半は海外から輸入しております。大幅な為替レートの変動は、外貨建取引、外貨建資産・負債、更には海外グループ会社の財務諸表の円換算額にも影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 海外での事業活動
当社グループは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外での事業活動を行っております。しかしながら、戦争・テロ・その他の要因による社会的又は政治的混乱、社会インフラの未整備、人材の採用・確保の困難といったリスクが存在しており、このようなリスクが顕在化し海外での事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 原燃料の調達
当社グループは、生産活動に必要な原燃料を国内外から調達しており、原燃料の調達先の多様化、中長期的契約の締結、あるいはスポット市場からの購入により長期的、安定的な調達に取り組んでおります。しかしながら、特定の地域やサプライヤーに依存している原燃料もあるため、その供給者における災害・事故等による調達への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 金利変動
当社グループは、大型投資・M&Aをタイムリーに実行できる強固な財務基盤を維持することを財務方針とし、戦略的投資とのバランスを考慮しつつ、有利子負債の削減や金融収支の改善に努めておりますが、今後金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 環境関連等法的規制
当社グループは、環境保全と安全及び健康の確保が経営の最重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後環境等に関する国内外の法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動の制限、若しくは追加の設備投資や新たな費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 気候変動
パリ協定が採択されたのを機に気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが世界的に進められております。当社グループは、「CO2削減・有効利用推進委員会」を立ち上げ、CO2の削減や有効利用に向けた技術改善を推進しておりますが、今後CO2等の排出や化石燃料の利用に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合や化石燃料由来ではない代替品の出現等で石油関連製品の需要が減少した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、気候変動による極端な気象現象(台風、洪水等)の発生で生産設備や輸送に使用する道路等が被害を受けた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) 事故・災害・感染症
当社グループは、日常的及び定期的な設備の点検・保守、安全関連投資等を実施し、設備事故等の発生の未然防止に努めております。しかしながら、自然災害、不慮の事故などの影響を完全に防止し、軽減することは出来ません。万一、事故・災害により、製造設備停止に伴う損失、工場周辺地域への被害補償に伴う費用、多額の設備補修費等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが事業活動を展開する国や地域において、新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症が発生・拡大し、生産や営業活動を停止せざるを得なくなった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 設備投資
当社グループは、今後の需要予測、損益等を総合的に勘案して、戦略的に設備投資を実施しております。しかしながら、人手不足による建設費・物流費の高騰などにより実際の投資額が予定額を大幅に上回った場合や、製品・原燃料市況の変化等により計画通りの収益が得られなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) 品質問題
当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製造物賠償責任保険も付保しております。しかしながら、製品に予期せぬ欠陥が発生した場合には、社会的信用の低下や製品の販売中止等に繋がり、更に訴訟が提起される事態に発展することも想定されます。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14) 訴訟
当社グループは、東ソーグループ行動指針の制定を行い、国内外の法令遵守に努めております。しかしながら、広範な事業活動を行う中、訴訟、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。現在及び将来の事件での帰趨を予測することは困難でありますが、裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 知的財産
当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、国内外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) 技術革新
当社グループは、急激な国内産業構造の変化及び国際的な社会課題が変化する中、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、積極的な研究開発を展開しております。特に機能商品事業においては、技術革新のスピードが著しく、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があると考えております。しかしながら、顧客ニーズに適合して継続的に新製品の開発・提供ができない場合、あるいは他社において画期的な技術革新がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(17) 情報セキュリティ
当社グループは、サイバー攻撃に対し様々な防御策を講じておりますが、事業所のプラント制御系システムや基幹システムに問題が発生した場合には、重要な業務の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、機密情報や個人情報の適切な管理に努めており、EU一般データ保護規則(GDPR)に対しても適切に対応しております。しかしながら、不測の事態により外部へ情報が漏洩した場合には、社会的信用や競争力の低下を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(18) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後各製品において事業収益性の大幅な悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(19) 有価証券の評価
当社グループは、主に取引関係の維持・発展などを目的に取引先の有価証券を保有しておりますが、当社グループが保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、又は株式保有先の財政状態の悪化により有価証券の評価が著しく下落した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(20) 繰延税金資産の取崩し
当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積もり回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、又は税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(21) 退職給付関係
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されております。年金資産の時価の変動、金利の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(22) 工事契約に係る一定期間にわたり収益を認識する取引の収益計上
当社グループのエンジニアリング事業の工事契約において、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しておりますが、工事収益総額、工事原価総額及び連結会計年度末における進捗度を合理的に見積もる必要があります。工事案件ごとに継続的に見積総原価や予定工事期間の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社では、収益力の向上、堅固な財務基盤を継続し、長期的な企業価値の向上を図ることが、最も重要な経営課題であると認識しております。この考えに基づき、将来の収益動向、財務状況、並びに今後の事業展開における必要資金等を総合的に勘案し、配当を決定しております。
配当につきましては、株主の皆様への利益還元を重要な資本政策の一つと位置づけ、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。
内部留保につきましては、スペシャリティ及びCO2削減への投資・研究開発活動等に有効活用することにより長期的な企業価値の向上に役立て、株主の皆様のご期待に応えるべく努めてまいります。
自己株式の取得につきましては、フリー・キャッシュ・フローの水準等を勘案して機動的に実施してまいります。
このような方針の下、当期の期末配当金は1株当たり45円とし、中間配当金の1株当たり40円と合わせた年間配当金は1株当たり85円とさせていただきました。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は取締役会であります。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。