人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数2,593名(単体) 5,782名(連結)
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平均年齢41.4歳(単体)
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平均勤続年数17.0年(単体)
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平均年収7,320,644円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注)1 従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む)であり、臨時従業員数(パートタイマーを含み、派遣社員を除く)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。
(2)提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注)1 従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)であり、臨時従業員数(パートタイマーを含み、派遣社員を除く)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2 平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。
3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。
(3)労働組合の状況
当社の労働組合はトクヤマ労働組合と称し、日本化学エネルギー産業労働組合連合会(JEC連合)に加盟し、会社と円満な労使関係を持続しております。
なお、2025年3月31日現在の組合員数は1,898人です。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率等及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
3 以下の前提に基づき男性の賃金に対する女性の賃金の割合を算出しております。
対象期間:2024年度(2024年4月~2025年3月)
賃金:賞与及び基準外賃金を含んでおります。
有期雇用従業員:パート社員及び有期契約社員を含み、派遣社員を除いております。
4 労働者の男女の賃金の差異について、賃金体系及び制度上に、男女間の差異はありません。管理職比率等の人材ポートフォリオ及び、交替手当や家族手当等、一部手当の支給実績において男女間の偏りがあり、それに伴う賃金差が生じております。
5 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異は、当社から社外への出向者を含み、社外から当社への出向者を除いて集計しております。
② 連結子会社
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号) の規定による公表を行っていない連結子会社および、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではない連結子会社については、記載を省略しています。
2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
4 以下の前提に基づき男性の賃金に対する女性の賃金の割合を算出しております。
対象期間:2024年度(2024年4月~2025年3月)
賃金:賞与及び基準外賃金を含んでおります。
有期雇用従業員:パート社員及び有期契約社員を含み、派遣社員を除いております。
5 労働者の男女の賃金の差異について、賃金体系及び制度上に、男女間の差異はありません。管理職比率や年代別人員構成割合等の人材ポートフォリオ及び、交替手当や家族手当等、一部手当の支給実績において男女間の偏りがあり、それに伴う賃金差が生じております。
6 管理職に占める女性労働者の割合、労働者の男女の賃金の差異は、社外への出向者を含み、社外からの出向者を除いて集計しております。
③ 提出会社及び連結子会社
(注)1 「-」は海外連結子会社の男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異の集計を実施していないため、記載を省略していることを示しております。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
3 労働者の男女の賃金の差異について、賃金体系及び制度上に、男女間の差異はありません。管理職比率、年代別男女構成比等の人材ポートフォリオ及び、交替手当や家族手当等、一部手当の支給実績において男女間の偏りがあり、それに伴う賃金差が生じております。
4 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異は、社外への出向者を含み、社外からの出向者を除いて集計しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に対する記載事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループでは、「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」という存在意義、ありたい姿、価値観から成るトクヤマのビジョンのもと、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指す8項目の「サステナビリティ基本原則」を2023年4月に制定しました。当ビジョンおよび基本原則に則り、当社グループは事業活動に起因する環境負荷を最小化しながら、社会課題の解決に資する製品の供給を通じて、環境と調和した新しい価値を創造していきます。
① ガバナンス(サステナビリティ・ガバナンス)
取締役会は、サステナビリティを巡る課題への対応はリスクの減少のみならず機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値向上の観点から「サステナビリティ基本原則」を策定し、これらの課題に積極的・能動的に取り組みます。また、サステナビリティに関する重要な方針や計画は取締役会の決議あるいは報告事項とし、指導・監督を行っています。2024年度の取締役会においては、サステナビリティ(環境・社会・ガバナンス)に関して41件の議題が挙がり、決議あるいは報告されています(下表参照)。
〔2024年度取締役会におけるサステナビリティ関連議題の決議・報告(一部抜粋)〕
一方執行側においては、サステナビリティに関する方針と目標を決定し、活動を円滑に進めるため、社長執行役員が議長となり、全執行役員が委員であり、かつ社外取締役を含む監査等委員も出席可能なCSR推進会議(開催頻度:原則1回/年)において、適切なコーポレート・ガバナンスの推進およびサステナビリティ課題に関するリスクと機会を含む重要事項を議論しました。2024年度のサステナビリティ課題に関する会議体の全体像と、その開催回数を下図に示します。
2025年4月より、社長執行役員を議長、全執行役員を委員とし、かつ社外取締役を含む監査等委員も出席可能な「サステナビリティ会議」を、CSR推進会議から改組して設置しました。その目的は、サステナビリティ経営をさらに推進し内部統制を有効かつ効率的に実行することにあります。従来の会議体では報告が主体となっており、経営戦略と不可分である個々のサステナビリティ課題に対し、執行側・取締役側がタイムリーに審議し決議できる体制としては不十分でした。そこで、報告が議題の中心であるサステナビリティ会議を年1回実施するとともに、都度挙げられた案件について、月2回開催される経営会議の中で「サステナビリティの部(=サステナビリティ会議)」として執行側が審議・決議する体制とし、意思決定のスピードアップを図ります。
サステナビリティ会議では、全社的なサステナビリティに関する課題の認識、計画の策定と執行の確認、および内部統制上の重要事項を審議・決定します。サステナビリティに関する重要な開示事項についても、本会議で議論・決定します。そのサステナビリティ会議傘下には、サステナビリティならびに内部統制の観点で、特に専門性および重要性の高い分野(コンプライアンス、財務報告、独占禁止法・競争法遵守、安全保障貿易管理、サイバーおよび情報セキュリティ、保安・環境対策、製品安全・品質)について専門委員会を設置しています。それぞれの専門委員会は、担当する取締役が委員長となります。
サステナビリティ会議の内容は取締役会に報告され監督を受けています。また、決裁規則に定められた案件については取締役会の決議を受けています。さらに監査室が、サステナビリティに関するマネジメントシステムについて、定期的な監査を行っています。この監査結果は、社長および取締役会へ報告されます。
② 戦略
サステナビリティを巡る課題を重要な経営課題であると認識し、中期経営計画2025の重点課題の一つとして「CSR経営の推進」を掲げ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、取り組みを強化しています。
取り組みの基本となる姿勢・考え方として、「サステナビリティ基本原則」および「行動憲章」を掲げ、方針類の体系を下図のように整備しました。さらに、当社のコーポレート・ガバナンスに対する思想を明文化し取締役の役割と責務を明確にするため、2024年4月1日に「コーポレートガバナンス・ポリシー」を制定しました。これにより、サステナビリティを含む経営課題への取り組みをガバナンス面から促進するとともに、取締役の職務執行の実効性をより高める体制を築いています。
これら方針のもと、トクヤマとして取り組むべきサステナビリティ課題として「マテリアリティ(CSRの重要課題)」を抽出しました。具体的には「地球温暖化防止への貢献」「環境保全」「無事故・無災害」「社会課題解決型製品・技術の開発」「化学品管理・製品安全の強化」「地域社会との共存、連携、貢献」「CSR調達の推進」「人材育成」「多様性(ダイバーシティ)と働きがいの重視」「心と体の健康推進」の10項目で、それぞれへの取り組みを進めています。マテリアリティ特定の理由や事業への影響、目指す姿などの詳細は、「④ 指標と目標」に示しています。
③ リスク管理
当社グループでは、期待される組織目標の達成や事業の持続性に影響を及ぼし、企業経営において企業価値の毀損あるいは向上に繋がるような事象・要因のうち、組織横断的な対応が必要となるものを「重要リスク」ととらえ、確実に対応するためのマネジメントシステムを構築しています。
サステナビリティに関するリスクを含む、全社的なリスクマネジメントの体制として、CSR推進会議の中にCSR担当取締役を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会(開催頻度:原則2回/年)を設置し、本委員会を中心に内部統制の中核かつ両輪と位置付けているリスクマネジメントとコンプライアンスの推進を図っています。併せて、特に専門性・重要性の高い分野については、リスク・コンプライアンス委員会から分離させた専門委員会(委員長:各担当取締役)を設置しています。
重要リスクの特定プロセスを、下図に示します。リスク・コンプライアンス委員会では、現在認識している重要リスクについて発生頻度・蓋然性と損害・影響規模の観点から位置づけを見直すとともに、新たに加えるべきものについて議論をします。重要リスクにはそれぞれ管掌する専門委員会を紐づけており、対応する方針の決定および施策の立案と実施を行います。CSR推進会議では、全体を統括します。2025年度の重要リスクの一覧と、それらを損害・影響規模と発生頻度・蓋然性の観点からマッピングした図を示します。
2025年4月より、リスク・コンプライアンス委員会を廃止し、CSR推進会議を改組したサステナビリティ会議を設置しています。サステナビリティ会議には、社長執行役員を含む全執行役員が出席し、社外取締役を含む監査等委員も出席可能となっています。これまでリスク・コンプライアンス委員会で議論していた重要リスクを含むサステナビリティに関するリスクと機会はサステナビリティ会議で議論し、事業部および傘下の専門委員会に対し指示あるいは移譲して対応を行います。
各担当取締役が委員長となる専門委員会では、管掌する重要リスクについて対応方針(低減、回避、移転、保有)を検討・決定します。決定した方針に基づき、リスクへの施策を立案・実行し定期的なレビューを行うなど、マネジメントシステムに沿った実行管理をしています。
なお、それぞれのリスクの詳細および対応については、次項の「3 事業等のリスク」で記載します。
また、リスクだけでなくサステナビリティに係る機会を的確に捉え、企業価値向上に繋げていくため、2024年度は8つの専門委員会のひとつであるサステナビリティ委員会において、積極的にサステナビリティ課題に取り組み、開示を進めました。人権対応の一環として、全事業活動にかかわる人権への負の影響をリストアップの上マッピングに落とし込み、優先順位の高い「サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンス」と「救済メカニズムの構築」に取り組みました。具体的には、取引先に対し自己評価アンケート(SAQ)や対話による関係構築といったエンゲージメントを継続するとともに、調達基本方針およびサステナブル調達ガイドラインを改定し役務・サービスの提供についても調達活動のスコープとして明示しました。救済メカニズムの構築としては、海外グループ会社向けに、現地従業員が母国語で通報・相談できる「グローバル内部通報窓口」を構築しました。これにより、当社グループのすべての役職員は何らかの通報窓口が利用できる体制となりました。
また、サステナビリティ委員会の管掌である気候変動に係る情報開示について、TCFDレポートの開示内容の拡充やGXリーグが定める基準に沿ったGHG排出量削減目標の設定などを行いました(「(2)気候変動への対応」に詳細を記載)。
なお、サステナビリティ委員会は2025年4月をもってサステナビリティ会議に統合され、サステナビリティに係るリスクと機会についてよりタイムリーに議論できる体制となります。それに伴い、前述の人権対応は2025年4月に設置したコンプライアンス委員会に、気候変動に係る取り組みは環境対策委員会下のカーボンニュートラルワーキンググループに、それぞれ管掌が引き継がれます。
〔2024年度 人権対応の一覧(抜粋)〕
④ 指標と目標
当社グループは、マテリアリティへの取り組みを強化することで、社会との信頼関係をより強固なものとすることを目指しています。
各マテリアリティには指標(KPI)と目標などを設定し、それぞれの進捗状況については、サステナビリティに関する方針と目標を決定し活動を推進していくCSR推進会議において定期的にモニタリングされ、取り組みの調整・強化などを図りました。2025年度以降は、サステナビリティ会議においてマテリアリティの確認を行います。
[マテリアリティおよび指標]
(2)気候変動への対応
当社グループは、TCFD提言に賛同し、TCFDのフレームワークに基づいて気候変動に対する検討を重ねています。
① ガバナンス
当社グループでは、気候変動を最も大きな経営リスクの一つに位置づけています。中期経営計画2025では「地球温暖化防止への貢献」を重点課題の一つとして掲げており、取締役会から移譲を受けた社長執行役員の責任の下、施策を進めています。
気候変動のうち、特に全社的なカーボンニュートラルに関する活動が実践フェーズへ移行したことにともない、2023年4月からは独立した部門相当となる「カーボンニュートラル戦略本部」を設置し、カーボンニュートラルに対する対策立案と施策を進めています。
a)取締役会の監督
気候変動に係る事項(気候変動に取り組む会社方針や、それらに対応するための中長期戦略の策定や投資案件の選定等)は随時経営会議での審議を経て決議され、取締役会にも報告され監督を受けていますが、中でも特に重要性が高い案件は、経営会議での審議を経て取締役会において決議されます。
b)経営陣の役割
2024年度は、CSR推進会議およびその傘下の「サステナビリティ委員会」(開催頻度:原則2回/年)、「環境対策委員会」(開催頻度:原則1回/年)において、気候変動に係る取り組みを行いました。それぞれの会議・委員会において、当社グループの事業に影響を及ぼす気候変動のリスクと機会を分析し、対応を行っています。
2025年度からは、CSR推進会議・サステナビリティ委員会に代わり、報告が議題の中心であるサステナビリティ会議を年1回実施するとともに、都度挙げられた案件について、月2回開催される経営会議の中で「サステナビリティの部」としてサステナビリティ会議を開催し、全体統括とリスク・機会の検討を行う体制としました。投資等の施策の実施については、従来通り経営会議にて審議および検討を行っております。
② 戦略
中期経営計画2025には、インターナルカーボンプライシングの導入による炭素コストの見える化の影響、顧客の調達方針の変更による影響、金融・投資会社の方針変更による資金調達への影響といった「リスク」と、環境領域での新たな「事業機会」を織り込んでいます。また、IEA(国際エネルギー機関)作成のNZE等の移行リスクシナリオ、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のRCP8.5やSSP-7.0等の物理リスクシナリオを参照し、現時点から2050年までの時間軸で、1.5℃シナリオと4℃シナリオの分析を実施しました。エネルギー多消費型から価値創造型企業への事業ポートフォリオ転換によって、気候変動のリスクを低減しつつ、有望な事業機会の収益化を目指します。
a)短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会 および c)組織戦略のレジリエンス
2021年度より気候変動による当社グループのリスクと機会の分析を行っています。2022年度は、それらリスクや機会が当社に及ぼす財務への影響度、発生時期、事業への影響度、優先順位を評価しました。その結果を基に2023年度から具体的な対策の検討を進め、実施しています。
リスク分析とそれに基づく具体的な対策を定期的に見直すことにより、組織戦略のレジリエンスを高めています。
[気候変動によるリスク(シナリオ分析)]
短期:~2025年度 中期:~2030年度 長期:~2050年度
[気候変動による機会(シナリオ分析)]
短期:~2025年度 中期:~2030年度 長期:~2050年度
b)事業、戦略、財務計画に及ぼす影響
気候変動による機会の分析から、環境領域での新たな「事業機会」の検討についても、より内容を具体化すると共に、時間的範囲、財務への影響度、優先順位を評価しました。
[気候変動による事業機会の検討]
短期:~2025年度 中期:~2030年度 長期:~2050年度
③ リスク管理
a)リスクの特定と評価プロセス
当該項目の説明につきましては、前述の「(1)サステナビリティに関する考え方 ③ リスク管理」をご参照ください。
b)リスクマネジメントのプロセス
リスク・コンプライアンス委員会では「脱炭素社会への対応リスク」を最も大きなリスクと位置づけ、複数の専門委員会による対応を決定しました。環境に関する法規制とGHGなどの排出量の把握は環境対策委員会、製造拠点における高潮などの物理リスクは保安対策委員会、気候変動に対するイニシアチブや外部開示に関するソフトロー対応はサステナビリティ委員会が受け持ち、連携して対応を進める体制としました。
サステナビリティ委員会では、積極的にサステナビリティ課題に向き合い、取り組み事項についての開示を行いました。気候変動に係る情報開示では、TCFDレポートの開示内容の拡充と当社グループ全体でのScope 3の目標設定に取り組みました。
気候変動に関連する個別の活動としては、例えば当社グループにおける最大のGHG排出源である徳山製造所では、製造所長を委員長とするエネルギー管理委員会を定期的に開催し、原単位改善を含む省エネルギー活動の計画を協議し進捗を確認しています。さらに、経営に関連する重要案件については、必要に応じ経営会議や取締役会に報告されます。
2025年度以降はリスク・コンプライアンス委員会とサステナビリティ委員会の改組に伴い、当該リスク対応を全社横断的に行うため、サステナビリティ会議と環境対策委員会が取り組みを管掌する体制としています。
c)全社リスクへの統合(重要リスクの特定プロセス)
当社グループの中期経営計画2025では、社会の潮流が脱炭素へと加速する中、これまで強みとしてきたエネルギー多消費型事業を中心とした事業構造からの脱却が不可欠であると判断しました。
当社は徳山製造所のインテグレートされた高効率な生産プロセスが競争力の源泉であり、石炭火力発電所に依存したエネルギー多消費型事業が収益を牽引してまいりました。しかし産業構造の変化が加速し、循環型社会実現に向けての環境意識の向上や規制強化が進むことが想定され、これまでの延長線上にない事業の構築・成長によって収益力・競争力を確保していくことが必須であると考えています。
そのため、中期経営計画2025では、私たちの存在意義を「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」と定義し、重点課題の一つとして「地球温暖化防止への貢献」を挙げ、全社的な取り組みを進めています。
サステナビリティ上の機会とリスクについては、前述のとおりサステナビリティ会議を頂点とする体制で取り組みますが、投資判断など経営に関連する重要な意思決定を伴うものについては、必要に応じ経営会議や取締役会において議論・承認されます。
④ 指標と目標
当社グループは、短期を2025年度(中期経営計画2025の設定年度)、中期を2030年度、長期を2050年度ととらえ、指標と目標を定めて管理しています。
a)気候関連の指標
当社グループはこれまで、GHG排出量および原単位、エネルギー消費原単位を管理してきましたが、中期経営計画2025ではGHG排出量(Scope 1、2)を単体および連結生産子会社において測定・管理指標に定め、下図のとおり2030年度には2019年度比で30%の削減、2050年度にはカーボンニュートラルを達成することを目標に定めました。
また、全執行役員の役員報酬算定時に、当社が定めたマテリアリティのうち関連するものを指標として組み込み、貢献度による評価を行っています。これにより、具体的な役割や責任などを一定の要素として勘案しています。
GHG排出量(Scope 1、2) 中長期削減目標
当社グループは、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルに挑戦するため、新たにScope 3についても、排出量削減目標を設定しています。
当社グループのScope 3は、カテゴリー1、3、4が全体の90%以上を占めるので、この三つのカテゴリーの総量に対し、2030年度までに10%削減(2022年度比)を目指します。目標達成に向けて、サプライチェーンエンゲージメント活動の強化を図ります。
GHG排出量 (Scope 3) 中長期削減目標 (カテゴリー1、3、4)
その他、気候変動に関連する重要な目標は下記のとおりです。
・SBT(Science Based Targets)認定を目指し検討中
2023年3月に認定機関へコミットメントレターを提出。SBT認定要件改定の状況にも留意しながら、認定取得の可能性について引き続き多角的に検討しております。
・エネルギーに関する目標
当社グループは、2030年度に燃料起源GHG排出量のうち、自家発電由来のGHG排出量を2019年度比で50%削減する努力目標を設定しており、自家発電における非化石燃料(バイオマス、アンモニア)への転換を行う計画にしています。また、2030年度までに再生可能エネルギーとアンモニアのエネルギー合計で30%達成を目指します。バイオマスは2023年度から段階的に混焼率を上げていき、2024年度には木質ペレットの混焼を行うために、設備改造工事を開始しました。2025年秋頃から混焼を開始する予定です。アンモニアは2030年度までの混焼開始を目指し、2023年度から検討を開始しました。検討には以下の支援を受けています。
2023年度:資源エネルギー庁『令和5年度石油供給構造高度化事業費補助金(次世代燃料安定供給のためのトランジション促進事業)』
2024年度:資源エネルギー庁『令和6年度非化石エネルギー等導入促進対策費補助金(水素等供給基盤整備事業)』
2024年度におけるグループ全体での再生可能エネルギーの比率は3.5%でした。
再生可能エネルギーの実績と目標
(再生可能エネルギー由来として、バイオマス・太陽光発電/アンモニアによる発電分を集計)
・GXリーグ
当社は、2022年度より経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」への賛同を表明し、2023年度より本格稼働した「GXリーグ」に参画しました。GXリーグ参画にあたっては、GXリーグの定める基準に沿ってGHG排出量削減目標を定めることになっており、当社がGHGプロトコルに準拠して設けたGHG排出量削減目標とは別に、単体および国内連結生産子会社のScope 1について目標を定めています。
GXリーグのデータは、GHGプロトコルに準拠して設定したものとは基準年度や排出量の計算方法が異なりますが、元となるデータは共通のものであり、削減目標も整合を取っています。
GXリーグのGHG排出量(Scope 1)削減目標
・インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入に関する指標(取り組み)
当社は、GHG排出量削減策を促進するため、2019年度に投資案件の評価基準にICPを導入しました。当初は欧州連合域内排出量取引制度(EU-ETS)取引価格を参考にして、3,700円/t-CO2に設定していましたが、GHG排出量削減の更なる取組強化のため、2022年度より10,000円/t-CO2に引き上げました。これにより短中期的に脱炭素に向けた活動を推進していきます。
b)Scope 1、2、3のGHG排出量
下表は、GHG排出量(Scope 1、2、3)の推移を表したものです。2024年度は、バイオマス混焼や積極的な省エネ活動により、GHG排出量(Scope 1、2)は基準年度2019年度比で19%削減しました。
GHG排出量(Scope 1、2、3)の推移
下表は、カテゴリー別の内訳を示したものです。
GHG排出量(Scope 3)は、基準年度2022年度比で6%削減しました。
GHG排出量 Scope 3 カテゴリー別排出量
下表はGHG排出量(GXリーグ)の推移を示したものです。2024年度のScope 1とScope 2の合計は、基準年度(2019~2021年度の平均)比で17%削減しました。
GHG排出量(GXリーグ)の推移
c)目標およびその目標に対するパフォーマンス
当社グループは、燃料起源GHG排出量削減を目指すとともに、原料起源GHG排出量の削減や革新的技術開発等によりカーボンニュートラルを目指しています。下図は、2030年度、2050年度に向けた削減の内訳と多方面に渡るアプローチを表しています。
GHG排出量削減を着実に進めることが企業としての責任である一方で、製品が世の中で使われることによるGHG排出量削減も重要な役割であると認識しています。今後、更なる革新的技術開発を行っていくことで、世界のカーボンニュートラル達成に貢献していきます。
GHG排出量(Scope 1、2)の中長期削減目標
(3)人的資本の拡充
当社グループは、人材を企業の持続的成長に不可欠な最重要の「経営資本」と位置付けています。その視点から、2019年には、トクヤマグループのビジョンを実現するために人材に期待するあるべき姿や成長の方向性を、普遍的な「人事ポリシー」として明文化しました。この人事ポリシーに基づき、ビジョンに掲げる4つの価値観を体現する人材の育成に取り組むとともに、多様性と高い生産性を兼ね備えた人的資本の形成を目指しています。
① ガバナンス
当社では人的資本・人事に関する会議体を定期的に開催し、多様性と高い生産性を兼ね備えた人的資本の形成に向けた重要な施策や戦略の実行、人材計画や人材の配置について決定しております。また、従業員に関する人事施策や人事異動の実施に関しては、予め労使間で協議を行った上で、十分な従業員の理解を得ながら進めています。
監督機能である取締役会においては重要な人的資本に関する施策や戦略に関して経営視点での議論に参加し方向付けを行うとともに、策定された中期単位の人材戦略を決議しています。また、年度単位で事業計画に応じて策定される人材計画から課題を把握し、戦略の進捗状況と合わせて継続的に議論することで、当社グループの人的資本経営が適正に行われていることを監督しています。
なお、役員の人事および報酬に関しては、委員の過半数を社外取締役で構成する指名・報酬委員会において、後継者計画の策定および役員候補者の選出・評価、役員報酬制度、基本報酬・賞与の個別支給額などを審議し、取締役会に適切な答申又は提言を行っています。
[人事に関する報告・決定プロセス・モニタリングの仕組み]
② 戦略
■人材戦略の位置付け
当社グループでは中期経営計画2025に定める経営戦略を実現するために、2024年度から実行すべき人材戦略を策定しました。当社グループが持続的に成長していくためには、石炭火力による自家発電を基軸に発展してきた過去から脱却し、地球温暖化防止への貢献を目指すとともに、電子・健康・環境の成長事業への事業ポートフォリオ転換という過去最大のトランジションを実現する必要があり、活動の軸となる考え方を人事ポリシーの理念を踏まえつつ戦略として策定したものです。経営戦略の実現や当社グループの企業価値向上につながるストーリーを具体的に示し、働き方のニーズに応じた多様で生産性が高い人的資本がエンゲージメント高く活躍する事を目的としています。
■基本コンセプトおよびそれを実現するための戦略
経営戦略の実現に向けて、当社グループの人的資本に関する課題は、従来から続く安定的な事業成長を前提とした、内向きで同質性が高い人的資本にあると考えています。この課題を解決し、経営戦略を実現するためには、「Pay for job」、「事業競争力強化」、「クリエイティブ人材育成」、「継続的な人材確保」を基本コンセプトに掲げ、それを実現する5つの戦略を設定しています。
具体的には、中期経営計画2025の実現を図り、またその延長線上にある当社グループの経営環境を推定すると、電子・健康・環境の成長事業においてグローバルに活躍できる人材や、厳しい環境における事業やプロジェクトを運営できる人材、M&Aのマネジメントをできる人材といった「クリエイティブ人材育成」が今後更に必要となります。現有の人的資本と将来想定される必要人材とのギャップを埋めるために、多角的な採用ルートと人材の育成を行う「会社の成長を推進する人材の採用と創出」に取り組んでいます。また事業計画に応じて毎年作成される人材計画において、将来の事業計画に対する人材の質と量に関する人材ポートフォリオをシミュレートした結果、成長事業において化学系の技術者および、グループ企業における人材不足が起こる可能性が具体的に特定されているため、グループを横断した「グループ人事体制の構築」と「成長分野、新規PJへの人材供給」にも合わせて取り組みを開始しております。また、既存の事業においては競争環境が激しくなることが想定され、「業務の生産性向上」が喫緊の課題です。
これらの5つの戦略を機能させるために、2024年度の「基幹職ジョブ型人事制度」の導入に引き続き、2025年度には組合員層の人事制度改定を行い、その中において具体的な施策を展開しています。施策の内容は個々の従業員の生活コストに寄り添ってきた従来型の賃金制度から、仕事による会社への貢献度を強く意識した評価・賃金制度にシフトする「Pay for job」を念頭に置いた設計となっており、新しく設けられた複線型のコース制度の下、従業員が貢献に応じて正しく評価されることで、公平に熱意高く働けるようにすることを中心としています。
この様な施策は「クリエイティブ人材育成」の後押しとなり、また、流動化している労働市場において、「継続的な人材確保」を行っていくために魅力的な施策となっていくことを見込んでいます。当社グループのマテリアリティにも掲げている多様性への取り組みも、昨今の労働市場の強いニーズの一つである事は充分に認識しているところであり、「知恵と経験の多様性確保」を実施しています。
■ベースとなる戦略
サステナブルな企業成長に繋げていくためには、労働市場のニーズに合った人材体制を整えることも必要です。少子高齢化により労働力が減少した日本の労働市場から優秀な人材を確保し、当社グループの中で成長・活躍するための基盤整備は、多様性確保への取り組みに加えて、「従業員エンゲージメント向上」であると捉えており、これらの課題に積極的に取り組むことで、投資市場からも昨今において注目度が高い企業成長を支える優秀な人的資本の安定的な確保を実現します。
2023年度に実施したエンゲージメント調査では全従業員の94.7%が設問に回答し、回答結果からエンゲージメントに関わる課題を明らかにしました。一般的に日本企業に欠けているとされている仕事への熱意の不足については当社も同様の傾向が見受けられ、2024年度は、その結果を踏まえ、課題が多い職場から現場主導でのエンゲージメント向上への対策を開始しており、今後も継続的に監視・対策のサイクルを進めて参ります。
最近ではDXの発展に伴い人事関連業務においても、タレントマネジメントシステムなどを利用したデータ活用が盛んになっています。当社においては既にタレントマネジメントシステムを導入済みですが、2024年度から導入した管理職ジョブ型人事制度とのシナジーを追求し、各管理職ポストに必要なスキルや経験を見える化し、個々人が保有するスキルとマッチングさせることで、経営戦略実現に重要な管理職ポストに対する戦略的な人材配置と、適正な後継者計画を策定しております。このような「人的資本データの見える化と活用」により科学的で戦略的な人材配置を実現するとともに、各戦略がしっかりと進捗していることを示す推進・定着をモニタリングする「KPI設定」を行う事で着実に人的資本経営を展開します。
③ リスク管理
人的資本に関するリスクは、その特定プロセスを「サステナビリティに関する考え方及び取組」内の「(1)サステナビリティに関する考え方 ③リスク管理」に記載するとともに、「3 事業等のリスク」にも内容を記載していますが、人材戦略を作成する過程においても改めて抽出を行いました。
人的資本に関わるリスクについては、人材戦略を作成、推進する過程において調査を行い、経営戦略を実現するにあたって発生する可能性があるリスクを概念的に抽出しており、事業ポートフォリオ転換を推進するためには現有の人的資本のマインドチェンジが必要であると理解しています。また、定量的には、事業計画に応じて策定される必要な人材の質と量を調査する人材計画の策定において、人材ポートフォリオのあるべき姿と現状のギャップを評価しており、毎年ローリングで更新を行っています。定量面において、当社グループにおける具体的なリスクを概括的に記載すると、少子高齢化による労働力人口の減少や人材の流動化が進む中で、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、社員の離職により組織の総合力が低下し、成長事業に必要な人材の投入が進まず事業ポートフォリオ転換が阻害されることが最大のリスクと考えています。
当社グループが認識するリスクについては、人材戦略の中に網羅的に組み込み、取締役会等において関連するKPIとともに取り組み状況の進捗を報告することで、適切に管理して参ります。
④ 指標および目標
当社グループは人材戦略の戦略軸に応じてKPIを設定し、主要な施策について目標を明確にするとともに、その目標に対する進捗状況を管理しています。
(注)1 単体
(注)2 単体および国内連結子会社
(注)3 インセンティブ制度を2025年度に導入
(注)4 「NBL研修」:「Next Business Leader研修」
将来の会社の発展を担う経営人材や事業ポートフォリオ転換に必要なハイパフォーマーを育成する研修制度
(注)5 障がい者の雇用については、法定雇用率の充足を目指し、バリアフリー化など職場環境の整備に努めています。加えて、2021年10月には障がい者雇用施設「ゆうゆうてらす」を開設し、2021年12月には、障がい者の自立支援と地域社会への貢献に向けた農業法人「株式会社トクヤマゆうゆうファーム」を設立するなど、新しい取り組みも始めています。
(注)6 当社グループは、従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりを目指しています。この考えに基づき、当社は2020年10月1日に「健康経営宣言」を表明し、その後2022年から4年連続で健康経営優良法人ホワイト500に認定されているとともに、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」に3年連続で選定されました。また、健康経営の推進をグループ全体に浸透すべく、2024年3月に「トクヤマグループ健康経営基本方針」を制定し、グループ会社への周知を図っています。
■その他の取り組み
a)ワークライフバランス支援
当社グループでは、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方の実現を目指しています。例えば、当社ではフレックスタイム勤務や在宅勤務を導入しています。仕事と育児の両立支援制度では、短時間勤務、フレックスタイムの弾力運用、有給育児休暇、育児休業など、法定を超えた制度や当社独自の制度を整備しています。介護休業についても法定を超えた日数の取得が可能な制度となっています。また、育児・介護等によりやむなく退職した社員の復職を受け入れる退職者復職登録制度も整えています。
b)DXの推進
当社グループはDX推進を、事業ポートフォリオの転換という大きな変革の実現に向けたグループ全体で取り組む重要施策と位置づけ、トクヤマDXとして取り組んでいます。DX推進で得られたキャッシュや人材余力などの経営資源は今後、成長事業と定義した3つの領域に投入し、企業価値の向上を図っていきます。
2024年度は、2022年度に策定したDX教育計画に従い、全社員を対象としたリテラシー教育を開始し、2,300名が受講しました。また、役割ごとのスキル向上研修を段階的に進めていきます。
なお、DX推進の詳細については、2024年12月3日に当社ウェブサイトに掲載しておりますDXレポート2024をご参照ください。
c)幹部人材の育成
人材育成という視点においては、2018年より各部門から将来の経営層候補として選抜した人材を対象としたネクストビジネスリーダー研修(NBL研修)を実施しており、2024年度終了時点ではキャリア採用者や女性を含む多様な約70名の人材が研修修了者として位置づけられています。研修の内容としては外向きでポートフォリオ転換へ向けた実戦的な内容になる事を意識しながら、外部リソースを積極的に活用し、人的資本投資を行っております。これらの人材の一部は2025年から施行される新人事制度においても、意図的に経営層となるための経験を積ませるローテーションの対象となりますが、既に研修受講者の中からは管理職への若手早期昇格が実現しており、今後の更なる活躍が期待されます。