2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,520名(単体) 5,734名(連結)
  • 平均年齢
    41.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.9年(単体)
  • 平均年収
    6,826,985円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

化成品

337

(7)

セメント

633

(21)

電子先端材料

1,090

(45)

ライフサイエンス

1,110

(217)

環境事業

144

(14)

報告セグメント計

3,314

(304)

その他

1,089

(151)

全社(共通)

1,331

(-)

合計

5,734

(455)

 

(注)1 従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数(パートタイマーを含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。

 

(2)提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

2,520

41.28

16.92

6,826,985

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

化成品

271

(-)

セメント

251

(-)

電子先端材料

487

(-)

ライフサイエンス

169

(2)

環境事業

11

(-)

報告セグメント計

1,189

(2)

全社(共通)

1,331

(-)

合計

2,520

(2)

 

(注)1 従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時

     従業員数(パートタイマーを含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しておりま

     す。

2 平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。

 

 

(3)労働組合の状況

当社の労働組合はトクヤマ労働組合と称し、日本化学エネルギー産業労働組合連合会(JEC連合)に加盟し、会社と円満な労使関係を持続しております。

なお、2024年3月31日現在の組合員数は1,862人です。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率等及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)3

全従業員

正規従業員

有期雇用従業員

2.7

51.3

69.3

70.2

49.8

 

 (注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。

3 以下の前提に基づき男性の賃金に対する女性の賃金の割合を算出しております。

   対象期間:2023年度(2023年4月~2024年3月)

   賃金:賞与及び基準外賃金を含んでおります

   有期雇用従業員:パート社員及び有期契約社員を含み、派遣社員を除いております。

4 労働者の男女の賃金の差異について、賃金体系及び制度上に、男女間の差異はありません。管理職比率等の人材ポートフォリオ及び、交替手当や家族手当等、一部手当の支給実績において男女間の偏りがあり、それに伴う賃金差が生じております。

5 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異は、当社から社外への出向者を含み、社外から当社への出向者を除いて集計しております。

 

 ② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)2

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)3

全従業員

正規従業員

有期雇用従業員

㈱エイアンドティー

45.7

53.6

45.7

トクヤマ海陸運送㈱

10.8

63.9

68.8

42.6

周南システム産業㈱

63.6

77.7

63.9

㈱トクヤマデンタル

38.8

86.5

28.7

 

 (注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号) の規定による公表を行っていない連結子会社および、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではない連結子会社については、記載を省略しています。

2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。

3 以下の前提に基づき男性の賃金に対する女性の賃金の割合を算出しております。

   対象期間:2023年度(2023年4月~2024年3月

   賃金:賞与及び基準外賃金を含んでおります

   有期雇用従業員:パート社員及び有期契約社員を含み、派遣社員を除いております

4 労働者の男女の賃金の差異について、賃金体系及び制度上に、男女間の差異はありません。管理職比率や年代別人員構成割合等の人材ポートフォリオ及び、交替手当や家族手当等、一部手当の支給実績において男女間の偏りがあり、それに伴う賃金差が生じております。

5 管理職に占める女性労働者の割合、労働者の男女の賃金の差異は、社外への出向者を含み、社外からの出向者を除いて集計しております。

 

 

 ③ 提出会社及び連結子会社

当事業年度

 

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

全従業員

正規従業員

有期雇用従業員

提出会社及び連結

子会社

8.2

提出会社及び国内

連結子会社

5.6

47.3

55.3

68.6

35.1

 

 (注)1 「-」は海外連結子会社の男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異の集計を実施していないため、記載を省略していることを示しております。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。

3 労働者の男女の賃金の差異について、賃金体系及び制度上に、男女間の差異はありません。管理職比率、年代別男女構成比等の人材ポートフォリオ及び、交替手当や家族手当等、一部手当の支給実績において男女間の偏りがあり、それに伴う賃金差が生じております。

4 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異は、社外への出向者を含み、社外からの出向者を除いて集計しております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に対する記載事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」という存在意義、ありたい姿、価値観から成る「トクヤマのビジョン」のもと、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指す8項目の「トクヤマグループ サステナビリティ基本原則」を2023年4月に制定しています。当ビジョン及び基本原則に則り、当社グループは事業活動に起因する環境負荷を最小化しながら、社会課題の解決に資する製品の供給を通じて、環境と調和した新しい価値を創造していきます。

 


 

 


 

① ガバナンス(サステナビリティ・ガバナンス)

 サステナビリティに関する方針と目標を決定し、活動を円滑に進めるため、社長執行役員が議長となり、全執行役員が委員であり、かつ社外取締役を含む監査等委員も出席可能なCSR推進会議(開催頻度:原則1回/年)が設置されています。本会議では、適切なコーポレート・ガバナンスの推進及びサステナビリティ課題に関するリスクと機会を含む重要事項を議論しています。本会議で決定した内容は取締役会に報告を行い、当社戦略へと反映させると同時に、取締役会からは監督を受けています。

 また、CSR推進会議の中に、CSR担当取締役を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会(開催頻度:原則2回/年)を設置し、本委員会を中心に内部統制の中核かつ両輪と位置付けているリスクマネジメントとコンプライアンスの推進を図っています。併せて、特に専門性・重要性の高い分野については、リスク・コンプライアンス委員会から分離させた専門委員会(委員長:各担当取締役)を設置しています。

 下図はサステナビリティに関する会議体の全体像を示しており、2023年度の開催回数を()内に記しています。

 


② 戦略

 サステナビリティを巡る課題を重要な経営課題であると認識し、中期経営計画2025の重点課題の一つとして「CSR経営の推進」を掲げ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、取り組みを強化しています。

その土台となる姿勢・考え方として掲げた「トクヤマグループ サステナビリティ基本原則」及び「トクヤマグループ行動憲章」に基づき、方針類の体系を下図のように整備し、マテリアリティ(CSRの重要課題)への取り組みを進めています。

2023年度は、当社のコーポレート・ガバナンスに対する思想を明文化し、取締役の役割と責務を明確にするために、「コーポレートガバナンス・ポリシー」を策定し、2024年4月1日に制定しました。これにより、サステナビリティを含む経営課題への取り組みをガバナンス面から促進するとともに、取締役の職務執行の実効性をより高める体制を築いています。


 

③ リスク管理

 当社グループでは、企業価値毀損に繋がる、事業の持続性に影響を及ぼす、組織目標の達成を阻害する事象・要因のうち、組織横断的な対応が必要となるものを企業経営に係るリスクととらえ、確実に対応するためのマネジメントシステムを構築しています。

 下図に、リスクの特定プロセスを示します。CSR担当取締役が委員長となり、各部門を統括する執行役員が委員であり、かつ社外取締役を含む監査等委員も出席可能なリスク・コンプライアンス委員会では、出席者全員の議論のもとトップダウンでのリスク対応の優先順位づけなど、全社的リスクマネジメントを定期的に実施しています。

 


 

 具体的には、社会情勢のモニタリングや各専門委員会との連携を通じ、新たに発現したり影響の度合いが変化したりした事象・要因を抽出します。それらを影響度(損失金額、マーケットシェアの減少、影響規模など)や発生頻度・蓋然性、脆弱性の観点で定量・定性の両面からリスクの度合いを下図のように可視化・マッピングし、リスクとして識別し優先順位づけをするとともに、対応する専門委員会の決定を行っています。

 

 

 


 2023年度のリスク・コンプライアンス委員会では、当社グループの喫緊の重要リスクである「脱炭素社会への対応リスク」に対し、当該リスクに包含される小分類リスクの再定義を行いました。また、世の中の潮流や社会課題から新たに対応すべきリスクの追加を行いました(「重大な環境リスク」に水リスク、生物多様性の追加など)。

 


 

 各担当取締役が委員長となる専門委員会では、管掌するリスクの対応方針(低減、回避、移転、保有)を検討・決定します。決定した方針に基づき、リスクへの施策を立案・実行し定期的なレビューを行うなど、マネジメントシステムに沿った実行管理をしています。

 なお、それぞれのリスクの詳細及び対応については、次項の「3 事業等のリスク」で記載します。

 また、リスクだけでなくサステナビリティに係る機会を的確に捉え、企業価値向上に繋げていくため、8つの専門委員会のひとつであるサステナビリティ委員会では、積極的にサステナビリティ課題に向き合い、取り組み事項についての開示を行っています。2023年度は、人権対応の一環として、全事業活動にかかわる人権への負の影響をリストアップの上、マッピングに落とし込み、優先順位の高い「サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンス」と「救済へのメカニズム構築」に取り組みました。具体的には、取引先に対し、自己評価アンケート(SAQ)や対話による関係構築といったエンゲージメントを実施するとともに、海外グループ会社向けにグローバル内部通報体制を構築しました。併せて、気候変動に係る情報開示では、TCFDレポートの開示内容の拡充と当社グループ全体でのScope3の目標設定に取り組みました(「(2)気候変動への対応」に詳細を記載)。

 


 

④ 指標と目標

当社グループは、各種サステナビリティ課題でもあり、当社グループの成長の土台となるマテリアリティへの取り組みを強化することで、社会との信頼関係をより強固なものとすることを目指しています。

 各マテリアリティには指標(KPI)と目標などが設定され、それぞれの進捗状況については、サステナビリティに関する方針と目標を決定し活動を推進していくCSR推進会議において定期的にモニタリングされ、取り組みの調整・強化などを図っています。

 

[マテリアリティ及び指標]

マテリアリティ

目指す姿

目標・KPI

2023年度の実績

地球温暖化防止

への貢献

2050年度カーボンニュートラル(CN)の達成

・当社グループ全体のGHG排出量削減、いずれも2030年度までに

・Scope1、2

 △30%(2019年度比)

・Scope3(カテゴリー 1、3、4)
 △10%(2022年度比)

・気候関連情報の積極的な開示

・2023年度GHG削減量:
  ・Scope1、2 △13%

  ・Scope3 △5%

・CNに向け地域・自治体・コンビナート内の連携を推進

・バイオマス、アンモニア等代替燃料について検討

・TCFD提言に基づく取り組み状況開示

・GXリーグ基準年度GHG排出量提出

CDP気候変動質問書回答評価:A-

環境保全

・リサイクルの推進と廃棄物ゼロエミッション率の維持継続 

・環境負荷物質の低排出状態の維持

・法的要求事項等の遵守と環境事故ゼロの継続

・生物多様性保全への貢献

・法的要求事項等の遵守の徹底:違反等件数ゼロ

・環境事故ゼロの継続:事故件数ゼロ

・環境負荷の低減

  ・廃棄物有効利用率

   ≧94%

  ・廃棄物ゼロエミッ

   ション率≧99%

・ステークホルダーとの対話と情報開示の充実

・生物多様性保全への貢献:TNFDへの対応

・水資源の有効利用:水使用量削減(海水除く)(2019年度基準以下)

・法的要求事項等の違反等件数ゼロ

・環境事故件数ゼロ

・環境負荷の低減:未達成

  ・廃棄物有効利用率:92%

  ・廃棄物ゼロエミッション

   率:97%

・生物多様性への関心啓発

・水使用量削減率(海水除く)2019年度比 △19%

 

無事故・無災害

・無事故・無災害

・保安管理レベルの向上

・安全文化の醸成・向上

・事故・休業災害ゼロ

・リスクアセスメントの深化

・スマート保安の推進 

・重大な事故・災害の発生ゼロ

・リスクアセスメントによる各種リスクの特定と低減対策の実施

・スマート保安の推進

社会課題解決型

製品・技術の開発

・SDGsを意識した社会課題解決型製品・技術開発の拡充

・事業ポートフォリオの転換

・SDGsを意識した社会課題解決型製品・技術開発の推進

・電子領域:マーケティング機能強化により顧客起点の製品化に向けた取り組みを加速し、一部テーマが事業化フェーズに移行

・健康領域:事業化テーマを絞り込みリソースを集中し開発を加速

・環境領域:複数テーマが事業化フェーズへ移行。新規のカーボンニュートラル関連テーマを推進

・伝統事業領域:環境問題に対応する製品の開発・上市と、プロセス技術の開発

・その他:学術・研究を目的とした助成金の実施

 

 

 

マテリアリティ

目指す姿

目標・KPI

2023年度の実績

化学品管理・製品安全の強化

・当社グループの適正な化学品管理の維持、製品安全の推進

・各国の化学品法令遵守:化学品規制違反ゼロ

・グループを含めた化学製品のリスクマネジメント:製品安全に起因した事故ゼロ

・化学品規制違反ゼロ

・製品審査(2次・3次):計61件、表示審査:計787件

・国内外規制動向の把握と対応

・製品含有化学物質管理の推進

・化学品管理に関わる各部門・グループ会社に教育を行い、管理状況について定期点検・ヒアリングを実施

地域社会との共存、連携、貢献

・地域社会との共存・連携

・地域社会への貢献

・地域社会との共存・連携

・地域の課題解決と持続的発展への貢献

・地域との対話:地域対話、懇談会、工場見学等

・社会貢献活動:ボランティア活動、近隣学校への教育支援、地域貢献のための寄付の実施

・事業による貢献:周南市への電力特定供給

CSR調達の推進

・CSR調達ガイドラインに基づくサプライチェーン管理

・管理プロセスの構築

CSR調達ガイドラインに基づくサプライチェーンの管理・調査の拡充と遂行

・2022年12月改正のCSR調達ガイドラインの周知。取引額3,000万円以上の会社に承諾書を要請。323社中310社回収済

・GCNJが公開しているSAQを用い、取引額1億円以上の会社に対しサプライヤー評価を実施。181社中173社より回収

・SAQの回収結果を分析し、高リスク懸念先5件に対しエンゲージメントを実施 

(上記全て単体)

人材育成

経営戦略の実現に寄与しつつ、従業員の価値向上を実現する

・業務の生産性向上

・成長分野、新規PJへの人材の供与

・会社の成長を推進する人材の採用と創出

・生産性向上を支援するインセンティブ制度の確立 ※1

・人材計画に対する人員補充の充足率:毎年度100%±10%

・管理職重要ポスト後継者候補充足率:毎年度100%

・NBL(Next Business Leader)研修受講者人数:2030年度累計100名 ※1

・グローバル人材育成研修:2025年度まで毎年度15名受講 ※1

・事業遂行を支える高度技術者の育成 ※2

 

※1:単体

※2:単体及び

   国内連結子会社

 

・インセンティブ制度の確立:制度設計の準備 ※1

・人材計画に対する人員補充の充足率:目標設定の実施(2024年度から測定を開始する指標のため、実績値はなし)

・管理職重要ポスト後継者候補充足率:目標設定の実施(2024年度から測定を開始する指標のため、実績値はなし)

・NBL研修の実施:30名を選抜受講(累計67名)※1

・グローバル人材育成研修の実施:16名を選抜受講 ※1

・事業遂行を支える高度技術者の育成 ※2

  ・DX職場リーダー研修、

   デジタルエンジニア研修の

   実施

  ・DXリテラシー向上教育

    (eラーニング)の開始:

   1,400名受講

 

 

 

 

 

マテリアリティ

目指す姿

目標・KPI

2023年度の実績

多様性(ダイバーシティ)と働きがいの重視

・価値観の多様性に対応し公平性を確保する

・エンゲージメントの向上

・人権の尊重

・ダイバーシティ&インクルージョンの推進

  ・学卒以上の女性採用

     比率:毎年度20%

   ※2

  ・管理職以上の女性

   比率:2030年度15%

  ・障がい者雇用の推進

  :法定雇用率達成 ※1

・従業員エンゲージメント:継続改善 ※1

・ワークライフバランスの推進

  ・男性育児休業取得率

  :2030年度100% ※2

  ・年次有給休暇取得率

  :毎年度75% ※2

・人権の尊重の推進

 

※1:単体

※2:単体及び

      国内連結子会社

 

・ダイバーシティ&インクルージョンの推進

  ・学卒以上の女性採用比率:

   30.1% ※2

  ・管理職以上の女性比率:

   8.2%

  ・障がい者雇用率:2.29%

            ※1

・従業員エンゲージメント調査実施:回答率94.7%、優先課題の可視化 ※1

・ワークライフバランスの推進

  ・男性育児休業取得率:

    47.3% ※2

  ・年次有給休暇取得率:

   76.5% ※2

・人権デュー・ディリジェンスの実施等(詳細は前項「人権対応の一覧」参照)

心と体の健康推進

従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりの実践により、従業員がイキイキと働き活躍できる状態

・個人の健康意識の向上

  ・喫煙率:<15%

・有所見率の維持・低減

・定期健康診断受診率:

  100%

・再検査受診率:≧90%

・特定保健指導実施率:

  ≧80%

・休業率の低減:<0.5%

・ストレスチェック

 受検率:≧95%

・健康優良法人認定:ホワイト500認定継続取得

 

(上記全て単体)

・喫煙対策の推進
  ・喫煙率:17.8% 

  ・喫煙可能時間帯の設定

  ・禁煙キャンペーンの実施

・健康指導・健康診断事後処置の

  実施
  ・定期健康診断受診率:100%
  ・再検査受診率:87.4%
  ・特定保健指導実施率:93.0%

・メンタルヘルスケア対応
  ・休業率:0.69%
  ・ストレスチェック受検率:

     97.7%
   ・メンタルヘルス研修、

   eラーニングの実施

・2024年度健康経営銘柄、健康優良法人ホワイト500認定取得

 

       (上記全て単体)

 

 

 

 

(2)気候変動への対応

 当社グループは、TCFD提言に賛同し、TCFDのフレームワークに基づいて気候変動に対する検討を重ねています。

① ガバナンス

 当社グループでは、気候変動を最も大きな経営リスクの一つに位置づけており、中期経営計画2025では「地球温暖化防止への貢献」を重点課題の一つとして掲げています。

 2021年2月にはTCFD提言への賛同を表明し、同年4月には社長直轄組織として「カーボンニュートラル戦略室」を設置、その後2023年4月からは、取り組みが構想段階から実践フェーズへ移行したことに伴い、独立した部門相当となる「カーボンニュートラル戦略本部」に格上げし、その取り組みを加速させています。

a)取締役会の監督

 気候変動に係る事項(気候変動に取り組む会社方針や、それらに対応するための中長期戦略の策定や投資案件の選定など)は随時経営会議での審議を経て決議され、取締役会に報告を行い、取締役会からは監督を受けています。また、その中でも特に重要性が高い案件については経営会議での審議を経て取締役会で決議されます。

b)経営陣の役割

 当社グループの気候変動に対する責任者は社長執行役員です。環境監査の全体統括や省エネ活動等は環境対策委員会で報告され、気候変動に関する組織横断的な課題についてはサステナビリティ委員会で検討しています。これら専門委員会での検討事項はCSR推進会議にて報告・議論され、決定した内容は必要に応じて取締役会に報告を行い、当社戦略へと反映すると同時に取締役会からは監督を受けています。更に、全執行役員や社外取締役を対象とした気候変動に対する勉強会も2023年度は3回実施し、気候変動に係る最新動向や法制度を確認し、速やかに対応していく準備も行っています。

 


② 戦略

 中期経営計画2025には、インターナルカーボンプライシングの導入による炭素コストの見える化による影響、顧客の調達方針の変更による影響、金融・投資会社の方針変更による資金調達への影響といった「リスク」と、環境領域での新たな「事業機会」を織り込んでいます。また、IEA(国際エネルギー機関)作成のNZE等の移行リスクシナリオ、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のRCP8.5やSSP-7.0等の物理リスクシナリオを参照し、現時点から2050年までの時間軸で、1.5℃シナリオと4℃シナリオ分析を実施しました。これに基づき中期経営計画2025では、エネルギー多消費型から価値創造型企業への事業ポートフォリオ転換によって、気候変動のリスクを低減しつつ有望な事業機会の収益化を目指しています。

 

a)短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会 及び c)組織戦略のレジリエンス

 2021年度より気候変動による当社グループのリスクと機会の分析を行っています。2022年度は、それらリスクや機会が当社に及ぼす財務への影響度、発生時期、事業への影響度、優先順位を評価しました。2023年度は、その評価結果を基に具体的な対策の検討を進めました。

 リスク分析とそれに基づく具体的な対策を定期的に見直すことにより、組織戦略のレジリエンスを高めています。

 

[気候変動によるリスク(シナリオ分析)]

シナリオ

リスク区分

リスクの

評価対象

当社グループへの影響(財務)

(特定されたリスク)

財務への影響度

リスク

発生時期

事業への影響度

優先順位

対応策

1.5℃

政策

法規制

カーボンプライシングとエネルギー調達コスト

・カーボンプライシング強化に伴う操業コストの増加

中期~長期

・燃料転換(バイオマス、アンモニア)によるGHG排出量削減の取り組み

・インターナルカーボンプライシング導入によるGHG排出量削減施策の促進

・GXリーグへの参画によるGX実現に資する取り組みの強化

・GHG排出規制強化による対策コストの増加

中期~長期

技術

グリーン化対応

・グリーンエネルギー生産・調達コストの増加

中期

・周南コンビナートにおけるアンモニアサプライチェーンの構築検討

・サプライヤーとの関係構築による認証バイオマス燃料の安定調達

・ブラックペレットの開発

・製品カーボンフットプリント(CFP)の算定

・技術・市場が成熟していないことによるグリーン材料調達・グリーンプロセス切り替えコストの増加

中期~長期

評判

ステークホルダーからの評価

・取り組み劣後との評価による市場価値の下落、資金調達コストの増加

・石炭火力発電設備停止、廃止を求める住民訴訟リスク

・バイオマス燃料のサステナビリティリスク

中期~

長期

 

 

・開示情報の充実とGHG排出量削減の着実な取り組み

・地域社会との対話

・事業ポートフォリオの転換

・認証バイオマス燃料の調達

市場

顧客によるグリーン調達の浸透

・GHG多排出製品と評価されることによる市場からの排除

・グリーン化に係るコストが適切に価格転嫁できないことによる収益悪化

中期~

長期

・省エネ・燃料転換等による着実なGHG排出量削減

・マスバランス認証取得の検討

・適切なグリーン市場形成のためのサプライチェーン連携強化

・CFP評価システム構築

グリーン市場の拡大に追随できないことによる機会損失

・大規模グリーンサプライチェーン化推進による拠点競争力強化への取り組みが遅れることによる機会損失

・廃棄物処理・資源有効利用産業、温暖化対策産業への取り組みの遅れによる機会損失

・カーボンリサイクル分野への進出の遅れによる機会損失

中期~長期

・施策の遅滞ない推進

 

 

 

 

シナリオ

リスク区分

リスクの

評価対象

当社グループへの影響(財務)

(特定されたリスク)

財務への影響度

リスク

発生時期

事業への影響度

優先

順位

対応策

4℃

物理

リスク

(急性)

異常気象の激甚化/海面の上昇

・風水害による生産設備への浸水被害、サプライチェーンの寸断などによる生産計画の遅延やコスト増加

長期

・BCP対応を拡充

物理

リスク

(慢性)

長期的な異常気象の激甚化/海面の上昇

・平均気温上昇によるプラントの冷却能力不足による生産能力減少

・海面上昇に伴う高潮の発生による稼働停止

長期

・設備改造等による能力維持

 

短期:~2025年度  中期:~2030年度  長期:~2050年度

 

[気候変動による機会(シナリオ分析)]

シナ

リオ

機会

区分

機会の

評価対象

当社グループへの影響

影響度

時間的

範囲

優先

順位

対応策

1.5℃

市場

環境産業の

需要拡大

廃棄物処理・資源有効利用産業の拡大、地球温暖化対策産業の拡大

中期~

長期

・再生可能資源・エネルギーの事業化

 

地域・コンビナートのカーボンニュートラル化

エネルギー・マテリアルの大規模グリーンサプライチェーン化推進による拠点競争力の強化

 

中期~

長期

・周南コンビナート脱炭素推進協議会を通じたグリーンサプライチェーンの構築、技術開発の積極参画と推進

資源

効率

CCU関連製品・サービスの要請

カーボンリサイクルシステムの確立による新たな事業分野への進出

中期

・研究開発、実証実験を加速し、実ビジネスへの実装を加速

 

短期:~2025年度  中期:~2030年度  長期:~2050年度

 

 

b)事業、戦略、財務計画に及ぼす影響

気候変動による機会の分析から、環境領域での新たな「事業機会」の検討についても、より内容を具体化すると共に、時間的範囲、財務への影響度、優先順位を評価しました。

 

[気候変動による事業機会の検討]

シナリオ

顕在化する事象

事業機会

製品・技術

時間的

範囲

財務

影響度

優先

順位

1.5℃

低炭素水素の普及

・水電解設備への需要急増

・水素需要・流通の拡大

水電解装置

食塩電解装置の拡販

水素キャリア(水素化マグネシウム)

中期~長期

モビリティの電動化の拡大

・リチウム電池の需要拡大

・放熱材料の需要拡大

イオン交換膜

放熱材料

短期~中期

急速なデジタル化

・半導体需要の拡大

多結晶シリコン

フォトレジスト用現像液

CMP用乾式シリカ

電子工業用高純度IPA

放熱材料など

短期

循環型社会の形成

・廃材、廃棄物の再資源化

 の需要増

廃石膏ボードリサイクル技術

イオン交換膜

バイオマス燃焼灰の有効活用(CCUS)

カーボンネガティブコンクリートの開発

短期

・太陽光パネル

 大量廃棄への対応

太陽電池モジュール

リサイクル技術

中期

小~中

 

短期:~2025年度  中期:~2030年度  長期:~2050年度

 

③ リスク管理

a)リスクの特定と評価プロセス

 当該項目の説明につきましては、前述の「(1)サステナビリティに関する考え方 ③ リスク管理」をご参照ください。

b)リスクマネジメントのプロセス

 リスク・コンプライアンス委員会では「脱炭素社会への対応リスク」を最も大きなリスクと位置づけ、複数の専門委員会による対応を決定しました。環境に関する法規制は環境対策委員会、製造拠点における高潮などの物理リスクは保安対策委員会、気候変動に対するイニシアチブや外部開示に関するソフトロー対応はサステナビリティ委員会が受け持ち、連携して対応を進めています。

 サステナビリティ委員会では、積極的にサステナビリティ課題に向き合い、取り組み事項についての開示を行っています。気候変動に係る情報開示では、TCFDレポートの開示内容の拡充と当社グループ全体でのScope3の目標設定に取り組みました。

 気候変動に関連する個別の活動については、例えば徳山製造所においては製造所長を委員長とするエネルギー管理委員会を定期的に開催し、原単位改善を含む省エネルギー活動の計画を協議し進捗を確認しています。さらに、経営に関連する重要案件については、必要に応じ経営会議や取締役会に報告されます。

c)全社リスクへの統合(重要リスクの特定プロセス)

 当社グループの中期経営計画2025では、社会の潮流が脱炭素へと加速する中、これまで強みとしてきたエネルギー多消費型事業を中心とした事業構造からの脱却が不可欠であると判断しました。

 当社は徳山製造所のインテグレートされた高効率な生産プロセスが競争力の源泉であり、石炭火力発電所に依存したエネルギー多消費型事業が収益を牽引してまいりました。しかし産業構造の変化が加速し、循環型社会実現に向けての環境意識の向上や規制強化が進むことが想定され、これまでの延長線上にない事業の構築・成長によって収益力・競争力を確保していくことが必須であると考えています。

 そのため、中期経営計画2025では、私たちの存在意義を「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」と定義し、重点課題の一つとして「地球温暖化防止への貢献」を挙げ、全社的な取り組みを進めています。

 サステナビリティ上の機会とリスクについては、前述のとおりCSR推進会議を頂点とする体制で取り組みますが、投資判断など経営に関連する重要な意思決定を伴うものについては、必要に応じ経営会議や取締役会に報告されます。

 

④ 指標と目標

 当社グループは、短期を2025年度(中期経営計画2025の設定年度)、中期を2030年度、長期を2050年度ととらえ、指標と目標を定めて管理しています。

a)気候関連の指標

当社グループはこれまで、GHG排出量及び原単位、エネルギー消費原単位を管理してきましたが、中期経営計画2025ではGHG排出量(Scope1、2)を単体及び連結生産子会社において測定・管理指標に定め、下図のとおり2030年度には2019年度比で30%の削減、2050年度にはカーボンニュートラルを達成することを目標に定めました。

また、全執行役員の役員報酬算定時に、当社が定めたマテリアリティのうち関連するものを指標として組み込み、貢献度による評価を行っています。これにより、具体的な役割や責任などを一定の要素として勘案しています。

 


 

 当社グループは、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルに挑戦するため、新たにScope3についても、排出量削減目標を設定しました。

 当社グループのScope3は、カテゴリー1、3、4が全体の90%以上を占めるので、この三つのカテゴリーの総量に対し、2030年度までに10%削減(2022年度比)を目指します。目標達成に向けて、サプライチェーンエンゲージメント活動の強化を図ります。

 

 


 その他、気候変動に関連する重要な目標は下記のとおりです。

SBT(Science Based Target)認証を目指し検討を開始

 2023年3月に認定機関へコミットメントレターを提出、2年後の次期中期経営計画の策定では、SBTに沿った目標に更新すべく、検討を開始しました。

・エネルギーに関する目標

 当社グループは、2030年度に燃料起源GHG排出量のうち、自家発電由来のGHG排出量を2019年度比で50%削減する努力目標を設定しており、自家発電における非化石燃料(バイオマス、アンモニア)への転換を行う計画にしています。バイオマスは2023年度から段階的に混焼率を上げていき、アンモニアは2028年度以降に導入する予定にしており、現在導入に向けての検討を実施しています(資源エネルギー庁『令和5年度石油供給構造高度化事業費補助金(次世代燃料安定供給のためのトランジション促進事業)』)。

 この取り組みにより、2030年度における再生可能エネルギー(アンモニア燃焼含)の比率は30%を目指しています。

 2023年度におけるグループ全体での再生可能エネルギーの比率は3.3%でした。

 


 

・GXリーグ

 当社は、2022年度より経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」への賛同を表明し、2023年度より本格稼働した「GXリーグ」に参画しました。GXリーグ参画にあたっては、GXリーグの定める基準に沿ってGHG排出量削減目標を定めることになっており、当社がGHGプロトコルに準拠して設けたGHG排出量削減目標とは別に、単体及び国内連結生産子会社のScope1、2について目標を定めました。

 


 

 GXリーグのデータは、GHGプロトコルに準拠して設定したものとは基準年度や排出量の計算方法が異なりますが、元となるデータは共通のものであり、削減目標も整合を取っています。

・インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入に関する指標(取り組み)

 当社は、GHG排出量削減策を促進するため、2019年度に投資案件の評価基準にICPを導入しました。当初は欧州連合域内排出量取引制度(EU-ETS)取引価格を参考にして、3,700/t-COに設定していましたが、GHG排出量削減の更なる取組強化のため、2022年度より10,000/t-COに引き上げました。これにより短中期的に脱炭素に向けた活動を推進していきます。

 

b)Scope1、2、3のGHG排出量

 下表は、GHG排出量(Scope1、2、3)の推移を表したものです。2023年度は、バイオマス混焼や積極的な省エネ活動により、GHG排出量(Scope1、2)は基準年度2019年度比で13%削減できました。

 


 

下表は、カテゴリー別の内訳を示したものです。

GHG排出量(Scope3)は基準年度2022年度比で5%削減できました。

 


 

 下表はGHG排出量(GXリーグ)の推移を示したものです。2023年度は、基準年度2021年度比で11%削減できました。

 


 

c)目標及びその目標に対するパフォーマンス

当社グループは、燃料起源GHG排出量削減を目指すとともに、原料起源GHG排出量や革新的技術開発等によりカーボンニュートラルを目指しています。下図は、2030年度、2050年度に向けた削減の内訳と多方面に渡るアプローチを表しています。

GHG排出量削減を着実に進めることが企業としての責任である一方で、製品が世の中で使われることによるGHG排出量削減も重要な役割であると認識しています。今後、更なる革新的技術開発を行っていくことで、世界のカーボンニュートラル達成に貢献していきます。

 


 

(3)人的資本の拡充

 当社グループは、人材を企業の持続的成長に不可欠な最重要の「経営資本」と捉えています。その視点から、2019年にトクヤマグループのビジョンを実現する人材に期待するあるべき姿や成長の方向性を「人事ポリシー」として具体的に定め、ビジョンで掲げた4つの価値観を体現する人材を育成し、多様で生産性が高い人的資本を形成する事を目指しています。

 

① ガバナンス

 当社では人的資本・人事に関する会議体を定期的に開催し、人的資本における重要な施策や戦略の実行、人材計画や人材の配置について決定しております。また、従業員に関する人事施策や人事異動の実施に関しては、予め労使間での協議を行った上で、十分な従業員の理解を得ながら進めています。 

 監督機能である取締役会においては、重要な人的資本に関する施策や戦略に関して経営視点での議論に参加し方向付けを行うとともに、策定された戦略を決議し、その進捗を定期的にモニタリングし、課題を継続的に議論することで当社グループの人的資本経営が適正に行われていることを監督しています。 

 なお、役員の人事及び報酬に関しては、委員の過半数を社外取締役で構成する指名・報酬委員会において、後継者計画の策定および役員候補者の選出・評価、役員報酬制度、基本報酬・賞与の個別支給額などを審議し、取締役会に適切な答申又は提言を行っています。

 

  [人事に関する報告・決定プロセス・モニタリングの仕組み]

会議体名称

構成員

内容

取締役会

取締役(社外取締役を含む)

役員の人事異動の決定

重要事項の決定

経営会議

執行役員

管理職の人事異動の決定

人事制度の制定、改廃の決定

指名・報酬委員会

代表取締役

社外取締役

役員の人事異動・報酬等を協議

人材定例部会

社長・人事担当執行役員・執行役員のうち社長が指名した者

管理職の異動・配置、処遇、グループ会社の社長および取締役の人事・報酬等の協議

人材評価部会

人事担当執行役員及び専務・常務・執行役員のうち人事担当執行役員が指名した者

管理職の評価の決定、登用・昇格の協議

健康経営推進委員会

人事担当執行役員・事業所等の総括安全衛生管理者・人事グループリーダー・労働組合執行委員長・健康保険組合事務長

健康経営方針の計画・目標を制定

労使協議会

会社:人事担当執行役員をはじめとする代表者(非組合員)

労働組合:執行委員長をはじめとする組合員の代表者

(各13名以内及び幹事各1名)

労働協約及び規程の制定、改廃の協議決定

組合員の人事異動の協議決定

 

 

② 戦略

■人材戦略の位置付け 

 当社グループでは中期経営計画2025に定める経営戦略を実現するために、2024年度から実行すべき人材戦略を新たに策定しました。これは重要な経営課題である事業ポートフォリオ転換等を見据えた上で、経営計画を実現するために必要な人的資本と現状とのギャップを経営戦略、労働市場、ESG投資の3つの視点から特定し、それを埋める活動の軸となる考え方を人事ポリシーの理念を踏まえつつ戦略として策定したものです。「経営戦略の実現に寄与しつつ、従業員の価値向上を実現する人材戦略」というメッセージを掲げ、経営戦略の実現や当社グループの企業価値向上につながるストーリーを具体的に示し、働き方のニーズに応じた多様で生産性が高い人的資本を形成することを目的としています。

 


 

■人材戦略の取り組み

 a)経営戦略の視点

中期経営計画2025の実現を図り、またその延長線上にある当社グループの経営環境を推定すると、電子・健康・環境の成長事業においてグローバルに活躍できる人材や、厳しい環境における事業やプロジェクトを運営できる人材、M&Aのマネジメントをできる人材が今後更に必要となります。現有の人的資本と将来想定される必要人材とのギャップを埋めるために、多角的な採用ルートと人材の育成を行う「会社の成長を推進する人材の採用と創出」に取り組んでいます。また2023年度に取締役会で決議した人材計画において、将来の事業計画に対する人材の質と量に関する人材ポートフォリオをシミュレートした結果、成長事業において化学系の技術者及び、グループ企業における人材不足が起こる可能性が具体的に特定されたため、「グループを横断した人事体制の構築」と「成長分野、新規PJへの人材の供与」にも合わせて取り組みを開始しています。

また、既存の事業においては競争環境が激しくなることが想定され、「業務の生産性向上」が喫緊の課題です。人事制度においても生産性向上のモチベーションを後押しする施策を導入して参ります。

 b)労働市場/ESG投資の視点

一方、このような経営戦略の視点から見た人的資本に関する課題を解決し、サステナブルな企業成長に繋げていくためには、労働市場のニーズに合った人材体制を整えることも必要です。少子高齢化により労働力が減少した日本の労働市場から優秀な人材を確保し、当社グループの中で成長・活躍するための基盤整備は従業員エンゲージメント向上と多様性確保への取り組みであると捉えており、これらの課題に積極的に取り組むことで、投資市場からも昨今において注目度が高い企業成長を支える優秀な人的資本の安定的な確保を実現します。

2023年度に実施したエンゲージメント調査では全従業員の94.7%が設問に回答し、回答結果からエンゲージメントに関わる課題を明らかにしました。今後は、その結果を踏まえて「エンゲージメント向上」への対策を継続的に進めて参ります。また、当社グループのマテリアリティにも掲げている多様性への取り組みも、昨今の労働市場の強いニーズの一つである事は充分に認識しているところであり、「価値観の多様性に対応し公平性を確保する」取り組みを実施しています。

 c)インフラ/効果測定

最近ではDXの発展に伴い人事関連業務においても、タレントマネジメントシステムなどを利用したデータ活用が盛んになっています。当社においては既にタレントマネジメントシステムを導入済みですが、2024年度から導入した管理職ジョブ型人事制度とのシナジーを追求し、各管理職ポストに必要なスキルや経験を見える化し、個々人が保有するスキルとマッチングさせることで、経営戦略実現に重要な管理職ポストに対する戦略的な人材配置と、適正な後継者計画を策定していきます。このような「人事関連データの見える化と活用」により科学的で戦略的な人材配置を実現するとともに、各戦略がしっかりと進捗していることを示す「KPI設定」を行う事で着実に人的資本経営を展開します。

 

■8つの戦略軸

当社グループの人材戦略においては、事業ポートフォリオ転換を可能にする高いパフォーマンスを発揮できる人材を採用、育成するとともに、一方で成長事業を支える伝統事業の労働生産性をしっかりと向上させ、確実にキャッシュを生み出すことを狙っています。また、変化し続ける経営環境や進化するグループ経営に対応するために、多才なタレントが活躍できるような多様性を重んじる制度、風土を形成することや、グループ全体を見渡した人的資本経営の実現を図る事も今回の人材戦略がターゲットとする重要な分野となります。「人材戦略の取り組み」の項で記載したそれぞれの内容は人材戦略において8つの戦略軸として定義されており、この戦略軸に従って各施策を遂行していきます。

 

③ リスク管理

人的資本に関するリスクは、その特定プロセスを「サステナビリティに関する考え方及び取組」内の「(1)サステナビリティに関する考え方 ③ リスク管理」に記載するとともに、「3 事業等のリスク」にも内容を記載していますが、人材戦略を作成する過程においても改めて抽出を行いました。

人的資本に関わるリスクについては、人材戦略を作成する過程において調査を行い、経営戦略を実現するために発生する可能性があるリスクを概念的に抽出しました。また、2023年度に行われた人材計画の策定において、人材ポートフォリオのあるべき姿と現状のギャップを定量的に評価しております。

当社グループにおけるリスクを概括的に記載すると、少子高齢化による労働力人口の減少や人材の流動化が進む中で、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、社員の離職により組織の総合力が低下し、成長事業に必要な人材の投入が進まず事業ポートフォリオ転換が阻害されることが最大のリスクと考えています。

当社グループが認識するリスクについては、人材戦略の中に網羅的に摂取されており取締役会などで関連するKPIと合わせて取り組み状況の進捗を報告することにより適切に管理して参ります。

 

④ 指標及び目標

 当社は人材戦略の戦略軸に応じてKPIを設定し、主要な施策について目標を明確にするとともに、その目標に対する進捗状況を管理しています。

 

[指標・目標・実績]

戦略軸

指標

目標

2023年度の実績

目標年度

業務の生産性向上

生産性向上を支援するインセンティブ支払額(注)1、3

成長分野、新規PJへの人材の供与

人材計画に対する人員補充の充足率

毎年度

100±10%

-(注)4

管理職重要ポスト後継者候補充足率

毎年度

100

-(注)4

会社の成長を推進する人材の採用と創出

NBL研修受講者人数
(注)1、5

2030

累積100

累積67

グローバル人材育成研修(注)1

2025

毎年15名

16

価値観の多様性に対応し公平性を確保する

学卒以上の女性採用比率(注)2

毎年度

20

30.1

管理職以上の女性比率

2030

15

8.2

障がい者雇用の推進
(注)1、6

毎年度

法定雇用率(2.3)達成

2.29

エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメント(注)1

毎年度

継続改善

従業員エンゲージメントの可視化

男性育児休業取得率(注)2

2030

100

47.3

年次有給休暇取得率(注)2

毎年度

75

76.5

健康優良法人認定
(注)1、7

毎年度

ホワイト500継続取得

取得

 

(注)1 単体

(注)2 単体及び国内連結子会社

(注)3 インセンティブ制度を2024年度中に設計予定

(注)4 2024年度から測定を開始する指標のため、実績値を記載しておりません。

(注)5 「NBL研修」:「Next Business Leader研修」

将来の会社の発展を担う経営人材や事業ポートフォリオ転換に必要なハイパフォーマーを育成する研修

制度

(注)6 障がい者の雇用については、法定雇用率の充足を目指し、バリアフリー化など職場環境の整備に努めて

     います。加えて、2021年10月には障がい者雇用施設「ゆうゆうてらす」を開設し、2021年12月には、障

     がい者の自立支援と地域社会への貢献に向けた農業法人「株式会社トクヤマゆうゆうファーム」を設立

     するなど、新しい取り組みも始めています。

(注)7 当社グループは、従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりを目指しています。

     この考えに基づき、当社は2020年10月1日に「健康経営宣言」を表明し、その後2021年度から2023年度

     まで健康経営優良法人ホワイト500に3年連続で認定されているとともに、経済産業省と東京証券取引所

     が共同で選定する「健康経営銘柄」に2年連続で選定されました。また、健康経営の推進をグループ全

     体に浸透すべく、2024年3月に「トクヤマグループ健康経営基本方針」を制定し、グループ会社への周

     知を図っています。

 

 

■その他の取り組み

 a)ワークライフバランス支援

当社グループでは、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方の実現を目指しています。例えば、当社ではフレックスタイム勤務や在宅勤務を導入しています。仕事と育児の両立支援制度では、短時間勤務、フレックスタイムの弾力運用、有給育児休暇、育児休業など、法定を超えた制度や当社独自の制度を整備しています。介護休業についても法定を超えた日数の取得が可能な制度となっています。また、育児・介護等によりやむなく退職した社員の復職を受け入れる退職者復職登録制度も整えています。

 b)DXの推進

当社グループはDX推進を、事業ポートフォリオの転換という大きな変革の実現に向けたグループ全体で取り組む重要施策と位置づけ、トクヤマDXとして取り組んでいます。DX推進で得られたキャッシュや人材余力などの経営資源は今後、成長事業と定義した3つの領域に投入し、企業価値の向上を図っていきます。

2023年度は、2022年度に策定したDX教育計画に従い、全社員を対象としたリテラシー教育を開始し、1,400名が受講しました。また、役割ごとのスキル向上研修を段階的に進めていきます。