人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数2,652名(単体) 6,390名(連結)
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平均年齢41.5歳(単体)
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平均勤続年数16.8年(単体)
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平均年収7,940,277円(単体)
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平均年収の
対前年増減率8.5%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
(1)【人材戦略に関する基本方針等】
当社グループでは、中期経営計画の実現および企業価値の向上に向け、経営戦略と一体となった人材戦略を推進しています。人材戦略に関する基本方針として、人的資本を企業の持続的成長を支える重要な経営基盤と位置づけ、人材の能力・意欲の向上に加え、仕事の進め方や業務構造の変革を通じて価値創出を図ることを基本的な考え方としています。本項では、こうした考え方に基づく人材戦略の全体像および具体的な取組について説明します。
■基本コンセプトおよびそれを実現するための戦略
当社グループの人的資本戦略の全体像は、以下のとおりです。
本図に示すとおり、経営戦略の実現に向けて、当社グループの人的資本に関する課題は、従来から続く安定的な事業成長を前提とした、内向きで同質性が高い人的資本にあると考えています。この課題を解決し、経営戦略を実現するためには、「Pay for job」、「事業競争力強化」、「クリエイティブ人材育成」、「継続的な人材確保」を基本コンセプトに掲げ、それを実現する5つの戦略を設定しています。
具体的には、中期経営計画2030の実現を図り、またその延長線上にある当社グループの経営環境を推定すると、電子・健康・環境の成長事業においてグローバルに活躍できる人材や、厳しい環境における事業やプロジェクトを運営できる人材、M&Aのマネジメントをできる人材といった「クリエイティブ人材育成」が今後更に必要となります。現有の人的資本と将来想定される必要人材とのギャップを埋めるために、多角的な採用ルートと人材の育成を行う「会社の成長を推進する人材の採用と創出」に取り組んでいます。また事業計画に応じて毎年作成される人材計画において、将来の事業計画に対する人材の質と量に関する人材ポートフォリオをシミュレートした結果、成長事業において化学系の技術者および、グループ企業における人材不足が起こる可能性が具体的に特定されているため、グループを横断した「グループ人事体制の構築」と「成長分野、新規PJへの人材供給」にも合わせて取り組みを開始しております。また、既存の事業においては競争環境が激しくなることが想定され、「業務の生産性向上」が喫緊の課題です。この生産性向上にあたっては、従来の業務の延長ではなく、業務プロセスの見直しやDXの活用等を通じて、仕事の進め方そのものを高度化していくことが重要であると考えています。
こうした取り組みを通じて実現を目指す価値創出のサイクルは、以下のとおりです。
この取り組みにより創出された時間を、創造性や付加価値の高い業務へ再配分することで、人材の育成・活躍と事業競争力の強化を両立させていきます。
上記の価値創出サイクルを実現するためには、先に掲げた5つの戦略を着実に推進することが重要です。これらの戦略を機能させるため、2024年度の「基幹職ジョブ型人事制度」の導入に引き続き、2025年度には組合員層の人事制度改定を行い、その中において具体的な施策を展開しています。施策の内容は個々の従業員の生活コストに寄り添ってきた従来型の賃金制度から、仕事による会社への貢献度を強く意識した評価・賃金制度にシフトする「Pay for job」を念頭に置いた設計となっており、新しく設けられた複線型のコース制度の下、従業員が貢献に応じて正しく評価されることで、公平に熱意高く働けるようにすることを中心としています。
このような施策は「クリエイティブ人材育成」の後押しとなり、また、流動化している労働市場において、「継続的な人材確保」を行っていくために魅力的な施策となっていくことを見込んでいます。当社グループのマテリアリティにも掲げている多様性への取り組みも、昨今の労働市場の強いニーズの一つである事は充分に認識しているところであり、「知恵と経験の多様性確保」を実施しています。
本取り組みにより、人材と仕事の双方の変革を通じた価値創出の好循環を定着させ、企業価値の向上につなげていきます。なお、新たに策定されたマテリアリティにおいても「人的資本の活用」が重要課題として位置づけられており、引き続き重要課題として取り組んでまいります。
また、この循環を支える人事基盤として、評価・処遇制度の整備を進めており、従業員の給与(賞与を含む)その他の給付については、各職務の役割・責任および成果に応じて決定することを基本としています。
■ベースとなる戦略
サステナブルな企業成長に繋げていくためには、労働市場のニーズに合った人材体制を整えることも必要です。少子高齢化により労働力が減少した日本の労働市場から優秀な人材を確保し、当社グループの中で成長・活躍するための基盤整備は、多様性確保への取り組みに加えて、「従業員エンゲージメント向上」であると捉えており、これらの課題に積極的に取り組むことで、投資市場からも昨今において注目度が高い企業成長を支える優秀な人的資本の安定的な確保を実現します。
当社では、2023年度からエンゲージメント調査を開始し、継続的に実施しております。直近の調査では全従業員の91.1%が設問に回答し、回答結果からエンゲージメントに関わる課題を明らかにしました。一般的に日本企業に欠けているとされている仕事への熱意の不足については当社も同様の傾向が見受けられたことから、2024年度より、課題が多い職場を中心に現場主導での改善施策に着手しています。2025年度においても調査および取り組みを継続しており、その結果も踏まえながら、より実効性の高い施策となるよう継続的に状況の把握と改善のサイクルを推進してまいります。
最近ではDXの発展に伴い人事関連業務においても、タレントマネジメントシステムなどを利用したデータ活用が盛んになっています。当社においては既にタレントマネジメントシステムを導入済みですが、2024年度から導入した管理職ジョブ型人事制度とのシナジーを追求し、各管理職ポストに必要なスキルや経験を見える化し、個々人が保有するスキルとマッチングさせることで、経営戦略実現に重要な管理職ポストに対する戦略的な人材配置と、適正な後継者計画を策定しております。このような「人的資本データの見える化と活用」により科学的で戦略的な人材配置を実現するとともに、各戦略がしっかりと進捗していることを示す推進・定着をモニタリングする「KPI設定」を行う事で着実に人的資本経営を展開します。
(2)【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2026年3月31日現在
(注)1 従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む)であり、臨時従業員数(パートタイマーを含み、派遣社員を除く)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。
3 当連結会計期間において、従業員数が608名増加しております。これは主として、ライフサイエンスセグメントにおいて、㈱トクヤマライフサイエンス、㈱MBLマテリアルズおよび㈱医学生物学研究所ほか3社の株式取得による子会社化に伴い、これら各社を連結範囲に含めたことによるものです。
(2)提出会社の状況
2026年3月31日現在
(注)1 従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)であり、臨時従業員数(パートタイマーを含み、派遣社員を除く)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2 平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。
3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。
(3)労働組合の状況
当社の労働組合はトクヤマ労働組合と称し、日本化学エネルギー産業労働組合連合会(JEC連合)に加盟し、会社と円満な労使関係を持続しております。
なお、2026年3月31日現在の組合員数は1,918人です。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率等及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
3 以下の前提に基づき男性の賃金に対する女性の賃金の割合を算出しております。
対象期間:2025年度(2025年4月~2026年3月)
賃金:賞与及び基準外賃金を含んでおります。
有期雇用従業員:パート社員及び有期契約社員を含み、派遣社員を除いております。
4 労働者の男女の賃金の差異について、賃金体系及び制度上に、男女間の差異はありません。管理職比率等の人材ポートフォリオ及び、交替手当や家族手当等、一部手当の支給実績において男女間の偏りがあり、それに伴う賃金差が生じております。
5 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異は、当社から社外への出向者を含み、社外から当社への出向者を除いて集計しております。
(5)使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度の内容
当社は使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度を導入しております。当該役員・従業員株式所有制度の内容について「1 株式等の状況 (8) 役員・従業員株式所有制度の内容」に記載しております。
② 連結子会社
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号) の規定による公表を行っていない連結子会社および、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではない連結子会社については、記載を省略しています。
2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。なお、「-」は、当事業年度において配偶者の出産により育児休業の取得対象となる男性従業員が存在しないため、当該指標を算出しておりません。
4 以下の前提に基づき男性の賃金に対する女性の賃金の割合を算出しております。
対象期間:2025年度(2025年4月~2026年3月)
賃金:賞与及び基準外賃金を含んでおります。
有期雇用従業員:パート社員及び有期契約社員を含み、派遣社員を除いております。
5 労働者の男女の賃金の差異について、賃金体系及び制度上に、男女間の差異はありません。管理職比率や年代別人員構成割合等の人材ポートフォリオ及び、交替手当や家族手当等、一部手当の支給実績において男女間の偏りがあり、それに伴う賃金差が生じております。
6 管理職に占める女性労働者の割合、労働者の男女の賃金の差異は、社外への出向者を含み、社外からの出向者を除いて集計しております。
③ 提出会社及び連結子会社
(注)1 「-」は海外連結子会社の男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異の集計を実施していないため、記載を省略していることを示しております。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
3 労働者の男女の賃金の差異について、賃金体系及び制度上に、男女間の差異はありません。管理職比率、年代別男女構成比等の人材ポートフォリオ及び、交替手当や家族手当等、一部手当の支給実績において男女間の偏りがあり、それに伴う賃金差が生じております。
4 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異は、社外への出向者を含み、社外からの出向者を除いて集計しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に対する記載事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。
(1)サステナビリティに関する考え方
① ガバナンス(サステナビリティ・ガバナンス)
■ベースとなる考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに対する思想を明文化し、取締役の役割と責務を明確にするために制定した「コーポレートガバナンス・ポリシー」において、サステナビリティに対する取り組みの基本となる姿勢・考え方である「サステナビリティ基本原則」を示しています。当社グループは、「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」を「存在意義(Mission)」とし、4項目の「Vision」と4つの「Values」から成る理念体系を構築しています。当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上には、この中に示す「Vision(ありたい姿)」の実現が必要であると認識し、8項目の「サステナビリティ基本原則」を2023年4月に制定しました。この「存在意義」および「サステナビリティ基本原則」にのっとり、当社グループは事業活動に起因する環境負荷を最小化しながら、社会課題の解決に資する製品の供給を通じて、環境と調和した新しい価値を創造していきます。「トクヤマの理念体系」および「サステナビリティ基本原則」を、下図に示します。
■サステナビリティに係る方針類
サステナビリティを含む経営課題への取り組みをガバナンス面から促進するため、コーポレートガバナンス・ポリシー、トクヤマの存在意義、サステナビリティ基本原則、行動憲章と、さまざまなサステナビリティ課題に対する当社の考え方を示す各種方針を体系化しています。その体系図を下に示します。
■サステナビリティに係る取締役会の監督
コーポレートガバナンス・ポリシーに示す通り、取締役会は法定事項および業務執行に関する重要事項の審議・決定を行うとともに、業務の執行を委任する取締役および執行役員の業務執行の状況について監督を行います。同「第4章 2 サステナビリティを巡る課題、サステナビリティ基本原則」にあるとおり、サステナビリティに係る課題への対応は、リスクの減少のみならず機会にもつながる経営上の重要事項であるとの認識から、取締役会は中長期的な企業価値向上の観点でこれらの課題に積極的・能動的に取り組みます。この責務を確実に果たすため、取締役のスキルマトリックスに「サステナビリティ」を挙げ、適切な人材を選定しています。サステナビリティに関する重要な方針や計画は決済規則により取締役会の決議あるいは報告事項となっており、確実な指導・監督が行われています。2025年度は、サステナビリティ(環境・社会・ガバナンス)に関して44の議題が取締役会に挙げられており、決議あるいは報告が実施されています(下表参照)。
〔2025年度取締役会におけるサステナビリティ関連議題の決議・報告(一部抜粋)〕
■サステナビリティに係る執行側の体制
一方執行側においては、サステナビリティにかかる課題への取り組みをさらに推進するとともに、内部統制を有効かつ効率的に実行するため、社長執行役員を議長、全執行役員を委員とし、かつ社外取締役を含む監査等委員も出席可能な「サステナビリティ会議」を2025年4月から設置しています。サステナビリティ会議には、年に1回の定期会議と、必要に応じて経営会議(月2回開催)の一部として開催する適時開催の会議があります。定期会議では、年次の報告と次年度の計画、リスクの見直しなどを実施します。これに加え、必要に応じて適時に会議を開催することにより、経営戦略と不可分である個々のサステナビリティ課題に対し、遅滞なく審議・決議できる体制としました。2025年度は、定期開催の1回と適時開催の3回で計4回のサステナビリティ会議を開催しました。
サステナビリティ会議では、サステナビリティに関する全社的な課題の認識・計画の策定と実績の確認、および内部統制上の重要事項、そしてサステナビリティに関する重要な開示事項について審議・決定します。さらに、全社的なリスクと機会についても、ここで検討します。全社的なリスク管理について、詳細は③リスク管理に記載します。
サステナビリティ会議と専門委員会による決議は、決裁規則に従って実施されます。サステナビリティ会議の内容は、監督を受けるため取締役会に報告されています。また、監査室はサステナビリティに関するマネジメントを評価するため、各専門委員会に対し定期的な監査を行っています。この監査結果についても、社長および取締役会へ報告されます。
② 戦略
■重要課題の特定
サステナビリティを巡る課題は重要な経営課題であるとの認識から、中期経営計画2025では「CSR経営の推進」を重点課題の一つとして掲げ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上にむけて取り組みを強化しました。この方針のもと、トクヤマとして取り組むべきサステナビリティ課題として「マテリアリティ(CSRの重要課題)」を抽出し、2025年度までの活動を行いました。具体的には「地球温暖化防止への貢献」「環境保全」「無事故・無災害」「社会課題解決型製品・技術の開発」「化学品管理・製品安全の強化」「地域社会との共存、連携、貢献」「CSR調達の推進」「人材育成」「多様性(ダイバーシティ)と働きがいの重視」「心と体の健康推進」の10項目で、それぞれへの取り組みを進めています。マテリアリティ特定の理由や事業への影響、目指す姿などの詳細は、「④ 指標及び目標」に示しています。
■サステナビリティに係るリスクと機会
これらサステナビリティ課題を含み、さらに全社的な事業活動を行う際に発生しうるリスクについて、「③リスク管理」に示すプロセスにより検討し、特に影響が大きいと考えられるものを「重要リスク」として抽出しました。重要リスク一覧は「③リスク管理」に、各リスクへの取り組みについては「3 事業等のリスク」に、それぞれ示します。
また、リスクだけでなくサステナビリティに係る機会を的確に捉え、企業価値向上に繋げていくため、2025年度もひきつづきサステナビリティ課題に対し積極的に取り組むとともに、開示を進めました。気候変動については、経営上特に大きな課題として捉えています。内容の概略を「(2)気候変動への対応」に示します。そして化学素材産業は自然資本への依存が高いことから、特にリスクを中心に自然資本との関係についても重視しています。まず自然環境からのインパクトですが、水などの自然資源について調査する限り、高リスクと判定されるものはありませんでした。そして事業活動の自然へのインパクトを確認したところ、これまでの環境対策などの成果もあり、GHGを除く有害物質や廃棄物の排出を通じた重大なインパクトは確認できませんでした。これらの詳細は、TNFDレポートとして開示しています。さらに人権についても、サステナビリティ上の重要な課題として認識し、コンプライアンス委員会下にタスクフォースを設置して対応しています。詳細は(4)人権への対応に示します。
■中期経営計画2030における重要課題
新たに開示した中期経営計画2030では、これまでのCSRの重要課題をベースとしたマテリアリティを、会社全体の重要課題をベースとしたものにアップデートしています。
「トクヤマの理念体系」における「Mission」の実現には、「Vision」の達成が必要であるという姿勢は不変ですが、この取り組みを中期経営計画2030を機に改めて整理し、「マテリアリティ」という形で明示しました。新しいマテリアリティには、これまでのCSRの重要課題に加え、トクヤマが中長期的に成長していくために必要な経営的指標も含まれる形となっています。ここには、トクヤマがサステナブルに存在するために必要な取り組みを網羅的に示しています。
現在、中期経営計画2030期間中に達成すべきマテリアリティの目指す姿やKPIについて検討しています。
③ リスク管理
■リスク管理体制
当社グループでは、期待される組織目標の達成や事業の持続性に影響を及ぼし、企業経営において企業価値の毀損あるいは向上に繋がるような事象・要因のうち、組織横断的な対応が必要となるものを「重要リスク」ととらえ、確実に対応するためのマネジメントシステムを構築しています。
サステナビリティ会議傘下には、サステナビリティならびに内部統制の観点から、特に専門性および重要性の高い分野(コンプライアンス、財務報告、独占禁止法・競争法遵守、安全保障貿易管理、サイバーおよび情報セキュリティ、保安・環境対策、製品安全・品質)について専門委員会を設置しています。それぞれの専門委員会は、担当する取締役が委員長となります。
■リスクの見直しと対応
重要リスクは、サステナビリティ会議において毎年定期的な見直しを実施しています。社会情勢のモニタリングや各専門委員会との連携を通じ、新たに発現したり影響の度合いが変化したりした事象・要因・リスクがあれば、発生頻度・蓋然性と損害・影響規模の観点からリスクとしての識別・分析を行い、分類して対応する専門委員会を決定します(下図)。2026年3月のサステナビリティ会議で決定した重要リスクの一覧と、それらを損害・影響規模と発生頻度・蓋然性の観点からマッピングした図を次ページに示します。専門委員会では、それぞれ管掌する重要リスクについて対応方針(低減、回避、移転、保有)を検討・決定します。そして決定した方針に基づき、リスクへの施策を立案・実行して定期的なレビューを行うなど、マネジメントシステムに沿った実行管理をしています。なお、それぞれのリスクの詳細および対応については、「3 事業等のリスク」 に記載します。
④ 指標及び目標
当社グループは、マテリアリティへの取り組みを強化することで、社会との信頼関係をより強固なものとすることを目指しています。
各マテリアリティには指標(KPI)と目標などを設定し、それぞれの進捗状況については、サステナビリティに関する方針と目標を決定し活動を推進していくCSR推進会議において定期的にモニタリングされ、取り組みの調整・強化などを図りました。2025年度以降は、サステナビリティ会議においてマテリアリティの確認を行っています。
次表に、2025年度におけるマテリアリティの実績を示します。
[マテリアリティおよび指標]
2026年度以降の指標・目標については、現在検討中です。
(2)気候変動への対応
当社グループは、TCFD提言に賛同し、気候変動への対応および開示を進めています。
① ガバナンス
当社グループでは、気候変動を最も大きな経営リスクの一つに位置づけています。中期経営計画2025では「地球温暖化防止への貢献」を重要課題の一つとして掲げており、取締役会から移譲を受けた社長執行役員の責任の下、施策を進めてきました。新中期経営計画2030においても同様に、「地球環境問題への責任と挑戦」を重要課題として位置づけ、引き続きカーボンニュートラルの推進に向けた取り組みを鋭意進めてまいります。
a)取締役会の監督
気候変動に関する方針、中長期戦略、重要投資案件については、経営会議での審議を経て決議され、取締役会に報告され監督を受けていますが、特に重要性が高い案件は、経営会議での審議を経て取締役会にて決議されます。これにより、気候関連リスク・機会が経営意思決定に適切に反映される体制を確保しています。
b)経営陣の役割
社長執行役員を責任者とし、「カーボンニュートラル戦略本部」が全社方針の立案・推進を担っています。サステナビリティ会議は年1回開催するとともに、必要に応じて、月2回開催される経営会議において「サステナビリティの部」として実施しており、気候変動を含むサステナビリティに係る組織横断的な取り組みを審議・決定しています。また、その傘下の「環境対策委員会」において、GHG排出量の把握、省エネ施策の実施および気候変動に係る取り組みの監督・支援を行っています。さらに、それぞれの会議・委員会において、当社グループの事業に影響を及ぼす気候変動のリスクと機会の分析および対応を進めるとともに、投資等の施策の実施については、従来どおり経営会議にて審議・検討を行っております。
② 戦略
中期経営計画2025の策定に際し、インターナルカーボンプライシングの導入による炭素コストの増加、顧客の調達方針の変更による影響、金融・投資会社の方針変更による資金調達への影響といった「リスク」とともに、特に環境領域での新たな「事業機会」を織り込んできました。新中期経営計画2030においても同様に、これらのリスクおよび機会を適切に把握・分析し、事業戦略へ的確に反映してまいります。また、IEA(国際エネルギー機関)作成のNZE等の移行リスクシナリオ、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のRCP8.5やSSP-7.0等の物理リスクシナリオを参照し、現時点から2050年までの時間軸で、1.5℃シナリオと4℃シナリオの分析を実施しました。エネルギー多消費型から価値創造型企業への事業ポートフォリオ転換によって、気候変動のリスクを低減しつつ、有望な事業機会の収益化を目指します。
a)短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会 および c)組織戦略のレジリエンス
2021年度より気候変動による当社グループのリスクと機会の分析を行っています。2022年度は、それらリスクや機会が当社に及ぼす財務への影響度、発生時期、事業への影響度、優先順位を評価しました。その結果を基に2023年度から具体的な対策の検討を進め、実施しています。
リスク分析とそれに基づく具体的な対策を定期的に見直すことにより、組織戦略のレジリエンスを高めています。
[気候変動によるリスク(シナリオ分析)]
短期:~2026年度 中期:~2035年度 長期:~2050年度
[気候変動による機会(シナリオ分析)]
短期:~2026年度 中期:~2035年度 長期:~2050年度
b)事業、戦略、財務計画に及ぼす影響
気候変動による機会の分析から、環境領域での新たな「事業機会」の検討についても、より内容を具体化すると共に、時間的範囲、財務への影響度、優先順位を評価しました。
[気候変動による事業機会の検討]
短期:~2026年度 中期:~2035年度 長期:~2050年度
③ リスク管理
a)リスクの特定と評価プロセス
当該項目の説明につきましては、前述の「(1)サステナビリティに関する考え方 ③ リスク管理」をご参照ください。
b)リスクマネジメントのプロセス
重要リスクのうち「脱炭素社会への対応リスク」を最も大きなリスクと位置づけ、当該リスク対応を全社横断的に行うため、サステナビリティ会議と環境対策委員会が取り組みを管掌する体制としています。環境対策委員会では、活動状況の報告に加え、管掌するリスクの確認・審議、環境に関する法規制とGHG排出量の把握、ならびに気候変動に係る情報開示としてTCFDレポートの開示内容の拡充に取り組みました。
気候変動に関連する個別の活動としては、例えば当社グループにおける最大のGHG排出源である徳山製造所では、製造所長を委員長とするエネルギー管理委員会を定期的に開催し、原単位改善を含む省エネルギー活動の計画を協議し進捗を確認しています。さらに、経営に関連する重要案件については、必要に応じ経営会議や取締役会に報告されます。
c)全社リスクへの統合(重要リスクの特定プロセス)
当社グループは、社会の潮流が脱炭素へと加速する中、これまで強みとしてきたエネルギー多消費型事業を中心とした事業構造からの脱却が不可欠であると判断しました。
当社は徳山製造所のインテグレートされた高効率な生産プロセスが競争力の源泉であり、石炭火力発電所に依存したエネルギー多消費型事業が収益を牽引してまいりました。しかし産業構造の変化が加速し、循環型社会実現に向けての環境意識の向上や規制強化が進むことが想定され、これまでの延長線上にない事業の構築・成長によって収益力・競争力を確保していくことが必須であると考えています。
そのため、中期経営計画2025では、私たちの存在意義を「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」と定義し、重要課題の一つとして「地球温暖化防止への貢献」を挙げ、全社的な取り組みを進めてきました。新中期経営計画2030においても同様に、「地球環境問題への責任と挑戦」を重要課題とし、気候変動対応を最重要課題の一つとして推進しています。取締役会の監督の下、リスクと機会を特定・評価し、その結果を中長期の経営戦略および事業ポートフォリオに反映しています。
サステナビリティ上の機会とリスクについては、前述のとおりサステナビリティ会議を頂点とする体制で取り組みますが、投資判断など経営に関連する重要な意思決定を伴うものについては、必要に応じ経営会議や取締役会において議論・承認されます。
④ 指標と目標
当社グループは、短期を2025年度(中期経営計画2025の設定年度)、中期を2030年度、長期を2050年度ととらえ、指標と目標を設定し、進捗管理を行ってきました。このたび、新たな中期経営計画の策定にあたり、事業環境の変化や中長期的な脱炭素戦略との整合を踏まえ、中期の区切りを2035年度とし、新たに目標を設定しました。
a)気候関連の指標
当社グループはこれまで、中期経営計画2025においてGHG排出量(Scope 1、2)を単体および連結生産子会社における主要な管理指標として測定・管理してきました。これらの指標について、2030年度に2019年度比で30%の削減、2050年度にはカーボンニュートラルを達成することを目標としてきましたが、このたび新たに、2035年度において2019年度比60%削減の目標を設定しました。
また、全執行役員の役員報酬算定時に、当社が特定したマテリアリティのうち、気候変動対応を含む関連項目を評価指標として組み込み、その貢献度に基づく評価を行っています。これにより、戦略目標の達成に向けた役割および責任を明確化しています。
GHG排出量(Scope 1、2) 中長期削減目標
当社グループは、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルの実現を目指し、Scope 3についても、排出量削減目標を設定しています。当社グループのScope 3排出量は、カテゴリー1(購入した製品・サービス)、カテゴリー3(燃料およびエネルギー関連活動)、カテゴリー4(輸送、配送(上流))が全体の90%以上を占めています。これら三つのカテゴリーの排出量総量について、2030年度までに10%削減(2022年度比)を目標としてきましたが、このたび2035年度までに2022年度比30%削減という新たな目標を設定しました。目標達成に向けて、製品設計の見直しや物流の最適化、事業ポートフォリオ転換に加え、サプライチェーンエンゲージメント活動のさらなる強化に取り組んでまいります。
なお、これらの削減目標は、以下の前提に依存しています。
・低炭素エネルギーの調達可能性
・技術革新(CCUS、燃料転換等)の進展
・カーボンプライシング等の政策動向
したがって、これらの前提に変化が生じた場合、目標達成時期または施策内容が変動する可能性があります。
GHG排出量 (Scope 3) 中長期削減目標 (カテゴリー1、3、4)
その他、気候変動に関連する重要な目標は下記のとおりです。
・SBT(Science Based Targets)への対応
当社グループは、SBT認定の取得を視野に入れ、要件改定の動向等にも留意しつつ、認定取得の可能性について引き続き検討を進めています。
・エネルギーに関する目標
当社グループは、2030年度に燃料起源GHG排出量のうち自家発電由来のGHG排出量を2019年度比で50%削減することを努力目標として設定しています。この目標の達成に向け、自家発電における非化石燃料(バイオマス、アンモニア)への転換を検討・推進してきました。再生可能エネルギーおよびアンモニアの使用量合計を30%にすることを目指しています。
バイオマスについては段階的に使用量を増やしていく方針で、これまで使用してきたPKS(パーム椰子殻)に加え、2025年10月からは木質ペレットの混焼を開始しました。一方、アンモニアについては、2030年度までの混焼開始を目指し、2023年度より検討を進めてきましたが、当初想定していた政策支援獲得や市場環境を含む前提条件に変化が生じたこと等を踏まえ、現時点では2030年度までの導入開始は見送る判断としています。なお、アンモニアの燃料利用は、国および地域において引き続き重要な検討テーマと位置付けられており、当社としても、今後の政策動向、技術進展および事業環境等を踏まえつつ、引き続き検討してまいります。なお、このことにより、現時点での2030年度目標は未達の見込みとなっております。
2025年度におけるグループ全体での再生可能エネルギーの比率は4.6%でした。
再生可能エネルギーの実績と目標
(再生可能エネルギー由来として、バイオマス・太陽光発電/アンモニアによる発電分を集計
・インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入に関する指標(取り組み)
当社グループは、GHG排出量削減策の促進を目的として、2019年度より投資案件の評価基準にICPを導入しています。当初は、欧州連合域内排出量取引制度(EU-ETS)の取引価格を参考に、3,700円/t-CO2に設定していましたが、GHG排出量削減への取組強化のため、2022年度より10,000円/t-CO2に引き上げました。これにより短中期的に脱炭素に向けた活動を推進していきます。
b)Scope 1、2、3のGHG排出量
下表は、GHG排出量(Scope 1、2、3)の推移を表したものです。2025年度は、バイオマス混焼や積極的な省エネルギー活動により、GHG排出量(Scope 1、2)は基準年度2019年度比で17%削減しました。また、GHG排出量(Scope 3)は、基準年度2022年度比で6%削減しました。
GHG排出量(Scope 1、2、3)の推移
・GXリーグ
当社は、2022年度に経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」への賛同を表明し、2023年度より本格稼働したGXリーグに参画しています。GXリーグでは、同リーグが定める基準に基づきGHG排出量削減目標の設定が求められていることから、当社は、GHGプロトコルに準拠して設定したGHG排出量削減目標とは別に、単体および国内連結生産子会社のScope 1について目標を定めています。なお、GXリーグで使用するデータは、基準年度や排出量算定方法がGHGプロトコルに基づくものとは一部異なりますが、元となる活動データは共通であり、削減目標についても整合性を確保しています。Scope 1の2023~2025年度3か年合計値は、1,681.3万トンとなり、GXリーグ内で設定した自主目標(1,834.6万トン)を達成しました。
なお、GXリーグは2026年度から新しい枠組みとなり、当社はGXフューチャー・コンソーシアムと排出量取引(GX-ETS)に参画し、それぞれについて活動いたします。
トクヤマグループのGHG排出量(GXリーグ登録数値)
c)目標およびその目標に対するパフォーマンス
当社グループは、燃料起源GHG排出量の削減と共に、原料起源GHG排出量の削減や革新的技術の開発を通じてカーボンニュートラルの実現を目指しています。下図は、2030年度、2035年度および2050年度に向けたGHG排出量削減の内訳と、多様なアプローチを示したものです。
GHG排出量削減を着実に進めることは企業としての重要な責務である一方、当社製品が社会において使用されることによるGHG排出量削減への貢献も、重要な役割であると認識しています。今後も、革新的技術の開発を通じて、世界全体のカーボンニュートラル実現に貢献していきます。
なお、バイオマス混焼の実施ならびに事業ポートフォリオの変化を含む構造的要因により、2030年度のGHG排出量削減目標については達成見込みとなっています。
GHG排出量(Scope 1、2)の中長期削減目標
(3)人的資本の拡充
当社グループは、人材を企業の持続的成長に不可欠な最重要の「経営資本」と位置付けています。その視点から、2019年には、トクヤマグループのビジョンを実現するために人材に期待するあるべき姿や成長の方向性を、普遍的な「人事ポリシー」として明文化しました。この人事ポリシーに基づき、ビジョンに掲げる4つの価値観を体現する人材の育成に取り組むとともに、多様性と高い生産性を兼ね備えた人的資本の形成を目指しています。
① ガバナンス
当社では人的資本・人事に関する会議体を定期的に開催し、多様性と高い生産性を兼ね備えた人的資本の形成に向けた重要な施策や戦略の実行、人材計画や人材の配置について決定しております。また、従業員に関する人事施策や人事異動の実施に関しては、予め労使間で協議を行った上で、十分な従業員の理解を得ながら進めています。
監督機能である取締役会においては重要な人的資本に関する施策や戦略に関して経営視点での議論に参加し方向付けを行うとともに、策定された中期単位の人材戦略を決議しています。また、年度単位で事業計画に応じて策定される人材計画から課題を把握し、戦略の進捗状況と合わせて継続的に議論することで、当社グループの人的資本経営が適正に行われていることを監督しています。
なお、役員の人事および報酬に関しては、委員の過半数を社外取締役で構成する指名・報酬委員会において、後継者計画の策定および役員候補者の選出・評価、役員報酬制度、基本報酬・賞与の個別支給額などを審議し、取締役会に適切な答申又は提言を行っています。
[人事に関する報告・決定プロセス・モニタリングの仕組み]
② 戦略
当社グループにおける人的資本に関する基本的な考え方は以下のとおりです。
当社グループでは中期経営計画に定める経営戦略を実現するために、2024年度から実行すべき人材戦略を策定しました。当社グループが持続的に成長していくためには、石炭火力による自家発電を基軸に発展してきた過去から脱却し、地球温暖化防止への貢献を目指すとともに、電子・健康・環境の成長事業への事業ポートフォリオ転換という過去最大のトランジションを実現する必要があり、活動の軸となる考え方を人事ポリシーの理念を踏まえつつ戦略として策定したものです。経営戦略の実現や当社グループの企業価値向上につながるストーリーを具体的に示し、働き方のニーズに応じた多様で生産性が高い人的資本がエンゲージメント高く活躍することを目的としています。
こうした経営環境および課題認識を踏まえ、当社グループでは、人材戦略に関する基本方針として、人的資本の価値向上は、「人材の能力・意欲」と「仕事の進め方・業務構造」の双方の変革によって実現されると認識しています。
この考え方に基づき、人事制度の改定と並行して、業務プロセスの見直しやDXの活用等により、創造性や付加価値の高い業務に充てる時間を創出し、人材の成長・活躍につなげていく取り組みを推進しています。
なお、当社グループの人材戦略の具体的な内容については、「5 従業員の状況等(1)人材戦略に関する基本情報等」において詳細に記載しています。
③ リスク管理
人的資本に関するリスクは、その特定プロセスを「サステナビリティに関する考え方及び取組」内の「(1)サステナビリティに関する考え方 ③リスク管理」に記載するとともに、「3 事業等のリスク」にも内容を記載していますが、人材戦略を作成する過程においても改めて抽出を行いました。
人的資本に関わるリスクについては、人材戦略を作成、推進する過程において調査を行い、経営戦略を実現するにあたって発生する可能性があるリスクを概念的に抽出しており、事業ポートフォリオ転換を推進するためには現有の人的資本のマインドチェンジが必要であると理解しています。また、定量的には、事業計画に応じて策定される必要な人材の質と量を調査する人材計画の策定において、人材ポートフォリオのあるべき姿と現状のギャップを評価しており、毎年ローリングで更新を行っています。定量面において、当社グループにおける具体的なリスクを概括的に記載すると、少子高齢化による労働力人口の減少や人材の流動化が進む中で、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、社員の離職により組織の総合力が低下し、成長事業に必要な人材の投入が進まず事業ポートフォリオ転換が阻害されることが最大のリスクと考えています。
当社グループが認識するリスクについては、人材戦略の中に網羅的に組み込み、取締役会等において関連するKPIとともに取り組み状況の進捗を報告することで、適切に管理して参ります。
④ 指標および目標
当社グループは人材戦略の戦略軸に応じてKPIを設定し、主要な施策について目標を明確にするとともに、その目標に対する進捗状況を管理しています。
(注)1 単体
(注)2 単体および国内連結子会社
(注)3 インセンティブ制度を2025年度に導入
(注)4 「NBL研修」:「Next Business Leader研修」
将来の会社の発展を担う経営人材や事業ポートフォリオ転換に必要なハイパフォーマーを育成する研修制度
(注)5 障がい者の雇用については、法定雇用率の充足を目指し、バリアフリー化など職場環境の整備に努めています。加えて、2021年10月には障がい者雇用施設「ゆうゆうてらす」を開設し、2021年12月には、障がい者の自立支援と地域社会への貢献に向けた農業法人「株式会社トクヤマゆうゆうファーム」を設立するなど、新しい取り組みも始めています。
(注)6 当社グループは、従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりを目指しています。この考えに基づき、当社は2020年10月1日に「健康経営宣言」を表明し、その後2022年から5年連続で健康経営優良法人ホワイト500に認定されているとともに、過去には経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」に選定されています。また、健康経営の推進をグループ全体に浸透すべく、2024年3月に「トクヤマグループ健康経営基本方針」を制定し、グループ会社への周知を図っています。
■その他の取り組み
a)ワークライフバランス支援
当社グループでは、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方の実現を目指しています。例えば、当社ではフレックスタイム勤務や在宅勤務を導入しています。仕事と育児の両立支援制度では、短時間勤務、フレックスタイムの弾力運用、有給育児休暇、育児休業など、法定を超えた制度や当社独自の制度を整備しています。介護休業についても法定を超えた日数の取得が可能な制度となっています。また、育児・介護等によりやむなく退職した社員の復職を受け入れる退職者復職登録制度も整えています。
これらに加え、2025年9月より、がん治療と仕事の両立を支援するための相談窓口を設置し、個々の状況に応じた柔軟な勤務や休暇取得が可能となるよう支援を行っています。
b)DXの推進
当社グループはDX推進を、事業ポートフォリオの転換という大きな変革の実現に向けたグループ全体で取り組む重要施策と位置づけ、トクヤマDXとして取り組んでいます。DX推進で得られたキャッシュや人材余力などの経営資源は今後、成長事業と定義した3つの領域に投入し、企業価値の向上を図っていきます。
2025年度は、2022年度に策定したDX教育計画に従い、全社員を対象としたリテラシー教育や役割ごとのスキル向上研修を段階的に進め、延べ2,400名が受講しました。
c)幹部人材の育成
人材育成という視点においては、2018年より各部門から将来の経営層候補として選抜した人材を対象としたネクストビジネスリーダー研修(NBL研修)を実施しており、2025年度までにキャリア採用者や女性を含む多様な約90名に対し、育成を進めております。研修の内容としては外向きでポートフォリオ転換へ向けた実戦的な内容になる事を意識しながら、外部リソースを積極的に活用し、人的資本投資を行っております。これらの人材の一部は2025年から施行された新人事制度においても、意図的に経営層となるための経験を積ませるローテーションの対象となりますが、既に研修受講者の中からは管理職への若手早期昇格が実現しており、今後の更なる活躍が期待されます。
(4)人権への対応
① ガバナンス
■人権尊重の姿勢と監督機能
当社グループは「人権尊重」をあらゆる事業活動の基本に据えており、「サステナビリティ基本原則」および「トクヤマグループ行動憲章」のもと、2022年度に「トクヤマグループ人権方針」を取締役会決議により制定しました。この人権方針は人権に関する国内外の規範に基づき、社内関係部署および役員、社外有識者の意見を踏まえて作成しています。
人権の遵守に関する活動は、取締役会の指導と監督のもと、サステナビリティ会議傘下のコンプライアンス委員会において実施しています。特に、サプライチェーンに対するエンゲージメントは組織横断的な対応が必要になるため、コンプライアンス委員会の下部組織として、関係する複数部署からなる「人権デューデリジェンスタスクフォース」を設け、継続的な活動を実施しています。コンプライアンス委員会では、同タスクフォースからの報告を受け監督するとともに、毎年の行動計画の一部に人権に対する内容を織りこみ、推進しています。コンプライアンス委員会の活動は、前述のサステナビリティ会議で報告され、最終的に取締役会の監督を受けています。
② 戦略
■人権リスクの認識と対応
コンプライアンス委員会では、前述の「重要リスク一覧」に挙げられた管掌するリスクのうち、主に「ビジネスと人権(サプライチェーン上の人権侵害)」「労務管理上のリスク(過労死・長時間労働、ハラスメント、人権問題・差別 など)」が人権に関連するリスクであると認識し、そのリスクを低減するあるいは予防する活動を行っています。当社グループのバリューチェーンで発生しうる人権リスクについて、発生の可能性と深刻度で整理した「トクヤマ人権マップ」を図に示します。「サプライチェーン上の人権問題」と「救済へアクセスする権利」の影響度・発生の可能性が高くなっています。「サプライチェーン上の人権問題」では、これまでも「CSR調達ガイドライン」を購入先に示してデュー・ディリジェンスおよび自己評価アンケートなどを用いたエンゲージメントを行っていましたが、2025年はこれを「サステナブル調達ガイドライン」に改正し、物流業者や役務提供者などを含めた活動へと拡大しました。また、「救済へアクセスする権利」への対応として、当グループでは内部通報窓口を充実させています。窓口には匿名で相談できるほか、外部弁護士の窓口を通じて相談することも可能です。2024年からは、海外グループ会社の現地採用社員が母国語で通報できる窓口の運用を開始しています。また、2026年1月からは、取引先やフリーランスといったサプライヤーが、当社グループの関係者や事業に関わるコンプライアンス違反行為に対し通報・相談できる問い合わせ窓口を当社Webサイト上に設置しています。
この他、予防・軽減策の一環として、毎年12月には「人権月間」として当社社長のコミットメントをグループ全社に通知するとともに、eラーニングや社外講師による講話などにより、人権尊重推進やハラスメント防止などの啓発を行っています。
③ リスク管理
■リスクのモニタリングと対応
当社グループにおけるリスク全体の管理は、(1)サステナビリティへの考え方 ③リスク管理に示します。このリスクの1項目として、「ビジネスと人権」を挙げています。
トクヤマのバリューチェーンで発生しうる人権リスクは、前述の通り発生の可能性と深刻度で整理した「トクヤマ人権マップ」を作成して管理しています。このマップは、毎年、コンプライアンス委員会の下部組織である人権デューデリジェンスタスクフォースにおいて、社内外の事業環境変化により新たに発生する人権リスクを洗い出すとともに、着手すべき人権リスクの優先順位の見直しを行い、コンプライアンス委員会で報告するとともにコンセンサスを得ています。2025年12月には、気候変動の深刻化に伴い「気候変動に関する人権問題」の位置を変更したほか、AI技術の進展を鑑み、「AI・テクノロジーに関する人権問題」の位置を変更しました。気候変動に対するトクヤマの対応は、(2)気候変動への対応で詳説しています。また、AI利用に関して情報セキュリティ委員会では2025年11月に「トクヤマグループAIポリシー」を制定し、AI利用時の人権尊重について当社グループの姿勢を明示しています。
④ 指標及び目標
下表に、コンプライアンス委員会で2025年度に計画・実施した人権に関連した施策を示します。
2022年度に制定した人権方針に基づき、人権リスクの評価、予防是正措置の実施、モニタリング、外部への情報開示といった人権デュー・デリジェンスを毎年精度を上げ実施しています。また、当社グループ内に苦情処理・救済メカニズムとして複数の通報・相談窓口を設けています。なお、下表に通報・相談件数の推移を示します。2022年度から実績数が増えていますが、これは2021年度から実施している通報・相談窓口の周知活動によるものと分析しています。なお、2025年度に発生した通報・相談件数のうち、法令違反のような重篤な通報・相談はありませんでした。
〔2025年度 人権対応の一覧(抜粋)〕
〔当社グループ内の全通報・相談窓口の実績推移〕