2024年6月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

以下については、当社グループが事業を運営するにあたりリスク要因となる可能性があるものを記載しております。また、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から、当社グループとしては必ずしも特に重要なリスクと考えていないものも記載しております。

当社グループとしては、これらのリスクをあらかじめ十分に把握したうえで、発生の予防並びに対処に万全を期す所存でありますが、投資判断につきましては本項記載以外のものも含めて慎重に検討していただきたいと思っております。また、これらのリスク項目は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、発生の可能性のあるリスクの全てを網羅するものではありません。

 

(1)業界および顧客の動向に関するリスク

当社グループは、不動産業界に特化した不動産管理システム等の開発・販売を行っており、当社グループ製品・サービスの最終ユーザーは不動産業界に集中している状況にあります。不動産業界の中でも不動産取引業、不動産賃貸・管理業等に応じた製品・サービスを提供しておりますが、不動産業界全般の景気や、不動産業界におけるシステム投資の状況によって、当社グループの財政状態および経営成績は影響を受ける可能性があります。また、今後において、不動産業界に対する規制環境の変化や業界各社の対応に何らかの変化が生じた場合、同様に当社グループの財政状態および経営成績に影響が生じる可能性があります。

 

(2)競合他社や技術革新により当社グループの製品・サービスが陳腐化するリスク

 当社グループが属する業界においては、技術革新のスピードが速く、その急激な変化に対応するために、開発部門では既存製品の改良および研究開発に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の技術革新により新技術および新サービスが普及した場合には、当社グループが提供する製品・サービス等が陳腐化し、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの競合先との競争激化による製品価格の引下げや競合他社製品の性能強化が進んだ場合、同様に当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制について

 現時点において、当社グループ事業そのものを規制する法的規制はないものと認識しておりますが、情報サービス業界の変革は激しいことから、今後新たな法令等の整備が行われる可能性は否定できず、当該内容によっては、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、不動産に関わる分野におけるインターネット上の情報流通や表示項目等が規制の対象になる可能性もあり、その場合には当社グループの事業が制約される可能性があります。

 

(4)製品・サービスにおける不具合・瑕疵等について

 当社グループは、製品・サービスの開発過程において、ソフトウエアにかかる厳格な試験を実施すること等により不具合・瑕疵等の解消および発生防止に努めておりますが、製品・サービスの投入後において重大な不具合・瑕疵等が発見された場合には、その対応のため多大なコストが発生するほか、当社グループ製品・サービスに対する信頼性を著しく毀損する可能性があり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)人材の確保に関するリスク

 当社グループ事業の継続的な発展および急速な技術革新への対応およびサービスの普及には、優秀な人材の確保および育成が不可欠であることから、技術者および営業人員(カスタマーコンサルタント)を中心とした採用および育成に努めており、今後も積極的に強化を図っていく方針であります。今後において人材採用が困難となる場合、または在籍する人材の流出が生じた場合、当社グループ事業の円滑な運営および拡大に支障をきたす可能性があります。加えて、優秀な人材を確保・維持しまたは育成するための費用が増加する可能性もあり、これらに起因して、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6)情報セキュリティに関するリスク

 当社グループでは、事業活動を通じて顧客が保有する取引先情報や個人情報等の機密性の高い情報を取得することがあります。このような機密性の高い情報を適切に管理するため、ISMS(ISO27001)認証を取得し、「情報セキュリティ管理規程」や「個人情報保護基本規程」等の社内規程に基づいた情報管理に関する社内ルールの周知徹底をはかり、従業員に対する情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、外部からの不正アクセス、システムの欠陥や障害、機密情報の取り扱いにおける人的過失、従業員の故意等による情報の漏洩、消失、不正利用等が発生した場合、対応次第では、信用の失墜を招き、更には損害賠償の対象となることも考えられます。そのような場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)システム障害に関するリスク

 当社グループでは、インターネットへの接続環境を有するユーザーを対象に製品・サービス開発を行っており、営業活動・クラウドサービスその他のサービス提供においてもインターネットに依存しております。このため、自然災害、戦争、テロ、事故、その他通信インフラの破壊や故障、コンピューターウイルスやハッカーの犯罪行為等により、当社グループのシステムあるいは外部に委託しているシステムが正常に稼動しない状態、いわゆるシステム障害が発生した場合に、当社グループの事業に極めて重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ製品・サービスの提供等においてインターネット環境に依存する部分は大きく、システム障害が発生した場合に、代替的な営業・サービス提供のルートを完全に確保することは困難な場合もあり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産の管理に関するリスク

 当社グループでは、商標権をはじめとして当社の事業に必要な知的財産権の確保に努めるとともに、具体的な業務の遂行にあたり、第三者の知的財産権その他の権利または利益を侵害しないよう努めており、現状において、かかる知的財産権等に関する紛争はありません。しかしながら、当社グループが予期せず第三者との間で、知的財産権等の帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受ける可能性があり、かかる場合には当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)特定の製品への依存に関するリスク

 当社グループの主力製品は管理ソリューションに含まれる管理業務支援サービス「賃貸革命」であり、現状では、当製品および当製品に附帯するものが当連結会計年度における売上高の過半を占めております。当製品のシェアを高めることは、事業規模拡大において持続的な課題ではありますが、一方で、管理ソリューション以上にマーケットが大きい仲介ソリューション領域での成長を推進することも重要であると考えております。両ソリューション共に成長しつつ、売上高の比率を最適化することが重要であると考えております。

 

(10)中長期経営計画の達成に関するリスク

 当社グループでは、当社グループが掲げる中期ビジョンである「テクノロジーで不動産領域に革新的プラットフォームを創造する」を達成するためには、業者間物件流通サービス「不動産BB」「リアプロ」により顧客基盤(無償ユーザー)を拡大し、構築した基盤に、有償サービスを投下しアップセルしていく戦略を実行しております。しかしながら、想定通りに顧客基盤が拡大しない場合や、構築した基盤に投下する有償サービスの効果が得られない場合には、中期経営計画が達成できない可能性や、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)顧客の信用リスク

 当社グループの事業における売上債権は、比較的小規模な不動産業者等を対象としたものが多数を占めております。当社グループでは、顧客毎に与信管理を実施するほか、債権の滞留および回収状況を定期的に把握し、必要に応じ貸倒引当金を計上しております。しかしながら、経済情勢の変化により経営基盤の脆弱な企業などにおいて、急速に経営状況が悪化する場合も考えられます。このような場合には、売上債権の回収が遅延するほか、回収不能になる可能性があり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)内部管理体制について

 当社グループは、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を図る施策を実施しております。また、業務の適正および財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を整備・運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)配当政策について

 当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的に業績の成長に見合った成果を配当することを基本方針としております。したがって、各期の財政状態および経営成績を勘案しながら将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、利益還元実施を検討する所存であります。

 

(14)大規模自然災害に関するリスク

 当社グループ本社(宮崎本社)が属する地域においては、温暖化により近年大型化している台風の直撃、霧島山系火山の噴火、日向灘沖を震源として発生する地震等の自然災害により、本社機能の全部または一部の継続が困難となり、売上の減少およびソフトウエア開発の遅延などが生じ、財政状態および経営成績に影響が及ぶおそれがあります。また、営業拠点の周辺地域において大地震や台風等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼし当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)新株予約権行使による株式価値希薄化に関するリスク

 当社は、当社役員および従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。また、今後におきましても、役員および従業員等に対するインセンティブとして新株予約権を付与する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値および議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末(2024年6月30日)における新株予約権による潜在株式数は176,000株であり、発行済株式総数14,354,440株の1.2%に相当します。新株予約権の詳細は、「第一部 企業情報 第4提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

(16)大株主に関するリスク

 当社の代表取締役会長である米津健一および同氏の資産管理会社である株式会社NJCが、本書提出日の前月末現在で発行済株式総数の69.80%を所有しており、引続き大株主となる見込みです。

 同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。

 同氏は、当社の創業者であるとともに代表取締役会長であるため、当社といたしましても安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により同氏により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格および流通状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)のれんの減損や子会社株式の評価減

 当社グループは、成長戦略の一環として積極的なM&Aを行っており、のれんや子会社株式を保有しております。子会社の業績不振により、のれんの減損や子会社株式の評価減を行った場合、業績等に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、企業価値を継続的に拡大し、株主に対する利益還元を行うことを重要な経営課題として認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的に業績の成長に見合った成果を配当することを基本方針としております。

当事業年度の配当につきましては、上記の基本方針に基づき、当期の業績動向や今後の財務状況を総合的に検討いたしました結果、2024年6月期配当金を1株当たり5円と決定しております。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めておりますが、現時点では成長投資の実施時期により、年1回の剰余金の配当を行っております。

剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、期末配当の決定機関は株主総会となっております。なお、当社は、取締役会の決議によって、毎年12月31日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。このほか、基準日を定めて剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めております。

なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2024年9月27日

定時株主総会決議

70,380

5.00