2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,369名(単体) 6,542名(連結)
  • 平均年齢
    40.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.0年(単体)
  • 平均年収
    7,515,305円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

電子・先端プロダクツ

1,787

(   212)

ライフイノベーション

1,022

(   198)

エラストマー・インフラソリューション

1,554

(   284)

ポリマーソリューション

1,099

(   193)

その他

667

(   105)

全社(共通)

413

(    79)

合計

6,542

( 1,071)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含みます。)であり、臨時雇用者数(嘱託、日雇い、パートタイマー等を含みます。)は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

4,369

(780)

40.6

16.0

7,515,305

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

電子・先端プロダクツ

1,289

(   169)

ライフイノベーション

1,001

(   198)

エラストマー・インフラソリューション

1,064

(   244)

ポリマーソリューション

602

(    90)

全社(共通)

413

(    79)

合計

4,369

(   780)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者196人を除き、社外から当社への出向者3人を含みます。)であります。臨時雇用者数(嘱託、日雇い、パートタイマー等を含みます。)は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与は、時間外手当等の基準外賃金および賞与手当を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

当社には、デンカ労働組合があります。2025年3月末現在の総組合員数は3,738名です。

現在、会社と組合との間には、2025年3月締結の労働協約があり、円満な労使関係を維持しております。

なお、デンカ労働組合は、上部団体として化学総連に加盟しております。

また、当社を除く連結子会社のうち7社には合わせて7つの労働組合があり、2025年3月末現在の組合員数の合計は336名です。労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

5.4

73.5

61.9

70.5

40.9

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者

の育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

 

デンカポリマー㈱

50.0

70.0

74.0

80.0

(注3)

YKアクロス㈱

0.9

83.3

57.7

55.9

53.3

 

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.労働者の人員数について労働時間を基に換算し算出しております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) デンカグループESG基本方針と経営重要課題(マテリアリティ)

当社は、すべての事業活動におけるESG(環境・社会・ガバナンス)課題に対する基本的な方針となる「デンカグループESG基本方針」を、取締役会の決議に基づき、2021年11月に制定しました。当社は、サステナビリティ(中長期的な持続性)を巡る課題への対応が、企業存続を左右する重要な経営課題(マテリアリティ)であると認識し、本基本方針の遵守に努め、高い倫理観に基づく実効性のあるコーポレートガバナンスを構築することで、企業価値の向上を目指します。


 

(2) ガバナンス

当社は、2023年度より開始した経営計画「Mission 2030」に基づき、サステナビリティ(中長期的な持続性)に向けた取り組みを推進し、活動内容に対する審議と提言を行う「サステナビリティ委員会(委員長:社長)」を設置しました。

「サステナビリティ委員会」は、執行部門内の組織として、経営計画「Mission 2030」のサステナビリティに係る活動と非財務目標・KPIの進捗及びリスク・収益機会への対応について、対象部門より定期的に報告を受け、審議・提言を行い、その結果を取締役会へ報告するとともに、経営計画の進捗状況として、ステークホルダーの皆様へご報告いたします。

 

 

(a)ESG経営推進体制


 

(b)主要なサステナビリティ推進主体の活動状況

組織体

開催頻度

(2024年度)

役割

取締役会

15回/年

当社のビジョンにおけるミッション達成のための戦略立案や経営計画をふまえた、重要な業務執行の決定と執行役員の業務執行に対する監視・監督を行う。

サステナビリティ委員会

5回/年

非財務目標達成のためのサステナビリティ(中長期的な持続性)を巡る課題に対して、業務執行部門による取り組みを監督するために設置。

事業活動におけるリスク及び収益機会と、事業・人財・経営に係る価値創造戦略との整合性を考慮して、各部門活動を審議し、取締役会に報告する。

 

 

(3) 戦略

当社は、企業としての社会的責任を果たし、長期にわたり事業を継続するためには、サステナビリティ関連のリスクと機会に適切に対処する取り組みが大前提であるという考えから、経営計画「Mission 2030」における「3つの成長戦略」において、サステナビリティを巡る重要経営課題(マテリアリティ)を考慮した基本的な方針を定め、施策を推進しています。

「事業価値創造」としては、デンカグループの「2050年までのカーボンニュートラルの実現」「サステナブルな都市と暮らしの充実」「環境の保全・環境負荷の最小化」を方針として、CO2を代表とする温室効果ガスの削減となる、低炭素アセチレンチェーンの確立を含むポートフォリオ変革の実施、再生可能エネルギーの拡大、SDGsに貢献する製品開発、循環型社会の実現となるスチレン系包装材料のサーキュラーエコノミー推進等の施策を進めます。

また、「人財価値創造」としては、社員一人ひとりが自己実現と成長を実感できる企業を目指し、「人財育成体制の強化」「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進」「健康経営と働き方改革」を方針として、将来の経営層育成と全社一貫の教育体系の構築および自ら学ぶ文化の醸成、多様な考え方を持った人間が活躍できる職場環境・制度・文化の醸成、「明日も来たくなる職場」のための制度改革を推進します。

そして「経営価値創造」では、ESG経営の観点から、企業存続の前提となる経営基盤の強化を図るため、プロセス革新、人権の尊重、安全最優先、サプライチェーンマネジメント、製品安全、コーポレートガバナンスの高度化を基本方針として掲げています。

 

 

(a)事業価値創造~サステナビリティの追求~


 

(b)人財価値創造


 

 

(4) リスク管理

サステナビリティ委員会は、経営計画「Mission 2030」のサステナビリティに係る活動指標と目標を、担当する担当部門から報告を受けて審議と提言を行い、取締役会への報告を行います。重要なテーマである気候変動問題と人権尊重の取り組みに関わるリスク管理および統合リスクマネジメントについては、以下の通り実施しており、さらにこれらの取り組みを推進いたします。

 

(a) 気候変動(TCFD)

中長期の気候変動問題への対応は、取締役会による監督の下、サステナビリティー推進担当役員が統括しています。目標や基本方針の策定、重要施策、指標の設定・評価などの非財務関連の重要事項は、サステナビリティ委員会(年5回開催)で議論され、取締役会が意思決定を行います。

また、環境対応方針の包括的な管理・運営のため、ワーキンググループを設置しています。毎月行われる会議では、担当役員がリーダーとなり、実務面を含めた議論を行い、対応の促進を図るとともに、重要事項については取締役会への報告を行います。

 

気候変動に伴うシナリオ分析に基づく、デンカとしてのリスクと機会の抽出 

シナリオ

リスク/機会

TCFD分類

リスクと機会の事象

インパクト算出の考え方

インパクト

デンカ当該事業部

主たる関連事業所

対策

中期(2030)

長期(2050)

1.5℃

リスク

法・

規制

炭素税の上昇に伴うコスト増加

2022年度のGHG排出量を基準として、IEA WEOの予測炭素価格をもとに炭素税額を算出

脱炭素化施策を講じない場合のコスト負担額の算出

430

億円

770

億円

全部門

青海工場

・クリーンエネルギーの拡充や省エネ対応、新技術の導入

脱炭素化施策を講じる場合のコスト負担額の算出(2013年度比で2030年までに60%、2050年までに100%のCO₂排出量(Scope1・2)を削減)

210

億円

0円

テクノロジー

製造プロセスの低炭素化に伴うコスト増加

経営計画「Mission 2030」にて2030年までの環境投資額を設定

850

億円

全部門

青海工場・大牟田工場

・「低炭素アセチレンチェーン」への製造プロセス変更(Methane to Acetylene)により年間30万トン強のCO₂を削減

・複製される水素を利活用するための研究開発など、更なる利益の追求

機会

製品・ サービス

脱炭素に貢献する製品(窒化ケイ素・アセチレンブラック・球状アルミナ)の需要拡大

2022年度の売上実績を基準として、市場成長率から売上増分を算出

190

億円

電子・先端プロダクツ部門

大牟田工場

・需要拡大に即した製造設備増強

食糧危機の解決に貢献する製品(バイオスティミュラント肥料)の需要拡大

2022年度の売上実績を基準として、市場成長率から売上増分を算出

1~10

億円

エラストマー・インフラソリューション部門

デンカアヅミン㈱

・市場投入と拡販

・更なる高機能製品の研究開発

CO₂ を有効利用した製品(CO₂ 吸収・固定型コンクリート/LEAF)の需要拡大

販売計画を元に売上増分を算出

1~20

億円

エラストマー・インフラソリューション部門

青海工場

・市場投入と拡販

・更なる高機能製品の研究開発

3

4

リスク

マーケット

ナフサ価格の上昇に伴う原燃料コスト増加

2022年度の燃料購入額を基準として、価格上昇率からコスト増加額を算出(IEA WEO)

-40~60

億円

-50~

120

億円

ポリマーソリューション部門

千葉工場

・使用済みポリスチレンのケミカルリサイクルによる資源循環の推進や卵殻含有樹脂などのバイオ由来原料製品の開発販売

天然ガス価格の上昇に伴う原燃料コスト増加

2022年度の燃料購入額を基準として、価格上昇率からコスト増加額を算出(IEA WEO)

-60~10

億円

-80~10

億円

全部門

青海工場・千葉工場

・プロセスの電化による使用量低減

・生産フローの最適化による省エネ化

物理

リスク

自然災害の激甚化に伴う生産設備への被害増加や操業停止

海・河川隣接事業所での年間雨量の増加率・浸水被害発生リスクから算出

10

億円

以下

10

億円

以下

全部門

大牟田工場

・設備保全対策の見直しと強化

機会

製品・

サービス

感染症の予防と診断に貢献する製品(検査試薬)の需要拡大

2022年度の売上実績を基準として、市場成長率から算出

170

億円

ライフイノベーション部門

五泉事業所

・研究開発強化/新技術の導入

・需要拡大に即した製造設備増強

 

 

 

(b) 人権尊重の取り組み

デンカグループは、人権に関する国際規範の遵守を重視し、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた行動に努めています。2023年9月に取締役会で承認・制定された「デンカグループ人権方針」は、すべての企業活動において人権侵害を排除するための施策を具現化するためのものです。

 

経営計画「Mission 2030」においては、2030年目標に「グループ・サプライチェーンの人権リスク特定と対応プロセスの確立」を定め、人権尊重の取り組みを進めています。「デンカグループ人権方針」を全グループ社員に周知・浸透させるとともに、人権デュー・ディリジェンスと人権救済メカニズムについて、知見を有する第三者とともに計画的に取り組みます。


 

<2024年度迄の取り組み>

① 人権に関する社内説明会の実施

デンカグループ全社員を対象とした説明会を実施し、「デンカグループ人権方針」と「今後の人権の取り組み」を取り上げました(2023年11月30日、2023年12月6日)。

② 人権への影響評価(人権リスクアセスメント)

2023年度下期に、重要人権リスク特定のためのヒアリング(対象:本社事業部門・管理部門、労働組合)を実施し、優先的に取り組むべきリスク項目(10個)を特定しました。2024年度以降も対象範囲を広げてヒアリングを実施し、防止・軽減のための対応策を進め、人権デュー・ディリジェンスプロセスの確立を目指します。

 

<デンカグループ重要人権リスク>

カテゴリー

リスク項目

労働安全衛生

労働環境(安全・衛生)の人権

パワハラ

従業員間のパワハラ発生のリスク

サプライヤー(協力会社を含む)従業員に対するパワハラ発生のリスク

顧客から自社従業員へのパワハラ発生のリスク

長時間労働

長時間労働・過重労働のリスク

居住移転の自由

転勤・異動の強制等による居住移転の自由の侵害リスク

先住民・地域住民の権利

製品の製造、廃棄等に伴う周辺住民の生活への悪影響発生のリスク

消費者の安全と知る権利

製品に関する情報の誤りによる販売先や消費者の「知る権利」侵害発生のリスク

労働安全衛生

サプライヤー内の労働環境における安全・衛生の人権リスク

強制労働・児童労働

原料等の生産現場および、販売先(および工場)内における深刻な形態の強制労働、児童労働発生のリスク

 

 

 

 

(c)統合リスクマネジメント

当社は、気候変動(TCFD)に関連した社会のレジリエンスの要請の高度化、人権尊重の高度化を含む急速な社会変化、めまぐるしい事業環境の変化や本格化する事業ポートフォリオ変革など、事業をめぐる不確実性が増大する中でも、これらの不確実性を自社の成長の機会と捉え、サステナビリティへの取り組みと事業活動とを統合していきます。

これらの取り組みに際し、デンカグループを取り巻くさまざまなリスクを適切にコントロールし、資本コストを最小化していくため、当社は、社長を委員長とするデンカグループ・リスクマネジメント委員会を組織しております。同委員会は、統合リスクマネジメント(ERM)の仕組みと年間を通じた諸活動を通じて、デンカグループのリスク管理体制の強化を図っています。

 

デンカグループ・統合リスクマネジメント体制図


 

デンカグループ・リスクマネジメント委員会は、具体的な、リスクの識別・評価、リスクの管理、サステナビリティ推進活動への統合を、以下の手順で実施しています。

① リスクの識別・評価: 化学業界にある当社にとって脅威と考えられる56の主要なリスク項目を抽出し、それぞれのリスクを、❶発生頻度 ❷影響度 ❸対策度合い の評価軸を用いて5段階で評点化し、更にリスクオーナーとのディスカッションを経て最終的にデンカグループにとっての重大リスクを選定します。2023年度に、下表の10大重要リスクを抽出しています。

② リスクの管理: 重大リスクに対しては、課題の把握とリスク対策の進捗を継続的にモニタリングすることにより、リスク顕在時における業績への影響低減に努めています。2024年度は、特定された優先リスクへの対応として、サイバー攻撃への初動対応強化、事業継続計画の見直しおよび事業所・工場の物理的セキュリティの調査を実施いたしました。

③ 全体への統合: また、デンカグループ・リスクマネジメント委員会は、リスク低減への取り組み状況を、気候変動(TCFD)や人権尊重への取り組みと併せて、定期的に取締役会へ報告しており、それぞれがサステナビリティ推進における機軸として認識されています。同委員会は、年間を通じてこれらのリスク低減活動を実施し、その結果を分析して翌年度のERM実施計画に反映しております。これらの一連の活動により、デンカグループのリスク管理が統合される仕組み・プロセスとなっています。

 


 

 

 

統合リスクマネジメント(ERM)の全体図


 

(5) 指標及び目標

サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する連結会社の実績を長期的に評価し、管理し、及び監視するために用いる情報として、当社は、経営計画「Mission 2030」の事業価値創造、人財価値創造、経営価値創造という3つの成長戦略の中で、非財務KPIによる指標を設けるとともに、経営計画最終年度である2030年度目標を設定しています。

経営計画「Mission 2030」における主要なKPI目標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

非財務KPI

2024年度実績

2030年度目標

温室効果ガス排出量

175万t-CO2(前年度並み見込)

2013年度比60%削減(100万t-CO2

再生可能エネルギー発電最大出力

147MW

150MW

労働災害度数率
(死傷者数÷延べ実労働時間×100万)

0.73

0.2以下

管理職における女性/外国籍/経験者採用の合計人数の比率 ※

21

50

 

 ※提出会社単体の状況を記載しています。