2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    693名(単体) 20,836名(連結)
  • 平均年齢
    43.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    10.3年(単体)
  • 平均年収
    7,954,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

  2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

 デジタル&インダストリー

5,203

(555)

 

 エネルギーソリューション

1,045

(99)

 

 ヘルス&セーフティー

5,072

(1,476)

 

 アグリ&フーズ

3,732

(3,971)

 

その他の事業

5,236

(1,666)

 

全社(共通)

548

(60)

 

合計

20,836

(7,827)

 

 

(注) 従業員数は、当社グループ(当社及び連結子会社)からグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。従業員数欄の(外書)は、当連結会計年度の平均臨時雇用者数であります。

 

(2) 提出会社の状況

  2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

693

43.6

10.3

7,954

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

デジタル&インダストリー

 

153

 

エネルギーソリューション

 

60

 

ヘルス&セーフティー

 

52

 

アグリ&フーズ

 

36

 

その他の事業

 

34

 

全社(共通)

 

358

 

合計

 

693

 

 

(注) 1 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 平均勤続年数、平均年齢及び平均年間給与は出向受入者を除いて算出しております。

4 全社(共通)の従業員数が前事業年度末と比較して143名増加しておりますが、新卒採用及び連結子会社への出向解除によるものであります。

 

(3) 労働組合の状況

労使関係については、特に記載すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ①提出会社

当事業年度

管理職に占める
女性労働者の
割合(%)

男性労働者の
育児休業取得率(%)

労働者の男女の
賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用
労働者

パート・
有期労働者

5.7

71.4

71.4

65.8

64.7

66.3

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「―」は男性の育児休業取得の対象となる従業員がいないことを示しております。

     3  女性の賃金が男性より低い(男性平均年間給与比65.8%)理由は、女性の平均年齢は40.0才と男性よりも約7才若いこと及び女性管理職比率が5.7%であることが要因となっております。

     女性管理職比率の向上については、様々な取り組みを継続して行っております。

 

 

 ②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

労働者の男女の

賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用
労働者

パート・
有期労働者

㈱プラス

22.2

61.0

81.3

115.8

エア・ウォーター・
リアライズ㈱

12.8

60.0

60.0

59.4

76.6

80.1

エア・ウォーター物流㈱

10.3

10.3

10.3

45.7

78.1

60.5

大山春雪さぶーる㈱

9.5

50.0

50.0

67.4

76.0

93.2

㈱九州屋

9.1

100.0

100.0

43.1

82.9

87.5

日本電熱㈱

8.7

0.0

0.0

74.9

76.5

77.0

エア・ウォーター・リンク㈱

8.2

33.3

33.3

53.3

67.0

49.5

エア・ウォーター・
メディエイチ㈱

7.9

79.9

79.0

89.2

エア・ウォーター防災㈱

7.8

28.6

28.6

61.7

68.5

34.5

川本産業㈱

6.8

66.7

66.7

61.6

61.5

64.6

エア・ウォーター西日本㈱

6.8

33.3

33.3

83.0

83.0

89.1

エア・ウォーター・
マテリアル㈱

6.3

50.0

50.0

68.3

69.2

37.3

ゴールドパック㈱

6.1

53.8

50.0

100.0

82.1

81.7

84.9

エア・ウォーター東日本㈱

6.0

42.9

42.9

49.7

76.0

53.7

嶋田工業㈱

5.6

70.7

70.7

エア・ウォーター・
パフォーマンスケミカル㈱

5.2

75.0

75.0

84.7

86.9

54.7

エア・ウォーター北海道・
産業ガス㈱

5.0

0.0

0.0

71.2

68.1

37.1

北海道エア・ウォーター・
アグリ㈱

4.9

25.0

25.0

55.8

43.7

56.2

エア・ウォーター北海道㈱

4.8

100.0

100.0

61.2

66.6

59.9

㈱日本海水

4.8

33.3

33.3

54.8

75.4

50.6

タテホ化学工業㈱

4.7

50.0

50.0

62.0

69.8

61.9

エア・ウォーターアグリ&
フーズ㈱

4.5

37.4

69.7

35.1

 

 

 

 

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

労働者の男女の

賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用
労働者

パート・
有期労働者

㈱ホクエイ

4.3

60.0

60.0

76.9

83.0

47.0

エア・ウォーター・マッハ㈱

3.8

50.0

50.0

65.1

72.6

55.6

エア・ウォーター・
ガスプロダクツ㈱

3.6

60.0

60.0

65.0

77.9

36.8

エア・ウォーター・
エンジニアリング㈱

3.5

50.0

50.0

72.8

79.0

83.3

エア・ウォーターLINE㈱

2.7

0.0

0.0

67.8

75.3

98.6

エア・ウォーター・
メカトロニクス㈱

2.5

66.6

75.3

41.3

エア・ウォーター・
ライフサポート㈱

0.0

0.0

0.0

65.5

70.8

71.9

エア・ウォーター・
ライフソリューション㈱

0.0

100.0

100.0

69.1

70.2

57.6

デンケン・ハイデンタル㈱

0.0

100.0

100.0

56.8

68.1

52.0

日農機㈱

0.0

67.4

67.4

エア・ウォーター・
グリーンデザイン㈱

0.0

80.6

78.7

116.8

エア・ウォーター・デジタル㈱

0.0

0.0

0.0

75.0

80.5

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「―」は男性の育児休業取得の対象となる従業員がいないことを示しております。

 

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中に将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

当社グループでは、経営理念「創業者精神を持って空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」の下、「空気」と「水」を事業の原点とし、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献しております。

当社グループは、パーパス(存在意義)である「地球の恵みを、社会の望みに。」をSDGsコミュニケーションコンセプトとして掲げ、空気や水に代表される地球資源を活用し、技術やビジネスモデル、ノウハウを掛け合わせることで、人々の暮らしや産業になくてはならない製品、サービス、ソリューションを生み出してまいりました。当社グループの事業活動を継続するためには、その源泉となる地球環境に対して持続可能な事業活動でなくてはなりません。

そのような中、2019年7月には、2050年の当社グループのあるべき姿として、サステナブルビジョン「地球、社会との共生により循環型社会を実現する」を定め、その実現のために国際社会が目指すSDGsを2030年のマイルストーンとして位置づけ、2021年10月には、「エア・ウォーターグループ環境ビジョン2050」を制定しました。これらの方針の下、気候変動やスマート社会に対応する「地球環境」と、人生100年時代や世界人口の増加に対応する「ウェルネス(健やかな暮らし)」の軸に沿って、経営資源である多様な事業、技術、人材を活かしてグループシナジーによる新事業を創出しながら、経済価値と社会価値の両面から企業価値を向上すべく、事業活動を通じてSDGsに取り組み、社会課題解決への貢献を果たしていきます。

同時に、サステナブルビジョン実現のために、地球、社会とともに将来にわたり持続的に存続、発展するための重要課題として、7つの「マテリアリティ」である「気候変動への対応」「資源循環の実現」「環境影響物質の抑制」「地域社会との共存共栄」「ウェルネス(健やかな暮らし)」「働く人々のWell-beingの実現」「グループガバナンスの強化」を定め、KPIを設定し、取り組みを進めております。マテリアリティの特定プロセス、KPIおよび取り組みは、当社WEBサイトにおいて開示しております。なお、マテリアリティは今年度に改訂する予定です。

https://www.awi.co.jp/ja/sustainability/sustainable_vision/sustainable_vision.html

当社グループは、この中で特に「気候変動への対応」「資源循環の実現」「環境影響物質の抑制」と「働く人々のWell‐beingの実現」を企業価値に大きな影響をもたらす要因として捉えております。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、気候変動や資源不足などの環境問題、人と自然との共存、人材の多様性や人的資本への投資、地域社会への貢献、健康寿命の延伸、食料の安定供給等、サステナビリティに関わる重要課題について事業横断的な取り組みを統括するため、2025年度からサステナビリティ推進委員会を設置しました。サステナビリティ推進委員会は、方針の策定や各担当部門における取組状況の把握および管理、また、サステナビリティに関する情報開示等を行います。中長期的な経営課題への対応方針や取組計画等については、代表取締役会長・CEOを議長とした最高経営委員会で審議し、その中で重要な事項は取締役会に報告され、取締役会は、報告された内容に対し適切に監督する態勢を構築しております。取締役会は、毎月1回以上開催され、サステナビリティに関する知識、経験を有した取締役も含まれております。取締役会ではサステナビリティに関わる重要課題への取り組みだけでなく、サステナビリティに関するリスク及び機会への対応の観点からも監督を行っております。

 


 

その中で気候変動と自然資本に関しては、カーボンニュートラルに向けた先進的かつ戦略的な取り組みにより、エア・ウォーターグループ全体の脱炭素を推進するためにカーボンニュートラル推進室を設置し、当社グループの気候変動と自然資本対応活動推進のための諸施策を立案・実施しているほか、当社グループ内に気候変動と自然資本対応の取り組みの浸透を図るとともに、方針の周知と進捗の確認を行っております。また、気候変動および自然資本に関わる課題解決の取り組みの具体的な内容については事業グループ・ユニットにカーボンニュートラル推進責任者を選任し、全社的な推進を行っております。

 

(2)リスク管理

当社グループでは、経営の健全性・安定性を確保しつつ企業価値を高めていくために、業務やリスクの特性に応じてリスクを適切に管理し、コントロールしていくことを経営上の重要課題の一つとして認識し、リスクマネジメント体制を整備しております。

サステナビリティ重要課題におけるリスクと機会については、2025年度からはサステナビリティ推進委員会にてその抽出・検討を行い、事業への影響度の大きい重要リスク及び機会を特定し、その対応策の策定と実行管理を行っていきます。サステナビリティ推進委員会で審議したリスクと機会を最高経営委員会及び取締役会に付議・報告する体制としております。

また、気候変動並びに自然関連のリスクと機会については、「カーボンニュートラル推進室」がTCFD並びにTNFDの推奨する分析手法に基づいて、事業グループのカーボンニュートラル推進責任者と共に評価・分析する体制としております。

 

(3)戦略、指標及び目標

1.気候変動に関する取り組み

1-1.戦略

気候変動問題は当社グループが取り組むべき社会課題であると同時に大きな事業機会と捉え、マテリアリティの一つとして事業戦略との統合を進めております。具体的には自らのGHG排出量削減という<責務>と製品・事業を通じた社会のGHG排出削減という<貢献>の両面からサプライチェーン全体でカーボンニュートラルに取り組んでおります。

また、脱炭素化を加速し、持続可能なビジネスモデルへの転換を促すための効果的な手段として、目に見えないCO2の価値を金銭的指標で評価し、事業や投資に潜在的に含まれるCO2排出コストを可視化するインターナルカーボンプライシング(ICP)制度の運用を2024年度から開始しました。

なお、当社グループは、2021年8月、金融安定理事会(FSB)「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、TCFDの提言に沿って気候変動関連の重要情報を当社WEBサイトにおいて開示しております。本項目は、その抜粋を掲載しております。

  https://www.awi.co.jp/ja/sustainability/environment/tcfd_and_tnfd_recommendations.html

 

 

1) 責務

当社グループは自らが排出するGHGの削減として、2030年の30%削減目標達成までの道筋や課題、期日などを明確化するためにロードマップを策定しております。このロードマップに基づき、以下の削減方針によりGHG排出量を削減致します。2024年度に山口県防府市にPPAのスキームを利用した4MW級のメガソーラー設備導入を進めており、2025年12月の稼働を予定しております。

また、当社グループは2025年3月にScope3(自社の事業活動を通じた他社のGHG排出量)の削減方針を定めました。今後はサプライチェーン全体でのGHG削減に取り組んでいきます。

 

<GHG排出量の削減方針>

自社の生産活動に伴う

直接排出(Scope1)

外部購入エネルギーによる

間接排出(Scope2)

自社の事業活動を通じた

他社の排出(Scope3)

・生産工程で使用されるエネルギーのバイオマス燃料などへの転換による低・脱炭素化

・省エネ活動

・グループ内のバイオマス発電で創出される環境価値の活用

・太陽光などの外部再エネ電源の調達

・製造プロセスの見直しによる生産性向上(調達量の適正化)

・販売する製品の低・脱炭素化

 

 

2) 貢献

製品・事業を通じた社会のGHG排出削減は社会課題の解決に通じる取り組みと考えており、この社会課題解決力を示す指標としてGHG削減貢献量を設定し、2030年度に15品目以上、2,000千t-CO2達成を目指しております。

近年の取り組みとしては、地域毎に特色あるエネルギー資源を活用し、産官学で連携、社会価値のある地域事業へと育成していくために、2024年は実証事業であった家畜ふん尿由来のバイオメタンの商用化、バイオディーゼル燃料を活用したB5軽油の製造販売、温泉からの未利用天然ガスを活用したCO2フリー水素サプライチェーン構築を進めております。

 

3) インターナルカーボンプライシング(ICP)

カーボンニュートラルに向けた投資の促進をするため、当社グループでは2024年度よりICPを反映した内部収益率を算出し、投資判断の一つの指標としております。2025年度からは先進国では18,000円/t-CO2、途上国では5,000円/t-CO2として、国際的な炭素価格高騰と地域格差を反映することで事業活動の脱炭素に関する行動変容を促進いたします。

 

4) シナリオ分析によるリスクと機会の検証

気候変動という予測困難で不確実な事象に関するリスクと機会を特定し、それらのリスクと機会がどのように事業の戦略に影響を与えるのかを確認するためにシナリオ分析を行いました。2024年度は全ての事業ユニットとその他主要事業を対象に、世界の気温が今世紀末に産業革命前と比較して1.5℃上昇するシナリオ「1.5℃シナリオ」、4℃上昇するシナリオ「4℃シナリオ」を用いて、事業への影響について分析を行いました。また報告対象は短期(2025~2027年)、中期(2028~2030年)、長期(2031~2050年)を想定しております。

シナリオ分析の結果、リスク、機会共に「1.5℃シナリオ」の方が影響は大きいが、「1.5℃シナリオ」、「4 ℃シナリオ」のいずれも十分な対応策や機会獲得・拡大を見込んでおり、不確実な長期的な将来に対し、当社の基本戦略は十分なレジリエンスを有していることを確認しました。なお、リスクは機会とトレードオフの関係にあると認識しており、例えば炭素税の影響を全社共通のリスクとしておりますがGHG削減ロードマップに基づくGHG排出量の削減をコストの低減につなげることで弊社の市場での競争力を強化してまいります。事業部門ごとのシナリオ分析の詳細については、当社WEBサイトをご参照ください。

https://www.awi.co.jp/ja/sustainability/environment/tcfd_and_tnfd_recommendations.html

 

 

気候変動に関するリスクと機会一覧(抜粋)

シナ

リオ

区分

事象

事業インパクト

バリューチェーンの段階

時間軸

(注1)

対応策

財務

影響度

(注2)

1.5℃

移行

リスク

GHG排出に関する規制の強化(炭素税)

炭素賦課金(海外は炭素税)の導入による使用する電力および燃料のエネルギーコストの増加

直接操業

中期

・製品価格への転嫁

・高効率プラントの開発

・環境価値の購入

・太陽光発電設備の設置

・拠点の統合による削減

・バイオディーゼル燃料など非化石燃料の利活用

移行

機会

新規市場の獲得、既存事業の拡大

デジタル化によるデータ処理量増加に伴う製品の省エネ化・次世代パワー半導体の需要の増加

下流

中期

・半導体分野向けの産業ガス、特殊ガス及び特殊ケミカル品の安定供給体制の拡充

・高効率プラントの開発

移行

機会

新規市場への事業拡大

バイオメタン、eメタン及びCCUS事業の拡大

下流

中期

・優良な国内バイオメタンソースの確保

・都市ガス会社と協業による導管への導入

・CO2回収・精製・メタネーション技術の蓄積

4℃

物理的

リスク

台風・洪水のような異常気象の深刻化や増加

自社製造拠点の設備被害や交通インフラの物理的被害による生産活動と製品輸送の損害

上流、直接操業、下流

長期

・保険加入による補償、補填でカバー

・設備対策BCP

 

 (注) 1 長期:2031年~2050年(サステナブルビジョン2050)

           中期:2028年~2030年(経営計画terrAWell30)

    2 大:売上収益/コスト 100億円以上 中:売上収益/コスト 10億円以上100億円未満

 

1-2.指標及び目標

1) 気候変動の指標(GHG排出量)

当社グループでは、気候変動に係るリスクと機会を測定・管理するための指標として温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1,2,3)を選定しております。算定は2020年度からGHGプロトコルを参考にして行っております。

 

2) GHG排出量の削減目標

① Scope1,2の削減目標

当社グループは2030年度における削減目標を2020年度比で30%削減することを定め、2021年度より自社のGHG排出量の削減に取り組んでおります。※国内連結会社のエネルギー起源CO2が対象。

② Scope3の削減目標

当社グループは2030年度における削減目標を2024年度比で売上原単位30%削減することを定め、2025年度よりサプライチェーン排出量の削減に取り組んでいきます。※国内連結会社のカテゴリ1(購入した製品・サービス)とカテゴリ11(販売した製品の使用)の合計が対象。

 

 

3) GHG排出量の実績

GHG排出量の詳細については、当社WEBサイトをご参照ください。

https://www.awi.co.jp/ja/sustainability/esg_data.html

 

 

(千t-CO2e)

項 目

2020年度

(基準年度)

2023年度

2024年度

エネルギー起源CO2(国内)

2,115

2,123

2,053

Scope1:燃料の燃焼による直接排出

675

322

316

Scope2:他社から供給された電気等の使用に伴う間接排出

1,440

1,801

1,738

エネルギー起源CO2(海外)

649

697

727

Scope1:燃料の燃焼による直接排出

34

27

33

Scope2:他社から供給された電気等の使用に伴う間接排出

616

670

694

その他のGHG(非エネルギー起源CO2、メタン、N2O等)の排出

255

200

20

(Scope1+Scope2計)

3,019

3,020

2,800

 

 

Scope3排出量の項目

2024年度

(速報値)

カテゴリ1 購入した製品・サービス

2,543

カテゴリ11 販売した製品の使用

1,668

カテゴリ1、11以外

590

(Scope3計)

4,801

Scope3売上原単位((カテゴリ1+カテゴリ11排出量)/売上収益)

 t-CO2e/億円

433

 

 (注) 1 Scope1,2(エネルギー起源CO2)の算定対象は全連結対象会社としております。

2 2022年度以降、旧エア・ウォーター&エネルギア・パワー山口㈱は連結対象外のため算定対象に含めておりません。

3 Scope2の国内は各拠点の契約電力会社の事業者別排出係数で算定しております。海外はIEA公表の国別排出係数で算定しております。

4 Scope3の算定対象は国内の連結対象会社としております。確定値は9月に公表予定です。

 

Scope1,2排出量のエネルギー種別について、当社グループは産業ガスを製造する工場において原料空気から酸素・窒素・アルゴンを分離・精製するために、多くの電力を使用しており、電力使用が排出量の8割以上を占めております。またScope3については、各カテゴリの中で購入した製品・サービスに伴い排出されるGHG(カテゴリ1)が約5割と最も多く、次いで、販売した製品・サービスの使用に伴い排出されるGHG(カテゴリ11)が多くなっております。Scope別ではScope3が最も多く、サプライチェーン排出量の約7割を占めております。

 

4) GHG排出量の削減状況

① Scope1,2の削減状況

2024年度のScope1,2排出量は、電力会社の変更、製造プロセスの効率化及び再エネの導入などの削減施策により、国内のエネルギー起源CO2において、基準年度比で2.9%削減、前年度比で3.3%削減となっております。

② Scope3の削減状況

2024年度のScope3の売上原単位を基準値として定め、2025年度より削減状況を報告していきます。

 

 

2.自然資本に関する取り組み

2-1.戦略

当社グループは「地球の恵みを、社会の望みに。」というパーパスのもとで事業を行っており、事業活動において直接的・間接的に自然資本に依存しております。また、生物多様性の保全と自然資源の持続可能な利用は気候変動対策とともにグローバルでの重要な課題であると考えております。そこで2021年には生物多様性に関する基本方針を定め、自らの生産活動に伴う環境への悪影響の低減という<責務>と製品・事業を通じた環境課題の解決という<貢献>の両面から取り組んでおります。今後、この生物多様性についての取り組みを加速させるために、2025年5月、TNFD「自然関連財務情報開示タスクフォース」提言への賛同を表明し、TNFDの提言に沿った自然関連の重要情報を当社ウェブサイトにおいて開示しております。

本項目は、その抜粋を掲載しております。

https://www.awi.co.jp/ja/sustainability/environment/tcfd_and_tnfd_recommendations.html

 

1) 責務

責務として水資源の保全、廃棄物の発生低減など環境負荷を低減する取り組みを行っております。

 

2) 貢献

貢献としては、工場の有毒な排気ガスを無害化する排ガス処理装置、汚濁水を処理するREADシリーズ、廃プラと未利用木材から製造する人工木材のエコロッカの製造と販売により環境課題の解決に努めております。

 

3) LEAPアプローチによるリスクと機会の検証

TNFDが2023年9月に開示枠組みの正式版である最終提言書を開示したことから、TNFDの推奨するLEAPアプローチに従って、事業活動における自然資本への影響と生態系サービスへの依存に対するリスクと機会の分析を実施しました。

具体的には当社グループの各事業の生産活動(直接操業)について自然への依存関係と影響のスクリーニングをTNFDの推奨するENCOREを用いて分析し、重要度をVH(とても高い)からVL(とても低い)までの5段階で評価して一覧表(ヒートマップ)にまとめました。また、重要度がVH(とても高い)またはH(高い)と評価された項目がある事業の生産工場について、TNFDが推奨するIBATで法的保護地域など自然保護のため重要な地域(要注意地域)との近接度合いを調査しました。

その結果、重要度が高く、要注意地域と近接する工場のある、肉の加工・保存業、清涼飲料製造業、バイオマス発電事業を調査する対象と定め、リスクと機会の特定と評価、財務影響評価、対応策の検討を行いました。

リスクと機会の分析の結果、当社の自然資本に対するリスクと機会について、リスクの方が機会より財務影響が大きいものの、リスクへの十分な対応策や機会獲得が見込まれていることを確認しました。

事業部門ごとのリスクと機会分析の詳細については、当社WEBサイトをご参照ください。

https://www.awi.co.jp/ja/sustainability/environment/tcfd_and_tnfd_recommendations.html

 

 

自然資本に関するリスクと機会一覧(抜粋)

事業

分類

区分

事象

事業インパクト

時間軸

(注1)

対応策

財務影響度

(注2)

肉の加工・保存業

依存

リスク

自然からの水の供給サービスへの依存

市水断水、井水渇水による生産停止

短期

・他工場と連携した生産の維持
・複数の水源確保

影響

機会

廃棄物を適切に処理しない場合の生態系への悪影響

製造に伴い発生する固形廃棄物のリサイクル(肥料化)による資源循環

長期

・廃棄物の堆肥化スキームの構築

清涼飲料製造業

依存

リスク

自然からの水の供給サービスへの依存

水使用量の制限による生産量・売り上げの低下

中期

・水の効率的な使用

影響

リスク

廃棄物を適切に処理しない場合の生態系への悪影響

不適切な廃棄物処理による環境汚染と法令違反による操業への影響

短期

・廃棄物処理業者の適切な選定、管理による不適切処理・法令違反防止

バイオマス発電事業

依存

リスク

自然からのバイオマス燃料の供給への依存

気候変動等によりバイオマス燃料の調達が困難になることによる操業停止や事業撤退

長期

・燃料供給国の分散化
・安定的な燃料調達方法、サプライヤーの確保

影響

リスク

廃棄物を適切に処理しない場合の生態系への悪影響

廃棄物に関する種類・量の規制や罰則の強化によるコスト増

短期

・燃料スペックの管理と運転の適正管理による焼却灰の有価物化維持

 

 (注) 1 長期:2031年~2050年(サステナブルビジョン2050)、中期:2028年~2030年(経営計画terrAWell30)

           短期:2025年~2027年(中期経営計画terrAWell30 2nd stage)

2 大:売上収益/コスト 100 億円以上  中:売上収益/コスト 10 億円以上 100 億円未満  小:売上収益/コスト 10 億円未満

 

2-2.指標及び目標

1) 自然資本の指標と目標の設定

当社グループの自然への依存と影響を調査した結果、重要度が高い項目は、自然が浄化し供給する水への依存、自然の行う地下水位の調整、自然が供給するバイオマス燃料への依存、工場が排出する廃棄物による自然への影響、バイオマス燃料燃焼で発生する大気汚染物質による自然への影響でした。このうち全社的に幅広く関連するものは自然から供給される水と工場から排出する廃棄物に関わるものです。

このことを踏まえ、当社グループは2025年度より自然関連リスクに関する全社的な管理指標を水使用量原単位と廃棄物排出量原単位と定めました。また、目標をそれぞれ2021年度比で2030年度に10%削減することといたします。

 

2) 自然資本の指標の実績

自然資本に関するデータの詳細については、当社WEBサイトをご参照ください。

https://www.awi.co.jp/ja/sustainability/esg_data.html

 

<自然資本のリスクの指標と目標達成状況(2024年度)>

項目

単位

2021年度

2024年度

原単位低減率

淡水使用量

百万m3

17.8

18.2

廃棄物排出量

千ton

63.5

70.7

水使用量原単位

m3/百万円

39.1

35.4

9.5%

廃棄物排出原単位

ton/億円

14.0

13.8

1.1%

 

 (注) 算定対象は国内の主要連結会社としております。

 

 

当社グループの産業廃棄物は、バイオマス発電に伴うばいじんと燃え殻が全体の半分以上を占めており、続いて製塩やマグネシウム化合物工場から排出される汚泥、食品や飲料製造工場から排出される動植物性残渣が多くなっております。

また、水(淡水)使用量は工業用水が半数を占め、続いて飲料事業で使用される地下水、上水の順になっております。

 

3) 従来の廃棄物に関する管理指標達成状況

廃棄物排出量に関する目標は従来、2030年度においてリサイクル率80%を掲げておりましたが、排出量削減の取り組みなどにより77%となっております。

 

<廃棄物に関する従来目標の達成状況>

2030年度目標

単位

2021年度

2024年度

廃棄物リサイクル率 80%

65

77

 

 

3.人的資本に関する取り組み

3-1.戦略

当社グループは「多様な事業と人材」を柔軟に掛け合わせることで生み出されるシナジーによって、『社会課題の解決を通じた新たな企業価値の創造』を目指しております。そのなかでも重要となるのが「人材」であり「人を活かす経営」が当社グループの人的資本経営の基軸にあります。「次世代経営人材の育成」「多様性の尊重(DE&I)」「生産性向上と継続的な賃上げ」「健康経営の推進とエンゲージメントの向上」等4つの取り組みを重視し、「自主自立」「個の尊重」「人が育つ風土の醸成」を人事基本方針に掲げながら、人事戦略を推進しております。

複雑化する社会課題に向き合い、答えを出していくためには、多様な人材が自らを高め、磨き続ける必要があります。ミッショングレード制やチャレンジグレード制等、挑戦を促す人事制度への刷新をはじめ、社内公募制度の導入やグループ内の人事交流の推進、2024年度にはグローバル人材育成に向けた取り組みとして、新入社員全員を対象とした海外研修などを実施しました。また、グループ一体での人的資本経営の推進を目的として、主要グループ会社合同で初めてのエンゲージメントサーベイを実施しました。現状を認識し、課題に対する具体的取組を定め、それを継続的にモニタリングする体制を整えることで、従業員の意欲と組織としての活性度を高めるとともに、誰にとっても働きやすい職場環境の実現に努めていきます。特に多様な事業を展開する当社グループは、グループ一体となり将来の成長を牽引する経営人材を採用・抜擢・異動・育成することが事業戦略上も重要となります。同時に、育児・介護支援をはじめ福利厚生制度の充実を含めて、下記の方針を立て、さまざまな取り組みを進めるとともに、従業員のWell-beingの向上を目指します。

 

1) 人材育成方針

当社グループは、「人を活かす経営」の実現に向け、新たな成長を牽引できる経営人材を育成・輩出するとともに、当社では従業員に挑戦の機会を提供し、従業員個人も会社もともに発展できる好循環を創出するため、経験・薫陶・研修の3つの観点から人材育成に取り組んでおります。2024年度においては、新入社員に対し、エア・ウォーターグループの基盤事業の理解を深めるための国内研修に加えて、特に注力している海外事業に資するグローバル人材の育成を目的として海外(アメリカ、インド)実習を実施しました。2030年度の海外売上高比率20%(2024年度11.3%)の実現に向けて、新入社員のみならず、中堅以上の社員も対象とした海外実習や異文化理解研修などの充実も図っております。また、自らキャリアを形成することを促すため、年代別のキャリア研修や社内公募制度を実施しており、自発的な異動により、多様な経験を積むことで成長へと繋げております。これらに加え、評価者・被評価者研修の実施により評価の納得性を高め、効果的なフィードバックを行い、成長へと繋げる取り組みも実施しております。このように様々な従業員の自立的キャリア形成を支援し、従業員が積極的に挑戦し、登用・抜擢される風土を醸成していきます。

 

 

2) 社内環境整備方針

さまざまなライフイベントを迎える従業員が、それぞれの能力を最大限に発揮するためには、「安心して働ける職場環境づくり」が求められます。当社はこれまで、育児中の従業員を支援する育児休業制度、短時間勤務制度、子の看護休暇制度に加え、配偶者転勤時の休職を認める配偶者休職制度、ジョブリターン制度を整備してきました。2023年11月には、当社のワークライフバランス推進に関する取り組みが評価され、プラチナくるみんマークを取得・維持しております。一方で、高齢化の進展により、介護保険制度上の要支援・要介護認定者数が急速に増加しており、介護をしながら働く従業員の就業をいかにサポートしていくかが大きな社会課題となっております。そこで介護支援に関する相談窓口の設置や介護セミナーなど、全社的な取り組みを進め、継続してキャリアを形成できる環境を整備していきます。このほか、柔軟な働き方を通じた生産性の向上を図るため、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入しております。

 

3-2.指標及び目標

◇女性活躍の推進

多様性ある組織の構築によって企業が一層の成長をしていくために、女性活躍推進法に基づく行動計画では、重点取り組みとして、女性管理職比率を10%以上とする目標を掲げておりました(2024年度実績:5.7%)。メンター制度によるキャリア構築支援や女性リーダー育成プログラムの強化を図っておりますが、今後もこれらの取り組みを継続した上で、新たな取り組みとして候補者の上司への研修を通して周囲の意識変化にも取り組んでいきます。また、将来的な女性管理職登用を見据えた取り組みとして、女性社員の積極的な採用と女性主任・係長層の登用も進めております。新卒採用者に占める女性比率目標40%以上に対し、22‐24年度における平均値は43.2%と、目標を上回る結果となっております。女性主任・係長層の登用については2024年度末で27.6%と3割に近づいており、着実に育成が進んでおります。

(注)人的資本に関する連結数値目標は、現在検討中のため、単体数値として記載。

 


 

◇男性育児休業・休暇の取得推進

男性社員の育児参加を後押しする取り組みが奏功し、提出会社における2024年度の取得率は71.4%となっております。今後エア・ウォーターグループとしての男性育児休業・休暇の取得推進は重要な取り組みであると考えており、グループ会社、事業ごとでの働き方の違いも見受けられるものの、育児休業・休暇の取得に向け座談会やセミナー等取り組みを進めます。

 

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

(目標)

男性育休取得率

29.7%

38.1%

100.0

71.4

100.0

男性育休平均取得日数

17.0日

33.3日

21.9

15.4

30.0

 

 


  (注) 1 上記「育休」には、育児休業(育児・介護休業法第2条に基づく休業)および育児休暇

       (年休特別積立規則に基づく育児を目的として取得する5日以上の休暇)を含みます。

     2 人的資本に関する連結数値目標は、現在検討中のため、単体数値として記載。