リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
これらのリスクは必ずしも当社グループの事業等に関するリスクを全て網羅したものではなく、当連結会計年度末現在では想定していないリスクや重要性が低いと考えられるリスクも、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社は、リスクマネジメントの基本方針等を「リスクマネジメント規程」に定め、それに基づき、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会において、事業を取り巻くさまざまなリスクに対して的確な管理を行うことに努めております。
① 原材料の調達リスクについて
当社グループの原材料等の一部は、特定の地域に在る供給源に依存しており、その供給が逼迫または中断した場合には、当社生産活動の遅れや停止に繋がり、製品の供給に支障が出る可能性があります。当社では調達リスクを軽減するために複数の地域・サプライヤーからの購入、継続的な新規供給源の開発に取り組んでおります。また原材料価格の高騰は、売上原価が増加となるため、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。速やかな販売価格への転嫁等により影響を極力回避すべく取り組みを行っております。
② 特定事業への高い依存について
当社グループの売上高において、高純度薬品事業の半導体関連の占める割合が高く、循環的な市況変動が大きい半導体業界の動向により当社業績は左右されます。予期できない程の変動があり、得意先である電子・電気・通信機器業界の半導体需要ならびに設備投資の下降、同業他社との価格競争激化による販売価格の下落等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。継続的な製品競争力の強化や他事業分野の製品開発および製品販売の伸張によって影響を回避すべく努めております。
③ 生産・事業活動に係るリスク(災害、事故、感染症)について
当社グループは、災害や事故に伴う生産活動の中断により生じる影響を最小限に抑えるため、日常的な製造設備の保守点検、安全防災設備・機器の導入、自衛消防組織の確立、安全防災訓練実施やマニュアルづくり等、設備保全、安全確保に努めています。しかし、突発的な自然災害発生や不慮の事故発生により、製造設備の損壊、原材料の調達困難、電力・物流等の社会インフラの機能不全、経済状況悪化に伴う需要動向の変化等が発生し、生産活動を制限あるいは中断した場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。万一の被災時における事業の継続あるいは復旧に備え、事業継続計画を策定し、また保険の付保による損害軽減策を講じています。
また、新たな感染症等が拡大し、従業員の感染、原材料調達の遅延、生産活動の停止などにより事業活動に支障が生じた場合、または顧客および取引先の事業活動の停止や生産計画の見直し等により、当社製品の需要が減少した場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 法的規制リスクについて
当社グループは、事業活動において、安全保障貿易管理、商品の品質、安全、環境関連、化学物質関連、また会計基準や税法、労務関連、取引関連等の様々な法規制の適用を受けております。これらの法規制については遵守するよう体制を整備し、社会的良識に沿った企業行動を行っております。現行の法規制の変更や新たな法規制等が追加された場合には、当社グループの従来の事業活動が制限され、売上高の減少やあるいはその対応のために新たな投資が必要となりコストが増加する等、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報セキュリティに関するリスクについて
当社グループは、事業活動において、顧客および取引先、株主、役職員等のすべての個人情報および研究開発、生産などに関する機密情報の適切な管理に努めております。また、事業活動に関わる情報を財産と考え、継続的に情報セキュリティ体制の構築・強化を図っております。しかしながら、年々高度化しているサイバー攻撃やその他の不測の事態による情報セキュリティ事故、地震等の自然災害の発生による情報システムの停止または一時的な混乱に伴う事業への影響が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 製造物責任リスクについて
当社グループの製品は、高度な技術や複雑な技術を利用したものが増えており、また、原材料等を外部の供給者から調達していることにより、品質保証へのコントロールは複雑化しています。当社グループでは、生産、出荷の各段階で当社の品質基準に適合していることを厳密に確認しています。しかし、すべての製品について欠陥がなく問題が発生しないという保証は無いため、万一の事故に備え、生産物賠償責任保険を付保しています。しかし、予期せぬ重大な事故や品質面での重大な欠陥が発生した場合には、社会的信用の失墜を招き、賠償金など発生する損失の全てを保険によって補填できない可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 海外活動リスクについて
当社グループは、フッ化物製造事業を中心に、シンガポール、中国に事業展開していますが、各国において以下のようなリスクがあります。当該リスクに対しては、現地法人や商社を通じての情報収集を行いその回避に努めていますが、こうしたリスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
a)予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更
b)不利な政治的要因の発生
c)テロ、戦争等による社会的混乱
d)人材確保の困難化、労使関係の悪化
e)自然災害・感染症の拡大
⑧ 為替変動リスクについて
当社グループは、海外への輸出を円貨建てで決済する一方、原材料等の一部を海外からの輸入品により調達しており、その代金決済を外貨建てで行っています。為替予約取引等により為替変動リスクをヘッジする措置を講じているものの、それら外貨に対する円相場の急激な変動が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。海外子会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されていることから、換算時の為替レートにより、円換算後の計上額が影響を受ける可能性があります。
⑨ 人材採用および確保のリスクについて
当社グループは、製品やサービスの提供を継続し企業価値向上のためには、多様な人材を採用し、確保し続けることが必要であると認識しております。人材の採用および技術継承等が順調に進まなかった場合や、経験豊富な人材や業務・プラント運転操作等のノウハウを持った人材が社外に流出した場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 知的財産権侵害リスクについて
当社グループは、独自開発した技術による事業展開を基本として、必要な知的財産権の取得を推進しております。一方、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発または技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとり、権利侵害の防止に努めております。さらに、調査監視にあたる人員を拡充するなど、体制の強化にも取り組んでいます。しかし、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であり、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合には、解決に多大な時間および費用を要する可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 気候変動リスクについて
当社グループは、温室効果ガス排出量(Scope1・2)を指標として、CO2排出量の抑制につながる省エネ・省資源対策を中心に取り組んでおります。しかし、温暖化ガス排出量取引が本格的に導入された場合や炭素税が適用された場合には、直接的なコストが増加する可能性があります。また、それらを原因とした原燃料価格や電力価格の上昇および、再生可能エネルギーやバイオマス原料・燃料の使用割合を増やす必要が生じた場合には、それに伴うコストが増加する可能性があります。さらに、気候変動に対する当社グループの対応遅れによるステークホルダーからの信用失墜による売上高の減少等、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 訴訟リスクについて
当社グループは、事業を遂行するうえで、コンプライアンスの重要性を認識し、法令および社会的ルールの遵守の徹底を図っておりますが、取引先や第三者から訴訟等が提起され、または規制当局より法的手続がとられるリスクを有しています。重要な訴訟などが提起された場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、財務状況、利益水準などを総合的に勘案したうえで、安定的かつ継続的に配当を行うことが、経営上の重要な課題であると認識しています。内部留保金は、設備投資、研究開発投資などに充当し、今後の事業展開に積極的に活用し、企業価値を高めるよう努力いたします。
当事業年度末現在の定款において、当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当、中間配当ともに取締役会です。
当事業年度の配当につきましては、連結業績を踏まえ、すでに実施いたしました中間配当85円に加え、85円の期末配当を実施し、1株当たり年間170円とすることを決定いたしました。この結果、当事業年度の配当性向は85.1%となりました。
当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき「法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める。」旨を定款に定めています。
なお、2025年6月27日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として「剰余金の配当等の決定機関に関する定款変更の件」を株主により提案されており、当該議案が承認可決された場合、定款第34条は「当会社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定めることができる。」旨、定めることになります。毎事業年度における配当の回数は中間配当と期末配当の年2回を基本とする方針に変更はなく、これらの剰余金の配当の決定機関については、期末配当および中間配当ともに株主総会または取締役会となる予定です。
また、2025年6月27日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として「自己株式取得の件」を株主より提案されており、上記「剰余金の配当等の決定機関に関する定款変更の件」が承認可決され、かつ当該議案が承認可決された場合、会社法第156条第1項の規定に基づき、本定時株主総会終結の時から1年以内に、当社普通株式を、株式総数1,297,000株、取得価額の総額金5,577,000,000円を限度として、金銭の交付をもって取得することとなります。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。
2025年5月9日付の「株主還元方針の策定に関するお知らせ」にて開示しているとおり、第4次中期経営計画期間(2026年3月期~2028年3月期)の株主還元方針を以下のとおり定めており、当該期間の終了時点で見直しを行います。
「当社は、財務状況、利益水準などを総合的に勘案したうえで、安定的かつ継続的に配当を行うことが、経営上の重要な課題であると認識しています。本中期経営計画期間(2026年3月期~2028年3月期)の株主還元につきましては、成長投資とのバランスに加え、資本コストと株価を意識した経営を実現していくため、3年間累計で総還元性向(注)100%以上を目標とし、配当金につきましては1株当たり年間170円を下限として実施いたします。ただし、特別な損益等の特殊要因により親会社株主に帰属する当期純利益が大きく変動する事業年度につきましては、その影響を考慮して、株主還元額を決定いたします。内部留保金は、設備投資、研究開発投資などに充当し、今後の事業展開に積極的に活用し、企業価値を高めるよう努力いたします。」
次期の配当につきましては、上記の第4次中期経営計画の方針を踏まえ、中間配当85円、期末配当85円の1株当たり年間170円を予定しています。上記の株主還元方針に基づき、3年間累計で総還元性向100%以上を目標としていますが、各年度における総還元性向100%以上を目標とするものではありません。配当金につきましては1株当たり年間170円を下限として設定しておりますが、各年度における総還元性向や配当と自己株式取得の配分については、今後の業績見通しや株価動向等を踏まえて決定いたします。
(注) 2026年3月期~2028年3月期における株主還元の合計額を、同期間における親会社株主に帰属する当期純利益の合計額で除した比率