2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

エネルギープラットフォーム事業 エネルギーデータ事業 EV充電事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
エネルギープラットフォーム事業 5,081 75.7 659 - 13.0
エネルギーデータ事業 1,489 22.2 219 - 14.7
EV充電事業 146 2.2 -3,142 - -2,154.4

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、「エネルギーの未来をつくる」というミッションを掲げ、世界的な課題である脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現に向けて、グリーン・トランスフォーメーション(GX)を推進する企業です。脱炭素社会の実現のためには、①電力網の脱炭素化、②交通の電化、③食の改善、④自然保護、⑤製造業の浄化、⑥二酸化炭素の除去といった手法が有効とされており(注1)、当社グループは、「エネルギーの未来をつくる」というミッションを掲げ、①電力網の脱炭素化及び②交通の電化に貢献する事業を展開し、エネルギーテック領域におけるカテゴリーリーダーとなることを目指しております。

 当社グループは、(I)消費者向けに電力・ガス会社の最適な選択をサポートする「エネルギープラットフォーム事業」、(II)電力・ガス会社向けにクラウド型DXサービスを提供する「エネルギーデータ事業」を展開しております。

 「エネルギープラットフォーム事業」においては、主に「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスを展開しております。

 「エネルギーデータ事業」においては、主に電力・ガス会社向けにクラウド型で提供するデジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」及び家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等を展開しております。

 「EV充電事業」においては、脱炭素社会の実現に向けた電気自動車(EV)の普及に必要となるEV充電インフラの整備に関わる事業を展開し、「EV充電エネチェンジ」のブランド名で、EVユーザーにとっての充電機会の拡大を図ることを目的とした充電インフラサービスを提供しておりましたが、2025年3月10日以降、「EV充電事業」が中部電力ミライズ株式会社(以下、「中部電力ミライズ」といいます。)との合弁会社である新会社「ミライズエネチェンジ株式会社(以下、「ミライズエネチェンジ」といいます。)」により事業運営が開始しております。

 当社グループは、当該3事業による顧客基盤・ノウハウの相互活用を通じた事業展開を競争力の源泉とし、業界内におけるユニークなポジショニングを構築しているものと考えております。

 当該3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。

 なお、当社グループは、当社に加え、持分法適用関連会社Japan Energy Capital 1 L.P.、Japan Energy Capital 2 L.P.、持分法非適用関連会社Japan Energy Capital合同会社で構成されています。中東地域での再生可能エネルギー発電所への投資はJapan Energy Capital 1 L.P.が、海外のエネルギーベンチャー企業への投資は主にENECHANGE Innovation Limited及びJapan Energy Capital 2 L.P.が、ファンド運営業務等はJapan Energy Capital合同会社が運営しております。

 また、前述のとおり、2025年3月10日以降「EV充電事業」がミライズエネチェンジ株式会社により事業運営が開始していることに伴い、2025年3月末時点では、連結子会社であったENECHANGE EVラボ株式会社、EV充電インフラ1号合同会社、EV充電インフラ2号合同会社は連結から外れ、ミライズエネチェンジ株式会社は当社の持分法適用関連会社となりました。

 

 現在当社グループが提供する「エネルギープラットフォーム事業」、並びに「エネルギーデータ事業」の概要は以下のとおりです。

(Ⅰ)エネルギープラットフォーム事業

(電力市場及び電力自由化の概況)

 2024年は引き続き、日本におけるグリーン・トランスフォーメーション(GX)が進展した1年となりました。日本政府により、2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」が掲示され、今後150兆円のGX投資を官民で実現していくため、日本政府としても20兆円規模の先行投資支援を実行する旨の意見表明がなされ、また2023年2月10日には「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました。こうしたGXの動きの中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、全国の電力販売市場は資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画」で示されたとおり、拡大傾向にあり、現在では年間約18兆円規模(注2)に達しており、当社はこの成長市場の中で事業を展開しております。また今後はオール電化やEVの普及に伴い、都市ガス・LPガス市場やガソリン市場を代替する形で、電力需要は2050年に向けてさらに一定程度増加することが見込まれております。(注3)

 日本国内の電力自由化は2000年に法人向けの特別高圧区分、2004年に高圧区分で開始されました。2016年4月に家庭向け(低圧電灯・低圧電力)の小売市場の自由化が開始されたことを機に、新規参入事業者の増加による競争環境の激化や、電力・ガス会社の切替に対する認知度の拡大により、家庭向け、法人向けともに新電力シェアが拡大しました。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降は、資源価格高騰の影響を受けた電力会社の財務状況が悪化し、電力会社のユーザー獲得活動が後退しておりましたが、電気料金の値上げや卸電力市場価格の落ち着きに伴い、一部電力会社においてユーザー獲得に前向きな動きが見られる状況です。これに伴い、2023年9月時点で反転以降、新電力の販売電力量シェアは回復傾向にあり、2025年3月時点では19.8%となっております。(注4)

 

電力契約切替数の年間推移(注5)は次のとおりです。

 

 新電力の年間の契約件数に関しては、2024年では約579万件となっております。この内訳としては、2023年までは大手電力から新電力への切替が約58万件と低迷しておりましたが、2024年は大手電力からの切替とスイッチングの全体件数が、2022年比では半分ほどであるものの、2023年対比で倍近くまで回復しました。新電力からの切替需要は、主に一度新電力に切替えたユーザーが、より良い料金プラン等を探す需要によるものと考えております。一度切替たユーザーは、電力・ガス切替に対する心理的ハードルが低くなり、また切替えに関するメリットも認識しているため、継続的により良い電力・ガス会社を探す傾向にあるものと考えられます。特に初回切替に関しては、電力・ガス会社による直接的な営業活動により受動的に切替を実施しているユーザーが多いものと考えられ、そうしたユーザーが2回目以降に切替える場合は、能動的に電力・ガス会社を比較して検討する、すなわち当社のような切替サービスを活用する需要が高まるものと考えております。2024年は、この新電力からの切替需要が顕著に増加しており、断続的に政府の電気代補助金はあるものの、継続的な電気代の高騰により、ユーザーの電力料金プランへの関心が高まるトレンドが継続していると考えております。

 新電力の新規契約需要は、引越し等の機会に電力・ガス契約を新規契約する際に、大手電力ではなく新電力を選択するユーザーの需要があるためと当社では認識しており、ライフイベントに契機とした安定した契約需要が見込め、新電力によるより良い料金プランの提供により需要は増加していくものと考えております。

 

 市場規模としては、2024年の電力販売額の総額約18兆円に、電力切替後の電気料金に対する継続報酬の売上料率相場である2%(注6)を乗じた約3,600億円が、「エネルギープラットフォーム事業」におけるTAMと捉えております。

 

(事業の概況)

 当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」は、家庭向けユーザーに対しては、電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジ」、法人向けユーザーに対しては、電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジBiz」の2サービスを展開しております。「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」はともに最適な電力・ガス会社等を選択するための比較・診断・切替申込機能を、インターネット上でワンストップにて提供する電力・ガス切替プラットフォームであり、当該サービスを電力の消費者である家庭や法人のユーザーに対して無償で提供することで、電力・ガス切替のデジタルトランスフォーメーションに取り組んでおります。

 当社は、複数の電力・ガス会社と戦略的な業務提携を結んでおり、それら電力・ガス会社とのネットワークにより、価格面での訴求だけではなく、電気・ガスセットでの提供や、再生可能エネルギー100%の電力プランの取り扱いなど、幅広いユーザーのニーズに合わせたサービス展開を行っております。

 集客面に関しては、自社メディアを経由したオンラインでの集客を基本とし、家庭から法人ユーザーまで幅広く集客を実施しております。加えて、パートナーの拡大にも努めており、オンライン・オフラインでのパートナー経由の集客も行なっております。これらにより、電力・ガス切替プラットフォームとして、ユーザーとの接点を拡大しております。

 これらの取組みにより、ユーザー数(家庭向けユーザー数と、法人向けユーザー数の一般家庭換算値との合計値)は、2025年3月末時点において、約65万4千件となっております。

 

(各サービスの特徴)

 

<エネチェンジ>

 「エネチェンジ」は「電力会社を選ぶ」をサポートする家庭向け電力・ガス特化型メディア兼電力・ガス会社切替プラットフォームです。当社は2016年1月より本格的にサービスを開始し、2024年1月から2025年3月までの最大月間訪問者数が約200万人を超える規模にまで成長しました。

 ユーザーは、オンライン上で居住地域の郵便番号や世帯人数、在宅状況や電気の使用量といった情報を簡易的に入力することで、地域ごとの気象条件やロードカーブ(注7)を考慮したアルゴリズムの診断結果に基づいた最適な電力・ガス会社の比較情報を、様々なランキング形式で得ることができます。また、診断と比較だけではなく、オンライン上で電力・ガス会社の切替(注8)手続きまでを一気通貫で実施できるサービス設計となっているため、ユーザーにとっては利便性の高いサービスとなっております。なお、家庭向け都市ガスの小売全面自由化が開始された2017年4月に先駆けて、2017年1月より都市ガス料金の比較診断サービスも提供しております。また、2019年11月より順次買取期間が終了する固定価格買取制度(FIT)(注9)にあわせた電気の買取や、環境価値調達を支援する「トラッキング付FIT非化石証書」の提供など、関連するサービスの展開も行っております。

 

<エネチェンジBiz>

 「エネチェンジBiz」は、主に高圧と呼ばれる法人の電力・ガスユーザーを対象とした一括見積取得及び電力会社切替プラットフォームです。大手新電力を中心とした電力・ガス会社と提携し、法人ユーザーに対して無料で一括見積と申込手続きを代行するサービスを全国規模で提供しております。当社は2016年6月より本格的にサービスを開始し、2025年3月末時点において、月間問い合わせ件数が400件を超える規模となっております。

 法人ユーザーは、無料診断登録を実施し、過去12か月分の電気使用量を記載した明細書を提出することで、複数の電力・ガス会社からの新しい電気料金単価での見積提案の取得から、電力会社の切替手続きまでのプロセスを、一括して当社に委託できます。そのため、初期費用が不要であり、かつ書類上の手続きのみで固定費の削減が可能となります。

 

(収益モデル)

 ユーザーが、当社の展開する切替プラットフォームサービス上で提携する電力・ガス契約の切替を実施すると、当社は、電力・ガス会社より一定の報酬を受領します。当該報酬は、当社の売上高として計上されます。

 

 報酬には下記の2つの種類があります。

(1)ストック型の切替報酬:プラットフォームサービス上で切替を実施したユーザーが電力・ガス会社に対して支払う毎月の電力代・ガス代に、あらかじめ定められた料率を乗じた金額を、切替以降、原則として電力・ガス小売供給契約が継続する限り、毎月継続的に受領する報酬となります。プラットフォームサービスを通じた申し込みが行われ、累積申込数が増大すると、契約数に比例して報酬が増大するストック型の報酬です。

 

(2)その他報酬:電力・ガス契約の切替時に、上記のストック型切替報酬に加えて、追加で電力・ガス会社から受領する切替の一時報酬や、メディアとしての「エネチェンジ」及び「エネチェンジBiz」における宣伝効果を期待する電力・ガス会社からの広告掲載依頼・配信活動に伴い受領する広告収入等があります。これらは申込数や広告件数に応じて売上高が増減します。

 

(Ⅱ)エネルギーデータ事業

(エネルギー業界のITシステム市場の概況)

 日本国内においても、自由化の進展による電力・ガス会社間の競争激化、スマートメーターの設置・普及による電力データ量の増加、AI(注10)やRPA(注11)等の技術の進化、再生可能エネルギー発電所の大量導入を背景とした弾力性・柔軟性のある電力系統運用の必要性等により、電力・ガス会社におけるデータの解析ニーズがあるものと認識しております。このように電力データ活用の関連分野は、デジタル化領域のみに限定されるものではなく、「エネルギーの4D」の分野で横断的に生じるものと考えております。

 当社グループが「エネルギーデータ事業」において展開するサービスの対象であるエネルギー業界のIT投資の金額は、電力・ガスの小売全面自由化、発送電分離、スマートメーターの普及、再生可能エネルギーの増加等の業界構造の変革に伴い、「エネルギーの4D」に関連する新規システム投資需要が増加していることで、近年拡大傾向にあるものと見ております。当社としては、2024年の電力販売額の総額約18兆円に、ITシステム予算比率である1%(注12)を乗じた約1,800億円が、「エネルギーデータ事業」におけるTAMと捉えております。

 

(事業の概況)

当社グループの「エネルギーデータ事業」は、電力・ガス自由化、スマートメーターのデータ解析、EV充電情報サービス等、「エネルギーの4D」の進行に伴い必要となる新たなITシステムを、エネルギー事業者やEV充電サービス事業者向けにクラウド型で提供しております。現在は、主に4サービス(エネチェンジクラウドMarketing、エネチェンジクラウドDR、エネチェンジクラウドEV、エネチェンジクラウドRE)を展開しております。これらのサービスは、独自データを活用した電力・ガス業界特化型のシステムを汎用的に展開することに特徴があり、デジタル化を軸としながらも、「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」によって蓄積される大量のユーザーデータを活用した「エネチェンジクラウドMarketing」、スマートメーターデータの解析を軸とした「エネチェンジクラウドDR」、EV充電サービス事業者向けのSaaS型クラウドサービス「エネチェンジクラウドEV」、再生可能エネルギー活用業務支援サービス「エネチェンジクラウドRE」とそれぞれ異なる特徴を有しております。

 当社グループは、国内の電力・ガス会社との戦略的な業務提携をはじめとして、国内外の電力・ガス会社等に対してこれらのサービスを提供しております。これらのサービスはいずれもクラウドベースで行われることにより、サービス提供を通じて様々なデータの蓄積が可能であり、またそれらのデータを解析・活用することで更なるサービス品質や機能の強化に繋がるため、当該サービス提供を通じ競争力を高めていくことが可能であるものと認識しております。

 これらの取組みにより、サービス導入社数は2025年3月末時点で63社となっております。

(各サービスの特徴)

<エネチェンジクラウドMarketing>

 「エネチェンジクラウドMarketing」は、当社が提供するエネルギー事業者向けデジタルマーケティング支援SaaSのサービス名称です。「エネチェンジクラウドMarketing」サービスの特徴は、当社が電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジ」を運営する中で得た知見・情報・技術資産を基にした、電力・ガス小売の現場へのデジタル化・効率化サービスをSaaS型で提供している点です。2016年1月より電力・ガス会社への提供を開始し、以降様々な改善・機能追加を施しながら運用実績を積み重ね、2025年3月末時点においては東京電力エナジーパートナー株式会社や、北陸電力株式会社、中部電力ミライズ株式会社をはじめとした電力・ガス会社にサービス提供をしております。「エネチェンジクラウドMarketing」サービスの導入にあたり、標準的なパッケージが用意されているため、速やかにセットアップを行うことが可能な形でサービス提供を行っております。また運用開始後も、システムの死活監視や、定期的な保守、燃料費調整額(注13)の定期更新といったメンテナンスまで、ワンストップで提供しております。

 

<エネチェンジクラウドDR>

 「エネチェンジクラウドDR」は、当社グループが提供する電力小売事業者向けデマンドレスポンスサービス名称です。デマンドレスポンスとは、電気の需要(消費)と供給(発電)のバランスをとるために、需要側の電力を制御する技術のことであり、再生可能エネルギーの普及による発電の変動に伴い、今後重要になる技術と考えております。「エネチェンジクラウドDR」サービスの特徴としては、スマートメーターを経由して送られてくるユーザーの電力使用量(kWh:キロワットアワー)の30分値データを様々な観点で解析・予測するサービスをSaaS型で提供している点です。「エネチェンジクラウドDR」ではデマンドレスポンスを実施するために必要となる、電力需要解析技術を活用した節電量の分析、ポイント還元によるユーザー向けインセンティブ付与、これらを一覧して管理するユーザー向けページなどを、一気通貫で提供しております。

 

<エネチェンジクラウドEV>

 「エネチェンジクラウドEV」は、EV充電サービス事業者向けに、EV社会の未来を支えるSaaS型クラウドサービスとして「EVsmart Data API」、「EV Navi & Charge App」、「EV Charging Platform」の3つのサービスを展開しております。自社運営する「EVsmart」に掲載されている充電スポットデータを活用したAPI連携、ホワイトラベルやOEM方式でのEV充電アプリの開発、さらには充電器管理から認証課金システムに至るまでのワンストップ充電サービス構築を行います。

 

<エネチェンジクラウドRE>

 「エネチェンジクラウドRE」は、再生可能エネルギー活用業務支援サービスとして、環境価値の在庫管理や、環境証書(グリーン電力証書、非化石証書など)のオンライン発行、太陽光発電・需要予測など脱炭素に向けた様々な業務を支援するサービスを提供します。再エネ業務のDX支援ツール「E-CLOUD RED」は、PPA事業者向けに太陽光発電予測と需要予測を行い、そこからOCCTOへ3つの計画値(発電販売計画値・需要調達計画値・部分供給通告値)を自動で毎日提出するシステムです。また、電力会社向けの環境価値の在庫管理ツール「eValue-Platform」では、非化石証書、グリーン電力証書、生グリーン電力などの各種環境価値を在庫管理し、需要家への実績通知までを一気通貫して行うことで、環境価値に関するデータの一元管理や管理業務負荷の低減を実現します。

 

(収益モデル)

 電力・ガス会社等を中心とするサービス提供先の企業から、サービス提供の対価として一定の報酬を受領します。当該報酬は、当社グループの売上として計上されます。エネルギー業界に特化したサービスのため、直接的なサービス対象顧客は電力・ガス会社が中心となりますが、利用者数に応じた従量課金体系を一部採用することで、電力・ガスを利用するエンドユーザーを間接的なサービス対象顧客としている点が特徴となります。

 報酬には下記の2つの種類があります。

(1)ストック型のライセンス報酬:サービス提供に対して毎月継続的に受領する報酬であり、当社のプロダクトを電力・ガス会社に対してSaaS型のライセンス課金形式で提供するストック型の収益と、エンドユーザー(需要家、スマートメーター数等)に連動する従量報酬を基本としております。「エネチェンジクラウドMarketing」「エネチェンジクラウドDR」「エネチェンジクラウドEV」「エネチェンジクラウドRE」の報酬は主にサービス提供数に連動しております。

(2)その他報酬:「エネチェンジクラウドMarketing」「エネチェンジクラウドDR」「エネチェンジクラウドEV」「エネチェンジクラウドRE」には初期導入時やカスタマイズ時の開発料、コンサルティング料等の一時報酬があります。初期導入時やカスタマイズ時の開発料はその後のサービスの提供に応じて売上高が計上されます。

 

(注)1.ジョン・ドーア著「Speed & Scale」参照。

   2.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」より、2024年4月から2025年3月の電力販売額の合計。

   3.資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画」(2025年2月18日)より。

   4.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」より、家庭向けは低圧電灯、法人向けは高圧における契約口数を参照。

   5.電力・ガス取引監視等委員会による電力取引報の販売電力量(kWh)をベースに新電力シェアを当社で作成。

   6.電気料金に対する継続報酬売上料率、当社調べ。

   7.ロードカーブとは、電力需要が時間とともにどのように変動するかを表す曲線を指し、別名「電力負荷曲線」とも言われています。ロードカーブの最大値は一定期間の最大電力消費量を指します。

   8.切替とは、電力広域的運営推進機関が運営する「スイッチング支援システム」を通じて、電力小売事業者から別の電力小売事業者へ契約を切替えることを指します。

   9.固定価格買取制度(FIT)とは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(再エネ特措法、またはFIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業、一般送配電事業、送電事業、特定送配電事業、発電事業を営む事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度を指します。

   10.AIは、Artificial Intelligence(人工知能)の略称。コンピュータープログラムを用いて、人間と同等、もしくはそれ以上の知的能力を実現させるための基礎技術及びシステムを指します。

   11.RPAは、Robotic Process Automationの略称。ルールエンジン、機械学習、人工知能等の認知技術を活用し、従来は人間のみが対応可能とされていたオフィス業務を代行・代替し、効率化や自動化を図る取組みを指します。

   12.一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査」のエネルギー業界(社会インフラ)の売上高に占めるIT予算比率。

   13.燃料費調整額とは、燃料費調整制度の下で電気の使用料金に応じて算定された金額を指します。燃料調整費制度は、電気料金のコストのうち、燃料費は経済情勢(為替レートや原油価格等)の影響を大きく受けることから、電力会社の経営効率化の成果を明確にするため、燃料費の変動を迅速に電気料金に反映させる制度です。

 

 本章にて述べた事業の系統図は以下のとおりであります。

[事業系統図]

 

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識並びに分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 当社グループは決算期変更に伴い、当連結会計年度は15ヶ月の変則決算となっております。このため、前連結会計年度との比較は行っておりません。

 

(1)財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は5,475,642千円となり、前連結会計年度末に比べ1,838,020千円増加いたしました。これは主に商品及び製品が5,523千円、前払費用が102,834千円、未収入金が606,832千円減少した一方、現金及び預金が2,083,792千円、売掛金及び契約資産が356,272千円増加したことによるものです。

 また、当連結会計年度末における固定資産は1,936,102千円となり、前連結会計年度末から8,916千円増加いたしました。これは主にのれんが227,695千円、ソフトウエアが199,842千円減少した一方、投資有価証券が401,288千円、長期貸付金が150,260千円増加したことによるものです。

 この結果、総資産は、7,411,744千円となり、前連結会計年度末に比べ1,846,936千円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は2,393,447千円となり、前連結会計年度末に比べ1,172,463千円減少いたしました。これは主に、契約負債が167,823千円、1年内返済予定の長期借入金が269,992千円増加した一方、未払金が352,978千円、短期借入金が577,155千円、決算訂正関連費用引当金が826,855千円減少したことによるものです。

 また当連結会計年度末における固定負債は466,615千円となり、前連結会計年度末に比べ3,011,507千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が1,067,487千円、社債が1,000,000千円、リース債務が241,878千円、長期前受収益が405,250千円、長期未払金が287,796千円減少したことによるものです。

 この結果、負債合計は、2,860,062千円となり、前連結会計年度末に比べ4,183,971千円減少いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は4,551,681千円となり、前連結会計年度末に比べ6,030,908千円増加いたしました。これは主に第三者割当増資等により資本金が1,459,192千円、資本剰余金が5,532,730千円増加した一方、親会社株主に帰属する当期純損失1,273,466千円が計上されたことによる減少であります。

 

(2)経営成績の状況と分析

 当社グループは決算期変更に伴い、当連結会計年度は15ヶ月の変則決算となっております。このため、前連結会計年度との比較は行っておりません。

 当連結会計年度における我が国経済は、足踏みも見られますが、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、おだやかに回復しております。景気の先行きについては、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念など、依然として不透明な状況となっております。

 当社グループが属するエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の悪化以降、資源価格高騰の影響を受けた電力会社の財務状況の悪化が見られましたが、電気料金の値上げや卸電力市場価格の落ち着きに伴い、一部電力会社においてユーザー獲得に前向きな動きが見られる状況です。

 長期的な観点でのエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、引き続きグリーントランスフォーメーション(GX)が進展しました。日本政府による2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~」が掲示され、150兆円のGX投資を官民で実現していくため、日本政府としても20兆円規模の先行投資支援を実行する旨の意見表明がなされる中、こうしたGXの動きの中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、当社のベース市場である電力販売額は約18兆円(注1)と拡大しております。また、乗用車の新車販売における電気自動車(EV)をはじめとした電動車比率を2035年までに100%とする目標が掲げられる(注2)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要が高まることが見込まれております。

 このような環境のもと、当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」においては、「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスを展開しております。家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジ」においては、引越し時のライフライン切替を、より簡単に行える新機能として、「ガスの開栓受付」の提供を開始いたしました。本機能のリリースにより、電気とガスを同時に一つのプラットフォームからお申し込みいただけるようになり、引越し時のライフラインお申し込みの利便性向上に貢献しております。

 「エネルギーデータ事業」においては、主に電力ガス事業者向けにクラウド型で提供する、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」及び家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等のサービスにつき、継続的な新規機能開発と営業強化に努めております。また、「EV充電エネチェンジ」アプリのノウハウを活用した、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などのEVサービス向けソリューション「エネチェンジクラウドEV」を展開し、ENEOS株式会社が提供する「ENEOSChargePlusEV充電アプリ」の開発を受託するほか、複数の企業・団体に対する位置情報の提供をしております。加えて、主に電力会社向けのサービスとして、再生可能エネルギーの環境価値管理を効率化し、アワリーベースで環境価値を管理することにより、24/7カーボンフリーをはじめとした多様な再生可能エネルギー管理業務を実現できるSaaS型サービス「eValue Platform」を発表するなど、サービス展開を強化しております。

 「EV充電事業」においては、「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」の充電インフラ整備事業に対応した充電器を6kWに加え3kWのラインナップも拡充し、主力である目的地充電だけでなく基礎充電において積極的な営業展開や、EV充電分野におけるシェア向上に向けた積極的な投資を継続しました。また株式会社e-Mobility Powerとの提携を中心としてEVユーザーの更なる利便性の向上に取り組んでまいりました。また、2025年1月24日公表の「EV充電事業の合弁会社化に向けた子会社設立、当社及び子会社間の吸収分割、当社及び中部電力ミライズ株式会社との株式譲渡契約等の締結並びに子会社(孫会社)の異動に関するお知らせ」にて公表しましたとおり、当社は、中部電力ミライズとの合弁会社となる新会社においてEV充電事業を運営していくことを決定し、同年3月10日よりミライズエネチェンジでのEV充電事業の運営を開始いたしました。当該新会社による事業運営の開始により、2025年3月末時点では、ENECHANGE EVラボ株式会社、EV充電インフラ1号合同会社、EV充電インフラ2号合同会社は連結子会社から外れ、ミライズエネチェンジ株式会社は当社の持分法適用関連会社となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、6,715,556千円、営業損失は3,630,553千円、経常損失は2,081,198千円、親会社株主に帰属する当期純損失が1,273,466千円となりました。

 

(売上高)

 当連結会計年度において、売上高は、6,715,556千円となりました。主な要因は、エネルギープラットフォーム事業においては、ユーザー数が堅調に増加したことに加え、ARPUが好調に推移したことによります。エネルギーデータ事業においては、顧客数は63社となったことによります。エネルギープラットフォーム事業におけるユーザー数、エネルギーデータ事業における顧客数については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度において、売上原価は1,473,430千円となりました。主な内訳はエネルギープラットフォーム事業における開発人件費及びEV充電事業における人件費です。

 この結果、売上総利益は5,242,125千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業損失)

 当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は8,872,679千円となりました。主な内訳は、給料手当1,600,307千円、業務委託費1,556,837千円、広告宣伝費908,848千円、販売手数料2,184,227千円等です。

 この結果、営業損失は3,630,553千円となりました。

 

(セグメント売上高、損益)

 セグメントの経営成績は、次のとおりです。

(I)エネルギープラットフォーム事業

 「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭向け・法人向け共に切替件数が堅調に推移した結果、継続報酬対象ユーザー数は654,006件となりました。また、電力価格の高騰や電力各社の業績回復により、当連結会計年度のARPU(注3)(ストック収益)は725円となりました。

 以上の結果、セグメント売上高は5,081,097千円、セグメント利益は659,029千円となりました。

 

(II)エネルギーデータ事業

 「エネルギーデータ事業」においては、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」、家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等の既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入を進めた結果、顧客数は63社となりました。また、既存顧客へのクロスセルの導入等をしているものの、当連結会計年度のARPU(ストック収益)は一時的な減少により3,127千円、他方、当連結会計年度のARPU(フロー収益)は2,032千円となりました。

 以上の結果、セグメント売上高は1,488,607千円、セグメント利益は218,623千円となりました。

 

(III)EV充電事業

 「EV充電事業」においては、事業の立ち上げと推進のためにエンジニア・セールス人員を中心とした採用の拡大による組織体制の構築や、積極的なマーケティングの実施等先行投資を進めた結果、当社が注力する目的地充電(6kW以上)の設置口数は2025年4月2日末時点で累計7,373口(注4)となりました。また、パートナー連携を拡大するなど、更なる事業拡大を見据えた施策に取り組んでおります。

 以上の結果、セグメント売上高は145,851千円、セグメント損失は3,142,222千円となりました。

 

(注)1.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」より、2024年4月から2025年3月の電力販売額の合計。

2.資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画」(2025年2月18日)より、電動車は電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)を含む。

3.Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味する。

4.ミライズエネチェンジ株式会社のHPに記載の2025年4月2日時点で初期設定が完了した利用できる6kW以上の充電器スポットのみを抽出して作成(基礎充電は含まず)。

 

(経常損失)

 当連結会計年度において、営業外収益が5,517,416千円、営業外費用が3,968,061千円となりました。営業外収益の主な内訳は、補助金受贈益5,494,158千円です。営業外費用の主な内訳は、固定資産圧縮損2,680,460千円、支払手数料482,329千円、持分法投資損失390,918千円、支払利息354,283千円等です。

 この結果、経常損失は2,081,198千円となりました。

 

(税金等調整前当期純損失)

 当連結会計年度において、特別利益は2,427,890千円、特別損失は1,622,225千円となりました。特別利益の主な内訳は、関係会社株式売却益2,272,645千円等です。特別損失の主な内訳は、減損損失1,244,330千円、決算訂正関連費用引当金繰入額269,666千円です。

 この結果、税金等調整前当期純損失1,275,532千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損失)

 法人税、住民税及び事業税が6,016千円となりました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純損失が1,273,466千円となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当社グループは決算期変更に伴い、当連結会計年度は15ヶ月の変則決算となっております。このため、前連結会計年度との比較は行っておりません。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は4,263,507千円(前連結会計年度末2,179,715千円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は220,927千円となりました。主な増加要因は、減価償却費108,292千円、減損損失1,244,330千円、固定資産圧縮損2,680,460千円、持分法による投資損益390,918千円等であり、主な減少要因は、税金等調整前当期純損失1,275,532千円、決算訂正関連費用引当金の増減額826,855千円、関係会社株式売却益2,272,645千円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は3,397,103千円となりました。主な増加要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式売却による収入4,742,183千円、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出4,587,987千円、関係会社株式の取得による支出2,940,000千円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は5,283,334千円となりました。主な増加要因は、株式の発行による収入6,925,899千円等であり、主な減少要因は、社債の償還による支出1,000,000千円、長期借入金の返済による支出797,495千円等であります。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

 当社グループは決算期変更に伴い、当連結会計年度は15ヶ月の変則決算となっております。このため、前連結会計年度との比較は行っておりません。

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

エネルギープラットフォーム事業

エネルギーデータ事業

EV充電事業

1,070,100

合計

1,070,100

 

c.受注実績

 当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

エネルギープラットフォーム事業

5,081,097

エネルギーデータ事業

1,488,607

EV充電事業

145,851

合計

6,715,556

 

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社NEXT ONE

843,481

19.3

957,456

14.3

 

(5)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えています。これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮したうえで行っていますが、結果としてこのような見積りと実績が異なる場合があります。

 

(6)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであり、当該リスクが顕在化した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。そのため、当社グループは、市場動向等を注視し、組織体制の整備、リスク管理体制の強化、成長事業領域への継続投資等を行い、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減する対応を適切に行ってまいります。

 

(7)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものには、「エネルギープラットフォーム事業」における人件費及び広告宣伝費、「エネルギーデータ事業」におけるソフトウエア制作に係る人件費及び外注費のほか、管理部門における人件費等があります。

 当社グループでの資金需要は、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していくことを基本方針としており、資金需要の金額や資金使途に応じて柔軟に検討を行う予定です。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,263,507千円となっています。

 当社は2024年2月26日にJICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合を割当先とする新株式を発行し、総額3,999,899千円を調達しました。また、2025年2月19日に伊藤忠エネクス株式会社を割当先とする新株式を発行し、総額2,950,000千円を調達しております。なお、当社は当連結会計年度末において複数の取引金融機関との当座貸越契約を締結しており、資金調達手段を確保することにより、変動する資金需要に対応し、流動性リスクをコントロールしております。

 

(8)経営者の問題認識及び今後の方針について

 当社グループが認識する課題等について、経営者は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対処していく必要があると認識しております。これらの課題に対し、経営者は市場ニーズや事業環境の変化に関する情報の入手、分析を行い、現在及び将来の事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を適切に配分し、対応策を実施していく方針です。

 

(9)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

 「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

当社グループは、自由化領域において一般消費者向けに電力・ガス等の最適な選択をサポートする「エネルギープラットフォーム事業」及びデジタル化領域において電力・ガス会社向けにクラウドソリューションを提供する「エネルギーデータ事業」、EV充電設備の導入から運用までをパッケージしたサービスを提供する「EV充電事業」の3領域における事業展開をしており、これらの3つを報告セグメントとしております。

「エネルギープラットフォーム事業」は、「エネチェンジ」、「エネチェンジBiz」の運営を、「エネルギーデータ事業」は、主に「エネチェンジクラウドMarketing」及び「エネチェンジクラウドDR」をはじめとした電力会社向けのクラウドサービスの提供、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などのEVサービス向けソリューション「エネチェンジクラウドEV」の提供、並びに、ファンド運営事務サービス「JEF」の提供を、「EV充電事業」は、「EV充電エネチェンジ」のブランド名で、月額料金で利用できるEV充電サービスの提供を行っております。

なお、当社グループの2025年3月31日に終了する連結会計年度の「エネルギープラットフォーム事業」の売上高は5,081,097千円であり、当該金額は連結売上高6,715,556千円の75%を占めており、以下のような特徴があります。

(1)電力切替またはガス切替の成約手数料収入

・電力切替またはガス切替の成約手数料収入は、ユーザーが当社の展開する切替プラットフォームサービス上で、提携する電力契約またはガス契約の切替を実施すると、当社が電力会社またはガス会社より一定の収入を受領するものであります。

・当該収入について、直近3年間で売上高が急増しており、売上高上位の取引先が毎期変動しています。

(2)パートナー企業に対する顧客紹介手数料収入

・当社は、自社プラットフォームでの集客に加え、パートナー企業経由での集客を行っております。

・パートナー企業は自身が実施するネット回線等の切替サービスを実施しておりますが、当社は当該パートナーに対して顧客紹介を行っており、顧客紹介手数料を受け取っております。当該収入について、当連結会計年度に売上高が急増しております。

・パートナー企業に対する売上高に加え、パートナー企業にユーザー獲得のための営業委託を行っており業務委託費用が発生しております。

・従って、売上高と費用の両方が同一の取引先で計上されております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表作成において採用している会計処理の方法と概ね同一であります。報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

また、報告セグメントごとの業績をより適切に評価するため、共通費の配賦方法を変更しております。なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の配賦方法に基づき作成したものを開示しております。

 

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報

前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

連結財務諸表

計上額

(注)2

 

エネルギープラットフォーム事業

エネルギー

データ事業

EV充電事業

売上高

 

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

3,241,980

997,212

139,807

4,379,001

4,379,001

セグメント間の内部売上高又は振替高

3,241,980

997,212

139,807

4,379,001

4,379,001

セグメント利益又は損失(△)

359,435

158,420

△1,815,548

△1,297,693

△827,324

△2,125,017

その他の項目

 

 

 

 

 

 

減価償却費

514

46,089

12,350

58,954

24,394

83,348

のれんの償却額

71,817

37,235

109,052

109,052

持分法投資損失

△90,573

△90,573

△90,573

持分法適用会社への投資額

836,574

836,574

836,574

(注) 1.セグメント利益又は損失(△)の調整額△827,324千円及び減価償却費の調整額24,394千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費です。

   2.セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。

3.当社グループでは、セグメント資産及び負債を経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象としていないため、記載しておりません。

  ただし、関連する費用については合理的な基準に基づき、各報告セグメントに配分しております。

 

当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2025年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

連結財務諸表

計上額

(注)2

 

エネルギープラットフォーム事業

エネルギー

データ事業

EV充電事業

売上高

 

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

5,081,097

1,488,607

145,851

6,715,556

-

6,715,556

セグメント間の内部売上高又は振替高

-

-

-

-

-

-

5,081,097

1,488,607

145,851

6,715,556

-

6,715,556

セグメント利益又は損失(△)

659,029

218,623

△3,142,222

△2,264,570

△1,365,983

△3,630,553

その他の項目

 

 

 

 

 

 

減価償却費

906

85,065

808

86,779

21,512

108,292

のれんの償却額

121,424

-

-

121,424

-

121,424

持分法投資損失

-

△390,918

-

△390,918

-

△390,918

持分法適用会社への投資額

-

784,410

539,578

1,323,989

-

1,323,989

(注) 1.セグメント利益又は損失(△)の調整額△1,365,983千円及び減価償却費の調整額21,512千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費です。

   2.セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。

3.当社グループでは、セグメント資産及び負債を経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象としていないため、記載しておりません。

  ただし、関連する費用については合理的な基準に基づき、各報告セグメントに配分しております。

 

 

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

株式会社NEXT ONE

843,481

エネルギープラットフォーム事業

 

 

当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2025年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

株式会社NEXT ONE

957,456

エネルギープラットフォーム事業

 

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

エネルギープラットフォーム事業

エネルギー

データ事業

EV充電事業

全社・消去

合計

減損損失

22,786

1,583,703

1,606,489

 

当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2025年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

エネルギープラットフォーム事業

エネルギー

データ事業

EV充電事業

全社・消去

合計

減損損失

193,141

414,821

634,417

1,950

1,244,330

 

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

エネルギープラットフォーム事業

エネルギー

データ事業

EV充電事業

全社・消去

合計

当期償却額

71,817

37,235

109,052

当期末残高

357,900

357,900

 

当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2025年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

エネルギープラットフォーム事業

エネルギー

データ事業

EV充電事業

全社・消去

合計

当期償却額

121,424

-

-

-

121,424

当期末残高

130,204

-

-

-

130,204

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

該当事項はありません。