2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載します。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示します。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。なお、2025年3月10日以降、「EV充電事業」が中部電力ミライズ株式会社との合弁会社である新会社「ミライズエネチェンジ株式会社」により事業運営が開始しており、当該新会社による事業運営の開始により、2025年3月末以降、EV充電事業は連結の範囲から外れております。

 

(1)事業環境に関するリスクについて

①電力小売市場について

 当社グループが事業展開をしている電力業界においては、社会全体でのデジタルトランスフォーメーション(DX)への要望が高まっており、「エネルギープラットフォーム事業」ではオンラインでの切替需要増加、「エネルギーデータ事業」では、電力ガス事業者からのDXサービスの導入需要増加等当社グループの業績にとっては好影響になる要素も多いと考えております。しかしながら、今後エンドユーザーの切替意欲の減退による切替数の鈍化や、新電力の競争力低下に伴うシェアの伸び悩み等の要因により、切替が進行しなかった場合、或いは電力ガス事業者に対するDXサービスの導入が順調に進展しなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②電力制度改革について

 当社グループが事業を展開するエネルギー分野では、東日本大震災以降、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の導入や電力・ガス小売の全面自由化、送配電部門の法的分離など、制度改革が継続的に進められてきました。さらに2024年12月に第7次エネルギー基本計画が策定され、電力自由化から10年を経た制度改革の到達点や課題が整理されつつあります。

 こうした中、分散型電源の拡大や需給調整力の高度化に対応するため、同時同量市場(同時市場)の導入や、排出量取引制度(カーボンプライシング)の本格導入など、エネルギー市場の構造改革が今後数年で本格化する見通しです。これらの制度は、電力ビジネスの取引構造や競争環境に大きな影響を与える可能性があります。

 当社グループにとって、これらの制度変化は小売支援、需給最適化、分散型リソース活用における新たな事業機会をもたらす一方で、制度の施行時期の遅延や設計の不確実性が事業戦略に影響を及ぼす可能性もあります。特に、取引市場の変化に迅速に適応できなかった場合や、想定外の制度設計となった場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があると認識しております。

 

③その他関連市場について

 当社グループの展開するサービスは主にインターネットを通じて提供されているため、使用環境の改善や利用可能な端末の増加等を通じたインターネット関連市場の更なる発展が、当社グループの成長のためには重要であると考えております。また、当社グループがサービス展開を行う上での基盤となるクラウド関連市場やビッグデータ関連市場については、今後拡大が見込まれており、当社グループとして積極的に関連サービスを多角的に展開する方針です。

 しかしながら、これら当社グループが事業展開する上での基盤となる関連市場が、新たな規制やその他予期せぬ要因により急激な変化に見舞われ、使用環境への制限等を通して発展が阻害された場合は、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業内容及び提供サービスに関するリスクについて

①電力・ガス会社への依存について

 当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」においては、取引先の電力・ガス会社からの収益が主な収益源となっております。そのため、資源価格や日本卸電力取引所(以下「JEPX」)における電力取引価格の想定外の高騰、自然災害や突発的な事象等予期せぬ事態、などの影響により取引先電力・ガス会社の経営状態が悪化した場合、また電力・ガス会社における集客チャネルに関する戦略の変更等により、当社グループ以外のチャネルの重要度が高まった場合には、既存契約の条件見直しや解消、新規発注の停止等につながる可能性があります。当社グループとしては、取引先電力・ガス会社の分散を通じてリスクの低減に努めておりますが、特定の時期にかかる事象が集中発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②大型案件について

 当社グループの「エネルギーデータ事業」においては、顧客の個別ニーズや予算規模により受注案件が大型化した場合、売上計上が可能となるサービスのリリースに至るまでに長期間を要する可能性があります。一部大型案件の受注可否については、特定顧客の動向や判断に左右される部分が多いため、当該案件の受注が計画のとおりに進まなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③サービスのライフサイクルについて

 当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」においては、当社サービスを経由して電力・ガス会社の契約切替を行ったユーザーの小売供給契約期間は基本的に1年間となっておりますが、その後ユーザーの意思に従って契約の更新又は解約がなされます。当社としてはユーザーにとっての最適な小売供給契約の締結をサポートするために、契約締結後もカスタマーサポートの提供や営業活動を通じた顧客ニーズの継続的な把握等に努めており、追加的な電力・ガス会社の切替ニーズが発生した場合は、そのサポートも実施することで継続的な切替報酬を収受しております。しかしながら、当社提携外の電力・ガス会社からの営業活動等により、ユーザーが小売供給契約を当該電力・ガス会社に切替えた場合は手数料収入が減少するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④競合他社の状況について

 「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭向け・法人向けユーザーに電力・ガス切替プラットフォームを展開する事業者が多数存在しており、加えて電力・ガス会社自身も直接または間接的に営業活動を行っていることから、当該事業分野は一定の競争環境下にあると認識しております。当社は現在、提携電力・ガス事業者数の拡大、サービス価値また集客力の向上、パートナーシップ拡大等にの施策を通じてオンライン、オフラインともに一定の競争優位性を有していると認識していますが、今後、 既存・新規の競合他社が同様またはより優れたサービスやマーケティング手法を導入した場合、 業界再編や新規参入等によって市場環境が大きく変化した場合、 電力・ガス会社による直販営業の強化や販売チャネルの多様化がより進んだ場合などにより、当社の市場シェア縮小、価格競争の激化、収益性の低下などが生じるリスクがあります。 また、オフラインの営業活動において代理店による顧客対応が十分でない場合や、優秀な人材の離職・競合他社への流出が生じた場合には、当社の営業活動や事業運営に一定の影響が生じる可能性があります。

 「エネルギーデータ事業」においては、一部顧客管理システムや需給管理システムを対象にした商材展開を行っている事業者が存在しております。しかしながら、「エネチェンジクラウドMarketing」においては「エネルギープラットフォーム事業」で蓄積された独自データベースを活用しオンライン上での顧客獲得を推進させるという、ユニークなポジショニングでのサービス展開を実施しているため、本書提出日現在では競争環境は比較的軽微なものと認識しております。今後新たな競合が参入した場合も、電力・ガス比較サイト「エネチェンジ」で培ったマーケティングの知見や蓄積されたデータベース、データ解析技術等を差別化要因として、競合に対する優位性は保てるものと認識しております。

 「エネチェンジクラウドDR」においては、今後スマートメーターの普及とともに国内外の競合他社が増加し、競争環境が激化してくる可能性がありますが、国内外の顧客企業へのサービス提供を通じて蓄積された独自データベースを活用したプロダクトの開発やデータ活用に関する知見、導入実績の積み上げにより競争力の向上に努めてまいります。

 「エネチェンジクラウドEV」においては、今後のEVの普及に伴い国内外の競合他社が増加し、競争環境が激化してくる可能性がありますが、「EV充電エネチェンジ」アプリのノウハウを活用した、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などは模倣が困難であり、競合優位性を保てるものと認識しております。「エネチェンジクラウドRE」においては、非化石証書を始めとした多様化する再エネメニューや、自己託送の業務負荷を軽減する必要性の増加などを背景として今後ニーズの拡大が見込まれており、競合環境が激化してくる可能性がありますが、様々なエネルギー関連企業との取引を通じて蓄積されたノウハウを活用し、競争力の向上に努めてまいります。しかしながら、今後他に優れた技術やビジネスモデルを持ち合わせた競合の参入により、当社グループの事業領域における競争激化の結果として当社グループユーザーの解約や電力・ガス会社との契約単価の下落が生じる場合、若しくは当社グループサービスの導入が進まなかった場合は、当社グループの事業及び経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤検索エンジンのロジック変化について

 当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」では、GoogleやYahoo!Japan等の検索エンジンから多くのユーザーを集客しており、今後も検索エンジン経由の集客強化を目的にSEO対策等の取り組みを継続してまいります。しかしながら、検索エンジンを提供する企業による検索アルゴリズムの変更や、新たな検索エンジンが普及した場合、検索結果の表示順位が変動し、当社サービスへの集客及び経営成績・財政状態に影響が生じる可能性があります。加えて、近年のChatGPTをはじめとする生成AI・対話型AIの進化や、AIによる情報取得スタイルの変化等により、従来の検索エンジンに依存したSEO施策が十分な効果を発揮しなくなる、あるいは検索エンジン以外の新たな集客チャネルの重要性が相対的に高まるリスクも想定されます。今後さらなるテクノロジーの進化やユーザーの情報収集行動の変化によって、現行の集客手法が有効でなくなる場合、当社グループの事業及び経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥技術革新等について

 当社グループが事業展開するエネルギー分野においては、電力ビッグデータのAI技術による解析の他、電気自動車、蓄電池といった分野における技術革新や、技術の普及に伴う価格競争力の強化によって、従来にはなかった様々なサービスの誕生が見込まれており、それに伴った顧客ニーズの変化も発生するものと予想されます。当社グループは、これらの変化に対応するため、ENECHANGE Insight Venturesというアクセラレーションプログラムの運営を通じた海外の有望な電気自動車、蓄電池制御関連のエネルギーベンチャーとの連携を率先して行う等情報収集・連携に努めております。また、それらの技術を実用化するために必要な技術者の確保や体制の整備に努めておりますが、今後当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦海外展開について

 当社の関連会社であるJapan Energy Capital 1 L.P.は主に中東地域での再生可能エネルギー発電所への投資を行っており、関連会社であるJapan Energy Capital 2 L.P.は海外のエネルギーベンチャー企業への投資を行っております。これらの取組みに関して、海外における当社グループの事業に係る法規制等の成立・改正等が実施された場合、政治情勢により事業運営に支障をきたす事態が生じた場合、予期せぬ自然災害、人為災害、テロ、戦争や感染症等が発生した場合等は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧システム障害等について

 当社グループの事業は、電力やガス等のインフラ関連企業の継続的なサービス提供が前提となっております。また当社グループのサービスは、主にインターネットを介して提供されており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信インフラに依存しております。従って、自然災害、人為災害、テロ、戦争等に伴いシステム障害が発生することでサービスの提供が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業別コンティンジェンシープランを作成し、役職員に対して周知することでこれら不測の事態に対しての対応を定めておりますが、かかる事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨当社が出資するファンドの投資コミット金額について

 当社グループの「JEF」サービスにおいては、Japan Energy Capital合同会社より、主に海外の再生可能エネルギー発電所への投資を行うファンドであるJapan Energy Capital 1 L.P.及び海外の脱炭素化ベンチャー企業への投資を行うファンドであるJapan Energy Capital 2 L.P.のファンド運営業務等を独占的に受託しており、Japan Energy Capital 2 L.P.の運営業務等に係る報酬はJapan Energy Capital 2 L.P.の投資コミット金額に連動します。なお、Japan Energy Capital 1 L.P.への出資は完了し、今後のJapan Energy Capital 1 L.P.の運営業務等に係る報酬はJapan Energy Capital 1 L.P.の投資残高に連動します。

 

(3)業績変動に関するリスクについて

①四半期毎の業績変動等について

 「エネルギープラットフォーム事業」における売上高は、特定の電力・ガス会社の撤退等に伴う切替先の電力・ガス会社を探すユーザーの増加により切替報酬が一時的に増加するといった外部環境の要因や、引越の繁忙期における切替報酬増加、または暖冬・冷夏等の特定の気象状況下における切替報酬減少等、季節要因の影響により変動します。

 「エネルギーデータ事業」における売上高は、新規受注や新規機能のサービスリリースに伴う一時的な売上が発生する等の要因で変動する傾向にあります。また人材の確保を円滑に進めるための採用活動に伴う費用や、新規ユーザーを獲得するための各種プロモーション施策に係る費用が一部四半期に集中することもあります。

 

②事業領域の拡大について

 当社グループが取り組む事業領域では、市場の規制撤廃や新たな技術革新やサービスモデルの誕生が見込まれております。本書提出日時点において、当社グループの収益は、「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」による影響を大きく受けている状況であるため、当社グループは、「エネルギーの4D」に則した新たな収益源を常に模索し、事業の拡大と安定化に取り組んでおります。しかしながら、事業領域を拡大し、新たな分野に進出することで、人材採用、システム開発、営業体制構築等の投資を実施したにも関わらず、当該分野における収益化が進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③為替変動について

 当社グループでは、海外子会社の現地通貨建ての財務諸表を日本円に換算した上で、連結財務諸表を作成しております。また、一部外貨建ての出資や債権債務、外貨建てで収入若しくは支出が発生する取引が存在します。従って、為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)コンプライアンス・法的規制等に関するリスクについて

①法的規制について

 当社グループが事業展開する電力業界においては、電気事業及びその関連事業を行う者に対し電気事業法が課せられております。当社は小売電気事業者と一般ユーザーとの間の小売供給契約締結の「媒介」(注)を行う事業者として取引に関与しており、電気事業法及び同法施行規則で定められた義務や、経済産業省が公表する「電力の小売営業に関する指針」上のガイドラインに基づいて事業を行っております。また当社は、小売電気事業者として経済産業省へ登録(法人番号6010601047805)を行っております。

 これら関連法規制やガイドラインへの対応については、外部弁護士の見解確認を踏まえて四半期毎のコンプライアンス・リスク管理委員会において慎重に判断を行っておりますが、新たな法令等の制定や、当社グループが想定しない形での既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(注)「媒介」とは、「他人(小売電気事業者及び小売供給を受けようとする者)の間に立って、当該他人を当事者とする法律行為(小売り供給契約)の成立に尽力する事実行為」をいいます。また「媒介」の他にも「取次ぎ」「代理」のパターンがあり、「取次ぎ」とは「自己の名をもって、他人(小売供給契約)の計算において、法律行為(小売供給契約)をすることを引き受ける行為」をいい、「代理」とは、「他人(小売電気事業者)の名をもって、当該他人のためにすることを示して行う意思表示」をいいます(「電力の小売営業に関する指針」)。

 

②知的財産権について

 当社グループが事業活動を行うにあたり、第三者が保有する商標権、著作権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っており、損害賠償請求や特許権侵害の訴訟等は現在ありません。しかしながら、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者より、損害賠償請求、使用差し止め請求、ロイヤリティの支払要求等が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③情報管理について

 当社グループでは、企業情報及び個人情報を取り扱っております。当社においては、個人情報取扱事業者として適切な管理体制を構築するため、プライバシーマークを取得し、他の情報についても厳密なセキュリティルールを施して管理することに加え、情報管理に関する社員研修も毎年受講必須とする等、社員教育・運用面の徹底もしております。また、情報管理に関しての適切な運用遵守状況を内部監査室が組織横断的に確認しております。しかしながら、万が一不測の事態によりこれらの情報が流出・漏洩した場合には、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④メディアコンテンツの品質維持について

 当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」で運営しているメディアのコンテンツとして、電気やガスをはじめとしたライフサポート領域に関する記事の制作の一部を、外部委託しております。かかるコンテンツの内容については公開前に自社ガイドラインと照らし合わせた厳正なチェックを行っており、また、その運用状況を内部監査にて確認することで、著作権侵害やコンテンツの盗用等の事態を未然に防止するような体制を構築しております。しかしながら、当社の意図せざる事態によってメディアの一部コンテンツが第三者の権利侵害等を発生させていると認定された場合、当該第三者より使用差し止め請求や損害賠償請求、ロイヤリティの支払い要求等が発生する可能性があり、かかる場合において当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤広告掲載について

 当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」において掲載される広告については、当社独自の広告掲載基準による確認を実施し、景品表示法等の関連法令に違反する広告や公序良俗に反する広告の排除に努めております。しかしながら、人為的な過失等に起因して広告掲載内容に瑕疵が発生した場合や広告掲載が行われなくなった場合においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥訴訟等について

 当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」において、サービス利用規約を定めてサービス利用者からの同意を得ることで利用者との間での紛争防止に努めております。また当社の社内規程として、「コンプライアンス規程」及び「リスク管理規程」を定め、役職員に対して当該規程を遵守させるとともに、コンプライアンス違反の恐れのある事象については経営執行会議やコンプライアンス・リスク管理委員会等に報告する仕組みを構築・運用することで、法令違反や損害賠償等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループの提供するサービスに関連して顧客、取引先、及びその他第三者との間で予期せぬトラブルが生じた結果、訴訟に発展する可能性があります。かかる訴訟の内容及び結果によっては、訴訟対応費用の発生や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)その他のリスクについて

①固定資産の減損等について

 当社グループでは、継続的に行う開発投資に係る人件費等の一部をソフトウエア資産として計上することがあります。これらの資産を利用して提供するサービスの収益性が著しく低下した場合、当該資産について減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 また、過去に実施した株式取得や事業譲受によって生じたのれんは、当該株式取得や事業譲受による期待収益及び将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと想定しております。しかしながら、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断された場合等においては、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②関連会社株式等の減損等について

 当社グループは、事業を遂行する過程で、海外企業等への投資を行うリミテッドパートナーシップ形態のファンドへの出資、他社との業務提携や合弁会社設立にあたり取得した関連会社株式等を保有しております。これらの関連会社株式等は金融商品に関する会計基準に基づき適切に減損の判定を実施しております。当該投資先に対しては、定期的に適切なモニタリングを実施する体制を構築しておりますが、当該投資先の財政状態の悪化による実質価値の著しい低下が発生した場合、投資金額を回収するのに十分な将来の経済的便益が見込めないと判断した場合等においては、減損損失が発生し、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について

 当社では、取締役、執行役員、従業員に対するインセンティブを目的としたストックオプション制度を採用しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は5,142,364株であり、発行済株式総数42,628,620株と潜在株式数5,142,364株の合計の10.8%に相当します。今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

④人材の確保・育成について

 当社グループでは、事業の持続的な成長を支える優秀な人材を確保することが事業運営上重要であると考えております。このため、テレワークの恒久化、テレワーク手当の支給等、優秀な人材を惹きつけることができるような取組みを積極的に実施しております。今後も優秀な人材の採用を積極的に推進し、当社グループの企業理念及び経営方針を理解した社員の確保・育成を行ってまいりますが、雇用情勢の変化等により、計画のとおりに人材が確保できない場合には、事業運営や開発計画に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤大規模な自然災害等について

 当社グループは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、世界的に流行した新型コロナウイルス感染症については、当社グループでは新型コロナウイルス感染症の流行以降、迅速にリモートワークを推奨しており、柔軟に事業を継続できる体制の整備に努めており、当社グループのビジネスへの影響は軽微であると認識しております。しかしながら、同様の感染症の流行等により、度重なる緊急事態宣言の発令や外出自粛等により法人ユーザーの電力使用量が極端に低下し、当社グループ顧客の業績への影響が想定を超えて拡大したりした場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥内部統制について

 当社グループは、2024年6月27日付「外部調査委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」のとおり、当社グループのEV充電事業におけるSPC(EV充電インフラ1号合同会社)を非連結とした本件会計処理について、2024年3月より独立した外部の有識者による外部調査委員会を設置して調査を進め、2024年6月21日付で外部調査委員会より調査報告書を受領しました。外部調査委員会による調査及び検証の結果、EV充電事業の事業リスクに対応し得る態勢の不足、本件会計処理に関わった当時の当社代表取締役CEO城口洋平氏及び一部の執行役員において、当時の会計監査人である有限責任 あずさ監査法人との適切なコミュニケーションが不足しており、また、そのような状況について認識を共通化することができていなかったこと、株価の上昇を強く志向する一方でコンプライアンスを軽視した経営トップらの姿勢、実効性のある内部統制及びガバナンスが構築されず、本件会計処理を採用するにあたって十分な牽制・監督機能を果たすことができていなかったことが発生原因と評価されました。

 当社は、2024年9月24日付「改善報告書」のとおり、外部調査委員会の調査結果を踏まえ、当社として、本件会計処理に起因する一連の問題の発生原因として、①当時の代表取締役CEOへの権限集中と強烈なトップダウンカルチャー、②業績優先の経営姿勢、③管理部門による内部牽制機能の不足、④取締役会及び監査役会への情報共有の不足に起因する監督機能不全、⑤経営陣のコンプライアンス意識を軽視する姿勢、⑥会計・法務コンプライアンス面における社内体制の脆弱性、⑦会計監査人とのコミュニケーション上の課題、⑧外部専門家の活用の不足があったと認識し、再発防止策を策定し、2025年3月25日付「東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ」に添付の「改善状況報告書」第3.改善措置並びにその実施状況及び運用状況等のとおり、再発防止策の堅実な実施に努めております。

 ただし、これらの再発防止策の継続的な実行及び内部管理体制等の強化が適切になされない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態、レピュテーション並びに金融機関、大株主、取引先、監督省庁等との関係等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、その他内部統制の整備上の欠陥や運用上の認識不足等の不備により財務報告等に重大な誤りが生じた場合にも、当社の信用が失墜すると共に、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当該再発防止策の実行状況に関する詳細は、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び2025年3月25日付「東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ」に添付の「改善状況報告書」第3.改善措置並びにその実施状況及び運用状況等をご参照下さい。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。

 このことから創業以来配当は実施しておらず、当事業年度においても剰余金の配当は実施しておりません。今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。なお、内部留保資金につきましては、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に活用する方針であります。

 将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、本書提出日現在において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 配当を行う場合には、期末配当にて年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。また、配当の決定機関は取締役会であります。なお、2020年9月1日開催の臨時株主総会決議により、会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる旨を定款に定めております。なお、剰余金の配当基準日は、期末配当は毎年3月31日、中間配当は毎年9月30日とする旨を定款に定めております。