2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    346名(単体) 637名(連結)
  • 平均年齢
    39.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    10.3年(単体)
  • 平均年収
    7,402,295円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

イベント関連事業

(注)2

音楽・映像事業

(注)2

出演・CM事業

(注)2

合計

637(265)

(注)1.従業員数は就業人員であり、( )内は平均臨時雇用者数で外数となっております。

2.当社グループの事業区分は内部管理上の区分によっており、各々のセグメントごとに従業員数を集計することは困難であります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

346

(215)

39.63

10.33

7,402,295

 

セグメントの名称

従業員数(名)

イベント関連事業

(注)3

音楽・映像事業

(注)3

出演・CM事業

(注)3

合計

346(215)

(注)1.従業員数は就業人員であり、( )内は平均臨時雇用者数で外数となっております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業区分は内部管理上の区分によっており、各々のセグメントごとに従業員数を集計することは困難であります。

 

(3)労働組合の状況

労働組合はありませんが、労使関係は良好であり特記すべき事項はありません。

 

(4)提出会社の管理職に占める女性労働者の割合、男女の平均継続勤続年数の差異及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1

男女の平均継続勤続年数

の差異(年)

(注)2.4

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

女性

男性

全労働者

うち正規雇用

労働者

(注)2

うち非正規雇用労働者

(注)3

42.0

11.3

9.5

79.1

84.3

85.5

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.正社員を対象としております。

3.契約社員(期間の定めなし)、契約社員(有期労働者)、嘱託社員、アルバイトを対象としており、派遣社員は対象外としております。

4.男性労働者の育児休業取得率については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。また、男女の平均継続勤続年数の差異については、公表義務の対象ではないものの任意で記載しております。

②連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1

男女の平均継続勤続年数

の差異(年)

(注)2.4

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

女性

男性

全労働者

うち正規雇用

労働者

(注)2

うち非正規雇用労働者

(注)3

㈱極東電視台

36.0

6.8

8.5

82.1

78.9

120.3

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.正社員を対象としております。

3.契約社員(有期労働者)、嘱託社員、アルバイトを対象としており、派遣社員は対象外としております。

4.男性労働者の育児休業取得率については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。また、男女の平均継続勤続年数の差異については、公表義務の対象ではないものの任意で記載しております。

5.連結子会社のうち株式会社極東電視台以外のものについては、常時雇用する労働者数が100人以下のため記載を省略しております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

サステナビリティの基本方針

当社の価値創造の源泉はアーティスト、社員といった「人」であり、当社の持続的な成長にとって最も重要な要素であると考えております。「人」がその才能や個性を発揮し、互いに高めあうことで、当社の価値は最大化します。人的資本をどのように守り、強化していくかは経営戦略上の最重要課題と認識しております。

また、昨今様々な社会課題が顕在化し、企業にも責任ある対応がより求められております。当社においても社会や時代の要請に積極的に対応することは当然のことながら、当社が強みとするエンターテインメント企業としての発信力を活かし、多くの人々に社会課題についての気づきや考える機会を提供することで、社会全体をより良い方向に導いていくことが、当社が果たすべき社会的責任と捉えております。

当社はこの「人的資本の強化」と「より良い社会を築くための発信力の活用」をサステナビリティの重要事項と位置付け、中長期的な企業価値の向上と、誰もが良く生きられる持続可能な世界の実現を目指してまいります。

 

Ⅰ)サステナビリティ全般

(1)ガバナンス

当社グループにおけるサステナビリティの取組をさらに促進するため、2022年度よりサステナビリティ委員会を設置し、重点テーマを中心に、グループ・部門横断で協議しております。

サステナビリティ委員会は社長直轄の委員会であり、代表取締役社長を委員長、経営企画部を事務局とし、グループ会社を含む部門責任者を中心として構成されております。委員会では四半期に一回程度の全体会に加え、具体的な目標を設定した分科会を随時開催しており、当該委員会で協議した内容は年一回取締役会へ報告しております。2023年度は「心と身体の健康」「ダイバシティ&インクルージョン」「環境」「働きかた/働きがい」の4つを重点テーマと位置づけ、外部専門家のアドバイスを交えながら、実行方針を策定や、具体的な取組を進めました。

また、採用や人事異動といった人的資本に関する重要事項については、人事部が中心となり、取締役との協議・報告体制をとっております。

 

(2)リスク管理

人的資本及びその他サステナビリティに係るリスクについては、コーポレートガバナンス委員会への報告を通じて全社的なリスク管理及び内部統制システムに取り込み検討しております。

人的資本に係るリスクについては、人事部から適時取締役への報告を行うことに加え、定期的にコーポレートガバナンス委員会へ報告しております。

また、その他サステナビリティの課題は広範にわたるため、サステナビリティ委員会内で「当社経営・事業に対する影響の重要度」及び「ファンの皆様、投資家などステークホルダーにおける重要度」の2つの軸で重要性を評価・議論しておりますが、その中でも特に重要であると認識したリスクは事務局からコーポレートガバナンス委員会に定期報告を行っております。サステナビリティ委員会は、2023年度においては「心と身体の健康」「ダイバシティ&インクルージョン」「環境」「働きかた/働きがい」を重点課題とし、考えられるリスクや取組について議論いたしました。

 

(3)戦略

前述のとおり、当社ではアーティスト、従業員といった人的資本に係る戦略をサステナビリティの最重要項目と位置付けて取組を進めております。

 

1.アーティストに関する取組

当社では所属するタレントのクリエイティビティに敬意を表し、ジャンルに依らず、所属するタレントを「アーティスト」と呼んでいます。アーティストは当社事業の価値創造の源泉であり、その唯一無二の才能と向きあい世の中に届けることが当社にとって最大の使命であると認識しております。多彩なアーティストが才能を発揮し、長く活躍し続けられる環境づくりに努めております。

1) 新人アーティストの才能開花を応援する取組

・「AMUSE CAMPα」

2022年より、いわゆるZ世代からα世代の可能性をもった若いアーティストの強化育成プログラム「AMUSE CAMPα」をスタートいたしました。本プログラムでは、当社所属アーティストを含む講師陣による演技・ダンス・ヴォーカルをはじめとした様々なレッスンを実施し、小学生から大学生までの約40名の当社新人アーティストが、切磋琢磨しながらその才能を磨いております。次世代の才能を輩出してきた当社ならではの育成プログラムを拡充し、新たなアーティストの発掘と育成を引き続き強化してまいります。

 

2) 長期視点でのマネージメントを実現するための取組

・アーティストを中心としたプロデュースとサポート体制

当社ではアーティストが長く活躍を続けるためには、その才能に加え、プロデュース体制が重要であると捉えており、なかでもアーティスト・マネージャーの強いパートナーシップを実現する上で不可欠なマネージャーの人員確保・配置の最適化に努めております。2020年にはアーティストの送迎を行う「車両室」を設置し、アーティストや社員の安全管理を向上させるとともに、マネージャーの業務負荷を分散させることで、アーティストとのコミュニケーションやプランニングなどのプロデュース業務により集中できる環境をつくりました。また、ファンクラブやグッズ製作においても、アーティストごとの担当者がアーティストやマネージャーと直接的に関わりながらサービス開発にあたる担当制を導入しており、アーティストを中心に据えた最適なプロデュース体制を構築しております。あわせて、法務、税務、リスクマネージメント、ヘルスケアなどのサポート機能を充実させることで、アーティストが安心して創作活動に専念できる環境づくりを目指しております。

 

3) アーティストのプライバシーや権利を守るための取組

・法務部のX(旧Twitter)アカウント

当社では以前より、アーティストに係る過度な憶測記事や私生活への介入を伴う取材行為、アーティストへのなりすまし行為など、アーティストの権利を侵害する行為に対して、所轄の警察署やその他の専門機関と連携を取り、必要な対応を行ってまいりました。情報発信の場がSNSへと移行し、デジタル上での権利侵害が深刻化してきたことを受け、2020年には当社法務部(2019年に部格として新設、新設当初の名称は「グループ法務部」)がTwitter(現X)上でアカウントを開設し、アーティストの権利や利益を守るために、誹謗中傷やデマ情報などの権利侵害に関する警告や注意喚起をするとともに、度を超える悪質なものに対してはしかるべき法的手続きを行っております。

 

2.人材に関する取組

多様なジャンル・属性のアーティストをマネージメントするためには、多様なプロデュース人材が必要です。性別や年齢、経歴や国籍などに捉われずに、多様な才能を獲得・受け入れることで、豊かな感性を育んでいます。

 

1) 多彩な人材獲得のための取組

・定期採用

定期採用では、30歳未満(長期勤続によるキャリア形成のため)であれば、学歴、経験、経歴は不問です。選考段階から一般的なエントリーシートの提出や、面接だけではなく、応募者1人1人の個性と向き合える選考を意識し、選考フローの中に合宿を取り入れるなど、ルールや慣習に縛られない採用を実施しています。

また定期採用のほかにも随時、積極的なキャリア採用も行っております。

 

2) 個性・感性・能力を磨くための取組

<人事制度>

・等級と役職の分離

個人の能力・スキルを評価する「等級」と、組織内での役割にあたる「役職」を分離し、個々の能力や適性を発揮できる仕組みを運用するとともに、有能な若手人材の抜擢・登用がしやすい環境づくりを行っております。

 

・業務報告、及び評価シートにおける「目標以外の成果」項目の設置

月次の業務報告や期末の評価において「目標以外の成果」を記載・評価する項目を設置しています。現在の所属部署や担務、設定した目標の枠にとらわれずに、広い視野で挑戦する姿勢、チームに貢献するマインドを奨励しております。

 

<研修>

・「One Young World」への派遣

次世代リーダー育成と国際交流を目的とした世界規模のサミット「One Young World」に社員やアーティストを派遣しています。気候変動やジェンダー平等などの様々な社会課題に当事者意識を持ち、解決のための発想力と実行力を身につける機会を提供しております。

 

・各種セミナー・研修

階層別研修(管理職研修・年次研修・新入社員研修)や部門別研修などのほか、SDGs・ダイバーシティ・ハラスメント・スキル向上といった様々なテーマに関するセミナーや勉強会を開催し、より広い視野とスキルを持った人材育成に取り組んでいます。

 

3) チーム力を強化するための取組

・全社横断プロジェクト、コミュニケーションチーム

「FUN OUT! ~ FIREWORKS ON SAIKO ~」(2021年12月山梨県・西湖)のように、所属部署・職種を問わず、全社員が一丸となってイベントの運営に取り組むことで、普段の業務とは異なる視点を体験するとともに、部署の垣根を越えたコミュニケーションの機会を創出し、事業や社員同士の理解を促進しております。また、毎年様々な部署からメンバーを集めたコミュニケーションチームを運営し、BBQや釣り、スポーツや映画観賞などのレクリエーションを企画することで、部署を越えたコミュニケーションの創出、業務の活性化を促進しています。

 

・ESOP(業績連動株式報酬制度)

企業価値をより一層向上させることへのインセンティブや、経営参画の意識を高めることを目的として、管理職相当の社員を対象にESOP制度を導入しております。

 

3.アーティスト・従業員共通の取り組み

1) 心と体の健康(ウェルネス)を守る取組

・アミューズ ヴィレッジ

2021年に山梨県・西湖湖畔に創設した新本社「アミューズ ヴィレッジ」は新しいクリエイティブの拠点であると同時に、アーティスト、社員のコミュニケーションを活性化し、心と身体を解放するための福利厚生施設としても機能しています。業務利用のみならずプライベートでも利用できる宿泊施設やジム、大浴場を完備し、地産無農薬野菜を取り入れた食事を提供するなど、都会では享受できない自然環境のもとでのウェルネス促進を目指しております。

 

・産業医への健康相談体制、各医療機関との連携

定期受診や各医療機関との連携に加え、アーティストや社員からの幅広い相談を受けることができるよう、2020年度より産業医を1名から3名に増員しました。また、コロナ禍では総務部を中心とする新型コロナウイルス感染症対策チームを組成しました。ワクチンの職域接種や検査体制の整備を行うとともに、感染者発生時には必要に応じて医療機関と連携を取りながら、感染者のサポートを実施いたしました。

 

・保養所/勤続10年リフレッシュ制度

社員、アーティストはニューヨークやハワイにある宿泊施設を通常よりも割安な宿泊費で利用することが可能です。また勤続10年の社員を対象として、これら2つの保養所の宿泊費と航空券費用を補助する「勤続10年リフレッシュ制度」も導入しております。

 

2) 法令、コンプライアンス遵守に係る取組

・コンプライアンス研修等

ハラスメントや著作権、情報漏洩等、幅広いトピックスを取り上げたコンプライアンス研修を、新卒採用及び中途採用者の全員に、また、既存社員には必要に応じて実施し、多様な人材が活躍する中にも、健全で前向きなアイデアとコミュニケーションが活性化する風土を醸成しています。また、新規契約アーティストを中心に法務部がコンプライアンス研修を行うとともに、注意すべき法改正や社会の動向についての注意喚起等をマネージャーに適宜行うことで、法令、コンプライアンスに係るリスクを低減し、アーティストが長く活躍し続けるための土台づくりに努めております。

 

・リスペクト・コミュニケーション研修

クリエイティブの現場でコンプライアンス違反を生まないための環境整備として、当社主催舞台公演において全キャスト・スタッフを対象とした、ハラスメントの基礎知識や共通認識を持つためのリスペクト・コミュニケーション研修を実施しております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(3) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

1.アーティストに係る指標(連結グループにおける主要な事業を営む提出会社)

アーティストは当社価値創造の源泉ですが、数に拘るものではありません。長期視点にもとづき一人ひとりの才能や可能を最大化させることを基本方針としており、プロデュース体制の整備状況とあわせて注視しております。

 

① 契約アーティスト組数

2021年度 221組

2022年度 218組

2023年度 220組

※各年度末時点における所属アーティスト数

 

指標の解説 モノづくりの源泉であるアーティストの契約組数は当社にとっての重要な指標です。必ずしも数に拘るものではありませんが、魅力的な才能との出会いを積極的に創り、育んでまいります。

当期の状況 新規契約および契約終了ともにあり、その総数は220組となりました。現時点におけるアーティストマネージャー数を踏まえ適正値であると考えております。

 

② 平均契約年数

2021年度 10.1年

2022年度 10.2年

2023年度 10.4年

※各年度末時点における所属アーティストの平均契約年数

 

指標の解説 当社では長期視点にもとづくマネージメントを方針としております。平均契約年数は、アーティストとの関係が短期的なものになっていないか、マネージメントの傾向を測る指標としております。

当期の状況 長期視点でのマネージメント方針を継続し、平均契約年数は10.4年となりました。

 

③ マネージャー1人あたりの担当アーティスト組数

2021年度 1.4組

2022年度 1.4組

2023年度 1.2組

※各年度末時点における所属アーティスト組数を同時点でのマネージャー数で除して算出

 

指標の解説 アーティストとの長期的なパートナーシップを実現するためには、アーティスト一人ひとりと十分に向き合うことができるマネージメント体制が不可欠です。アーティストの活動内容によっても必要となるマネージャー数は異なりますが、全体的なマネージャー人員確保のための指標としております。

当期の状況 マネージャー1人あたりの担当アーティスト数は2組以下であり、適正値であると考えております。

 

2.従業員に係る指標(連結グループにおける主要な事業を営む提出会社)

指標の解説 当社では属性・経歴等を問わず、意欲と能力を伴った優秀な人材が活躍しております。その多様性の維持・向上について、「女性比率」「入社形態」「年齢層」等を指標とし、定期的にその制度・環境を見直し、拡充を目指してまいります。

当期の状況

1)従業員数   346人(215人)

 

2)平均勤続年数 10.33年

 

3)平均年間給与 7,402,295円

(注)1.従業員数は就業人員であり、( )内は平均臨時雇用者数で外数となっております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

4)男女の賃金の差異

正規雇用労働者:

女性6,332,460円

男性7,512,889円

(対男性賃金差異84.3%)

非正規雇用労働者:

女性3,988,312円

男性4,663,389円

(対男性賃金差異85.5%)

全労働者:

女性5,311,735円

男性6,717,964円

(対男性賃金差異79.1%)

 

5)男女の平均勤務継続年数の差異

女性11.3年 男性9.5年(対男性平均継続勤続年数+1.8年)

 

6)女性管理職比率

 

7)中途採用比率

 

8)新卒入社者と中途採用者の管理職比率

 

9)プロデュース部における30代以下の管理職比率

 

10)外国籍社員比率

 

 

Ⅱ)気候変動への対応(TCFD提言に沿った開示)

 

2023年度、当社グループはサステナビリティ委員会を中心として、マテリアリティの特定を行いました。特定したマテリアリティのうち、気候変動は当社の事業やステークホルダーに対して様々な影響を及ぼし、重大な損害を引き起こすリスクがあると認識したため、気候変動への取り組みを課題の1つと位置付けました。

主な取り組みとしては、ガバナンス体制の整備、気候変動リスクと機会の特定・評価、シナリオ分析、リスク管理体制の見直し、そしてScope1および2の算定に取り組み、気候変動対策を促進するための基盤を構築しました。

今後は、気候変動リスクと機会が事業に与える影響の定量的な評価やGHG排出量算定対象範囲の拡大など、さらなる取り組みの強化に努めてまいります。

 

1.ガバナンス

当社グループでは、代表取締役社長を委員長、経営企画部を事務局とし、コーポレートガバナンス担当者やグループ会社を含む部門責任者を中心として構成されるサステナビリティ委員会を設置しております。四半期に一回程度開催されるサステナビリティ委員会においては、気候変動リスクと機会の特定・見直し、方針・戦略の策定、対策の実施と進捗管理を行っています。

特定した気候変動リスクのうち、特に重要事項とされるものに関しては、コーポレートガバナンス委員会に報告し、協議を行っております。サステナビリティ委員会で協議した内容は、その後、定期的に取締役会へ付議・報告を行うことにより、その活動状況を取締役会が監督しています。

 

■サステナビリティ推進体制

 

会議体

主なメンバー

気候変動に関する

主な役割

開催頻度

2023年度

開催実績

取締役会

議長:代表取締役社長

社内取締役6名

社外取締役3名

気候変動に関する取り組みの監督

月1回

12回

コーポレートガバナンス

委員会

委員長:代表取締役社長

内部監査部、取締役、執行役員

各管理部門長

サステナビリティ委員会で特定した気候変動リスクの評価

3か月に1回

3回

サステナビリティ

委員会

委員長:代表取締役社長

事務局:経営企画部

委員:IR・サステナビリティ室、コーポレートガバナンス委員会、各部門

気候変動対策の立案・審議・決定・実行・報告・管理

四半期に

1回程度

5回

 

2.戦略

当社グループでは、気候変動に関連するリスクと機会を評価するために、TCFD提言に基づき複数の気候変動シナリオを用いたシナリオ分析を行っています。シナリオ分析では、温暖化の進行度や規制の変化など、異なるシナリオを想定し、中長期的な視点でそれぞれのシナリオが当社事業に与える影響を評価しています。これにより、将来の気候変動に対する潜在的なリスクや機会を把握し、事業戦略の調整やリスク管理の強化が可能となり、適切な戦略や対策を策定することにつながっています。

当社では、シナリオ分析の結果を基に、持続可能なビジネスモデルの構築と気候変動への適切な対応を推進してまいります。

 

■シナリオの概要と参照したシナリオ

シナリオ

概要

参照したシナリオ

1.5℃

21世紀末の世界の平均気温の上昇が、産業革命以前と比較して1.5℃以内に抑えられるシナリオ。

温室効果ガスの排出量削減に向けた規制が強化され、脱炭素社会への移行が進展する。

・IEA WEO

NZE2050(IEA)

・SSP1-1.9(IPCC)

4℃

21世紀末の世界の平均気温の上昇が、産業革命以前と比較して4℃程度上昇するシナリオ。

地球温暖化対策が遅れ、異常気象や自然災害などの物理的な影響が増大する。

・IEA WEO STEPS(IEA)

・SSP5-8.5(IPCC)

 

■気候変動リスクと機会及び対応策

リスク項目

指標

リスク・機会

対応策

顕在化する
時間軸

影響度

1.5℃

(2℃)

4℃

移行

炭素価格

支出

・炭素税導入によって事業活動により排出されるGHG排出量に税金が課せられ、事業コストが増加しP/Lに影響が出る。

・中長期的なCO2排出量削減目標の策定

・目標達成に向けた削減計画の立案と各種施策の実施

廃棄物・

リサイクル規制の強化

支出

・プラスチック等の梱包材・製品への規制が各国で導入され、対応コストが増加する。

・コンサートグッズ等の廃棄に対しての規制(リサイクル含む)による処理コストが増加する。

・製品におけるリサイクル率向上の推進

・安価で効率のよい包装材の代替品の導入

・川上・川下顧客とのスクラップ回収スキームの確立

エネルギー価格の上昇

支出

・電力価格の高騰によりオフィスや、イベント等事業での電力コストが増加する。

・燃料転換・電力会社の切り替え等省エネ改善

消費者/投資家の行動変化

収益資本

「リスク」

・環境先進国から環境対策に消極的であると判断され、当該国での事業の機会が低下する。

・投資家から環境対策に消極的であると評価された場合、資本調達が行いにくくなり、資本調達コストが増加する。

「機会」

・環境に配慮した企業や団体と、広告宣伝やCM、アンバサダーなど協業の機会が増加する。

・環境系のイベントなどの需要が高まる。

・低炭素・環境配慮型の事業に移行し、十分な発信を行った結果、投資家から環境対策に積極的であると評価された場合、ESG投資等資本調達が容易になり、資本調達コストが低下する。

・環境対応への注力

・気候変動情報の積極的な開示

・環境課題に係るアーティストや従業員への啓蒙

・環境負荷の少ないイベント、コンテンツの制作

物理的

原料価格の高騰

支出

・主に繊維系統(綿、ポリエステル)の原料が高騰しグッズ製造のコストが増加する。

・より安価な調達先への変更

・より安価な素材への変更

・製造コストを安く抑えられるグッズの開発

・価格の見直し

中・長

平均気温の上昇

収益支出

・熱中症防止の観点から物販・イベントの中止が想定され収益が減少する。

・気温上昇への対策として冷房設備など環境整備のためのコストが増加する。

・アーティストやスタッフの体調悪化への懸念が高まる。また、熱中症等リスクに伴いイベント等での人件費が高騰する。

・熱中症を考慮した時期・時間・場所でのイベント等開催

中・長

異常気象の激甚化

収益

・異常気象の激甚化から災害被害などが発生しイベント中止や影響範囲の消費者のチケット払い戻しなどにより収益が減少する。

・オンラインライブの活用

感染症の増加/拡大

収益支出

・感染症の拡大に伴うイベント中止やアーティストの活動停止により収益が減少する。

・感染対策への設備投資などのコストが増加する。

・アーティストやイベント時の感染症対策の整備と徹底

※影響度に関しては、IPCCやIEAなどの外部レポート及び当社財務データを用いて一部定量的な評価も交えながら、定性的な評価を実施しています。

3.リスク管理

気候変動リスクについては、サステナビリティ全般のリスクと共に管理しております。 詳細については、「2「サステナビリティに関する考え方及び取組」Ⅰ)サステナビリティ全般 (2)リスク管理」に記載の内容を参照ください。

 

4.指標と目標

当社グループでは、2030年までに温室効果ガス排出量(Scope1及び2)を本社オフィスが完成した2023年度比で30%削減することを目指しており、さらには2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目標としています。

目標達成の一環として、2022年度より東京オフィスの電力を、非化石証書を利用した実質再生可能エネルギー電力へ切り替えるとともに、2024年度からは本社オフィスの電力の一部についても、水力発電由来の再生可能エネルギーへ切り替えております。また、豊島研修所では太陽光発電を導入し、使用電力の一部を再生可能エネルギーで賄っております。2023年度の再生可能エネルギーの使用割合は31.2%※となり、2050年までに使用電力の100%を再生エネルギー化することを目指しております。

排出量算定においては、今後は連結グループへと算定対象範囲の拡大を図り、Scope3排出量の開示に向けて取り組んでまいります。

 

※2023年度の再生可能エネルギーの割合は、豊島研修所の太陽光発電の自家消費量は含めておりません。

 

■指標と目標

指標

目標

温室効果ガス排出量削減

2030年度:Scope1及び2の排出量を2023年度比30%削減

2050年度:グループ全体でカーボンニュートラル達成

再生可能エネルギーの割合

2050年度:100%達成

 

■温室効果ガス排出量実績(提出会社)

 

 

 

(単位:t-CO2)

温室効果ガス排出量

2022年度

2023年度

前年対比(%)

Scope1

237

285

20.3

Scope2

328

305

△7.0

Scope1+2

565

590

4.4

※2023年度のScope1の前年比増加は、2022年10月に完成した、宿泊施設も兼ねる山梨本社における灯油及びガスの使用量の増加に起因しております。