2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下であると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)主要アーティスト及び契約アーティストについて

主要アーティストの活動が休止・停止した場合や、主要アーティストとの専属契約が更新に至らなかった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は契約アーティストに対して必要な研修を行い、コンプライアンスの遵守に努めておりますが、契約アーティストが、法令違反、信用失墜行為、取引先との契約違反となるようなトラブルを起こした場合や、そのようなトラブルを起こしたとの報道がなされた場合あるいはそのような風評が流布された場合には、契約アーティスト及び当社グループの評判が悪化することなどにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクは、アーティストとの関係性を良好に保ち、アーティストへのコンプライアンス研修を行うなどで発生を抑えるべく努力しておりますが、完全に防止することは難しいと考えております。アーティストポートフォリオの拡充を積極的に行い、収益基盤を分散させることで、有事の際の業績への影響を最小限にとどめてまいります。

また、当社グループの契約アーティストに法令違反、信用失墜行為、取引先との契約違反等の問題がない場合であっても、スポンサー、広告主等の取引関係者や興行関係者等にそのような問題が生じた場合には、当社グループの契約アーティストのイメージに影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)コンサート活動や個々の作品による業績の変動について

当社の主力事業のひとつである大規模なコンサートの実施は、その期間の営業収入を急増させます。また、映画は上映後数週間、音楽作品・映像作品は発売直後に収入が集中する傾向にあります。ヒットがあると収入が急増しますが、予測が困難なビジネスの為、計画的な投資回収が出来ない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、幅広いアーティストのポートフォリオを確保し、より多くの音楽作品・映像作品のタイトルを確保することで安定的な収入の計上ができるよう努めておりますが、コンサートの実施時期、音楽作品・映像作品の発売時期、映画等の公開時期等により、業績の変動が大きくなる可能性があります。

 

(3)契約アーティストが出演する興行事業について

当社グループのアーティストはコンサート、映画、ドラマ、舞台、ミュージカル等の様々な興行に出演しておりますが、出演アーティストの健康上の理由や不慮の事故等により出演が不可能になることがあります。そのような事態においては、代役の出演、興行の延期その他の代替措置が常に可能であるとは限らず、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)異常気象や災害、感染症の流行等による業績変動について

近年増加傾向にある異常気象を含む災害に見舞われた際には、コンサート等やアウトドア事業が開催もしくは実施できない、又は交通機関の停止などにより来場できないお客様に対しての払戻し対応などが発生する可能性があります。

また、感染症などの流行に伴い、政府又は自治体からの要請が発出された場合等は、コンサート等やアウトドア事業の開催又は実施を中止せざるを得ません。

当社グループは、上記について可能な限りの事前対策は講じておりますが、チケットの払戻し、製作費や諸費用の負担及びお客様への補償などを完全に回避することは難しく、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。オンラインライブの積極的な活用などによって影響の軽減に努めてまいります。

 

(5)ヒットビジネスとアーティストの育成について

ヒットビジネスは、お客様の趣味、嗜好、流行の影響を受けます。当社グループは、様々なタイプのアーティストと契約し、また従来からの専属契約以外の契約形態も提案するなど、 継続的に新人アーティストを発掘・育成する体制を整えておりますが、計画通りにアーティストへの投資が回収できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)優秀な人材の確保について

当社グループの中長期的な成長は、従業員の能力に大きく依存しております。

お客様や社会に価値を提供し、持続的な成長を実現していくためには、多様な人材の確保・育成と社内環境の整備が極めて重要な課題であると認識しております。また国内の人口動態の変化による労働力不足への対応は、将来の持続可能性にも関わる大きな課題です。

当社グループの成長戦略を推進していくためには、多様な知見・スキル・価値観を有する人材を確保・育成していく必要がありますが、社会情勢や雇用環境の変化により、相応しい人材を継続的に採用することが困難になる場合には、事業における売上確保や成長戦略の推進に支障が生じるなど、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)コンテンツへの出資・製作・買付について

有望な原作・舞台・ミュージカルや映像作品、その他コンテンツの買い付け・出資は競争が激しく、必ずしも獲得できるとは限りません。

また、投資金額の上限の設定や、パートナーの出資を募ることでのリスク分散、映像化権・インターネット配信化権等の権利を獲得・活用することで投資回収率の向上に努めておりますが、出資・製作・買付したコンテンツの興行成績・販売実績によっては、投資した資金の回収期間が予想に反して長期に亘ることや、損失が生じる可能性があります。その際には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」といいます。)等による情報拡散について

当社グループでは、アーティスト及び当社グループの情報をより多くの皆様へお届けする方法として、SNSを非常に有用なツールと位置付けております。一方で、SNSなどを通じて当社グループについての批判や誤った情報が拡散した場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。

 

(9)知的財産権の侵害について

当社グループが保有する知的財産権を第三者により侵害される、又は当社グループが意図せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。

当社グループが保有する知的財産権の侵害に対しては、関係部署が連携して対応しておりますが、海外やインターネット上での権利侵害に対しては法規制の観点から、保護を十分に受けられない可能性があり、侵害が長期かつ大規模にわたる場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、意図せぬ知的財産権侵害についても、関係部署が連携して予防対策をしておりますが、法解釈の相違等により侵害が生じてしまう可能性があります。

 

(10)海外事業展開について

当社グループは、アーティストの海外活動、海外アーティストの育成・マネージメント、他社コンテンツの海外展開サポート、海外作品への出資や映画・番組の共同製作など、海外事業に積極的に取り組んでおり、海外での事業展開は今後の当社グループの成長のために重要なものと位置づけております。しかしながら、各国の法令、政治・社会情勢、文化、宗教、嗜好や商慣習の違い、為替変動などの潜在的リスクに対処できない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)コストの上昇について

昨今、人件費の上昇、原油価格の高騰、円安、不安定な国際情勢等の理由により、当社グループの事業に伴う製造原価その他のコストが上昇していますが、当社グループが置かれた競争環境その他の事情から、それらコストの上昇について、当社グループは適時にかつ十分に転嫁できるとの保証はなく、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)システムリスクについて

当社グループは、お客様へのサービスの提供及びグループ内のICT機器及びメール・グループウェア等の社内サービスを情報システム部で管理しており、ICTに係るリスクの発生を未然に防止できるよう高い情報セキュリティレベルを確保していると認識しております。

しかしながら、サイバー攻撃は日々高度化、巧妙化しており、マルウェアや不正アクセス及び当社グループに対するサイバー攻撃によって関連システムのセキュリティを脅かされた場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。サイバー攻撃以外の原因(サーバー等への一時的な過負荷や社員の過誤を含みます。)によるシステム障害や通信障害が発生した場合にも、一定期間の収益低下、お客様からの信用低下及びブランドイメージの毀損等により、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。

また、システム障害等(原因は問いません。)が生じた場合に、解決や復旧のために外部システム業者の助力が必要なことがありますが、外部システム業者の人的資源も有限であり、解決や復旧に時間を要することにより、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。

(13)個人情報漏洩について

当社グループは、お客様の個人情報を取り扱います。そのため、個人情報の取扱いに関する規程を設けるとともに、社員研修の実施等により、セキュリティへの意識の喚起や情報リテラシーの向上に努めております。しかしながら、個人情報漏洩が発生する可能性がないとの保証はなく、万が一、そのような事態が生じた場合には、損害賠償やイメージの毀損等によって、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、個人情報漏洩がなくても、個人情報漏洩を防ぐためのコストにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)新規事業や事業拡大について

当社グループは、より強固な収益基盤を構築すべく、積極的に新規事業に取り組み、また事業拡大を図っております。起こりうる様々なリスクを想定してそれらを実施しておりますが、新サービス・新規事業の展開や事業拡大が計画通りに進まない場合や期待した収益性を実現できない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、買収、提携、合弁等を通じてそれらを実施する場合において、期待されたシナジーが実現できないこと、計画された収益の創出とコスト改善を果たせないこと、主要人員の喪失、買収等の相手方との企業文化の違い等によって、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)法的規制について

当社グループが事業を行うにあたり、会社法、労働基準法、金融商品取引法、著作権法、商標法、不正競争防止法、景表法、独占禁止法、下請法、食品衛生法、個人情報保護法、特定商取引法、消費者保護法等の法令(いずれも、海外の法令を含みます。)の適用を受けます。当社グループは、法令を遵守するために、コンプライアンス体制を構築し、内部通報制度を導入するなどしておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとの保証はありません。

また、これらの法令等が改正され規制が強化されたり、新たに当社の事業活動を規制する法令が制定されたりした場合には、事業への制約や追加的な対応が生じることにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社グループの事業は、大規模なイベントの実施時期、CDの発売時期、映像ソフトの発売時期等により、事業年度ごとに業績の変動はありますが、株主に対する利益還元は重要な経営課題として認識しており、継続的に、安定して行うことを第一とし株主資本配当率(DOE)2%を目途とした長期安定的かつ継続的な還元を実施しております。業績に見合った利益還元も重要な経営課題と認識しておりますが、財務体質の一層の強化や将来の収益向上を図るための積極的な事業展開に備えた内部留保にも努め、総合的に勘案し配分する方針であります。

また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

内部留保金につきましては、経営基盤の強化や事業の拡大を図るためのアーティストの発掘・育成、海外市場や新規事業分野への戦略的な投資、音楽・映像のみならず良質なミュージカル・舞台等のコンテンツやIP制作等に活用し、総合エンターテインメント企業としての更なる企業価値を高めるよう努力してまいります。

この方針に基づき、当事業年度の業績を勘案いたしまして、安定的な配当の継続を基本に、株主の皆様への利益還元を検討した結果、当期の配当金は1株につき40円(中間普通配当20円、期末普通配当20円)となることを決定いたしました。

また、次期の配当につきましても、1株につき40円(中間普通配当20円、期末普通配当20円)を予定しております。

 

当社定款には、「取締役会の決議により、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主若しくは登録株式質権者に対し、中間配当を行うことができる。」旨を定めております。

当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月14日

339

20.00

取締役会決議

2024年6月23日

339

20.00

定時株主総会決議

(注)1.2023年11月14日取締役会の配当金の総額には、「役員報酬BIP信託」が保有する当社株式169,670株及び「株式付与ESOP信託」が保有する当社株式204,410株に対する配当金7百万円が含まれております。

2.2024年6月23日定時株主総会の配当金の総額には、「役員報酬BIP信託」が保有する当社株式169,670株及び「株式付与ESOP信託」が保有する当社株式194,610株に対する配当金7百万円が含まれております。