2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が経営成績や財政状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社の経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 人財の採用、育成、働きがいの創出

「人財」は当社の成長の源泉であります。「人財」の採用、育成、及び働きがいの創出をすることにより、競争力の高い企業になることができます。将来何らかの不測の事態によりこの循環が途切れた場合には、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、「人財育成基本方針」を定め、人財、組織、そして企業が持続可能な成長をしていく仕組みを作ってまいります。人事制度においては、評価基準や報酬制度を見直し、若年層の活躍を推進し、人財の活きる働き方・環境を創出してまいります。

 

(2) 情報セキュリティ(サイバーセキュリティ)による影響

当社は、事業活動において、各種データを処理・蓄積するため、またはビジネスプロセスを管理するため、様々なシステムやネットワークを利用しております。これらのシステムやネットワークは、安全対策が施されているものの、サイバーセキュリティに関連する様々なリスクに直面しており、その対策がぜい弱であった場合、サイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏洩、データ改ざん・消失・利用不能、システム停止等を引き起こす可能性があります。

このような事態が起きた場合、業務の中断や機密データの漏洩、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務等が発生する可能性があります。その結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー、ブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。

当社は、これらのサイバーセキュリティ関連のリスクに対して、適切なセキュリティ対策を講じるための体制を整えて、定期的なセキュリティ評価、継続的な改善活動や教育・啓蒙活動を行うことで、リスクの最小化と情報資産の保護を図っております。しかしながら、サイバーセキュリティに関する脅威は常に進化しているため、新たなリスクに対応するためにも取り組みを継続及びレベルアップしていくことによりリスクの軽減を図っております。

 

(3) 大規模災害等の発生による影響

大規模災害等が発生した場合、社員やパートナー技術者への人的な被害、社内システム等の停止及び社内サーバに保管されているデータの消失等により、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、「地震災害応急対策計画」を定め、人的な被害を軽減させるための施策として年2回の安否確認訓練を実施しております。またBCP(Business Continuity Plan)の定期的な見直しに取り組んでおります。その他社内システムについては、人給・会計・プロジェクト管理等基幹システムをクラウド化しております。社内サーバで保管しているデータについては、クラウドへのバックアップを定期的に実施しております。

 

(4) システム開発の品質の確保と仕損防止体制

当社では、ISO9001規格に適合した品質管理システムによりシステム開発を実施しておりますが、システム開発において機能は複雑化、顧客要望は高度化しており、完成までには仕様変更や機能追加等も加わり、当初の想定以上の追加費用が発生し仕損となることがあります。また顧客納入後であっても、契約不適合責任等により想定外の費用が発生することがあります。これらの費用が発生することにより当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、DX開発推進センターについてはDX関連開発や持ち帰り開発のプロジェクトにおけるナレッジの蓄積と共有を行い、リスクの逓減と同時に人財育成に対応してまいります。またプロジェクト革新室については、継続して商談検討会や見積検討会の実施、週次・月次でのモニタリングにより品質の確保及び仕損防止に取り組んでまいります。

 

 

(5) 主要分野である金融ソリューションの動向について

当社は、生命保険会社の関連会社として設立した経緯から、金融業界を主要分野として営業活動を実施しております。また、金融業務知識とIT技術の融合によりシステム開発の経験値及びノウハウを蓄積して、他社との差別化を図ってまいりました。その結果、当事業年度における金融ソリューションの売上高は、総売上高の75%となっております。このため金融業界におけるIT投資の動向により、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、中期経営計画においては、金融ソリューションは維持拡大しながら、DX対応が活況な非金融系ソリューションの案件獲得を積極的に推し進め、事業ポートフォリオを変革することでリスクの軽減を図ってまいります。

 

(6) 人月ビジネスからの脱却

クラウド化の進展によりソフトウェアは「作る」から「使う」へとサービスシフトしており、その契約形態もサブスクリプション型がより注目されるようになってきております。このような流れは、将来ソフトウェア開発における人月ビジネス型の受託開発工数の低減につながり、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、当社はボラティリティの高い労働集約型の受託開発だけでなく、安定的に収益を確保できるビジネスモデルを構築するとともに、自社プロダクトの活用や国内外の先進プロダクトとの融合ソリューション等によるサービス提供型ビジネスの創出を図ってまいります。

 

(7) 情報管理等について

システム開発の業務遂行にあたり、当社の社員及びパートナー技術者が顧客企業もしくはその委託元である企業の機密情報や個人情報等にアクセスできる環境で作業する場合があります。機密情報、個人情報及び特定個人情報等の取扱いについては規則を定め、情報管理に関する教育等を実施しております。また定期的に開催しておりますセキュリティ委員会で、情報管理等に関する運用状況をモニタリングしております。しかしながら、予期せぬ事態により個人情報や機密情報が万一漏洩、あるいは不正使用された場合には、損害賠償責任や社会的信用の失墜等に繋がり、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、2007年1月にプライバシーマーク、2016年6月にはISO27001を取得しております。社内の取り組みとして部署別に年度セキュリティの目標管理を実施し、四半期ごとにセキュリティ委員会にてモニタリングすることによりセキュリティ意識の向上に努めております。

 

(8) M&A、資本提携について

当社は事業基盤の拡大、また中期事業計画の重点事項であるDX領域への進出、サービス提供型ビジネスの創出のため、M&A及び資本業務提携を推進事項としております。M&A及び資本業務提携により想定した収益性やシナジー効果が得られない場合、また当初想定し得ない債務等が発生した場合は当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、社内で収益性やシナジー効果の分析を十分に検討し、社外の税務・財務・法務等の専門機関と十分協議し、リスクの低減に努めます。

 

(9) 知的財産権について

システム開発の業務遂行にあたり、ソフトウェア著作権を始めとする多くの知的財産権を利用しております。当社では業務上必要となる知的財産権の確保や第三者の権利侵害について、充分な啓蒙活動を行っておりますが、ライセンスの取得、維持等が適正に行われなかったり、第三者の権利を侵害する場合、多額の費用負担が生じたり、損害賠償責任が生じることにより当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。また当社が推進するサービス提供型ビジネスにおいて、予期せぬ知的財産権の侵害等により損害賠償責任や事業の拡大の停止などにより、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、常に知的財産権の取扱いに注意し、新規ビジネスにあたっては専門機関と連携してリスクの低減に努めます。

 

 

(10) 退職給付費用及び債務について

当社の従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。したがって、経済環境等の変動により計算の前提となる割引率や平均残存勤務期間等の条件に変更が生じた場合には、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、各種前提条件のモニタリングのほか、当社に有益となるリスクヘッジ手法の情報収集等を実施してまいります。

 

(11) 特定顧客への依存度について

当事業年度における株式会社野村総合研究所の販売実績は、総販売実績に対し25.4%となっており、長年顧客別販売実績順位1位を継続しております。このため、同社の事業方針、経営状況及びパートナー施策等に変化が生じた場合、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、政策保有株式として同社株式の保有、戦略的パートナーシップ契約の締結のほか、最重要顧客として営業活動を実施し関係の維持、強化に努めております。また、中期経営計画を推進し当社全体の売上規模を拡大し、相対的に同社への依存度を下げることにより、リスクの軽減を図ってまいります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

株主の皆様に対する利益還元は経営の最重要課題と位置付け、企業としての競争力の向上と企業価値の最大化を追求することにより、長期かつ安定的な配当を継続するとともに業績や内部資金の確保などを総合的に判断し、配当性向は40%程度とすることを基本方針としております。

当社は、年2回の剰余金の配当を行うことを基本としております。

なお、当社は定款において、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定めております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当は株主総会、中間配当は取締役会であります。

上記の方針に基づき、当事業年度の配当につきまして、1株当たり40円(うち中間配当金20円)としております。

内部留保資金の使途につきましては、企業間競争力の維持・強化を図るため、将来を見据えた事業戦略に基づいた投資等に充ててまいります。

基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年10月30日

取締役会決議

365,074

20

2024年6月21日

定時株主総会決議

365,007

20