2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 39,587 100.0 1,209 100.0 3.1

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、当社と連結子会社7社、持分法適用の関連会社7社等により構成されており、音楽・スポーツ・演劇・映画・各種イベント等のチケット販売、レジャー・エンタテインメント領域におけるムック・書籍の刊行及びウェブサイトの運営、コンサートやイベントの企画・制作・運営などを主たる業務としています。

 

(1)当社グループの事業概要

① チケッティングビジネス

 当社の興行チケット予約販売システム「チケットぴあ」は、1984年にスタートした日本初のコンピュータオンラインネットワークによるチケット販売システムです。当システムには、音楽、スポーツ、演劇、映画及びレジャーなど様々なレジャー・エンタテインメントのチケットが、年間で延べ約160,000公演分登録され、総発券枚数は約8,000万枚にのぼる、日本最大級の取扱規模となっています。チケット販売ネットワークは、全国約38,000カ所(セブン-イレブン、ファミリーマートを含む)の購入・発券場所を有するとともに、インターネットでは24時間の受付・販売を行っています。

 当社は、規模を問わない約40,000社にのぼる興行主催者等と取引を行うとともに、大手興行主催者や、Jリーグ、プロ野球、ラグビーやバスケットボールなどのスポーツ団体、全国のホール・劇場等に「チケットぴあ」システムを提供し、チケッティング業務をトータルにサポートしています。

 また、これまでのチケット販売によって蓄積されたノウハウを活用した票券管理業務も行っています。国際イベントへの協力も多く、1998年開催の長野冬季オリンピックでは、「チケットマネジメントのカテゴリーにおけるオフィシャルサプライヤー」としてチケット販売管理業務を受託し、以降夏季・冬季を通じすべての大会において、日本国内分の観戦チケット販売業務を行っています。2002年5月開催のサッカー「2002FIFAワールドカップ」においても、「2002FIFAワールドカップ日本組織委員会」よりチケット販売管理業務を受託し、チケットセンターの電話問い合わせ対応、申し込みガイドの製作、抽選処理、入金管理、チケット販売に関するコンサルティングなどで協力しました。「ラグビーワールドカップ2019日本大会」においては、「チケッティングサプライヤー」として、また「東京2020オリンピック・パラリンピック」においては、同大会組織委員会からチケッティングサービスを提供する業務委託事業者(TSP※)として、それぞれ公式チケットサイトの構築、運営等をはじめとする国内外のチケッティング業務、及びゲーティング業務を担いました。1年の延期を経て、無観客開催となりましたが、オリンピックでは約675万枚、パラリンピックで約190万枚の観戦チケットを世界各国に向けて販売し、その払い戻しも対応しました。開催期間中の全会場におけるチケッティング、ゲーティング業務も一括受託し、ぴあ社従業員約250人体制で一連の業務を無事完遂しました。この経験とノウハウを活かし、今後の様々な国際大会、イベントへの参画も予定しています。

 これらのチケット販売を支えるプロモーション・メディアとしては、「チケットぴあ」、アプリ版「ぴあ」をはじめとするウェブサイト、スマートフォンサイト、2020年10月にリリースしたスマートフォンアプリをはじめ、提携コンビニエンスストアが発行するフリーペーパー、さらに新聞、ラジオ及びテレビ等マスメディアと連携して実施する興行告知及び興行主催者が行う興行広告などがあり、「チケットぴあ」の販売展開を広範囲にサポートしています。

※TSP … Ticketing System & Service Providerの略

② ソリューションビジネス

 当社では、チケット販売だけでなく、「チケットぴあ」のシステムやノウハウを提供するとともに、プロモーションや販売サービス、顧客管理戦略の立案まで、法人向けに各種ソリューションビジネスを展開しています。興行主催者(スポーツ団体や劇団等)、ホールやスタジアムなどに対し、各業界のビジネスパートナーとして、収益拡大やマーケットの活性化に向け幅広い業務をサポートしています。

③ コンテンツビジネス

 集客エンタテインメントのさらなる発展に向け、各種興行イベントの主催、企画、制作、運営に積極的に取り組んでいます。音楽フェスティバル、舞台、オリジナルイベントの単独主催にはじまり、話題のイベントや映画への出資参画、アジアマーケットへの進出などビジネス領域を拡大しています。また、物販や各種サービス・商品開発など、多面的な展開を図り、新たな収益の拡大につなげています。

④ ホール・劇場ビジネス

 メディアビジネスやチケット流通事業、イベントの企画や主催等を通じて培ってきたノウハウを活かし、1万人を収容する音楽専用ホール「ぴあアリーナMM」(横浜・みなとみらい地区)を、当社の創業記念日である2020年7月10日に開業しました。これにより、コンテンツ、ソリューション、チケット流通、プロモーションに加え、会場運営という新たな事業をスタートさせたことで、エンタメの送り手と受け手を一気通貫に結ぶ“感動のライフライン”の実現に大きく前進しました。

 「ぴあアリーナMM」は、民間ならではの視点から音楽業界のニーズを丁寧にくみ取り、コンサートを観る側と演じる側の双方にとって、その環境や使い勝手を最適化したアリーナです。地下1階、地上4階建ての縦に長いハコ型構造で、ステージと客席の距離が近く、飲食施設も充実しており、ホスピタリティラウンジやカフェも併設しています。

 また、2025年度竣工予定の東京駅前八重洲エリア再開発事業において開設される劇場・カンファレンス施設を共同運営することになり、一般社団法人チームスマイルから引き継いだ「豊洲PIT」「仙台PIT」とあわせて、ホール運営事業を本格化させてまいります。

⑤ メディア・プロモーションビジネス

 当社グループは、レジャー・エンタテインメント領域における話題の情報を満載した書籍や雑誌を刊行し、チケット事業とのシナジーも高めています。さらには、受託型出版物である「月刊スカパー!」や、「セブン-イレブン」で配布するフリーペーパー「7(セブン)ぴあ」など、従来の出版業界構造とは異なる新しいメディア形態を開発し、収益構造の安定化に注力しています。
 また、デジタルネットワーク社会の浸透に伴い、ウェブサイトや、スマートフォンアプリ、放送等の様々なメディアを用いたクロスメディア型事業も推進しています。

 

 主な出版物は、以下のとおりです。

(ムックス)

花火やドライブなどのお出かけ情報、飲食店やカフェなどのグルメ情報関連の各種レジャームック、「SODA」「PMC」などのエンタテインメント雑誌、サッカーやラグビーなどのスポーツ関連雑誌等

(書籍)

定期刊行誌連載企画のスピンアウト型書籍、書き下ろし書籍、写真集、

料理・グルメ関連書籍等

(受託型・

 有料情報型出版物)

「月刊スカパー!」

「7ぴあ」(セブン-イレブン限定フリーペーパー)等

 

 2018年11月末には、情報誌「ぴあ」の世界観やコミュニティをインターネットの環境に復活させたアプリ版「ぴあ」がスタートし、すでに約180万人の方々にご利用をいただいています。映画、ステージ、アート、音楽、クラシック、イベント等の網羅的な開催情報から、ニュース、エッセイ連載など、情報誌「ぴあ」で掲載していた各種コンテンツ・機能をひとつのアプリに凝縮しました。2020年10月にリリースした「チケットぴあ」のスマートフォンアプリとも完全連携し、よりスムーズにチケット購入ができるように改良するとともに、新たにスポーツジャンルを収録して、コンテンツの充実を図り、より日常的に活用できるようバージョンアップを重ねています。

 また、2023年12月からは、伝統芸能の継承、若い世代の活躍推進を視野に、「ぴあ落語ざんまい」という高座映像約2,000本を鑑賞できるサブスクリプションサービスをスタートしています。

⑥ 会員サービス

 当社では、「チケットぴあ」の開始と同時に会員制度もスタートさせました。会員にはクレジット機能を持つ「ぴあカード」を発行し、4,180円(税込み)の年会費により様々なサービスを提供しています。一般販売に先駆けたチケット先行予約、映画館、劇場、遊園地等アミューズメント施設の料金割引などのサービスにより、会員数は約30万人を数え、その会費収入は当社グループの安定した収益源のひとつとなっています。さらに、「チケットぴあ」のウェブサイト上での様々なサービスが受けられる会員組織「ぴあ会員」(会員数約2,000万人)も運営し、インターネット上でのチケット販売や、会員限定の抽選チケット販売等のサービスを提供しています。

 また、「チケットぴあ」システムと「ぴあカード」のノウハウを活用し、新国立劇場友の会「クラブ・ジ・アトレ」やサントリーホール「サントリーホール・メンバーズ・クラブ」をはじめとした他社の会員管理業務を代行するビジネスも展開しています。

⑦ スポーツくじビジネス

 1999年12月、スポーツ振興政策の財源確保の手段として導入されたスポーツくじの販売・払戻し等の運営管理業務を目的として、日本スポーツ振興くじ株式会社が設立されました。当社は、専門業務を行う中核8社のひとつとして、会員組織の運営管理業務、店舗における販売促進のためのプロモーション活動及び販売店教育を担当してきました。

 また、日本スポーツ振興くじ株式会社は、2005年12月より独立行政法人日本スポーツ振興センターに業務を直営化し、当社グループが独立行政法人日本スポーツ振興センターより委託を受け、スポーツくじの販売業務を担っています。2019年11月からは、当社の連結子会社であるぴあフィールドサービス㈱が一連の業務を行っています。

 

⑧ グループ企業との関係

 当社グループのレジャー・エンタテインメント関連事業は、首都圏・関西・中部・九州・北海道・中四国・東北をはじめ、全国に広がっています。全国各地の興行主催者から当社が直接チケットを仕入れ、販売を行っていますが、中部地区においては、地元興行主催者をはじめとした、有力企業と合弁で設立した「チケットぴあ名古屋株式会社」を通じて、九州地区においては「チケットぴあ九州株式会社」を通じてチケットの仕入れ・販売を行っています。
 「ぴあアリーナMM」での協業をきっかけに、「集客エンタテインメントと街づくりの一体化」を目的に、2021年5月、三菱地所株式会社と業務・資本提携を締結し、翌2022年5月には、合弁会社「MECぴあクリエイティブ株式会社」を設立しました。ぴあの得意領域とする集客エンタテインメントと、三菱地所の街づくりのノウハウを融合し、両社の既存領域にとらわれない独創的な事業の創出に取り組んでいます。

 2022年3月には、「PIADMP」の好調を受け、DMS(デジタルメディアサービス)事業を分社化し、「ぴあネクストスコープ株式会社(PNS)」を設立。さらに、長きにわたりエンタテインメントジャンルの広告タイアップを展開してきた朝日新聞社が同社に資本参画し、新たなソリューションサービスの提供を目指す「ぴあ朝日ネクストスコープ株式会社(PANX)」が発足しました。ぴあが持つ、自社データを活用したデジタルマーケティングと、多数の媒体と顧客基盤を擁する朝日新聞社の強みを融合させ、これまでになかった独自の価値を生み出し、事業の拡大を図ります。

 また、新たな取り組みとして、スイス・DAIMANI 社への業務・資本提携により、日本・アジアの集客エンタメ業界におけるホスピタリティ文化の創出事業に本格参入しました。2023年2月に、「PIA DAIMANI Hospitality Experience株式会社(PDHX)」を設立し、5月にはグローバル基準の「VIP向け高付加価値体験パッケージ」の企画・販売をスタートしました。日本・アジア地域のホスピタリティ市場の発掘とともに、集客エンタメ業界全体の活性化とユーザーの拡大にも貢献していきたい考えです。

 

(2)CSR活動

 当社グループは創業時より、「ひとりひとりが生き生きと」「若くて新しいチャレンジをしている人たちを応援する」という企業理念に基づいた、CSR活動を積極的に展開しています。社会の「公器」として、社業を通じた社会貢献を行うとともに、企業価値の向上に努めます。

 

① ぴあフィルムフェスティバル(PFF)

 PFFは、1977年12月東映大泉撮影所で開催された、映画、演劇、音楽の総合イベント「ぴあ展」での「自主製作映画展」からスタートしました。以降、「映画の新しい才能の発見と育成」を目指す活動として、自主製作映画を対象とした日本初の本格的なコンペティションをメインプログラムとした映画祭「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」を毎年開催しており、当期で45回目を迎えました。PFF出身のプロの映画監督は180名を超え、映画界における数少ないプロへの登竜門として日本映画界の活性化に貢献しています。2014年7月には、長年にわたるPFFの活動実績が評価され、第32回川喜多賞を受賞しました。(同賞は、日本映画の芸術文化の発展に寄与した個人・団体に贈賞されるもので、過去には黒澤明監督、市川崑監督、大島渚監督、淀川長治氏、三船敏郎氏など錚々たる映画人の方々が受賞しています。)
 また、2017年4月からは、PFF事務局を一般社団法人化し、株式会社ホリプロ、日活株式会社をはじめとする約60社もの企業や業界団体の参画を得て、官民を含めた社会全体でこの活動を後押しできる環境を整え、「新しい才能の発見と育成」のさらなる継続と発展を目指すこととなりました。ここには、当社からも10億円の基金を拠出しています。

 本活動の柱となる「PFFアワード」は、この映画祭のコンペティション部門で、全国から応募された毎回約600本にも及ぶ作品の中から入選作品を選び、映画祭「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」において一般公開しています。映画祭最終日には、映画監督を含む5名のクリエイターで構成される最終審査員によって選ばれたグランプリのほか各賞の発表が行われます。また、次のステップとなる「PFFスカラシップ」は、1984年からスタートした映画の製作援助システムで、PFFアワードの入選監督が次回作の企画をエントリーし、その中から「最も将来を期待できるフィルムメーカー」として選ばれた監督に対し、制作費の援助はもちろん商業映画の製作のノウハウから劇場公開までを事務局がサポートする、という一連の活動を展開しています。

 また、新たな活動として「大島渚賞」を創設しました。PFFを長く応援してくださった大島渚監督がかつて高い志を持って世界に挑戦していったように、映画の未来を拓き、世界へ羽ばたこうとしている、若く新しい才能を後押しする賞です。審査員長に坂本龍一氏(故人)、審査員には黒沢清監督が就任しています。「第1回大島渚賞」(2020年)には小田香監督、「第3回大島渚賞」(2022年)には藤元明緒監督、「第4回大島渚賞」(2023年)には山﨑樹一郎監督、「第5回大島渚賞」(2024年)には工藤将亮監督が受賞し、それぞれ授賞式及び記念上映会が行われました。

 

② ぴあ総研

 ぴあ総研(ぴあ総合研究所株式会社)は、ぴあ株式会社の100%子会社として2002年に設立されました。集客エンタメ領域に特化した国内随一のシンクタンクとして、集客エンタメ分野における、信頼度の高い客観的データ、タイムリーかつ独自の切り口の分析、机上の空論ではない論理的かつ具体的な提言を発信し、集客エンタメ産業分野のプレゼンスアップに資することを目指しています。

 ライブ・エンタテインメント市場を客観的に評価するための、市場規模や開催数、動員等のデータがほとんどないという現状を受け、設立前の2000年から継続的に統計調査を行ってきました。その調査結果をまとめて年に一度発行する『ライブ・エンタテインメント白書』は、日本で唯一のライブ・エンタテインメント市場全体を捉える指標として、様々な業界で活用されています。また、官公庁、行政、民間企業等からの依頼により、多様な調査・研究、およびコンサルティングなども受託しています。

 2022年からは毎年、ぴあ総研主催のシンポジウムを開催しており、第1回は「集客エンタメ産業の未来に向けた、社会的意義と本質的価値」、第2回(2023年)は「文化芸術・集客エンタメは、人々と社会をどう豊かにできるのか」をテーマに、有識者の方々による講演やパネルディスカッション等が行われました。

③ チームスマイル活動

 2011年3月に発生した東日本大震災直後に、社内の有志からの呼びかけにより震災復興のボランティア活動「チームスマイル」を発足し、チャリティコンサートやイベントの開催、義援金チケットの販売など、エンタテインメントを通じた様々な活動を行ってきました。2012年10月には、一般社団法人チームスマイルを設立し、当社もCSR活動の一環として主体的な参画を続けています。チームスマイルでは、継続的な支援とその経済性を確保するため、東北三県と東京にライブ・エンタテインメント専用シアターを開設すべく準備を進め、2014年10月、1つ目の活動拠点として東京都江東区に「チームスマイル・豊洲PIT(ピット:Power Into Tohoku!の略)」がオープンしました。同ホールの事業収益金は、東北地区のPITの開設・運営、そしてエンタテインメントを通じた復興支援活動のためにその全額が活用され、2015年7月には「いわきPIT」(福島)、2016年1月には「釜石PIT」(岩手)、2016年3月には「仙台PIT」(宮城)がオープンし、4つのPITが揃いました。

 東北地区のPITでは、被災地の若者や子供たちの創作活動へのチャレンジを応援する取り組み「チームスマイルpresents“わたしの夢”応援プロジェクト」を展開してきました。「豊洲PIT」の観客の皆さんからお預かりしたドネーションを活用し、ワークショップや講演会などを行う活動で、2016年5月にその第1回を実施して以降、各界の著名人の皆様のご協力をいただき、第24回まで開催しました。震災から12年目を迎えた2022年12月末をもって、社団法人としての活動を終了しましたが、多くの方々にご利用いただいた豊洲・いわき・釜石・仙台の「PIT」は今後も存続し、当社も「仙台PIT(2022年4月~)」と「豊洲PIT(2023年1月~)」の運営を継承しています。

 

 当社グループの系統図について図示すると次のとおりであります。

(注)上記3社の他に連結子会社として、「ぴあフィールドサービス㈱」、「PIA DAIMANI Hospitality Experience㈱」、「ぴあグローバルエンタテインメント㈱」、「ぴあ総合研究所㈱」及び「一般社団法人PFF」が、持分法適用関連会社として、「北京ぴあ希肯国際文化発展有限公司」、「TAプラットフォーム㈱」、「ダイナミックプラス㈱」、「ぴあ朝日ネクストスコープ㈱」、「TAプラットフォームソフトウェア共同事業体」及び「MECぴあクリエイティブ㈱」があります。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の鎮静化に伴い、消費・経済活動の正常化とインバウンド需要の回復が急速に進んでいます。一方、円安基調や物価上昇トレンド、不安定な国際情勢など、景気の下振れリスクも存在しており、先行き不透明な状況も継続しています。その間、当社が事業基盤とする国内レジャー・集客エンタテインメント市場は、これまで抑制されてきたエンタメ活動への反動消費に伴ってライブ・イベント開催の動きが活発化し、当社シンクタンクであるぴあ総研の調査でも、すでにコロナ禍前を凌ぐ規模に復調しています。資材費や物流費、人件費等の高騰の影響を受け、不確定な要素はあるものの、来日アーティスト公演の増加、興行規模の拡大、チケット単価の上昇等により、今後の市場も、当面は堅調な動きを維持するものと見ております。

 こうした事業環境下、新たな中期経営計画(2023~2025年度)の初年度となる当連結会計年度における当社グループの連結業績は、プロスポーツジャンルの観客増や人気アーティストの全国ツアー、音楽フェスの活況、ドーム規模の大規模来日公演増等により、取扱高ベースでの売上は約2,400億円となり、連結会計期間での過去最高の水準となりました。加えて、主催イベントの漸増やメディアコンテンツ商品の多角的展開増、当社所有の「ぴあアリーナMM」稼働率の向上、ぴあカード会員の増加等、チケッティングビジネスを核とした周辺事業も順調に推移したことから、営業利益は期初想定通りに、当期利益は業績の回復に伴う分類の見直しによる繰延税金資産の積み増しもあり、期初想定を上回る結果となりました。

 同時に、中期経営計画の達成に向け、「デジタルメディア・データマーケティング事業」、「ホスピタリティ事業(VIP向け高付加価値チケットの販売)」、「グローバル・イベント事業(万博等国際的イベントのチケッティング業務受託や、エンタメコンテンツの輸出入事業)」等、コロナ禍中に準備を進めてきた新規事業群への戦略的投資活動を強化するとともに、正社員の登用・中途社員の採用や、従業員の給与アップ・待遇改善・福利厚生の充実化といった、人的資本経営への取り組みへも注力してまいりました。

以上の結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、連結売上高395億87百万円(対前年同期比120.8%)、営業利益12億9百万円(対前年同期比147.5%)、経常利益9億22百万円(対前年同期比153.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益11億18百万円(対前年同期比79.0%)となりました。

 売上に貢献した主なイベントや商品は次のとおりであります。

<イベント>

・プロ野球公式戦/サッカーJリーグ/大相撲

・リポビタンDチャレンジカップ/FCバイエルン・ミュンヘン対マンチェスター・シティFC AudiFootball Summit

 /横浜F・マリノス対マンチェスター・シティFC 明治安田Jリーグワールドチャレンジ2023

・ROCK IN JAPAN FESTIVAL/ぴあフェス(当社主催)/ap bank fes/MTVVMAJ2023(当社主催)/COUNTDOWN JAPAN

 /JAPAN JAM/KCON JAPAN 2023(当社主催)

・COLDPLAY/ブルーノ・マーズ/Stray Kids/Billy Joel/Ed Sheeran/B'z/松任谷由実/Mrs.GREEN APPLE

 /Mr.Children/福山雅治/UVERworld/JO1/INI/Vaundy/RED HOT CHILI PEPPERS/ONE OK ROCK

・コミックコンベンション/シルク・ドゥ・ソレイユ・アレグリア/ディズニー・オン・アイス

<メデイアコンテンツ商品>

・厚切りジェイソンのお金の稼ぎ方

・大谷翔平語録

・森のカフェと緑のレストランシリーズ

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローでの123億75百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フローでの22億16百万円の減少及び財務活動によるキャッシュ・フローでの25億96百万円の減少により、前連結会計年度末と比べ75億63百万円増加し、当連結会計年度末には、339億19百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は、123億75百万円(前連結会計年度は93億55百万円の収入)となりました。この主要因は、税金等調整前当期純利益が8億95百万円、減価償却費が24億97百万円、売上債権の増加が72億4百万円、仕入債務の増加が143億20百万円であったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は、22億16百万円(前連結会計年度は35億64百万円の支出)となりました。この主要因は、有形固定資産の取得による支出が3億68百万円、無形固定資産の取得による支出が14億56百万円であったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は、25億96百万円(前連結会計年度は37億97百万円の支出)となりました。この主要因は、借入金の返済が25億90百万円であったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、レジャー・エンタテインメント関連事業の単一セグメントであります。

 

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

レジャー・エンタテインメント関連事業(百万円)

1,340

74.7

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

レジャー・エンタテインメント関連事業(百万円)

2,468

140.6

 

c.受注実績

 当社グループは、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

レジャー・エンタテインメント関連事業(百万円)

39,587

120.8

 

(2) 経営者の視点による経営成績などの状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績などの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。このため、繰延税金資産、貸倒引当金、投資の減損、固定資産の減損の見積り及び仮定設定の判断に対して、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、継続して評価を行っております。

 実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を与えると考えております。

 

1)繰延税金資産

 当社グループは、企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積り可能期間内の課税所得の見積り額を限度として、当該期間内の一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。

 当社グループの経営環境の変化等による見積りの見直しが必要となった場合、翌連結会計年度において、回収が見込まれない繰延税金資産を取り崩す可能性があります。

 

2)貸倒引当金

 当社グループは、取引先の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。取引先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

 

3)投資の減損

 当社グループは、長期的な取引関係の維持のため、特定の取引先に対する少数持分を所有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、投資の減損を計上しております。公開会社への株式の投資の場合、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には、減損処理を行い、30%から50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。非公開会社への投資の場合、それらの会社の純資産額が、欠損により50%以上下落した場合に、明らかに回復見込みがある場合を除き、減損を計上しております。

 将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または回収不能が発生した場合には、更に評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

4)固定資産の減損

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額と回収可能価額との差額を減損損失として計上しております。

 減損損失の判定の前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産又は資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容

a.経営成績

1)財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の総資産は、902億71百万円(前連結会計年度末は747億98百万円)となり、154億73百万円増加しました。流動資産は668億14百万円(同513億60百万円)となり、154億54百万円の増加、固定資産は234億56百万円(同234億38百万円)となり18百万円の増加となりました。

 流動資産増加の主な要因といたしましては、現金及び預金並びに売掛金の増加によるものです。また、固定資産増加の主な要因は、ソフトウエアの取得によるものであります。

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、847億26百万円(前連結会計年度末は704億43百万円)となり142億83百万円増加いたしました。流動負債は650億94百万円(同564億34百万円)となり、86億60百万円増加し、固定負債は196億32百万円(同140億9百万円)と56億22百万円増加いたしました。

 流動負債増加の主な要因といたしましては、買掛金の増加並びに1年以内返済予定長期借入金が減少したことによるものであります。また、固定負債増加の主な要因は、長期借入金の増加によるものであります。

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は、55億44百万円(前連結会計年度末は43億54百万円)で11億90百万円増加いたしました。

 純資産増加の主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

2)経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高395億87百万円(対前年同期比120.8%)、営業利益12億9百万円(対前年同期比147.5%)、経常利益9億22百万円(対前年同期比153.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益11億18百万円(対前年同期比79.0%)となりました。

 なお、売上高及び営業利益他の概況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社が事業基盤とする国内レジャー・集客エンタテインメント市場は、これまで抑制されてきたエンタメ活動への反動消費に伴ってライブ・イベント開催の動きが活発化し、当社シンクタンクであるぴあ総研の調査でも、すでにコロナ禍前を凌ぐ規模に復調しています。資材費や物流費、人件費等の高騰の影響を受け、不確定な要素はあるものの、来日アーティスト公演の増加、興行規模の拡大、チケット単価の上昇等により、今後の市場も、当面は堅調な動きを維持するものと見ております。

 

 

c.資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、設備投資需要として、チケッティングシステムのソフトウエア開発費用となります。

(財務政策)

 当社グループの事業活動の維持拡大及び今般のコロナ禍からの市場の回復によりチケット販売が好調に推移し、キャッシュ・フローが良化傾向にあるなか、現行の金融機関とのシンジケートローン契約を見直し、中長期的な財務基盤の安定化を目的として必要な資金を確保するため、新たなシンジケートローン契約を締結しております。金融機関とは良好な関係を維持しており、今後の当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営の主たる指標としては、「自己資本比率」と「ROE」を活用しております。すなわち、資本コストを十分認識した財務体質の強化に努めるとともに、中期的にみて妥当と見込まれる「自己資本比率」と「ROE」の維持、向上を図りつつ、企業価値の持続的増大に努力して参りたいと考えております。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、レジャー・エンタテインメント関連事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社グループは、レジャー・エンタテインメント関連事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

 単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2)有形固定資産

 本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

 単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2)有形固定資産

 本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

 該当事項はありません。

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 当社グループは、単一の報告セグメントとしているため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

 該当事項はありません。

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

 該当事項はありません。

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 該当事項はありません。